結論
岐阜造園は、庭と外構、公園や商業施設の緑化を手がける造園の専業だ。上場する造園の専業は珍しい。筆者の結論はやや割高である。
2020 年に積水ハウスと組んでから、会社の姿は変わった。売上は 5 年で 7 割近く伸び、営業利益率は 7% 台から 10% 台に上がった。積水ハウスは株の 2 割を持つ筆頭株主で、売上の 2 割弱を占める客でもある。
強みは、木を植えて育てる技と、大手ハウスメーカーの信頼だ。高級な戸建の庭や、ホテルと商業施設の緑化は、安さより出来ばえで選ばれる。一方で、新しい家の数は人口とともに減り、造園の職人も集まりにくい。
今の利益率が続けば価値は今の値段を上回るが、過去 10 年の多くは 7〜8% だった。純現金は時価総額の 4 割あるが、それを足しても安全域は薄いと筆者は見る。
積水ハウスが会社ごと買う道は上振れの筋として残るが、今の値段に織り込むほどの材料は開示されていない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、わかりやすく、長く続く仕事だと見る。木を植えて庭をつくる需要は、10 年後も 30 年後も無くならない。腕のある職人と植木の畑は、すぐにはまねできない。
気になるのは、今の高い利益率がどこまで続くかだ。売上の伸びは積水ハウスとの提携と、大型の商業施設とホテルの完工に支えられている。大型の工事は年によって波があり、2026 年 9 月期の 10% 台は良い年に当たっている面がある。
資本の使い方は誠実だ。借金はほぼ無く、配当を利益に合わせて増やしてきた。現金は積み上がっているが、事業の規模に比べて過大というほどではない。
筆者は、持ち続けてよい事業だと考える。ただ、今の値段は利益率の改善がかなり続く姿をすでに映している。払う値段に厚い安全域は無い。
利益率が 2〜3 期続けて 10% を保つなら、評価は一段上がる。
何で稼ぐ会社か
事業は造園緑化の一本で、中身は二つに分かれる。
一つ目はガーデンエクステリアで、売上の半分強を占める。戸建や集合住宅の門や塀、庭をつくる仕事だ。客の中心は積水ハウスなど大手のハウスメーカーで、家を建てる時に外構と庭をまとめて請け負う。高い価格帯の家ほど庭に手間をかけるので、1 件あたりの単価は高い。
二つ目はランドスケープで、売上の半分弱だ。官公庁の庁舎や学校、公園の緑化と設計施工、公園の指定管理を請け負う。最近は首都圏の高級な商業施設やリゾートホテルの造園が増え、2026 年 9 月期は中部の大型商業施設と関東の高級ホテルの完工が利益を押し上げた。
稼ぎ方は工事の請負だ。植木を育てる畑を持ち、設計から植栽、その後の手入れまでを自社で担う。岐阜を本拠に、中部と関東に広げてきた。2024 年には埼玉植物園と資本提携を視野に入れた業務提携を結び、首都圏の植木の調達と施工の力を補った。
社員は施工の現場に多く、設計の担当と職人が同じ会社にいる。庭を引き渡した後の手入れも請け負い、客との付き合いが長く続く。こうした手入れの仕事は額は小さいが、毎年の売上の下支えになる。
優良さと弱いところ
優良さは普通よりやや上と筆者は見る。理由は、大手の客との結びつきと、出来ばえで選ばれる仕事の質にある。
積水ハウスは 2020 年に株を持ち、今は 2 割を握る筆頭株主だ。出向者も受け入れ、大規模な外構と庭の事業で組む。家を売る側にとって、庭の出来は家の値打ちを左右する。腕のある造園会社を手放す理由は小さい。
弱みも同じ所にある。売上の 2 割弱が積水ハウス 1 社で、取引の条件は相手の意向に左右される。造園の業者は全国に多く、公共の仕事は入札で値段が決まる。過去 10 年の営業利益率は 6〜9% で、今の 10% 台が本当の実力かはまだ確かめられない。
資本の使い方は堅い。借金はほぼ無く、配当性向は 3 割台で安定している。
人の面では、研修の仕組み「岐阜造園アカデミー」で若手を育てている。職人の技を会社の中で受け継げるかが、10 年先の強さを決める。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
造園の市場は、新しい家の数と、公共と民間の緑化の投資で決まる。
新しい戸建の数は、人口減で 10 年かけて 2 割前後減る流れにある。ただ、外構と庭にお金をかける高い価格帯の家は、全体ほどには減らない。大手のハウスメーカーは家の値段を上げ、庭と外構を含めた提案で 1 件あたりの売上を増やしている。
緑化の投資には追い風がある。都市の再開発ではビルの緑化が求められ、脱炭素と生物の多様性への配慮で企業も緑を増やす。ホテルと商業施設は、訪日客を呼ぶために庭と景観に投資する。公共では、公園の運営を民間に任せる指定管理が広がる。
逆風は人だ。造園の職人は高齢化が進み、若い人が集まりにくい。建設の 2024 年問題で残業も絞られ、工期と人件費の両方が重くなる。値上げを通せる高い価格帯の仕事に絞れる会社と、公共の入札で安値を競う会社で、利益率の差が開く。競合は地域ごとの造園会社が中心で、全国規模の専業はほとんど無い。
10 年で見れば、造園は数量が少し細り、単価が物価より少し速く上がる市場だと筆者は見る。伸びるのは、腕と信用で選ばれる上の層の仕事だ。
