結論
協和日成は、ガス管の埋設、屋内のガス・給排水・給湯の設備、建物の空調と給排水、電力・水道の管路埋設を請け負う設備工事会社だ。2026年3月期の売上は394億円、営業利益は14億円、営業利益率は3.5%である。
筆者の結論は、いまの値段は割安の側にあるというものだ。工事の利益は薄く、事業だけを見ると資本コストを下回る。だが、現金72億円、有価証券と債券をあわせた金融資産は127億円で、時価総額の130億円とほぼ同じだ。事業を無料で手に入れる形になっている。
売上の53.9%は東京ガスグループで、残りも他のガス会社や電力会社が中心だ。顧客の設備投資計画で売上が決まる。2026年3月期は、東京ガスネットワークの経年管取替工事で管種が変わり、受注が減った。ガス導管事業は経常利益が半分になった。
筆者が一番見たいのは、東京ガスの工事量が戻るか、減り続けるかだ。大株主の城北興業が22.6%、東京ガスが8.9%を持つ。余った金融資産は、配当と自社株買いで戻してはいるが、溜まる速さのほうが速い。戻り方は0.75とした。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、見るべきは事業ではなく資産の質だ。現金72億円は、運転資金を差し引いても半分以上が余っている。債券と有価証券を足せば、時価総額と変わらない金融資産が事業を覆っている。
事業の中身は、薄利の請負だ。10年の営業利益率は2.8%から4.1%、ROEの中央値は6%。資本コストの8%近くを下回る。事業に使う資本が少なくて済む点だけが救いで、設備投資は減価償却費の範囲に収まり、年に数億円の純現金が積み上がる。
オーナー利益は純利益に近い。工事は未成工事支出金が小さく、前受金と工事未払金で運転資金の大半をまかなう。設備も軽い。ただ、積み上がる現金の使い道が小さな債券や持ち合い株に偏り、株主に戻る速さは遅い。
安全域は十分だ。金融資産だけで時価総額の水準に近く、事業を悪い価値で置いても下値は限られる。筆者は、事業を資本コストを下回る利益として低く置いても、資産の裏づけで割安になる可能性が高いとみる。
何で稼ぐ会社か
事業は四つに分かれる。ガス導管事業は売上169億円で、都市ガス会社の本支管と供給管の埋設工事だ。東京ガスネットワークの経年管取替工事が中心で、静岡ガスと北海道ガスの工事もある。ガス・機器設備事業は売上143億円で、戸建住宅と集合住宅のガス設備、給湯・暖房、給排水の工事を行う。
建築設備事業は売上61億円で、集合住宅や学校の給排水、空調、ガスヒートポンプエアコンの工事と保守、リノベーションを手がける。電設・土木事業は売上20億円で、東京電力パワーグリッドの管路埋設、上下水道、ゴルフ場の散水設備の工事だ。
元請けとして工事を受け、実際の施工は協力会社に出す。工事未払金が53億円あり、受注から支払いまでの間は協力会社の資金に頼る。未成工事受入金も16億円ある。従業員は797人で、手持工事高は2026年3月末で207億円と、売上の半年分を超える。
利益の源は、顧客のガス会社との長い取引関係と、施工の品質・安全の実績だ。入札で価格を競う公共工事とは違い、東京ガスグループの工事は取引先が決まっている。その代わり、値決めは顧客のコスト削減方針に縛られる。
優良さと弱いところ
この会社に強い堀は見当たらない。東京ガスグループ向けの取引は長く、施工体制と安全の実績が参入の壁になっている。だが顧客はコスト削減の方針を強めており、価格を決めるのは発注側だ。同業にも大手がある。
財務はきわめて堅い。自己資本比率は66.6%、有利子負債はリース債務のみで、現金は72億円ある。インタレスト・カバレッジは意味を持たないほど高い。景気の波で倒れる恐れは見当たらない。
弱い点は、利益率の低さと顧客の偏りだ。営業利益率は過去10年で2.8%から4.1%の間にあり、ROEの中央値は6.0%で資本コストに届かない。売上の54%が東京ガスグループに集まり、その投資計画が変われば受注が動く。
経営の資本配分は株主に優しい方向に動いている。2026年3月期は配当と自社株買いをあわせて約10億円を戻し、純利益の85%に当たる。2025年から3年の中期計画では、2027年度にROE6.5%以上を掲げる。ただし、持ち合い株が153銘柄あり、この資産の厚さが経営の緊張を弱めている面がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ガス導管工事の需要は、都市ガス会社の設備投資計画が決める。首都圏では、古い鋳鉄管や鋼管を新しい管へ取り替える経年管取替が長く続いてきた。2026年3月期の後半から、この工事で新しい管種が主流になり、施工の中身と地域が変わった。
