結論
オクロは高速中性子炉「オーロラ」を開発し、自ら発電所を建てて電気を売ろうとする企業である。筆者の結論は「割高」だ。まだ商用売電の実績がないのに、現在の値段は大規模な建設と長期の利益を相当程度先取りしている。
2025年の売上はゼロ、営業損失は1.4億ドルだった。2026年6月末には現預金と換金可能な債券が約30.1億ドルに増えたが、これは主として株式発行による。2026年4〜6月期の売上0.0121億ドルは買収した工学・製造会社から生じ、原子炉の売電ではない。第3四半期の決算発表は11月6日の予定であり、10月28日現在の直近確報は第2四半期だ。
前進も本物だ。2026年にはアイダホの発電炉で安全評価が進み、テキサスの試験炉グローブズは初臨界に達した。メタとはオハイオ州で最大1.2GWの電源開発を支援する前払い協定を結んだ。しかし試験炉と商用炉は別であり、スイッチとの12GWの基本合意も拘束力のない枠組みだ。
10年後は発電設備の稼働量、売電単価、建設費、株主に残る取り分を一緒に見る必要がある。中立では2.4GWまで育っても、設備資金の利息と本社費が大きく、利益は細い。開発に使う現金を余剰資金として二重に足さず、追加増資も正味の還元から引くと、安全域は見つからない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、原子力という壮大な構想より、1基が生涯にいくら現金を残すかを先に問う。電力の需要が10年先にもあることは疑わない。しかしその需要を、未完成の炉で、約束した建設費と工期の内側で取り込めるかは別問題だ。長期契約を結んでも、採算の悪い契約なら堀ではなく重荷になる。
発電所は自社で保有するため、営業利益だけが所有者の利益ではない。燃料交換、定期検査、保険、保安、設備更新、廃炉の積立て、借入金利を払って初めて株主の取り分が残る。とりわけ新型炉の初号機には、予想外の工事費や停止が出やすい。うまくいった後の増分ROICも、工事費が高ければ資本コストを下回りうる。
現在の現金は2026年の大規模増資で厚くなった。しかしその現金は建設と燃料施設のための元手で、使途のない金融資産ではない。営業の利益と現金そのものを別々に高く値付けすると二重計上になる。さらに新株を発行した場合、増えた設備から得る会社全体の価値と引き換えに、旧株主の取り分が減る。
会社にとっての成功と、現在の値段で保有する株主にとっての成功は同じではない。初号機が稼働し、実際の料金・稼働率・建設単価・負債が見えてからでも、長期保有を考える機会はある。筆者は、許認可が進んだだけで10年以上の利益を先取りするより、価値が分かるまで安全域を厚く取る。
何で稼ぐ会社か
柱は、小型高速炉の発電と熱供給である。オーロラは現在15〜75MW級を想定し、将来はさらに大きい型を開発する。既存の炉メーカーと違い、炉の図面や装置を売り切るのではなく、発電所の設計、建設、保有、運転を担って長期の電力購入契約から継続収益を得る構想だ。顧客はデータセンター、軍事施設、工場、電力会社である。売上の数量は稼働MWと年間発電MWh、価格は電気1MWh当たりの契約単価になる。
最大の顧客候補はデータセンター事業者で、メタとの協定はオハイオで最大1.2GW、スイッチの非拘束的な基本契約は2044年までに最大12GWを対象とする。ただし全量が建設承認済みでも、最低購入が確定した売上でもない。アイダホの初号機は2028年の稼働を目標とするが、完成時期・建設総額・実際の稼働率は未知である。
二つ目は核燃料の製造と使用済み燃料の再資源化で、アイダホの試作設備とテネシー州の先進燃料センターを計画する。自社炉向け燃料を内製して外部調達を減らせれば、利益はまず発電部門の原価改善となる。燃料部門の独立した売上は、第三者への製造・再処理受託に限って数える。ここを重ねて売上にしない。
三つ目は2025年に取り込んだアトミック・アルケミーの医療・産業用同位体である。2026年に試験炉は初臨界を達成し、アイダホの放射化学研究所は材料の取扱免許を得た。10月にはグローブズ2でルテチウム177の製造・分離を進める方針を示した。ただし商業規模の連続生産と販売価格は未確認である。2026年6月の設計・精密製造会社2社の買収によって受託工学・製造も加わったが、売上はまだ小さく、5事業の区分は投資分析用であって会社の開示上は単一報告セグメントである。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社が容易にまねできない力は、今は完成していない。政府研究所で長年運転された高速炉の設計知見、原子力用燃料と敷地へのアクセス、許認可を進める経験は参入障壁になりうる。メタの資金前払いの枠組みと国立研究所での先行実績は、まだ実証できていない技術への信頼を少し高めた。
ただし、試験炉グローブズが初臨界に達したことと、商用オーロラが電気を安定販売できることは同じではない。2022年には安全性を示す資料不足で原子力規制委員会から申請を却下された。2026年の主要設計基準の承認とエネルギー省の予備安全評価承認は進歩だが、一般の民間敷地に多数の商用炉を建設する許可の代わりにはならない。
長期契約を結んで稼働炉を積み重ねれば、定期点検と燃料交換の経験がたまり、顧客の切り替え費用も高くなる。それでも売電単価を自力で上げた実績はまだない。ガスタービンや大型原子炉、再エネと蓄電池の組み合わせが同じ顧客を奪い合う。最初の数基で納期とコストが守れなければ、顧客は待ち続けない。
