結論
A. O. スミス(A. O. Smith)は、住宅用・業務用の給湯器、ボイラー、水処理機器を北米で売り、中国とインドでも給湯器・浄水器を売る。10-K は自社を「北米で最大の給湯器メーカー」とする。2025 年の売上は 38.3 億ドル(北米 78%・中国 約 18%)、GAAP 純利益は 5.46 億ドルで、営業利益率は 19% と高い。
この分析は売上を「市場 × シェア × 価格」で、北米の住宅用給湯器・業務用給湯器・ボイラー(温水制御を含む)・水処理、中国、インド・その他の 6 つに分けて積んだ。北米の給湯器は売上の 6 割強で、取り替えが大半なので景気に強い。一方、2026 年は住宅用の業界数量が低位 1 桁の減、鉄鋼が約 +15%、中国は 4〜6 月期に現地通貨で -28%(家電の補助金終了)と逆風が重なり、通期の GAAP EPS 見通しは 3.60〜3.75。
中立の 10 年後は売上 57.8 億ドル、GAAP 純利益 7.9 億ドル。競合のリーム(Rheem)やブラッドフォードホワイト(Bradford White)にヒートポンプ式で取られる筋書きと、中国が事実上撤退になる筋書きを、悲観とやや悲観で 10 年の 36% の確率で置いた。
倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)(k 8.75%・g 4.0%・事業の ROE 24%・堀は普通)で 10 年の中立の上限は 15.9 倍。その 8 割の 12.7 倍に置いた(北米の給湯器は取り替え需要で安定だが、中国が不振で、ヒートポンプ移行で製品が入れ替わる途中。上限の内側)。総合は今の時価総額に対し -11%で「やや割高」。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、A. O. スミスは「10 年後も存在し、今より強いか」の問いに、北米の給湯器については答えやすい。お湯が出なければ人は壊れた給湯器をすぐ取り替える。選ぶのは配管業者で、在庫の流通網と信頼のある銘柄が勝つ。10-K が書く「取り替え中心」の市場は景気に強く、鉄鋼の値上がりは転嫁できる。堀は卸網・ブランド・品ぞろえで、広がりはしないが急に狭まる要因も見えにくい。
オーナー利益で見ると、純利益 5.46 億ドルに対し設備投資は 0.71 億ドルで、FCF は純利益とほぼ同じ。株式報酬は 0.14 億ドルと小さい。自己資本利益率は 29%(自社株買いで自己資本が薄い面もある)。資本配分は配当と自社株買いが中心で、買収は小口だったが Leonard Valve は 4.7 億ドルと大きく、割高に買えば価値を壊す。この分析は買収の費用を FCF から先に引いた。
問題は 2 つ。1 つはヒートポンプへの移行で、取り替えの市場は残るが、先行するリームに住宅を取られる恐れがある。もう 1 つは中国で、売上の約 18% が需要不振と競争にさらされ、何をするか(残す・提携・撤退)が未定。
値段は、今の GAAP の PER 15 倍に対し、10 年の中立は利益ベースの正当化 PER の上限 15.9 倍の 8 割(12.7 倍。k 8.75%)に置いた。安全域は、10 年の悲観(確率 13%)で時価総額が今の 4 割強まで下がっても、確率で加重した価値が今の 9 割ほどを保つことと、純負債が小さいことに頼る。確信度は北米の給湯器については中〜高、中国は低い。
何で稼ぐ会社か
A. O. スミスは、お湯をつくる機器と水をきれいにする機器を売る。2025 年の売上の内訳は、北米が 29.8 億ドル(給湯器と部品 24.6、ボイラーと部品 2.8、水処理 2.4)、Rest of World が 8.8 億ドル(大半が中国)。
(1) 北米の給湯器(住宅用と業務用)。住宅用はエー・オー・スミスとステートのブランドで、独立の配管卸(約 800 社)とホームセンター(6 大手のうち 4 社。ロウズは独占)を通して売る。業務用はロディエ(Lochinvar)などで、ホテル・病院・集合住宅向けの大型機。10-K は、市場の大半が既存品の取り替えだと書く。内訳(住宅 約 15.4 億ドル・業務用 約 9.2 億ドル)は開示がなく、この分析の推定。
(2) ボイラー。業務用・集合住宅向けで、2026 年 4〜6 月期は +21%。2026 年 1 月に Leonard Valve(温水の混合弁とボイラー制御の Heat-Timer、4.7 億ドル)を買い、ここに入れた。
(3) 水処理。家庭用の軟水器・浄水器・逆浸透膜で、4〜6 月期は -2%。拠点とブランドの整理を進める(リストラ 約 0.2 億ドル、節約は 2027 年から年 0.06〜0.08 億ドル)。
(4) 中国。家庭用の給湯器と浄水器で約 8,700 の販売拠点。2025 年は第三者売上 -12%、2026 年 4〜6 月期は -28%。会社は 2025 年第 3 四半期から提携を含む戦略的見直しを進め、結論は次の決算までに出る。(5) インドは 2025 年に現地通貨で +13%、2024 年に買った Pureit(浄水)が 0.54 億ドルを足した。
優良さと弱いところ
堀は 4 つ。第 1 は卸との関係と品ぞろえ。給湯器は壊れてから取り替えるので、配管業者がすぐ在庫から出せる銘柄が選ばれる。約 800 社の卸網と、ロウズ独占を含むホームセンターの棚が、新規参入に高い壁になる。第 2 は取り替えの継続需要。10-K は市場の大半が取り替えと書き、2025 年の業界の取り替え数量は前年並みだった。第 3 は価格を決める力で、鉄鋼の値上がりを 4〜7% の値上げで転嫁してきた(契約で鉄鋼価格に連動して価格を変えられる顧客もある)。第 4 は規模と資本効率で、営業利益率 19%・自己資本利益率 29%・設備投資は売上の 2% 弱、FCF は純利益に近い。
弱い点は 5 つ。(1) 転嫁の遅れ。鉄鋼は 4〜6 月期に前年比 約 +20% で、北米の調整後利益率は 25.4% から 24.4% に下がった。(2) 中国は事業として傾き、Rest of World の利益率は 5.2%。(3) 水処理は小さく利益率も低い。(4) 上位 5 顧客で売上の 約 41%。(5) 2029 年の住宅用の新基準でヒートポンプ式への移行が進み、電気の貯湯式を置き換える。ヒートポンプはリームが先行するとの業界紙の見方があり、この分析は住宅のシェアが下がる筋書きを中立に置いた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
北米の給湯器は、A. O. スミス、リーム、ブラッドフォードホワイトが中心で、10-K はほかにリンナイ・ナビエン・アーコを競合に挙げる。米国の住宅用貯湯式の出荷は 2025 年に約 930 万台(ガス 425 万台・電気 503 万台、AHRI)で、ほぼ横ばい。2026 年 1〜4 月はガス -6.2%・電気 -6.4% と減り、会社は住宅用の業界数量を低位 1 桁の減と見込む。住宅着工が弱く、取り替えも先送りされている。
