結論
ノースロップ・グラマンは、ステルス爆撃機 B-21、大陸間弾道ミサイル Sentinel、AESA レーダーや電子戦、軍用衛星と固体ロケットモーター(SRM)を作る米国第 3〜4 位の防衛主契約者である。2025 年の売上は 420 億ドル、営業利益 45 億ドル、GAAP 純利益 42 億ドル。2026 年 4〜6 月期の売上は 109 億ドル(+5%)、純受注 200 億ドル、受注残は史上最高の 1,047 億ドルで、通期の売上見通しを 440 億ドル前後、部門の営業利益を 49 億ドル前後に置く。
この会社の特色は、B-21 と Sentinel の 2 つで米国の戦略抑止の次の世代を独占することと、その代わりに固定価格の開発・初期量産で損失を出しやすいこと。B-21 は 2023 年と 2025 年に合わせて約 20 億ドルの損失を出し、2026 年 4〜6 月期も AARGM-ER と GEM 63XL の見積り増で利益率が下がった。部門の利益率は 10〜11% で、ロッキード・マーチンと並ぶ薄さである。
バリュー投資の観点では、事業は 10 年後も必ず存在し、今より強い。ただし利益率は低く、固定価格の損失が繰り返されてきた。セグメントごとに市場 × シェア × 価格で積み上げると、中立の純利益は 2028 年に 48 億ドル、2035 年に 75 億ドル。利益ベースの正当化 PER(k 7.75%・g 4%・ROE 25〜30%・RONIC 約 19%・上限 21.1 倍)の 8.5 割、17.9 倍を置くと、確率で加重した本質価値は今の時価総額を 2 割弱上回る(やや割安)。この結果は k − g が 3.75% と小さく、k が 1% 上がると上限と割り引きの両方が動いて差が縮むため、安全域の数字は割り引いて読む必要がある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。ある。B-21 は 100 機超が数十年飛び、Sentinel は 2070 年代まで米国の ICBM の核を担う。この 2 つを一手に持つ地位は、予算が決まれば長い期間の売上が見える意味で最も強い堀に近い。
次にオーナー利益。2026 年の調整後 FCF 見通し 31〜35 億ドルは、今の時価総額 約 750 億ドルに対し利回り 4.4%、国債の 5% を下回る。この水準から見ると今の値段は割安ではない。利益ベースの式では、k 7.75%・g 4%・ROE 25〜30% の上限 21.1 倍の 8.5 割、17.9 倍を 2035 年の中立の純利益 75 億ドルに掛けると、10 年後の時価総額は今の約 1.8 倍になる。ただし k − g が 3.75% と小さく、k が 1 ポイント上がれば上限は約 17 倍まで縮み、割り引きも重くなる。つまり計算の結果が割安寄りでも、その大きさは割引率の置き方への依存が強く、安全域の証拠としては弱い。
資本配分は評価が分かれる。配当は堅実だが、B-21 の損失を出した固定価格契約を取りに行く姿勢、2019〜2024 年の自社株買いが利益の変動期に高値で進んだ点は割引く。予測しやすさは中程度で、受注残は見えやすいが利益率は EAC で揺れる。確信度は中程度。
何で稼ぐ会社か
航空システム(AS、2025 年の売上 130 億ドル)は、B-21 レイダー(初期生産 5 ロット、空軍は 100 機超へ増やすかを年内に決める見通し。生産を 25% 増やす合意に基づき約 25 億ドルを複数年で投資)、F-35 の中央胴体、E-130J、MQ-4C トライトンなど。2025 年は B-21 の損失 4.77 億ドルで利益率 6.3%、2026 年は売上 約 140 億ドル・利益率 9% 台半ば〜後半の見通し。
防衛システム(DS、同 80 億ドル)は、Sentinel(受注残に 2026 年 4〜6 月期で 76 億ドルが加わった)、AARGM-ER・SiAW などのミサイル、IBCS 指揮統制システム、固体ロケットモーター。PAC-3 用の SRM は認定が済み、ロッキード・国防総省と 20 億ドルの枠組み契約を結び、複数年契約 10 件で 7 年に最大 100 億ドルの売上機会がある。ミッション・システムズ(MS、同 125 億ドル、利益率 14.6%)は、F-35 や F-16・F-18 の AESA レーダー、電子戦、海軍の航法・艦載システムで、最も利益率が高い。宇宙システム(SS、同 108 億ドル)は、国家安全保障向けの衛星・センサー、GEM 63XL などの SRM、Golden Dome の宇宙配備迎撃体(SBI)の実証。国家安全保障向けの宇宙事業は 2026 年に 70 億ドル超、売上の 15% 超。
売上の約 85% が米政府で、価格は固定価格(開発・初期生産)と実費加算(量産・運用)の混在。部門間の取引(約 5%)を除くと各部門は上の売上の約 95% になる。ほかに FAS/CAS の年金調整(営業利益 2.6 億ドル)と非営業の年金収益(5.4 億ドル)が利益に入る。
優良さと弱いところ
堀は 4 つある。第一に、唯一の供給者という地位。B-21 は世界で唯一の運用中のステルス長距離爆撃機計画、Sentinel は米国の ICBM の唯一の後継計画で、競合が入る余地がほぼ無い。第二に、機密と認証。ステルス製造と戦略ミサイルの製造は施設・人・手順の認証に何年もかかる。第三に、固体ロケットモーターの規模。ノースロップは大型の SRM で世界有数の能力を持ち、PAC-3・SM-3・GMLRS など他社のミサイルにも部品を出す。第四に、顧客が米政府でほぼ決まった予算と長期契約に守られる点。
弱い点は 3 つ。1 つは固定価格の開発契約で、B-21 の LRIP は 2023 年に 15.6 億ドル、2025 年に 4.77 億ドルの損失を出した。Sentinel も 2024 年に費用が当初の見積りを約 8 割超えて見直しになった。2 つめは部門の利益率が 10% 前後と薄く、EAC(見積り調整)で四半期ごとに 1〜2 ポイント揺れる。3 つめは、2025 年の F-47(次世代戦闘機)を落とすなど、新しい大型計画を取れない年があること。
