結論
アリソン・トランスミッションは、清掃車、消防車、中型トラック、装甲車などに使う完全自動変速機の大手である。筆者の結論は適正水準で、安全域はまだ薄い、というものだ。北米の高い採用率は堀だが、2026年の大型買収で稼ぎ方も負債も変わった。
2025年の売上は30.1億ドル、営業利益は9.7億ドルで、製造業としては異例の高い利益率だった。しかし2026年1月にダナの非道路向け駆動部品を26.28億ドルで買収し、売上の約半分が競争の厳しい建機・農機用部品へ広がった。同年4〜6月期の連結売上は15.66億ドルへ倍増した一方、買収事業の営業利益率は7%にとどまった。
古い変速機がすぐ消えるとは考えない。ごみ収集や建設現場では、滑らかな発進と止まりにくさが燃費以上の価値を持つ。だが電動化は変速機そのものを減らし、ZFのAMTと車両メーカーの内製は10年をかけて価格交渉力を削りうる。
中立では保守と海外の自動化が育ち、2029年までに買収の原価削減が進む。ただし新事業には旧本業ほどの高収益を期待しない。10年後の全社純利益は約14億ドル、時価総額は約175億ドルと見るが、そこまでの株主還元を含めて資本コストで割り戻すと、今の時価総額に対する上積みは1割弱に限られる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、古いアリソンだけなら長く持ちたい性質を持つ。清掃車やスクールバスは10年後も動き、現場での故障を避けたい客は安さだけで変速機を選ばない。モデルごとの制御調整、OEMとの複数年契約、補修部品の拠点網が、値上げを通す力を支えている。
しかし株主が買うのは旧事業だけではない。2026年の買収で、厳しい競争を受ける非道路部品と多額の借金が加わった。2025年の営業利益率32%は全社の将来像ではなくなった。取得部門の税後利益が買収価格に対して資本コストを上回るか、2029年以降にやっと見えてくる。買収ののれんと無形資産を全部稼げる資本だと信じるのは危ない。
オーナー利益では、単年の調整後利益より、維持設備投資と開発費、株式報酬を負担した後の現金を重視する。会社の2026年の現金見通しは悪くないが、利払いが増えたため、過去のように利益の大半を自社株買いに使えるとは限らない。新株を増やさず買収したことは既存株主に有利だが、借金による別の危険が生じた。
主力の堀が十分強いことと、今の値段で十分な安全域があることは別問題だ。10年の平均的な価値は現在の時価総額に近く、買収の利幅や電動化を少し取り違えるだけで結果が動く。筆者は優れた旧事業の強さを認めつつ、買収後の利益の質を確かめるまでは高い確信を置かない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は、車両のメーカーが変速機を搭載した時に入る売上と、稼働車両を整備する時に続く部品売上だ。旧アリソンの2025年売上30.1億ドルのうち、北米の商用車向けが15.4億ドルを占めた。北米外の商用車が5.07億ドル、防衛が2.67億ドル、交換部品などが6.43億ドル、従来の特殊設備向けが0.53億ドルだった。
北米では商用車メーカーに完成品を納める。クラス6〜7の採用率は約75%、クラス8の直結型トラックでは約80%に達する。長距離トラクターは安い自動化マニュアル変速機が強いため、ほとんど出ていない。約1,500の販売・整備拠点と、200以上の製品型式に対応する制御の調整が、後から競争相手を入りにくくしている。
2026年の買収で、非道路部門が第2の柱になった。ダナから引き継いだスパイサーとブレビーニなどのブランドで、車軸、ギアボックス、減速機、駆動軸を建機、農機、鉱山機械、物流機器のメーカーに販売する。2026年上期の売上は13.79億ドルで、主力とは異なる景気循環を持つ。
製品の基数や平均単価は一部しか公表されない。北米は車種別の生産台数と搭載比率から約17.5万基を推計し、その他は用途別の売上を業界市場と製品構成に照らした等価数量で表した。非道路部門の市場規模やシェアは独立の確定統計ではなく推計であり、実際の部品数と取り違えてはならない。製品構成は機種や顧客ごとに違い、同じ1基でも売値は数倍に変わる。比較するときは用途別の需要と会社が開示する売上を優先する。
優良さと弱いところ
最大の堀は、働く車の使用条件に合わせた変速機の信頼性と、修理網である。スクールバスの搭載率は約82%で、クラス6〜8の主力用途でも採用率が高い。故障で車が止まれば運送やごみ収集の仕事も止まるため、安価な代替品にすぐ切り替える理由は小さい。OEMとの長期契約は北米販売基数の9割超を覆い、3〜5年の交渉が価格を支えてきた。
値上げの実績もある。2025年に北米の数量が落ちた時も、会社は一部の車種で値上げを通した。2026年4〜6月期には北米オンハイウェイ売上が前年同期比3%増え、部品売上も価格改定で下支えされた。これは価格を決める力の証拠だが、販売台数まで守る保証にはならない。
一方、2026年からは同じ堀を全社に当てはめられない。取得した非道路部門の同年第2四半期営業利益率は約7%で、旧本業の約33%とは大きく違う。車軸やギアボックスはZF、キャラーロ、コマー、ボンフィリオーリと競い、顧客の内製もある。自社株買いでかつてのROEが膨らんでいた点も含め、過去の高収益をそのまま将来の再投資収益率とはみなさない。とくに買収事業で新たに投じる設備資金と開発費が、資本コストを超える利益を生むことを確かめる必要がある。利益率が上がっても、同時に運転資金や設備が大きく増えるなら、株主の取り分は見た目ほど増えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