数量の側の大きな変化は規制。DOE の業務用の新基準が 2026 年 10 月、住宅用の新基準が 2029 年に入り、ヒートポンプ式(電気の貯湯式より単価が高い)への移行が進む。A. O. スミスは 2024 年に業務用ヒートポンプの VERITUS を出し、凝縮式の Cyclone Flex も用意した。市場の金額は単価の上昇で押し上げられるが、ヒートポンプの住宅向けではリームが先行するとの業界紙の見方があり、シェアの取り合いになる。
価格は鉄鋼と関税。鉄鋼は 2026 年に約 +15%、新しい関税は置き換え前よりやや重い。会社は 4〜7% の値上げを 7〜9 月期の中ごろから効かせ、下期の価格とコストをほぼ中立にすると見る。
中国は別の世界。家電の補助金が終わって 2026 年は低位 2 桁の減、ハイアール・美的(Midea)・リンナイと競り合う。インドは給湯器と浄水器が実質で伸び、ラコルド・バジャジ・ケントなどと競る。ボイラーは需要が強く、4〜6 月期に +21%。
資本政策と M&A
資本配分は、FCF のほぼ全部を配当と自社株買いに回す方針。2025 年は配当 1.96 億ドル、自社株買い 4.01 億ドル(594 万株)で、FCF 5.46 億ドルを超えた。2026 年は自社株買いの目標を 2 億ドルから 3 億ドルへ 5 割引き上げ、上期は 1.62 億ドルを買った。
買収は Pureit(2024 年 11 月、約 1.25 億ドル)と Leonard Valve(2026 年 1 月、4.7 億ドル。税の利益を除くと実質 約 4.12 億ドル、2026 年見込み EBITDA の約 12 倍)。Leonard Valve は新しい借入(タームローン)で払い、総借入は 2025 年末の 1.55 億ドルから 2026 年 6 月末の 6.38 億ドル、純負債は 4.56 億ドルになった。借入の利率は 5%台後半とみて、利払いは年 約 0.3 億ドルと置き、純利益に入れた。
中国は、戦略的見直しの中で提携・売却・縮小を含むすべての選択肢が残る。結論と費用は 2026 年の見通しに入っていない。この分析は、悲観の筋書きで事実上の撤退とのれん(RoW で 1.19 億ドル)の減損を置いた。CFO は交代する。大型の買収の対象になる可能性は低いとみて、筋書きには入れていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方は、取り替え需要と値上げの力を見る。給湯器は壊れてから買い替えるので数量が景気に強く、2025 年の業界の取り替え数量も前年並みだった。2026 年は鉄鋼が +20% 近く上がったのに、北米の調整後利益率は 24% 前後に踏みとどまり、4〜7% の値上げが 7〜9 月期から効いて下期の価格とコストはほぼ中立になる。ボイラーは 4〜6 月期に +21%、Leonard Valve が温水の制御を足し、2026 年の自社株買いは 3 億ドルへ上がった。
次に、規制が追い風。DOE の業務用の新基準(2026 年 10 月)と住宅用(2029 年)で、凝縮式・ヒートポンプ式に変わると、1 台あたりの単価が上がる。ロディエの大型の凝縮式と、VERITUS が業務用で先行する。
最後に、中国は底に近い。補助金の終了で 2026 年は低位 2 桁の減だが、その分は売上の約 18%、利益の 1 割未満で、すでに利益率が 5% まで落ちている。見直しで提携や縮小に進めば重荷が取れ、インド(2025 年 +13%)が残る。中立でも 10 年後の GAAP 純利益は 7.9 億ドル(2025 年の 1.5 倍)、楽観なら 10.7 億ドルに達する。
慎重な見方
慎重な見方は、ヒートポンプ移行、中国、鉄鋼を突く。第 1 に、2029 年の基準で電気の貯湯式がヒートポンプに置き換わる。業界紙はリームが米国のヒートポンプで最大のシェアと伝え、ホームセンターとの提携もある。A. O. スミスが住宅用のシェアを 1 ポイント失えば利益が数 % 減り、単価が上がってもヒートポンプの利益率は貯湯式より低い。
第 2 に、中国。2025 年に -12%、2026 年 4〜6 月期に -28%。補助金が終わったあとの市場が戻る保証はなく、ハイアール・美的が価格で攻める。Rest of World の利益率は 8.7% から 5.2% へ下がり、見直しの結論が撤退や売却なら減損が出る。
第 3 に、コスト。鉄鋼は前年比 +20%、新しい関税は置き換え前よりやや重い。転嫁には時間がかかり(10-K も過去の遅れを認める)、北米の利益率は 4〜6 月期に 1 ポイント下がった。住宅用の数量は 2026 年に低位 1 桁の減。
第 4 に、今の GAAP の純利益は 2026 年に 5.0 億ドルへ減る見通しで、式の倍率が高く出るのは k − g の差が約 4.75% と小さいからにすぎず、成長が鈍れば倍率は大きく縮む。
どちらに重みを置いたか
強気の事実(取り替え中心・転嫁できる・FCF が純利益並み)は 10-K と決算で確かめられるが、慎重な見方の中国とヒートポンプの懸念は、数字ですでに出始めている(中国 -28%、住宅用の数量減)。中立は 36%、悲観とやや悲観は 36% に置き、ALLE(悲観側 33%)より少し厚くした。理由は 3 つ:中国の見直しが結論待ちであること、ヒートポンプで先行するリームがいること、鉄鋼の転嫁に遅れがあること。事業の質は強気が正しく、中国と移行期の不確実さは慎重な見方が当たる。結論は式が決めた。 倍率は利益ベースの正当化 PER の内側(中立は 8 割)に置いた結果、総合は今の時価総額に対し -11%で「やや割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 70.19 ドル96 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 33.85 ドル46 億ドル)。 今の値に割り戻すと 52.60 ドル72 億ドル、今との差 −15.8%、 期待の年率 +5.2%(資本コスト 8.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 117.10 ドル161 億ドル | 40.54 ドル56 億ドル | +152.3% | +9.7% | 12.61 ドル17 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 94.64 ドル130 億ドル | 38.28 ドル53 億ドル | +112.8% | +7.8% | 26.58 ドル36 億ドル |