数字では、営業利益率は 2014 年の 13.3% から 2023 年の 6.5% まで落ち、2024〜2025 年に 10〜11% へ戻った。ROE は 25%(自社株買いで自己資本が小さい分が効く)。経営陣(ケイシー・ウォーデン CEO)は 2019 年のオービタル ATK 買収で SRM を取り込み、2022 年に訓練事業を売却し、受注残と国際売上の拡大に資源を寄せてきた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の防衛は、2027 年度の要求が総額 1.5 兆ドル(基礎 約 1.15 兆ドル+調整予算 約 3,500 億ドル、2026 年比 +44%)と、冷戦後で最大になる局面にいる。調達と研究開発の合計は約 3,000 億ドル(推定)で、弾薬 12 品目・造船・Golden Dome・戦略抑止(B-21・Sentinel)が柱。ただし調整予算は別の法案で、成立は確定でない。ノースロップの会社見通しは「基礎予算で主要計画が足りており、追加予算への依存は小さい」と説明する。
競争は寡占。大手 5 社(ロッキード・マーチン、RTX、ノースロップ・グラマン、ゼネラル・ダイナミクス、ボーイング)が主契約を分け、政府が唯一の顧客。ノースロップの固有の戦場は、①戦略(B-21・Sentinel):競合なし、②固体ロケットモーター:L3ハリス(エアロジェット)が最大の競合で、アンドゥリルが 450 エーカー超の工場を持ち、ウルサ・メジャーも参入、③宇宙:Golden Dome の SBI は宇宙軍が 2026 年 4 月に 12 社へ 20 契約(最大 32 億ドル)を出した賞金型競争で、スペース X が最大の競合、④センサー・電子戦:RTX・L3ハリス・BAE。
リスクは、財政赤字と金利 5% の利払いによる予算の凍結(2011〜2015 年の予算管理法の例)と、新興企業(アンドゥリル・パランティア・スペース X)への装備更新の移行。受注残は固定価格の開発が多く、損失が出やすい。
資本政策と M&A
資本配分は、配当・設備投資・自社株買いの順に変わってきた。2025 年は設備投資 14.5 億ドル、配当 13 億ドル、自社株買い 16 億ドル。2026 年上期は自社株買いを 0.68 億ドル(前年同期 8.9 億ドル)に絞り、B-21 の増産投資(約 25 億ドルを複数年)と 2026 年の設備投資 18.5 億ドル、2027〜2028 年は売上の約 4.5% を優先している。会社は自社株買いの方針に触れなかった。
借金は長期債務 約 144 億ドル(流動分を含めて約 152 億ドル)、現金 23 億ドル、純負債は約 135 億ドル(時価総額の 18%)。借り換えのたびに金利が上がり、2025 年の支払利息は 6.7 億ドル。年金は FAS/CAS の調整と非営業の年金収益 5.4 億ドルが利益に入り、MTM(時価評価)の損益は年によって数億ドル動く。
M&A は、2018 年のオービタル ATK(約 90 億ドル)で SRM と宇宙を取り込んだ以降は大型を控え、2022 年に訓練事業を売却した。次の焦点は、B-21 の増産・Sentinel の量産・SRM の能力(ユタに新工場、豪州に現地製造)への投資と、国際売上を 2031 年に年 100 億ドルへ上げる目標。これらは設備投資として扱い、買収は筋書きに入れていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
受注残は史上最高の 1,047 億ドル、受注倍率 1.25 倍で、売上は年 7% で伸びる土台がある。B-21 は唯一のステルス爆撃機で、空軍は 100 機超への拡大と生産の 25% 増を進め、Sentinel は 2027 年の初飛行へ進み、76 億ドルの追加受注が入った。損失の出た LRIP の次のロットからは、開発から量産へ構成が移り、部門の利益率が 10% から 12% へ上がる。固体ロケットモーターは PAC-3・THAAD・SM-6 の増産で複数年契約 10 件・7 年で最大 100 億ドルの売上機会があり、L3ハリスとアンドゥリルが入っても大型・戦略用は先行している。Golden Dome の予算は 2026 年 4〜6 月期から契約に反映され、宇宙配備迎撃体と宇宙センサーで契約を取れば宇宙のシェアは 7% 台へ上がる。国防予算は名目で年 5〜7% 伸び、民間の景気と関係なく続く。利益ベースの倍率で 2035 年の純利益 75〜94 億ドルを割り引くと、今の値段を上回る価値になる。
慎重な見方
利益率が薄く、固定価格の損失が繰り返されている。B-21 は 2023 年 Q4 に 15.6 億ドル、2025 年 Q1 に 4.77 億ドルの損失を出し、2026 年 Q2 も AARGM-ER の量産コストと SiAW の費用、GEM 63XL の見積り増で防衛システムと宇宙の利益率が 7.5%・8.6% に落ちた。Sentinel は 2024 年に費用が約 8 割超え、設計の見直しで総額は 1,410 億ドル級になっている。新しい計画を取れない年もあり、F-47 はボーイングが取った。SRM は L3ハリス・アンドゥリル・ウルサ・メジャーの参入で独占でなくなる。Golden Dome の宇宙配備迎撃体は賞金型で、12 社が分け合い、スペース X が最大の競合になる。財政赤字と金利 5% の中で予算が凍結される恐れがあり、過去の予算管理法(2011〜2015 年)では調達が実質で約 25% 減った。時価総額 約 740 億ドルは、2026 年の純利益 約 41 億ドルの 18 倍で、国債の 5% を下回る FCF 利回り 4.4%。式の倍率の上限(約 21 倍)は k の置き方に依存し、k が 1 ポイント上がれば約 17 倍まで縮み、割り引きも重くなる。