2025年のROEは赤字であり、増分ROICが資本コストを超える証拠もない。研究開発・建設は先に多額の現金を要し、売上が入るまで時間がかかる。2026年の現金増加を利益創出力と取り違えてはいけない。筆者は堀を「弱い」とし、優良な稼働資産を持つ電力会社と同じ確信を与えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要の追い風は大きい。国際エネルギー機関の2026年の見通しでは、世界のデータセンター電力消費は2025年の約485TWhから2030年に約950TWhへ伸びる。年中止められない計算設備に、安定した電源を近接供給する価値は高まる。米国には既に約97GWの原子力設備があるが、これは新規小型炉の市場規模そのものではない。
建設市場の現実はなお厳しい。テラパワーのナトリウム冷却炉は2026年に米当局から建設許可を得て先行し、GEベルノバと日立のBWRX-300はカナダで工事中だ。ニュースケールの77MW設計は米国で承認済みで、エックスエナジー、カイロス・パワーも大手顧客や政府と開発を進める。設備投資の競争相手にはガスタービン、再生可能電源、蓄電池もいる。新設炉市場の販売価格や各社の確定シェアは、稼働案件が少ないため信頼できる統計がない。
そこで2035年に稼働する米国の新規先進炉・高信頼低炭素電源の対象候補を、悲観15GW、中立25GW、楽観40GWと独自に推計する。中立のオクロ2.4GWは約9.6%の獲得に当たり、既に受注確定した量という意味ではない。今から10年で数十基を量産する必要があり、過大な供給能力を先回りして織り込む危険がある。
燃料では高濃度低濃縮ウラン(HALEU)が隘路だ。米政府監査院は2030年までの政府供給が約23.4トンにとどまり、開発会社の要望に届かない恐れを指摘した。セントラスとの契約前の供給意向だけでは燃料は確保できない。同位体も医薬品の需要は伸びるが、既に製造と輸送網を持つITM、エッカート・ツィーグラーなどが優位である。電気も医療用原料も、需要の伸びとオクロのシェア獲得は分けて考える。
資本政策と M&A
資本政策は配当や自社株買いではなく、建設資金を市場から集める段階にある。2025年末の自己資本は14.8億ドル、純現金は12.3億ドルだった。2026年上半期にはATM増資で約18.5億ドルを受け取り、6月末の現金・有価証券は約30.1億ドルとなった。9月にはさらに最大10億ドルのATM発行枠を新設した。枠は発行の義務ではないが、将来の株主負担を示している。
会社の2026年の見通しは営業キャッシュ流出1.2〜1.5億ドルと設備購入4〜5億ドルであり、売上・利益の数量目標の約束はない。テネシー州の核燃料拠点には最大16.8億ドルの構想があり、発電所にはさらに多額の設備投資が必要になる。燃料、土木工事、保険、廃炉費まで含む建設単価が未確定な段階では、目の前の現金を株主に配れる余剰とは扱えない。
2025年にはアトミック・アルケミーを買収し、2026年6月には原子力用精密製造と化学工程設計の2社を合計約0.33億ドルで取得した。工程を内製する判断には合理性があるが、売上を持たないうちに事業と固定費を増やす危険もある。1種類の普通株が上場し、現在発行された優先株はない。経営幹部と取締役の利害関係、株式報酬、将来の新株発行を含め、増資の払い込みを差し引いた正味の株主還元は当面マイナスと考える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
夜間も止められないAIデータセンターにとって、電力を長く安定供給できる原子炉の価値は上がる。メタのオハイオ州1.2GW開発の前払い協定は、顧客が単に関心を示す段階を超え、燃料調達の資金を先に差し出す構造を作った。スイッチとの最大12GWの枠組みが案件ごとの拘束力ある購入契約に変われば、発電所の建設融資も付きやすくなる。
2026年のアイダホでの予備安全評価承認とテキサス試験炉の初臨界は、政府との審査・建設能力を前進させた。初号機が計画に近い費用で稼働し、75MW級の標準設計を繰り返し使えれば、建設単価は大きく下がる。発電所の保有と長期売電契約によって、設備を売って終わる会社より収益が積み上がる。2035年に8GWの設備を持つ姿も、十分に開発が早い場合の上限として考えられる。
テネシー州での燃料再資源化やセントラスとの協力は、他の開発会社が悩む燃料の確保を競争上の強みに変える。アトミック・アルケミーは2026年に試験炉を初臨界に導いた。医療用同位体の国内供給が進めば、発電所の大型工事が遅れた年でも現金を生み出せる。原子力の安全性を実績で示し、外部資金を非遡及の発電所融資へ移せれば、既存株主が全ての建設費を出さずに事業を拡張できる。
こうした条件が揃うと、原子炉の許認可・燃料・運転実績が一体となった堀が生まれる。電気と同位体の双方に顧客がつくため、単なる研究開発会社からインフラ所有者へ転じる可能性は確かにある。
慎重な見方
原子力の需要が本物でも、オクロが利益を得るとは限らない。2026年の売上は買収した工学・製造会社からの少額にとどまり、商用オーロラの運転実績はまだゼロだ。グローブズで初臨界に達したのは低出力の同位体試験炉であり、75MW級の発電所とは安全審査、熱除去、工事量が異なる。2022年の申請却下の経緯も忘れてはいけない。
最初の数基が2028年から2031年にずれ込めば、予定していた稼働容量が10年後にも足りなくなる。テラパワー、GEベルノバ・日立、ニュースケール、エックスエナジーが技術と顧客を競い、天然ガスや蓄電池も導入の早さで勝負する。スイッチの12GWは拘束力ある売上ではなく、メタの前払いも全容量の確定販売を意味しない。意向書の数字を受注残として扱うのは危険だ。
最大の問題は利回りである。原子炉を自社所有するため、建設費が上振れすれば増資・借金・顧客前払いへの依存が増す。金利5%前後の世界では資本コストを下回る低採算の炉を何十基も建てるほど、株主の価値は減る。2026年上半期の18.5億ドルという資金調達そのものが、事業が自力で現金を増やせないことの証拠である。
