結論
サービス・コーポレーション・インターナショナルは、北米最大の葬儀・火葬・墓地サービス会社である。筆者の結論は、長期保有に値する強みを持つが、現在の時価総額には十分な安全域がなく、評価は適正というものだ。人が亡くなるという需要はなくならず、墓地の立地、地域で築いた信用、生前契約の蓄積は簡単には模倣できない。ただし、葬儀の必需性と、従来型の葬儀に高い料金を払う需要とは別である。
2025年の売上は43.1億ドル、営業利益は9.7億ドル、純利益は5.4億ドルだった。葬儀場1485か所と墓地500か所を持ち、売上で見た北米市場のシェアは会社推定で約18%に達する。生前に葬儀や墓地を契約する仕組みが大きな強みで、未履行契約に対応する将来売上の残高は170億ドルに達した。ただし、この残高を自由に使える現金と考えてはいけない。信託や保険契約で裏付けられる一方、将来のサービス提供義務も伴う。
成長を支えるのは高齢化と小規模事業者の買収である。反対に、2025年の米国の火葬率は約63%に達し、低価格の直接火葬が従来の葬儀から需要を奪っている。SCI自身の既存事業では、葬儀施行件数が伸び悩む一方、単価の引き上げが売上を支えている。2026年上半期も葬儀件数は前年を下回ったが、墓地の生前販売が好調で、会社は営業キャッシュフローの見通しを引き上げた。
財務では、純有利子負債約50億ドルが最大の注意点となる。高いROEの一部は自己資本を小さく保つ自社株買いと借金の結果であり、利益のすべてを株主に返せるわけではない。墓地の開発、施設の維持、将来の契約履行にも資金が要る。
10年後の中立では、葬儀件数が約41万件へ増え、墓地の販売・サービスも拡大すると考える。純利益は9.1億ドル、時価総額は194.7億ドル、期間中の正味還元は58億ドルとなる。5つの筋書きを資本コスト7.5%で割り引いた現在価値は約118.6億ドルで、基準時点の114.6億ドルを約3.5%上回る。事業の寿命は長いが、現在の価格に大きな余裕はない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、SCIは長く理解して保有できる事業に近い。10年後も人は亡くなり、葬儀や火葬を行う施設、遺骨を納める場所は必要とされる。技術が進歩しても、土地の立地、遺体の取り扱い、地域に根付いた信用はデジタルサービスに置き換わらない。葬儀場と墓地を組み合わせ、生前契約で将来の顧客を確保する仕組みには、本物の堀がある。
しかし、長く必要とされる事業が、必ずしも長く同じ利益率で稼げるわけではない。火葬は従来の葬儀より安価で、オンラインで必要なサービスだけを選ぶ顧客も増える。SCIは低価格の火葬にも対応しているが、商品構成の変化は平均単価を押し下げる。墓地についても、利用者が減る伝統的な墓所と、伸びる納骨堂や火葬記念施設を分けて考える必要がある。
オーナー利益を考えると、報告純利益だけでなく、墓地の造成、施設の修繕、契約済みサービスを将来提供するための費用が大切になる。SCIは現金をよく生むが、2025年のフリーキャッシュフローは約4.8億ドルで、同年の正味株主還元を下回った。高いROEだけを見て、資本をほとんど必要としない会社と評価することはできない。
経営の資本配分は、これまで概ね成功してきた。地域事業者の買収と生前契約の蓄積が収益を押し上げ、長期の増分資本利益率も資本コストを上回った可能性が高い。ただし、今後の買収価格が上がれば同じ成果を繰り返せるとは限らない。自社株買いも、株価が本質価値を超えた局面では価値を壊す。
筆者が最も重視するのは、墓地の堀が火葬への移行を吸収し、負債を増やさずに利益と配当を成長させられるかである。この二つが確認できれば、長期保有の確信は高まる。現在はその可能性を認めつつ、予想外の競争悪化に備えるための安全域が十分とは言えない。
何で稼ぐ会社か
SCIの事業は、葬儀と墓地の二本柱である。葬儀事業は2025年売上24.1億ドルで、遺体の搬送・処置、葬儀の企画と運営、棺や骨壺の販売、火葬、追悼式などを提供する。顧客は亡くなった人の家族だが、生前契約を通じて将来の顧客とも早くから関係を作る。2025年の施行件数は約35.9万件で、葬儀部門全体の売上を件数で割った平均は約6708ドルだった。会社が開示する通常の比較可能な葬儀平均単価は5818ドルであり、両者の差は保険代理店手数料やその他の収入による。
墓地事業は売上19.0億ドルを生み、売上全体の約44%を占める。墓所、納骨堂、霊廟、火葬後の遺骨を納める区画などの使用権に加え、墓石、記念商品、埋葬作業、墓地の維持に関係するサービスを販売する。土地を所有し、必要な許認可を得て開発した区画を販売できる点が、葬儀場との大きな違いである。2025年の墓地部門の粗利益率は33.8%と、葬儀部門の20.6%を上回った。
収入の発生時期には重要な違いがある。葬儀の生前契約は通常、死亡後のサービス提供時に売上となる。一方、墓所の使用権は、開発済みで利用可能な区画を顧客に引き渡せば、生前販売でも売上を認識できる。墓地の販売額と会計上の売上が四半期ごとに一致しないのはこのためである。2025年の墓地生前販売額は14.21億ドルだったが、その一部は将来の売上に繰り延べられた。