どちらに重みを置いたか
事業の質と受注残は強気の見方が強く、固定価格の損失の履歴と k の置き方が生む倍率の振れは慎重な見方が強い。式どおりの結果は今の値段を 2 割弱上回る程度で、k の 1 ポイントで差が消える。確率は、中立を 10 年 34% に厚く置き、楽観とやや楽観を 28%、やや悲観と悲観を 38% と、損失の履歴から悲観側を厚くした。結論は「優れた事業を、式の上ではやや安く買えるが、割引率への依存が大きく安全域は見かけより小さい」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 828.88 ドル1,192 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 316.37 ドル455 億ドル)。 今の値に割り戻すと 610.76 ドル878 億ドル、今との差 +10.6%、 期待の年率 +7.6%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,328 ドル1,910 億ドル | 358.83 ドル516 億ドル | +205.4% | +11.8% | 134.95 ドル194 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 1,125 ドル1,618 億ドル | 352.57 ドル507 億ドル | +167.5% | +10.3% | 295.54 ドル425 億ドル |
| 中立 | 34% | 936.37 ドル1,347 億ドル | 337.97 ドル486 億ドル | +130.7% | +8.7% | 433.28 ドル623 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 585.47 ドル842 億ドル | 289.29 ドル416 億ドル | +58.4% | +4.7% | 209.94 ドル302 億ドル |
| 悲観 | 14% | 276.70 ドル398 億ドル | 234.35 ドル337 億ドル | −7.5% | −0.8% | 71.55 ドル103 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 828.88 ドル1,192 億ドル | 316.37 ドル455 億ドル | +107.3% | +7.6% | 1,145 ドル1,647 億ドル |
今の株価時価総額 552.35 ドル794 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:B-21 の拡張・Sentinel 量産・宇宙で次世代の柱が育つ 利益 94 億ドル · PER 20.2 倍 · 株価時価総額 1,328 ドル1,910 億ドル
2035 年、B-21 は 100 機超へ計画が拡大して長期の量産、Sentinel は 400 発超の量産、宇宙は Golden Dome の主契約の一部を取り、売上は 887 億ドル(名目で 2025 年の 2.1 倍、うち価格は 1.41 倍)。国際売上は年 100 億ドル超(会社目標)。営業利益 117 億ドル(13.2%。開発から量産へ構成が移る分)、純利益 94 億ドル。10 年間の還元は 516 億ドル、増資は無い。競合と照らすと、ロッキードの F-35 が成熟して減る間も、ノースロップは B-21・Sentinel・宇宙で次の世代の柱を持ち、シェアは 2025 年より上がる。競合の利益率(10% 前後)を上回る。
- 航空システム(AS):数量 4,032(世界の軍用機の新造・整備・改修の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 6.5%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 262 億ドル・営業利益 31 億ドル。市場 4032 億ドル × シェア 4.60% × 価格 1.41 倍
- 防衛システム(DS):数量 3,106(世界のミサイル・弾薬・火器管制・戦略ミサイルの市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 5.9%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 184 億ドル・営業利益 22 億ドル。市場 3106 億ドル × シェア 4.20% × 価格 1.41 倍
- ミッション・システムズ(MS):数量 3,200(世界の軍用センサー・電子戦・指揮統制・海軍システムの市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 6.8%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 217 億ドル・営業利益 35 億ドル。市場 3200 億ドル × シェア 4.80% × 価格 1.41 倍