北米の大型商用車は景気と輸送量で台数が大きく変わる。添付の業界ノートではクラス8の平年生産を約28万台とし、山谷で数量が3〜5割動く。アリソンの主戦場は、そのすべてではない。ごみ収集車や消防車、スクールバスは自治体の更新に支えられるが、長距離輸送用の大型トラクターではAMTが優勢だ。
市場を動かすのは新車の台数、用途別の搭載率、変速機の単価の三つである。2025年の北米クラス6〜7向け搭載率は約75%、クラス8直結型で約80%だった。残る市場はZF、イートン系AMT、フォード、OEM内製が争う。新興国ではマニュアル変速機がなお主流で、アリソンの平均シェアは低い。2026年の防衛向け成長は欧州装軌車の契約が支えるが、予算は政治によって変わる。
ダナから取得した非道路部門は、建機・農機・鉱山・産業機械の世界市場と一緒に動く。世界の非道路車両市場は2026年に約6,126億ドルと推計されるが、その全額がアリソンの売り物ではない。駆動系部品の価値を市場の約5%と仮定すると、対象市場は約300億ドル、取得部門のシェアは約9%になる。ZFやキャラーロなどの事業構成が異なるので、各社の厳密な横並びシェアは公表されていない。
10年後もこうした機械は欠かせない。ただし、電動車は機械式変速機を簡素化し、電動アクスルとモーター統合が新たな競争を作る。AIエージェント代替の対象である人月・席課金の事業はなく、直接の代替リスクには当たらない。自動運転や設計自動化は、あくまで物理的な製品を変える別の技術リスクだ。
資本政策と M&A
資本配分には強みと新しい懸念がある。2014〜2025年に配当と自社株買いを積み重ね、株数は長期で大きく減った。2025年の配当は約0.9億ドル、買い戻しは約3.3億ドルで、株式報酬約0.3億ドルを引くと正味還元はさらに小さい。規模の割に大きな買い戻しは1株の取り分を高めたが、割高な価格で続ければ残る株主の利益にはならない。
2026年1月にダナの非道路事業を約26.28億ドルで取得した。買収資金には借入と既存現金を使い、2026年6月の純有利子負債は約37億ドルへ増えた。上期の自社株買いは約0.67億ドルに鈍化し、残る承認枠は約11.25億ドルで期限の決まりはない。配当は継続するが、負債を先に減らす局面だ。
会社の2026年通期見通しは売上58〜60億ドル、GAAP純利益6〜7億ドル、調整後フリーキャッシュフロー7.45〜8.65億ドルである。取得事業の統合による年1.2億ドルの削減効果を2029年末までに実現し、純負債倍率を短期で2倍未満へ下げる目標がある。10年の具体的な配当総額や買い戻し額の数字の約束はない。大型買収を重ねるより、まず統合の投下資本利益率を示すべきだ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
北米の完全自動変速機は、単なる部品以上の価値を持つ。ごみ収集車、消防車、スクールバスでは止まらずに働くことが大切で、車の価格の一部を節約するために信頼性を犠牲にしにくい。実際、2025年のクラス6〜7の採用率は約75%、クラス8直結型は約80%だった。OEMとの長期契約も大半の台数を覆っている。こうした地位をZFやイートン系AMTが崩すには、価格だけでなく整備網と現場の実績を覆す必要がある。
2026年の防衛関連の伸びは、単に景気がよいだけではない。欧州の装甲車更新やCV90の新たな契約があり、今後数年の供給案件が見えている。海外では大型車の自動変速化が北米ほど進んでおらず、運転手不足と安全性の要求が採用を後押しする。車両メーカーの内製は残っても、特殊用途ではアリソンの選択肢が広がる。
大型買収も、成功すれば資本の使い方が変わる。ダナの非道路部門は景気に敏感だが、買収価格は独立時の調整後EBITDAに対して極端に高くはなかった。年1.2億ドルの削減余地があり、調達や生産拠点の統合が進めば競合のキャラーロやボンフィリオーリとの利幅の差を縮められる。将来の部品販売と既存のサービス網も使える。買収後の純負債を早めに減らし、増分の投下資本利益率が高まるなら、10年後の事業価値は大きく増す。
慎重な見方
高いシェアは強みだが、長距離トラクターでアリソンが小さい理由は見逃せない。ZFなどのAMTは安くて燃費もよく、車両メーカーは既に多くを採用している。自動化の波が進むことと、アリソンの油圧式完全自動変速機が売れることは同義ではない。電動トラックでは多段変速機の必要性そのものが薄れる。中型車の主戦場へ代替技術が入るなら、現在の約8割という地位は永久ではない。
買収した非道路部門を、旧アリソンの高い利益率で評価するのも危険だ。2026年第2四半期の営業利益率はわずか7%で、取得した部門の顧客は建機・農機・産業機械のOEMである。ZF、キャラーロ、コマー、ボンフィリオーリの製品を比較しやすく、景気が悪いと値引きを求める。年1.2億ドルの予定削減は実績ではなく、拠点整理と調達契約の切替えが遅れれば利益に届かない。
しかも大型買収の資金は主として借入と現金だ。2025年末に約14億ドルだった純有利子負債は2026年半ばに約37億ドルへ増えた。会社は2026年に買収関連の一時費用と償却の増加を見込んでいる。のれんが大きい事業では帳簿の自己資本は安全な清算価値にならない。成長しても新規事業が資本コストを稼げなければ、買い戻しを抑えても既存株主の価値は増えない。
どちらに重みを置いたか