燃料施設の計画も不確かだ。米政府が2030年までに供給可能と見込むHALEUは需要に足りず、セントラスとの供給協議は確定契約ではない。テネシーの大型施設には許認可・巨額の投資が必要で、内製化が成功しても初期の投下資本を回収できない恐れがある。2026年の医療用同位体の実験成功を、商用製造の利益率に直結させることもできない。
どちらに重みを置いたか
需要の方向については成長の見方が勝るが、投下資本の採算については慎重な見方が勝る。10年先までに原子炉を複製して安定稼働させた実績はなく、拘束力のある販売契約と建設金融も限られる。したがって楽観8%、やや楽観15%、中立28%、やや悲観31%、悲観18%とした。悲観側49%は、技術への懐疑を二重に値引いた数字ではなく、商用化・燃料・資金調達の独立した難所が重なるためである。確率を反映した現在価値は約9.7億ドルで、台帳の時価総額約46.4億ドルに対し約79%低い。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 20.81 ドル37 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 −4.57 ドル−8 億ドル)。 今の値に割り戻すと 5.50 ドル10 億ドル、今との差 −78.2%、 期待の年率 −3.8%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 134.94 ドル238 億ドル | −19.86 ドル−35 億ドル | +355.8% | +14.3% | 9.21 ドル16 億ドル |
| やや楽観 | 15% | 48.26 ドル85 億ドル | −10.21 ドル−18 億ドル | +50.7% | +3.6% | 5.71 ドル10 億ドル |
| 中立 | 28% | 9.19 ドル16 億ドル | −4.54 ドル−8 億ドル | −81.6% | −12.3% | 1.30 ドル2 億ドル |
| やや悲観 | 31% | 0.62 ドル1 億ドル | −0.57 ドル−1 億ドル | −99.8% | −31.9% | 0.02 ドル0 億ドル |
| 悲観 | 18% | 0.04 ドル0 億ドル | 0.00 ドル0 億ドル | −99.8% | −47.2% | 0.01 ドル0 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 20.81 ドル37 億ドル | −4.57 ドル−8 億ドル | −35.7% | −3.8% | 16.24 ドル29 億ドル |
今の株価時価総額 25.25 ドル44 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 楽観:原子炉の標準量産と核燃料・同位体が揃う 利益 21 億ドル · PER 11.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 134.94 ドル238 億ドル
最初のオーロラが予定に近い工期で稼働し、同一設計の建設が標準化される。2035年には稼働8GW、75MW級に換算して約107基となる。米国の新規先進炉・高信頼低炭素電源市場40GWの約20%を獲得する姿で、メタのオハイオ案件とスイッチの枠組みの一部が拘束力ある電力契約に変わる。売電単価150ドル/MWhは物価3.5%の10年分を上回るが、24時間安定供給の希少性が残る。
同位体は原料10万回分を出荷し、年間100万回相当の世界市場で約10%を取る。核燃料の第三者向け加工も150トンへ拡大し、精密製造の外販案件が増える。建設費は量産で1kW当たり約6,500ドルに低下するが、それでも約520億ドルの設備投資が要る。多くを発電所の長期融資と顧客支援で賄い、親会社は追加で約35億ドルの正味資金を調達する。
営業利益は約46.1億ドルになっても、設備借入の利息が約20億ドルかかるため、純利益は約20.5億ドルにとどまる。2026〜30年の準備期の損失を後半の利益で取り戻し、10年累計純利益は35億ドルとする。堀は稼働実績で強くなるが、元手が重く増分利回りは無限には上がらない。
- オーロラ商用売電・熱:数量 8,000(稼働設備容量(MW、稼働率90%を想定))× 価格 150(発電電力量1MWh当たりの契約売電単価(ドル))→ 売上 95 億ドル・営業利益 49 億ドル。市場候補容量×獲得率。年90%の稼働を想定
- 医療・産業用放射性同位体:数量 100,000(年間の同位体原料出荷回数(治療1投与分換算))× 価格 3,500(原料1投与分の販売価格(ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。世界原料需要の投与回数換算×獲得率
- 核燃料加工・再資源化の外販:数量 150(外部顧客から請け負う燃料加工・再資源化数量(トン/年))× 価格 2.00(1トン当たりの外販加工・再処理料(百万ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。第三者向けのみ。自家使用は売上に含めない
- 原子力向け精密製造の外販:数量 25.0(外販製作・試作案件数(年間))× 価格 0.04(案件当たり売上(億ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。外販案件のみ。内部向け製造を除く