- 宇宙システム(SS):数量 2,220(世界の軍用宇宙(衛星・打ち上げ・地上)と関連の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 10.2%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 225 億ドル・営業利益 28 億ドル。市場 2220 億ドル × シェア 7.20% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 32.0%(この筋書きの純利益 94.4 ÷ 自己資本 295 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 7.8%(基本 8.0% + quality -0.2%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 19.9%(堀は普通:B-21 と Sentinel は事実上の独占だが、固定価格の損失の履歴と新興の参入があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=B-21・Sentinel・宇宙の防衛需要の数量(実質年 1.5〜2%)+ 契約価格の物価 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=21.3 倍に対し、95% の 20.2 倍に置いた(予算が最大で通り B-21 の拡張と Golden Dome が重なる筋書きだが、固定価格の損失リスクが残るので 9.5 割)。時価総額=純利益 94.4 億ドル × 20.2 倍=1910 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:B-21 の拡張・Sentinel 量産・Golden Dome の主契約が重なり、利益率も 13% 台へ上がる展開。10 年は不確実なので 8%。
やや楽観 20% やや楽観:B-21 と Sentinel の量産が計画どおり進む 利益 84 億ドル · PER 19.2 倍 · 株価時価総額 1,125 ドル1,618 億ドル
2035 年、B-21 と Sentinel の量産で航空・防衛システムが伸び、宇宙は国家安全保障向けが高い一けた成長。売上は 830 億ドル、営業利益 105 億ドル(12.6%)、純利益 84 億ドル。10 年間の還元は 507 億ドル、増資は無い。競合と照らすと、L3ハリスとアンドゥリルが固体ロケットモーターで増えても、大型品の認定と過去の実績でシェアは 4.0〜4.75% に保つ。B-21 は損失の出た初期ロットを越えて通常の量産の利益率に入り、航空は 11% 台、宇宙は Golden Dome の一部の契約で 12% 近くへ上がる。国際売上は 2031 年の目標(年 100 億ドル)に近づく。
- 航空システム(AS):数量 3,840(世界の軍用機の新造・整備・改修の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 6.3%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 244 億ドル・営業利益 28 億ドル。市場 3840 億ドル × シェア 4.50% × 価格 1.41 倍
- 防衛システム(DS):数量 2,960(世界のミサイル・弾薬・火器管制・戦略ミサイルの市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 5.6%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 167 億ドル・営業利益 19 億ドル。市場 2960 億ドル × シェア 4.00% × 価格 1.41 倍
- ミッション・システムズ(MS):数量 3,108(世界の軍用センサー・電子戦・指揮統制・海軍システムの市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 6.7%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 208 億ドル・営業利益 33 億ドル。市場 3108 億ドル × シェア 4.75% × 価格 1.41 倍
- 宇宙システム(SS):数量 2,136(世界の軍用宇宙(衛星・打ち上げ・地上)と関連の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 9.9%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 211 億ドル・営業利益 25 億ドル。市場 2136 億ドル × シェア 7.00% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 32.0%(この筋書きの純利益 84.4 ÷ 自己資本 264 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 7.8%(基本 8.0% + quality -0.2%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 19.9%(堀は普通:B-21 と Sentinel は事実上の独占だが、固定価格の損失の履歴と新興の参入があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=B-21・Sentinel・宇宙の防衛需要の数量(実質年 1.5〜2%)+ 契約価格の物価 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=21.3 倍に対し、90% の 19.2 倍に置いた(受注残が売上に変わり利益率が 12% へ上がる筋書き)。時価総額=純利益 84.4 億ドル × 19.2 倍=1618 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:B-21 と Sentinel の量産が計画どおり進み、宇宙も伸びる展開。2 割。
中立 34% 中立:市場は実質年 2%、シェア横ばい、利益率 12% 台 利益 75 億ドル · PER 17.9 倍 · 株価時価総額 936.37 ドル1,347 億ドル
