結論
シーティーエスは、建設現場に通信・カメラ・クラウド・測量機器を貸し出し、サブスクで使わせる会社だ。長野県上田市が本社で、売上128億円に対して営業利益が34億円ある。営業利益率は26%と、同業のレンタル会社より際立って高い。
結論から言う。筆者は、10年後の本質価値は今の時価総額337億円を1割弱上回ると見る。建設現場の人手不足で、ICTの需要は構造的に伸びる。ただ、競合が増えれば値段は守れない。稼ぎの高さは、10年は続くが、先で薄れる前提で置いた。
財務は堅い。自己資本比率は76%で、純現金は42億円。さらに純投資の有価証券を75億円持つ。ただし創業者の横島氏が約4割を握り、現金と有価証券の戻りは満額では数えない。
よい点は多い。増収は17期連続を見込み、配当は14期連続で増やす。それでも払う値段に余裕は大きくなく、割安と言い切れる水準ではない。筆者が気にするのは、26%という利益率が汎用品の競争で守れるかどうかだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、持ち続けたい事業かと問う。答えは「良い事業だが、堀は広くない」だ。建設現場にICTを貸す仕事は、人手不足が続く限り需要が伸びる。営業利益率が26%まで上がった実績は、簡単に作れない。借金はなく、財務の安全域は広い。
気になるのは、高い利益率が先で守れるかだ。機器も通信も汎用品で、競合が増えれば値段が下がる。レンタル資産は更新のたびに費用がかかり、減価償却は物価で増える。会計の利益が見かけ上は伸びても、更新の投資で現金は細る。
資本の配分は評価できる。増配を14期続け、創業者が自社株を買い増している。一方で、純投資の有価証券を積み上げる点は、本業の外の運用で、少数株主には読みにくい。
安全域は狭くはないが、広くもない。中立の筋書きで割り戻すと、今の値段を1割弱上回る。悲観に当たっても、有価証券と現金が床になる。勝負どころは、競合の出方と、レンタル資産の更新費だ。
何で稼ぐ会社か
事業の柱は2つだ。1つはDDS(デジタルデータサービス)で、売上の約6割を占める。建設現場向けに、クラウドの図面保管、映像、チャット、通信回線、多機能ディスプレイを束ねた「サイトアシストパッケージ」を貸し出す。2026年3月期のDDSの売上は75億円、営業利益は24億円で、利益率は32%だ。
もう1つはSMS(測量計測システム)で、売上は39億円、営業利益は8億円だ。ワンマンで測れるGNSS測量システムなどを、レンタルと販売で提供する。このほか、ユニットハウスのレンタルや道路標示の工事を行うその他事業が約14億円ある。
特徴は、ハードウェアを主体とするレンタル企業から、データと情報のサービスを売る会社へ衣替えしていることだ。会社の中期経営計画(2024年3月期〜2026年3月期)は、サイトアシストパッケージの普及を軸に、建設ICT専門企業への変身を掲げた。リピート率90%超を目標にしている。
ユーザーは建設会社の現場代理人だ。官公庁向けにも、河川・渋滞・冠水を見る簡易型監視カメラを納めており、累計は2019年度から1,000台を超える。2026年4月には、転圧管理システムのクラウド事業をワキタに譲渡した。事業の整理も進めている。
優良さと弱いところ
強みは、現場に密着した営業網と、機器とサービスをまとめて貸し出せる点だ。建設現場は工期が短く、導入コストの低いレンタルが好まれる。全国の管理センターが機器の手配と保守を担い、リピート率は90%を狙う。顧客の現場代理人にとって、手間が少ない存在になっている。
ただ、堀は普通と見る。部品や通信回線は汎用品で、クラウドの機能もまねされやすい。機器のレンタルは大手にもできる。ウェザーニューズや京セラなどとの提携で、差をつけようとしている段階だ。
資本効率は高い。ROEは過去10年の中央値で16〜17%、営業利益率は2015年の16%から2026年の26%へ上がった。ただし中計で掲げたROE 20%超には届いていない。自己資本が純投資の有価証券でふくらんでいる影響がある。
経営は創業者の横島氏が舵を取る。増配を14期続け、氏は個人でも買い増している。弱みは、レンタル資産の更新費用が重いことと、建設投資の波に左右されることの2つである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
建設業は深刻な人手不足にある。時間外労働の上限規制が2024年に建設業にも適用され、国土交通省はICTによる省人化を進めている。現場の遠隔確認、図面の共有、測量の省力化は、現場が人を増やせない中で、確実に広がる分野だ。
追い風は、現場の生産性向上の必要性だ。公共工事の国土強靱化は2026〜2030年度で20兆円強、道路・上下水道の更新も続く。工期の短い現場ではレンタルが合い、ICT機器を買わずに使う需要は厚い。
