結論
ハンワホームズは、住宅の庭や門まわりを設計・施工する会社から、ホテルや公共施設の屋外空間と家具の調達まで手掛ける会社へ変わろうとしている。長く持つ株主としての結論は、成長の余地は認めても、今の時価総額に安全域は乏しく、割高方向にあるというものだ。施工とDEPOSの家具販売を一体で提案できる利点はある。しかし、その強みが資本コストを上回る現金の稼ぎとして継続するかは、まだ証明されていない。
2026年2月期には法人案件の増加で売上高が23.8億円に伸び、営業利益も1億円を超えた。ところが同時期の営業キャッシュフローは約3億円の流出であり、利益より先に工事の未収金と契約資産が膨らんだ。2026年8月までの次期中間決算では、連結売上高12.2億円に対して営業赤字に転じた。年初来の成長率より、資金の回収と粗利益が販管費を吸収できるかを重視したい。
10年後も住宅外構と公共空間整備はなくならない。むしろ公園や宿泊施設の改修、老朽不動産の活用には仕事が残る。ただし新設住宅は人口と世帯数の変化で細り、DEPOSには大手家具店やネット通販との価格競争がある。借金を増やして受注を取る仕組みのままでは、売上の拡大が株主価値の拡大を意味しない。強い筋書きには相応の可能性を認めつつ、下振れへの重みを厚くした。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社を「庭をつくる建設会社」とだけ見てはいけない。小さな施工会社が、商業施設や公園の設計、輸入家具の調達、現場管理、そして施設運営までを束ねようとしている。施主からすれば窓口が一つになる価値は確かにある。だが、10年先も他社がまねできないほど高い価格を取れるかとなると、証拠はまだ弱い。法人の累計取引先数が増えたことと、持続的な超過利益が生まれたことは同義ではない。
一番確認したいのは、受注一件当たりに必要な現金である。工事の未収金が積み上がれば帳簿上の利益は増えても、企業を持つ人の手元には戻らない。2026年2月期の増収増益と営業キャッシュフローの大幅流出は、まさにその違いを示した。銀行の借入で仕事を取り、儲けが金利と在庫に吸収されるなら、表面上の高いROEは株主にとって十分なご褒美ではない。
成長投資の成否を測る物差しは、買収した会社の売上や受注先の数ではなく、追加で投じた資本が資本コストを上回る利益を生むかだ。DEPOSの黒字化が定着し、法人施工を増やしても回収サイトが伸びず、借入を減らせるなら評価は大きく変わる。反対に、販路拡大のたびに広告費と借入が増えるなら、企業規模が大きくなっても一株主の取り分は増えない。いまの価値評価では、この未検証の部分に高い価格を払わない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は二つある。空間創造事業は戸建住宅の外構を住宅メーカー経由または直接受注し、設計、資材調達、施工管理を請け負う。近年はホテル、飲食施設、商業施設、自治体の公園整備にも領域を広げている。住宅なら建物一棟につき門塀や駐車場、庭の整備が一件の仕事になる。法人では同じ一件でも規模が大きく、企画から家具の設置まで請け負える。
2026年2月期の空間創造売上は15.81億円、営業利益は1.45億円だった。公開されている数量は法人施工の22件で、前年の11件から倍増したことが確認できる。一方、個人向けの年間施工件数と法人案件の平均単価は開示されていない。そこで民間の新築外構工事成約事例と施工件数の伸びを照らし、住宅工事の件数と法人案件の金額を別々に推計した。数字は実績の内訳ではなく、将来を検証するための仮説である。
もう一つのDEPOS事業は、ガーデンテーブル、椅子、ソファ、植栽資材などをオンラインと法人向けに売る。2026年2月期の売上7.97億円に対して営業損失は0.30億円であり、品物が売れても物流費、広告費、店舗・人件費を回収しきれていない。法人取引先の累計は685件に達したが、これは年間の成約件数ではない。法人向け受注売上の1.73億円も受注日基準であり、会計上の売上とは集計時点が異なる。
2026年3月にはブレイントラストの株式70%を取得し、建築相談や不動産仲介を連結した。不動産事業は同年8月までの半年で0.27億円と小さいが、既存の施工や家具販売に顧客を送る役割が期待されている。また、りんくう公園のPark-PFIには過半出資の事業会社を通じて関わる。公的施設の工事だけでなく、開業後の運営リスクまで持つ点には注意が必要だ。
優良さと弱いところ
強みは、設計図を描くだけでも家具を売るだけでも終わらないことだ。屋外空間の設計から調達、施工、設置までを一つの窓口で引き受けられる。法人の発注者は多業者との調整を減らせるため、ここには一定の利便性がある。大阪の施工実績やショールーム、DEPOSの仕入れ網も組み合わせれば、小規模な外構業者に比べて提案の幅を広げられる。
ただし、これを強固な堀と呼ぶには実績が足りない。契約が終われば顧客は別の施工会社や家具販売店に乗り換えられ、公共案件には入札もある。DEPOSのオンライン売上は大手の販売基盤への依存が高く、独自の価格決定権を持ちにくい。法人取引先累計の伸びは販路拡大の証拠だが、継続購入率、値上げ後の解約率、顧客当たり採算の数字は示されていない。
財務が最大の弱点だ。2026年2月期の自己資本は約2.3億円、自己資本比率は17%にすぎない。さらに2026年8月時点の現預金約1.66億円に対し、短期・長期の借入は合計約9.84億円まで増えた。借入は全額が余剰資金に対応するわけではなく、工事の売掛金、契約資産、商品在庫を回すための資金でもある。