2035 年、国防予算は名目で年 5%(実質 1.5%)、ノースロップの市場は実質で年 2% 前後、シェアは 2025 年とほぼ同じで、売上は 764 億ドル(2025 年の 1.8 倍、価格だけで 1.41 倍)。航空は 222 億ドル・11.0%(B-21 が損失ロットから通常の量産の利益率へ)、防衛システム 155 億ドル・11%、ミッション・システムズ 194 億ドル・15.2%、宇宙 193 億ドル・11.5%。営業利益 94 億ドル(12.3%)、純利益 75 億ドル。10 年間の還元は 486 億ドル、増資は無い。競合と照らすと、航空と戦略は事実上の独占だが、ミサイル・宇宙は寡占の中の 1 社として利益率 10% 台を保つ。
- 航空システム(AS):数量 3,657(世界の軍用機の新造・整備・改修の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 6.1%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 222 億ドル・営業利益 24 億ドル。市場 3657 億ドル × シェア 4.30% × 価格 1.41 倍
- 防衛システム(DS):数量 2,821(世界のミサイル・弾薬・火器管制・戦略ミサイルの市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 5.5%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 155 億ドル・営業利益 17 億ドル。市場 2821 億ドル × シェア 3.90% × 価格 1.41 倍
- ミッション・システムズ(MS):数量 2,988(世界の軍用センサー・電子戦・指揮統制・海軍システムの市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 6.5%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 194 億ドル・営業利益 30 億ドル。市場 2988 億ドル × シェア 4.60% × 価格 1.41 倍
- 宇宙システム(SS):数量 2,016(世界の軍用宇宙(衛星・打ち上げ・地上)と関連の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 9.6%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 193 億ドル・営業利益 22 億ドル。市場 2016 億ドル × シェア 6.80% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 30.5%(この筋書きの純利益 75.1 ÷ 自己資本 246 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 7.8%(基本 8.0% + quality -0.2%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 19.1%(堀は普通:B-21 と Sentinel は事実上の独占だが、固定価格の損失の履歴と新興の参入があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=B-21・Sentinel・宇宙の防衛需要の数量(実質年 1.5〜2%)+ 契約価格の物価 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=21.1 倍に対し、85% の 17.9 倍に置いた(B-21 と Sentinel という核抑止の 2 本柱の質は高いが、利益率は 10% 台前半と薄く、上限すれすれには置かない)。時価総額=純利益 75.1 億ドル × 17.9 倍=1346 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:予算が名目で年 5% で伸び、シェアが横ばいの落としどころ。強気と慎重の見方の中間で最も厚く置いた。
やや悲観 24% やや悲観:B-21 が 100 機で止まり、競争で利益率が 10% へ 利益 54 億ドル · PER 15.6 倍 · 株価時価総額 585.47 ドル842 億ドル
2035 年、B-21 は 100 機で打ち止め、Sentinel は費用の見直しで縮小、固体ロケットモーターは価格競争、宇宙はスペース X が Golden Dome の主要部分を取る。売上は 651 億ドル、営業利益 69 億ドル(10.6%)、純利益 54 億ドル。10 年間の還元は 416 億ドル、増資は無い。競合と照らすと、シェアは 2025 年より 0.1〜0.8 ポイント下がり、利益率は固定価格の損失ロットが残って 9〜10% にとどまる。ミッション・システムズは RTX・L3ハリスとの競り合いで 14% に下がり、宇宙の国家安全保障向けは新興との分け合いで伸びが鈍る。国際売上の目標(年 100 億ドル)は届かない。
- 航空システム(AS):数量 3,314(世界の軍用機の新造・整備・改修の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 5.6%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 187 億ドル・営業利益 17 億ドル。市場 3314 億ドル × シェア 4.00% × 価格 1.41 倍
- 防衛システム(DS):数量 2,560(世界のミサイル・弾薬・火器管制・戦略ミサイルの市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 5.1%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 130 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場 2560 億ドル × シェア 3.60% × 価格 1.41 倍