旧アリソンの堀は実績があり、最悪の前提に寄せるべきではない。ただし2026年の買収で売上のほぼ半分が競争の強い事業に変わり、利益率の違いと借金の増加は確認済みである。上振れは2029年までの統合が予定どおり進む場合に限られる一方、AMTや電動化の侵食は時間をかけて起こりうる。そこで楽観とやや楽観を合わせて29%、やや悲観と悲観を37%、中立を34%とし、やや慎重側へ寄せた。確率加重の現在価値は約99億ドルと、台帳の時価総額約90億ドルに対して約9%の上積みで、結論は適正となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 189.08 ドル161 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 54.47 ドル46 億ドル)。 今の値に割り戻すと 117.54 ドル100 億ドル、今との差 +8.8%、 期待の年率 +9.8%(資本コスト 8.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 413.85 ドル352 億ドル | 117.65 ドル100 億ドル | +391.9% | +20.8% | 47.83 ドル41 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 308.36 ドル262 億ドル | 88.24 ドル75 億ドル | +267.1% | +16.5% | 79.32 ドル67 億ドル |
| 中立 | 34% | 215.45 ドル183 億ドル | 58.82 ドル50 億ドル | +153.8% | +11.3% | 93.25 ドル79 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 66.76 ドル57 億ドル | 23.53 ドル20 億ドル | −16.4% | −2.0% | 20.77 ドル18 億ドル |
| 悲観 | 14% | 11.09 ドル9 億ドル | 5.88 ドル5 億ドル | −84.3% | −19.0% | 2.38 ドル2 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 189.08 ドル161 億ドル | 54.47 ドル46 億ドル | +125.4% | +9.8% | 243.55 ドル207 億ドル |
今の株価時価総額 108.05 ドル92 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 楽観:防衛と海外自動化が伸び、買収先の統合が大成功 利益 22 億ドル · PER 15.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 413.85 ドル352 億ドル
10年後も稼ぎ頭は北米の清掃車・消防車・中型物流車である。対象車両の更新が続き、完全自動変速機の採用率は高止まりする。ZFやイートン系のAMTが安さで競っても、作業時の停止が少ない価値が選ばれる。海外では運転手不足を背景に完全自動化が広がり、防衛では装軌車案件が継続する。
2026年に取得したダナの非道路部門は、建機と農機の回復に加えて鉱山と物流機器を取り込む。スパイサーとブレビーニのブランドを保ちながら販売網を共通化し、2029年までの年1.2億ドルの原価削減を超える効果を出す。部門営業利益率は17%に届き、全社の純利益も大きく増える。
この間のGAAP純利益累計は約150億ドルで、配当と自社株買いから株式報酬を差し引いた正味100億ドルを株主に戻す。残りは設備と開発に再投資し、借入も縮める。強い堀が続くだけでなく買収の増分利益率が資本コストを十分に超える筋書きだが、複数の成功が必要なので確率は小さい。
- 北米商用車向け変速機:数量 205,000(販売変速機換算台数(基、車両生産台数×アリソン採用率))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 28 億ドル・営業利益 9 億ドル。北米の対象車両生産は緩やかに増え、クラス6〜8で80%前後の採用が持続。価格は2025年比約1.53倍。
- 北米外商用車向け変速機:数量 80,000(採用変速機換算台数(基、対象商用車市場×採用率))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 12 億ドル・営業利益 4 億ドル。新興国で完全自動化の採用が進む。販売基数8万、価格は物価以上の1.50倍。
- 防衛向け変速機:数量 9,000(防衛車両用駆動装置の納入換算基数(基))× 価格 0.00(特注駆動装置1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 9 億ドル・営業利益 3 億ドル。CV90、欧州装輪車の複数年契約が続く。換算9千基と装備高度化による値上げ。
- 従来の非道路向け特殊変速機:数量 8,000(特殊設備向け変速機の出荷等価基数(基))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。油ガス・鉱山向け特殊装置も増え、部品の高付加価値化で採算改善。
- 交換部品・保守・その他:数量 10.1(対象保守・部品市場×同社シェア(2025年実質・億ドル))× 価格 1.48(2025年=1の保守サービス単価指数)→ 売上 15 億ドル・営業利益 6 億ドル。部品対象市場約119億ドル×シェア約8.5%の実質売上に、価格1.48倍。
- 買収した非道路駆動系・モーション装置:数量 42.2(対象非道路駆動系市場×シェア(2026年実質・億ドル))× 価格 1.45(2026年=1の製品単価指数)→ 売上 61 億ドル・営業利益 10 億ドル。対象市場約420億ドル×シェア約10%で実質42.21億ドル。価格指数1.45、利益率17%はシナジー達成に加えて規模効果。