見かけのROEは急上昇したが、上場前後の小さな自己資本と増資の影響が大きい。過去の増分投資が継続して高い資本利回りを生んだと判断するには短すぎる。将来、施工件数が増えても債権回収が遅れれば、新しい銀行借入が必要になる。良い仕事を取れるかと、株主のものになる現金を残せるかは、分けて評価すべきである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の新築住宅需要は構造的な縮小期にある。国土交通省の2025年度住宅着工統計では年間の新設戸数は約71万戸となった。10年後の中立では60万戸台まで減る可能性を見ておく。建材や職人の費用は物価とともに上がるが、家計の購入能力がそれに追いつかなければ、施工単価への転嫁は容易ではない。住宅の外構は建物本体より後回しにされやすい支出でもある。
外構工事だけの全国統一の市場規模や各社シェアは公表資料から確定できない。そこで約71万戸のうち半数が新規外構工事を別途発注し、一件当たり250万円とする仮の新築外構市場は約0.89兆円となる。これは市場の公表実績ではなく、対象となる工事の概算であり、既存住宅の改修工事も含まない。推定住宅施工410件は、その全国の潜在案件35.5万件に対して約0.12%である。営業地域が偏るため、全国シェアをそのまま地域での競争力と読んではならない。
価格帯の裏付けは民間の施工契約調査だ。2025年の新築外構では200万〜249万円の案件が最多で、別の小規模成約データでも敷地面積に応じて140万〜340万円程度が中心になる。競争相手は地域の外構専門工事会社、ハウスメーカーの提携先、LIXILやYKK APなどのエクステリア販売網である。これらの全国的な施工シェアの比較可能な公表値はなく、無理に順位を付けられない。
法人・公共分野では、公園や屋外飲食施設の整備が住宅着工の減少を補い得る。Park-PFIは民間が公園施設を整備・運営する制度で、案件の数と運営採算は地域ごとに違う。ハンワホームズが年間22件を施工した段階では、巨大な市場でのシェアはまだ微小とみるのが妥当だ。DEPOSが含まれる生活雑貨・家具・インテリアの国内EC市場は、経済産業省の2024年調査で約2.56兆円だった。DEPOS全売上がその市場に相当すると仮定しても約0.03%であり、実際の屋外家具市場はこの一部分だ。競合はニトリ、IKEA、Amazon、楽天内の出店者、タカショーなどである。
資本政策と M&A
資本配分は拡大を先行させている。2025年の名証ネクストへの市場変更時に新株を発行し、2026年2月期の増資額は約1.09億円となった。同期の純利益約0.69億円に対して営業活動による現金流出は約2.97億円だった。2026年8月の中間期にも約1.86億円が流出し、借入による資金調達を続けている。9月にはさらに運転資金0.5億円を、1か月円TIBORに0.8%を加えた変動金利で借り入れる計画を公表した。現預金には定期預金を含め、現金同等物だけを見て資金繰りを誤らないようにしたい。
2026年1月にりんくう公園の事業会社へ51%出資し、3月にはブレイントラストの70%を約205万円で取得した。取得価格自体は小さいが、後者には不動産仲介と建築コンサルティング、前者には開業後の施設運営があり、従来と異なる経営能力が必要になる。成長戦略には今後も水平・垂直の買収を活用する方針がある。買収による売上増と買収後の利益・現金増を区別して追うべきだ。
2026年5月公表の事業計画には、数値の期間を定めた中期売上高、営業利益、ROEの目標や、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額の数字の約束はない。2027年2月期の単年度連結予想は売上高25.92億円、営業利益0.79億円だが、中間期は赤字でも予想を据え置いている。配当は過去の開示期も次期予想もゼロで、自社株買いの確認できる実績もない。議決権の約82%を支配株主二名が保有しており、少数株主が資本政策を変える力は小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
住宅向け外構の一社という見方は事業の実態を過小評価している。個人の庭、宿泊施設のテラス、商業施設の屋外席、自治体の公園を共通の設計・施工・家具調達の仕組みで扱えることが強みだ。法人施工件数は2025年2月期の11件から2026年2月期の22件へ倍増しており、DEPOSの法人取引先累計も685件まで伸びた。需要の重心を戸建から法人へ移すことは、人口減少への実際の対抗策になっている。
りんくう公園でのPark-PFI参加は、工事を受けるだけでなく施設を運営し、次の受注につながる実績を作る機会である。ブレイントラストの取得で、遊休不動産の仲介や再生から設計・家具まで顧客をつなぐこともできる。DEPOSは輸入品の企画・直接調達と法人向け高単価案件の伸長で、粗利を販促費より速く増やせれば、過去の赤字を解消する余地が大きい。
規模の小ささは弱みであると同時に、法人施工が年数十件増えるだけで売上構成が変わる余地でもある。施工単価が物価以上に上がり、自治体と宿泊施設の運営案件が横に展開できれば、現場の実力を持つサービス企業として利益率を高められる。2026年8月までの赤字は採用と先行費用の一時的な負担で、受注残の引渡しが進めば解消する可能性がある。買収を小規模にとどめて現金創出に集中できれば、現在の企業価値を大きく上回る道は残っている。
慎重な見方