資本政策と M&A
配当性向は 3 割台が基本で、2026 年 9 月期の予定は 33.7% だ。自社株買いはしていない。株主優待は 200 株以上に QUO カードを贈るもので、費用は年 1 億円に遠く届かない。
筆頭株主は積水ハウスで、議決権の 20.2% を持つ。2020 年の第三者割当で株を持ち、2023 年に一部を売り出しで手放した後も 2 割を保つ。創業家の資産管理会社も大株主だ。積水ハウスが株を買い増して子会社にする道は、上振れの筋として残る。逆に提携が薄れれば、売上の 2 割弱が揺らぐ。
純現金は約 27 億円あり、植木の畑と施工の会社の買収に使う余地がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
積水ハウスとの提携は、造園の専業にとってまたとない販路だ。日本最大のハウスメーカーが株の 2 割を持ち、出向者まで送っている。高い価格帯の戸建の庭は、腕のある会社にしか任せられない。この 5 年で売上は 7 割近く伸び、利益率も 10% 台に乗った。
単価の上昇は本物だ。大手のハウスメーカーは家の値段を上げ、庭と外構を含めた提案で 1 件の売上を増やしている。会社も高付加価値の提案で受注単価を上げたと説明する。
緑化の需要も広がる。都市の再開発のビル緑化、ホテルと商業施設の景観、公園の指定管理と、公共と民間の両方に追い風がある。全国規模の造園の専業はほとんど無く、関東での実績が次の受注を呼ぶ。いずれ積水ハウスが子会社にする道もあり、その時は今の値段を上回る価格が付きうる。
財務も堅い。純現金は約 27 億円あり、借金はほぼ無い。景気が悪い年でも配当を続けられる。人手不足の時代に、職人を抱え育てられる会社の値打ちはむしろ上がる。
慎重な見方
今の利益率は良い年の数字だ。過去 10 年の営業利益率は 6〜9% で、10% を超えたのは 2026 年 9 月期が初めてに近い。中部の大型商業施設と関東の高級ホテルの完工が重なった年で、同じ規模の工事が毎年続く保証は無い。
新しい戸建の数は人口とともに減る。積水ハウス 1 社に売上の 2 割弱を頼る形は、相手の方針ひとつで揺らぐ。積水ハウスが外構の内製を進めたり、他の造園会社と組んだりすれば、伸びの柱が細る。
人の問題も重い。造園の職人は高齢化し、若い人は集まりにくい。残業の上限で工期が延び、人件費は物価より速く上がる。公共の仕事は入札で、値段を上げる力は弱い。今の値段は、利益率の改善が長く続く前提に立っている。
さらに、純現金は厚いが自社株買いは無く、現金は会社の中に積まれていく。資本が増えるほど、自己資本利益率は下がる。今の値段に払う理由は、伸びが続く前提にしか無い。その前提が崩れた時に支える床は、現金と、細った本業の稼ぎだけになる。
どちらに重みを置いたか
両者の言い分はほぼ拮抗するが、慎重な見方がやや強い。積水ハウスとの結びつきと緑化の追い風は本物だが、今期の利益率は大型工事の重なった良い年の面がある。確率は中立を厚くし、楽観側と悲観側をほぼ同じ重さにした。
利益率が 2 期続けて 10% を保てば、楽観側に寄せ直す理由になる。積水ハウスによる買収の可能性は確率の外に置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した株価時価総額 4,116 円134 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 510 円17 億円)。 今の値に割り戻すと 2,509 円82 億円、今との差 +23.6%、 期待の年率 +8.6%(資本コスト 6.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 15% | 6,693 円218 億円 | 677 円22 億円 | +263.0% | +13.8% | 1,105 円36 億円 |
| やや楽観 | 20% | 5,525 円180 億円 | 600 円20 億円 | +201.7% | +11.7% | 1,225 円40 億円 |
| 中立 | 35% | 4,543 円148 億円 | 523 円17 億円 | +149.6% | +9.6% | 1,773 円58 億円 |
| やや悲観 | 18% | 1,825 円59 億円 | 400 円13 億円 | +9.6% | +0.9% | 400 円13 億円 |
| 悲観 | 12% | 735 円24 億円 | 277 円9 億円 | −50.1% | −6.7% | 121 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,116 円134 億円 | 510 円17 億円 | +127.8% | +8.6% | 4,625 円150 億円 |
今の株価時価総額 2,030 円66 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 6.8% を下回るほど割高。
楽観 15% 積水ハウスとの二人三脚で全国区になる 利益 9 億円 · PER 21.2 倍 · 株価時価総額 6,693 円218 億円