- 核技術の設計・工学相談の外販:数量 1.6(第三者向けに請求する設計・相談工数(万時間/年))× 価格 230(1時間当たり請求単価(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェント代替を反映した外販工数
倍率:k=9.5%、当該筋書きのGAAP純利益20.5億ドル/自己資本84.8億ドルで事業ROE=24.17%。商用実績がないためmoat=weak(超過収益が残る割合1/3)、RONIC=k+(ROE−k)/3=14.39%。g=4.0%は2035年以降の設備更新・市場数量と契約価格から出し、k−g=5.5ポイント。10年目利益に掛ける理論値は(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)で、ROEがk以下の場合は1/k=10.53倍に制限する。よって倍率上限13.65倍に対し11.60倍(85%)を使う。発電設備が2035年以降も年10%超で増える場合は、2036〜38年は炉の追加稼働で事業利益が年11〜12%増える一方、RONICを踏まえた再投資を先取りし、2039年以降は名目4%に減速する2段階の成長を考慮し、当面の超過利益を過大な永久倍率にしない。市場の過去のPER・PBRは根拠に使わず、成長の不確実性と多額の維持投資を反映して上限の7〜10割の内側にとどめる。
確率:政府と顧客の支援に加え、初号機の費用・安全審査・燃料確保・資金調達が同時に成功し、8GWの稼働まで到達する必要がある。未達の道筋が多数あるため8%。
やや楽観 15% やや楽観:大手顧客の契約が成立し5GWが稼働 利益 8 億ドル · PER 10.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 48.26 ドル85 億ドル
最初の炉の運転とNRCの商用審査を乗り越え、2035年には5GW、75MW級約67基を稼働させる。先進炉・高信頼低炭素電源の対象市場は35GWまで増え、その約14%を占める。大口契約の一部は取り込むが、テラパワーやGEベルノバ・日立にも市場を譲り、売電単価は140ドル/MWhまでで落ち着く。
燃料の外部加工は80トン、同位体は5万5,000回相当の出荷に達する。後者の想定世界市場は年90万回で、シェアは約6%だ。初期の建設費は重いものの、設計の反復で電力部門の営業利益率は50%となる。研究開発と技術者の固定費を差し引いても発電利益は積み上がる。
設備投資は1kW当たり約7,000ドルを必要とし、発電所借入の年間利息は15億ドル前後になる。後半の発電利益と差し引いて10年の純利益累計は18億ドルとし、新たな親会社増資の正味約18億ドルを要する。会社として成長しても株主に残る利益は2035年で約8.1億ドルであり、建設費への敏感さはなお大きい。
- オーロラ商用売電・熱:数量 5,000(稼働設備容量(MW、稼働率90%を想定))× 価格 140(発電電力量1MWh当たりの契約売電単価(ドル))→ 売上 55 億ドル・営業利益 28 億ドル。市場候補容量×獲得率。年90%の稼働を想定
- 医療・産業用放射性同位体:数量 55,000(年間の同位体原料出荷回数(治療1投与分換算))× 価格 3,000(原料1投与分の販売価格(ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。世界原料需要の投与回数換算×獲得率
- 核燃料加工・再資源化の外販:数量 80.0(外部顧客から請け負う燃料加工・再資源化数量(トン/年))× 価格 1.80(1トン当たりの外販加工・再処理料(百万ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。第三者向けのみ。自家使用は売上に含めない
- 原子力向け精密製造の外販:数量 15.0(外販製作・試作案件数(年間))× 価格 0.04(案件当たり売上(億ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。外販案件のみ。内部向け製造を除く
- 核技術の設計・工学相談の外販:数量 1.4(第三者向けに請求する設計・相談工数(万時間/年))× 価格 230(1時間当たり請求単価(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェント代替を反映した外販工数
倍率:k=9.5%、当該筋書きのGAAP純利益8.1億ドル/自己資本50.8億ドルで事業ROE=15.94%。商用実績がないためmoat=weak(超過収益が残る割合1/3)、RONIC=k+(ROE−k)/3=11.65%。g=4.0%は2035年以降の設備更新・市場数量と契約価格から出し、k−g=5.5ポイント。10年目利益に掛ける理論値は(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)で、ROEがk以下の場合は1/k=10.53倍に制限する。よって倍率上限12.42倍に対し10.50倍(85%)を使う。発電設備が2035年以降も年10%超で増える場合は、2036〜38年は炉の追加稼働で事業利益が年11〜12%増える一方、RONICを踏まえた再投資を先取りし、2039年以降は名目4%に減速する2段階の成長を考慮し、当面の超過利益を過大な永久倍率にしない。市場の過去のPER・PBRは根拠に使わず、成長の不確実性と多額の維持投資を反映して上限の7〜10割の内側にとどめる。
確率:2028〜30年の初号機と大型顧客の契約が段階的に進み、4〜5GW規模まで増やせる可能性。燃料制約と高い設備資金が残るため15%にとどめる。