施工と家具の販売を一体化する発想は優れていても、その仕組みが参入障壁になっている証拠は足りない。設計事務所も外構業者も家具卸と組める。顧客は案件ごとに発注先を選び、施工が終わった後の乗り換え負担は限定的だ。大型法人案件を増やすほど入札、工期の遅延、資材高騰、外注人件費上昇の影響も大きくなる。社内の施工管理人数が少ないことは、受注急増時には管理費と品質のリスクになる。
DEPOSの2026年2月期営業損失は約0.30億円に達した。消費者向けの屋外家具にはニトリやIKEA、ネットの廉価商品があり、ブランドや独占的なデータによる防御は弱い。ネット集客を広告に頼れば、規模を拡大しても利益が残らない。建築コンサルティングと不動産仲介の事務・調査にはAIエージェント代替が及び、物理的な施工を守れても新たに買った周辺事業まで同じ利益率を保てるとは限らない。
最も心配なのは財務である。2026年8月時点で、現預金約1.66億円に対し借入金は約9.84億円だった。営業活動の資金流出が二期続く中、建設費の先払いと売掛金の膨張を借入で賄えば、将来の金利上昇時に利益が銀行へ移る。自己資本比率の低さは施工トラブルが一件起きただけでも増資の必要につながりうる。支配株主が議決権の大半を持ち、配当もない以上、帳簿上の利益が積み上がっても少数株主の取り分が確実に増えるとは言えない。
どちらに重みを置いたか
施工と調達の一体提案には顧客価値があり、法人案件の増加も確認できる。それでも、DEPOSの赤字と中間期の営業赤字、膨らんだ契約資産と借入を見れば、現時点では慎重な見方が上回る。下に寄せる理由は、事業の需要減だけでなく、成長時に運転資金が吸われるというこの会社固有の構造だ。楽観・やや楽観よりやや悲観・悲観の確率を厚くし、利益が現金として積み上がることを前提にしすぎない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 635 円15 億円(+ 還元の換算額還元の合計 5 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 260 円6 億円、今との差 −26.0%、 期待の年率 +6.2%(資本コスト 9.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,581 円63 億円 | 41 円1 億円 | +646.9% | +22.6% | 184 円4 億円 |
| やや楽観 | 13% | 1,486 円36 億円 | 20 円0 億円 | +329.3% | +15.9% | 196 円5 億円 |
| 中立 | 30% | 781 円19 億円 | 0 円0 億円 | +122.4% | +8.3% | 234 円6 億円 |
| やや悲観 | 29% | 80 円2 億円 | 0 円0 億円 | −77.3% | −13.8% | 23 円1 億円 |
| 悲観 | 21% | 21 円1 億円 | 0 円0 億円 | −94.1% | −24.7% | 4 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 635 円15 億円 | 5 円0 億円 | +82.6% | +6.2% | 641 円16 億円 |
今の株価時価総額 351 円9 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 法人・公園案件が全国へ広がる 利益 5 億円 · PER 12.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,581 円63 億円
法人の空間づくりが複数地域へ横展開する。りんくう公園の運営実績をきっかけに自治体やホテルから継続発注が生まれ、法人施工は22件から75件へ拡大する。DEPOSの輸入家具が工事と一緒に採用され、法人納品も年900件に届く。小規模な施工会社では対応しにくい一括受注が評価され、価格転嫁が進み、工事の利益率も改善する。住宅外構も施工地域の拡大で全国市場の減少を上回る案件を取る。
施工原価の見積り精度と完成工事未収入金の回収が改善し、受注増が再び借入増へ結びつく悪循環を断つ。DEPOSの一般消費者向け通販は独自商品を増やし、広告費の割合を下げながら注文数を伸ばす。ブレイントラストの建築相談はAIエージェントで手作業が減るが、現場との連動で残る契約は維持する。小規模買収の成果が利益と現金で確認できるようになり、後半には少額の配当も始まる。
- 空間創造事業:住宅外構:数量 500(住宅外構の施工案件(件/年、推計))× 価格 360(住宅外構一件の工事代金(万円/件))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。住宅着工減と直販シェアを件数に、施工費上昇を単価に反映。
- 空間創造事業:法人・公共:数量 75.0(法人・公共向け施工案件(件/年、会社開示))× 価格 3,600(法人案件一件の平均受注額(万円/件、推定))→ 売上 27 億円・営業利益 4 億円。法人施工件数を工事実行能力と公共施設案件の受注確率から推計。
- DEPOS事業:個人向けEC等:数量 40,000(個人の買い物注文(件/年、推計))× 価格 3.95(一注文当たり平均購入額(万円/件))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。消費者向け商品注文数と平均客単価を別々に推計。
