結論
三晃金属工業は、工場・倉庫などの金属屋根と外壁の設計・製造・施工を一貫して手がける専業メーカーだ。親会社は日本製鉄で、議決権の約4割を持つ。2026年3月期は売上471億円、営業利益38億円。繰越受注は365億円と過去最高に積み上がった。
筆者の結論は「やや割安」に近い。10年後の中立でも利益は今の2割増しにとどまり、稼ぐ力そのものは目立たない。それでも時価総額244億円に対し、現預金と定期預金の合計が約142億円ある。借金はなく、配当は純利益の半分を払う方針に変えた。
追い風は、受注と配当の方針だ。繰越受注が売上の8割近くあり、数年先の売上はほぼ見える。配当性向の目安は2024年度に30%から50%へ上がった。
弱みは、利益率の低下と市場の縮みだ。2026年3月期は売上総利益率が1.2ポイント下がり、営業利益は8%減った。非住宅の鉄骨造の新築着工は減り続け、工場・倉庫は2025年度に12%減った。親会社の影響が強く、現預金の使い道は少数株主が決めにくい。
バリュー投資の観点から
事業の本質は「鋼板の屋根を設計して作り、現場で張る」加工・施工業だ。10年後も建物には屋根が必要で、事業は消えない。ただし、設計と施工の両方に人手がかかり、利益率は伸びにくい。
オーナー利益で見ると良い面がある。設備投資は年10億円前後と利益の4割にとどまり、残りは現預金か配当に回る。資本をあまり必要としない事業で、稼いだ利益が内部に積まれる形だ。
堀は広くない。施工の品質と設計への織り込みで顧客を持つが、価格を決めるのは発注者側だ。安全域は、時価総額の6割に近い現預金と、実質無借金の財務にある。
経営が資本を上手に使うかの試金石は、現預金142億円の使い道。配当性向を上げた点は評価できるが、親会社の意向が強く、積み上がった現金を事業か株主に回すかは、まだ示されていない。この会社に長く付き合うなら、配当の方針が変わらないかを毎期確かめたい。
何で稼ぐ会社か
売上の93%を占める屋根事業は、金属の屋根と外壁を作って施工する商売だ。長尺屋根、折板(せっぱん)、ハゼ折版などを自社の製作所(深谷、長田野、光、江別の4か所)で作り、国内8支店と協力会社の「三友会」(500社超)で施工する。年間の施工面積は約300万平方メートルになる。
売上は完成工事が396億円、製品の販売が74億円。顧客は工場・倉庫・物流施設などの非住宅の建築主や、設計事務所、ゼネコンだ。設計の段階から同社の仕様を織り込んでもらう営業を重視する。新築と改修の比率は開示されていない。
建材事業は、住宅用の屋根の成型品の販売で、売上は33億円と小さい。ほかに売電事業が1億円弱ある。従業員は単体で520人、平均年齢は43.7歳。2024年には職人の養成機関「三晃クラフトアカデミー」を開き、2026年4月には品質管理部を作った。
日本製鉄と日鉄物産が大株主で、チタン素材の屋根など、素材の面でも協力する。上場株の政策保有はない。
決算期は3月で、単体の決算のみを開示する。2025年10月に1株を5株に分割し、株主の裾野を広げた。
優良さと弱いところ
強みは、設計から製造、施工、改修まで自社で通す一貫体制と、繰越受注の厚さだ。受注は479億円と高水準で、繰越は365億円。売上の約8割が先に決まっているため、短期の景気の影響を受けにくい。
財務は堅い。自己資本比率は68%、有利子負債はなく、現預金と定期預金は合わせて約142億円ある。ROEは9.7%。資本の約半分が現預金なので、現預金を除いた事業そのものの収益性は、見かけより高い。
弱みは三つある。一つ目は、原価の転嫁が遅れる点だ。2026年3月期の売上総利益率は1.2ポイント下がった。二つ目は、新築の工場・倉庫の着工の減少だ。三つ目は、労務費の上昇と職人の確保だ。
過去の利益率は、1990年代に赤字(1998年3月期は営業利益率がマイナス4.8%)だったが、2015年以降は6.7〜9.1%の範囲で安定している。2025年3月期の9.1%が最高で、2026年3月期は8.0%、2027年3月期の予想は7.4%に下がる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
金属屋根の市場は、工場・倉庫・物流施設の新築と、築20〜30年を迎えた建物の改修が両輪になっている。新築の非住宅鉄骨造の着工床面積は、2025年度に前年比4.8%減、うち工場・倉庫は11.9%減と、物流施設の建設が一巡した影響が出ている。
