結論
工藤建設は横浜の建設会社だ。首都圏でマンションを建て、介護施設を営み、建物の管理も請け負う。筆者の結論はやや割高である。2026/06期の利益は建設の好調で山の上にあり、10年をならした稼ぐ力は資本コストに届かないからだ。
2026/06期は売上246億円、営業利益9.4億円と、計画を大きく上回った。値上げが通り、建設の利益率は7%台に乗った。ただ会社自身、今期の営業利益は6億円に下がると見ている。受注高は前期並みで、手持ちの工事も横ばいだ。
事業は3本の柱でできている。マンションの建築が売上の6割、介護が4分の1、建物の管理と賃貸が残りだ。介護と管理は景気に左右されにくく、建設の波を和らげる。これは強みである。
一方で借金は増えた。工事代金の立て替えで短期の借入が膨らみ、純負債は50億円を超える。自己資本比率は27%だ。10年で利益が名目で伸びても、ROEは5%前後にとどまると筆者は見る。今の値段は、その稼ぎに対してやや高い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、工藤建設は「組み合わせの良い、普通の会社」だ。
建てた建物を管理し、介護施設として長く使う。この組み合わせは、建設の波を和らげる良い仕組みである。介護と管理の利益は毎年続き、建設が落ちた年にも会社を支える。
ただ、どの事業にも深い堀はない。マンションの建築は値段の交渉で決まり、介護の値段は国が決める。今期の建設の高い利益率は、人手不足で値上げが通った山の数字だ。10年をならせば、ROEは資本コストに届かない。ためた利益は、それ以上の価値を生みにくい。
経営は配当の下限を決め、株主を意識している。それでも借金は増え、自己資本は薄い。
今の値段は、好調な今期の利益で見ると安く見える。しかし、ならした稼ぎで見ると少し高い。筆者は、安全域があるとは言えないと見る。
価値が上がる道は、値上げの定着を数年続けて示し、借金を減らして資本を軽くすることだ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は建設だ。2026/06期は売上150億円、利益11億円で、全社の利益の大半を生んだ。首都圏で分譲マンションや社員寮、介護施設を建てる。客はマンションのデベロッパーで、最大の客は関電不動産開発と日鉄興和不動産の組み合わせで完成工事の2割近くを占める。東急やJR西日本プロパティーズなどの工事も抱える。
2つ目の柱は介護で、売上63億円、利益2.6億円だ。子会社のフローレンスケアが、川崎、鎌倉、聖蹟桜ヶ丘などで有料老人ホームを営む。売上の4割は介護保険から入る。2019年に他社の施設を6つ譲り受け、規模を広げた。2027年1月には介護を子会社に分け、経営を切り離す。
3つ目は不動産で、売上34億円、利益3億円だ。中心はマンションやビルの管理の請負で、自社の賃貸物件も持つ。
建設で建てた建物を管理と介護で長く使う、という組み合わせが会社の形だ。2024年に日建企画、2025年に松下工商を子会社にし、設計と設備の機能も足した。社員は800人ほどで、親会社の株式会社トップが45%を持つ。この3つが互いに仕事を回し合う点に、会社の特徴がある。
優良さと弱いところ
優良さは中くらいだ。3つの事業の組み合わせは良いが、どれも他社がまねできない強みとまでは言えない。
建設は、首都圏のマンションを中心に安定した客を持つ。ただ、マンションの建築は準大手や中堅のゼネコンが入り乱れる市場で、値段はデベロッパーとの交渉で決まる。2026/06期の利益率7%台は、資材高の値上げが通った山の数字だ。過去12年の全社の営業利益率は最高でも5.8%である。
介護と建物の管理は、景気に強い。入居者と管理の契約は毎年続き、建設の受注が落ちた年も利益を支える。ただ介護は報酬を国が決め、人手不足で賃金が上がる。利益率は3〜4%にとどまる。
ROEは10年の中央値で8.9%と、資本コストに少し届かない。最大の客の比率が2割近いのも、受注の振れを大きくする。借金は増え、自己資本比率は27%と薄い。
配当は純資産の2.5%を下限とする方針で、株主への姿勢は悪くない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