経済的な強みは、両部門を一体で運営できることにある。SCIは312か所で葬儀場と墓地を併設し、施設、従業員、販売員を共有している。ディグニティ・メモリアルの全国ブランドを使いながら、買収した地域の葬儀場の名前と信用を残す。家族が葬儀場と墓地を別々に探す負担を減らせるため、価格だけの競争になりにくい。
生前契約の営業員は約3800人で、営業活動そのものが将来の売上を確保する役割を持つ。2026年第2四半期には葬儀の比較可能な生前販売額が7%、墓地が8%増えた。ただし、売上の先取りではなく、将来のサービス費用や信託資産の運用結果まで見なければ、その価値は測れない。AIエージェント代替の指定対象である人月・席課金・情報販売型事業には当たらず、現物のサービスと墓地権益が収益の中心である。
優良さと弱いところ
SCIの堀、つまり競争相手が容易には崩せない強みは、墓地の希少性と地域の信用、生前契約の三つから成る。墓地は土地を買えばすぐに開業できる事業ではない。用途地域、環境規制、住民の同意、開発資金が必要で、既存の墓地には立地上の優位がある。葬儀場は比較的参入しやすいが、長年使われてきた地域の屋号と紹介による信用が集客力を支える。
生前契約はさらに強い。顧客が将来の葬儀や墓所を予約すると、その契約は長期にわたりSCIとの関係を維持する。家族の事情による変更や解約はあり得るものの、同じ地域で競争する独立葬儀場が短期間に再現できる仕組みではない。170億ドルの生前契約残高は、競争上の強みと将来履行の約束が表裏一体になったものだ。
利益率の改善にも一定の実績がある。2015年の営業利益率は約18%だったが、2025年には22.6%へ上がった。2015年から2025年の税引後営業利益の増分を、自己資本と純有利子負債の増分で割ると、概算の増分投下資本利益率は約13%になる。資本コスト7.5%を上回り、買収や設備投資が全体として価値を生んできた可能性を示す。ただし、買収時期や死亡件数の変動が混ざるため、毎年の新規投資が同じ利回りで回る証拠ではない。
最も注意すべきなのはROEの解釈である。2025年のROEは33.1%だが、自己資本比率は8.8%しかない。過去の利益を自社株買いで払い出し、負債を増やしてきたことが分母を縮めている。事業の質は高いものの、負債を使わずにROE33%を維持できる会社ではない。
値上げの力も部門で異なる。2025年の比較可能な葬儀平均単価は2.9%上がり、2026年第2四半期も約3%上がった。しかし火葬への移行は販売商品の構成を変え、伝統的な葬儀の単価を押し下げる。墓地の優良な区画には強い値決め力がある一方、安価な火葬と納骨方法が広がる部分では、その力が弱まる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
北米の葬祭産業は、需要の発生自体は非常に安定しているが、顧客が購入する商品の構成は大きく変わりつつある。米国葬祭ディレクター協会によれば、2025年の米国火葬率は63.4%、埋葬率は31.6%と推計される。2045年には火葬率が82.3%に達する見通しである。今後10年もこの変化は続き、従来の棺や墓所を伴う葬儀より、簡素な火葬や小規模な追悼式が増えるだろう。
一方、死亡件数は高齢化を背景に長期的に増える見通しだ。感染症流行時の一時的な死亡増加が落ち着いた後も、高齢者人口が増えること自体は変わらない。筆者は北米の年間死亡件数を2025年の約340万件から2035年には約385万件へ増えると推計する。ただし、死亡件数の増加をそのまま葬儀売上の増加と考えてはいけない。顧客が選ぶサービスの単価と、地域ごとのシェアが同時に変わるためである。
市場規模には定義の差がある。業界団体は米国の葬儀場売上を約163億ドル、墓地・火葬関連施設を約43億ドルと紹介している。一方、SCIは北米の葬儀・墓地売上市場における自社シェアを約18%と推定する。SCIの売上から逆算した広義の北米市場は約240億ドルとなる。国の範囲、生前の墓所販売、信託収益、関連サービスの扱いが異なるため、これらは単純には一致しない。
競争相手は、キャリッジ・サービシズ(Carriage Services)、パーク・ローン、ファウンデーション・パートナーズなどの事業者と、多数の地域独立葬儀場である。SCIの推定市場シェア18%に対し、キャリッジの2025年売上は約4億ドルで、広義の北米市場に対する割合は約2%にとどまる。残りの大半を非上場企業や地域事業者が占める。規模でSCIに並ぶ会社は少ないが、個々の地域では独立事業者の信用が強く、全国ブランドだけで顧客を奪えるわけではない。
墓地市場は葬儀場より参入障壁が高い。都市の周辺にある好立地の墓地では、土地の制約と開発許可が供給を制限する。生前販売の営業力を持つ会社が有利である反面、墓所の売買には将来の維持費と信託管理の責任が伴う。火葬後の遺骨を納める小区画や記念施設を販売できる会社が、従来の埋葬需要の減少を補うと考える。