倍率:2035年の帳簿ROEは約32.3%。買収のれんと事業の成長投資を含む自己資本68.7億ドルを基礎に、資本コスト8.75%、長期g4.0%(既存車の数量+約0.5%、防衛・海外と保守の市場+約1.0%、名目価格+約2.5%を全社でならす)を採用。moat=normalでRONIC約20.5%、来期利益に対する正当化PER約17.0倍を当期倍率に補正した上限約17.6倍の90%として15.86倍。高採算の買収成功にも景気の循環が残るため全額は認めない。利益はGAAPで買収償却・株式報酬を戻さない。
確率:北米の高い採用率、欧州防衛需要、買収後の工場合理化が同時にうまく進む必要がある。統合対象が複数国にわたり難易度は高いため9%。
やや楽観 20% やや楽観:防衛が定着し、非道路部門の採算が順調に上がる 利益 18 億ドル · PER 14.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 308.36 ドル262 億ドル
北米のクラス6〜8の職業用車両では約8割の採用を守り、数量は緩やかに増える。海外で自動化が進む一方、ZFと車両メーカーの内製は残るため、シェア拡大は限定的だ。防衛ではCV90関連や欧州の装輪車向けが続くが、2026年の急増ほどの勢いはない。
非道路部門は買収した製品を建機、農機、物流機器に広げる。調達統合と工場配置の見直しで2029年までに計画した削減効果を実現し、営業利益率は14%台に高まる。ただしキャラーロ、ZF、ボンフィリオーリとの価格競争は続く。
2026年の財務負担を徐々に軽くして、10年間の純利益累計は約120億ドルに達する。正味の還元は75億ドルで、減配よりも自社株買いの機動的な調整を優先する。競争の中で統合を成功させる筋書きであり、強気の中心となる。
- 北米商用車向け変速機:数量 198,000(販売変速機換算台数(基、車両生産台数×アリソン採用率))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 26 億ドル・営業利益 8 億ドル。出荷換算19.8万基、価格指数約1.49。北米の高シェアを保つ。
- 北米外商用車向け変速機:数量 70,000(採用変速機換算台数(基、対象商用車市場×採用率))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 10 億ドル・営業利益 3 億ドル。海外自動化の採用増が進み、7万基と価格指数1.46。
- 防衛向け変速機:数量 7,500(防衛車両用駆動装置の納入換算基数(基))× 価格 0.00(特注駆動装置1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 7 億ドル・営業利益 3 億ドル。防衛車両案件が落ち着きつつも高水準の7,500基へ。
- 従来の非道路向け特殊変速機:数量 7,000(特殊設備向け変速機の出荷等価基数(基))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。資源・エネルギー設備の回復を取り込み7,000基。
- 交換部品・保守・その他:数量 9.4(対象保守・部品市場×同社シェア(2025年実質・億ドル))× 価格 1.45(2025年=1の保守サービス単価指数)→ 売上 14 億ドル・営業利益 5 億ドル。対象市場約114億ドル×シェア約8.3%、単価指数1.45。
- 買収した非道路駆動系・モーション装置:数量 37.6(対象非道路駆動系市場×シェア(2026年実質・億ドル))× 価格 1.40(2026年=1の製品単価指数)→ 売上 53 億ドル・営業利益 8 億ドル。対象市場約395億ドル×シェア約9.5%、単価指数1.40。調達・工場合理化で利益率14.5%。
倍率:2035年ROE約28.7%、資本コスト8.75%、長期g3.8%(対象市場の実質拡大約0.8%、会社シェアほぼ横ばい、価格と品種構成約3.0%)で計算。通常の堀が半分残るRONIC約18.7%から、当期利益基準の正当化PER上限約16.7倍となる。統合効率が定着するが景気変動を考慮し86%の14.37倍。GAAP利益には買収無形資産の償却も含める。
確率:北米の優位を守り、2029年の統合コスト削減と海外の用途拡大を実現する展開。買収先の需要が景気で振れるため20%。
中立 34% 中立:中型車の寡占は続くが、買収先は一般的な産業部品の採算に落ち着く 利益 14 億ドル · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 215.45 ドル183 億ドル
主力の北米自動変速機は10年後も必要とされる。スクールバス、清掃車、消防車では発進・停止が多く、完全自動の耐久性が効く。ただし長距離トラックのAMTは依然として安く、電動車は従来の変速機を使わないため、高シェアを広い市場へ移せるわけではない。北米の販売換算台数は約19万基にとどまる。
2026年のダナ非道路事業買収で売上の土台は大きくなった。建機・農機・採掘用の軸や減速機は長く残るが、ZF、キャラーロ、ボンフィリオーリとの競争があり、旧アリソン並みの利益率は得られない。2029年までの年1.2億ドルの統合効果を順次実現しても、非道路部門は営業利益率12%程度と見る。
売上は両部門合わせて約96億ドル、全社営業利益は約20億ドルへ育つ。純利益は約14億ドルで、2026年の一時費用が消える効果も含む。期間の純利益累計約101億ドルから正味50億ドルを還元し、残額を自己資本に積む。借金を減らしながら、過剰な自社株買いはしない。