首都圏のマンション建築は、高い水準の需要が続いている。共働きの世帯が都心に近い住まいを求め、新築マンションの値段は上がり続けた。ただ、着工の戸数は横ばいから減る方向にある。建築費と土地の値段が上がり、買える人が限られてきたからだ。
ゼネコンは今、受注を選べる側にいる。2024年から残業の上限が厳しくなり、職人の数も減った。人手が足りないので、各社は採算の良い工事だけを取り、値上げも通している。上場ゼネコンの利益率は集計以来の高さにある。
だが、これは循環の山でもある。マンションの販売が鈍れば、デベロッパーは着工を絞る。過去の谷では、中堅のゼネコンの利益率は1%台に落ち、赤字の年もあった。
介護は数量が伸びる市場だ。75歳以上の人口は2030年代も増え、施設の需要は続く。ただ介護報酬の改定は物価に追いつきにくく、介護職の賃金は上がる。値段は国に決められ、利益率は薄い。
建物の管理は、建物が古くなるほど修繕と管理の仕事が増える。人手の確保が課題だが、需要は底堅い。筆者は、10年で建設の数量はやや減り、介護は1割ほど伸びると見る。
資本政策と M&A
配当は、純資産の2.5%と純利益の3割の大きい方を出す方針だ。2026/06期は総額1.6億円ほどだった。利益が落ちても純資産の2.5%は出るので、配当の下限ははっきりしている。自社株買いの目立った実績はない。株主優待はない。
借金は有利子負債が95億円で、1年で40億円増えた。工事代金の立て替えで短期の借入が膨らんだのが主な理由だ。現金は38億円ある。工事が完成して代金が入れば借入は減るが、金利が上がる時代には利払いが重くなる。
買収は小さく続けている。2024年に日建企画、2025年に松下工商を子会社にした。介護の分社は、将来の提携や売却の選択肢を広げる。親会社の株式会社トップが45%を持ち、経営の方向を握る。筆者は、余った現金が株主に戻る割合を4分の3と見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
工藤建設は計画を大きく上回った。2026/06期の営業利益は9.4億円で、中期計画の目標6.3億円を5割近く上回った。値上げが通り、建設の利益率は7%台に乗った。人手不足でゼネコンが受注を選べる時代は、10年は続く。職人の数は戻らないからだ。
3つの事業の組み合わせも強い。介護は75歳以上の人口の増加で施設の需要が伸び続ける。建物の管理は、首都圏の古いマンションが増えるほど仕事が増える。建設で建て、管理と介護で長く稼ぐ形は、他の中堅のゼネコンにはない。
配当は純資産の2.5%を下限とし、利益が落ちても配当は守られる。小さな買収で設計と設備の機能も足した。
今の値段は、2026/06期の純利益の7倍ほどだ。自己資本も時価総額を大きく上回る。建設の利益率が6%台を保てば、純利益は10億円に近づき、今の値段は安く見える。
分社した介護の子会社は、将来の提携や売却で価値を表に出す道にもなる。筆者もこの組み合わせの良さは認める。
慎重な見方
今期の利益は山の数字だ。会社自身、来期の営業利益は6億円に下がると見ている。過去12年の全社の営業利益率は最高でも5.8%で、今の建設の7%台は続かない。マンションの販売が鈍れば、デベロッパーは着工を絞る。
客の偏りも大きい。最大の客が完成工事の2割近くを占め、上位の数社が抜ければ受注は大きく減る。
借金も増えた。有利子負債は1年で40億円増え、95億円になった。自己資本比率は27%と薄い。金利が上がれば、利払いが利益を削る。
介護は数量が伸びても儲からない。介護報酬は物価に追いつかず、介護職の賃金は上がる。2026/06期も介護の利益は2割近く減った。
親会社が45%を持ち、少数株主の声は届きにくい。ならした稼ぎで見れば、ROEは資本コストに届かない。今期の利益で安く見えるのは、山の上で値段を測っているからだ。
