結論
JESCO ホールディングスは、太陽光や蓄電所、無線通信、データセンターの電気設備を、設計から施工まで一括で請け負う会社だ。1970 年創業で、ベトナムにも拠点を持つ。売上は 191 億円で、国内の工事が 7 割、販売用不動産が 4 分の 1 を占める。
筆者の結論は、今の値段はやや割安、というものだ。2025 年 8 月期は営業利益が 17 億円と過去最高で、2026 年 8 月期は第 3 四半期までで 17 億円に達した。自己資本利益率は 14% で、純負債は自己資本の 0.3 倍にとどまる。
追い風は、系統用蓄電所、データセンター、無線通信の工事需要と、元請け比率の上昇だ。会社は 2028 年 8 月期に営業利益 25 億円、2035 年度に 50 億円を目指す。
逆風は、太陽光の買取制度が縮むことと、案件ごとに利益が振れる工事型の事業であることだ。筆者は、10 年の中立を営業利益 28 億円、純利益 17 億円と見る。日本コムシスが筆頭株主で、約 18% を持つ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「伸びる分野に乗った、財務の堅い中規模の工事会社」だ。
自己資本利益率は 14% で、純負債は自己資本の 0.3 倍と軽い。元請けで設計まで取る力があり、利益率が上がってきた。蓄電所やデータセンターという、数年は需要が続く分野にもいる。
心配な点は三つある。一つは、工事は案件ごとに利益が振れ、営業利益率が過去最高の水準にあること。二つは、太陽光の制度に左右されること。三つは、買収の価格を間違えれば価値を壊すことだ。
筆者は、10 年の中立の価値は今の時価総額の 1 割増しほどと見る。会社の目標どおり進めば倍以上になるが、利益が山の水準で続くとは見ない。
払う値段に安全域があるかを問えば、悲観でも販売用不動産と純資産が床になる点は心強い。経営が買収で価値を壊さないかが、最大の見極めどころだ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、再生可能エネルギー、通信、電気設備の工事を一括で請け負うことだ。会社はこれを EPC(設計・調達・施工)と呼ぶ。
国内の EPC は売上の約 7 割を占める。太陽光発電所と系統用蓄電所の工事、携帯電話の基地局などの無線通信システム、データセンターなどの電気設備を手がける。太陽光の元請け比率は 2024 年 8 月期の 50% から 2025 年 8 月期に 60% へ上がり、利益率の高い元請けの仕事が増えた。通信システムは前期比 41.6% 増え、蓄電所は 19 億円、電気設備は 16 億円の売上拡大を狙う。
ベトナムの EPC は売上の約 7%。現地の融資規制で工事の受注が止まり、日系と欧米系の案件に絞る方針に変えた。
不動産は 2022 年に始めた事業で、販売用不動産の取得と売却を担う。2025 年 8 月期は 2 件を売り、売上は約 49 億円、利益は約 7.5 億円と推定する。今期も 2 件ほどの売却を計画する。
受注残は不動産を除いて 100 億円を超え、2026 年 8 月期の受注高は 205 億円の計画だ。
優良さと弱いところ
優良さを分けるのは、元請けの比率と、技術者の確保だ。
強みは三つある。一つは、設計から施工までを一括で請け負い、元請けの利益を取れる点だ。二つは、系統用蓄電所、データセンター、無線通信という、伸びる分野に工事の経験があること。三つは、財務が堅く、純負債が自己資本の 0.3 倍で、営業利益は利息の 19 倍あることだ。
弱みは三つある。一つは、案件ごとに売上が立つ工事型で、利益が年ごとに振れること。営業利益率は過去 12 年に -0.9% から 9.0% の間を動いた。二つは、太陽光の買取制度に事業が左右されること。三つは、技術者の不足で、採用の遅れが受注の上限になること。
経営は、配当性向を 2028 年 8 月期に 4 割へ段階的に上げ、自己資本利益率 15% 以上を保つ目標を掲げる。中計期間に 30 億円以上を投じ、2〜3 社を買収する計画もある。
株主には、筆頭株主の日本コムシスが約 18% を持ち、通信工事の大手が付く。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の電気・通信の設備工事は、人手不足と投資の増加で、受注が強い局面にある。
系統用蓄電所は、再生可能エネルギーの出力の変動を吸収するため、国の補助と電力市場の整備で急速に増えている。データセンターは、生成 AI の普及で電力設備の需要が膨らむ。5G と携帯基地局の整備、鉄道や公共の無線も続く。一方、太陽光は買取制度の縮小で、新設の伸びが鈍る。
競合は、コムシスホールディングス、きんでん、関電工のような大手設備会社(資金力と信用力で大型案件を取る)と、ウエストホールディングスやテスのような再エネ工事の専業会社だ。JESCO は元請けの小回りと、設計まで一括で取る力を売りにして、大手が手を出しにくい中規模の案件を取る。
10 年を通じて、数量は蓄電所とデータセンターで伸びる一方、太陽光は鈍る。価格は物価と人件費の上昇で上がる。技術者不足で、工事単価の転嫁は通りやすい。ただ、制度の変更で需要が急に動く業界でもある。人手不足の中で、技術者を確保できる会社が受注を取る構図は、10 年続く可能性が高い。
資本政策と M&A
資本政策の軸は、配当性向の引き上げと、中計期間の買収だ。