都市ガスの需要は、人口の減少と電化で中長期に減る方向だ。東京ガスは脱炭素を進め、供給設備への投資を絞ることも考えられる。一方で、保安のための取替投資は法令や安全の要請で続く。この工事は需要が急に消える種類ではないが、量が戻る保証もない。
ガス・機器設備事業は住宅着工に左右される。2025年は省エネ基準の義務化で駆け込みがあり、その反動で住宅着工は3年連続で減った。2026年度は戻りが見込まれる。給湯・暖房の高効率機器や太陽光・蓄電池の取付は、環境商材として増える余地がある。
競合は、東京ガス系列の設備会社や地場の管工事会社、大手の設備工事会社だ。技能者の不足と労務費の上昇は業界の共通の課題で、価格転嫁が遅れれば利益を削る。電力・ガス会社が競争の激化でコスト削減を進めていることも、業界の利益率に重くのしかかる。
上下水道の老朽管更新は自治体の予算に左右され、東京都水道局関連の受注は2026年3月期に低調だった。ゴルフ場の散水設備は設備更新の波がある。
資本政策と M&A
配当は2026年3月期に配当性向44%で前期から増配で、2027年3月期は少し増やす予想だ。さらに自社株買いを2025年3月期に8億円、2026年3月期に5.7億円行った。総還元は純利益の7割から9割に達する。
発行済株式は2026年3月期に42万株を消却し、1,075万株になった。自社株買いは継続する意思が見える。中期経営計画では株主還元の強化を柱に据え、ROE6.5%以上を目標にする。
金融資産は厚い。現金72億円、有価証券3億円、投資有価証券52億円(上場株式は153銘柄で38億円、残りは債券)がある。上場株式のうち東京瓦斯が15億円を占める。持ち合い株の縮減は明確な方針としては示されていない。
大株主は城北興業が22.6%で、その他の関係会社に当たる。東京ガスが8.9%を持つ。TOBや非公開化の発表はない。ただし、純資産に近い金融資産と低い株価倍率は、買収側から見ると魅力になりうる。10年の間にTOBが起きる確率は、kabufuの推定では2割ほどある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
事業を含めた全体の価格が、金融資産の額とほぼ同じなのは、市場が事業を無価値とみているからだ。だが事業は黒字で、毎年10億円を超える利益を出し、そのうち7割から9割を株主に戻している。
東京ガスネットワークの工事は、新しい管種に変わっただけで、取替投資そのものは続く。2027年3月期の受注水準は前年並みと会社が見込む。住宅着工は戻り、建築設備事業は手持工事が2倍に増えた。
中期経営計画で、売上400億円、経常利益率4.5%、ROE6.5%を掲げ、株主還元の強化を旗印にしている。自己株式を毎年買って消却している。城北興業が2割強を持つ安定株主で、東京ガスも8.9%の株主で取引関係は堅い。
余った現金が株主に戻るなら、現在の価格は割安にあたる。買収や非公開化の動きも、資産の厚さが理由で起こりうる。
売上の半分強を握る東京ガスとの取引は、長い関係に支えられ、簡単には切り替えられない。施工の安全と品質の実績が、新しい業者の参入を抑えている。
慎重な見方
事業の利益率は3%台で、営業利益は10年でほとんど増えていない。2026年3月期のガス導管事業は経常利益が半分に落ち、東京ガスネットワークの受注は管種の変更で減った。顧客が価格を決める請負は、人手不足の中で利益を守りにくい。
売上の54%が一つの顧客グループで、東京ガスの投資計画が動くだけで、会社の利益の大半が動く。都市ガスの需要は電化で長期に減り、取替投資が終われば工事も減る。
金融資産が厚い点は、割安ではなく、資本を有効に使えていない証拠でもある。ROEが6%で資本コストを下回り、余った現金は持ち合い株と債券に寝ている。153銘柄の持ち合い株は、株主への還元よりも顧客や取引先との関係に使われている。
城北興業と東京ガスという大株主がいるため、少数株主の声は届きにくい。現金が溜まっても、戻る額は経営の判断に委ねられる。
人手不足で技能者を増やせなければ、受注が増えても利益は増えない。利益率が3%台のまま動かない10年の実績が、その限界を示している。
どちらに重みを置いたか
どちらにも根拠がある。強気の見方が言う金融資産の厚さと還元の実績は事実で、慎重な見方が言う利益率の低さと顧客の偏りも事実だ。
筆者は、事業は東京ガスの工事量しだいで緩やかに縮み、利益率は3%台にとどまると見て、中立に置いた。そのうえで、金融資産と還元の実績を価値に加える。
