結論
地盤ネットホールディングスは、戸建住宅の地盤の調査・解析・保証を手がける小さな会社だ。2026年3月期の売上は32億円、営業利益は0.4億円にすぎない。
結論から言う。筆者は、この会社の本質価値は今の時価総額232億円を大きく下回ると見る。事業の稼ぎは小さく、新築住宅の減少と AI による地盤判定の安価化が向かい風になる。
株価を支えているのは事業ではなく、2026年2月に筆頭株主となった投資家のKaihouだ。投資会社への転換と大型の増資が期待されている。ただ、実際に決まったのは投資委員会の設置までで、資金調達は未決定だ。
増資が成功しても、新株で既存株主の持ち分は薄まる。運用の利回りが年10%前後でも、ROEは資本コストに届かない。筆者は、期待の分を払う理由がないと考える。
数字で言えば、事業の稼ぎを資本コストで割り引いた価値は数億円だ。帳簿の自己資本は14億円しかない。市場が払っている232億円のほとんどは、これから起きるかもしれない出来事への前払いである。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は買う理由が見つからない。事業は小さく、稼ぎは薄く、強みは乏しい。10年後も続く事業ではあるが、続くだけで価値が生まれるわけではない。
オーナー利益、つまり株主に残る利益は、営業利益で1億円前後だ。資本コストを9%とみれば、事業の価値は数億円にとどまる。今の時価総額232億円との差は、投資会社化への期待の分だ。
期待の分に払う条件は2つある。資本の配分が上手なこと、そして払う値段に安全域があることだ。前者はまだ実績がなく、後者は株価が帳簿の16倍で、全く無い。
増資が高い値で行われれば既存株主は得をするが、それは市場の熱に頼る話で、事業の価値ではない。筆者は、事業と資本の使い方の両方が見えるまで、判断を保留する立場を取る。
筆者は、投資会社に変わる話そのものを否定しない。ただ、その価値は事業の価値とは別に、将来の運用の腕前に頼る。腕前が見えない段階で値を付けるのは、安全域を取る考え方に合わない。
何で稼ぐ会社か
事業は地盤事業とBIM Solution事業の2つで、売上の大半は地盤だ。
地盤事業は、戸建住宅を建てる前の地盤調査、その解析、地盤の保証を扱う。ハウスメーカーや工務店から調査を請け負い、解析の結果に応じた補強工事を提案する。2025年4月には、ハウスワランティの事業を取得して子会社にした。住宅の瑕疵(欠陥)に対する保証事業で、これで売上は前期の19億円から32億円に増えた。
BIM Solution事業は、建物の3次元データ(BIM)のモデリングや3Dパースを請け負う。売上は3億円ほどで、人の作図の工数で稼ぐ型だ。
会社は2026年5月に、2026年10月から社名を「ERTH Group」に変えると決めた。発行可能株式数も広げた。今期の会社予想は売上36億円、営業損失1.25億円で、先行投資のための赤字だと説明している。配当は無配だ。
収益の形は2つに分かれる。保証は一度契約すると長く残る収入で、調査は着工のたびに入る。調査の件数は住宅の着工戸数に左右され、保証の収入はその後の年数にわたって積み上がる。売上の伸びは、ほぼ買収によるもので、既存の事業が伸びたわけではない。
優良さと弱いところ
優良さは高くない。地盤調査は住宅メーカーの発注に頼り、単価は競争で決まる。他社がまねできない強みは見当たらない。
過去10年のROEの中央値は3%、営業利益率も2015年3月期の17%から1%前後まで落ちた。赤字の期も4回ある。2014年3月期には営業利益率30%だったが、その稼ぎは続かなかった。
財務は小さいながら堅い。自己資本比率は約7割で、現金は6億円、借入は2億円だ。ただ自己資本は14億円しかなく、時価総額は帳簿の16倍に膨らんでいる。
経営の資本の使い方は未知数だ。新しい筆頭株主は「大規模な希薄化を伴う資金調達」を提案する可能性を大量保有報告書に書いた。株主にとっては、増資が高い値で行われるか安い値で行われるかで、価値が大きく変わる。
唯一の長所は、保証という積み上がる収入を得たことだ。ただ、取得した事業の採算は今期の予想では黒字化していない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
住宅の地盤調査は、新築の着工戸数にほぼ連動する。野村総合研究所は、新設住宅着工を2030年度に80万戸、2040年度に61万戸と見込む。持家は2040年度に14万戸と、2025年度の20万戸から3割減る。人口が減るので、件数は10年で1割ほど細る前提が自然だ。
一方、単価は物価とともに上がる。ただ住宅会社は原価を絞るので、調査や解析の料金は物価並みには上がりにくい。ハウスワランティが扱う住宅の保証は、中古住宅の流通が伸びれば件数が増える余地がある。