年間配当は 2025 年 8 月期が総額 2.8 億円ほど(記念配当を含む)で、2026 年 8 月期は 2 割ほど増える予想だ。配当性向を段階的に上げ、2028 年 8 月期に 4 割を目指す。自社株買いは中計に載っていない。
中計期間(2026〜2028 年 8 月期)に 30 億円以上を投じ、2〜3 社を買収する。目的は、高度な技術者の確保と、国内のネットワークの強化、事業領域の拡大だ。買収の失敗は、のれんの減損につながる。
純負債は 25 億円で、不動産の在庫をまかなう借入が中心。筆頭株主の日本コムシスは約 18% を持ち、通信工事の大手が付く。同社の議決権が経営にどう働くかは、開示からは確かめきれていない。
株主優待は確認できなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
需要の追い風が 10 年続く、数少ない工事会社だ。2025 年 8 月期は売上が 29% 増え、営業利益は 51% 増えた。2026 年 8 月期は第 3 四半期までで営業利益が 119% 増の 17 億円と、通期予想の 18 億円にほぼ達した。
系統用蓄電所は国の補助と電力市場の整備で急速に増え、データセンターも電力設備の需要が続く。無線通信は 5G の整備と更新が続く。元請け比率は 50% から 60% に上がり、利益率が上向いている。
会社は 2028 年 8 月期に売上 250 億円・営業利益 25 億円、2035 年度に売上 500 億円・営業利益 50 億円を掲げる。中計期間に 2〜3 社を買収し、技術者の確保を進める。
財務は堅く、自己資本利益率は 15% を目指す。配当性向は 4 割に上がる。
筆頭株主の通信工事大手が付いているため、受注の安定も見込める。株主還元も強まる方向にあり、資本の使い方は株主向きだ。
慎重な見方
利益が山の水準にあり、先に落ちる余地が大きい。営業利益率は 12 年のうち 9% に届いたのは前期だけで、2019 年 8 月期は赤字だった。工事は案件ごとに収益が決まり、蓄電所とデータセンターの需要が一巡すれば、売上が急に細る。
太陽光は、買取制度の縮小で新設が鈍る。系統用蓄電所は参入者が増え、工事の単価が下がる。競合は大手の設備会社で、規模と信用力で大型案件を取る。入札になれば、価格で負ける。
ベトナムの事業は融資規制で工事が止まり、利益が出ない。不動産は年 1〜2 件の売却に利益が偏り、売れない年は営業利益が大きく落ちる。
中計の営業利益 25 億円は、前期の 1.5 倍の目標だ。買収を 2〜3 社行えば、統合の費用と減損のおそれが出る。買収で入れた会社の技術者が定着しない例も、業界では珍しくない。
技術者の不足で、受注があっても施工できず、売上が伸びない可能性もある。会社の目標は、過去に何度か未達に終わった実績もある。
どちらに重みを置いたか
強気の言い分は、足元の受注と第 3 四半期までの実績に支えられ、数字の裏づけが強い。慎重な言い分は、工事型の利益の振れと、制度への依存、買収のリスクに支えられる。
需要の追い風は数年続くとみるが、10 年先は読みにくい。中立は営業利益 28 億円で、会社の 2035 年度の目標(50 億円)の半分強に置いた。悲観を合わせて 3 割強とし、制度と案件の波を織り込んだ。
結論は、今の値段は 10 年の中立の稼ぐ力に比べてやや割安、というものだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/08 期)
確率で加重した株価時価総額 3,119 円217 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 686 円48 億円)。 今の値に割り戻すと 1,835 円128 億円、今との差 +23.2%、 期待の年率 +9.8%(資本コスト 8.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 6,384 円444 億円 | 1,178 円82 億円 | +407.5% | +17.6% | 681 円47 億円 |
| やや楽観 | 24% | 4,468 円311 億円 | 963 円67 億円 | +264.5% | +13.8% | 1,303 円91 億円 |
| 中立 | 36% | 3,420 円238 億円 | 733 円51 億円 | +178.7% | +10.8% | 1,495 円104 億円 |
| やや悲観 | 20% | 935 円65 億円 | 345 円24 億円 | −14.1% | −1.5% | 256 円18 億円 |
| 悲観 | 11% | 489 円34 億円 | 144 円10 億円 | −57.6% | −8.2% | 70 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,119 円217 億円 | 686 円48 億円 | +155.3% | +9.8% | 3,805 円265 億円 |
今の株価時価総額 1,490 円104 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 9% 楽観:売上 450 億円に近づき、営業利益は 47 億円 利益 30 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 6,384 円444 億円
系統用蓄電所、データセンターの電気設備、無線通信の工事が 10 年続き、買収した会社も加わって、国内EPC の施工規模は実質で 1.9 倍になる。価格は物価に連れて 1.34 倍に上がる。