- ミッション・システムズ(MS):数量 2,817(世界の軍用センサー・電子戦・指揮統制・海軍システムの市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 6.2%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 175 億ドル・営業利益 25 億ドル。市場 2817 億ドル × シェア 4.40% × 価格 1.41 倍
- 宇宙システム(SS):数量 1,828(世界の軍用宇宙(衛星・打ち上げ・地上)と関連の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 8.7%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 160 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場 1828 億ドル × シェア 6.20% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 24.2%(この筋書きの純利益 54.0 ÷ 自己資本 223 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 7.8%(基本 8.0% + quality -0.2%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 16.0%(堀は普通:B-21 と Sentinel は事実上の独占だが、固定価格の損失の履歴と新興の参入があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=B-21・Sentinel・宇宙の防衛需要の数量(実質年 1.5〜2%)+ 契約価格の物価 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=20.0 倍に対し、78% の 15.6 倍に置いた(固定価格契約の損失が続き利益率が 10% へ下がる筋書き)。時価総額=純利益 54.0 億ドル × 15.6 倍=842 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:B-21 が 100 機で止まる・Sentinel が縮む・固体ロケットモーター競争・宇宙の新興への移行のうち 1〜2 つが起きる展開。固定価格契約の履歴から 24%。
悲観 14% 悲観:新興に取られ、固定価格の損失が出やすい普通の主契約者へ 利益 34 億ドル · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 276.70 ドル398 億ドル
2035 年、構造的に負ける。B-21 の拡張が無く Sentinel も縮小し、Golden Dome の主契約を新興(スペース X・アンドゥリル・パランティア)が取り、固体ロケットモーターは L3ハリス・アンドゥリルとの価格競争で値下がり。市場は実質でほぼ横ばい、シェアは 3.2〜5.5% に下がる。売上は 529 億ドル(名目 2025 年の 1.26 倍)、営業利益 45 億ドル(8.6%)、純利益 34 億ドル。10 年間の還元は 337 億ドル、増資は無い。競合と照らすと、もう優良な寡占ではなく、固定価格の開発で損失が出やすい普通の主契約者になる。
- 航空システム(AS):数量 3,000(世界の軍用機の新造・整備・改修の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 5.1%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 152 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 3000 億ドル × シェア 3.60% × 価格 1.41 倍
- 防衛システム(DS):数量 2,209(世界のミサイル・弾薬・火器管制・戦略ミサイルの市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 4.5%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 100 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 2209 億ドル × シェア 3.20% × 価格 1.41 倍
- ミッション・システムズ(MS):数量 2,628(世界の軍用センサー・電子戦・指揮統制・海軍システムの市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 5.6%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 148 億ドル・営業利益 18 億ドル。市場 2628 億ドル × シェア 4.00% × 価格 1.41 倍
