結論
BIPROGYは旧日本ユニシスで、企業や官公庁のシステムを作り、預かって動かし続ける会社だ。筆者の結論は割高で、安定して見える運用・保守の契約が、実は技術者の時間で回っていることが一番の弱みだ。
売上の7割はシステム開発・保守・運用のサービスで、受注残が年間売上の7割あるため、数量の減りは緩やかに進む。そこで数量は今の0.72倍とした。残る3割は機器とソフトの再販で、クラウド直販とAIの「中抜き」で価格が伸びにくく、数量0.78倍・価格1.08倍とした。
中立の売上は今の0.89倍の3,876億円、純利益は233億円。資本コストは7%、10年先の伸びは再販が席に近いのでごくわずかなマイナス。本質価値は4,892億円に対して2,173億円で、差は-56%。2026年に買ったカタリナの成否は別のリスクとして残り、やや悲観と悲観の確率は40%。成果報酬やAI製品に移れた証拠が金額で開示されれば、楽観の数量と確率を見直す。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、まず問うのは10年後も事業が残り、強いかどうかだ。
BIPROGYのシステム運用と保守は、顧客が変えにくい契約に支えられ、10年後も残る可能性が高い。ここは堅い。一方、堀の深さは中くらいだ。金融の共同利用のように業界の仕組みそのものを握る資産が見えにくく、技術者の確保と単価が収益を決める面が強い。
次に、利益のうち株主に回せる分を見る。サービス事業は大きな設備を要さず、稼いだ利益の7割近くを還元に回しても、自己資本利益率は高く保てる。この点は評価できる。
資本の使い方は、判断が分かれる。自社株買いは割高な局面で買えば価値を壊す。カタリナの買収も、約400億円という金額に見合う利益が出るかは、数年見なければ分からない。経営は小売りの成長に賭けたが、筆者はまだ「証明された」とは言えないと見る。
安全域は、中立の筋書きでは大きくない。生成AIが人月商売を削る筋書きや、機器の再販が落ち込む不況を考えると、払う値段に余裕があるとは言いにくい。持ち続けたいと思える会社だが、値段が決め手になる銘柄である。
何で稼ぐ会社か
BIPROGY は旧日本ユニシスで、企業や官公庁の情報システムを作り、動かし続ける会社だ。2026年3月期の売上は4,337億円。稼ぎ方は事業の形で6つに分かれる。
中心はシステムサービスで、売上1,408億円。金融、製造、流通、公共などの顧客から、システムの設計・開発を請け負う。次に大きいのがアウトソーシングで972億円。顧客のシステムを預かり、運用や業務を代行して毎年料金を受け取る。サポートサービス(保守)は599億円。この2つは契約が続く限り売上が積み上がるストック型の収益だ。
残りは製品の販売で、ハードウェアが753億円、ソフトウェアが474億円。顧客のシステム更新に伴って機器やソフトを納める仕事で、売上は大きいが粗利は薄い。その他が129億円ある。
開示の利益は粗利に近い形で、6つの合計は連結の売上総利益1,160億円とほぼ一致する。営業利益は426億円で、売上の9.8%だ。
2026年1月には、食品スーパーやドラッグストアの買い物データを持つカタリナマーケティングジャパンを約397億円で買収した。小売業向けの広告・販促(リテールメディア)に踏み込む一手で、会社は小売りを成長の牽引役と位置づけている。連結従業員は8,801人。受注残高は3,019億円あり、年間売上の7割に当たる。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、顧客のシステムに長く居座れることだ。
基幹システムは作るより入れ替えるほうが難しい。運用を預かるアウトソーシングと保守を合わせて売上の3割台半ばを占め、受注残は年間売上の7割に達する。景気が悪くなっても、この部分は急には崩れない。
資本の効率は良い。ROE は17%台で、情報・通信業の中央値11%を大きく上回る。営業利益率は10年で4%台から10%近くまで上がった。人手不足で、技術者の単価を上げやすい追い風があったためだ。
ただし、筆者は堀を野村総合研究所ほど深くは見ない。金融の共同利用システムのように、業界の取引そのものを握る資産が見えにくいからだ。金融・公共ではNEC、富士通、日立、NTTデータといった大手が同じ土俵にいる。製造・流通ではSCSKやTISとも競う。
粗利の薄いハードウェアとソフトの再販が売上の3割近くを占める点も弱みだ。ここは顧客の更新時期に左右され、利益の質はサービスより劣る。
経営は株主への還元に熱心で、配当性向40%以上を掲げ、自社株買いも続けている。一方、2026年3月期はカタリナ買収で手元の現金が減り、純現金から小さな純負債に転じた。買収の成否が、これからの資本配分の評価を決める。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のITサービス市場は2025年に約7.5兆円で、2030年まで年6%前後で伸びるとみられている(IDC Japan)。古い基幹システムの作り直し、データ活用、AI の導入が需要を支える。