| 中立 | 36% | 73.57 ドル101 億ドル | 36.31 ドル50 億ドル | +75.9% | +5.8% | 39.56 ドル54 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 52.79 ドル72 億ドル | 31.13 ドル43 億ドル | +34.3% | +3.0% | 19.30 ドル26 億ドル |
| 悲観 | 13% | 25.16 ドル35 億ドル | 20.93 ドル29 億ドル | −26.2% | −3.0% | 5.99 ドル8 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 70.19 ドル96 億ドル | 33.85 ドル46 億ドル | +66.6% | +5.2% | 104.05 ドル143 億ドル |
今の株価時価総額 62.47 ドル86 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:ヒートポンプでも北米の首位を守り、インドが育つ 利益 11 億ドル · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 117.10 ドル161 億ドル
ヒートポンプ式への移行(2029 年の基準)で、貯湯式の電気からヒートポンプへの置き換えが進んでも、A. O. スミスは卸(配管業者)との関係と品ぞろえで首位を守る。住宅は市場が 10 年で +15%(数量は横ばい、ヒートポンプの単価上昇が市場額を押し上げる)、シェア 39%、価格 1.43 倍。業務用は市場 +30%、ロディエがシェア 44%。ボイラー・制御は市場 +40%、Leonard Valve を含めシェア 10%。中国は 2027 年以降に回復して市場 +10%・シェア 4.5%・価格は 1.25 倍。インドは市場が 2 倍、シェア 6%。2035 年の売上は 72.4 億ドル、営業利益率 19.9%、GAAP 純利益 10.7 億ドル。10 年間の正味の還元は約 55.6 億ドル。
- 北米の住宅用給湯器(貯湯式・タンクレス・ヒートポンプ):数量 46.0(北米(米国・カナダ)の住宅用給湯器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 55.8%(アレジオン式:A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 26 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 46 億ドル(2025 年の値段)× シェア 39.0% × 価格 1.430 倍
- 北米の業務用給湯器(ロディエ(Lochinvar)ほか):数量 28.6(北米の業務用給湯器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 62.9%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 18 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 28.6 億ドル(2025 年の値段)× シェア 44.0% × 価格 1.430 倍
- ボイラー・温水の制御(ロディエのボイラー・Leonard Valve・Heat-Timer):数量 56.0(北米のボイラーと温水制御機器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 14.3%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 56 億ドル(2025 年の値段)× シェア 10.0% × 価格 1.430 倍
- 北米の水処理(軟水器・浄水・逆浸透):数量 143(北米の家庭用水処理機器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 3.3%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 143 億ドル(2025 年の値段)× シェア 2.3% × 価格 1.430 倍
- 中国(住宅用給湯器・浄水器):数量 165(中国の家庭用給湯器・浄水器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 5.6%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 9 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 165 億ドル(2025 年の値段)× シェア 4.5% × 価格 1.250 倍
- インド・その他の海外:数量 80.0(インドと中国以外の海外の給湯器・水処理の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 8.4%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 80 億ドル(2025 年の値段)× シェア 6.0% × 価格 1.400 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 25.3%(純利益 ÷ 自己資本)、k 8.75%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 17.0%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 16.1 倍。ヒートポンプでも北米の首位を守りインドが育つ姿でも、住宅の製品が入れ替わる途中なので、上限の 9.3 割の 15.0 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:楽観の 8%。2029 年の基準でヒートポンプ式への移行が進んでも、北米の首位と卸の関係を守り、単価の上昇を利益に変える筋書き。ヒートポンプはリーム(Rheem)が先行するとの業界紙の見方もあり、10 年先の確証は無い。
やや楽観 20% やや楽観:移行で単価が上がり、シェアをほぼ守る 利益 9 億ドル · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 94.64 ドル130 億ドル
移行期の単価上昇を取り込み、住宅の市場 +10%・シェア 38.5%(1 ポイント弱の低下にとどまる)、業務用は市場 +22%・シェア 43%、ボイラー・制御は市場 +30%・シェア 9.5%。水処理は拠点整理で利益率 11.5%。中国は市場 ±0%・シェア 4.1%・価格 1.20 倍、インドは市場 +80%・シェア 5.8%。2035 年の売上は 64.6 億ドル、営業利益率 19.4%、GAAP 純利益 9.3 億ドル(2025 年の 1.7 倍)。10 年間の正味の還元は約 52.5 億ドル。リームのヒートポンプ先行をシェアの小幅な低下でしのぐ筋書き。