介護を分けても、薄利の事業であることは変わらない。そして客の高齢化と人口の減少は、地方より遅くとも首都圏にも及ぶ。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がやや強い。値上げの定着と事業の組み合わせは本物だが、今期の利益は建設の山の上にあり、会社自身が来期の減益を見込んでいる。借金の増加と客の偏りも重い。確率は中立に厚く置き、やや悲観をやや楽観より厚くした。介護と管理が下支えするので、悲観は12%にとどめた。受注高が2年続けて伸びれば楽観側に、減れば悲観側に寄せる。来期の減益の幅が、最初の確かめどころになる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 3,976 円50 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,249 円16 億円)。 今の値に割り戻すと 2,589 円32 億円、今との差 −2.8%、 期待の年率 +7.0%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 10,134 円126 億円 | 1,878 円23 億円 | +350.9% | +16.3% | 961 円12 億円 |
| やや楽観 | 18% | 6,700 円84 億円 | 1,525 円19 億円 | +208.7% | +11.9% | 1,480 円18 億円 |
| 中立 | 37% | 4,437 円55 億円 | 1,364 円17 億円 | +117.8% | +8.1% | 2,146 円27 億円 |
| やや悲観 | 25% | 963 円12 億円 | 1,123 円14 億円 | −21.7% | −2.4% | 522 円7 億円 |
| 悲観 | 12% | 642 円8 億円 | 321 円4 億円 | −63.9% | −9.7% | 116 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,976 円50 億円 | 1,249 円16 億円 | +96.1% | +7.0% | 5,225 円65 億円 |
今の株価時価総額 2,664 円33 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 値上げが定着し、3 本の柱がそろって伸びる 利益 10 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 10,134 円126 億円
人手不足でゼネコンが受注を選ぶ時代が10年続く。首都圏のマンションの建築は値上げが定着し、建設の利益率は7.5%を保つ。小さな買収で設計と設備の機能が育ち、完成工事は1割強増える。介護は75歳以上の人口の増加で施設を増やし、分社した子会社が効率を上げて利益率5%に乗る。建物の管理も古いマンションの増加で伸びる。純利益は10億円を超え、ROEは資本コストに並ぶ。借金は工事代金の回収とともに減り、配当は利益の3割で増えていく。介護の子会社は分社の効果で採用と施設の運営を磨き、入居率も高く保つ。少数株主にも稼ぎが届き、価値は今の値段の3倍近くに育つ。
- 建設:数量 680(完成工事量(マンションの戸数に換算、戸))× 価格 0.35(1 戸あたりの完成工事高(億円))→ 売上 235 億円・営業利益 18 億円。680 戸(1.13 倍)× 0.345 億(1.38 倍)、利益率 7.5%
- 不動産(建物管理・賃貸):数量 480(管理・賃貸の棟数(棟))× 価格 0.11(1 棟あたりの売上(億円))→ 売上 54 億円・営業利益 5 億円。480 棟(1.2 倍)× 0.112 億(1.34 倍)、利益率 9%
- 介護:数量 1,500(定員(床))× 価格 0.07(1 床あたりの年の売上(億円))→ 売上 105 億円・営業利益 5 億円。1,500 床(1.25 倍)× 0.0698 億(1.34 倍)、利益率 5%
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.1% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.14 倍、時価総額 126 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:建設の利益率 7.5% が 10 年続き、介護も利益率 5% に乗る筋書き。全社の営業利益率は 5.5% と過去 12 年の最高 5.8% の手前だが、今期の建設の山がならされない前提なので 1 割に届かない 8% にした。
