結論
コパート(Copart)は、保険会社などが出す全損車・事故車をオンライン競売にかけ、世界の買い手に売る手数料で稼ぐ会社である。2026 年 7 月期は売上 46.7 億ドル(前年比 +0.4%)、営業利益 16.5 億ドル(率 35.4%)、純利益 14.8 億ドル(前年比 −4.4%)、現金と満期保有投資は 44.9 億ドルで借金はほぼ無い。米国の事故車競売はコパートと IAA(RB グローバル傘下)で約 8 割を占める複占で、売り手の保険会社と買い手のネットワークの厚さが堀になっている。
足元は弱い。世界の販売台数は第 4 四半期に前年比 −2.9%(米国 −5.7%、海外 +10%)で、大手保険会社が取扱いを IAA に移した。ただし全損率は過去最高(23.1%、2026 年上半期 23.5%)で、車の高齢化と修理費の上昇が市場の台数を押し上げ続けている。成長は「事故件数 × 全損率(市場の台数)× コパートのシェア × 1 台あたりの手数料(中古車価格に連動)」で積み、ROE からは出していない。
バリュー投資の観点では、資本コスト 7.5%、長期の成長 4%、堀が強い(残る割合 2/3)ことから利益ベースの正当化 PER(10 年の中立で上限 23.9 倍)を出し、その 9 割の 21.4 倍を置き、余った現金 40 億ドルは戻り方 0.5 を掛けた 20 億ドルを足した。中立の筋書きは、2036 年 7 月期の純利益 22.1 億ドル・時価総額 約 480 億ドル。今の 258 億ドルは、現金を除くと純利益の約 16 倍で、利益ベースの値より低い。利益率が 3 ポイント下がり、米国のシェアが落ちる前提でも、本質価値は今の値段を 3 割弱上回り、総合はやや割安と出る。ACV の買収は未成立なので入れていない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、コパートは「10 年後も存在し、堀は今より狭まるか広がるかが分かれる」事業である。堀は、保険会社との契約と買い手の網(買い手が多いほど落札価格が上がり、売り手が戻る)、土地のヤードという実物の資産で、IAA が立て直しても複占は崩れにくい。弱点は、保険会社が少数の大口で、取扱いを一社が動かすと台数が数%動くこと、先進運転支援・自動運転で事故件数が 10 年で減る可能性、そして営業利益率が 5 年で 7 ポイント下がった傾向である。
オーナー利益(株主のものになる利益)は大きい。営業利益 16.5 億ドルの税引き後約 13.3 億ドルのうち、伸びに要る投資(増える利益 ÷ 事業の ROE 約 28%)を引いても、利益のほぼ全部(8〜9 割)を還元できる。加えて、純現金 44 億ドルは 1 ドルを 1 ドルで数える、動かせる資産である。経営は現金を貯め続けてから自社株買いに転じ、買収は小さく、ACV で初めて大きめの買収に出る。
安全域は厚い。今の時価総額 258 億ドルから現金 44 億ドルを引いた 214 億ドルが、事業の利益 13.3 億ドルの約 16 倍で、利益ベースの値より低い。利益ベースの成熟後の PER(上限 23.9 倍の 9 割、21 倍前後)には達していない。中立から楽観までは今の値段が本質価値より低い。一方、今の台数の減少が構造的なら、式の g や利益率を下げる必要があるので、確率を悲観側(やや悲観 20%・悲観 12%)に厚く置いた。
何で稼ぐ会社か
売上の約 85% は「サービス収入」(2026 年 7 月期 39.7 億ドル)で、保険会社・リース会社・ディーラーなどの売り手が出した全損車・事故車・中古車を、オンラインの競売で国内外の買い手(解体業者・再生業者・輸出業者・個人など)に売る手数料である。売り手からは取扱いと保管・搬出の料金、買い手からは落札の手数料を取る。残りの 15% は「車両販売収入」(6.97 億ドル)で、コパートが買い取って自社競売で転売する分。
台数は年 400 万台超。米国が約 7 割、海外(英国・カナダ・ブラジル・ドイツ・スペイン・中東など)が約 3 割で、海外は前年比 +10% と速く伸びている。収益の構造は、①事故車・全損車の台数(事故件数 × 全損率)、②そのうちコパートが取る割合(シェア。保険会社との契約で決まる)、③1 台あたりの手数料(中古車の落札価格に連動し、物価並みに上がる)の 3 つ。費用の大半は土地・ヤードの保有と人件費で、固定費の比率が高い(台数が減ると利益率が落ち、増えると上がる)。
自社でヤードの土地を保有し、拡張を続けている。営業利益率は 2021 年 7 月期の 42% から 35% へ下がった(ヤードと人件費の費用、海外・買取転売の比率の上昇)。現金・投資が 45 億ドルあり、年 16 億ドル規模の自社株買いを始めた。配当は無い。
優良さと弱いところ
堀は、①保険会社との長期の契約と実績、②世界 190 か国超に及ぶ買い手のネットワーク(買い手が多いほど落札価格が上がり、売り手が戻ってくる)、③全国に広がるヤードの土地という 3 つで、新規の参入者が短期で真似できない。米国では、コパートと IAA(RB グローバル)の複占で、新規の参入は事実上ない。2023 年に IAA が RB グローバルに買われて以降、IAA は買い手網と統合で立て直しを進め、2025〜26 年に大手保険会社の取扱いを IAA が取った。