逆風は競争と建設投資の循環だ。ICT機器と通信は汎用化しやすく、建機レンタル大手、測量機器メーカー、クラウドの事業者が入ってくる。ワキタが転圧管理のクラウド事業を取得したように、周辺では再編も進む。民間の建設投資が落ちれば、現場の数が減る。
10年で見ると、人手不足は続き、ICTの浸透は進む。ただし値段は、部品の値下がりと競合で、物価には届かない部分が出る。AIは現場の映像解析などに使えるが、機器と通信を貸す事業を直接は代替しない。筆者は、DDSの数量を伸びる側に置き、価格の伸びは物価より小さく見た。
資本政策と M&A
還元は累進配当だ。2026年3月期の年間配当は前期から増え、14期連続の増配になる。2027年3月期も増配の予想だ。配当は純利益の4割台にあたる。自社株買いは目立たず、自己株は簿価6億円で横ばいが続く。
資金の使い方は、設備と有価証券が中心だ。レンタル機器はリースで調達し、リース債務を返しながら更新している。純投資の有価証券は75億円(2025年9月末)に増え、今期も買い増している。評価益は自己資本を押し上げ、受取配当は営業外収益として利益に入る。
買収は目立たない。2026年4月にはワキタへ転圧管理システムの事業を譲渡した。大型のM&Aで価値を壊す心配は小さい。
ガバナンスの要は創業者の横島氏だ。有限会社横島が約4割を持ち、個人でも買い増している。株主の厚みは上がるが、少数株主は現金や有価証券の使い道を決められない。TOBやMBOの発表は確認できなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
需要は構造的に伸びる。建設業の人手不足は10年は続き、国土交通省もICTによる省人化を後押しする。現場の遠隔確認、図面の共有、測量の省力化は、人を増やせない現場の必需品になる。増収は17期連続の見込みで、15期連続の増益に近づく。
サイトアシストパッケージは、機器と通信とクラウドを束ねて貸し出す。リピート率90%を狙い、顧客の現場代理人に密着する。DDSの営業利益率は32%と高く、まだ上がる余地がある。契約が増えるほど、管理センターの固定費は薄まる。官公庁向けの監視カメラも広がっている。
財務は堅く、純現金に加えて75億円の有価証券がある。配当は14期連続で増え、創業者も買い増している。AIは現場の映像解析を便利にするが、機器と通信を貸す事業を置き換えない。国内の建設投資が横ばいでも、浸透が進めば営業利益は50億円に届く。省人化は景気に関係なく進むため、需要の下支えは他の建設関連より厚い。
慎重な見方
高い利益率は競争を呼ぶ。ICT機器も通信回線もクラウドも汎用品で、建機レンタル大手や測量機器メーカーが、同じ顧客に同じものを貸せる。値段が下がれば、26%の営業利益率は守れない。
レンタルは資産を持つ商売だ。機器の更新費は物価で膨らみ、減価償却は利益を食う。しかも会計上の利益が伸びても、更新の投資で現金は出ていく。リース債務を返しながら回しているため、見かけより資金は楽でない。
建設投資は景気で動く。民間工事が落ちれば現場の数が減り、貸す機器が余る。公共工事も予算の執行で波がある。中計で掲げたROE 20%超には届かず、自己資本が有価証券でふくらんだだけだ。本業の資本効率が高いとは言い切れない。
創業者が約4割を持つ構造で、少数株主は有価証券の運用を止められない。ワキタへの事業譲渡のように、事業の整理が続くのは、競争で儲からない分野が出ている印でもある。26%の利益率に慣れた株価は、わずかな値崩れにも敏感に反応する。
どちらに重みを置いたか
需要の構造的な伸びは、強気の見方が正しい。ただ筆者は、高い利益率が汎用品の競争で薄れる点と、レンタル資産の更新費を重く見る。中立では利益率を少し下げ、数量は伸ばした。
確率は、悲観とやや悲観を合わせて30%に置いた。期待は今の値段をやや上回るが、大きく割安とは言えない。悲観でも有価証券と現金が床になるため、損失は限られる形だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,515 円622 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 338 円139 億円)。 今の値に割り戻すと 970 円398 億円、今との差 +19.3%、 期待の年率 +8.6%(資本コスト 7.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,327 円956 億円 | 438 円180 億円 | +240.1% | +13.0% | 194 円79 億円 |
| やや楽観 | 23% | 2,007 円824 億円 | 388 円160 億円 | +194.6% | +11.4% | 551 円226 億円 |
| 中立 | 40% | 1,734 円712 億円 | 349 円143 億円 | +156.2% | +9.9% | 833 円342 億円 |