やや楽観 18% 建設の利益率 6.8%、介護も持ち直す 利益 7 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 6,700 円84 億円
首都圏のマンションの着工は少し減るが、工藤建設は選んで受注し、完成工事は5%増える。値上げは半ば定着し、建設の利益率は6.8%で止まる。介護は施設を少し増やし、人手の確保に苦しみながらも利益率は4%台に戻る。建物の管理は着実に伸びる。全社の営業利益は13億円になる。借入の利払いは増えるが、純利益は7億円ほどだ。ROEは7%前後で、資本コストに少し届かない。配当は純利益の3割で増える。古いマンションの修繕と管理の需要が、建設の受注の谷を埋める役も果たす。借金は工事代金の回収とともに少しずつ減る。価値は今の値段を2割ほど上回る。
- 建設:数量 630(完成工事量(マンションの戸数に換算、戸))× 価格 0.34(1 戸あたりの完成工事高(億円))→ 売上 211 億円・営業利益 14 億円。630 戸(1.05 倍)× 0.335 億(1.34 倍)、利益率 6.8%
- 不動産(建物管理・賃貸):数量 450(管理・賃貸の棟数(棟))× 価格 0.11(1 棟あたりの売上(億円))→ 売上 51 億円・営業利益 4 億円。450 棟(1.13 倍)× 0.112 億、利益率 8.5%
- 介護:数量 1,400(定員(床))× 価格 0.07(1 床あたりの年の売上(億円))→ 売上 95 億円・営業利益 4 億円。1,400 床(1.17 倍)× 0.0677 億(1.30 倍)、利益率 4.2%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 84 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:値上げが半ば定着し、建設の利益率が今期の 7.4% から少し下がって止まる筋書き。2016/06 期と 2019/06 期に全社で 5.6〜5.8% を出した実績があり、それに近い所なので 2 割弱にした。
中立 37% 建設は山を下り、介護と管理が支える 利益 5 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 4,437 円55 億円
首都圏のマンションの着工は、建築費と土地の値上がりで少しずつ減る。工藤建設の完成工事は1割弱減るが、値段は物価並みに上がる。人手不足で値上げは通りやすく、建設の利益率は今期の山から下りて6%ほどに落ち着く。介護は施設を少し増やし、報酬の改定が物価に追いつかない中で利益率は3.5%だ。建物の管理は古い建物の増加で伸びる。本社の費用は物価で増える。営業利益は9億円ほどで、借入の利払いの増加が純利益を削る。ROEは5%前後で、資本コストに届かない。配当は純資産の2.5%と利益の3割の大きい方で続く。会社は堅く続く。
- 建設:数量 570(完成工事量(マンションの戸数に換算、戸))× 価格 0.34(1 戸あたりの完成工事高(億円))→ 売上 191 億円・営業利益 11 億円。570 戸(0.95 倍)× 0.335 億(1.34 倍)、利益率 6%
- 不動産(建物管理・賃貸):数量 420(管理・賃貸の棟数(棟))× 価格 0.11(1 棟あたりの売上(億円))→ 売上 47 億円・営業利益 4 億円。420 棟(1.05 倍)× 0.112 億(1.34 倍)、利益率 8%
- 介護:数量 1,320(定員(床))× 価格 0.07(1 床あたりの年の売上(億円))→ 売上 89 億円・営業利益 3 億円。1,320 床(1.1 倍)× 0.0677 億(1.30 倍、報酬は物価に少し負ける)、利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.1% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 55 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:建設の利益率が今期の山から 6% に下り、介護と管理が下支えする筋書き。会社の来期の計画(営業利益 6 億)と、値上げの定着の両方を見た落としどころで、いちばん起きやすいとみた。