- DEPOS事業:法人向け家具・卸:数量 900(法人家具の納品・受注案件(件/年、推計))× 価格 118(法人納品一件の平均売上(万円/件))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。法人の累積取引先を年間の実際の購入件数と混同しない。
- 不動産事業:仲介・建築相談:数量 4.0(不動産仲介・建築相談の成約換算案件(件/年、推計))× 価格 1,650(一件当たり手数料・相談料等(万円/件、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月型の建築相談はAIエージェント代替を件数・単価に適用。
倍率:現時点に事業外の余剰現金はないが、利益留保が順調に進めば10年目に事業に不要な残余資金約20.5億円が生じる。新規売上向けの必要自己資本を現在の資本密度で確保し、残余資金と税後受取利息約1.4%を控除すると事業のROE約62.7%。k=9.5%、堀が弱いため残る超過利益の割合は3分の1でRONIC約27.2%、g_long=名目2%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)の上限約12.35倍にほぼ一致する12.15倍とし、利益4.66億円に適用する。残余資金を株主に返す価値は別途0.5の戻り方で数え、過去や同業の株価倍率を参照しない。現行純有利子負債約8.18億円を足したEV÷営業利益は約9.0倍で20倍未満。
確率:法人施工22件を出発点に、全国の自治体・宿泊施設で再現可能な案件を作り、DEPOSも高付加価値の法人取引で利益率を改善するという同時成功が必要。現在の借入負担を考えれば少数の確率にとどめる。
やや楽観 13% 法人化と通販の改善が定着 利益 3 億円 · PER 12.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,486 円36 億円
住宅着工は国内全体で減るが、個人施工の紹介と直販で地域シェアを広げる。法人施工は55件へ増え、飲食・宿泊施設の外構整備と、限られた公園案件の成功事例が新規受注につながる。住宅も法人も施工単価は原材料や人件費の上昇をおおむね転嫁する。空間創造の継続受注が増えて、会社の仕事は住宅メーカーから受ける下請け工事にとどまらなくなる。
DEPOSは価格競争に苦しみながらも法人家具の納品が増え、物流をまとめることで赤字から十分な黒字へ転じる。ブレイントラストの建築相談はAIによる代替を受けて案件数が横ばいにとどまるが、外構工事との紹介効果が補う。運転資金の増加は続くものの、施工の回収条件が多少改善し、新規借入への依存は薄れていく。配当は慎重ながら少額にとどまる。
- 空間創造事業:住宅外構:数量 450(住宅外構の施工案件(件/年、推計))× 価格 348(住宅外構一件の工事代金(万円/件))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。住宅着工減と直販シェアを件数に、施工費上昇を単価に反映。
- 空間創造事業:法人・公共:数量 55.0(法人・公共向け施工案件(件/年、会社開示))× 価格 3,400(法人案件一件の平均受注額(万円/件、推定))→ 売上 19 億円・営業利益 2 億円。法人施工件数を工事実行能力と公共施設案件の受注確率から推計。
- DEPOS事業:個人向けEC等:数量 33,000(個人の買い物注文(件/年、推計))× 価格 3.68(一注文当たり平均購入額(万円/件))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。消費者向け商品注文数と平均客単価を別々に推計。
- DEPOS事業:法人向け家具・卸:数量 600(法人家具の納品・受注案件(件/年、推計))× 価格 114(法人納品一件の平均売上(万円/件))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。法人の累積取引先を年間の実際の購入件数と混同しない。
- 不動産事業:仲介・建築相談:数量 4.0(不動産仲介・建築相談の成約換算案件(件/年、推計))× 価格 1,650(一件当たり手数料・相談料等(万円/件、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月型の建築相談はAIエージェント代替を件数・単価に適用。
倍率:将来の利益留保から売上拡大に必要な自己資本を確保すると、約13.5億円の残余資金が生じる可能性がある。これと税後受取利息約1.4%を事業から控除して測るROEは約47.5%。資本コストk=9.5%、弱い堀の超過利益残存割合3分の1でRONIC約22.2%。長期の名目成長g=2%を用いた正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)は約12.13倍であり、ほぼ上限の12.0倍とする。事業純利益2.67億円に掛け、留保現金の価値は戻り方0.5で別途測る。足元の借入約8.18億円を加えたEV÷営業利益は約9.3倍で20倍未満。市場の過去の倍率は根拠にしていない。
確率:公表されている法人施工件数と取引先の増勢が続き、利益の半分以上が現金として残る必要がある。事業の方向性は筋が通るが、負債圧縮とDEPOSの黒字化を同時に達成する難しさを考える。
中立 30% 法人案件は増えるが、現金化と競争が制約 利益 1 億円 · PER 11.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 781 円19 億円