積水ハウスとの提携は外構と庭の一括の受注に広がり、関東と関西でも施工を任される。新しい戸建の数は減るが、岐阜造園の取り分は増え、件数は 10 年で 25% 増える。1 件あたりの単価も提案の力で物価を上回って上がる。
ランドスケープは都市の再開発とホテルの緑化で大型の案件を重ね、件数が 3 割増える。営業利益率は 11% 台を保ち、営業利益は 13 億円を超える。
積水ハウスが株を買い増す話も出る。配当は利益に沿って増え、現金は畑と施工の会社の買収に使われる。
自己資本利益率は 11% 台を保ち、資本コストを確かに超える会社になる。
- ガーデンエクステリア:数量 1,560(外構・庭を施工する住宅の件数(件・年、推定))× 価格 4.06(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 63 億円・営業利益 7 億円。件数1.25倍・1件1.45倍・利益率11%
- ランドスケープ:数量 390(受注する造園・緑化の案件数(件・年、推定))× 価格 14(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 55 億円・営業利益 6 億円。件数1.30倍・1件1.42倍・利益率11.5%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 18.3% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.5%、10 年より先の名目の伸び g 3.2% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 21.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 21.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)12 億円。全体の PER 21.15 倍、時価総額 208 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:積水ハウスとの提携が深まり、今期の高い利益率が10年保たれる形。今期の実績が裏づけになるが、大型工事の重なりが続く必要があり15%。
やや楽観 20% 単価の上昇が定着し、関東で伸びる 利益 8 億円 · PER 20.6 倍 · 株価時価総額 5,525 円180 億円
大手のハウスメーカーとの取引が深まり、ガーデンエクステリアの件数は 15% 増える。新しい家の数は減っても、高い価格帯の家の庭に絞って取り分を増やす。
ランドスケープは首都圏の商業施設とホテルで実績を積み、件数が 2 割増える。利益率は 10% 台を保ち、営業利益は 11 億円になる。
人手不足には、研修と植木の畑の効率化で備える。配当性向は 3 割台のままで、純現金は 40 億円台に積み上がる。資本が厚くなる分、自己資本利益率は少しずつ下がる。
大型の工事の波はあっても、ならした利益率は 10% を少し上回る。
- ガーデンエクステリア:数量 1,440(外構・庭を施工する住宅の件数(件・年、推定))× 価格 3.98(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 57 億円・営業利益 6 億円。件数1.15倍・1件1.42倍・利益率10%
- ランドスケープ:数量 360(受注する造園・緑化の案件数(件・年、推定))× 価格 14(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 50 億円・営業利益 5 億円。件数1.20倍・1件1.40倍・利益率10.5%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.7% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.2% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)12 億円。全体の PER 20.64 倍、時価総額 170 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注単価の上昇が定着し、関東の実績が次の受注を呼ぶ形。今期の利益率に近い所が続くとみて2割。
中立 35% 住宅は細るが、単価と緑化で伸びる 利益 7 億円 · PER 20.1 倍 · 株価時価総額 4,543 円148 億円
新しい戸建の数は 10 年で 2 割近く減るが、積水ハウスとの取引と高い価格帯の家への絞り込みで、施工の件数は 5% 増える。単価は物価に少し上乗せして上がる。
ランドスケープは緑化と公園の指定管理で件数が 1 割増える。ただ、今期のような大型の工事の重なりは毎年は続かず、営業利益率は 9% 台に落ち着く。過去の山の 8.6% は上回るが、今期の 10% 台には届かない。
営業利益は 9 億円前後、純利益は 6 億円台になる。配当性向は 3 割台を保ち、現金は事業の中で積み上がる。