BIMは建設のデジタル化の追い風を受けるが、モデリングは人手の作図が中心だ。AI が図面から3Dモデルを作れるようになれば、人月で売る型は縮む。
地盤の調査・解析は、大手の地盤会社とハウスメーカー系の内製が競合になる。会社は蓄電池設備の地盤調査にも広げたが、売上への寄与はまだ小さい。業界の分かれ目は、住宅着工の減り方と、AI による地盤判定の標準化だ。
建設コンサルや地質調査のような公共インフラの仕事と違い、この会社の顧客は民間の住宅会社だ。公共の予算に守られる面はなく、景気と金利で住宅需要が動けばそのまま売上に響く。
資本政策と M&A
資本政策の焦点は、新しい筆頭株主だ。Kaihouは2026年2月に議決権の31%を握り、3月に資本業務提携を結んだ。8月には投資委員会を設けて、割安な上場株を自己資金で長期に持つ方針を決めた。ただ、投資事業を始めることは決めていない。
発行可能株式数は7,840万株から9,259万株に広げたが、増資の決定はまだない。現金は6億円と少なく、投資の元手は増資か借入になる。
配当は無配が続く。優待もない。筆者は、株主への還元よりも、増資による希薄化の方が価値への影響が大きいと見る。TOBの可能性は、筆頭株主が3割を握るため低い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
筆頭株主のKaihouを率いる井村氏は、投資で実績を作ってきた人物だ。ここに上場の器と、地盤という安定した現金の出る事業が加わる。増資で150億円を集め、割安株への長期投資を回せば、小さな会社が投資会社に変わる。和製の投資持株会社になれば、帳簿の何倍もの値が付くのは自然だ。ハウスワランティの取り込みで売上は1.7倍になり、保証事業は積み上がる収入になる。BIMも建設のデジタル化で需要が伸びる。社名の変更、授権株式の拡大、投資委員会の設置と、手順は順に進んでいる。投資会社のROEは、事業会社よりも高く出る余地がある。井村氏の提携は議決権の約3割と資本業務提携の合意という形を取っており、会社の意思決定に強く関わる。経営の資本の使い方が変われば、株価が事業の稼ぎと離れて動くことも起こりうる。仮に増資が実現し、新株が高い値で引き受けられれば、既存株主は事業の価値よりずっと高い値で資金を得た形になる。その資金が運用で増えれば、1株あたりの価値も上がる。
慎重な見方
事業を見れば、売上32億円で営業利益は0.4億円だ。今期の会社予想は赤字で、無配が続く。投資会社化は計画段階で、資金調達も未決定だ。増資をすれば新株で持ち分が薄まり、運用の利回りが年10%でもROEは資本コストに届かない。上場株への投資なら、株主が自分で同じことができ、会社を通す理由が薄い。BIMは AI で置き換わりやすく、住宅の着工は減る。株価は2026年6月の高値から急落したように、期待の熱に頼る。時価総額は帳簿の16倍で、事業の価値を見積もれば数億円にとどまる。投資会社化を進めても、最終的に株主に残るのは運用の成績だけだ。成績が資本コストを超える保証はなく、増資の手数料や運営の費用が先に出る。事業としての地盤調査が稼げていない点は変わらない。売上の伸びも買収による一度きりのもので、既存の事業は伸びていない。さらに、増資の相手は筆頭株主に近い投資家になりやすく、条件が既存株主に不利に決まる恐れもある。
どちらに重みを置いたか
事業の価値と市場の値の差があまりに大きく、楽観の筋書きでも今の時価総額には届かない。増資が成功する筋書きの確率を6%に絞り、赤字が続く筋書きを厚くした。投資会社化が実を結ぶ証拠は、投資委員会の設置までだ。悲観を合わせた確率は4割あり、事業の価値に近い筋書きが過半を占める。強気の運用益の話は、増資後の自己資本が膨らむため、ROEで見れば資本コストに届かない。慎重な見方のほうが数字に沿う。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 66 円15 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 0 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 28 円6 億円、今との差 −97.2%、 期待の年率 −23.8%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 463 円104 億円 | 0 円0 億円 | −53.7% | −7.4% | 28 円6 億円 |
| やや楽観 | 14% | 150 円34 億円 | 0 円0 億円 | −85.0% | −17.3% | 21 円5 億円 |