- 北米の住宅用給湯器(貯湯式・タンクレス・ヒートポンプ):数量 44.0(北米(米国・カナダ)の住宅用給湯器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 54.7%(アレジオン式:A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 24 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 44 億ドル(2025 年の値段)× シェア 38.5% × 価格 1.420 倍
- 北米の業務用給湯器(ロディエ(Lochinvar)ほか):数量 26.8(北米の業務用給湯器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 61.1%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 16 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 26.84 億ドル(2025 年の値段)× シェア 43.0% × 価格 1.420 倍
- ボイラー・温水の制御(ロディエのボイラー・Leonard Valve・Heat-Timer):数量 52.0(北米のボイラーと温水制御機器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 13.5%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 7 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 52 億ドル(2025 年の値段)× シェア 9.5% × 価格 1.420 倍
- 北米の水処理(軟水器・浄水・逆浸透):数量 136(北米の家庭用水処理機器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 3.1%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 136.4 億ドル(2025 年の値段)× シェア 2.1% × 価格 1.420 倍
- 中国(住宅用給湯器・浄水器):数量 150(中国の家庭用給湯器・浄水器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 4.9%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 150 億ドル(2025 年の値段)× シェア 4.1% × 価格 1.200 倍
- インド・その他の海外:数量 72.0(インドと中国以外の海外の給湯器・水処理の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 7.8%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 72 億ドル(2025 年の値段)× シェア 5.8% × 価格 1.350 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 24.8%(純利益 ÷ 自己資本)、k 8.75%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 16.8%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 16.0 倍。移行で単価が上がりシェアをほぼ守る姿でも、製品の入れ替わりと中国の不確かさが残るので、上限の 8.7 割の 13.9 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:やや楽観の 20%。移行期の取り替え需要の単価上昇とボイラー・業務用の伸びが続き、住宅のシェアをほぼ守る筋書き。
中立 36% 中立:取り替え需要で安定、ヒートポンプ移行で住宅のシェアが少し下がる 利益 8 億ドル · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 73.57 ドル101 億ドル
市場の数量は、住宅用給湯器が 10 年で +7%(数量は横ばい、ヒートポンプ移行で単価が上がる分が市場額に入る)、業務用が +15%(年 +1.4%)、ボイラー・制御が +20%、水処理 +18%、インド +60%、中国 -5%。シェアは、住宅が 38.5% → 37.0%(ヒートポンプでリームなどに少し取られる)、業務用 42.0%、ボイラー・制御は Leonard Valve の分で 7.0% → 8.7%、中国 4.6% → 3.8%。価格は物価並みの 1.41 倍(中国は 1.15 倍、インドは通貨安で 1.30 倍)。利益率は住宅 24%(ヒートポンプの混合で下がる)、業務用 27.5%、ボイラー 21.5%、中国 8%。本社費 1.4 億ドル。2035 年の売上は 57.8 億ドル、営業利益率 18.5%、GAAP 純利益 7.9 億ドル。買収は Leonard Valve のみで、10 年間の正味の還元は約 49.8 億ドル。
- 北米の住宅用給湯器(貯湯式・タンクレス・ヒートポンプ):数量 42.8(北米(米国・カナダ)の住宅用給湯器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 52.2%(アレジオン式:A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 22 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 42.8 億ドル(2025 年の値段)× シェア 37.0% × 価格 1.410 倍
- 北米の業務用給湯器(ロディエ(Lochinvar)ほか):数量 25.3(北米の業務用給湯器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 59.2%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 15 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 25.3 億ドル(2025 年の値段)× シェア 42.0% × 価格 1.410 倍