国内EPC の営業利益率は 11.5% で、会社が 2028 年 8 月期に目指す 10.9% を超える。元請け比率の上昇と技術者の確保が裏づけだ。
不動産は売却が年 2〜3 件に増え、営業利益は 12 億円。ベトナムも日系企業の進出で回復する。
売上は 434 億円、営業利益は 47 億円、純利益は 30 億円。配当性向は 4 割。
買収が 3 件うまくいけば、さらに上振れる。技術者の採用が進み、大型案件を元請けで取れる体制が整う。
- 国内EPC(再エネ・通信・電気設備):数量 243(施工規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 326 億円・営業利益 38 億円。規模 1.90 倍、価格 1.34 倍
- アセアンEPC(ベトナム):数量 25.0(受注・施工の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.20(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 30 億円・営業利益 1 億円。規模 1.80 倍、価格 1.20 倍
- 不動産:数量 58.3(売却規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 78 億円・営業利益 13 億円。規模 1.20 倍、価格 1.34 倍
倍率:事業の純利益 30 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.2% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍。全体の PER 14.71 倍、時価総額 444 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:蓄電所とデータセンターの需要が続き、買収も加わって会社の 2035 年度の目標(営業利益 50 億円)に近づく姿。案件型で制度に左右されるので 1 割に届かない 9% に置いた。
やや楽観 24% やや楽観:売上 360 億円、営業利益は 35 億円 利益 22 億円 · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 4,468 円311 億円
国内EPC の施工規模は実質で 1.6 倍に増え、価格は 1.34 倍に上がる。営業利益率は 10.3% で、会社が目指す 10.9% には届かない。
不動産は売却が年 2 件で、営業利益は 10 億円。ベトナムの工事は日系企業の案件で少しずつ戻る。
売上は 365 億円、営業利益は 35 億円、純利益は 22 億円。配当性向は 4 割を保つ。
買収は 2 件にとどまり、統合の費用が先に出る。それでも技術者の確保が進み、受注は途切れない。工事の単価も物価に連れて上がる。データセンターと蓄電所の工事が、太陽光の鈍化を補う。
- 国内EPC(再エネ・通信・電気設備):数量 205(施工規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 275 億円・営業利益 28 億円。規模 1.60 倍、価格 1.34 倍
- アセアンEPC(ベトナム):数量 20.9(受注・施工の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.20(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 25 億円・営業利益 1 億円。規模 1.50 倍、価格 1.20 倍
- 不動産:数量 48.6(売却規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 65 億円・営業利益 10 億円。規模 1.00 倍、価格 1.34 倍
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.8% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.9 倍。全体の PER 13.88 倍、時価総額 311 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:蓄電所と通信の需要が続くが、案件の波と制度の変更で一部が計画を下回る姿。
中立 36% 中立:売上 310 億円、営業利益は 28 億円 利益 17 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 3,420 円238 億円
国内EPC の施工規模は実質で 1.35 倍。太陽光の新設は鈍るが、系統用蓄電所とデータセンター、無線通信の工事が補う。価格は 1.34 倍。
営業利益率は 9.5% で、足元の 9.0%(過去の最高)に少し上げる。元請け比率の上昇と 2028 年 8 月期の会社計画(10.9%)が裏づけだが、案件の波があるので計画の水準には置かない。
不動産は年 1〜2 件の売却で、営業利益は 8 億円。本社費は物価で 1.34 倍に増える。
売上は 312 億円、営業利益は 28 億円、純利益は 17 億円。配当性向は段階的に 4 割へ上がる。
工事会社なので設備は軽いが、不動産の在庫を持つ分だけ借入が要る。