| 中立 | 38% | 30 円7 億円 | 0 円0 億円 | −97.0% | −29.6% | 11 円3 億円 |
| やや悲観 | 27% | 15 円3 億円 | 0 円0 億円 | −98.5% | −34.2% | 4 円1 億円 |
| 悲観 | 15% | 10 円2 億円 | 0 円0 億円 | −99.0% | −36.7% | 2 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 66 円15 億円 | 0 円0 億円 | −93.4% | −23.8% | 66 円15 億円 |
今の株価時価総額 1,000 円224 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 投資会社化が成功し、増資で集めた資金が高い利回りで回る 利益 12 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 463 円104 億円
新しい筆頭株主のもとで会社は投資会社に変わる。150 億円ほどの増資に成功し、割安な上場株への長期投資が年 10% 前後(税引き後)で回る。既存の住宅地盤の事業は件数が 1 割減る程度で踏みとどまり、保証の収入が物価並みに上がって営業利益率は 10% に届く。BIM は人手の作図が AI に置き換わり縮むが、売上が小さいので全体への影響は限られる。ただ、増資の新株で既存株主の持ち分は 6 割に薄まる。稼ぎの大半は運用益で、事業そのものの価値は小さいままだ。増資の資金は運用に回り、事業の稼ぎよりも運用益が全体の大半を占める。運用が好成績でも、自己資本が膨らむのでROEは資本コストに届かず、倍率は上がらない。
- 地盤事業(調査・解析・保証):数量 61,000(取扱件数(件、推定))× 価格 6.30(1件あたり売上(万円))→ 売上 38 億円・営業利益 4 億円。件数 1.00 倍・単価 1.34 倍・営業利益率 10%
- BIM Solution事業:数量 40.0(稼働人員(人、推定))× 価格 832(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。人員 0.80 倍・単価 1.30 倍・営業利益率 10%
倍率:ROE が k を下回るので、PER は 1÷k(k 9.0% で 11.1 倍)が上限。事業の稼ぎに値が付く範囲でここまで。市場の倍率は使っていない。運用益は事業と別の稼ぎだが、ROE が k に届かないので上限は同じ。
確率:新しい筆頭株主が増資と投資で会社を変える筋書き。実際に動き出した証拠は投資委員会の設置までで、資金調達も未決定。実現は一部にとどまるので 6% に絞った。
やや楽観 14% 事業が黒字に戻り、小さな増資と運用が加わる 利益 3 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 150 円34 億円
ハウスワランティの取り込みが進み、保証の収入が積み上がる。住宅の着工は細るが、件数は 5% 減にとどまり、単価は物価並みに上がる。営業利益率は 9% まで戻る。BIM の受注は 2 割ほど減る。増資は 40 億円ほどで、運用は年 5% ほどにとどまる。会社は黒字を保つが、規模は今の 2 倍に届かない。稼ぎが小さい割に自己資本は増資で膨らみ、ROE は低いままだ。増資は40億円で、運用の成績は並み。事業の採算が整い、黒字は続く。ただ、全体の稼ぎはまだ小さい。住宅会社との取引は安定し、保証の件数が着実に増える。会社の計画で2028年3月期に黒字に戻り、その後は小幅な黒字が続く。ただ、利益は10年で1億円台にとどまり、配当は出せる水準に届かない。
- 地盤事業(調査・解析・保証):数量 57,950(取扱件数(件、推定))× 価格 6.30(1件あたり売上(万円))→ 売上 37 億円・営業利益 3 億円。件数 0.95 倍・単価 1.34 倍・営業利益率 9%
- BIM Solution事業:数量 42.5(稼働人員(人、推定))× 価格 832(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。人員 0.85 倍・単価 1.30 倍・営業利益率 10%
倍率:ROE が k を下回るので、PER は 1÷k(k 9.0% で 11.1 倍)が上限。事業の稼ぎに値が付く範囲でここまで。市場の倍率は使っていない。
確率:事業の黒字化は会社の計画(2028/03 期に黒字)に沿う。投資の規模は小さく、筆頭株主の関与は限定的という中間の筋書き。