- ボイラー・温水の制御(ロディエのボイラー・Leonard Valve・Heat-Timer):数量 48.0(北米のボイラーと温水制御機器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 12.3%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 48 億ドル(2025 年の値段)× シェア 8.7% × 価格 1.410 倍
- 北米の水処理(軟水器・浄水・逆浸透):数量 130(北米の家庭用水処理機器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 3.0%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 129.8 億ドル(2025 年の値段)× シェア 2.1% × 価格 1.410 倍
- 中国(住宅用給湯器・浄水器):数量 143(中国の家庭用給湯器・浄水器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 4.4%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 142.5 億ドル(2025 年の値段)× シェア 3.8% × 価格 1.150 倍
- インド・その他の海外:数量 64.0(インドと中国以外の海外の給湯器・水処理の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 7.1%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 5 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 64 億ドル(2025 年の値段)× シェア 5.5% × 価格 1.300 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 24.0%(純利益 ÷ 自己資本)、k 8.75%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 16.4%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 15.9 倍。取り替え需要で安定だが、中国が不振でヒートポンプ移行の途中なので、上限の 8.0 割の 12.7 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:中立の 36%。取り替え中心の事業は安定し、ヒートポンプ移行で住宅のシェアが 1.5 ポイント下がる、素直な見立て。
やや悲観 23% やや悲観:ヒートポンプで住宅を取られ、中国は縮んだまま 利益 6 億ドル · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 52.79 ドル72 億ドル
ヒートポンプ移行でリームなど先行組に住宅を取られ、シェア 35%・価格 1.38 倍・利益率 22%。業務用もシェア 40%、ボイラー・制御は市場の伸びが小さくシェア 8.2%。中国は市場 -20%・シェア 3.0%・価格 1.05 倍・利益率 4%、インドは市場 +45%・シェア 5.0%。のれんの一部(0.5 億ドル)を減損する。2035 年の売上は 49.1 億ドル、営業利益率 16.6%、GAAP 純利益 6.0 億ドル(2025 年の 1.1 倍)。10 年間の正味の還元は約 42.7 億ドル。A. O. スミスは良い会社のまま、利益率の低い並みの給湯器メーカーに近づく。
- 北米の住宅用給湯器(貯湯式・タンクレス・ヒートポンプ):数量 41.2(北米(米国・カナダ)の住宅用給湯器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 48.3%(アレジオン式:A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 20 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 41.2 億ドル(2025 年の値段)× シェア 35.0% × 価格 1.380 倍
- 北米の業務用給湯器(ロディエ(Lochinvar)ほか):数量 24.2(北米の業務用給湯器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 55.2%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 13 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 24.2 億ドル(2025 年の値段)× シェア 40.0% × 価格 1.380 倍
- ボイラー・温水の制御(ロディエのボイラー・Leonard Valve・Heat-Timer):数量 44.8(北米のボイラーと温水制御機器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 11.3%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 44.8 億ドル(2025 年の値段)× シェア 8.2% × 価格 1.380 倍
- 北米の水処理(軟水器・浄水・逆浸透):数量 121(北米の家庭用水処理機器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 2.8%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 121 億ドル(2025 年の値段)× シェア 2.0% × 価格 1.380 倍
- 中国(住宅用給湯器・浄水器):数量 120(中国の家庭用給湯器・浄水器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 3.2%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 120 億ドル(2025 年の値段)× シェア 3.0% × 価格 1.050 倍