- 北米商用車向け変速機:数量 190,000(販売変速機換算台数(基、車両生産台数×アリソン採用率))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 24 億ドル・営業利益 7 億ドル。北米の対象車両生産は10年で約1割強増。シェアは横ばい〜やや低下し販売19万基、単価は物価並み。
- 北米外商用車向け変速機:数量 61,000(採用変速機換算台数(基、対象商用車市場×採用率))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 9 億ドル・営業利益 2 億ドル。海外市場の自動変速化で採用率が小幅に上がり6.1万基。価格は1.41倍。
- 防衛向け変速機:数量 6,000(防衛車両用駆動装置の納入換算基数(基))× 価格 0.00(特注駆動装置1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 6 億ドル・営業利益 2 億ドル。2026年以降の装軌車案件が続くが特需は平準化し6千基。
- 従来の非道路向け特殊変速機:数量 5,700(特殊設備向け変速機の出荷等価基数(基))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。現場作業車の需要をならし、特殊変速機5,700基で小幅増。
- 交換部品・保守・その他:数量 8.2(対象保守・部品市場×同社シェア(2025年実質・億ドル))× 価格 1.41(2025年=1の保守サービス単価指数)→ 売上 12 億ドル・営業利益 4 億ドル。保守市場約102億ドル×シェア約8%、価格1.41倍。長寿命化で稼働車両が増える。
- 買収した非道路駆動系・モーション装置:数量 34.0(対象非道路駆動系市場×シェア(2026年実質・億ドル))× 価格 1.36(2026年=1の製品単価指数)→ 売上 46 億ドル・営業利益 6 億ドル。2026年価値で対象市場約370億ドル×シェア約9.2%。価格指数1.36、統合後の利益率12%を見込む。
倍率:2035年ROEは純利益約14.0億ドル÷自己資本69.7億ドル=約20.1%。事業成長はROEから出さず、実質市場+約0.6%、シェア寄与+約0.0%、価格・構成+約2.9%の長期g3.5%とした。資本コスト8.75%、moat=normalのRONIC約14.4%で正当化PER上限約14.9倍(来期利益基準を1+gで当期に直す)。景気循環と買収統合の不確実性を見て84%の12.54倍とする。GAAP純利益を用い、SBCや償却を重ねて足さない。
確率:高い北米シェアは粘るが、買収先は一般的な部品メーカーの競争環境で利幅が薄い。物価転嫁と中程度の数量増を中心とし34%。
やや悲観 23% やや悲観:変速機の代替と統合停滞で利益が伸び悩む 利益 6 億ドル · PER 9.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 66.76 ドル57 億ドル
完全自動変速機は残るが、北米の中型車で車両メーカーの内製とAMTが少しずつ強くなる。建設現場やごみ収集などで需要は残っても、同じ値上げは通らない。海外市場でもマニュアル変速機とZFのAMTが普及し、台数の増加は見込めない。
買収した非道路部門では欧州とアジアの工場統合に手間取り、農機市場の回復も遅れる。ZF、キャラーロ、コマーが安価な車軸や減速機を供給し、採用シェアが低下する。統合効果は一部だけで、部門営業利益率は7%にとどまる。
2027〜2029年には不況と統合費用で純利益が年1〜3億ドルへ落ちるが、その後は緩やかに持ち直す。期間のGAAP純利益累計は約43億ドル、正味還元は20億ドルに縮む。2035年の利益は約6億ドルで、成長の質と採算の双方が低下した企業になる。
- 北米商用車向け変速機:数量 160,000(販売変速機換算台数(基、車両生産台数×アリソン採用率))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 18 億ドル・営業利益 5 億ドル。北米の中型トラック市場は続くがAMTとOEM内製に奪われ、販売16万基へ減る。
- 北米外商用車向け変速機:数量 48,000(採用変速機換算台数(基、対象商用車市場×採用率))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。海外の自動化は進まず4.8万基。値上げは物価以下。
- 防衛向け変速機:数量 4,300(防衛車両用駆動装置の納入換算基数(基))× 価格 0.00(特注駆動装置1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。装軌車予算の伸びが鈍り4,300基、粗利も下がる。
- 従来の非道路向け特殊変速機:数量 3,500(特殊設備向け変速機の出荷等価基数(基))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。石油・鉱山向け特注品の設備更新が減り3,500基。
- 交換部品・保守・その他:数量 6.4(対象保守・部品市場×同社シェア(2025年実質・億ドル))× 価格 1.33(2025年=1の保守サービス単価指数)→ 売上 9 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場約92億ドル×シェア約6.9%、価格指数1.33。部品の囲い込みが弱まる。