中立 38% 小さな住宅地盤の会社のまま。黒字は薄い 利益 1 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 30 円7 億円
住宅の着工は 10 年で 1 割ほど減り、件数はそれに沿って 12% 減る。保証と調査の単価は物価に少し届かず 1.30 倍。営業利益率は過去の中央値に近い 6% で、本社費が物価で増えるため全社の営業利益は 1 億円に届かない。BIM は AI による作図の置き換えで人員が 3 割減る。投資会社化は検討段階のまま実を結ばない。会社は無配で、利益は内部にたまる。増資や投資の話は進まず、株価の期待は剥がれる。会社は小さな黒字を保ち、無配のままで現金を積み上げる。住宅会社との取引は続くが、新築の減少に押されて調査の件数は細る。保証の収入が下支えになるものの、単価の伸びは物価に届かない。本社費は物価で増えるので、営業利益は1億円に届かない。配当は出せず、現金は事業の運転資金に使われる。
- 地盤事業(調査・解析・保証):数量 53,680(取扱件数(件、推定))× 価格 6.11(1件あたり売上(万円))→ 売上 33 億円・営業利益 2 億円。件数 0.88 倍・単価 1.30 倍・営業利益率 6%
- BIM Solution事業:数量 35.0(稼働人員(人、推定))× 価格 800(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。人員 0.70 倍・単価 1.25 倍・営業利益率 8%
倍率:事業の純利益 0 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.0% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 6 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:地盤の調査・保証は住宅着工に連動する細る市場で、10 年先の稼ぎは営業利益で 1 億円前後が自然な落としどころ。投資会社化は期待にとどまる筋書きを中立に置いた。
やや悲観 27% 値下げ圧力と AI で利益が消え、赤字が続く 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 15 円3 億円
地盤解析が AI と標準化で値下がりし、住宅会社の発注は絞られる。件数は 15% 減り、単価は物価に追いつかない。営業利益率は 3% に下がり、BIM は人員が半分近くまで減る。本社費と投資関連の費用で、全社の営業利益は赤字になる。会社は現金を取り崩しながら立て直しを探る。ハウスワランティの取得で増えた売上は伸びず、のれんの償却と費用が利益を食う。住宅会社は原価を絞り、調査と保証の値下げを求める。AIが地盤の判定を標準化し、独自の解析の優位が薄れる。投資会社化の準備や社名変更の費用も重なり、営業赤字が数年続く。現金が細り、増資に頼る場面が出てくる。
- 地盤事業(調査・解析・保証):数量 51,850(取扱件数(件、推定))× 価格 6.11(1件あたり売上(万円))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。件数 0.85 倍・単価 1.30 倍・営業利益率 3%
- BIM Solution事業:数量 27.5(稼働人員(人、推定))× 価格 736(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人員 0.55 倍・単価 1.15 倍・営業利益率 3%
倍率:稼ぐ力が無く、現金と取り戻せる運転資金が値の中心。今の自己資本に掛ける形で置いた。
確率:足元の予想が赤字で、ハウスワランティ取得後も営業利益は 0.4 億円にとどまる。競争と先行投資の費用で赤字が続く筋書きの確率は高い。
悲観 15% 地盤事業が構造的に負け、投資も失敗する 利益 −2 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 10 円2 億円
新築住宅の減少と、AI が地盤判定を安く済ませることで、調査と保証の単価が頭打ちになる。件数は 25% 減る。利益率は 0% で、本社費が赤字を作る。BIM は撤退する。筆頭株主の主導で行った投資は損を出し、増資の計画も立ち消える。会社は小さな住宅向けサービス会社として、現金を細らせながら続く。最終的に、会社は投資会社になれず、住宅向けの小さな事業が残る。新築の減少が想定より速く進み、調査の件数は4分の3に縮む。保証の収入だけでは本社費を賄えず、赤字が積み上がる。投資も成果を出せず、株価の期待が消える。純現金が事業の価値の中心になる。