- インド・その他の海外:数量 58.0(インドと中国以外の海外の給湯器・水処理の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 6.3%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 58 億ドル(2025 年の値段)× シェア 5.0% × 価格 1.250 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 21.9%(純利益 ÷ 自己資本)、k 8.75%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 15.3%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 15.6 倍。ヒートポンプで住宅を取られ中国が縮んだままの姿なので、上限の 7.8 割の 12.1 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:やや悲観の 23%。ヒートポンプでリームや新規参入に住宅を取られ、鉄鋼・関税の転嫁が遅れ、中国は縮んだままという筋書き。10 年の幅では 2 割強ありうる。
悲観 13% 悲観:ヒートポンプ移行で首位が崩れ、中国が事実上の撤退 利益 3 億ドル · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 25.16 ドル35 億ドル
ヒートポンプ移行で住宅の首位が崩れる。リームやブラッドフォードホワイトに加え海外メーカーの参入で、住宅のシェアは 30%・価格 1.35 倍・利益率 19%、業務用は 36%、ボイラー・制御は 7.5%、水処理は縮む。中国は戦略見直しの末に事実上の撤退で市場 -50%・シェア 2.0%(売却・減損が出る)、インドは市場 +30%。のれん 1.19 億ドル(RoW)を含む 3 億ドルを減損する。2035 年の売上は 36.7 億ドル、営業利益率 13.1%、GAAP 純利益 3.5 億ドル。10 年間の正味の還元は約 28.7 億ドル。 10 年(2026〜2035 年)の純利益の累計は約 32 億ドル。2028 年の谷(3.0 億ドル)と、2030 年の 3 億ドルの減損(その年の純利益は約 0.7 億ドルまで下がる)を含む。
- 北米の住宅用給湯器(貯湯式・タンクレス・ヒートポンプ):数量 38.0(北米(米国・カナダ)の住宅用給湯器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 40.5%(アレジオン式:A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 15 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 38 億ドル(2025 年の値段)× シェア 30.0% × 価格 1.350 倍
- 北米の業務用給湯器(ロディエ(Lochinvar)ほか):数量 22.0(北米の業務用給湯器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 48.6%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 11 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 22 億ドル(2025 年の値段)× シェア 36.0% × 価格 1.350 倍
- ボイラー・温水の制御(ロディエのボイラー・Leonard Valve・Heat-Timer):数量 40.0(北米のボイラーと温水制御機器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 10.1%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 40 億ドル(2025 年の値段)× シェア 7.5% × 価格 1.350 倍
- 北米の水処理(軟水器・浄水・逆浸透):数量 105(北米の家庭用水処理機器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 2.2%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 104.5 億ドル(2025 年の値段)× シェア 1.7% × 価格 1.300 倍
- 中国(住宅用給湯器・浄水器):数量 75.0(中国の家庭用給湯器・浄水器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 2.0%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 75 億ドル(2025 年の値段)× シェア 2.0% × 価格 1.000 倍
- インド・その他の海外:数量 52.0(インドと中国以外の海外の給湯器・水処理の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 5.4%(A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 52 億ドル(2025 年の値段)× シェア 4.5% × 価格 1.200 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 15.9%(純利益 ÷ 自己資本)、k 8.75%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 12.3%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 14.2 倍。首位が崩れ中国が事実上撤退する構造的な負けの姿なので、上限の 7.0 割の 10.0 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:悲観の 13%。ヒートポンプで住宅の首位が崩れ、中国が事実上の撤退(のれん 1.2 億ドルの減損を含む)になる構造的な負け。領域の標準(11〜14%)の上端にし、中国の不振を確率でも表した。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
北米の住宅用給湯器(貯湯式・タンクレス・ヒートポンプ)
A. O. スミスとステート(State)ブランドの住宅用給湯器。取り替えが大半で、卸(配管業者 約 800 社)とホームセンター(ロウズは独占)で売る。ヒートポンプ式への移行が 2029 年の基準で進む。
| 数量北米(米国・カナダ)の住宅用給湯器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定) | 価格アレジオン式:A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.0 | 38.5% | 15 | 4 |