長期の市場成長は、死亡件数の実質増加が年1%前後、価格が物価に近い年3.5%という姿を基本とする。ただし、SCIの葬儀平均単価は簡素化の影響で物価をやや下回ると見る。景気後退よりも、消費者の選択が恒久的に安価な方向へ動くことが、この業界の大きな構造変化である。
資本政策と M&A
経営陣は、買収と新規施設開発、配当、自社株買いを組み合わせて株主価値を高める方針を取っている。2025年には約1.01億ドルを投じ、葬儀場22か所と墓地2か所を取得した。地域の既存ブランドを引き継ぎ、施設の共同利用や営業網の効率化で投資額を回収する手法である。2015年から2025年までに営業利益とフリーキャッシュフローは増え、長期の株主総利回りも良好だった。
2025年の配当は1.8億ドル、自社株買いは4.6億ドルだった。株式報酬約0.2億ドルを差し引いた正味の還元は約6.2億ドルとなり、純利益5.4億ドルを上回る。これは永続的に繰り返せる還元率ではない。実際、純有利子負債は2015年の約30億ドルから2025年には約50億ドルへ増えた。買収と株主還元の両方を借金で支える期間があったと見るべきだ。
会社は調整後利益に対する配当性向を30〜40%とする方針を示し、自社株買いは投資機会と財務余力に応じて実施する。2026年6月には自社株買いの利用可能枠を6億ドルへ引き上げた。2026年上半期の配当と買い戻しは合計約3.63億ドルだった。2026年の調整後営業キャッシュフロー見通しは10.55〜11.15億ドルへ引き上げられ、既存施設の維持、墓地開発、デジタル投資に約3.35億ドルを予定する。
会社が示す長期の調整後1株利益成長の目安は年8〜12%であり、事業成長に資本配分の効果を加えた目標である。ただし、自社株買いによる株数減少も含まれるため、全社純利益が同じ速度で増えるとは考えない。2035年の評価では、買収による営業利益の増加と、それに必要な投資を別々に考えている。
借金は重要な制約となる。2025年末の財務制限条項に基づくレバレッジ倍率は約3.67倍で、上限5倍を下回るが余裕は無限ではない。2025年に2030年満期の新たな銀行融資契約を結び、短期的な借り換えリスクは緩和された。2035年までには借金の相当部分が高い金利で借り換わると考える。大規模買収や非公開化の合意済み案件は、確認した直近の会社開示には見当たらない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
SCIの最大の強みは、死亡件数という需要の確実性を、墓地と生前契約によって長期の売上に変えられることである。葬儀場1485か所、墓地500か所という規模を持つ競争相手は北米にほとんど存在しない。地域の屋号を残しながら、全国の営業網、広告、購買、管理業務を共有できる。小規模事業者を買収するたびに、この効率が高まる。
墓地は特に魅力的だ。好立地の新規開発は土地と許認可の制約を受け、既存の墓地には簡単には奪えない顧客基盤がある。生前に墓所を購入する顧客は将来の葬儀にもつながる。2025年の生前契約残高170億ドルは、今後の人口高齢化とともに積み上がる可能性がある。2026年第2四半期には墓地の比較可能な生前販売額が8%増え、将来の高利益率の売上が積み増されている。
火葬率の上昇も、必ずしもSCIにとって悪いだけではない。ネプチューン・ソサエティなどの火葬関連ブランドを持ち、簡素な火葬から高級な記念施設まで対応できる。従来の埋葬需要が減っても、納骨堂、家族向け記念施設、火葬記念商品への転換が進めば、顧客一人当たりの生涯売上を保てる。高級な墓所の販売では土地の希少性が価格決定力をさらに高める。
経営は過去10年に利益率を改善させ、葬儀場や墓地を買収して規模を拡大してきた。増分投下資本利益率が資本コストを上回るなら、成長投資は利益を生む。死亡件数の増加、買収によるシェア拡大、生前販売の伸びが重なれば、2035年の利益は現在の2倍を大きく超え得る。
2026年上半期には墓地の売上と営業キャッシュフローが堅調だった。販売済みで未認識の墓所売上が将来に計上されれば、利益率の改善も期待できる。現在の負債は重いが、毎年の営業キャッシュフローが安定しており、急激な業績悪化がなければ借り換えと配当を両立できる。成熟した時点でも地域で強い事業者として残り、利益成長と株主還元の両方を享受できるという見方には説得力がある。
慎重な見方
需要がなくならないことと、株主利益が伸びることを混同してはいけない。人が亡くなる数は増えても、消費者は葬儀に使う金額を減らし始めている。米国ではすでに火葬が主流であり、2045年には8割を超える見通しだ。従来の棺、葬儀会場、墓石、埋葬サービスの販売が減れば、死亡件数の増加だけでは補えない。
葬儀場の参入障壁は墓地ほど高くない。地域の独立葬儀場や低価格の直接火葬会社は、施設を最小限にして安い料金を提示できる。オンライン検索と価格比較が一般化すれば、家族は地域の有名ブランドに高い追加料金を払わなくなる。AIが事務作業を効率化することはSCIにも有利だが、価格比較と手配を簡単にすることで低価格業者への乗り換えも促す。