需給は売り手に有利だ。IT人材が足りず、受託側は単価を上げやすい。BIPROGYの利益率が上がってきたのも、この流れに乗った結果だ。ただし人材不足は、自社の採用費と外注費も押し上げる。
競争は分散している。金融や公共の大型案件ではNEC、富士通、日立、NTTデータが並ぶ。製造・流通向けではSCSKやTIS、日鉄ソリューションズが競合になる。海外のIT大手が国内の大型案件を取る動きは、今のところ限られる。
最大の不確実性は生成AIだ。プログラムを書く工数が減れば、技術者を何人投入するかで値段を決める「人月」の商売は成り立ちにくくなる。逆に、顧客が作りたいものが増えて仕事の総量が伸びる見方もある。BIPROGYは AI を開発の効率化と自社サービスへの組み込みの両方に使う方針で、AI スタートアップとの連携拠点も設けた。
景気の影響は緩やかだ。IT予算の削減で新規開発は遅れるが、運用と保守は残る。ただし、機器の再販は顧客が更新を先送りすると真っ先に落ちる。2008年前後の不況期には、同業の営業利益が3〜5割減った例がある。
【AIエージェント代替】運用契約は粘り強いが、中身の人手はAIエージェントで減る。BIPROGYは中立で売上が今の0.89倍とみた。
資本政策と M&A
還元は厚い。配当性向は40%以上が目標で、2026年3月期は前期より増配し、性向は40.5%だった。そのうえで2025年度に上限100億円の自社株買いを実施している。
買収は積極的だ。2026年1月、カタリナマーケティングジャパンの親会社を約397億円(費用込みで約405億円)で買い、完全子会社にした。小売りを成長の柱とし、2030年度に企業価値1兆円を目指すという構想の一部である。のれん(買収価格と純資産の差)がどれだけ生まれたか、今後どれだけ利益を出すかは、確かめられた範囲では分からない。
大日本印刷が議決権の約21%を持つ筆頭株主だ。会社は上場を保っているが、大株主が一定の影響力を持つ。TOBや買収の確率は、kabufu の試算で10年17%程度である。
上場している政策保有株は19銘柄、約105億円で、純資産の8.5%にとどまる。含み益を足しても評価はほとんど変わらない。
自己資本比率は47%で、有利子負債も重くない。リースは国際会計基準(IFRS)で既に貸借対照表に載っており、新リース会計基準による数字の形の変わり方は小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
国内のIT需要は、人手不足と古いシステムの作り直しで当面伸び続ける。BIPROGYは2026年3月期に売上・営業利益とも会社計画を上回り、受注残も3,000億円を超えた。2027年3月期の会社予想は売上4,700億円・営業利益484億円で、売上は中期経営方針の目標4,400億円を上回る見込みだ。
運用と保守は契約が積み上がる商売で、景気が悪くなっても落ちにくい。技術者の単価は物価を超えて上がる局面が続き、利益率はなお上がる余地がある。
カタリナの買収は流れを変える一手になる。食品スーパーとドラッグストアの購買データを握るリテールメディアは、広告主から手数料を取る高収益の事業だ。BIPROGY が持つ流通向けの需要予測や発注の仕組みと結びつければ、小売りの課題を解く一式のサービスとして売れる。
生成AIは脅威ではなく武器になる。開発の工数が減っても、浮いた人員を新しい案件に回せる。AIを組み込んだ自社サービスは、人月ではなく成果で値段を決められる。
還元も厚い。配当性向40%以上に加えて自社株買いを続ける。営業利益率が12〜13%まで上がれば、利益は10年で2倍近くになる。ROE が高い状態を保てば、倍率も高く評価されるはずだ。
慎重な見方
この会社の利益率は10%前後で、同業の最上位にはほど遠い。収益は技術者の数と単価で決まり、人が増やせなければ伸びない。人材の取り合いは激しく、採用と外注のコストは確実に上がる。
売上の3割近くはハードウェアとソフトの再販で、粗利は薄い。顧客が更新を先送りすれば、真っ先に落ちる。景気が悪化した時の影響は、運用と保守が支える部分より大きい。
生成AIは、この業界の収益の計算式を変えうる。プログラムの工数が減れば、人月で値段を決める契約は値下げ圧力を受ける。受託開発の単価が物価並みに上がるという前提が、10年続くとは限らない。顧客が内製化を進める動きもある。
カタリナの買収は、約400億円という大きな賭けだ。純現金だった財務は、買収後に小さな純負債へ変わった。リテールメディアは大手の競争が激しく、買収した会社の利益がどこまで伸びるかは分からない。のれんが膨らめば、将来の減損の火種になる。
今の営業利益率は過去最高圏で、自社株買いも高い値段で続いている。利益率の山で値段を測れば、割高をつかむおそれがある。大日本印刷という大株主の存在も、少数株主にとっては自由度を縛る面がある。
どちらに重みを置いたか