- 地盤事業(調査・解析・保証):数量 45,750(取扱件数(件、推定))× 価格 5.64(1件あたり売上(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。件数 0.75 倍・単価 1.20 倍・営業利益率 0%
- BIM Solution事業:数量 0.0(稼働人員(人、推定))× 価格 640(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。BIM 撤退
倍率:稼ぎはなく、純現金を戻り方 0.5 で見た床で置く。
確率:住宅着工の減少、AI による地盤判定の無料化、投資の失敗が重なる構造的な負け。小さな単一事業の会社なので、悲観は 15% と厚くした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
地盤事業(調査・解析・保証)
戸建住宅の地盤調査・解析・保証と、ハウスワランティの瑕疵保証。
| 数量取扱件数(件、推定) | 価格1件あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 61,000 | 4.70 | 29 | 1 |
| 10 年後 中立 | 53,680 | 6.11 | 33 | 2 |
取り方:売上31.9億円のうちBIMを約3.2億円と置き、残りを地盤事業とした。件数は推定で、1件あたり4.7万円としている。営業利益は全社0.35億円から本社費を除いた推定。
BIM Solution事業
建物の3次元データの作成、3Dパース、動画。
| 数量稼働人員(人、推定) | 価格1人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 50.0 | 640 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 35.0 | 800 | 3 | 0 |
取り方:2025年3月期の売上3.0億円(2024年3月期は2.5億円)から3.2億円と推定。人員は推定。人月で売る型なので AI エージェント代替の型(数量 0.55〜0.75 倍)で中立を0.70倍に置いた。
リスクと懸念
投資会社化は計画段階
決まったのは投資委員会の設置までで、投資事業を始めることも、資金調達も決まっていない。計画が頓挫すれば、期待で乗った株価の根拠が消える。
増資による持ち分の希薄化
筆頭株主は大規模な増資を提案する可能性を示している。発行可能株式数は9,259万株まで広がり、発行済みの約4倍だ。安い値で増資をすれば、既存株主の価値は大きく薄まる。
新築住宅の減少
地盤調査は新築の着工に連動する。着工は2030年度に80万戸、2040年度に61万戸と減る見通しで、数量は10年で1割以上減る。
AI による地盤判定と作図の置き換え(AI エージェント代替)
地盤解析の標準化が進めば、調査や解析の単価が下がる。BIMのモデリングは人月で売る型で、AI エージェントが図面から3Dモデルを作れば人員が減る。
赤字と無配
今期は営業赤字の予想で、配当は無配だ。現金は6億円と少なく、赤字が続けば投資に回せる元手が削られる。
株価の振れ
株価は2026年6月に高値をつけた後、急落した。時価総額が小さく、思惑で動く面が強い。
今後の分かれ目
- 増資で100億円以上が実際に集まり、投資の開示が始まる
- 楽観の筋書きの確率が上がる。ただ新株で持ち分は薄まるので、価値の上振れは限られる。
- 増資の計画が撤回される
- 期待の分が剥がれ、事業の価値に収れんする。悲観の確率が上がる。
- 2028年3月期に営業利益が計画どおり黒字になる
- 中立の稼ぎの水準が確認でき、悲観の確率が下がる。
- ハウスワランティの保証の件数が伸び続ける
- 保証の収入が積み上がり、地盤事業の利益率が上がる筋書きに近づく。
- 住宅着工が予測を下回る
- 数量の落ち込みが大きくなり、やや悲観の筋書きに近づく。
見ておくもの
- 増資の決議と引受先
- 投資事業の開始と運用の開示
- ハウスワランティの売上と利益
- 営業損益の黒字化の時期
- 新設住宅着工の戸数
倍率と資本コストの決め方
倍率は PER = 1÷k の式(ROE が k 未満の上限)だけで置いた。今の株価や過去の倍率は使っていない。時価総額は帳簿の16倍で、事業の稼ぎからは説明できないので、期待の分は増資の筋書きの確率で別に扱った。リースの新会計基準による数字の形の変化は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:中立 PER 11→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。