中立 28% 中立:2.4GWへ拡大するが投下資本の採算は薄い 利益 2 億ドル · PER 9.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 9.19 ドル16 億ドル
オーロラは2030年頃から本格的な商用稼働を始め、2035年に2.4GWまで増える。75MW級約32基に相当し、米国の新規先進炉・高信頼低炭素電源市場25GWの約9.6%を獲得する。電力契約は130ドル/MWhで、2010年代の安価なガス火力より高いが、信頼性と低炭素の価値で需要が残る。稼働率は90%、発電部門の営業利益率は47%とする。
同位体は世界の原料需要80万回相当のうち2万5,000回分を出荷するが、ITMなどとの競争で原料単価は2,500ドルにとどまる。燃料加工の外販は20トンで、残りの能力は自社炉の燃料に充てる。工学外販の請求工数はAIエージェント代替で2026年の推定年率より3割減らし、単価も物価ほどは上げられない。
設備建設費は平均1kW当たり約8,000ドルと重く、売上が約25億ドルあっても借入利息と本社費で純利益は約1.8億ドルにとどまる。2026〜30年は赤字が先行するが、後半の黒字で10年累計純利益は1億ドルとなる。親会社の追加正味増資は8億ドルとし、2035年のROEは資本コストに届かない。
- オーロラ商用売電・熱:数量 2,400(稼働設備容量(MW、稼働率90%を想定))× 価格 130(発電電力量1MWh当たりの契約売電単価(ドル))→ 売上 25 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場候補容量×獲得率。年90%の稼働を想定
- 医療・産業用放射性同位体:数量 25,000(年間の同位体原料出荷回数(治療1投与分換算))× 価格 2,500(原料1投与分の販売価格(ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。世界原料需要の投与回数換算×獲得率
- 核燃料加工・再資源化の外販:数量 20.0(外部顧客から請け負う燃料加工・再資源化数量(トン/年))× 価格 1.50(1トン当たりの外販加工・再処理料(百万ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。第三者向けのみ。自家使用は売上に含めない
- 原子力向け精密製造の外販:数量 8.0(外販製作・試作案件数(年間))× 価格 0.03(案件当たり売上(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。外販案件のみ。内部向け製造を除く
- 核技術の設計・工学相談の外販:数量 1.1(第三者向けに請求する設計・相談工数(万時間/年))× 価格 225(1時間当たり請求単価(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェント代替を反映した外販工数
倍率:k=9.5%、当該筋書きのGAAP純利益1.8億ドル/自己資本23.8億ドルで事業ROE=7.56%。商用実績がないためmoat=weak(超過収益が残る割合1/3)、RONIC=k+(ROE−k)/3=8.85%。g=3.5%は2035年以降の設備更新・市場数量と契約価格から出し、k−g=6.0ポイント。10年目利益に掛ける理論値は(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)で、ROEがk以下の場合は1/k=10.53倍に制限する。よって倍率上限10.53倍に対し9.00倍(86%)を使う。最終年以降は拡大率が低下するため恒常的な超過収益を期待しない。市場の過去のPER・PBRは根拠に使わず、成長の不確実性と多額の維持投資を反映して上限の7〜10割の内側にとどめる。
確率:メタの初期開発と一部の他顧客は進むが量産速度はゆっくりで、建設単価も高止まりする。無収益から商用へ移行する中心的な経路として28%。
やや悲観 31% やや悲観:6基程度の運転にとどまり燃料事業は収益化しない 利益 0 億ドル · PER 5.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 0.62 ドル1 億ドル
原子炉の承認は得るが、各地の許可と工事が遅れ、2035年に運転できるのは450MW、75MW級約6基にとどまる。新規の対象市場15GWに対するシェアは約3%だ。メタの構想は一部しか動かず、ガス火力、GEベルノバ・日立の軽水炉、テラパワーが高信頼電源の顧客を取る。新規電源の供給が増え、売電単価は105ドル/MWhでしか契約できない。
標準化が遅いため発電所の保守・設備投資は割高で、テネシー州の燃料再資源化は外販収益を生まない。同位体の出荷も5,000回にとどまり、原料の単価は2,000ドルへ下がる。工学の外販工数は2026年推定年率の約56%に縮む。採算の悪い開発案件を止めて本社費を削減し、年間の純利益はごく小さい黒字となる。
過去の研究開発費と失敗投資で2026〜35年の純利益累計はマイナス6億ドルとし、追加増資は1億ドルに限定する。10年後の自己資本は9.8億ドル残るが、多くは専用設備で売却価格が安く、価値の床は換金可能な現金と売れる設備の税後約0.9億ドルにすぎない。
- オーロラ商用売電・熱:数量 450(稼働設備容量(MW、稼働率90%を想定))× 価格 105(発電電力量1MWh当たりの契約売電単価(ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場候補容量×獲得率。年90%の稼働を想定