確率は中立に最も厚く置き、東京ガスの工事量が細る側にやや多く振った。顧客が一つに偏る点は、悲観の確率を1割近くに残す理由にした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,420 円236 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 945 円92 億円)。 今の値に割り戻すと 1,832 円178 億円、今との差 +37.2%、 期待の年率 +9.7%(資本コスト 7.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 4,044 円394 億円 | 1,232 円120 億円 | +294.9% | +14.7% | 422 円41 億円 |
| やや楽観 | 22% | 3,254 円317 億円 | 1,135 円111 億円 | +228.5% | +12.6% | 966 円94 億円 |
| 中立 | 37% | 2,512 円245 億円 | 1,009 円98 億円 | +163.6% | +10.2% | 1,303 円127 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,458 円142 億円 | 839 円82 億円 | +71.9% | +5.6% | 574 円56 億円 |
| 悲観 | 8% | 1,076 円105 億円 | 173 円17 億円 | −6.5% | −0.7% | 100 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,420 円236 億円 | 945 円92 億円 | +151.9% | +9.7% | 3,365 円328 億円 |
今の株価時価総額 1,336 円130 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 東京ガスの工事量が戻り、設備・建築も伸びる 利益 22 億円 · PER 16.3 倍 · 株価時価総額 4,044 円394 億円
東京ガスネットワークの設備投資が新しい管種でも続き、ガス導管の件数は1割減にとどまる。価格は物価の転嫁が進み1.38倍になる。ガス・機器設備は住宅着工の戻りと環境商材で件数が1割増える。
建築設備は集合住宅と工場の営繕が伸び、件数は1.5倍になる。電設・土木も電力会社の管路埋設で1.4倍に伸びる。売上は600億円ほどになり、営業利益率は4.5%に近い。
総還元は高い水準を保ち、中期計画が掲げるROE6.5%以上を超える。余った現金も戻り、金融資産の厚さが評価される姿である。
ただし、技能者の確保と労務費の上昇は避けられず、利益率の改善は施工の効率化が前提になる。
- ガス導管事業:数量 900(年間の施工件数(件、推定))× 価格 2,336(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 210 億円・営業利益 9 億円
- ガス・機器設備事業:数量 4,400(年間の施工件数(件、推定))× 価格 494(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 217 億円・営業利益 10 億円
- 建築設備事業:数量 1,200(年間の施工件数(件、推定))× 価格 1,072(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 129 億円・営業利益 7 億円
- 電設・土木事業:数量 280(年間の施工件数(件、推定))× 価格 1,403(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 39 億円・営業利益 1 億円
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.1% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)41 億円。全体の PER 16.3 倍、時価総額 394 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:取替投資が続き、住宅と建築設備の伸びが重なる姿。利益率が過去最高(4.1%)を超える必要があり、8%にとどめた。
やや楽観 22% 東京ガスの工事は緩やかに保たれ、住宅が戻る 利益 19 億円 · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 3,254 円317 億円
東京ガスネットワークの工事は、新しい管種に適応して件数が1割減にとどまる。価格は1.36倍になる。ガス・機器設備は住宅の戻りで件数が5%増える。
建築設備は手持工事が積み上がっており、件数は1.3倍になる。電設・土木は1.2倍。売上は550億円ほどになる。