| やや悲観 | 21% | 838 円344 億円 | 288 円118 億円 | +38.4% | +3.3% | 236 円97 億円 |
| 悲観 | 9% | 231 円95 億円 | 195 円80 億円 | −47.6% | −6.3% | 38 円16 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,515 円622 億円 | 338 円139 億円 | +127.8% | +8.6% | 1,852 円761 億円 |
今の株価時価総額 813 円334 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 省人化の需要を取り込み、DDSが1.8倍に伸びる 利益 53 億円 · PER 17.1 倍 · 株価時価総額 2,327 円956 億円
時間外労働の規制と人手不足で、現場のICT化が一気に進む。サイトアシストパッケージは現場の標準装備になり、DDSの契約は1.8倍になる。官公庁向けの監視カメラも広がる。単価は物価並みの1.34倍まで上がり、DDSの営業利益率は32%を保つ。SMSは10%台後半の利益率を維持する。全社の売上は約259億円と今の2倍、営業利益は約74億円になる。リピート率90%の運用が定着し、競合が入っても顧客の離れは小さい。有価証券は評価益が増えるが、戻り方は変わらず0.75で数える。創業者の約4割の持ち分は動かない前提だ。
- DDS(デジタルデータサービス):数量 54,000(契約台数・ライセンス(推定、台))× 価格 34(1契約当たりの年間売上(万円))→ 売上 181 億円・営業利益 58 億円。数量 1.80 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 32.0%
- SMS(測量計測システム):数量 8,050(稼働する測量機器(推定、台))× 価格 72(1台当たりの年間売上(万円))→ 売上 58 億円・営業利益 12 億円。数量 1.15 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 20.0%
- その他(ユニットハウス・道路標示ほか):数量 1,100(案件・契約数(推定、件))× 価格 184(1件当たりの年間売上(万円))→ 売上 20 億円・営業利益 3 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 16.0%
倍率:事業の純利益 52 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 18.5% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)68 億円。全体の PER 17.09 倍、時価総額 952 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:建設現場の省人化が進み、DDSの浸透と高い利益率の維持が全部そろう筋書き。競合の参入があるため、7%に絞った。
やや楽観 23% 浸透が進み、DDSが1.5倍に伸びる 利益 44 億円 · PER 17.2 倍 · 株価時価総額 2,007 円824 億円
現場のICT化が進み、DDSの契約は1.5倍になる。AIの映像解析など、サービスに機能が増えて単価を守る。官公庁の導入も広がる。DDSの単価は1.32倍で、営業利益率は31.5%を保つ。SMSは測量の省力化で安定した需要を得る。全社の売上は約222億円と今の1.7倍、営業利益は約60億円になる。競合は入るが、現場代理人との関係が離れを抑える。2026年3月期に達成した営業利益率25%超の水準が、10年続く形だ。レンタル資産の更新費は重くなり、利益率の頭を押さえる。配当は増え続け、有価証券は少しずつ増える。物価の上昇で、機器の更新の投資が膨らむ点は避けられない。
- DDS(デジタルデータサービス):数量 45,000(契約台数・ライセンス(推定、台))× 価格 33(1契約当たりの年間売上(万円))→ 売上 149 億円・営業利益 47 億円。数量 1.50 倍・価格 1.32 倍・営業利益率 31.5%
- SMS(測量計測システム):数量 7,700(稼働する測量機器(推定、台))× 価格 72(1台当たりの年間売上(万円))→ 売上 55 億円・営業利益 11 億円。数量 1.10 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 19.0%
- その他(ユニットハウス・道路標示ほか):数量 1,050(案件・契約数(推定、件))× 価格 181(1件当たりの年間売上(万円))→ 売上 19 億円・営業利益 3 億円。数量 1.05 倍・価格 1.32 倍・営業利益率 15.5%