墓地には土地と許認可の堀がある。しかし、火葬した遺骨を自宅に置く、散骨する、簡素な施設に納めるといった選択が増えれば、好立地の墓地を保有するだけでは売上を維持できない。生前販売が伸びても、高額商品を売るための営業員報酬、造成費、将来の維持管理費が重くなる。会計上の売上や生前契約残高が増えても、株主に自由に使える現金が同じだけ増える保証はない。
財務はより深刻な問題を抱える。2025年の純負債は約50億ドルで、営業利益の5倍を超える。自己資本は約16億ドルしかなく、買収と自社株買いによる資本配分が負債への依存を高めた。金利が高いまま借金を借り換えれば、営業利益が伸びても純利益の増加は鈍る。業績が落ちる局面では自社株買いを止め、配当も見直す必要が生じる。
さらに、生前契約には履行義務がある。170億ドルの残高は顧客から受け取る利益ではなく、将来提供する商品とサービスの総額である。信託の投資成果が悪化し、費用が想定以上に上がれば収益を圧迫する。墓地の未開発地も、許認可や造成費の条件が悪化すれば帳簿の額どおりには現金化できない。借金が多い会社で利益率が崩れれば、安定した需要を持つ事業でも株主の取り分は大きく減る。
どちらに重みを置いたか
事業の存続と墓地の参入障壁では強気の見方が優勢である。SCIが10年後に不要になる可能性は低く、生前契約と地域ブランドも残る公算が大きい。しかし、成長率と株主への現金還元については慎重な見方が勝る。火葬の普及が単価を押し下げる一方、約50億ドルの純負債が資本配分の余地を狭めるためだ。
確率は楽観9%、やや楽観20%、中立36%、やや悲観24%、悲観11%とした。やや悲観と悲観の合計を35%とし、同領域のウェイスト・マネジメントやリパブリック・サービシズより厚くしている。理由は需要そのものの危険ではなく、商品構成の変化と負債の大きさである。
この配分で測った期待価値は約118.6億ドルとなり、現在の時価総額114.6億ドルを約3.5%上回る。上側にも下側にも十分な可能性があるが、現時点では適正という判断に落ち着く。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 124.87 ドル172 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 38.07 ドル52 億ドル)。 今の値に割り戻すと 87.10 ドル120 億ドル、今との差 +14.1%、 期待の年率 +9.2%(資本コスト 7.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 248.98 ドル342 億ドル | 54.54 ドル75 億ドル | +297.4% | +17.1% | 27.32 ドル38 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 181.15 ドル249 億ドル | 48.72 ドル67 億ドル | +201.0% | +13.6% | 45.97 ドル63 億ドル |
| 中立 | 36% | 143.45 ドル197 億ドル | 42.18 ドル58 億ドル | +143.1% | +10.9% | 66.83 ドル92 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 54.81 ドル75 億ドル | 27.63 ドル38 億ドル | +7.9% | +0.9% | 19.79 ドル27 億ドル |
| 悲観 | 11% | 13.09 ドル18 億ドル | 14.54 ドル20 億ドル | −63.8% | −12.3% | 3.04 ドル4 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 124.87 ドル172 億ドル | 38.07 ドル52 億ドル | +113.4% | +9.2% | 162.94 ドル224 億ドル |
今の株価時価総額 76.37 ドル105 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 楽観:高齢化と買収でシェアを広げ、墓地の高付加価値化が成功する 利益 15 億ドル · PER 23.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 248.98 ドル342 億ドル
2035年には北米の死亡件数が約400万件へ増え、SCIの葬儀施行件数は48万件に達する。会社の施行件数シェアは現在の約10.5%から12%程度へ上がる。買収した地域事業者をディグニティ・メモリアルの販売網に組み込み、施行1件当たりの売上換算額は1万ドルまで高まる。火葬の増加を追悼式や記念商品の販売で補い、葬儀部門の営業貢献利益率は25%となる。