営業利益率は導管3.5%、機器4.2%、建築5.2%、電設2.5%で、全体で4%ほどの水準だ。還元は今の姿勢を保つ。
都市ガス会社は取替投資を続けるが、コスト削減の圧力も続き、利益率の改善は限られる。金融資産は少しずつ積み上がる。
住宅着工の戻りは追い風になるが、人口の減少で長くは続かない。受注残は積み上がり、施工体制の確保が成長の制約になる。
- ガス導管事業:数量 900(年間の施工件数(件、推定))× 価格 2,302(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 207 億円・営業利益 7 億円
- ガス・機器設備事業:数量 4,200(年間の施工件数(件、推定))× 価格 487(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 205 億円・営業利益 9 億円
- 建築設備事業:数量 1,040(年間の施工件数(件、推定))× 価格 1,050(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 109 億円・営業利益 6 億円
- 電設・土木事業:数量 240(年間の施工件数(件、推定))× 価格 1,373(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 33 億円・営業利益 1 億円
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.7% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)41 億円。全体の PER 15.29 倍、時価総額 317 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:取替投資が緩やかに続き、住宅着工が戻る姿。営業利益率は過去の最高に近い4%前後になる。
中立 37% 東京ガスの工事量が緩やかに縮み、利益率は今の水準に近い 利益 15 億円 · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 2,512 円245 億円
都市ガスの需要減少と管種の変更で、ガス導管の件数は10年で2割減る。価格は1.34倍で、売上は182億円ほどになる。営業利益率は3.2%。
ガス・機器設備は件数が5%減り、売上は182億円ほど。給湯・暖房の電化と、環境商材の拡大がほぼ打ち消し合う。営業利益率は4%。
建築設備は件数が1.1倍で、売上は91億円ほど。電設・土木は横ばいで、売上は27億円ほど。合計の売上は480億円ほどになり、営業利益率は3.7%前後だ。
総還元は純利益の7割ほどを保つ。金融資産は積み上がり、資本の効率は低いままになる。
- ガス導管事業:数量 800(年間の施工件数(件、推定))× 価格 2,269(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 182 億円・営業利益 6 億円
- ガス・機器設備事業:数量 3,800(年間の施工件数(件、推定))× 価格 480(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 182 億円・営業利益 7 億円
- 建築設備事業:数量 880(年間の施工件数(件、推定))× 価格 1,032(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 91 億円・営業利益 4 億円
- 電設・土木事業:数量 200(年間の施工件数(件、推定))× 価格 1,343(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円
倍率:事業のROEは資本コストをやや上回る。式のPERを出し、請負の利益の質は平均的と見て上限に置いた。
確率:導管は件数が2割減る一方、他の事業が補う姿。営業利益率は2026年3月期の3.5%に近く、ほぼ横ばい。
やや悲観 25% 都市ガスの工事が構造的に細り、価格を下げられる 利益 11 億円 · PER 9.8 倍 · 株価時価総額 1,458 円142 億円
取替投資の山を越え、ガス導管の件数は10年で3割減る。顧客のコスト削減で価格は1.3倍にとどまる。ガス・機器設備は電化で件数が15%減る。
建築設備と電設・土木は件数が1割減り、技能者の不足で利益率が下がる。合計の売上は410億円ほど、営業利益率は3%。
金利が下がり、営業外収益は減る。総還元は純利益の7割ほどを維持する。
東京ガスグループの比率は5割を下回らず、顧客の偏りは残る。技能者の高齢化で施工体制の維持に費用がかかる。