倍率:事業の純利益 43 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.1% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.3%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)68 億円。全体の PER 17.21 倍、時価総額 803 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:省人化の需要が続き、競合の参入が一部にとどまる筋書き。AIの影響は小さい。成長の実績を踏まえ、23%を置いた。
中立 40% DDSは3割増。利益率は競合で少し下がる 利益 37 億円 · PER 17.2 倍 · 株価時価総額 1,734 円712 億円
現場のICT化は進むが、競合の参入で値段は物価に届かない。DDSの契約は3割増え、単価は1.30倍にとどまる。営業利益率はレンタル資産の更新費もあり、32%から30%へ下がる。SMSは1.05倍の数量で、単価は1.30倍、利益率は18%に落ち着く。全社の売上は約195億円と今の1.5倍、営業利益は約50億円になる。営業利益率は25%台で、過去の最高水準をわずかに下回る。減価償却は取得時の値段のため低く出るが、更新の投資は高い値段で行うため、現金は利益ほど増えない。堅いが、目覚ましくはない10年である。SMSの単価は機器の値下がりを人件費の上昇が相殺し、物価をやや下回る1.30倍になる。
- DDS(デジタルデータサービス):数量 39,000(契約台数・ライセンス(推定、台))× 価格 33(1契約当たりの年間売上(万円))→ 売上 127 億円・営業利益 38 億円。数量 1.30 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 30.0%
- SMS(測量計測システム):数量 7,350(稼働する測量機器(推定、台))× 価格 72(1台当たりの年間売上(万円))→ 売上 53 億円・営業利益 10 億円。数量 1.05 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 18.0%
- その他(ユニットハウス・道路標示ほか):数量 1,000(案件・契約数(推定、件))× 価格 178(1件当たりの年間売上(万円))→ 売上 18 億円・営業利益 3 億円。数量 1.00 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 15.0%
倍率:事業の純利益 36 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.4%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)68 億円。全体の PER 17.24 倍、時価総額 680 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:省人化の需要は続くが、競合が増えて利益率が少し下がる中心の筋書き。DDSの数量1.3倍・価格1.30倍、SMSの数量1.05倍・価格1.30倍と、価格は物価に届かない側に置いた。数量と価格に入れた分を、確率とgで重ねて引いていない。
やや悲観 21% 競合で値下がりし、利益率が20%まで下がる 利益 20 億円 · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 838 円344 億円
大手のレンタル会社やクラウド事業者が参入し、機器と通信の値段が下がる。DDSの契約は横ばいで、単価は1.15倍にとどまる。営業利益率は24%に下がる。SMSは販売競争で14%まで落ちる。建設投資の弱含みも重なり、現場数が減る。全社の売上は約140億円と今の1割増にとどまり、営業利益は約28億円と今を下回る。技術者を含め人件費も物価で上がる。レンタル資産の更新費は重く、リース債務の返済が続く。配当は守るが、増配の幅は小さい。事業の存続は揺らがない。ただ、現場代理人の乗り換えが増え、リピート率は目標の9割を割る。
- DDS(デジタルデータサービス):数量 30,000(契約台数・ライセンス(推定、台))× 価格 29(1契約当たりの年間売上(万円))→ 売上 86 億円・営業利益 21 億円。数量 1.00 倍・価格 1.15 倍・営業利益率 24.0%
- SMS(測量計測システム):数量 6,300(稼働する測量機器(推定、台))× 価格 61(1台当たりの年間売上(万円))→ 売上 38 億円・営業利益 5 億円。数量 0.90 倍・価格 1.10 倍・営業利益率 14.0%