墓地では生前販売が拡大し、火葬後の納骨堂、家族向けの記念施設、高級墓所の販売が成功する。販売・認識取引数は38.75万件、換算単価は11760ドルに達する。墓地部門の売上は45.6億ドルとなり、営業貢献利益率は38%まで上昇する。好立地の墓地は新規供給が難しく、価格を物価以上に引き上げる力が保たれる。
新規施設と地域の小規模買収では、既存網との共同利用によって高い投資収益を確保する。負債の比率を大幅に増やすことなく拡大し、株主還元も続ける。全社売上は約93.6億ドル、営業利益は約25.9億ドル、純利益は14.8億ドルとなる。10年間の純利益累計101億ドルから、株式報酬を控除した正味還元75億ドルを行い、自己資本は42.4億ドルまで増える。堀が広がり、価格決定力と買収能力の両方が長く続く姿である。
- 葬儀・火葬サービス:数量 480,000(年間葬儀施行件数(件、火葬を含む))× 価格 10,000(施行1件当たりの葬儀部門総売上換算額(米ドル/件))→ 売上 48 億ドル・営業利益 12 億ドル。北米死亡件数約400万件×SCI施行シェア約12%。数量は2025年比1.34倍、総売上換算単価は1.49倍。高付加価値の葬儀・追悼サービスが火葬による単価低下を補う。
- 墓地・墓所権益・記念サービス:数量 387,500(墓所権益・記念サービスの年間認識売上換算取引数(件、推計))× 価格 11,760(取引1件当たりの墓地部門総売上換算額(米ドル/件))→ 売上 46 億ドル・営業利益 17 億ドル。取引換算数量は1.55倍。高級墓所、納骨堂、火葬記念施設の普及と買収によるシェア拡大を反映。換算単価は1.54倍で物価上昇を上回る。
倍率:資本コストk=7.5%。2035年の帳簿ROEは14.8÷42.4=34.9%で、40%を超えないため帳簿ROEを使用する。強い堀の残存割合2/3からRONIC=7.5%+2/3×(34.9%−7.5%)=25.8%。長期gは4.0%。死亡件数の実質増加と市場シェアの拡大に価格上昇を加えると名目4%を超えるが、式では上限4%に抑える。正当化PERは(1−g/RONIC)÷(k−g)×(1+g)=約25.1倍。その約92%に当たる23.0倍とする。利益はGAAPで株式報酬費用を含み、借り換え後の利払い増加も反映。時価総額は14.8×23.0=340.4億ドル。
確率:北米の死亡件数の増加に加え、買収で葬儀施行シェアが拡大し、墓地の高級商品と火葬記念施設がともに伸びる必要がある。土地の希少性と生前契約の蓄積は有利だが、火葬への移行が進む中で高単価を保ち続けるには条件が多いため9%。
やや楽観 20% やや楽観:墓地の生前販売が伸び、葬儀の価格決定力も保たれる 利益 11 億ドル · PER 22.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 181.15 ドル249 億ドル
高齢化により北米の死亡件数が増え、SCIは毎年の小規模買収と新規開業で葬儀施行件数を44万件まで増やす。市場での施行件数シェアは11%程度へ上昇し、地域の有力な葬儀場を取り込む戦略が成果を上げる。火葬は増えるものの、家族向けの追悼式や記念商品を販売でき、葬儀の総売上換算単価は9600ドルとなる。
墓地では生前契約と火葬記念施設の開発が進み、年間の販売・認識換算取引数は32.5万件へ増える。換算単価は10880ドルとなり、墓地売上は35.4億ドルに達する。高級な区画だけに依存せず、複数の価格帯を用意して販売件数を増やすため、営業貢献利益率は36%とする。
買収価格は上がるが、既存施設の共同利用と営業網の拡大で投資利回りを維持する。負債を過度に増やさず、フリーキャッシュフローを配当と自社株買いに回せる。全社の売上は77.6億ドル、営業利益は約19.7億ドル、純利益は11.3億ドルとなる。10年間の純利益累計83.5億ドルから正味67億ドルを還元し、自己資本は32.9億ドルとなる。堀は強いままで、成長が安定して続く姿である。
- 葬儀・火葬サービス:数量 440,000(年間葬儀施行件数(件、火葬を含む))× 価格 9,600(施行1件当たりの葬儀部門総売上換算額(米ドル/件))→ 売上 42 億ドル・営業利益 10 億ドル。数量は2025年比1.23倍、換算単価は1.43倍。死亡件数の増加に加えて小規模買収でシェアを伸ばし、火葬の単価低下を記念商品の販売で補う。
- 墓地・墓所権益・記念サービス:数量 325,000(墓所権益・記念サービスの年間認識売上換算取引数(件、推計))× 価格 10,880(取引1件当たりの墓地部門総売上換算額(米ドル/件))→ 売上 35 億ドル・営業利益 13 億ドル。取引換算数量1.30倍、価格1.43倍。生前販売と火葬記念施設への転換が進み、価格も概ね物価に追随する。
倍率:2035年のROEは11.3÷32.9=34.3%。k7.5%、強い堀の残存割合2/3からRONICは約25.4%。長期gは4.0%で、死亡件数の増加、シェアの緩やかな上昇、物価並みの価格上昇を根拠とする。10年目の利益に対する正当化PERは約25.0倍であり、その約88%の22.0倍とする。成長には墓地開発と小規模買収が必要であり、上限いっぱいにはしない。純利益はGAAPであり、借り換え後の利息負担も控除済み。時価総額は11.3×22.0=248.6億ドル。