10年後の住宅外構の施工件数は385件程度となり、今の推計より少し減る。住宅着工数が減る一方、リフォームと直接受注で失う案件を部分的に補う。法人施工は22件から37件へ増えるが、公共案件には入札と長い入金待ちがあるため、伸び方は慎重に見る。工事単価は物価3%が10年続く前提におおむね沿って上がるが、人件費、外注費、広告費も上昇し、利益率は良い年度ほど高くならない。
DEPOSでは一般向け通販の注文数はほぼ横ばいにとどまり、法人向け納品の伸びで採算を底上げする。家具の差別化は一定程度進むが、Amazonや楽天の比較購買が値上げの限界を作る。新しい不動産事業は相談業務へのAIエージェント代替で件数が約3割減り、仲介や遊休不動産との連携が支える範囲も小さい。借入金利の上昇と施工の運転資金需要を利益に織り込むと、売上ほど純利益は伸びず、無配が続く。
- 空間創造事業:住宅外構:数量 385(住宅外構の施工案件(件/年、推計))× 価格 335(住宅外構一件の工事代金(万円/件))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。住宅着工減と直販シェアを件数に、施工費上昇を単価に反映。
- 空間創造事業:法人・公共:数量 37.0(法人・公共向け施工案件(件/年、会社開示))× 価格 3,350(法人案件一件の平均受注額(万円/件、推定))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。法人施工件数を工事実行能力と公共施設案件の受注確率から推計。
- DEPOS事業:個人向けEC等:数量 24,500(個人の買い物注文(件/年、推計))× 価格 3.48(一注文当たり平均購入額(万円/件))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。消費者向け商品注文数と平均客単価を別々に推計。
- DEPOS事業:法人向け家具・卸:数量 380(法人家具の納品・受注案件(件/年、推計))× 価格 116(法人納品一件の平均売上(万円/件))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。法人の累積取引先を年間の実際の購入件数と混同しない。
- 不動産事業:仲介・建築相談:数量 2.8(不動産仲介・建築相談の成約換算案件(件/年、推計))× 価格 1,642(一件当たり手数料・相談料等(万円/件、推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の人月・工数型:実質数量0.70倍、名目単価1.20倍、10年超gはこの部分0%。
倍率:10年間の利益留保から増収に必要な自己資本を確保した後の残余資金は約9.0億円と推計する。これと税後受取利息約1.4%を除いた事業ROEは約33.5%。資本コストk=9.5%に対し、弱い堀なので超過利益の3分の1だけが残り、RONICは約17.5%となる。名目g=2%から正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)は約11.81倍であり、ほぼ上限そのものの11.7倍を純利益1.38億円に適用する。残余現金が株主へ戻る価値は係数0.5で別途数える。現行の純借入約8.18億円を足したEV÷営業利益は約10.0倍。現在や過去のPERから倍率を逆算していない。
確率:FY2026の法人施工22件とDEPOS法人受注の伸びを出発点にするが、2026年8月時点の営業赤字・借入負担を踏まえて利益率の大幅な上振れを織り込まない。需要増と資本負担を両立させる中心値。
やや悲観 29% 価格転嫁が遅れて資本を食う 利益 0 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 80 円2 億円
法人施工は22件程度で足踏みし、資材高と外注費の上昇を請負価格に十分転嫁できない。住宅着工の減少と住宅購入者の予算制約が重なり、住宅外構は315件へ縮む。大型施設の受注でも入札が激しくなり、利益より売上の確保を優先する局面が増える。Park-PFIの維持管理費は簡単に削れず、管理費が売上の減速より遅れて下がる。
DEPOSの一般通販は大手販売店の価格攻勢を受け、荷造り・配送・広告の費用が利益を食う。法人への家具供給は続くが、一般向けの赤字を完全には埋められない。不動産の建築相談ではAIエージェントが調査や資料作成を置き換え、単価が伸びないまま件数も減る。金融機関との取引は続くものの、利益が利払いを賄えない年が増え、自己資本の減少と事業資産の評価減が避けられなくなる。
- 空間創造事業:住宅外構:数量 315(住宅外構の施工案件(件/年、推計))× 価格 303(住宅外構一件の工事代金(万円/件))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。住宅着工減と直販シェアを件数に、施工費上昇を単価に反映。
- 空間創造事業:法人・公共:数量 22.0(法人・公共向け施工案件(件/年、会社開示))× 価格 2,850(法人案件一件の平均受注額(万円/件、推定))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。法人施工件数を工事実行能力と公共施設案件の受注確率から推計。
- DEPOS事業:個人向けEC等:数量 17,500(個人の買い物注文(件/年、推計))× 価格 3.16(一注文当たり平均購入額(万円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。消費者向け商品注文数と平均客単価を別々に推計。