- 買収した非道路駆動系・モーション装置:数量 23.5(対象非道路駆動系市場×シェア(2026年実質・億ドル))× 価格 1.34(2026年=1の製品単価指数)→ 売上 32 億ドル・営業利益 2 億ドル。対象市場約300億ドル×シェア約7.8%、価格指数1.34。統合シナジー未達で利益率7%。
倍率:2035年ROE約14.5%、k8.75%、実質の対象市場ほぼ横ばい・シェア低下約1%・価格と品種構成約3%で長期g2.0%。通常の堀が一部薄れた状態をRONIC約11.6%へ反映し、正当化PER上限約12.5倍となる。さらに統合の未達と価格競争を考え75%の9.38倍。過去の谷のPER・PBRは根拠にせず、事業の純利益6.05億ドル÷k約69.1億ドルの稼ぐ力の上限を下回る。
確率:AMT・電動化と買収統合の遅れのどちらかが持続すれば到達する。2026年の借金増加もあり、単なる景気後退以上の重みを見て23%。
悲観 14% 悲観:電動化とAMTに仕事を奪われ、買収の重荷も残る 利益 1 億ドル · PER 7.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 11.09 ドル9 億ドル
10年後、完全自動変速機の優位が構造的に薄れる。車両の電動化では多段の従来型変速機が減り、ディーゼル車でもZFのAMTや車両メーカー内製が広がる。北米の主戦場でも販売基数は約12.5万へ後退し、値上げは物価に負ける。防衛の大型案件は更新されず、部品販売も独立修理業者に奪われる。
ダナから取得した非道路装置は、農機・建機向けが伸びず、安価な競合にシェアを失う。工場の整理や無形資産の減損が必要になるが、買収時に増えた借金の利払いはすぐには消えない。非道路部門の営業利益率は2%まで落ち、全社純利益は約1億ドルに縮む。
2026年の純利益約6.5億ドルから2028〜2029年に減損込みの赤字へ転じ、その後小幅黒字に戻る。10年間のGAAP純利益累計は約8億ドル、正味還元は5億ドルに限られる。帳簿ののれんは売れないため、清算の資産床も薄い。企業の存続は可能でも、株主が得る価値は大幅に傷む。
- 北米商用車向け変速機:数量 125,000(販売変速機換算台数(基、車両生産台数×アリソン採用率))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 13 億ドル・営業利益 2 億ドル。完全自動変速機の主戦場までAMT・電動車に奪われ12.5万基に縮小。価格上昇も鈍化。
- 北米外商用車向け変速機:数量 35,000(採用変速機換算台数(基、対象商用車市場×採用率))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。北米外の価格競争が激化し3.5万基へ縮む。
- 防衛向け変速機:数量 3,000(防衛車両用駆動装置の納入換算基数(基))× 価格 0.00(特注駆動装置1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。軍用車両契約の更新に失敗し3千基。
- 従来の非道路向け特殊変速機:数量 2,000(特殊設備向け変速機の出荷等価基数(基))× 価格 0.00(変速機1基の平均単価(億ドル/基))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。従来の資源設備向けが内製化され2千基。
- 交換部品・保守・その他:数量 5.1(対象保守・部品市場×同社シェア(2025年実質・億ドル))× 価格 1.27(2025年=1の保守サービス単価指数)→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場約79億ドル×シェア約6.4%、価格指数1.27。独立修理業者への流出が続く。
- 買収した非道路駆動系・モーション装置:数量 15.6(対象非道路駆動系市場×シェア(2026年実質・億ドル))× 価格 1.28(2026年=1の製品単価指数)→ 売上 20 億ドル・営業利益 0 億ドル。対象市場約255億ドル×シェア約6.1%、価格指数1.28。競合に切替えられ買収事業の利益はほぼ消える。
倍率:2035年ROE約5.8%が資本コスト8.75%に届かず、成長利益を評価しない。市場縮小とシェア流出が物価上昇を相殺するため長期g0%、PER上限は1÷k=11.43倍。構造的に利益が不安定であることから上限の66%の7.54倍。純利益1.25億ドル÷k約14.3億ドルの稼ぐ力と処分可能な資産床約5億ドルを超えない9.43億ドルとする。償却はGAAP利益から戻していない。
確率:主力の変速機代替と非道路部門の採算悪化、費用の固定化が重なる長期の負け筋。通常の循環減ではなく、構造劣化まで進むため14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
北米商用車向け変速機
中型・大型の職業用トラック、スクールバス、清掃車、消防車などの車両メーカーに、完全自動変速機を供給する。
| 数量販売変速機換算台数(基、車両生産台数×アリソン採用率) | 価格変速機1基の平均単価(億ドル/基) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 175,000 | 0.00 | 15 | 5 |
| 10 年後 中立 | 190,000 | 0.00 | 24 | 7 |