確率:2026年の墓地生前販売の好調と、過去の小規模買収・利益率改善が無理なく続く筋書きである。楽観ほどのシェア拡大は不要だが、火葬による単価下落をほぼ吸収する必要があるため20%。
中立 36% 中立:死亡件数の増加を取り込みつつ、火葬による単価の重しが残る 利益 9 億ドル · PER 21.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 143.45 ドル197 億ドル
2035年の北米死亡件数は約385万件となり、SCIの葬儀施行件数は41万件へ増える。施行件数のシェアは約10.6%で、現在からほぼ横ばいである。地域の小規模買収による増分は、低価格の直接火葬業者への流出を補う程度にとどまる。葬儀の総売上換算単価は9060ドルとなるが、2025年比1.35倍で物価上昇の1.41倍をやや下回る。火葬への移行により、顧客が選ぶ商品の構成が安価な方向へ変わるためだ。
墓地では生前販売と火葬後の記念施設が伸び、年間の販売・認識換算取引数は30万件となる。価格は9920ドルで、従来の高額な埋葬区画から小さな納骨区画への構成変化を織り込む。墓地売上は29.8億ドルとなり、営業貢献利益率34.5%を維持する。参入障壁は残るが、利益率の大幅な改善は期待しない。
2026年に確認された生前販売の伸びは、長期的な契約残高と将来売上を支える。ただし、契約残高の増加をそのまま純利益には結びつけない。維持投資と墓地造成を続け、負債を管理可能な範囲に保つ。全社売上は66.9億ドル、営業利益は15.8億ドル、純利益は9.1億ドルとなる。借り換えによる金利上昇の影響は純利益に反映済みである。
10年間の純利益累計72.5億ドルから、株式報酬を控除した正味58億ドルを配当と自社株買いで返す。自己資本は30.9億ドルとなり、ROEは約29.4%となる。現在より利益は増えるが、利益率や資本効率が際限なく高まるわけではない。成熟した優良な葬祭会社として存続する筋書きである。
- 葬儀・火葬サービス:数量 410,000(年間葬儀施行件数(件、火葬を含む))× 価格 9,060(施行1件当たりの葬儀部門総売上換算額(米ドル/件))→ 売上 37 億ドル・営業利益 8 億ドル。北米死亡件数約385万件×SCI施行件数シェア約10.6%。数量は1.14倍、価格は1.35倍。火葬の構成比上昇による実質単価の低下を含む。
- 墓地・墓所権益・記念サービス:数量 300,000(墓所権益・記念サービスの年間認識売上換算取引数(件、推計))× 価格 9,920(取引1件当たりの墓地部門総売上換算額(米ドル/件))→ 売上 30 億ドル・営業利益 10 億ドル。販売・認識換算数量1.20倍、価格1.30倍。高齢化と生前販売の普及で取引数は伸びるが、墓所から火葬記念施設への構成変化で平均価格は物価上昇を下回る。
倍率:中立の2035年ROEは9.1÷30.9=29.4%。40%以下なので帳簿ROEを採用し、過去ののれんや墓地開発に必要な資産を除外しない。k7.5%、moat strongの残存割合2/3からRONIC=7.5%+2/3×(29.4%−7.5%)=約22.1%。長期gは4.0%。市場の死亡件数増加が年約1%、シェアがほぼ横ばい、価格が年3%台で上がるという事業の構造に基づき、式の上限4%を使用する。正当化PER=(1−4.0%÷22.1%)÷(7.5%−4.0%)×1.04=約24.3倍。この約88%に相当する21.4倍を採用する。火葬への移行と負債による資本配分制約を考慮して上限いっぱいにはしない。純利益9.1億ドルはGAAPであり、株式報酬を費用として控除。借り換えによる利払いの税前約1億ドル増加を期間末の利益に含める。時価総額は9.1×21.4=194.74億ドル。
確率:死亡件数の増加と小規模買収を背景に数量は増えるが、火葬の普及で平均単価は物価よりやや遅れて伸びると見る。2025年までの利益率と2026年の販売動向を両立する姿であり、最も可能性が高い36%。
やや悲観 24% やや悲観:低価格火葬の普及で葬儀単価が伸びず、墓地の販売も停滞する 利益 5 億ドル · PER 14.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 54.81 ドル75 億ドル
北米の死亡件数は増えるが、SCIの葬儀施行件数は35万件へ減少する。地域の独立葬儀場や低価格火葬業者に顧客を奪われ、施行件数シェアは9%程度まで下がる。従来型の葬儀から直接火葬への移行が進み、総売上換算単価は8500ドルにとどまる。名目では値上がりしているが、10年間の物価上昇に追いつかない。
墓地事業も、伝統的な墓所への需要減少を納骨堂や火葬記念施設で十分に埋められない。年間の販売・認識換算取引数は25万件で横ばいとなり、換算単価は8960ドルにとどまる。生前販売は続くが、営業員の報酬、造成費、墓地の維持費が利益を圧迫する。好立地の墓地という強みは残るものの、価格を自分で決められる範囲は狭まる。