競合との比較では、コパートの営業利益率は 35% 前後で、IAA(RB グローバルの一部)はそれより低いと見られる(推定)。コパートはヤードの土地を自前で保有する比率が高く(IAA は借りるヤードが多いと見られる・推定)、費用の構造が違う。ただし、ヤードを保有する固定費は台数が減ると重い。弱い点は、①保険会社の少数の大口に取扱いが集中していること、②営業利益率が 5 年で 7 ポイント下がっていること、③米国の台数が前年比 −5.7% と、今は明らかにシェアを失っていること、④ACV(ディーラー向けのデジタル卸)の買収の実行である。
資本効率:帳簿の ROE は 16% だが、現金 45 億ドルが自己資本 91 億ドルの半分を占めて薄まっている。現金を除いた事業の ROE は約 28%(受取利息を除く純利益 13.4 億 ÷ 事業の資本 47 億ドル)で、土地・ヤードを含めた資本に対する値である。成長に新しいヤードの土地が要るので、土地は除いていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
事故車・全損車の市場は、保険会社の請求件数(事故件数)と全損率で決まる。全損率は、車の平均車齢が 12.8 年(2026 年に 13 年の見込み)と高くなり、先進運転支援(ADAS)のセンサー・カメラの校正で修理費が上がるため、23.1%(2025 年、過去最高)、2026 年上半期 23.5% へ上がり続けている。一方、事故件数は景気(走行距離)・自動車の安全装置・保険の自己負担の増加で弱く、2026 年は請求件数が低調で、コパートの米国の台数は前年比 −5.7%、保険会社分は第 1 四半期に −9.5% だった。
今の位置は、台数の谷に近い。2025 年のハリケーン(ヘレンとミルトン)の特需が消え、保険会社の入れ替え(IAA への移行)と請求件数の弱さが重なった。ただし 1 台あたりの収入は +5.4%、世界の平均売価は +3.5% で、価格は物価並みを保っている。海外は台数が +10% で、保険会社の取扱いが国ごとに広がり、第 2 の柱に育ちつつある。
構造の変化は、①全損率の上昇(市場の拡大要因)、②ADAS・自動運転で事故件数が長期で減る(縮小要因)、③IAA の立て直しと保険会社が競売先を分散する動き、④中古車価格の動き(手数料に連動)、⑤保険会社の電子市場への直接販売の試み。競合の RB グローバルは 2026 年 4〜6 月の取扱高が +11% で、自動車でシェアを伸ばしていると説明している。
資本政策と M&A
資本配分は、近年まで現金を貯める方針で、自社株買いは 2025 年まで少なかった。2026 年 7 月期に自社株買いを 16.3 億ドル(純利益の約 110%)まで増やし、現金と投資は 44.9 億ドルで横ばいに近い。配当は無く、株式報酬は 0.39 億ドルと小さく、正味の還元は自社株買いとほぼ同じである。設備投資はヤードの土地と設備で、売上の 1 割前後(推定)。自社でヤードを保有する方針が利益率を押し下げているが、土地は価値を保つ資産でもある。
最大の話題は ACV(ACV Auctions)の買収で、ディーラー向けのデジタル卸を約 19 億ドルの現金(公開買い付け)で買い、2026 年末までの完了を見込む。コパートは当初は利益が増減なしで、2028 年 7 月期以降に利益を増やす計画。ディーラー向け卸は事故車の複占とは別の競争環境で、ACV 自体は利益率が低く、買収後は現金 19 億ドルが減る。この分析は、まだ成立していない買収は入れず、今のコパートだけで書く。
創業者の流れをくむ長期志向の経営で、海外の拠点づくり・ヤードの土地の確保・買い手網を先に作る。純現金が時価総額の 17% あるので、今の自社株買いの割高さの心配は小さい。成長に要る投資を除いた余りは、自社株買い(または配当)で返す前提で書いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
全損率は過去最高の 23.1%(2026 年上半期 23.5%)で、車の平均車齢が 12.8 年から 13 年へ伸び、先進運転支援のセンサーの校正で修理費も上がり続けるので、事故件数が少し減っても、事故車・全損車の台数は構造的に増える。コパートはその市場の約 5 割を持ち、IAA(約 3 割強)と複占している。買い手のネットワークは世界 190 か国超に広がり、買い手が多いほど落札価格が上がり、売り手の保険会社が戻ってくる。
足元の台数減(米国 −5.7%)は、2025 年のハリケーン特需の消失と、大手保険会社 1 社の取扱いの移行という一時的な要因が大きい。1 台あたりの収入は +5.4% と伸び、海外は +10% で、国ごとに保険会社の取扱いが広がる途中である。営業利益率は 35% と、IAA(推定でそれより低い)を大きく上回り、ヤードの土地を自前で保有するので、規模が増えるほど利益が積み上がる。
時価総額 258 億ドルのうち 44 億ドルは現金で、事業は純利益 13.3 億ドルの約 16 倍で買える。今の水準は、成長 4%・堀の強さ・資本コスト 7.5% の利益ベースの式から見ると低く、成熟後は 21 倍前後になる。利益率が 3 ポイント下がる前提でも、割安は残る。
慎重な見方
台数は事実として減っている。米国は前年比 −5.7%、保険会社分は第 1 四半期に −9.5% で、大手保険会社が IAA に取扱いを移した。RB グローバルは 2026 年 4〜6 月に取扱高 +11% で、自動車でシェアを伸ばしている。保険会社は大口の少数で、一社の方針で台数が数%動く。コパートの米国のシェアは今後も下がり、IAA に取られた分は戻らないかもしれない。