強気は受注残の厚さと運用契約の安定を言い、慎重はAIエージェントによる人手の置き換えとカタリナの失敗を言う。契約の厚さは縮みを遅らせるが止めないので、数量を今の0.72倍に置いた。確率はやや悲観と悲観を40%とし、差は-56%。強気が当たるのは、AIを自社の売り物にして売上や受注の金額が開示された時だけだ。機器再販の比重が高いぶん、記録の正本を持つ会社よりは重く出た。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,287 円3,176 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,800 円1,740 億円)。 今の値に割り戻すと 2,954 円2,855 億円、今との差 −42.8%、 期待の年率 −0.2%(資本コスト 7.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 5,433 円5,251 億円 | 2,323 円2,245 億円 | +50.1% | +4.1% | 465 円450 億円 |
| やや楽観 | 19% | 4,549 円4,397 億円 | 2,069 円2,000 億円 | +28.1% | +2.5% | 1,258 円1,215 億円 |
| 中立 | 35% | 3,911 円3,779 億円 | 1,915 円1,851 億円 | +12.7% | +1.2% | 2,039 円1,971 億円 |
| やや悲観 | 26% | 2,346 円2,267 億円 | 1,593 円1,540 億円 | −23.8% | −2.7% | 1,024 円990 億円 |
| 悲観 | 14% | 840 円812 億円 | 1,308 円1,264 億円 | −58.4% | −8.4% | 301 円291 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,287 円3,176 億円 | 1,800 円1,740 億円 | −1.6% | −0.2% | 5,087 円4,916 億円 |
今の株価時価総額 5,168 円4,995 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 運用契約が厚く、減りが小さい 利益 349 億円 · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 5,433 円5,251 億円
受注残が厚く、運用契約の更新が続く。AIエージェント込みの定額サービスに組み替えて数量の減りを抑える筋書き。サービスの数量は今の0.94倍、再販は1.00倍。ただしAIを自社の売り物にして金額が出ている開示は確かめられないので、今以上には置かない。カタリナも黒字化する。 内訳はサービス事業=数量0.94倍・価格1.36倍・利益率11.0%、製品販売=数量1.00倍・価格1.16倍・利益率6.8%。 この筋書きの確率は6%。結果は、売上が今の1.24倍の5,371億円、営業利益531億円、純利益349億円、自己資本2,848億円、10年の還元2,245億円、時価総額4,929億円(PER14.14倍)。
- サービス事業(システム開発・保守・運用・アウトソーシング):数量 8,237(連結従業員数(人))× 価格 4,800(従業員1人当たり売上(万円))→ 売上 3,953 億円・営業利益 434 億円。数量0.94倍・価格1.36倍・営業利益率11.0%(人月と記録の正本の混合)
- 製品販売(ソフトウェア・ハードウェア):数量 3,000(製品を伴う案件の数(件、推定))× 価格 4,726(1件当たり売上(万円))→ 売上 1,418 億円・営業利益 97 億円。数量1.00倍・価格1.16倍・営業利益率6.8%(席課金・製品販売型)
倍率:事業の純利益 349 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.0% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.0%、10 年より先の名目の伸び g -0.2% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.1 倍。全体の PER 14.14 倍、時価総額 4,929 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AIを自社の売り物にした金額の開示は無く、楽観でも数量は今以下。受注残の厚さを映して6%。
やや楽観 19% 長期契約が続き、開発の一部が成果報酬へ 利益 276 億円 · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 4,549 円4,397 億円