やや悲観 25% 着工が減り、建設が値段の勝負に戻る 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 963 円12 億円
2030年ごろ、首都圏の新築マンションの値段が買い手の手の届かない所まで上がり、販売が鈍る。デベロッパーは着工を絞り、工藤建設の完成工事は2割近く減る。仕事の取り合いで値上げは止まり、建設の利益率は3.5%に下がる。最大の客の発注が減ると、受注の穴は大きい。介護は人件費の上昇に報酬が追いつかず、利益はほぼ出ない。全社の営業利益は1億円ほどで、利払いを引くと純利益はほぼゼロだ。配当は純資産の2.5%の下限で続くが、利益を上回る分は手元の現金を削って払う。借入の利払いも重く、資本は細っていく。価値は売れる資産の一部にとどまる。
- 建設:数量 500(完成工事量(マンションの戸数に換算、戸))× 価格 0.32(1 戸あたりの完成工事高(億円))→ 売上 158 億円・営業利益 6 億円。500 戸(0.83 倍)× 0.315 億(1.26 倍)、利益率 3.5%
- 不動産(建物管理・賃貸):数量 400(管理・賃貸の棟数(棟))× 価格 0.11(1 棟あたりの売上(億円))→ 売上 42 億円・営業利益 3 億円。400 棟 × 0.105 億(1.25 倍)、利益率 7%
- 介護:数量 1,200(定員(床))× 価格 0.06(1 床あたりの年の売上(億円))→ 売上 75 億円・営業利益 1 億円。1,200 床 × 0.0625 億(1.2 倍)、利益率 1.5%
倍率:純利益がほぼゼロなので PBR で置く。値は売れる資産の残り(floor_assets_why)で、今の自己資本 59.2 億に 0.203 倍の 12 億。中立の PBR 0.45 倍より低い。EV(時価総額+純負債 54 億)÷営業利益は約 61 倍と高く出るが、純負債は工事代金の立替で売掛金と見合い、営業利益がほぼゼロの年の値なので倍率の根拠にはしない。
確率:マンションの販売が鈍り、建設が入札の値段の勝負に戻る筋書き。2022/06 期と 2023/06 期に全社の営業利益率が 1% 台に落ちた実績があり、今期が山なので 4 分の 1 にした。
悲観 12% 受注が細り赤字、借金が重荷に 利益 −8 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 642 円8 億円
首都圏の新築マンションの市場が大きく縮み、大口のデベロッパーが発注先を大手に絞る。工藤建設の完成工事は3割減り、残った仕事も赤字の値段で取らざるを得ない。介護は人手が集まらず、施設の一部を閉じる。建物の管理だけが小さな黒字を保つ。全社は毎年7億円ほどの営業赤字を出し、借入の利払いも重い。配当は下限の方針を外して大きく減らす。賃貸の物件と持ち合いの株を売って借金を返すが、少数株主に残るのはわずかだ。事業の組み合わせの良さも、市場の縮みの前では守りにならない。介護の分社も、売り先の無い資産を増やすだけに終わる。
- 建設:数量 420(完成工事量(マンションの戸数に換算、戸))× 価格 0.30(1 戸あたりの完成工事高(億円))→ 売上 126 億円・営業利益 −1 億円。420 戸(0.7 倍)× 0.30 億(1.2 倍)、利益率 −1%
- 不動産(建物管理・賃貸):数量 380(管理・賃貸の棟数(棟))× 価格 0.10(1 棟あたりの売上(億円))→ 売上 38 億円・営業利益 2 億円。380 棟 × 0.10 億、利益率 6%
- 介護:数量 1,050(定員(床))× 価格 0.06(1 床あたりの年の売上(億円))→ 売上 63 億円・営業利益 −1 億円。1,050 床(0.88 倍)× 0.06 億、利益率 −1%
倍率:赤字なので PBR で置く。値は売れる資産の残り(floor_assets_why)で、今の自己資本 59.2 億に 0.135 倍。
確率:首都圏の着工の落ち込みと大口の客の離反が重なり、赤字が続く構造的な負けの筋書き。介護と管理が下支えするので 12% にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建設
首都圏の分譲マンション・社員寮・介護施設などの建築。