営業利益率は 2021 年 7 月期の 42% から 35% へ 7 ポイント下がった。ヤードを自前で保有し、人件費・保険・設備の費用が物価で上がる一方、台数が減ると固定費が重い。純利益は 2026 年 7 月期に前年比 −4.4% と減り、今年の利益は受取利息(約 1.8 億ドルの税引き前)に支えられている。長期では先進運転支援・自動運転で事故件数が 3 割近く減る可能性があり、全損率の上昇では埋まらない。
さらに ACV(デジタル卸)の約 19 億ドルの買収は、競争の少ない複占の事業から、競争の多いディーラー向けの卸へ踏み出す一歩で、買収の価値を壊す可能性がある。今の PER 17.5 倍が低いのは、市場がこうした懸念を織り込んでいるからで、「割安」は罠かもしれない。
どちらに重みを置いたか
強気の言い分(全損率の上昇・複占の堀・余った現金・利益ベースの倍率)は事業の質として強く、慎重な見方(台数減・シェア低下・利益率の低下・事故件数の構造減)は短期では事実だが、中立の筋書きにすでに入れた(米国のシェア −0.4〜−0.9%、利益率 −3 ポイント)。確率は、楽観 8%・やや楽観 20%・中立 40%・やや悲観 20%・悲観 12% と、台数の傾向とシェア喪失を重く見て、悲観(事故件数の構造減と IAA の競り合い)を同業より厚くした。倍率を利益ベースの上限の内側に置いても、本質価値は今の値段を 3 割弱上回るので、判定はやや割安になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 48.44 ドル449 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 17.36 ドル161 億ドル)。 今の値に割り戻すと 35.59 ドル330 億ドル、今との差 +22.4%、 期待の年率 +8.5%(資本コスト 7.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 75.08 ドル696 億ドル | 21.75 ドル202 億ドル | +232.8% | +12.8% | 7.75 ドル72 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 63.11 ドル585 億ドル | 20.14 ドル187 億ドル | +186.2% | +11.1% | 16.65 ドル154 億ドル |
| 中立 | 40% | 51.83 ドル481 億ドル | 18.37 ドル170 億ドル | +141.3% | +9.2% | 28.08 ドル260 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 34.85 ドル323 億ドル | 16.03 ドル149 億ドル | +74.9% | +5.8% | 10.18 ドル94 億ドル |
| 悲観 | 12% | 17.56 ドル163 億ドル | 8.63 ドル80 億ドル | −10.0% | −1.0% | 3.14 ドル29 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 48.44 ドル449 億ドル | 17.36 ドル161 億ドル | +126.2% | +8.5% | 65.80 ドル610 億ドル |
今の株価時価総額 29.09 ドル270 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:全損率の上昇が続き、海外が第 2 の柱になり、利益率が守られる 利益 29 億ドル · PER 23.6 倍 · 株価時価総額 75.08 ドル696 億ドル
2036 年 7 月期、米国の市場が年 +1.8%(全損率が 23.5% から 28% 台へ上がり、先進運転支援による事故件数の減少を上回る)、コパートのシェアは IAA との競り合いを制して年 +0.2%、手数料は物価を 0.4 ポイント上回る。海外は市場が年 +2.0%、コパートのシェアが 8.5% から 14% 近くへ上がり、売上は 3 倍近くになる。買取転売は年 +7%。営業利益率は米国 46.5%・海外 33%(規模の経済)で全社 35%。売上 101.6 億ドル、純利益 29.2 億ドル。IAA が RB グローバルの傘下で立て直しても、買い手の網の厚さとヤードの数でコパートの価格を決める力が保たれる。
- 米国の事故車・全損車の競売(手数料):数量 741(米国の事故車・全損車の競売の市場台数(万台)× コパートのシェア)× 価格 713(コパートのシェア × 1 台あたりの手数料収入(ドル。中古車価格に連動。2026 年 7 月期 = 約 1,000 ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 53 億ドル・営業利益 25 億ドル。米国の市場 741 万台 × 価格(シェア×1 台あたり手数料)712.6 ドル
- 海外の事故車・全損車の競売(手数料):数量 1,585(コパートが営業する海外各国の事故車・全損車の市場台数(万台)× コパートのシェア)× 価格 186(コパートのシェア × 1 台あたりの手数料収入(ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 29 億ドル・営業利益 10 億ドル。海外の市場 1585 万台 × 価格(シェア×手数料)185.7 ドル