長期の運用契約が続き、開発の一部が成果報酬へ移る。サービスは数量0.81倍・価格1.31倍、再販は数量0.87倍・価格1.11倍。受注残の厚さが、数量の減りを緩やかにする。 内訳はサービス事業=数量0.81倍・価格1.31倍・利益率10.5%、製品販売=数量0.87倍・価格1.11倍・利益率6.5%。 この筋書きの確率は19%。結果は、売上が今の1.03倍の4,471億円、営業利益421億円、純利益276億円、自己資本2,732億円、10年の還元2,000億円、時価総額3,911億円(PER14.15倍)。
- サービス事業(システム開発・保守・運用・アウトソーシング):数量 7,096(連結従業員数(人))× 価格 4,620(従業員1人当たり売上(万円))→ 売上 3,279 億円・営業利益 344 億円。数量0.81倍・価格1.31倍・営業利益率10.5%(人月と記録の正本の混合)
- 製品販売(ソフトウェア・ハードウェア):数量 2,621(製品を伴う案件の数(件、推定))× 価格 4,550(1件当たり売上(万円))→ 売上 1,192 億円・営業利益 78 億円。数量0.87倍・価格1.11倍・営業利益率6.5%(席課金・製品販売型)
倍率:事業の純利益 276 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.3% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.6%、10 年より先の名目の伸び g -0.2% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.2 倍。全体の PER 14.15 倍、時価総額 3,911 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:長期契約が続く筋書き。19%。
中立 35% 運用契約は残るが、手作業と再販が縮む 利益 233 億円 · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 3,911 円3,779 億円
運用・保守の契約は残るが、手作業の運用とテストはAIエージェントが肩代わりして技術者の数が減る。サービスは数量0.72倍・価格1.27倍、利益率は10.2%。機器の再販は更新の波が縮み、利益率は6.3%にとどまる。 内訳はサービス事業=数量0.72倍・価格1.27倍・利益率10.2%、製品販売=数量0.78倍・価格1.08倍・利益率6.3%。 この筋書きの確率は35%。結果は、売上が今の0.89倍の3,876億円、営業利益354億円、純利益233億円、自己資本2,663億円、10年の還元1,851億円、時価総額3,298億円(PER14.18倍)。
- サービス事業(システム開発・保守・運用・アウトソーシング):数量 6,336(連結従業員数(人))× 価格 4,486(従業員1人当たり売上(万円))→ 売上 2,842 億円・営業利益 289 億円。数量0.72倍・価格1.27倍・営業利益率10.2%(人月と記録の正本の混合)
- 製品販売(ソフトウェア・ハードウェア):数量 2,340(製品を伴う案件の数(件、推定))× 価格 4,417(1件当たり売上(万円))→ 売上 1,034 億円・営業利益 65 億円。数量0.78倍・価格1.08倍・営業利益率6.3%(席課金・製品販売型)
倍率:事業の純利益 233 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.3% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g -0.2% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.2 倍。全体の PER 14.18 倍、時価総額 3,298 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:契約は残り手作業と再販が縮む中心の筋書き。35%。
やや悲観 26% 顧客の内製と直販で、数量と単価が下がる 利益 141 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 2,346 円2,267 億円
顧客が運用をAIエージェントで内製し、契約の更新で値下げを迫られる。サービスの数量は0.61倍、価格は1.21倍。機器の再販もクラウド直販に奪われる。カタリナの買収も上積みにならず、利益率は7.6%に落ちる。 内訳はサービス事業=数量0.61倍・価格1.21倍・利益率7.6%、製品販売=数量0.66倍・価格1.03倍・利益率4.7%。 この筋書きの確率は26%。結果は、売上が今の0.72倍の3,130億円、営業利益215億円、純利益141億円、自己資本2,515億円、10年の還元1,540億円、時価総額1,966億円(PER13.95倍)。