- 国内EPC(再エネ・通信・電気設備):数量 173(施工規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 232 億円・営業利益 22 億円。規模 1.35 倍、価格 1.34 倍
- アセアンEPC(ベトナム):数量 18.1(受注・施工の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.20(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。規模 1.30 倍、価格 1.20 倍
- 不動産:数量 43.7(売却規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 59 億円・営業利益 8 億円。規模 0.90 倍、価格 1.34 倍
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.5% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.34 倍、時価総額 228 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:蓄電所と通信の需要が続くが、制度の縮小と案件の波で、会社の計画(2035 年度に営業利益 50 億円)の半分強にとどまる形。最も起こりやすい形として最も厚く置いた。
やや悲観 20% やや悲観:制度が縮み、営業利益は 10 億円 利益 5 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 935 円65 億円
太陽光の買取制度の縮小で新設が細り、系統用蓄電所の需要も一巡する。国内EPC の施工規模は実質で 0.9 倍に縮み、価格は 1.25 倍にとどまる。
営業利益率は 7% に下がる。不動産は売却が年 1 件に減り、営業利益は 3 億円。ベトナムは利益が出ない。
売上は 191 億円、営業利益は 10 億円と、今の 6 割にとどまる。純利益は 5 億円。
配当性向は 3 割に下がり、買収の投資は減損の対象になる。工事の受注は競争入札が増え、単価が下がる。技術者の定着が悪化すれば、受注があっても施工が追いつかない。
- 国内EPC(再エネ・通信・電気設備):数量 115(施工規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.25(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 144 億円・営業利益 10 億円。規模 0.90 倍、価格 1.25 倍
- アセアンEPC(ベトナム):数量 11.1(受注・施工の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.10(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。規模 0.80 倍、価格 1.10 倍
- 不動産:数量 29.2(売却規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.20(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 35 億円・営業利益 3 億円。規模 0.60 倍、価格 1.20 倍
倍率:ROE 3.8% は k 8.5% を下回り、PER の上限は 1÷k。堀は普通、g 4% の正当化 PER は 11.4 倍。工事型で利益が案件に振れるので上限の約 70% の 8.0 倍に置く。
確率:太陽光の新設が細り、蓄電所の需要も一巡して、工事の単価と数量が下がる姿。
悲観 11% 悲観:制度が崩れ、受注が半減して赤字に 利益 −4 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 489 円34 億円
太陽光の制度が縮み、蓄電所は参入者が増えて単価が下がる。国内EPC の施工規模は実質で 0.55 倍まで縮み、価格は 1.10 倍にとどまる。
営業利益率は 1% まで下がる。ベトナムは赤字が続く。不動産は在庫が売れず、売却は年 0.4 倍に減る。
営業利益は 1 億円ほどの赤字になる。買収した会社ののれんを減損し、純損益は 4 億円の赤字。配当は無配に近づく。
技術者の流出が続き、受注があっても施工できない。再建には不動産の在庫と事業の売却が要る。株主の取り分は、売れる資産と借入の差に近づく。
- 国内EPC(再エネ・通信・電気設備):数量 70.5(施工規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.10(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 78 億円・営業利益 1 億円。規模 0.55 倍、価格 1.10 倍
- アセアンEPC(ベトナム):数量 7.0(受注・施工の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.00(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。規模 0.50 倍、価格 1.00 倍