- 医療・産業用放射性同位体:数量 5,000(年間の同位体原料出荷回数(治療1投与分換算))× 価格 2,000(原料1投与分の販売価格(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。世界原料需要の投与回数換算×獲得率
- 核燃料加工・再資源化の外販:数量 0.0(外部顧客から請け負う燃料加工・再資源化数量(トン/年))× 価格 0.00(1トン当たりの外販加工・再処理料(百万ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。第三者向けのみ。自家使用は売上に含めない
- 原子力向け精密製造の外販:数量 3.0(外販製作・試作案件数(年間))× 価格 0.02(案件当たり売上(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。外販案件のみ。内部向け製造を除く
- 核技術の設計・工学相談の外販:数量 0.9(第三者向けに請求する設計・相談工数(万時間/年))× 価格 200(1時間当たり請求単価(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェント代替を反映した外販工数
倍率:k=9.5%、当該筋書きのGAAP純利益0.2億ドル/自己資本9.8億ドルで事業ROE=2.04%。商用実績がないためmoat=weak(超過収益が残る割合1/3)、RONIC=k+(ROE−k)/3=7.01%。g=2.0%は2035年以降の設備更新・市場数量と契約価格から出し、k−g=7.5ポイント。10年目利益に掛ける理論値は(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)で、ROEがk以下の場合は1/k=10.53倍に制限する。よって倍率上限10.53倍に対し5.50倍(52%)を使う。最終年以降は拡大率が低下するため恒常的な超過収益を期待しない。やや悲観・悲観は資本費用を下回るROEしかなく、還元価値の上限1/kを超えない。売れる資産の税後回収額と稼ぐ力の大きい方以下に時価総額を抑える。
確率:商用炉の建設はできても融資と許認可の複製が難しく、顧客が他の発電方式へ移る展開。原子力の初期投資の重さから31%とした。
悲観 18% 悲観:発電事業が実質撤退し同位体と受託だけが残る 利益 0 億ドル · PER 5.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 0.04 ドル0 億ドル
2028年を目指した商用オーロラの工事が難航し、試験炉で得た知見は発電量産につながらない。2035年の商用売電容量はゼロで、想定する新規市場が10GWあってもシェアを獲得できない。メタとの開発は拡張されず、スイッチの基本枠も拘束力ある大型購入契約には変わらない。顧客は他社の軽水炉やガス火力、蓄電池を選ぶ。
テネシーの燃料加工設備は縮小または取りやめとなり、使った現金と特注設備の大半は回収できない。2026〜35年の累計純損失は約13.8億ドルで、燃料と工事の減損、整理費を含む。残る現金を守るため途中で新規発行を止め、開発部門の固定費を大きく削る。
医療用同位体の少量供給と外部向け精密製造・工学相談だけが残り、最終年のGAAP純利益は約0.015億ドルにとどまる。赤字の山を抜けて小さく黒字でも、核燃料や発電技術にかけた資本は消えており、事業の堀は残らない。純現金と処分できる設備から処理費を引いた税後回収額は約0.07億ドルと考える。
- オーロラ商用売電・熱:数量 0.0(稼働設備容量(MW、稼働率90%を想定))× 価格 0.00(発電電力量1MWh当たりの契約売電単価(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場候補容量×獲得率。年90%の稼働を想定
- 医療・産業用放射性同位体:数量 5,000(年間の同位体原料出荷回数(治療1投与分換算))× 価格 2,500(原料1投与分の販売価格(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。世界原料需要の投与回数換算×獲得率
- 核燃料加工・再資源化の外販:数量 0.0(外部顧客から請け負う燃料加工・再資源化数量(トン/年))× 価格 0.00(1トン当たりの外販加工・再処理料(百万ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。第三者向けのみ。自家使用は売上に含めない
- 原子力向け精密製造の外販:数量 4.0(外販製作・試作案件数(年間))× 価格 0.03(案件当たり売上(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。外販案件のみ。内部向け製造を除く
- 核技術の設計・工学相談の外販:数量 0.5(第三者向けに請求する設計・相談工数(万時間/年))× 価格 200(1時間当たり請求単価(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェント代替を反映した外販工数
倍率:k=9.5%、当該筋書きのGAAP純利益0.015億ドル/自己資本1億ドルで事業ROE=1.50%。商用実績がないためmoat=weak(超過収益が残る割合1/3)、RONIC=k+(ROE−k)/3=6.83%。g=0.0%は2035年以降の設備更新・市場数量と契約価格から出し、k−g=9.5ポイント。10年目利益に掛ける理論値は(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)で、ROEがk以下の場合は1/k=10.53倍に制限する。よって倍率上限10.53倍に対し5.00倍(48%)を使う。最終年以降は拡大率が低下するため恒常的な超過収益を期待しない。やや悲観・悲観は資本費用を下回るROEしかなく、還元価値の上限1/kを超えない。売れる資産の税後回収額と稼ぐ力の大きい方以下に時価総額を抑える。