- サービス事業(システム開発・保守・運用・アウトソーシング):数量 5,386(連結従業員数(人))× 価格 4,261(従業員1人当たり売上(万円))→ 売上 2,295 億円・営業利益 175 億円。数量0.61倍・価格1.21倍・営業利益率7.6%(人月と記録の正本の混合)
- 製品販売(ソフトウェア・ハードウェア):数量 1,989(製品を伴う案件の数(件、推定))× 価格 4,196(1件当たり売上(万円))→ 売上 835 億円・営業利益 40 億円。数量0.66倍・価格1.03倍・営業利益率4.7%(席課金・製品販売型)
倍率:10年より先の名目の伸びg-0.20%(人月は0%・席は0〜−1%。実質の縮みは10年の数量に入れ済み)で、利益を全部株主に分ける形の正当化PER=1÷(k−g)=1÷(8.5%+0.20%)=13.95倍(事業のROE5.6%、RONICは使わない)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:顧客の内製と直販で数量・単価が下がる筋書き。26%。
悲観 14% AIエージェントが運用と開発を置き換え、再販も細る 利益 60 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 840 円812 億円
AIエージェントが開発と運用の大半を置き換え、売上は今の半分前後に縮む。再販も大きく減り、カタリナの減損も重なる。純現金が無いので、床は稼ぐ力に近く、時価総額は小さくなる。 内訳はサービス事業=数量0.47倍・価格1.12倍・利益率4.6%、製品販売=数量0.51倍・価格0.95倍・利益率2.8%。 この筋書きの確率は14%。結果は、売上が今の0.51倍の2,217億円、営業利益91億円、純利益60億円、自己資本2,386億円、10年の還元1,264億円、時価総額812億円(PER13.56倍)。
- サービス事業(システム開発・保守・運用・アウトソーシング):数量 4,118(連結従業員数(人))× 価格 3,947(従業員1人当たり売上(万円))→ 売上 1,626 億円・営業利益 74 億円。数量0.47倍・価格1.12倍・営業利益率4.6%(人月と記録の正本の混合)
- 製品販売(ソフトウェア・ハードウェア):数量 1,521(製品を伴う案件の数(件、推定))× 価格 3,887(1件当たり売上(万円))→ 売上 591 億円・営業利益 17 億円。数量0.51倍・価格0.95倍・営業利益率2.8%(席課金・製品販売型)
倍率:10年より先の名目の伸びg-0.20%(人月は0%・席は0〜−1%。実質の縮みは10年の数量に入れ済み)で、利益を全部株主に分ける形の正当化PER=1÷(k−g)=1÷(8.5%+0.20%)=13.56倍(事業のROE2.5%、RONICは使わない)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:運用と開発が置き換わりカタリナも失敗する筋書き。14%、合わせて40%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
サービス事業(システム開発・保守・運用・アウトソーシング)
システムの設計・開発、保守、運用の受託、顧客のシステムを預かるアウトソーシング、その他を合わせた事業。ストック収益が中心で、人手と単価で決まる。
| 数量連結従業員数(人) | 価格従業員1人当たり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8,800 | 3,532 | 3,108 | 340 |
| 10 年後 中立 | 6,336 | 4,486 | 2,842 | 289 |
取り方:有報の事業形態別の売上(システムサービス1,408億・サポート599億・アウトソーシング972億・その他129億)の合計3,108億円を、連結従業員約8,800人で割り、1人当たり売上3,532万円とした。営業利益は連結426億円から製品販売の分(粗利211億円から販売費の負担を引いた約86億円)を除いた340億円(率10.9%)。 【AIエージェント代替の見直し】システム開発1,408億・サポート599億・アウトソーシング972億などで売上3,108億円(71%)。受注残が厚く契約で残る部分もあるが、中身は技術者の人月で、AIエージェントが肩代わりする型。中立で数量0.72倍・価格1.27倍。
製品販売(ソフトウェア・ハードウェア)
顧客のシステム更新に伴うハードウェア・ソフトウェアの販売。売上は大きいが粗利は薄く、顧客の更新時期で振れる。
| 数量製品を伴う案件の数(件、推定) | 価格1件当たり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,000 | 4,090 | 1,227 | 86 |
| 10 年後 中立 | 2,340 | 4,417 | 1,034 | 65 |