- その他(ユニットハウス・道路標示ほか):数量 900(案件・契約数(推定、件))× 価格 164(1件当たりの年間売上(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。数量 0.90 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 10.0%
倍率:事業の ROE 10.3%。RONIC = k 7.5% + 残る割合 1/2 ×(ROE − k)、g は名目 2.0%(省人化の需要は続くが競合と値下がりで先は鈍る)、正当化 PER は約 13.5 倍。ROE が k を上回るが、先の成長が鈍るため g は名目 2% に落とし、上限の約 9 割で置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 12.2 倍・時価総額 301 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:汎用品の競争で値段が下がり、建設投資も弱い筋書き。需要の構造は残るため、21%を置いた。
悲観 9% 汎用品の競争とAIで、売上が3割減り利益率が1割台に下がる 利益 7 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 231 円95 億円
競合が一斉に値下げし、機器と通信は汎用品として扱われる。建設投資が落ち込み、現場数が減る。クラウドの画面サービスはAIの機能に置き換えられ、DDSの契約は3割減り、単価は物価に届かない。DDSの営業利益率は14%まで落ちる。SMSは販売競争で7%、その他は5%になる。全社の売上は約88億円と今の7割、営業利益は約10億円になる。レンタル資産の更新費と減損が重い。残る価値は純現金と有価証券が中心で、事業の稼ぐ力は小さい。配当は細り、有価証券の含み益は減る。10年後のシーティーエスは、現場に機器を貸す普通のレンタル会社になっている。
- DDS(デジタルデータサービス):数量 21,000(契約台数・ライセンス(推定、台))× 価格 25(1契約当たりの年間売上(万円))→ 売上 53 億円・営業利益 7 億円。数量 0.70 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 14.0%
- SMS(測量計測システム):数量 4,900(稼働する測量機器(推定、台))× 価格 53(1台当たりの年間売上(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。数量 0.70 倍・価格 0.95 倍・営業利益率 7.0%
- その他(ユニットハウス・道路標示ほか):数量 700(案件・契約数(推定、件))× 価格 137(1件当たりの年間売上(万円))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。数量 0.70 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 5.0%
倍率:稼ぐ力が崩れた姿。事業の稼ぎは小さく、純現金のうち使える分と税後の有価証券を合わせた約95億円を、今の自己資本157億円に対する PBR で表す。
確率:競合の値下げ、建設投資の落ち込み、AI機能による画面サービスの置き換えが重なる筋書き。省人化の需要は構造的で、起こりにくいと見て9%にとどめた。やや悲観と合わせて30%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
DDS(デジタルデータサービス)
建設現場向けのクラウド・映像・通信・ディスプレイを束ねたレンタル・サブスクリプション。官公庁向けの監視カメラも。
| 数量契約台数・ライセンス(推定、台) | 価格1契約当たりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 30,000 | 25 | 75 | 24 |
| 10 年後 中立 | 39,000 | 33 | 127 | 38 |
取り方:2026年3月期のDDS売上75.1億円、営業利益24.0億円(決算の開示)。契約台数は開示が無く、1台・1ライセンス当たり年約25万円(月約2万円)と推定して約3万件とした。官公庁のサブスク契約は500ライセンス超、監視カメラの累計納品は1,000台超。数量の先は建設現場の省人化で伸びる前提、価格は物価1.34倍に届かず中立で1.30倍とした(クラウド部分は競合で値が下がる)。
SMS(測量計測システム)
ワンマン測量のGNSS・トータルステーション等のレンタルと販売、関連システム。