- 買取車両の販売:数量 47.2(買取転売の台数(万台))× 価格 4,096(1 台あたりの売値(ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 19 億ドル・営業利益 2 億ドル。買取転売 47.2 万台 × 1 台あたり売値 4096 ドル
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 42.8%(この筋書きの純利益 29.2 ÷ 自己資本 107 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 7.5%(基本 8.0% + quality -0.5%)+ 残る割合 0.67 ×(ROE − k)= 31.0%(堀は強:保険会社と買い手の網がそろう複占で、ヤードの土地は許可と立地で新規参入が難しい(残る割合 2/3))。g は 4.0%(g は 4.0%(上限。k−3.5% と同じ)。内訳=市場(事故件数 × 全損率)の実質 1.0% + シェア 0% + 価格 3.5%(手数料は中古車価格に連動))。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=24.9 倍に対し、95% の 23.6 倍に置いた(海外のシェア拡大と全損率の上昇が続く筋書きなので上限の近く。 余った現金 40 億ドルは戻り方 0.5 を掛けた 20 億ドルだけ足す。ROE は余った現金を除く事業の ROE。)。時価総額=純利益 29.2 億ドル × 23.6 倍=696 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:全損率の上昇と海外の拡大が両方効く筋書き。保険会社の入れ替えで台数を失っている最中なので 8%。
やや楽観 20% やや楽観:米国の市場が伸び、シェアは維持、海外が育つ 利益 26 億ドル · PER 22.5 倍 · 株価時価総額 63.11 ドル585 億ドル
2036 年 7 月期、米国の市場が年 +1.4%、シェアは横ばい、手数料は物価を 0.2 ポイント上回る。海外は市場 +1.6%、シェア +4% で台数が年 +5.7%。買取転売は年 +6%。営業利益率は米国 45%・海外 31%、全社 34.1%。売上 91.6 億ドル、純利益 25.7 億ドル。ヤードの増設の費用は売上の伸びで吸収する。IAA は取扱いを増やすが、コパートは買い手のネットワークの厚さで価格を保つ。競合の IAA の利益率はコパートより低い(推定)ため、値下げで追いかける余裕は小さい。
- 米国の事故車・全損車の競売(手数料):数量 713(米国の事故車・全損車の競売の市場台数(万台)× コパートのシェア)× 価格 685(コパートのシェア × 1 台あたりの手数料収入(ドル。中古車価格に連動。2026 年 7 月期 = 約 1,000 ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 49 億ドル・営業利益 22 億ドル。米国の市場 712 万台 × 価格(シェア×1 台あたり手数料)684.7 ドル
- 海外の事故車・全損車の競売(手数料):数量 1,524(コパートが営業する海外各国の事故車・全損車の市場台数(万台)× コパートのシェア)× 価格 165(コパートのシェア × 1 台あたりの手数料収入(ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 25 億ドル・営業利益 8 億ドル。海外の市場 1524 万台 × 価格(シェア×手数料)165.4 ドル
- 買取車両の販売:数量 43.0(買取転売の台数(万台))× 価格 4,096(1 台あたりの売値(ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 18 億ドル・営業利益 2 億ドル。買取転売 43.0 万台 × 1 台あたり売値 4096 ドル
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 38.1%(この筋書きの純利益 25.7 ÷ 自己資本 106 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 7.5%(基本 8.0% + quality -0.5%)+ 残る割合 0.67 ×(ROE − k)= 27.9%(堀は強:保険会社と買い手の網がそろう複占で、ヤードの土地は許可と立地で新規参入が難しい(残る割合 2/3))。g は 4.0%(g は 4.0%(上限。k−3.5% と同じ)。内訳=市場(事故件数 × 全損率)の実質 1.0% + シェア 0% + 価格 3.5%(手数料は中古車価格に連動))。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=24.5 倍に対し、92% の 22.4 倍に置いた(米国の市場が伸びシェアを保つ筋書き。 余った現金 40 億ドルは戻り方 0.5 を掛けた 20 億ドルだけ足す。ROE は余った現金を除く事業の ROE。)。時価総額=純利益 25.7 億ドル × 22.4 倍=585 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:全損率の上昇が市場を押し上げ、米国のシェアを保つ筋書き。2 割。