| 10 年後 中立 | 42.8 | 52.2% | 22 | 5 |
取り方:市場 × シェア × 価格指数。北米の住宅用給湯器(貯湯式 約 930 万台=AHRI の 2025 年の米国出荷:ガス 425 万台・電気 503 万台、にタンクレス・ヒートポンプ・カナダを足し、1 台あたり平均のメーカー出荷額から)を 40 億ドルと推定(公的な額の統計は無い)、シェア 38.5%。売上 15.4 億ドルは、北米の給湯器・部品 24.60 億ドルのうち住宅用を約 63% とみた推定(開示なし)。営業利益率 25%(北米全体 24.4% と合うよう配分した推定)。競合はリーム(Rheem)・ブラッドフォードホワイト(Bradford White)・リンナイ・ナビエン。
北米の業務用給湯器(ロディエ(Lochinvar)ほか)
ホテル・病院・学校・集合住宅向けの業務用給湯器。ロディエは大型の凝縮式が強い。2026 年 10 月の DOE の新基準で凝縮式・ヒートポンプへ移る。
| 数量北米の業務用給湯器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定) | 価格A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 22.0 | 41.8% | 9 | 3 |
| 10 年後 中立 | 25.3 | 59.2% | 15 | 4 |
取り方:市場 × シェア × 価格指数。北米の業務用給湯器を 22 億ドルと推定(公的な統計なし)、シェア 41.8%。売上 9.2 億ドルは給湯器 24.60 億ドルの残り(推定、開示なし)。営業利益率 27.8%(住宅より高いと置いた推定。北米全体 24.4% に合うよう配分)。競合はリーム・ブラッドフォードホワイト・リンナイ・ナビエン・アーコ(Aerco)。
ボイラー・温水の制御(ロディエのボイラー・Leonard Valve・Heat-Timer)
業務用・集合住宅の温水暖房ボイラーと、温水の混合弁・ボイラー制御。2026 年 1 月に Leonard Valve(4.7 億ドル)を買った分を含む。
| 数量北米のボイラーと温水制御機器のメーカー出荷額(億ドル、2025 年の値段、推定) | 価格A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.0 | 7.0% | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 48.0 | 12.3% | 6 | 1 |
取り方:市場 × シェア × 価格指数。北米のボイラーと温水制御を 40 億ドルと推定、シェア 7.0%(売上 2.81 億ドル、10-K の北米のボイラー・部品の額)。営業利益率 22.5%(推定)。2026 年からは Leonard Valve を足したシェアで置く(年の売上は未確認。4〜6 月期 0.16 億ドルから年 0.65〜0.8 億ドルと推定)。4〜6 月期のボイラーは +21%。
北米の水処理(軟水器・浄水・逆浸透)
家庭用の軟水器・浄水器・逆浸透膜。2026 年 4〜6 月期は -2%。拠点とブランドの整理(リストラ 0.2 億ドル)の途中。
| 数量北米の家庭用水処理機器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定) | 価格A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 110 | 2.2% | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 130 | 3.0% | 4 | 0 |
取り方:市場 × シェア × 価格指数。北米の家庭用水処理(軟水器・浄水・逆浸透)を 110 億ドルと推定、シェア 2.2%(売上 2.43 億ドル、10-K の額)。営業利益率 10%(推定。売上の小ささと競合のカリガン(Culligan)・ペンテア(Pentair)などの規模から低めに置いた)。
中国(住宅用給湯器・浄水器)
中国の家庭用電気・ガス給湯器と浄水器。2025 年に第三者売上 -12%、2026 年 4〜6 月期は現地通貨で -28%(家電の補助金終了)。戦略的見直しが進行中。
| 数量中国の家庭用給湯器・浄水器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定) | 価格A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 150 | 4.6% | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 143 | 4.4% | 6 | 1 |
取り方:市場 × シェア × 価格指数。中国の家庭用給湯器・浄水器を 150 億ドルと推定、シェア 4.6%。売上 6.89 億ドルは 2025 年の売上 38.30 億ドルの約 18%(10-K)。営業利益率 9%(Rest of World 全体 8.7% から配分した推定)。競合はハイアール(Haier)・美的(Midea)・リンナイ。2025 年は第三者売上 -12%。
インド・その他の海外
インドの給湯器・浄水器(2024 年に Pureit を買収)と中国以外の海外。インドは 2025 年に現地通貨で +13%。
| 数量インドと中国以外の海外の給湯器・水処理の市場(億ドル、2025 年の値段、推定) | 価格A. O. スミスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.0 | 4.8% | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 64.0 | 7.1% | 5 | 0 |
取り方:市場 × シェア × 価格指数。インドと中国以外の海外の給湯器・水処理を 40 億ドルと推定、シェア 4.8%。売上 1.91 億ドルは Rest of World 8.80 億ドルから中国 6.89 億ドルを引いた値(Pureit が 2025 年に 0.54 億ドル)。営業利益率 7.4%(推定)。セグメントの売上の合計は内部取引の消去前(約 0.34 億ドル)で、全社の売上より大きい。競合はインドのラコルド(Racold)・バジャジ・ハベルズ・ユーレカフォーブス・ケント。
リスクと懸念
ヒートポンプ移行で住宅のシェアを失う
2029 年の住宅用の新基準で、電気の貯湯式がヒートポンプに置き換わる。業界紙はリームが米国のヒートポンプで先行すると伝える。この分析は、中立で住宅のシェアが 38.5% から 37.0% に下がり、やや悲観で 35%、悲観で 30%(価格は 1.35 倍・利益率 19%)と置いた。
中国の需要不振と見直しの結論