- 不動産:数量 19.4(売却規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.00(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。規模 0.40 倍、価格 1.00 倍
倍率:床の資産で値を付けた。赤字で稼ぐ力は測れない。売れる資産の税後 34 億円を、今の自己資本 75 億円に掛けた(PBR 0.45 倍)。
確率:太陽光の制度の廃止と蓄電所の過当競争で受注が半減し、買収も失敗する構造的な負け筋。財務は堅いが案件型なので 1 割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内EPC(再エネ・通信・電気設備)
太陽光・系統用蓄電設備、携帯電話などの無線通信システム、データセンターなどの電気設備を、設計・調達・施工まで一括で請け負う。売上の約 67%。
| 数量施工規模(今の値段で換算した売上・億円) | 価格値段の指数(今 = 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 128 | 1.00 | 128 | 12 |
| 10 年後 中立 | 173 | 1.34 | 232 | 22 |
取り方:売上構成比 67.2%(決算説明)から 128 億円と置いた。セグメント利益は、2028 年 8 月期の会社計画(国内EPC の営業利益を 2025 年 8 月期の 1.8 倍)と全社の営業利益 17.2 億円から割り戻した推定。施工量は開示がなく、今の売上を実質の規模とし、物価を価格の指数とした推定。
アセアンEPC(ベトナム)
ベトナムでの設計・積算と工事。日系・欧米系企業の案件に絞る。売上の約 7%。
| 数量受注・施工の規模(今の値段で換算した売上・億円) | 価格値段の指数(今 = 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 13.9 | 1.00 | 14 | 0 |
| 10 年後 中立 | 18.1 | 1.20 | 22 | 1 |
取り方:売上構成比 7.3% から 14 億円と置いた。ベトナムの融資規制で工事が停滞し、利益は小さい。利益は推定。
不動産
販売用不動産の取得と売却。2025 年 8 月期は 2 件を売却した。売上の約 25%。
| 数量売却規模(今の値段で換算した売上・億円) | 価格値段の指数(今 = 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 48.6 | 1.00 | 49 | 8 |
| 10 年後 中立 | 43.7 | 1.34 | 59 | 8 |
取り方:売上構成比 25.5% から 48.6 億円と置いた。会社は不動産を売上 50 億円・営業利益 8 億円ほどで安定させる計画。物件の売却は年に 2 件ほどで、年ごとの振れが大きい。利益は推定。
リスクと懸念
制度と需要の一巡
太陽光は買取制度の縮小で新設が鈍る。系統用蓄電所とデータセンターの需要が一巡すれば、売上が急に細る。工事型なので受注の波が利益の波になる。
利益率が山の水準
営業利益率 9.0% は過去の最高で、12 年のうち 2019 年 8 月期は赤字だった。足元の好調がそのまま続くとは限らない。
買収の失敗
中計期間に 30 億円以上を投じて 2〜3 社を買う。価格を間違えたり、統合が遅れたりすれば、のれんの減損が出る。
技術者の不足
受注があっても、施工できる技術者が足りなければ売上にならない。採用の遅れや離職が、成長の上限になる。
不動産の売却の波
販売用不動産は年に 1〜2 件の売却に利益が偏る。売れない年は営業利益が大きく落ち、在庫の借入が残る。
ベトナム事業
現地の融資規制で工事の受注が止まっている。日系・欧米系への転換が遅れれば、損失が続くおそれがある。
今後の分かれ目
- 系統用蓄電所の補助が縮小される
- 蓄電所の工事が細る。やや悲観の確率を上げる。
- 営業利益率が 10% を超えて 3 期続く
- 元請けの収益力が構造的と確かめられる。楽観側の確率を上げる。
- 大型の買収で価格が高すぎる、または統合が遅れる
- 減損のおそれが高まる。倍率を下げる。
- 筆頭株主が出資の拡大や公開買付けを提案する
- 提示される価格は本質価値と別の話になる。10 年の中立の価値との差で判断する。
- データセンターの電気設備が大型の案件を取る
- 施工規模が会社の計画を上回る。楽観側の確率を上げる。
見ておくもの
- 受注高・受注残と元請け比率
- 国内EPC の営業利益率
- 買収の進み具合と減損
- 不動産の売却件数
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。k 8.5%(quality +1.25)、g 4%。中立の ROE は 10% で k を超え、正当化 PER は 12.3 倍。工事型で利益が山の水準にあるので上限の 8 割の 9.8 倍とした。今の株価や PER は見ていない。事務所の賃借は少なく、新リース会計基準の影響は小さい。2026 年 8 月期の第 3 四半期までの好調は、10 年の起点にしていない(起点は 2025 年 8 月期)。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.9→14.71 倍・やや楽観 PER 11.5→13.88 倍・中立 PER 11.5→13.34 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。