一方で改修は、鋼板の屋根の耐用年数が来る建物が増えるため、長期では底堅い。同社は2026年3月期に改修と成型品の受注が増えたと述べる。ただし、新築の落ち込みを改修が完全に埋められるかは、数字で確認できていない。
競合は、鋼板メーカー系の屋根会社と、地場の屋根工事会社だ。同社は鋼板を自社で作らず、施工力と設計への織り込みで差を付ける。価格は入札や相見積もりで決まる場面が多く、価格決定力は強くない。
資材(鋼板、塗料、断熱材)の高騰と、職人の人手不足、2024年問題による工期の見直しが、業界共通の課題。転嫁は進んでいるが、遅れて効くため、売上総利益率が一時的に下がる局面が出やすい。業界ノートに金属屋根の節はなく、建設業の共通前提(物価年3%、価格転嫁の定着)に従った。
資本政策と M&A
資本政策の中心は、現預金の使い道と配当だ。現預金は現金同等物が47億円、6か月定期預金が95億円。2026年3月期は定期預金への預入が95億円あり、投資キャッシュフローが大きな支出になった。有利子負債はない。
配当は2024年度に性向の目安を30%から50%に上げ、年間配当は前年から大きく増えた。2027年3月期は利益の約半分を払う予定。自社株買いの実績は大きくなく、自己株式は発行済みの2.6%にとどまる。
設備投資は2026年3月期に9.4億円、今後2年間で13億円を予定する。製造設備の更新と、深谷製作所のソーラー関連が中心で、大型のM&Aは見当たらない。減価償却費は新設備の分だけ増える見込みだ。
筆頭株主は日本製鉄(直接32.4%+間接7.0%)。親会社に近い立場で、現預金の使い道や追加の株主還元は、親会社の意向に左右される。TOBの可能性は低くないが、価格や時期は読めない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
繰越受注が365億円と過去最高で、売上の8割近くが決まっている。改修の受注が増え、足元の受注は479億円と高水準を保つ。新築が減っても、改修が下支えするため、売上は大きく崩れにくい。
財務の余裕が大きい。時価総額244億円に対し、現預金が約142億円ある。借金はなく、配当性向の目安は2024年度に30%から50%に上がった。現預金の一部でも還元に回れば、株価の下支えになる。
2026年3月期の利益率低下は、資材高と労務費の上昇を転嫁するまでの遅れで、一時的な面が強い。転嫁が進めば、営業利益率は過去の8%台に戻る。品質管理部の新設で手直しの費用も減る。
日本製鉄が約4割を持つ安定株主で、事業の安定性は高い。親会社の再編や完全子会社化が起きれば、現預金の価値が一気に株主に戻る可能性もある。
10年で見ると、物価の上昇を価格に載せ続ける限り、売上は名目で伸びる。改修の需要は建物が古くなるほど増えるため、今の受注の厚みは、今後の安定した収入の土台になる。
慎重な見方
利益は薄い。営業利益率は過去12年で6.7〜9.1%、2027年3月期の予想は7.4%と下がる。10年後も、物価の分しか利益は伸びない。現預金を除いた事業の資本効率も、伸びる余地は小さい。
市場は縮んでいる。非住宅鉄骨造の新築着工は2025年度に4.8%減、工場・倉庫は11.9%減った。改修の需要は増えているが、新築の落ち込みを埋めるだけの規模かは確認できていない。
現預金は時価総額の6割あるが、使い道を決めるのは親会社の意向だ。配当性向を50%に上げたとはいえ、利益の半分は残るため、現預金は増え続ける。株主に戻る保証はなく、評価は半分に割り引くべきだ。
中東情勢による資材高は2027年3月期の予想に織り込まれていない。転嫁が遅れれば、さらに利益率が下がる。職人の確保が難しくなると、工期や品質のリスクも高まる。
1990年代には赤字に落ちた実績があり、需要が崩れたときの利益の下がり方は大きい。現在の好調は、繰越受注と値上げの組み合わせに支えられているにすぎない。
どちらに重みを置いたか
現預金の厚さと繰越受注では強気の見方に分があるが、新築の縮みと利益率の薄さでは慎重な見方の指摘が正しい。中立の営業利益率は会社予想(7.4%)と同じ水準に置いた。