中立 40% 中立:米国は市場の微増とシェアの小幅な低下、海外が伸び、利益率はやや下がる 利益 22 億ドル · PER 21.4 倍 · 株価時価総額 51.83 ドル481 億ドル
2036 年 7 月期、米国の市場は年 +1.0%(全損率の上昇 +1.5% から事故件数の減少 −0.5% を引く)、シェアは年 −0.4%(IAA との競合で 47.6% から 45.7% へ)、手数料は物価並みの年 +3.5%(10 年で 1.41 倍)。海外は市場 +1.2%、シェア +3% で台数が年 +4.2%。買取転売は年 +4.5%。売上 81.2 億ドル(年 +5.7%)、営業利益率 32.3%(今の 35.4% から、競合と費用の上昇で 3 ポイント下がる)、純利益 22.1 億ドル。長期の成長 g は 4.5%(市場の実質 1.0% + シェア 0% + 価格 3.5%)。ACV 買収は入れない。IAA の利益率はコパートより低く、価格で攻めきれない。
- 米国の事故車・全損車の競売(手数料):数量 685(米国の事故車・全損車の競売の市場台数(万台)× コパートのシェア)× 価格 645(コパートのシェア × 1 台あたりの手数料収入(ドル。中古車価格に連動。2026 年 7 月期 = 約 1,000 ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 44 億ドル・営業利益 19 億ドル。米国の市場 685 万台 × 価格(シェア×1 台あたり手数料)644.8 ドル
- 海外の事故車・全損車の競売(手数料):数量 1,465(コパートが営業する海外各国の事故車・全損車の市場台数(万台)× コパートのシェア)× 価格 149(コパートのシェア × 1 台あたりの手数料収入(ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 22 億ドル・営業利益 6 億ドル。海外の市場 1465 万台 × 価格(シェア×手数料)148.7 ドル
- 買取車両の販売:数量 37.3(買取転売の台数(万台))× 価格 4,096(1 台あたりの売値(ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 15 億ドル・営業利益 1 億ドル。買取転売 37.3 万台 × 1 台あたり売値 4096 ドル
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 33.0%(この筋書きの純利益 22.1 ÷ 自己資本 105 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 7.5%(基本 8.0% + quality -0.5%)+ 残る割合 0.67 ×(ROE − k)= 24.5%(堀は強:保険会社と買い手の網がそろう複占で、ヤードの土地は許可と立地で新規参入が難しい(残る割合 2/3))。g は 4.0%(g は 4.0%(上限。k−3.5% と同じ)。内訳=市場(事故件数 × 全損率)の実質 1.0% + シェア 0% + 価格 3.5%(手数料は中古車価格に連動))。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=23.9 倍に対し、90% の 21.4 倍に置いた(現在は台数減とシェア低下の局面で、堀が強くても 10 割にはしない。 余った現金 40 億ドルは戻り方 0.5 を掛けた 20 億ドルだけ足す。ROE は余った現金を除く事業の ROE。)。時価総額=純利益 22.1 億ドル × 21.4 倍=480 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:今の傾向(米国の台数は弱く、海外は伸びる)が 10 年続き、利益率が少し下がる中心の筋書き。4 割。
やや悲観 20% やや悲観:IAA にシェアを取られ、先進運転支援で事故が減る 利益 18 億ドル · PER 18.0 倍 · 株価時価総額 34.85 ドル323 億ドル
2036 年 7 月期、米国の市場が年 +0.4%(先進運転支援で事故件数が減り、全損率の上昇がほぼ打ち消される)、シェアが年 −1.2%(47.6% から 42% 前後へ)、手数料は物価を 0.3 ポイント下回る。海外は伸びが年 +2.3% に鈍る。営業利益率は米国 39%・海外 26%、全社 29.3%。売上 68.2 億ドル、純利益 17.5 億ドル。IAA が RB グローバルの買い手網と合わせて保険会社の取り込みを進め、コパートはヤードの固定費を薄く広げる形になる。ヤードの稼働が下がると利益率が落ち、手数料の値上げも保険会社の交渉で物価に届かなくなる。海外の伸びが米国の減少を部分的に埋めるが、全社の利益の伸びは年 2% 台に鈍る。
- 米国の事故車・全損車の競売(手数料):数量 645(米国の事故車・全損車の競売の市場台数(万台)× コパートのシェア)× 価格 577(コパートのシェア × 1 台あたりの手数料収入(ドル。中古車価格に連動。2026 年 7 月期 = 約 1,000 ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 37 億ドル・営業利益 15 億ドル。米国の市場 645 万台 × 価格(シェア×1 台あたり手数料)577.2 ドル