価格交渉の主導権は顧客にあり、労務費の上昇を価格に転嫁しきれない。工事の採算管理を徹底しても、利益率は3%を割り込む。
- ガス導管事業:数量 700(年間の施工件数(件、推定))× 価格 2,201(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 154 億円・営業利益 4 億円
- ガス・機器設備事業:数量 3,400(年間の施工件数(件、推定))× 価格 465(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 158 億円・営業利益 5 億円
- 建築設備事業:数量 720(年間の施工件数(件、推定))× 価格 996(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 72 億円・営業利益 3 億円
- 電設・土木事業:数量 180(年間の施工件数(件、推定))× 価格 1,303(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円
倍率:事業のROEは資本コストを大きく下回る。式のPERは1÷kが上限で、悲観側のため上限の7.5割に置いた。
確率:取替投資の山を越え、顧客のコスト削減が続く姿。営業利益率は3%まで下がる。
悲観 8% 東京ガスが工事を内製や他社へ移し、事業が縮む 利益 2 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 1,076 円105 億円
東京ガスグループが調達を見直し、ガス導管の件数は10年で半減する。ガス需要の減少で機器設備も件数が3割減る。価格は1.2倍にとどまる。
売上は300億円を切り、営業利益はほぼゼロに近い。人員を整理するため、退職の費用がかさむ。それでも借入のない会社は存続し、黒字を保つ。
値段は稼ぐ力ではなく、売れる資産から負債を引いた水準で決まる。
配当は据え置きか減配になり、自社株買いも止まる。城北興業の持ち分が大きいため、急な売却や非公開化は起こりにくい。
受注の減少に合わせて施工体制を縮める必要があり、協力会社との関係も見直される。取引の再構築には数年かかる。
- ガス導管事業:数量 500(年間の施工件数(件、推定))× 価格 2,032(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 102 億円・営業利益 1 億円
- ガス・機器設備事業:数量 2,600(年間の施工件数(件、推定))× 価格 430(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 112 億円・営業利益 2 億円
- 建築設備事業:数量 560(年間の施工件数(件、推定))× 価格 919(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 51 億円・営業利益 1 億円
- 電設・土木事業:数量 120(年間の施工件数(件、推定))× 価格 1,202(1件あたり売上(万円・名目))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円
倍率:稼ぐ力が弱く、PBRで置く。今の自己資本198億円に0.53を掛けた(売れる資産から負債と整理費用を引いた床の約105億円)。
確率:最大の顧客の方針転換が重なる姿。確率は低く8%と置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ガス導管事業
都市ガス会社の本支管・供給管の埋設工事(東京ガスネットワーク、静岡ガス、北海道ガス)。
| 数量年間の施工件数(件、推定) | 価格1件あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,000 | 1,693 | 169 | 5 |
| 10 年後 中立 | 800 | 2,269 | 182 | 6 |
取り方:売上169.3億円は2026年3月期決算短信の事業別売上。件数は開示がなく、本支管の取替は1件が千万円台と見て1,000件と仮定した推定。営業利益は事業別の経常利益6.0億円から営業外収益2.6億円を売上比で配分して引いた推定(約2.9%)。
ガス・機器設備事業
戸建・集合住宅のガス設備、給湯・暖房、給排水、環境商材の工事(その他の工材販売手数料を含む)。
| 数量年間の施工件数(件、推定) | 価格1件あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,000 | 358 | 143 | 5 |