現預金は、運転資金に必要な分を引き、残りの約80億円を余り資産として扱い、親会社の存在を考えて戻りは半分に抑えた。確率は、やや楽観をやや厚めに置いた。繰越受注が過去最高で、配当の方針も株主寄りに変わっているためだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,528 円487 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 770 円148 億円)。 今の値に割り戻すと 1,834 円354 億円、今との差 +45.3%、 期待の年率 +10.1%(資本コスト 7.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 4,253 円820 億円 | 913 円176 億円 | +309.3% | +15.1% | 362 円70 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,556 円686 億円 | 835 円161 億円 | +248.0% | +13.3% | 878 円169 億円 |
| 中立 | 38% | 3,026 円583 億円 | 763 円147 億円 | +200.2% | +11.6% | 1,440 円278 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,342 円259 億円 | 695 円134 億円 | +61.4% | +4.9% | 509 円98 億円 |
| 悲観 | 10% | 336 円65 億円 | 752 円145 億円 | −13.8% | −1.5% | 109 円21 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,528 円487 億円 | 770 円148 億円 | +161.3% | +10.1% | 3,298 円636 億円 |
今の株価時価総額 1,262 円243 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 改修が新築の減少を打ち消し、値上げが通り、利益率が過去最高を超える 利益 44 億円 · PER 17.8 倍 · 株価時価総額 4,253 円820 億円
工場・倉庫の新築は減るが、築20〜30年を迎えた金属屋根の改修が増え、同社は設計段階から仕様を織り込む営業で受注を取り切る。施工量は今より5%増える。
資材と労務の上昇は発注者に転嫁でき、価格は物価(10年で1.34倍)を上回る1.40倍に上がる。繰越受注が過去最高のため、値上げは数年遅れずに売上へ出る。
屋根事業の営業利益率は9.2%と、過去の最高(9.1%)をわずかに超える。ソーラー屋根や高機能屋根の比率が上がり、品質管理部の新設で手直し費用も減る。
配当性向の目安は利益の半分で続き、現預金は積み上がって余り資産として評価される。自己資本利益率は10%台前半に上がる。
- 屋根事業(屋根・外壁の施工と製品):数量 315(屋根・外壁の施工面積(万㎡、売上から逆算))× 価格 2.04(1㎡あたり売上(万円・名目))→ 売上 643 億円・営業利益 59 億円。315万㎡ × 2.04万円/㎡(今の1.40倍)、利益率 9.2%
- 建材事業ほか:数量 35.2(建材部門の従業員数(人、処理量の代わり))× 価格 14,568(1人あたり売上(万円・名目))→ 売上 51 億円・営業利益 2 億円。35.2人 × 14568.4万円/人(今の1.40倍)、利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 43 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.5% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)60 億円。全体の PER 17.76 倍、時価総額 820 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:改修の増加、値上げの定着、利益率の過去最高超えが同時に必要で条件が重い。
やや楽観 20% 改修と新築が釣り合い、利益率が8%台半ばで定着する 利益 38 億円 · PER 17.0 倍 · 株価時価総額 3,556 円686 億円