取り方:2025年10-Kの北米商用車売上15.40億ドルを正本にした。会社の2025年末投資家資料のクラス別生産台数約7.6万・3.3万・7.7万・9.6万台などと、クラス6〜7で75%、クラス8直結型で80%、スクールバスで82%という車種別採用率を掛け、バス等の調整後に約17.5万基と推計した。平均単価約8,800ドルは売上からの逆算で、会社は単価を非開示。対抗はZF、イートン系AMT、フォード、自社製造の車両メーカーであり、主戦場での残余20〜25%は複数競争技術の合計である。
北米外商用車向け変速機
欧州、アジア、南米などのバス・トラック・特殊車に完全自動変速機を供給し、MTからの切替需要を狙う。
| 数量採用変速機換算台数(基、対象商用車市場×採用率) | 価格変速機1基の平均単価(億ドル/基) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 50,700 | 0.00 | 5 | 2 |
| 10 年後 中立 | 61,000 | 0.00 | 9 | 2 |
取り方:2025年10-Kの北米外オンハイウェイ売上5.07億ドル。中大型の対象職業車・バスを約120万台、同社採用率を約4.2%と仮定した約5.07万基に、推定単価1万ドルを掛けた。国・用途別台数と実際の単価は非開示で、これは推計である。競合のZF、ドリベンティック、陝西法士特、メーカー内製AMTが多く、北米より同社の平均シェアが低い。
防衛向け変速機
装輪式戦術車やCV90などの装軌車向けクロスドライブ変速機を各国政府・車両メーカーに納める。
| 数量防衛車両用駆動装置の納入換算基数(基) | 価格特注駆動装置1基の平均単価(億ドル/基) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,000 | 0.00 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 6,000 | 0.00 | 6 | 2 |
取り方:2025年10-Kの防衛売上2.67億ドルを使用した。車種ごとの納入基数と単価は非開示のため約4,000基、単価約6.7万ドルの等価台数と解釈した推計である。特殊装軌・装輪プラットフォームを対象とした年間調達約8千〜1万基のうち約4割前後を受け持つとの仮定で、世界の全防衛車両シェアとは異なる。競合はレンク、ZFと軍用車両OEMの内製である。2026年のBAEヘグルンズのCV90契約は用途別需要の裏付けになる。
従来の非道路向け特殊変速機
油ガス設備、鉱山、建設現場で使う大型駆動装置を販売する買収前からの小規模事業。
| 数量特殊設備向け変速機の出荷等価基数(基) | 価格変速機1基の平均単価(億ドル/基) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5,300 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 5,700 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:2025年10-KのGlobal Off-Highway売上0.53億ドルを使用した。会社は基数・単価を公表しないため、破砕・採掘等の対象設備約3万基×採用率約18%=5,300基、平均単価1万ドルで推計。厳密な市場統計がなく、数量・単価は売上整合のための近似である。競合はキャタピラー、コマツ、ボルボの自社製駆動系、ZFである。
交換部品・保守・その他
既存変速機の補修部品、再生品、保守延長契約、関連装置・技術使用料を稼働車両向けに売る。
| 数量対象保守・部品市場×同社シェア(2025年実質・億ドル) | 価格2025年=1の保守サービス単価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6.4 | 1.00 | 6 | 2 |
| 10 年後 中立 | 8.2 | 1.41 | 12 | 4 |
取り方:2025年10-Kのサービス部品・補助機器など6.43億ドルを使用。保守部品の件数・契約単価は非開示なので、同社が取引できる世界の商用車・特殊変速機の補修市場を約80億ドル(推計)とし、約8.0%の実質シェアを掛けた6.43億ドルを数量側に入れた。価格指数は2025年=1。ZF、イートン系の純正部品、独立の再生品店と競う。市場母数とシェアは統計の直接開示ではなく推定である。
買収した非道路駆動系・モーション装置
2026年1月にダナから取得したスパイサー、ブレビーニ等の車軸、減速機、駆動軸、採掘・農機・建機用伝達部品。
| 数量対象非道路駆動系市場×シェア(2026年実質・億ドル) | 価格2026年=1の製品単価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 1.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 34.0 | 1.36 | 46 | 6 |
取り方:2025年末には未保有で連結売上・利益とも0。2026年1月1日買収完了後の2026年上期は売上13.79億ドル、営業利益0.26億ドル(買収会計・統合費用の影響あり)で、年換算売上27.58億ドルを起点に2035年を考える。Grand View Researchの世界非道路車両市場2026年約6,126億ドル(https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/off-highway-vehicles-market-report)に駆動・運動系の部品価値比率5%を試算で掛け、対象市場約300億ドル・取得事業のシェア約9.2%と粗く推定した。ZF、キャラーロ、ボンフィリオーリ、コマー、ダンフォス、車両メーカー内製が競う。市場定義の違いから公表された厳密な競合シェアはなく、キャラーロの2025年売上約8億ドル規模は同市場で約3%相当の参考比較にとどまる。