- 宇宙システム(SS):数量 1,657(世界の軍用宇宙(衛星・打ち上げ・地上)と関連の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 7.8%(ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 129 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 1657 億ドル × シェア 5.50% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 16.7%(この筋書きの純利益 34.1 ÷ 自己資本 204 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 7.8%(基本 8.0% + quality -0.2%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 12.2%(堀は普通:B-21 と Sentinel は事実上の独占だが、固定価格の損失の履歴と新興の参入があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=B-21・Sentinel・宇宙の防衛需要の数量(実質年 1.5〜2%)+ 契約価格の物価 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=17.9 倍に対し、65% の 11.7 倍に置いた(新興に取られ固定価格の損失が出やすい普通の主契約者になる筋書き。2035 年の利益率 8.6% がなお下り坂で、純利益 34.1 億ドル÷ k の稼ぐ力 440 億ドル(12.9 倍)をさらに下回る 11.7 倍に置いた)。時価総額=純利益 34.1 億ドル × 11.7 倍=398 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:複数の構造的な負けが重なり優良な寡占でなくなる展開。顧客が政府 1 つで予算の変動に弱く、新興の台頭もある。14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
航空システム(AS)
B-21 爆撃機、F-35 の中央胴体、E-130J、MQ-4C トライトン、無人機などの軍用機の開発・生産・改修。
| 数量世界の軍用機の新造・整備・改修の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,000 | 4.1% | 123 | 8 |
| 10 年後 中立 | 3,657 | 6.1% | 222 | 24 |
取り方:2025 年の売上 129.9 億ドル(部門間取引を除いて 123.1 億ドル)。市場は LMT の航空と同じ約 3,000 億ドル(推定。米国と同盟国の軍用機の調達と整備・改修)にシェア 4.1%。営業利益は部門間を除いて 7.6 億ドル(利益率 6.2%)で、B-21 の LRIP 損失 4.77 億ドルを含む。2026 年は売上 約 140 億ドル、利益率 9% 台半ば〜後半の見通し(4〜6 月期は売上 +13%・10.3%)。競合:ロッキード・マーチン(F-35)、ボーイング(F-47・F-15EX)、アンドゥリルなどの無人機。
防衛システム(DS)
Sentinel(ICBM)、AARGM-ER・SiAW などのミサイル、IBCS 指揮統制、固体ロケットモーター(SRM)、運用支援。
| 数量世界のミサイル・弾薬・火器管制・戦略ミサイルの市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,000 | 3.8% | 76 | 8 |
| 10 年後 中立 | 2,821 | 5.5% | 155 | 17 |
取り方:2025 年の売上 80.0 億ドル(部門間を除いて 75.8 億ドル)、営業利益 8.7 億ドル(部門間を除いて 8.1 億ドル・10.7%)。市場は LMT のミサイル・火器管制と同じ約 2,000 億ドル(推定)にシェア 3.8%。2026 年は売上 80 億ドル台半ば〜後半、利益率 約 10%(4〜6 月期は AARGM-ER の量産コスト増と SiAW の費用 0.68 億ドルで 7.5%)。競合:ロッキード・マーチン(PAC-3・THAAD)、RTX、L3ハリス(エアロジェット)、アンドゥリル。
ミッション・システムズ(MS)
AESA レーダー、電子戦、C4ISR、海軍の航法・艦載システム、サイバー。
| 数量世界の軍用センサー・電子戦・指揮統制・海軍システムの市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,500 | 4.7% | 119 | 17 |
| 10 年後 中立 | 2,988 | 6.5% | 194 | 30 |
取り方:2025 年の売上 125.1 億ドル(部門間を除いて 118.5 億ドル)、営業利益 18.3 億ドル(部門間を除いて 17.0 億ドル・14.4%)。市場は LMT の回転翼・ミッションシステムと同じ約 2,500 億ドル(推定)にシェア 4.7%。2026 年は売上 120 億ドル台後半、利益率 約 15%(4〜6 月期 15.4%)。競合:RTX(レイセオン)、L3ハリス、BAE システムズ、ロッキード・マーチン。
宇宙システム(SS)
軍用衛星・センサー、打ち上げ機、GEM 63XL などの固体ロケットモーター、極超音速・ミサイル防衛の宇宙配備。
| 数量世界の軍用宇宙(衛星・打ち上げ・地上)と関連の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ノースロップのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,500 | 6.8% | 102 | 11 |
| 10 年後 中立 | 2,016 | 9.6% | 193 | 22 |
取り方:2025 年の売上 107.7 億ドル(部門間を除いて 102.1 億ドル)、営業利益 11.8 億ドル(部門間を除いて 11.0 億ドル・10.8%)。市場は LMT の宇宙と同じ約 1,500 億ドル(推定)にシェア 6.8%。2026 年は売上 約 110 億ドル、利益率 10% 台前半(4〜6 月期は GEM 63XL の見積り増 0.91 億ドルで 8.6%)。競合:スペース X、ロッキード・マーチン、ボーイング、L3ハリス、ブルー・オリジン。
リスクと懸念