会社は買収を減らし、借金の増加を抑える。自社株買いも縮小して、配当と債務管理を優先する。葬儀場の固定費は簡単には削れず、営業利益率は低下する。全社売上52.2億ドル、営業利益9.9億ドル、純利益4.8億ドルとなる。10年間の純利益累計51億ドルに対し、正味還元は38億ドルへ減り、自己資本は29.4億ドルとなる。
事業そのものは存続し、墓地の立地と地域ブランドも消えない。しかし、増分の投資利回りは低下し、株主が期待していた成長企業としての性格は失われる。高齢化による数量増加を競争で取り逃がす筋書きである。
- 葬儀・火葬サービス:数量 350,000(年間葬儀施行件数(件、火葬を含む))× 価格 8,500(施行1件当たりの葬儀部門総売上換算額(米ドル/件))→ 売上 30 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量は2025年比0.98倍、単価は1.27倍。北米全体の死亡件数は増えるが、SCIのシェアが低下し、直接火葬の普及で価格上昇が物価を下回る。
- 墓地・墓所権益・記念サービス:数量 250,000(墓所権益・記念サービスの年間認識売上換算取引数(件、推計))× 価格 8,960(取引1件当たりの墓地部門総売上換算額(米ドル/件))→ 売上 22 億ドル・営業利益 7 億ドル。取引換算数量は横ばい、価格は1.18倍。伝統的な墓所の販売減少と低価格の火葬記念施設への移行で価格と利益率が圧迫される。
倍率:2035年ROEは4.8÷29.4=16.3%。k7.5%、堀がなお部分的に残る場合の残存割合2/3からRONICは約13.4%。長期gは2.5%で、死亡件数の増加約1%、SCIのシェアの年1%台の低下、価格の年3%弱の上昇を合成したもの。正当化PERは10年目利益に対して約16.7倍。その約88%に相当する14.6倍を採用する。価格決定力の弱まりと買収投資の収益性低下を反映し、中立より低い倍率とする。純利益は金利負担とGAAP費用を反映。時価総額は4.8×14.6=70.08億ドル。
確率:火葬への移行は既に進んでおり、低価格業者が地域ごとにシェアを奪う可能性がある。墓地の販売が想定ほど伸びなければ、負債と固定費が重くなる。全面的な事業崩壊は不要なため、現実的な下側として24%。
悲観 11% 悲観:直接火葬が従来型サービスを侵食し、負債が株主利益を削る 利益 2 億ドル · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 13.09 ドル18 億ドル
2035年には、葬儀の多くが低価格の直接火葬へ移り、従来の葬儀場が提供する高額商品への需要が大幅に減っている。SCIの施行件数は32万件に減り、北米の死亡件数に対するシェアは8%台まで低下する。総売上換算単価は7600ドルにとどまり、物価上昇を大きく下回る。会社が維持する多数の葬儀場は固定費負担となり、閉鎖や統合による損失も発生する。
墓地では、墓所や霊廟を買わず、散骨や自宅での遺骨保管を選ぶ家族が増える。納骨堂や火葬記念施設の販売でも失った利益を補えず、年間の販売・認識換算取引数は20万件へ減少する。換算単価は8000ドルで、10年間ほぼ物価上昇を転嫁できない。墓地部門の営業貢献利益率は24.5%へ低下する。
買収した施設の一部ではのれんの減損が生じ、生前契約の販売にも解約や運用収益の悪化が重なる。新規の買収を停止し、施設統合と借金の返済を優先する。株主還元は配当にほぼ限定され、買い戻しは長期間停止する。全社売上は40.3億ドル、営業利益は5.1億ドル、純利益は1.8億ドルとなる。
利益は2026〜2027年に合計約10億ドル、その後4年間で約12億ドル、2032〜2035年で約8億ドルとなり、期間累計は30億ドルにとどまる。正味の株主還元は20億ドル、自己資本は26.4億ドルとなる。墓地の不動産と最低限の葬儀需要は残るが、ROEは資本コストを下回る。高い利益率を持つ優良企業ではなくなり、稼ぐ力だけで評価される会社へ変わっている。
- 葬儀・火葬サービス:数量 320,000(年間葬儀施行件数(件、火葬を含む))× 価格 7,600(施行1件当たりの葬儀部門総売上換算額(米ドル/件))→ 売上 24 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量は2025年比0.89倍、価格は1.13倍。低価格火葬業者にシェアを奪われ、物価上昇をほとんど転嫁できず、固定費が利益率を圧迫する。
- 墓地・墓所権益・記念サービス:数量 200,000(墓所権益・記念サービスの年間認識売上換算取引数(件、推計))× 価格 8,000(取引1件当たりの墓地部門総売上換算額(米ドル/件))→ 売上 16 億ドル・営業利益 4 億ドル。取引換算数量は0.80倍、価格は1.05倍。従来型墓所の販売が減り、安価な火葬関連商品の普及で実質単価が大幅に下がる。