取り方:ソフトウェア474億・ハードウェア753億の合計1,227億円。案件の数は開示がないので、売上を1件約4,090万円の案件が3,000件ほどあるものと推定した。営業利益はセグメント粗利211億円から販売費を引いて約86億円(率7%)と置いた。 【AIエージェント代替の見直し】ハード753億・ソフト474億の再販で売上1,227億円(29%)。席・製品販売型で、クラウド直販とAIの中抜きにより価格が物価に届かず、中立で数量0.78倍・価格1.08倍。
リスクと懸念
AIエージェント代替(運用・開発の人月と再販)
BIPROGYの売上の7割は人の時間で回る開発・保守・運用で、3割は機器とソフトの再販だ。AIエージェントは運用の手作業とテストを肩代わりし、再販は直販に移る。受注残が年間売上の7割あるので縮みは緩やかだが、10年では中立で売上が今の0.89倍、悲観で0.51倍とした。
カタリナ買収の成否
2026年1月に約397億円で買収したリテールメディア事業が、想定どおりの利益を出す保証はない。大手の競争が激しい分野で、のれんが膨らめば将来の減損の火種になる。純現金だった財務が小さな純負債に転じた点も、買収の重さを示す。
機器再販の景気感応
ハードウェアとソフトの販売は売上の3割近くを占めるが、粗利は薄い。景気が悪くなると顧客は更新を先送りし、真っ先に落ちる。不況の谷では、サービス事業の稼働率の低下も重なって利益が大きく減る。再販が減れば、運用や保守に結びつく新しい顧客の入口も細る。
技術者の確保と費用
人手不足は単価を支える一方、自社の採用と外注のコストも押し上げる。同業のSCSK・TIS・野村総合研究所との人材の取り合いが続けば、利益率の上昇が止まる。離職や稼働率の低下は、そのまま利益に響く。人を増やして売上を伸ばす商売の宿命だ。
利益率が過去最高圏にある
営業利益率は10%近くと過去最高圏にある。山の利益に高い倍率を付ければ、割高をつかむおそれがある。人月単価の上昇が止まれば、利益の伸びは鈍り、自社株買いの効果も薄れ、営業利益率が過去の水準に戻る場面も考えておく必要がある。
システム障害と情報漏洩
企業や官公庁の基幹システムを運用しているため、障害や情報漏洩は賠償と信頼の失墜に直結する。大型案件の採算の悪化(不採算プロジェクト)も、突然の損失の原因になる。開発の責任が重い金融・公共の案件ほど、一度の失敗の傷は深い。
大株主の存在
大日本印刷が議決権の約21%を持つ筆頭株主で、少数株主から見れば経営の自由度や資本政策への影響が気になる。再編や出資比率の変更があれば、株価が動く要因になる。大株主の意向が少数株主の利益と一致するとは限らない点に注意したい。
今後の分かれ目
- 2027年3月期に会社予想(売上4,700億円・営業利益484億円)を達成したら
- やや楽観側に重みを移してよい。買収の効果と本業の伸びを切り分けて確かめる。
- カタリナの利益が想定を下回り、のれんの減損が出たら
- やや悲観側へ重みを移す。資本配分の判断に疑問が残る。
- 生成AIで技術者1人当たりの単価が下がり始めたら
- 10年の悲観の確率を上げ、人月の積み上げを前提にした見通しを下げる。
- 運用・保守の契約や受注残が減りはじめたら
- 堀の前提を見直し、中立の利益率を下げる。
- 景気後退で機器の更新が止まり、利益が2割以上減ったら
- 10年の悲観の確率を上げる。ただし運用と保守の下支えは残る。
- 大日本印刷が出資比率を変えたら
- 株式の需給と経営の自由度が変わる。TOBや再編の可能性を見直す。
- 運用・保守契約の更新で単価の引き下げ要求が増えたら
- やや悲観の確率を上げ、サービスの価格前提を下げる。
- AIを使った新サービスの売上が金額つきで開示されたら
- 楽観の数量を今より上で見直す。
見ておくもの
- 受注残高(2026年3月末3,019億円)と、サービス事業の営業利益率
- 2027年3月期のカタリナの連結後の売上・利益と、のれんの金額
- 技術者1人当たりの売上(単価)の伸びと、生成AI導入後の案件の単価
- 自社株買いの規模と、配当性向40%以上の維持
- 受注残の水準と、運用契約の更新時の単価
倍率と資本コストの決め方
倍率は10年先の名目の伸びg=−0.2%(再販の席に近い部分を加味)の式 1÷(k−g) で出し、過去のPERや同業の値付けは使っていない。kは基本7.5%に寿命の上乗せ+1.00%(人月の下限)を足した8.50%。AI代替は数量を主に置き、確率とgで重ねて引いていない。今の株価との差は狙っていない。リース会計の形は今と同じ。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.49→14.14 倍・やや楽観 PER 11.49→14.15 倍・中立 PER 11.49→14.18 倍・やや悲観 PER 11.49→13.95 倍・悲観 PER 11.49→13.56 倍)。
資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。