| 10 年後 中立 | 3,800 | 480 | 182 | 7 |
取り方:売上142.5億円にその他の0.66億円を足して143.2億円。件数は戸建の給湯・給排水と集合住宅の工事の混合で、1件あたり数百万円と見て4,000件と仮定した推定。営業利益は経常利益6.4億円から営業外収益の配分0.9億円を引いた値。
建築設備事業
集合住宅・学校・工場の給排水、空調、ガスヒートポンプエアコンの工事と保守、リノベーション。
| 数量年間の施工件数(件、推定) | 価格1件あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 800 | 766 | 61 | 3 |
| 10 年後 中立 | 880 | 1,032 | 91 | 4 |
取り方:売上61.3億円は2026年3月期決算短信の値。件数は大型案件と小口の保守を混ぜた推定で800件と置いた。営業利益は経常利益3.4億円から営業外収益の配分0.4億円を引いた値。2025年3月期は赤字だったため、2026年3月期は高めに出ている。
電設・土木事業
電力会社の管路・洞道の埋設、上下水道、ゴルフ場の散水設備の工事。
| 数量年間の施工件数(件、推定) | 価格1件あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 200 | 1,002 | 20 | 0 |
| 10 年後 中立 | 200 | 1,343 | 27 | 1 |
取り方:売上20.0億円は2026年3月期決算短信の値。件数は1件が千万円ほどの工事の混合と見て200件と仮定した推定。営業利益は経常利益0.44億円から営業外収益の配分0.13億円を引いた値。
リスクと懸念
東京ガスグループへの依存
売上の53.9%(2026年3月期)が東京ガスと東京ガスネットワークの工事で、前期は57.6%だった。投資計画の変更や発注方針の見直しは、会社の売上と利益を直撃する。
経年管取替工事の変化
2026年3月期の後半から、首都圏の経年管取替で新しい管種が主流になり、工事の内容と施工の地域が変わった。ガス導管事業の売上は7.3%減り、経常利益は49%減った。
都市ガスの長期的な需要減少
人口の減少と電化で、都市ガスの供給量は長期に減る見通しだ。取替投資が終われば工事は減る。住宅向けの給湯・暖房も、電気機器へ移る流れがある。
労務費と資材費の上昇
技能者の不足で労務単価が上がり、資機材も高止まりしている。顧客がコスト削減を求めるため、転嫁が遅れれば利益率が下がる。
持ち合い株と資本の効率
上場株式153銘柄を38億円持つ。価格の下落や、持ち合い解消の圧力は純資産の変動要因になる。ROEは6%台にとどまる。
大株主の動き
城北興業が22.6%を持つ。売却や買い増しがあれば、需給や経営の方向が変わりうる。
今後の分かれ目
- 東京ガスネットワークの受注が前年を上回り、ガス導管の経常利益率が4%台に戻ったら
- 新しい管種への適応が進んだということ。楽観・やや楽観の確率を上げる。
- 東京ガスグループへの売上割合が5割を下回り続けたら
- 顧客の偏りが減る方向。電力・水道・住宅の比重が上がる分を評価する。
- 総還元がさらに増え、ROEが6.5%を超えたら
- 還元の戻り方を0.75から1.0へ引き上げる。
- ガス導管の受注が2期続けて前年から1割以上減ったら
- 取替投資の山を越えたと判断し、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 城北興業や東京ガスによる買い増し、またはTOBが発表されたら
- 価格と条件で評価をやり直す。
見ておくもの
- 東京ガスネットワークの設備投資計画と受注残
- ガス導管事業の経常利益率
- 総還元額と純現金の増え方
- 東京ガスグループ向けの売上割合
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。事業のROEが資本コストを下回るため、正当化PERは1÷kが上限になる。市場のPERが約11倍で、PBRが0.66倍と低いことは、価値を高く置く根拠にしていない。金融資産の厚さは、余った現金として別に分け、戻り方を掛けて足した。リースは車両などの小さなもので、新リース会計の影響は軽い。親会社に当たる城北興業が22.6%を持つため、戻り方は0.75にとどめた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.09→16.3 倍・やや楽観 PER 12.33→15.29 倍・中立 PER 12.56→13.9 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。