| 数量稼働する測量機器(推定、台) | 価格1台当たりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 7,000 | 55 | 39 | 8 |
| 10 年後 中立 | 7,350 | 72 | 53 | 10 |
取り方:2026年3月期のSMS売上38.7億円、営業利益7.5億円。レンタル(月数万円)と販売が混じるため、1台当たり年約55万円と推定して約7,000台とした。機器の価格は部品の値下がりを人件費・保守費の上昇が相殺し、物価をやや下回る中立1.30倍とした。
その他(ユニットハウス・道路標示ほか)
建設現場向けユニットハウスのレンタルと販売、道路標示・標識の工事、環境・安全関連。
| 数量案件・契約数(推定、件) | 価格1件当たりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,000 | 137 | 14 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,000 | 178 | 18 | 3 |
取り方:連結売上127.5億円からDDSとSMSを引いた約13.7億円。営業利益は全体の33.7億円からDDS・SMSを引いた約2.2億円と置いた(全社費用を含む調整後の推定)。件数と単価の分け方は推定。
リスクと懸念
競合の参入で利益率が守れない
機器も通信もクラウドも汎用化しやすく、建機レンタル大手や測量機器メーカーが同じ顧客に参入できる。営業利益率26%は同業より際立って高く、競争で下がる余地が大きい。参入が増えれば、値下げ競争は一気に進みうる。ワキタへの事業譲渡のように、周辺の再編も進む。
レンタル資産の更新費
貸し出す機器は更新のたびに費用がかかり、物価で膨らむ。減価償却は取得時の値段のまま低く出るが、更新の投資は高い値段で行うため、会計の利益より現金が細る。リース債務の返済も続く。
建設投資の循環
民間工事が落ちれば現場の数が減り、貸す機器が余る。公共工事は予算の執行で波がある。省人化の需要が下支えするが、現場数の減少には勝てない。
AIによる置き換え(AI エージェント代替)
機器と通信を貸す事業はAIが直接は代替しない。ただクラウドの図面共有や遠隔確認の画面は、AIの機能に置き換えられ、値下げ圧力になりうる。数量は伸びる前提だが、価格は物価に届かないと置いた。
創業者への集中と有価証券の運用
有限会社横島が約4割を持ち、少数株主は現金や有価証券の使い道を決めにくい。純投資の有価証券は75億円で、株価の下落は自己資本を直撃する。戻り方は満額で数えなかった。
中計の目標未達
2026年3月期の売上と営業利益の目標は達成したが、ROE 20%超は17%にとどまった。有価証券の評価益でふくらんだ自己資本が、資本効率を押し下げている。
今後の分かれ目
- サイトアシストパッケージの契約が増え、DDSの営業利益率が33%を超える
- サービス化が利益率を押し上げた確認になり、楽観側の確率が上がる。
- 競合の値下げでDDSの売上が伸びても利益が伸びなくなる
- 高い利益率が守れない確認になり、やや悲観の確率が上がる。
- 創業者が持ち株を動かす、または自社株買いが始まる
- 有価証券と現金の戻りが0.75から1.0へ近づき、10年の価値が一段上がる。
- 民間の建設投資が大きく落ち込む
- 現場数の減少でレンタルの稼働が下がり、悲観側の確率が上がる。
- 次の中期経営計画で、ROEと売上の新しい目標が示される
- 成長の持続力と資本配分の方針が見え、中立の置き方を見直す材料になる。
見ておくもの
- DDSの営業利益率とサイトアシストパッケージの契約
- リピート率(目標90%超)
- レンタル資産への投資とリース債務
- 投資有価証券の残高と評価
- 配当(累進配当)と創業者の持ち株
倍率と資本コストの決め方
倍率は式で置いた。中立はROE 14.6%、RONICはk 7.5%と残る割合1/2で11.2%、gは名目3%として正当化PERは約14.7倍。上限(g 4%)の範囲内で、利益の質を見て14倍にした。kはAI エージェント代替を寿命の+0.25%に小さく入れ、確率は30%、gは3%と重ねないようにした。今のPERや同業の倍率は使っていない。余った現金と有価証券は90億円とし、戻り方は0.75で数えた。減価償却は取得時の値段のままで、更新費は価格に入れた。10年の数字は家賃などの形を今と同じにそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 15.7→17.09 倍・やや楽観 PER 15.2→17.21 倍・中立 PER 14.6→17.24 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。