確率:商用炉が安全審査・燃料・採算で頓挫する場合、設備費と開発費の回収が難しい。試験炉には成功しても発電の量産が失敗する危険を18%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
オーロラ商用売電・熱
自社で設計・建設・運転する高速炉の電気・熱を長期契約で販売する。将来の全社利益の主力候補だが2025年には商用炉がない。
| 数量稼働設備容量(MW、稼働率90%を想定) | 価格発電電力量1MWh当たりの契約売電単価(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2,400 | 130 | 25 | 12 |
取り方:2025年の実売電はゼロ。将来の売上は稼働MW×8,760時間×稼働率90%×ドル/MWh÷1億で求める(換算係数0.00007884)。2035年の価格は契約未開示のため独自の感応度であり、2023年の会社説明にあった実質約90ドル/MWhは保証料金ではない。数量は米国の新規安定電源の候補容量×オクロの獲得率に分解し、今はゼロ%とする。
医療・産業用放射性同位体
アトミック・アルケミーとグローブズ施設でルテチウム177などを製造・精製する計画。抗がん剤そのものの販売ではなく原料供給に限る。
| 数量年間の同位体原料出荷回数(治療1投与分換算) | 価格原料1投与分の販売価格(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 25,000 | 2,500 | 1 | 0 |
取り方:2025年の会社全体売上はゼロ。2026年3月の取扱免許・8月の試験炉初臨界は商用量産の証明ではない。2035年の年間原料需要は世界で60万〜100万回相当を仮定し、オクロの取り分を0.7〜10%で分ける。単価は医薬品完成品ではなく製薬会社に売る同位体原料の仮定で、現行の実契約単価は非開示。ITMとエッカート・ツィーグラーが既存の強い供給者。
核燃料加工・再資源化の外販
自社発電所用の燃料製作と核燃料回収に加え、将来は第三者に加工・再処理を提供する構想。自家消費分は内部取引として売上に含めない。
| 数量外部顧客から請け負う燃料加工・再資源化数量(トン/年) | 価格1トン当たりの外販加工・再処理料(百万ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 20.0 | 1.50 | 0 | 0 |
取り方:2025年の外販実績ゼロ。2035年の米国先進炉向け外販可能市場を約250〜500トン/年とするのは独自推計であり、公的発注量ではない。外販数量×100万ドル÷1億の換算係数は0.01。DOE/GAOは2030年までのHALEU供給量約23.4トンという制約を指摘するため、将来の大量加工には新設濃縮施設と再処理施設の許可が必要。自家消費による原価削減はpowerの利益率に含め、ここには加えない。
原子力向け精密製造の外販
2026年に買収した原子力向け精密加工会社などが行う外部向け製造・試作。グループ内部の炉向け納品は内部取引として除く。
| 数量外販製作・試作案件数(年間) | 価格案件当たり売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 0.03 | 0 | 0 |
取り方:FY2025末には対象買収を未実施で全社売上ゼロ。2026年Q2は製造・加工サービスが約0.00168億ドルであり、2025年の当期実績には遡らせない。2035年は外部の高精度部品案件数と案件単価の独自推計。競合はBWXT、カーチス・ライト、フラマトムなどで、オクロの外販シェアは現時点で微小。
核技術の設計・工学相談の外販
2026年取得の工学会社が提供する外部への設計・化学プロセス相談。認証・試験には現場技術者が要るが、書類作成の工数課金にはAI代替リスクがある。
| 数量第三者向けに請求する設計・相談工数(万時間/年) | 価格1時間当たり請求単価(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.1 | 225 | 0 | 0 |
取り方:2025年売上ゼロ。2026年Q2のengineering and consulting売上は約0.008億ドル。便宜上の時間単価200ドルなら四半期約4,000時間、年率1.6万時間に相当する計算で、会社は工数も単価も開示していない。AIエージェント代替の人月・工数型として2035年中立の外販数量を2026年年率の0.70倍、単価を1.125倍とする(1.12万時間、225ドル)。長期gはこの部分だけ0%。安全審査・現場試験は代替されにくく、全社の中心の売電までこの係数を掛けない。
リスクと懸念
商用炉の許認可と初号機工程
2026年の設計基準承認とエネルギー省の予備安全評価は大きな一歩だが、一般の民間用地で多数の原子炉を商用運転する許可とは異なる。2022年には申請資料の不足で規制当局に却下された。2028年を目指すアイダホの初号機が2〜3年遅れると、2035年までに複製できる基数と資金調達の両方が減り、中立の稼働容量は達成しにくい。
建設単価、金利と資金調達