- DEPOS事業:法人向け家具・卸:数量 240(法人家具の納品・受注案件(件/年、推計))× 価格 100(法人納品一件の平均売上(万円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。法人の累積取引先を年間の実際の購入件数と混同しない。
- 不動産事業:仲介・建築相談:数量 2.0(不動産仲介・建築相談の成約換算案件(件/年、推計))× 価格 1,500(一件当たり手数料・相談料等(万円/件、推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。人月型の建築相談はAIエージェント代替を件数・単価に適用。
倍率:営業利益0.18億円から2026年8月期の約9.84億円の有利子借入に対する借り換え金利を払うと稼ぐ力が不足し、PERでは値を測れない。床は現在の自己資本2.30億円から回収不能資産を控除した1.90億円。PBR 0.85倍を今の自己資本2.30億円にだけ掛けて1.955億円とし、10年後の自己資本1.65億円には掛けない。過去の市場の谷のPBRは参照していない。
確率:下に寄せる理由:現預金に比べ借入が約6倍、前期と直近中間期の営業キャッシュフローがともにマイナスである。法人案件拡大の速度より回収悪化が速い可能性を重く見た。
悲観 21% 競争敗北と資金繰りが重なる 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 21 円1 億円
住宅外構の注文は220件程度まで減り、地域の住宅メーカーが提携先を切り替える。法人施工でも公共入札と商業施設の設備投資が細り、受注は10件に落ち込む。提案の一括対応は競争優位にならず、工事が延びるほど外注費と資金負担がかさむ。Park-PFIの施設運営には予定外の支出が発生し、施工も運営も不採算になる。住宅と法人の両方で損失が生まれ、これまでの事業の優良さを失う。
DEPOSは大手ECと格安輸入品に顧客を取られ、在庫処分と販促費の負担を吸収できない。ブレイントラストの相談・仲介はAIエージェントが定型作業を代替し、取引件数の減少が深刻になる。累積損失で自己資本が痩せ、銀行との条件変更や事業縮小、不採算拠点の閉鎖が必要となる。現時点の帳簿資産も工事債権や在庫を額面で売れる保証はなく、回収額から実体のない部分と処分損を落とした価値しか少数株主には残らない。
- 空間創造事業:住宅外構:数量 220(住宅外構の施工案件(件/年、推計))× 価格 285(住宅外構一件の工事代金(万円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。住宅着工減と直販シェアを件数に、施工費上昇を単価に反映。
- 空間創造事業:法人・公共:数量 10.0(法人・公共向け施工案件(件/年、会社開示))× 価格 2,350(法人案件一件の平均受注額(万円/件、推定))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。法人施工件数を工事実行能力と公共施設案件の受注確率から推計。
- DEPOS事業:個人向けEC等:数量 9,000(個人の買い物注文(件/年、推計))× 価格 2.92(一注文当たり平均購入額(万円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。消費者向け商品注文数と平均客単価を別々に推計。
- DEPOS事業:法人向け家具・卸:数量 100(法人家具の納品・受注案件(件/年、推計))× 価格 78(法人納品一件の平均売上(万円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。法人の累積取引先を年間の実際の購入件数と混同しない。
- 不動産事業:仲介・建築相談:数量 1.5(不動産仲介・建築相談の成約換算案件(件/年、推計))× 価格 1,050(一件当たり手数料・相談料等(万円/件、推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。人月型の建築相談はAIエージェント代替を件数・単価に適用。
倍率:法人案件の喪失、在庫処分、工事債権の回収不能が重なり、営業損失は約1.29億円となる。借入の利払いを加えると純損失が続くため、永続的な稼ぐ力にPERは使えない。今の自己資本約2.30億円を起点に、回収不能の契約資産、在庫処分損、ソフトウェアと繰延税金資産を差し引いた清算近似の床は0.50億円。PBR 0.22倍は将来の積み上げ純資産でなく現在の2.30億円に掛け、時価総額0.506億円とする。過去の市場の最安PBRを根拠にしていない。
確率:下に寄せる理由:施工の大口未収金と高い純借入が同時に存在し、施工事故や返済条件の悪化が自己資本を大きく失わせうる。悲観では構造的な受注損失と資産売却・信用収縮が重なる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
空間創造事業:住宅外構
ハウスメーカー提携・個人直接受注の門塀、庭、駐車場、植栽、ウッドデッキなどの設計施工。
| 数量住宅外構の施工案件(件/年、推計) | 価格住宅外構一件の工事代金(万円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 410 | 251 | 10 | 1 |