新築の減少と改修の増加が相殺し、施工量は横ばい。価格は物価並みを少し上回る1.37倍で通る。
屋根事業の営業利益率は8.5%。足元の2027年3月期予想(7.4%)から、資材高の転嫁が進んで回復する形になる。
建材事業は小さく、数量が5%増える程度で利益率は3%台にとどまる。全体の営業利益率は8.1%で、過去の山(9.1%)には届かない。
現預金は配当後も積み上がり、10年後の自己資本は今の1.6倍になる。
施工量が横ばいの間は、固定費が薄まって利益が出やすい。繰越受注の厚さが、新築の落ち込みを受け止める緩衝材として働く。
- 屋根事業(屋根・外壁の施工と製品):数量 300(屋根・外壁の施工面積(万㎡、売上から逆算))× 価格 2.00(1㎡あたり売上(万円・名目))→ 売上 599 億円・営業利益 51 億円。300万㎡ × 2万円/㎡(今の1.37倍)、利益率 8.5%
- 建材事業ほか:数量 33.6(建材部門の従業員数(人、処理量の代わり))× 価格 14,256(1人あたり売上(万円・名目))→ 売上 48 億円・営業利益 2 億円。33.6人 × 14256.2万円/人(今の1.37倍)、利益率 3.2%
倍率:事業の純利益 37 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.3% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)60 億円。全体の PER 17.01 倍、時価総額 686 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:繰越受注が過去最高で、配当性向を半分に引き上げた実績がある。足元の利益率低下は一時的な原価上昇の可能性が高く、やや楽観を厚めに置いた。
中立 38% 新築が縮み、改修が支え、利益率は7%台半ばで落ち着く 利益 33 億円 · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 3,026 円583 億円
非住宅の新築着工は減り続け、10年で施工量は5%減る。改修需要が下支えするが、新築の減少分を完全には埋められない。
価格は物価並みの1.34倍。資材と労務の上昇を転嫁でき、遅れは出るが取り戻す。屋根事業の営業利益率は7.8%と、過去12年の平均に置いた。
全体の営業利益率は7.4%で、会社の2027年3月期予想(7.4%)と同じ水準。過去最高の9.1%には届かない。減価償却は新しい製造設備の分が増えるが、物価で一律に上がる分までは増やさない。
配当は純利益の半分、残りは現預金に積まれる。10年後の純利益は今より2割強多い。
- 屋根事業(屋根・外壁の施工と製品):数量 285(屋根・外壁の施工面積(万㎡、売上から逆算))× 価格 1.95(1㎡あたり売上(万円・名目))→ 売上 557 億円・営業利益 43 億円。285万㎡ × 1.95万円/㎡(今の1.34倍)、利益率 7.8%
- 建材事業ほか:数量 32.0(建材部門の従業員数(人、処理量の代わり))× 価格 13,944(1人あたり売上(万円・名目))→ 売上 45 億円・営業利益 1 億円。32人 × 13944万円/人(今の1.34倍)、利益率 2.5%
倍率:事業の純利益 31 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.5% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.2%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)60 億円。全体の PER 16.44 倍、時価総額 576 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社予想の利益率(7.4%)と過去の平均が近く、改修需要が新築の減少を一部埋める筋書きが最も自然。
やや悲観 25% 価格競争で値上げが剥がれ、数量も1割減り、利益率が5%台に落ちる 利益 23 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 1,342 円259 億円
新築の減少が改修で埋まらず、施工量は1割以上減る。受注価格は競合に押され、物価の上昇に届かない1.30倍にとどまる。