自己資本利益率は 8% 台で、資本コストをわずかに上回る程度にとどまる。
- ガーデンエクステリア:数量 1,310(外構・庭を施工する住宅の件数(件・年、推定))× 価格 3.92(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 51 億円・営業利益 5 億円。件数1.05倍・1件1.40倍・利益率9%
- ランドスケープ:数量 330(受注する造園・緑化の案件数(件・年、推定))× 価格 14(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 46 億円・営業利益 4 億円。件数1.10倍・1件1.38倍・利益率9.5%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.1% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.9%、10 年より先の名目の伸び g 3.2% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)12 億円。全体の PER 20.08 倍、時価総額 138 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:住宅の数の減りを単価の上昇と緑化の需要が補い、利益率は過去の山と今期の間に落ち着く、最も起こりやすい姿。
やや悲観 18% 住宅着工の減りと人手不足で伸びが止まる 利益 4 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 1,825 円59 億円
新しい戸建の数が想定より速く減り、ハウスメーカーも外構の費用を抑える。ガーデンエクステリアの件数は 1 割減る。ランドスケープも大型の案件が一巡し、件数は 5% 減る。
造園の職人は集まらず、外注に頼る分だけ利益率が下がる。営業利益率は 7% 台と、過去 10 年の平均に戻る。営業利益は 6 億円前後で、今期の予想をやや下回る。
配当は維持するが、伸びは止まる。積水ハウスとの提携は続くが、出向者の数も減り、結びつきは今より薄くなる。
自己資本利益率は 6% 前後で、資本コストに届かない年が増える。
- ガーデンエクステリア:数量 1,125(外構・庭を施工する住宅の件数(件・年、推定))× 価格 3.70(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 42 億円・営業利益 3 億円。件数0.90倍・1件1.32倍・利益率7%
- ランドスケープ:数量 285(受注する造園・緑化の案件数(件・年、推定))× 価格 13(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 38 億円・営業利益 3 億円。件数0.95倍・1件1.32倍・利益率7.5%
倍率:事業の ROE 7.2% が k 6.75% 以下なので、ためた利益は額面未満の価値で PER の上限は 1÷k=12.5 倍。やや悲観は利益率が過去の平均に戻るので、上限の 8 割の 10.0 倍。余った現金 9.0 億円(帳簿 12.0 億円 × 戻り方 0.75)は別に足した。
確率:新しい家の減りが速く、職人の不足で受注を取り切れない形。過去10年の利益率の平均に戻るだけの筋書きで18%。
悲観 12% 大口の取引が細り、価格の競争に戻る 利益 2 億円 · PER 8.8 倍 · 株価時価総額 735 円24 億円
積水ハウスは外構の子会社を厚くし、岐阜造園への発注を減らす。持ち株も手放す。ガーデンエクステリアの件数は 3 割減り、残る仕事は地元の工務店の小口になる。
ランドスケープは公共の入札で安値の取り合いになり、件数は 2 割減る。営業利益率は 4% 台に落ち、営業利益は 3 億円を割る。職人の高齢化で、畑の植木も十分に使い切れない。
配当は細り、現金は事業の穴埋めに少しずつ使われる。資本の厚さが会社を支えるが、自己資本利益率は 3% 台に沈む。
会社は残るが、上場の造園の専業としての伸びの物語は終わる。
- ガーデンエクステリア:数量 875(外構・庭を施工する住宅の件数(件・年、推定))× 価格 3.50(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 31 億円・営業利益 1 億円。件数0.70倍・1件1.25倍・利益率4%
- ランドスケープ:数量 240(受注する造園・緑化の案件数(件・年、推定))× 価格 13(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 31 億円・営業利益 2 億円。件数0.80倍・1件1.28倍・利益率5%
倍率:事業の ROE 3.8% が k 6.75% 以下なので、ためた利益は額面未満の価値で PER の上限は 1÷k=12.5 倍。悲観は大口の客を失い稼ぐ力が細るので、上限の 7 割の 8.8 倍。余った現金 6.0 億円(帳簿 8.0 億円 × 戻り方 0.75)は別に足した。