| 10 年後 中立 | 385 | 335 | 13 | 1 |
取り方:会社の空間創造売上15.80679億円から、独立KPIの法人施工22件×推定平均2500万円=5.50億円を控除し、約10.31億円の戸建施工を推定した。民間成約調査で200〜249万円帯が最多、別調査でおおむね140〜340万円の施工事例を確認。平均251.4万円なら年410件相当となる。住宅案件数と法人別売上・利益の実測値は非開示で、営業利益0.82454億円も区分の推定配賦。実際の施工単価は個々の工種と地域で変わる。
空間創造事業:法人・公共
宿泊・商業施設や公園等の屋外空間設計施工、Park-PFIを含む法人向け案件。
| 数量法人・公共向け施工案件(件/年、会社開示) | 価格法人案件一件の平均受注額(万円/件、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 22.0 | 2,500 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 37.0 | 3,350 | 12 | 1 |
取り方:2026年5月の会社成長資料は法人施工件数を2025年2月期11件、2026年2月期22件と開示する。法人向け施工売上は非開示なので、大型施設・公園等の案件ミックスと空間創造全体売上の前年差約4.50億円を参照し、一件平均2500万円を仮置きした。22件×2500万円=5.50億円。全社セグメント利益1.44982億円との差からこの区分の営業利益を0.62528億円と推計。シェアは公表なし。
DEPOS事業:個人向けEC等
ガーデン家具・雑貨の消費者向けネット販売と小口の実店舗売上。
| 数量個人の買い物注文(件/年、推計) | 価格一注文当たり平均購入額(万円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 24,000 | 2.60 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 24,500 | 3.48 | 9 | 0 |
取り方:DEPOS総売上7.96793億円から会社開示の法人受注日ベース売上約1.73億円を差し引く暫定近似で約6.24億円を消費者向けとする。DEPOSの公式通販のテーブル・椅子セット実売表示はおおむね1.3万〜7万円で、複数点購入もあるため平均2.60万円を採用。年24000注文相当と逆算するが、実際の注文件数・法人との会計集計時点差は非公開。DEPOS利益全体の損失0.299億円を、法人向けプラス0.071億円、個人向けマイナス0.370億円に仮配賦。
DEPOS事業:法人向け家具・卸
ホテル・飲食・商業施設向けの屋外家具を仕入れ、案件単位で納品する。
| 数量法人家具の納品・受注案件(件/年、推計) | 価格法人納品一件の平均売上(万円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 200 | 87 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 380 | 116 | 4 | 0 |
取り方:会社成長資料の2026年2月期法人受注売上173百万円(受注日ベース)が金額の独立根拠。法人取引先の累計685件は過去からの取引先数で、年685件売った意味ではない。仮に累計先の約3割相当が年1件取引する200案件とみれば単価約86.5万円になる。1社が複数件買う場合や大口注文は未確認で、実績の件数・平均注文額は開示なし。利益0.071億円はDEPOS全体の損益との整合から推定。
不動産事業:仲介・建築相談
2026年3月に取得したブレイントラストの建築コンサルティング、不動産仲介・利活用支援。
| 数量不動産仲介・建築相談の成約換算案件(件/年、推計) | 価格一件当たり手数料・相談料等(万円/件、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2027/02 | 4.0 | 1,368 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.8 | 1,642 | 0 | 0 |
取り方:2027年2月期中間連結決算の不動産事業売上0.27367億円、営業利益0.00602億円を2倍した暫定年率換算であり、2026年2月期の単独売上には含めない。仮に半年2件、通年4件相当なら一件1368万円となる。実際には仲介とコンサル業務の契約数・単価が非開示であり、推計の不確実性は極めて高い。人の調査・資料作成で売る建築相談はAIエージェント代替の「人月・工数」型、現物の仲介部分もあるが内訳非公開のため数量の中心値を10年で0.7倍と厳しくみる。
リスクと懸念
工事未収金・契約資産による資金流出
2026年2月期には売掛・契約資産の増加だけで約4.62億円の営業資金が拘束された。次の2026年8月中間期も営業キャッシュフローは約1.86億円の流出であり、売上を認識しても現金が回収されるとは限らない。取引先の検収の遅れや公共工事の精算遅延が続くと、利益を残しても追加の銀行借入が必要になる。
借り換え金利と薄い自己資本
2026年8月時点の短期・長期借入金は合計約9.84億円で、自己資本約2.15億円を大幅に上回る。短期金利2%、国債3%へ向かう前提では、借り換えのたびに現行の低金利から利払いが増える。利益を生み出す前に利息や設備資金の返済が優先され、資金繰りに余裕がなくなれば少数株主には希薄化のリスクが残る。