固定価格の開発契約の損失(B-21・Sentinel)
B-21 の LRIP は 2023 年 Q4 に 15.6 億ドル、2025 年 Q1 に 4.77 億ドルの損失を出した。Sentinel も 2024 年に費用が約 8 割超えて設計の見直しになった。後続のロットや追加の改修で再び損失が出ると、航空と防衛システムの利益率が 2〜3 ポイント下がり、純利益が 10〜20% 動く。
見積り調整(EAC)による四半期ごとの利益率の揺れ
2026 年 4〜6 月期は AARGM-ER の量産コスト増・SiAW で 0.68 億ドル、GEM 63XL で 0.91 億ドルの不利な調整が出て、防衛システムと宇宙の利益率が 7.5%・8.6% に落ちた。量産への移行期は見積りの精度が低く、同じ事が続く恐れがある。
予算の凍結と調整予算の不成立
2027 年度の要求 1.5 兆ドルのうち約 3,500 億ドルは別の法案で、成立は確定でない。財政赤字と金利 5% の利払いで予算が凍結されると、2011〜2015 年の予算管理法のように調達が実質で約 25% 減る。ただし会社は基礎予算で主要計画が足りると見る。
固体ロケットモーターと宇宙の競争(L3ハリス・アンドゥリル・スペース X)
SRM はエアロジェットを持つ L3ハリスに加え、アンドゥリルとウルサ・メジャーが能力を増やす。Golden Dome の宇宙配備迎撃体は賞金型で、12 社が分け合う。スペース X が主導すると、ノースロップの宇宙のシェア(今 6.8%)が下がり、SRM の価格が下がる。
新計画を取れないリスクと戦略計画の縮小
2025 年に F-47 をボーイングが取ったように、大型計画は 1 社が総取りする。B-21 が 100 機で止まる、Sentinel が縮小される、F/A-XX などの新型機を取れない、といった展開では、10 年後の売上の柱が太らない。
倍率の式が資本コストに強く依存
式の倍率の上限は k 7.75% で約 21 倍だが、k − g が 3.75% と小さいため、k が 8.75% なら約 17 倍まで縮み、割り引きも重くなる。
年金・利払い・税の変動
FAS/CAS と非営業の年金収益 5.4 億ドル、MTM 損益、借り換えによる利払いの増加(2025 年の支払利息は 6.7 億ドル)、税率の変動(2026 年 4〜6 月期は不確実な税務の再評価で 6.3%)が、純利益を事業と関係なく数億ドル動かす。
今後の分かれ目
- 空軍が B-21 の計画を 100 機超へ広げ、生産の 25% 増が定着したら
- 航空システムの数量が増え、10 年のシェアは 4.3% から 4.5% へ。やや楽観・楽観の確率を上げる。
- B-21 または Sentinel で追加の損失・費用超過が公表されたら
- 航空・防衛システムの利益率の置き方を 2〜3 ポイント下げ、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- Golden Dome の宇宙配備迎撃体・宇宙センサーで主要契約を取ったら
- 宇宙のシェアを 6.8% から 7% 台へ。楽観の確率を上げる。取れなければ、宇宙のシェアは下がる。
- 調整予算(約 3,500 億ドル)が成立せずつなぎ予算が続いたら
- 市場の実質の伸びを 2〜3% から 1〜2% へ下げ、やや悲観の確率を上げる。
- L3ハリスやアンドゥリルが PAC-3・SM-6 などの SRM の主要な発注を取ったら
- 防衛システムのシェアを下げ、SRM の価格を物価並み未満へ置く。やや悲観を厚くする。
- k が 8.75% に上がったら
- 式の倍率の上限が約 17 倍へ縮み、割り引きも重くなって本質価値は 1 割ほど下がる。結論は適正に近づく。
見ておくもの
- 2026 年 10 月下旬の 7〜9 月期決算(防衛システム・宇宙の EAC、部門の利益率、2027 年の見通し)
- B-21 の計画拡大の決定(年末まで)、LRIP の後続ロットの契約の形、損失の追加の有無
- Sentinel の 2027 年の初飛行、費用の見直しの再公表、ユタの新工場の稼働
- Golden Dome の選定(2026 年後半〜2027 年初)、宇宙配備迎撃体の実証、スペース X・アンドゥリルの動き
- 2027 年度予算と調整予算の成立、固体ロケットモーターの複数年契約の発注(今年後半)
- 自社株買いの再開、純負債の動き、年金の MTM
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額(約 750 億ドル)や PER 18 倍を見る前に、セグメントごとに市場 × シェア × 物価指数で売上を積み、利益率と利払い・年金から 2035 年の純利益を出した。倍率は利益ベースの正当化 PER((1−g÷RONIC)÷(k−g)、k 7.75%=基本 8.0% + quality −0.25%、g 4%、RONIC=k+1/2×(事業の ROE−k)、moat 普通)の 6.5〜9.5 割(10 年の中立は上限 21.1 倍の 8.5 割で 17.9 倍)に置いた。B-21 と Sentinel の質は高いが利益率は 10% 台前半で、固定価格の損失の履歴があるので上限すれすれにはしていない。悲観は 10 年の還元と合わせても今の時価総額を下回る位置(稼ぐ力 12.9 倍より低い 11.7 倍)に置いた。同じ領域の LMT・GD・RTX と k の組み立てを揃えた。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 5% + β 0.60 × 5%。k=基本 8.0% + quality −0.25% = 7.75%。政府が唯一の顧客で受注残が厚い安定を −0.25% で認めた。B-21 の損失・予算の凍結・新興の台頭・Golden Dome の競争は k に足さず、筋書きと確率(やや悲観・悲観 38%)で表した。