確率:積水ハウスが外構の内製や他社との取引を増やし、大口の取引が細る形。提携の解消は開示されていないので12%にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ガーデンエクステリア
戸建・集合住宅の門・塀・庭など建物まわりの外構と庭をつくる。積水ハウスなど大手ハウスメーカーの仕事が中心。
| 数量外構・庭を施工する住宅の件数(件・年、推定) | 価格1 件あたりの売上(百万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 1,250 | 2.80 | 35 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,310 | 3.92 | 51 | 5 |
取り方:2025年9月期の33.6億円に今期の伸びを足して約35億円。件数は開示が無いので推定で、1件平均280万円(積水ハウスの高価格帯の戸建の外構と庭)とみて約1,250件。単一セグメントなので利益は全社の営業利益6.9億円を売上で按分し、受注単価を上げている分をやや低めに置いた。
ランドスケープ
官公庁の庁舎・学校・公園の緑化と設計施工、公園の指定管理、商業施設・ホテルの造園。
| 数量受注する造園・緑化の案件数(件・年、推定) | 価格1 件あたりの売上(百万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 300 | 10 | 30 | 4 |
| 10 年後 中立 | 330 | 14 | 46 | 4 |
取り方:2025年9月期の29.1億円から今期約30億円。1件平均1,000万円(公園の維持管理の小口から商業施設・ホテルの大型まで)とみて約300件と推定。利益は全社の按分で、大型の商業施設とホテルの完工で今期は率が高い。
リスクと懸念
積水ハウスへの依存
積水ハウスは筆頭株主で、売上の2割弱を占める客だ。外構の内製や他の造園会社との取引が増えれば、伸びの柱が細る。株を手放せば提携の深さも変わる。 一度崩れると、立て直しに数年かかる。
新しい家の数の減り
新しい戸建の数は人口減で長く細る。高い価格帯の家に絞っても、件数の減りが速ければ単価の上昇では補えない。 一度崩れると、立て直しに数年かかる。
造園の職人の不足
造園の職人は高齢化が進み、若い人が集まりにくい。残業の上限で工期が延び、人件費が物価より速く上がれば、利益率が下がる。 一度崩れると、立て直しに数年かかる。
大型工事の波
今期の利益は中部の大型商業施設と関東の高級ホテルの完工に支えられた。同じ規模の工事が続かなければ、利益率は過去の7〜8%台に戻る。 一度崩れると、立て直しに数年かかる。
公共の入札
公園や学校の緑化は入札で値段が決まる。自治体の予算が細れば、件数と単価の両方が下がる。 一度崩れると、立て直しに数年かかる。
今後の分かれ目
- 2027年9月期も営業利益率10%以上を保つ
- 今の利益率が実力と確かめられ、やや楽観の筋書きに寄る。
- 積水ハウスが持ち株を増やす、または子会社にする
- 買収の価格次第で、今の値段を上回る価値が株主に届く。
- 積水ハウスが持ち株を売る
- 提携が薄れ、やや悲観から悲観の筋書きに近づく。
- 大型の商業施設・ホテルの受注が途切れる
- 利益率が過去の平均に戻り、中立より下の筋書きになる。
- 造園の会社や植木の畑を買う
- 関東での施工の力が増すが、買う値段次第で現金の価値が目減りする。
見ておくもの
- 営業利益率(2026年9月期予想10.6%、過去10年の山8.6%)
- 積水ハウス向けの売上と持ち株の比率
- ガーデンエクステリアとランドスケープの売上の伸び
- 大型の商業施設・ホテルの受注
- 配当性向と現金の使い道
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見ずに決めた。資本コスト6.75%に対し、余った現金を除いた10年後の自己資本利益率は中立で10%前後とkを少し超えるので、正当化PERの式で上限を出し、1÷k=12.5倍を下回らない所に置いた。中立の営業利益率9%台は過去12年の山8.6%を上回るが、2026年9月期の9か月の実績11.4%と通期予想10.6%、受注単価の上昇の開示を裏づけに、その間に置いた。純現金約27億円のうち、売上の2か月分ほどの運転資金を除いた16億円を余った現金とし、配当は続くが自社株買いが無く筆頭株主が2割を持つので戻り方0.75で足した。過去のPERや同業の値付けは使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.79→21.15 倍・やや楽観 PER 13.74→20.64 倍・中立 PER 12.59→20.08 倍)。
資本コスト 6.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityの+0.5%を足した(決まりv2)。積水ハウスへの依存などの個別のリスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 6.75%。