- 海外の事故車・全損車の競売(手数料):数量 1,408(コパートが営業する海外各国の事故車・全損車の市場台数(万台)× コパートのシェア)× 価格 126(コパートのシェア × 1 台あたりの手数料収入(ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 18 億ドル・営業利益 5 億ドル。海外の市場 1408 万台 × 価格(シェア×手数料)125.8 ドル
- 買取車両の販売:数量 32.3(買取転売の台数(万台))× 価格 4,096(1 台あたりの売値(ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 13 億ドル・営業利益 1 億ドル。買取転売 32.3 万台 × 1 台あたり売値 4096 ドル
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 23.1%(この筋書きの純利益 17.5 ÷ 自己資本 104 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 7.5%(基本 8.0% + quality -0.5%)+ 残る割合 0.67 ×(ROE − k)= 17.9%(堀は強:保険会社と買い手の網がそろう複占で、ヤードの土地は許可と立地で新規参入が難しい(残る割合 2/3))。g は 4.0%(g は 4.0%(上限。k−3.5% と同じ)。内訳=市場(事故件数 × 全損率)の実質 1.0% + シェア 0% + 価格 3.5%(手数料は中古車価格に連動))。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=22.2 倍に対し、82% の 18.0 倍に置いた(事故件数の構造減と IAA との競り合いで利益率が下がる筋書きで上限の 8 割強。 余った現金 40 億ドルは戻り方 0.5 を掛けた 20 億ドルだけ足す。ROE は余った現金を除く事業の ROE。)。時価総額=純利益 17.5 億ドル × 18.0 倍=323 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:IAA への保険会社の移行が続き、事故件数が減る筋書き。2 割。
悲観 12% 悲観:自動運転・先進運転支援で事故が減り、IAA との値下げ競争で優良でなくなる 利益 12 億ドル · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 17.56 ドル163 億ドル
構造的な負けの筋書き。2036 年 7 月期までに先進運転支援・自動運転で事故件数が 3 割近く減り、全損率の上昇(年 +1.5%)では埋まらず、米国の市場が年 −0.8% で縮む。シェアは IAA と保険会社の直接販売(電子市場)に年 −2.0% で取られ(47.6% から 39% 前後)、手数料は物価を 0.8 ポイント下回る。海外も伸びが止まる。売上 54.0 億ドル、営業利益率 23.7%、純利益 12.0 億ドル。コパートの堀は今ほど厚くなく、ふつうの会社に近づく。ヤードの固定費が重く、台数の減少がそのまま利益率の低下になるため、純現金(約 56 億ドル)が価値の大きな部分を占めるようになる。還元は 10 年で 80 億ドルに絞り、値下げ競争とヤードの維持に備えて現金をためる。
- 米国の事故車・全損車の競売(手数料):数量 572(米国の事故車・全損車の競売の市場台数(万台)× コパートのシェア)× 価格 506(コパートのシェア × 1 台あたりの手数料収入(ドル。中古車価格に連動。2026 年 7 月期 = 約 1,000 ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 29 億ドル・営業利益 10 億ドル。米国の市場 572 万台 × 価格(シェア×1 台あたり手数料)506.1 ドル
- 海外の事故車・全損車の競売(手数料):数量 1,326(コパートが営業する海外各国の事故車・全損車の市場台数(万台)× コパートのシェア)× 価格 107(コパートのシェア × 1 台あたりの手数料収入(ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 14 億ドル・営業利益 3 億ドル。海外の市場 1326 万台 × 価格(シェア×手数料)107.3 ドル
- 買取車両の販売:数量 26.5(買取転売の台数(万台))× 価格 4,096(1 台あたりの売値(ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数)→ 売上 11 億ドル・営業利益 0 億ドル。買取転売 26.5 万台 × 1 台あたり売値 4096 ドル