| 数量完成工事量(マンションの戸数に換算、戸) | 価格1 戸あたりの完成工事高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 600 | 0.25 | 150 | 11 |
| 10 年後 中立 | 570 | 0.34 | 191 | 11 |
取り方:戸数の開示は無い。首都圏のマンション 1 戸の建築費を 2,500 万円と見て、完成工事高 150.08 億から 600 戸と推定。利益は有報のセグメント利益 11.09 億。
不動産(建物管理・賃貸)
マンション・ビルの管理の請負と自社の賃貸物件。
| 数量管理・賃貸の棟数(棟) | 価格1 棟あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 400 | 0.08 | 34 | 3 |
| 10 年後 中立 | 420 | 0.11 | 47 | 4 |
取り方:棟数の開示は無い。1 棟の管理・賃料を年 840 万円ほどと見て、売上 33.53 億から 400 棟と推定。利益は有報のセグメント利益 3.05 億。
介護
フローレンスケアの有料老人ホームなど。売上の 4 割は介護保険。
| 数量定員(床) | 価格1 床あたりの年の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,200 | 0.05 | 63 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,320 | 0.07 | 89 | 3 |
取り方:定員の開示は無い。有料老人ホーム 1 床の年の売上(家賃・食費・介護報酬)を 520 万円ほどと見て、売上 62.57 億から 1,200 床と推定。利益は有報のセグメント利益 2.55 億。
リスクと懸念
建設の山
2026/06期の建設の利益率7%台は、人手不足で値上げが通った山の数字だ。マンションの販売が鈍り着工が減れば、受注の取り合いで利益率は大きく下がる。会社自身、来期の減益を見込む。
客の偏り
最大の客が完成工事の2割近くを占める。上位の数社の発注が減れば、受注の穴はすぐに大きくなる。
借金と金利
有利子負債は1年で40億円増えて95億円になった。工事代金の立替が主な理由だが、金利が上がれば利払いが利益を削る。自己資本比率は27%と薄い。
介護の報酬と人手
介護の値段は国が決め、改定は物価に追いつきにくい。介護職の賃金は上がり、人が集まらなければ施設を満たせない。2026/06期も介護の利益は2割近く減った。
親会社の支配
親会社の株式会社トップが45%を持つ。経営の方向や資本の使い方は親会社の意向で決まり、少数株主の声は届きにくい。
今後の分かれ目
- 2027/06期の営業利益が計画の6億円を大きく上回る
- 値上げの定着が確かめられる。やや楽観の確率を上げる。
- 受注高が2年続けて減る
- 建設の山を越えた兆し。やや悲観の確率を上げる。
- 短期の借入が工事代金の回収で減らない
- 立替が膨らみ続ける形。借金の重さを見直す。
- 分社した介護の子会社を売却・提携する
- 事業の組み合わせが変わる。前提を見直す。
- 親会社が残りの株の買い取りを提案する
- 提案の値段が価値の目安になる。前提を見直す。
見ておくもの
- 建設の受注高と利益率
- 最大の客の比率
- 有利子負債と完成工事未収入金
- 介護の利益率と入居率
- 配当の下限の方針の維持
倍率と資本コストの決め方
今の株価は使っていない。10 年後の ROE は中立で約 5% と k 8.5% を下回り、PER の上限は 1÷k=11.1 倍。建設の波と介護の薄利を合わせ、中立は上限の 8 割の 8.9 倍とした。今の PER 7 倍・PBR 0.57 倍は根拠にしていない。悲観は売れる資産の残りで置いた。介護のリースの施設は 2028/06 期から新リース会計で負債に載るが、10 年の数字は今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→12.14 倍・やや楽観 PER 9.4→11.76 倍・中立 PER 8.9→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。