中国は売上の約 18%。2025 年に第三者売上 -12%、2026 年 4〜6 月期は現地通貨で -28%(補助金終了)。Rest of World の利益率は 5.2%。見直しの結論(提携・売却・縮小)は次の決算までに出るが、費用は見通しに入っていない。中立でも中国の市場を 10 年で -5%、悲観は -50% と事実上の撤退を置いた。
鉄鋼と関税のコスト、転嫁の遅れ
鉄鋼は 4〜6 月期に前年比 約 +20%(通年 約 +15%)、新しい関税は置き換え前よりやや重い。北米の調整後利益率は 25.4% から 24.4% へ下がった。4〜7% の値上げが 7〜9 月期の中ごろから効き、下期の価格とコストをほぼ中立にする計画。やや悲観は価格が物価を下回る(10 年で 1.38 倍)とした。
住宅の数量の弱さ
2026 年は住宅用の業界数量が低位 1 桁の減(1〜4 月の AHRI 統計は電気・ガスとも -6% 前後)。住宅着工が弱く、取り替えも先送りされている。取り替えが主力でも、10 年のやや悲観は住宅の市場が減り、悲観(不況の底の年を含む)は -12% と置いた。
Leonard Valve の買収と純負債
Leonard Valve を 4.7 億ドルで買い(EBITDA の約 12 倍)、借入が 1.55 億ドルから 6.38 億ドルへ増えた。純負債 4.6 億ドルは時価総額の約 6% で重くはないが、割高に買ったのなら償却と利払いが利益を減らす。年の売上は未確認で、この分析は 0.65〜0.8 億ドルと推定した。
水処理の低収益と顧客の偏り
水処理は 4〜6 月期に -2%、利益率は 10% 前後と低く、拠点とブランドの整理(約 0.2 億ドル)を進める途中。節約は 2027 年から年 0.06〜0.08 億ドルと小さい。上位 5 顧客で売上の 約 41% を占め、ホームセンターの購買条件が変われば利益率に響く。
低い資本コストへの感応度
式の倍率は k 8.75% と長期の g 4.0% の差(約 4.75%)が小さく、g が 1 ポイント下がると PER は 16 倍前後(正当化 PER)から 14 倍前後へ縮む。倍率の縮みは、成長が鈍るやや悲観・悲観の筋書きで表した。
今後の分かれ目
- 中国の見直しが売却・撤退(のれんの減損を含む)に決まる
- 中国の売上(約 18%)と赤字に近い利益が外れ、全社の利益率は上がるが、売上は 2 割ほど減る。10 年の悲観(中国の市場 -50%・減損 3 億ドル)に寄るが、本体の北米は残るので、確率を悲観側へ動かすかは売却額次第。
- 中国が提携で現地の大手に事業を譲り、持ち分と技術料だけを残す
- 売上は減るが固定費の負担が消え、Rest of World の利益率が 8% 台へ戻る。中立(中国の利益率 5%)が上に動く。
- 米国の住宅用給湯器の業界数量が 2027 年に前年比で戻り、値上げ後も数量が崩れない
- 住宅の市場が上に動き、やや楽観に寄る。純利益は 5.7 億ドルから 6 億ドル台へ。
- 2029 年の基準でヒートポンプ式の出荷が急増し、A. O. スミスの住宅用のシェアが 35% を割る
- 10 年のやや悲観〜悲観(シェア 35〜30%)の確率が上がり、本質価値は今の時価総額に近づく。リームの先行を許す形で、卸網の強みが効いていないことになる。
- 鉄鋼価格が前年比 +20% のまま 2027 年も続き、値上げが 4〜7% で足りない
- 北米の利益率が 23% を割り、10 年のやや悲観〜悲観に寄る。純利益は 4 億ドル台後半へ。
- 大型の買収(売上 5 億ドル超)を発表する
- Leonard Valve に続く大型で、購入倍率と償却が焦点。のれんが増え、中立の「買収は Leonard Valve のみ」が崩れる。成功すれば業務用・制御のシェアが上がる。
見ておくもの
- 米国の住宅用給湯器の月次出荷(AHRI)と、決算の住宅用・業務用の数量・価格の内訳
- 中国の第三者売上(4〜6 月期 -28%)と、戦略的見直しの結論(次の決算まで)
- 鉄鋼の価格と、北米の調整後セグメント利益率(4〜6 月期 24.4%)、値上げ(4〜7%)の効き
- 2026 年 10 月の業務用の新基準(凝縮式・ヒートポンプ)の実施と、2029 年の住宅用の基準の見直しの有無
- 純負債(4.56 億ドル)と自社株買い(2026 年 3 億ドルの目標)、Leonard Valve の売上と利益率
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見る前に、数量 × 価格で積んだ利益から利益ベースの正当化 PER((1−g/RONIC)/(k−g)、RONIC=k+残る割合×(事業の ROE−k))で出した。10 年の中立は正当化 PER の上限 15.9 倍(k 8.75%・g 4.0%・ROE 24%・堀は普通)の 8 割 = 12.7 倍。北米の給湯器は取り替え需要で安定だが、中国が不振で、ヒートポンプ移行で製品が入れ替わる途中。 悲観側は構造的な負けの筋書きとして上限の内側に置いた。今の株価や過去の倍率に寄せて選んだ値ではなく、全筋書きが検査の上限(正当化 PER × 事業の純利益の 1.1 倍)の内側に収まっている。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 5% + β 1.03 × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0.75% = 8.75%。住宅の取り替えが中心で循環は小さく +0.25%、ヒートポンプで製品が入れ替わる途中なので寿命に +0.5%、値決めは 0。純負債 4.6 億ドルは時価総額の約 6% で借金は 0。中国・鉄鋼・買収などの個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益率と確率(悲観を厚く)で表した。上乗せは 0。
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読んだ資料
- A. O. Smith 2026 年 4〜6 月期の決算発表(SEC 8-K)
- A. O. Smith 10-K FY2025(セグメント・製品別・中国・競合・規制)
- A. O. Smith 2026 年 4〜6 月期の決算説明会(Motley Fool の書き起こし)
- A. O. Smith 10-Q 2026 年 6 月期
- A. O. Smith による Leonard Valve の買収(発表)
- AHRI 月次統計(2025 年 12 月・住宅用貯湯式給湯器の出荷)
- A. O. Smith が中国の戦略を見直し(BizTimes)
- Rheem と Bradford White のヒートポンプ給湯器の更新(CleanTechnica)