協力会社の確保が難しくなり、労務費が上がる一方で、荷主は値下げを求める。屋根事業の営業利益率は6.0%に落ち、2010年代前半の水準に近づく。
現預金の一部は運転資金と配当に使われ、余り資産の評価は4分の3に下げる。純利益は今より1割ほど減る。
それでも事業は赤字にならず、実質無借金の財務は保たれる。配当は利益に合わせて減らされ、現預金の積み上がりは鈍る。
営業利益は今より2割ほど少ない水準にとどまり、会社が掲げる営業利益率8%の参考値には届かない。品質管理部の新設も、費用が先に出て効果が遅れる形になる。
- 屋根事業(屋根・外壁の施工と製品):数量 264(屋根・外壁の施工面積(万㎡、売上から逆算))× 価格 1.90(1㎡あたり売上(万円・名目))→ 売上 500 億円・営業利益 30 億円。264万㎡ × 1.9万円/㎡(今の1.30倍)、利益率 6.0%
- 建材事業ほか:数量 28.8(建材部門の従業員数(人、処理量の代わり))× 価格 13,528(1人あたり売上(万円・名目))→ 売上 39 億円・営業利益 1 億円。28.8人 × 13527.8万円/人(今の1.30倍)、利益率 1.5%
倍率:ROE は 6.6% で k を下回り、PER の上限は 1÷k の 12.5 倍。その 72% を置いた。市場の倍率は根拠にしない。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 9 倍・時価総額 240 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:2026年3月期にすでに売上総利益率が1.2ポイント下がっている。原価上昇の転嫁が遅れる局面は現実的に起きる。
悲観 10% 非住宅の新築が崩れ、価格競争で赤字すれすれまで落ちる 利益 6 億円 · PER 6.5 倍 · 株価時価総額 336 円65 億円
工場・倉庫の新築が3割近く縮み、同業との値引き競争が激しくなる。施工量は3割減り、価格は物価の上昇に大きく届かず1.15倍。
屋根事業の営業利益率は2%に落ち、建材はゼロ。1998年3月期のような赤字ではないが、利益はほぼ消える。
配当は利益の9割近くを払う形で維持するが、現預金のうち運転資金に必要な分は手元に残る。株主に戻る分は少なく、余り資産の評価は半分に下げる。
親会社は事業の再編か完全子会社化に動くかもしれないが、少数株主への価格は低いままで、評価には織り込まない。
施工量の減少で固定費が重くなり、製作所4か所の稼働率が下がる。拠点の統廃合や人員の見直しを迫られ、構造改革の費用も出る。
- 屋根事業(屋根・外壁の施工と製品):数量 210(屋根・外壁の施工面積(万㎡、売上から逆算))× 価格 1.68(1㎡あたり売上(万円・名目))→ 売上 352 億円・営業利益 7 億円。210万㎡ × 1.68万円/㎡(今の1.15倍)、利益率 2.0%
- 建材事業ほか:数量 22.4(建材部門の従業員数(人、処理量の代わり))× 価格 11,967(1人あたり売上(万円・名目))→ 売上 27 億円・営業利益 0 億円。22.4人 × 11966.9万円/人(今の1.15倍)、利益率 0.0%
倍率:稼ぐ力(純利益÷k)に余り資産の戻り分を足した値。優良でなくなった後の利益で、自己資本の厚さは根拠にしない。
確率:赤字すれすれまで落ちるには新築の崩れと価格競争が同時に必要。実質無借金で財務は堅く、1割にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
屋根事業(屋根・外壁の施工と製品)
金属屋根(長尺屋根・折板・ハゼ折版)と外壁の設計・製造・施工、ソーラー、塗装、成型品の販売。売上の93%。
| 数量屋根・外壁の施工面積(万㎡、売上から逆算) | 価格1㎡あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 300 | 1.46 | 437 | 37 |
| 10 年後 中立 | 285 | 1.95 | 557 | 43 |
取り方:屋根事業の売上437.3億円を、会社が示す年間施工面積約300万㎡で割り、1㎡あたり1.46万円とした(製品販売の分も面積当たりに混ぜた近似)。数量は実質、物価は価格に入れる。部門利益は有報の屋根事業36.6億円に、全社の調整分(建材との差と本社費)を寄せて37.1億円とした。