法人施工の見積りと品質
大型の商業施設、公園、宿泊施設の施工は、工期の遅れ、資材の再手配、天候、外注職人の不足などで採算が変わる。一件の受注単価が大きいほど、わずかな積算違いでも営業利益に与える影響は重くなる。2026年8月の空間創造事業は売上があっても赤字だったため、法人受注件数の増加だけを利益改善の根拠にはできない。
DEPOSの価格競争と広告・物流費
消費者向けの屋外家具はネットで比較されやすく、ニトリ、IKEA、タカショーの商品や市場の輸入商品と価格競争になる。商品価格を物価に合わせて引き上げても配送費、在庫費用、広告費がそれを上回れば粗利益は営業利益にならない。法人向け販売の伸びによるDEPOS全体の黒字化が持続するかを、受注売上だけでなく営業キャッシュフローでも確かめる必要がある。
AIエージェント代替と情報の陳腐化
施工現場での外構工事や家具の配送自体はAIが代行できない。しかし買収したブレイントラストの建築コンサルティングには、資料調査、企画書作成、物件情報の比較など人の工数で対価を得る仕事が含まれる。ここはAIエージェント代替により10年の実質案件量を縮め、長期の成長率も0%として評価した。ECの検索・比較窓口がAIに移ることも集客コストを上げる可能性がある。
Park-PFIと買収事業の追加負担
りんくう公園は整備工事だけでなく施設開業後の運営まで関わるため、来園者数やテナント集客、設備の更新費用が当初計画を下回れば追加資金が要る。ブレイントラストの不動産仲介や建築相談も、会社が長年営んだ住宅外構とは顧客・規制・収益サイクルが異なる。買収額が小さくても経営資源が分散し、赤字事業を長く抱える危険がある。
支配株主と株主還元の実現性
支配株主二名の合算議決権は82.02%であり、少数株主が余剰資金の配当や自社株買いを求めても実現させる力は小さい。これまで配当はゼロで、具体的な総還元性向やDOEの数値目標もない。利益を事業に再投資しても資本コストを下回るなら、帳簿に利益剰余金が積み上がることはそのまま株主価値の増加を意味しない。
今後の分かれ目
- 空間創造の法人施工件数が年間40件を超え、工事の営業利益率が2期続けて10%以上になったら
- 中立の法人件数と同事業の利益率を引き上げる。受注だけでなく完成工事未収入金の回収が良くなったことを確認できるなら、資本コストを超える増分ROICの証拠になる。
- DEPOSの法人向け受注売上が継続して増え、通期の営業利益が黒字を維持したら
- 通販の赤字を法人販売が相殺できる見込みが強まるため、DEPOSの中立営業利益率と楽観・やや楽観の確率を上げる。ただし法人の累計取引先数と年間購入件数は別指標で追う。
- 営業キャッシュフローが2年連続で黒字となり、純有利子負債が営業利益の4倍未満に減ったら
- 資金が回る事業へ変わったと認め、負債の資本コスト加算と悲観側の確率を再評価する。帳簿上の利益増加より先に確認すべき最重要条件である。
- 2027年2月期通期の会社予想である営業利益0.79億円が未達となり、借入がなお増えたら
- 工事の利益率と金融費用を下方修正し、やや悲観・悲観の確率を上げる。事業拡大に先立つ一時費用だけでは説明できない可能性が強くなる。
- りんくう公園が計画どおり開業し、複数年の運営収支と追加の公共案件受注が開示されたら
- Park-PFIの一時的な整備工事と継続運営の価値を分けて評価する。維持更新費を引いた現金が安定してプラスなら法人向け施工の堀を強めてよい。
- AIエージェントによって不動産の調査・建築相談の外注単価が下がり、継続契約を失い始めたら
- 不動産事業の人月型の数量と名目単価をさらに下げる。ただし施工や家具の物理的需要まで一律にAI代替で削減しない。
- 無配が続き、積み上がった利益が採算の悪い買収や新規事業へ繰り返し投入されたら
- 余った現金が少数株主へ戻る割合を慎重に維持し、資本配分の下振れを悲観側に加える。仮に配当方針を明示し実行すれば戻り方の係数を再評価する。
見ておくもの
- 四半期の空間創造事業の売上、法人施工実績件数、施工利益率と受注残の変化
- 完成工事未収入金・契約資産の回収日数と営業キャッシュフロー
- 短期借入金・長期借入金・定期預金を含む現預金、2026年9月公表の追加借入実行状況
- DEPOS法人受注売上、累積法人取引先数と実際の通期セグメント損益
- 2027年2月期連結予想の達成状況と追加の配当・還元方針
- りんくう公園Park-PFIの開業、運営収支、改修投資と自治体追加受注
- 買収した不動産事業の売上内訳、稼働工数、AIエージェント代替による価格低下
倍率と資本コストの決め方
2026年10月23日の株価や同業のPERから10年後の倍率を逆算していない。物価3%を価格だけに含め、住宅工事と法人案件、ECと法人卸を実際の案件・注文単位で分けた。中立の物理的工事の数量増と、AIエージェント代替が及ぶ建築コンサルの数量減は別に扱った。PERは資本コスト9.5%、長期名目成長2%、弱い堀の残存割合3分の1から導いた上限を使用。悲観のPBRは将来の積み上がった自己資本でなく2026年2月期の約2.3億円を分母とし、売却困難資産の調整額を明示した。現預金と定期預金の二重計上はせず、2027年4月以降開始年度のリース基準による表示変化でも経済的な家賃負担を消さない。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の基本7.5%に、景気循環、価格交渉力の弱さ、過大な純負債を足した9.5%。個別買収の失敗率は確率側で扱う。