リスクと懸念
電動化とAMTによる変速機の代替
完全自動変速機の需要が残るのは主に発進・停止の多い車両であり、長距離トラクターはもともとAMTが強い。電動アクスルの普及やZFなどの新型AMTが職業用中型車にも入り込めば、現在の高い搭載率と単価が同時に低下する。10年の悲観側ではこの二重の打撃を数量と価格に反映した。
ダナ取得事業の統合・のれんの危険
2026年の買収で拠点と製品が広がったが、非道路部門の利益率は旧本業より大幅に低い。年1.2億ドルの費用削減は2029年末までの目標で、2026年上期には一時費用もあった。調達や工場閉鎖が遅れ、キャラーロやZFとの価格競争も強まれば、投じた約26億ドルの回収は遅れ、のれんの減損を迫られる。
借入金の増加と借り換え
2025年末の純有利子負債約14億ドルは、買収後の2026年6月に約37億ドルへ増えた。同社の格付けは投資適格未満であり、借り換え利率は低いままではない。操業利益が落ちた時も利払いと返済約束が残り、配当より自社株買いを止める対応になりやすい。純負債倍率が2倍未満へ下がるかが重要だ。
建機・農機・トラックの景気循環
北米クラス8の生産台数は景気によって大きく振れ、2025年は中型車と職業用大型車の弱さが売上を押し下げた。買収した部門には農機と建機の比率が高く、景気が同時に悪化すれば工場の固定費が重くなる。2026年上期の採掘需要が強くても、そのまま10年続くとは考えない。
顧客内製化と価格交渉
トラックメーカーは変速機と駆動装置を外部から買うとは限らない。ボルボなどの自社製駆動系やZFの一体供給が増えれば、アリソンは採用を守るために価格を譲る必要がある。北米の長期契約は3〜5年で更新されるため、現在の高い搭載比率が2035年まで自動的に保証されるわけではない。
防衛契約・規制・関税
2026年の防衛売上の急伸には装軌車や欧州の戦術車向け案件が効いている。予算変更、契約の延期、調達先変更が重なると、少量でも単価の高い製品の生産効率が落ちる。排ガス規制や関税も車両の発注時期と原価を左右し、前倒し需要の後には反動が生じやすい。
買い戻しの資本効率
長年の自社株買いは株数を減らしたが、その時点での事業価値より高い価格で買えば残る株主の取り分を損なう。2026年は統合と借金返済が優先され、買い戻し額は大幅に減った。株式報酬の希薄化を差し引いた正味還元を追い、単なる自己株取得枠の大きさを株主価値と混同しない。
今後の分かれ目
- 非道路部門のGAAP営業利益率が2029年までに12%を超え、負債倍率が2倍未満となる
- 調達統合が会計上も利益へ変わった証拠となり、中立よりやや楽観の確率を高める。
- 年1.2億ドルの統合費用削減が2029年でも半分未満しか実現しない
- 買収の増分利益率が資本コストを下回る恐れが強まり、やや悲観の数量と利益率を重く見る。
- 北米クラス6〜7またはクラス8直結型の搭載率が70%を明確に割る
- 長年の堀が削られた強い兆候として、主力の数量予測と長期成長率を下げる。
- 電動アクスル搭載車が清掃車・バスなどの主力用途で急速に普及する
- 伝統的な多段変速機を必要とする車両が減り、悲観側の数量減を前倒しする。
- 防衛向け売上が数年にわたり高水準で推移し、欧州の追加契約が継続する
- 防衛部門の販売基数が中立の6千基を超える余地が生まれ、やや楽観の確率が高まる。
- 買い戻しを増やす前に純有利子負債が20億ドル以下へ減る
- 利払いと財務制約が緩み、資本配分の柔軟性が回復する。還元の質を改めて評価する。
- 非道路部門でZFやキャラーロなどに連続して新規プログラムを奪われる
- 目先の売上以上に製品開発費の回収が難しくなり、長期シェアと部門利益率を下げる。
見ておくもの
- クラス6〜7・クラス8直結型の車両生産台数とアリソン採用率
- 北米と北米外の自動変速機の数量増減と販売単価改定
- 防衛向け装軌車の受注、CV90等の納入件数
- 2029年までの非道路部門年1.2億ドル統合削減の実現額
- 非道路部門GAAP営業利益率(2026年Q2の7%からの改善)
- 純有利子負債と調整後EBITDA倍率(会社目標は2倍未満)
- 配当+自社株買い−株式報酬の正味還元額
- 電動車、AMT、電動アクスルの主力用途別採用率
倍率と資本コストの決め方
2025年の旧本業の売上30.1億ドルと利益9.7億ドルを出発点とし、2026年取得の非道路事業は2025年の連結実績に足していない。北米では実際の生産台数×採用率、その他では用途別の等価数量または市場×シェアを数量側に入れ、物価による値上げを価格側だけに入れた。2035年の利益率は両事業の競争と買収の原価削減を別々に判断した。倍率は現在または過去のPERではなく、k8.75%、長期gとRONICの利益ベース正当化PERを使った。2025年の自己資本18.7億ドルに10年のGAAP純利益累計を加え、株式報酬を引いた正味還元を差し引いて2035年の自己資本にした。Webの2026年10月23日時価総額約87.8億ドルと台帳90.4億ドルの差は、株数約8,267万対8,500万による約3%である。米国ではASC842でリースの負債計上が既に済んでおり、借入以外の固定支払も悲観の採算に含む。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%に、景気循環、価格交渉力、買収後の借金、製品寿命の4項目からquality+0.75%を加えた。財務の持続が疑わしいほどではないためdistress上乗せは0。買収の統合や電動化の具体的な失敗はシナリオと確率に表す。