建材事業ほか
住宅用の屋根成型品の販売と売電。売上の7%。
| 数量建材部門の従業員数(人、処理量の代わり) | 価格1人あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 32.0 | 10,406 | 33 | 1 |
| 10 年後 中立 | 32.0 | 13,944 | 45 | 1 |
取り方:建材事業とその他の売上33.3億円を、建材部門の従業員32人で割った(出荷量は非開示のため人数で代用)。人数は実質の数量、賃金と価格の上昇は1人あたり売上に入れる。利益はほぼゼロに近い。
リスクと懸念
工場・倉庫の新築着工の減少
非住宅鉄骨造の新築着工は2025年度に4.8%減、工場・倉庫は11.9%減った。物流施設の建設が一巡すれば、新築の受注が大きく減る。
原価の転嫁の遅れ
2026年3月期は売上総利益率が1.2ポイント下がった。中東情勢による資材高は2027年3月期の予想に未織込みで、転嫁が遅れれば利益率はさらに下がる。
職人の確保と労務費
協力会社の確保が難しくなると、工期や品質に影響する。初任給を含む給与改定と採用の増加で、労務費は上がり続ける。
品質と契約不適合
施工後の雨漏りなどの責任を負う。大きな品質事故は、費用と信用の両面で痛手になる。2026年4月に品質管理部を作ったが、効果は未確認。
親会社の影響と現預金の使い道
日本製鉄が直接・間接で約4割を持つ。現預金142億円の使い道や追加の還元は、親会社の意向に左右され、少数株主には戻らない可能性がある。
競合の値引きと入札
鋼板メーカー系や地場の屋根工事会社との価格競争が激しくなれば、利益率は下がる。受注の価格が物価の上昇に届かない局面も起こりうる。
今後の分かれ目
- 売上総利益率が回復し、営業利益率が8%を超えて続いたら
- やや楽観・楽観の確率を上げる。2027年3月期の予想(7.4%)を上回ったかを見る。
- 繰越受注が減り、受注高が前年を大きく下回ったら
- 新築の落ち込みが改修で埋まらないと見て、やや悲観の確率を上げる。
- 営業利益率が6%を割ったら
- 転嫁の失敗か価格競争が始まったと見て、悲観側へ確率を移す。
- 配当性向を50%超に引き上げる、または自社株買いを始めたら
- 余り資産の戻り方を0.5から引き上げ、評価を厚くする。
- 現預金を使った大型の買収や設備投資が出たら
- 資本の使い方を厳しく見直し、資本効率が悪化する筋書きに確率を寄せる。
- 日本製鉄がTOBや完全子会社化を発表したら
- 現預金の価値が株主に戻る可能性として、確率を見直す。
見ておくもの
- 売上総利益率と営業利益率(会社予想7.4%)
- 受注高と繰越受注(今は365億円)
- 非住宅鉄骨造の着工床面積と、改修の受注の増減
- 現預金(定期預金を含む)の増減と、配当・自社株買いの方針
- 日本製鉄の持ち分と、親会社の方針の変化
倍率と資本コストの決め方
屋根事業は施工面積×1平方メートルあたりの値段、建材は従業員数×1人あたり売上で積み、数量は実質、価格は物価3%込みの名目(10年1.34倍)にした。k は基本 7.5% に quality +0.5% の 8.0%。中立の ROE は 9% で k を少し上回るが、新築の縮みと転嫁の遅れを割り引いて PER 11.5 倍を置いた。余り資産は現預金のうち運転資金を除いた約 80 億円を、戻り方 0.5 で足した。今の株価は市場の見方を知るためにだけ見て、倍率の根拠にはしていない。悲観は稼ぐ力に余り資産の戻り分を足して置き、過去の PBR は使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13→17.76 倍・やや楽観 PER 12.3→17.01 倍・中立 PER 11.5→16.44 倍)。
資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.5%(循環 +0.5)を足して k 7%。準大手ゼネコン(8.2〜8.8%)より低いのは、実質無借金で財務が堅いため。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.00%。