発電所を保有する構造は、設備費と利払いを株主が背負うことを意味する。現時点の30億ドル超の流動資産は2026年の増資によるもので、利益の蓄積ではない。初号機の建設単価が想定より高い場合、プロジェクト融資の担保や顧客の前払いだけでは足りず、追加増資が必要になる。10年後に稼働量が増えても、増資を引いた旧株主の価値は小さくなりうる。
燃料HALEUと再処理の実現性
高速炉の燃料は市販の普通の低濃縮ウランにそのまま置き換えられない。米政府監査院は2030年までの政府側のHALEU約23.4トンでは需要を満たせない可能性を示した。セントラスとの意向書は供給量と価格が確定した契約ではない。テネシー州の再資源化計画にも高額の設備と認可が必要で、内製化が採算を高める前に現金を使い果たす危険がある。
顧客意向と確定契約の差
スイッチとの12GWは2044年までの非拘束的な基本合意であり、工事中の受注残ではない。メタとの最大1.2GWの開発協定は燃料前払いという前進だが、全設備の建設・売電料金が保証されたわけではない。顧客がデータセンター投資を見直したり、ガス火力や別の新型炉を選んだりすれば、数量を市場成長どおり取れない。契約の拘束力と最低購入条件を分けて追う必要がある。
稼働率、燃料交換と廃炉費
売電量は設備容量だけで決まらず、年間の稼働率で大きく動く。高速炉の初期停止、冷却設備の保守、核燃料の再装荷、警備や損害賠償、使用済み燃料管理は、完成後も継続的な費用となる。予想より低い稼働率では契約単価が高くても収益は減る。GAAPの減価償却が将来の維持更新に必要な現金を十分に表すかも検証が必要だ。
医療用同位体の供給競争
グローブズ試験炉の初臨界は原料の大量出荷と同義ではない。ルテチウム177などは半減期が短く、精製、品質保証、製薬会社への迅速な輸送が求められる。既存のITM、エッカート・ツィーグラー、同位体メーカーの供給網は強い。医薬品の売上成長をそのまま原料価格の上昇と読むと、取れる数量と利益率を過大に見積もる。
AIエージェント代替と工学受託
2026年の買収で設計・工学相談による工数型の収益が生まれた。核安全審査や現場作業は技術者の責任が必要だが、設計資料、試験報告、文書作成はAIエージェントで自動化が進む。中立ではこの外販工数を2026年の推定年率から約3割減らし、単価上昇も物価以下とした。主力の発電MWhには直接の代替を当てず、AIは電力需要側の変動として別に評価する。
今後の分かれ目
- アイダホの初号機が2028年までに運転を始め、建設費と長期の稼働率が公表される
- 初号機の実力を発電MWhと運転費で検証できる。費用が再現可能なら中立からやや楽観への確率を動かすが、単なる許認可の進展だけでは変えない。
- メタのオハイオ案件で最初の1.2GWのうち商用PPAの拘束数量と料金が確定する
- 数量と単価を架空の想定から契約値へ置き換え、確定した稼働開始年までに限って発電収入の見通しを上げる。前払い額と返還条件も確認する。
- スイッチとの12GWの基本枠が個別の建設融資付きの契約へ順次変わる
- 契約したMWと未契約のMWを分け、増資の必要額が減れば正味の還元のマイナスを縮める。契約に変わらなければ数量に加えない。
- 核燃料供給の正式契約、HALEUの納入、テネシーの商業免許がそろう
- 燃料不足による稼働遅延の確率を下げる。第三者向け受託収入は取引価格と出荷トン数を確認してから増やす。
- グローブズ2でルテチウム177の年間出荷実績と顧客価格が出る
- 同位体の投与回数換算量と原料単価を実績に差し替える。薬品の販売価格をオクロの原料売上に取り込むことはしない。
- 追加ATM増資や共同出資により、発電所1MW当たりの親会社出資額が増える
- 建設した設備価値だけでなく、増資を引いた正味の還元と事業ROEを同時に引き直す。売電MWの増加だけで強気に変更しない。
- ガス火力・蓄電池の導入価格が下がり、原子力PPAが更新時に値下げを求められる
- 新設炉の対象市場と単価を別々に下げる。商用炉の固定費を急に減らせないため、利益率は売上より速く低下する。
見ておくもの
- 商用オーロラ初号機のDOE最終承認・NRC申請の扱い・初送電日
- 建設費(ドル/kW)、予定からの遅れ、完成時の実測稼働率と燃料交換費
- メタ案件の契約済みMW・料金・最低引取・前払金と返還条件
- スイッチ12GWのうち個別の拘束力あるPPAへ転換したMW
- 残存現金・市場性有価証券・ATM発行額・株式報酬と非遡及型の発電所融資
- 核燃料HALEUの納入契約・手当済みトン数とアイダホ燃料製造免許
- テネシー州の再資源化施設の発注額・商業運転・外販数量
- グローブズ2の同位体出荷量と原料単価、および2026年11月6日予定の第3四半期決算
- 競合GEベルノバ・日立、テラパワー、エックスエナジーの実際の稼働MWと受注
倍率と資本コストの決め方
現在の46.44億ドルを将来の稼ぐ力の出発点には使っていない。FY2025の商用売電ゼロから、2035年の稼働MW×稼働時間×契約単価、医療同位体の出荷回数×原料価格、第三者燃料加工トン数×加工料、受託製造案件と工学工数を個別に組み立てた。共通のk=9.5%、弱い堀の残存率3分の1、事業ROE、数量・価格由来の長期gから正当化PERの上限を確認し、楽観・中立はその約8〜9割に抑えた。現在の業績が赤字でも研究開発費や株式報酬を足し戻していない。純現金は燃料・発電所・再資源化の資金に拘束されるので追加評価しない。Q2増資が現在の株数と現金に織り込まれている部分は、今から先の新規資金調達として再度差し引かない。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%と事業の質+1.5%からk=9.5%とした。赤字や規制失敗をさらに上乗せするextraは0%とし、個別の損失確率は悲観筋書きへ振り分ける。市場のβや同業の取引倍率は使わない。