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 14.2%(この筋書きの純利益 12.0 ÷ 自己資本 103 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 7.5%(基本 8.0% + quality -0.5%)+ 残る割合 0.67 ×(ROE − k)= 12.0%(堀は強:保険会社と買い手の網がそろう複占で、ヤードの土地は許可と立地で新規参入が難しい(残る割合 2/3))。g は 4.0%(g は 4.0%(上限。k−3.5% と同じ)。内訳=市場(事故件数 × 全損率)の実質 1.0% + シェア 0% + 価格 3.5%(手数料は中古車価格に連動))。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=19.0 倍に対し、70% の 13.1 倍に置いた(構造的に負けた姿。堀が薄れる筋書きなので上限の 7 割に置き、還元も絞る。 余った現金 40 億ドルは戻り方 0.5 を掛けた 20 億ドルだけ足す。ROE は余った現金を除く事業の ROE。)。時価総額=純利益 12.0 億ドル × 13.1 倍=163 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:先進運転支援の事故減・IAA の競合・保険会社の直接販売が重なる構造的な負け。ヤードと買い手網の堀があるので 12% に抑える。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
米国の事故車・全損車の競売(手数料)
保険会社・リース会社などの全損車・事故車を、オンライン競売で世界の買い手に売る手数料(売り手と買い手の両方から取る)と、ヤードでの保管・搬出の料金。サービス収入の大半を占める。
| 数量米国の事故車・全損車の競売の市場台数(万台)× コパートのシェア | 価格コパートのシェア × 1 台あたりの手数料収入(ドル。中古車価格に連動。2026 年 7 月期 = 約 1,000 ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 620 | 476 | 30 | 13 |
| 10 年後 中立 | 685 | 645 | 44 | 19 |
取り方:2026 年 7 月期の米国サービス収入を約 29.5 億ドルと推定(開示はサービス収入 39.7 億ドルの全体だけで、米国と海外の内訳が無い。米国は全体の 7 割強と見る)。市場台数 620 万台は推定:コパートの米国の取扱いが年 約 295 万台、IAA(RB グローバル)が約 200 万台で、この 2 社で米国の事故車競売の約 8 割(推計)、残りは地域の競売業者。コパートのシェア 47.6%、手数料は 1 台あたり約 1,000 ドル。営業利益 13.4 億ドル(率 45%)は全社の営業利益 16.5 億ドルから海外・買取転売の分を引いた推定。第 4 四半期の米国の台数は前年比 −5.7%、保険会社の取扱いは第 1 四半期に −9.5%(保険会社どうしのシェア変化と請求件数の弱さ)。
海外の事故車・全損車の競売(手数料)
英国・カナダ・ブラジル・ドイツ・スペイン・中東など米国外の拠点での競売手数料。保険会社への新規の営業と、国ごとの買い手の網の拡大で伸びている。
| 数量コパートが営業する海外各国の事故車・全損車の市場台数(万台)× コパートのシェア | 価格コパートのシェア × 1 台あたりの手数料収入(ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 1,300 | 78 | 10 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,465 | 149 | 22 | 6 |
取り方:2026 年 7 月期の海外サービス収入を約 10.2 億ドルと推定(サービス収入 39.7 から米国の推定 29.5 を引いた残り)。市場台数 1,300 万台は推定(営業する国の事故車・全損車の合計。競売に出ない分も含む)、シェア 8.5%(約 110 万台)、手数料は 1 台あたり約 930 ドル。第 4 四半期の海外の台数は前年比 +10%。営業利益 2.6 億ドル(率 25%)は推定で、米国より低い(立ち上げ期のヤードの費用が重い)。
買取車両の販売
コパートが売り手から車を買い取り、自社の競売で転売する分の売上。1 台あたりの売値は大きいが利益率は薄い。
| 数量買取転売の台数(万台) | 価格1 台あたりの売値(ドル)。rev_factor 0.0001 は「万台×ドル」を億ドルに直す係数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 24.0 | 2,904 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 37.3 | 4,096 | 15 | 1 |
取り方:2026 年 7 月期の車両販売収入 6.97 億ドル(第 4 四半期は前年比 +8.3%)。台数 24 万台・1 台あたり約 2,900 ドルは推定。営業利益は粗利から人件費などを引いた推定で 0.55 億ドル(率 8%)。保険会社以外(ディーラー・個人)の車を仕入れる事業で、台数が増えると売上は増えるが、利益への寄与は小さい。
リスクと懸念
保険会社の取扱いの移行(IAA へ)
保険会社は少数の大口で、一社が取扱いをコパートから IAA に移すと台数が数%動く。2025 年に大手保険会社が IAA に移し、米国の台数は第 4 四半期に前年比 −5.7%。IAA は RB グローバルの傘下で立て直し、2026 年 4〜6 月の取扱高は +11%。シェアが年 −1〜2% で下がり続けると、米国の利益が減る。
先進運転支援・自動運転で事故が減る
10 年のうちに事故件数が 3 割近く減ると、全損率の上昇(年 +1.5%)では市場の縮小を埋めきれない。センサーの校正で修理費が上がり全損になる車は増えるので、短期は追い風だが、自動運転が普及すると長期の台数が減る。10 年の悲観の主因。
利益率の低下の傾向
営業利益率は 2021 年 7 月期の 42% から 2026 年の 35.4% へ 5 年で約 7 ポイント下がった。ヤードの保有費・人件費・保険・海外の立ち上げ・買取転売の比率が効く。台数が減ると固定費が重く、利益率はさらに下がる。中立でも 10 年で 32% へ落ちると置いた。
ACV 買収の実行
ディーラー向けのデジタル卸 ACV(ACV Auctions)を約 19 億ドルの現金で買う。事故車の複占とは別の競争環境で、買収後は当初は利益が増減なし、2028 年 7 月期以降に利益を増やす計画。統合の失敗や価格の払い過ぎで価値を壊すおそれがある。この分析は未成立として入れていない。
景気後退と中古車価格の下落
不況で走行距離が減ると請求件数が減り、中古車価格が下がると手数料も下がる。2008 年 7 月期の PER は 15.6 倍まで下がった。ヤードの固定費が重く、利益は台数以上に動く。純現金 44 億ドルが下の床になる。
保険会社の直接販売・電子市場
保険会社が自社の競売サイトや電子市場で直接売ると、手数料が減る。コパートの買い手の網と速さで今は優位だが、保険会社が競売先を分散する動き(複数社に割り振る)はシェアを削る。手数料の値上げ交渉でも保険会社の立場が強まる。
金利の低下(純現金の受取利息)
純利益の 1 割(約 1.5 億ドルの税引き後)が受取利息で、短期金利が 3.5〜4% を保つ前提。金利が下がるとこの分は減るが、倍率の計算は受取利息を除いた事業の利益に掛けているので、価値への影響は小さい(余った現金は戻り方 0.5 を掛けて数える)。ただし年ごとの利益は減り、純利益の増減の見え方は変わる。
今後の分かれ目
- 米国の台数が 2 四半期続けて前年比 −5% 超で、シェアの低下が止まらない
- やや悲観・悲観の確率を上げる。保険会社別の取扱いの内訳(IAA への移行)を確認する。
- 米国の台数が前年比プラスに戻り、保険会社の取扱いの移行が一巡する
- やや楽観・楽観の確率を上げる。台数の谷だったことになり、固定費の効果で利益率が戻る。
- ACV の買収が成立し、統合の費用が見通しを超える
- 現金 約 19 億ドルの価値が減る。成立後の利益の増え方を確認し、この分析の「未成立」の前提を直す。
- 全損率が 25% を超えて上がり続ける
- 市場の台数の伸びを +1.5% 以上に置き直す。楽観の確率を上げる。
- 先進運転支援の事故減少が統計に出て、請求件数が 2 年続けて年 −3% 以上になる
- 10 年の悲観の確率を上げる(事故件数の構造減)。
- 株価が下がり、現金を除いた PER が 15 倍を割る
- 市場が堀の弱まりを織り込み始めたサイン。利益ベースの値との差がさらに開くので、台数とシェアの前提を点検する。台数の回復が見えれば割安が強まる。
見ておくもの
- 米国・海外の販売台数(前年比)と保険会社の取扱い(シェアの移行)
- 全損率(CCC の統計)と事故件数・請求件数
- 1 台あたりの収入と中古車価格(手数料の連動)
- 営業利益率(米国・海外)と増設ヤードの費用
- RB グローバル(IAA)の取扱高と保険会社の獲得
- ACV 買収の成立と統合の費用
- 自社株買いの額と純現金の水準
倍率と資本コストの決め方
今の PER 17.5 倍(現金を除くと約 16 倍)に寄せず、資本コスト 7.5%(基本 8.0% + quality −0.5%)、長期の成長 g 4%(市場の実質 1.0% + シェア 0% + 価格 3.5%)、現金を除いた事業の ROE と堀が強い(残る割合 2/3、moat_why)ことから利益ベースの正当化 PER(中立の 10 年で上限 23.9 倍)を出し、その 9 割の 21.4 倍に置いた。余った現金 40 億ドルは戻り方 0.5 を掛けた 20 億ドルを別に足す。現在は台数減とシェア低下の局面で、堀が強くても 10 割にはしていない。今の台数の減少と利益率の低下は中立の筋書き(米国のシェア −0.4〜−0.9%、利益率 −3 ポイント)に入れ、ROE の高さは成長の根拠にしていない。悲観は上限の 7 割に置き、還元も絞って、時価総額と還元の合計が今の時価総額を下回るようにした。市場の倍率や業界ノートの倍率には寄せていない。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 5% + β 1.02 × 5%。k=基本 8.0% + quality −0.5% = 7.5%。複占の値決めの力を認めて少しだけ下げた(強い堀の会社の下げの限度)。景気(走行距離・中古車価格)と保険の請求件数に連動するが、事故車の需要自体は安定している。IAA との競合・保険会社への集中・ACV 買収の実行・先進運転支援による事故の減少などの個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。純現金で借金は無く、上乗せは置かない。