倍率:2035年ROEは1.8÷26.4=6.8%で、資本コスト7.5%を下回る。成長に再投資しても資本コストを稼げないため、PERの上限は1÷k=約13.3倍である。長期gは1%とし、死亡件数の実質増加をシェア喪失と低価格化がほぼ打ち消す構造を反映する。収益の質と負債負担を考慮し、利益還元力の弱い事業として10.0倍を使用する。市場の過去の谷の倍率は使用しない。時価総額は1.8×10.0=18.0億ドルで、現在の自己資本16.4億ドルを参考にした床を下回らない。
確率:死亡件数が増える中でも、低価格火葬への流出、墓地権益の需要縮小、借り換え負担の増加が同時に起これば、事業価値は大きく損なわれる。墓地と地域ブランドが残るため倒産を中心には考えないが、負債が重いので構造的な負けの確率を11%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
葬儀・火葬サービス
葬儀場での葬儀・火葬・追悼式の提供、棺・骨壺などの販売、生前契約の満期による売上、保険販売代理店手数料を含む事業。
| 数量年間葬儀施行件数(件、火葬を含む) | 価格施行1件当たりの葬儀部門総売上換算額(米ドル/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 358,621 | 6,708 | 24 | 5 |
| 10 年後 中立 | 410,000 | 9,060 | 37 | 8 |
取り方:2025年10-Kの葬儀施行件数358621件と葬儀部門売上24.055億ドルを使用。24.055億ドル÷358621件=約6708ドルで、保険代理店手数料なども含む部門総売上の換算単価である。会社開示の比較可能な通常葬儀平均単価5818ドルとは定義が異なる。営業利益の積み上げには、会社が開示する部門粗利益4.958億ドルを営業貢献利益の代理値として使用し、本社費用は全社調整で引く。米国の葬儀場市場約163億ドルというNFDAの統計にカナダ等を加え、北米市場を約170億ドルと推定すると、SCIの葬儀売上シェアは約14%。施行件数では、北米死亡件数約340万件に対して約10.5%。競合はキャリッジ・サービシズ、地域独立葬儀場、低価格火葬業者。北米市場全体に占める会社推定18%という数字は葬儀と墓地の合算であり、葬儀単独の正式なシェアではない。
墓地・墓所権益・記念サービス
墓所・納骨堂・霊廟・火葬記念区画の使用権、墓石や記念商品、埋葬サービス、生前販売契約および墓地信託から認識される収益。
| 数量墓所権益・記念サービスの年間認識売上換算取引数(件、推計) | 価格取引1件当たりの墓地部門総売上換算額(米ドル/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 250,000 | 7,615 | 19 | 6 |
| 10 年後 中立 | 300,000 | 9,920 | 30 | 10 |
取り方:SCIは墓地の権益販売件数を全社合計では開示していないため、250000件は推計である。競合キャリッジ・サービシズの2025年10-Kでは、墓地28か所で生前墓所権益14407件を販売しており、1墓地当たり約514件となる。SCIの墓地500か所に、地域差と販売方法の差を考慮した約500件を適用し、約25万件を基準とした。SCIの2025年墓地売上19.037億ドルを割り、認識売上換算単価を約7615ドルとした。これは実際の墓所権益単価ではなく、当日需要、生前販売、商品、信託収益を含む便宜的な値である。部門の営業貢献利益は開示粗利益6.443億ドルを使用する。北米の広義の墓地・火葬記念市場を約70億ドルと推定すると、SCIの売上シェアは約27%。この市場規模はNFDAの米国墓地・火葬施設の統計にカナダ、生前墓所権益、関連商品の定義差を加味した推計であり、正式な個別市場統計ではない。競合のキャリッジは墓地部門の規模が小さく、主な競争は地域独立墓地と民間統合事業者である。
リスクと懸念
直接火葬の普及と商品構成の変化
2025年の米国火葬率は約63.4%で、2045年には82.3%に達する見通しである。火葬は従来の埋葬より価格が低く、棺や大型の葬儀、墓所販売を伴わないケースも多い。SCIはネプチューン・ソサエティなどの火葬事業を持つが、数量を維持できても平均単価が物価を下回れば利益率は低下する。死亡件数の増加だけを根拠に売上成長を期待することが、最大の分析上の誤りとなる。
純負債と借り換え金利
2025年末の純有利子負債は約49.7億ドルで、EBITDAの約3.8倍に相当する。財務制限条項の上限5倍には余裕があるものの、墓地開発や施設維持のための支出は減らせない。2030年満期の銀行融資契約を含め、2035年までに多くの借金を借り換える必要がある。金利が5%前後の世界では、利払い増加が利益成長を削り、自社株買いの余地を狭める。
生前契約残高と信託資産の誤認
2025年末の生前契約残高170億ドルは、将来認識する売上の総額であって自由な現金ではない。信託資産や保険契約は顧客への履行義務を裏付けるものであり、契約解約、費用のインフレ、信託運用の損失によって利益が変わる。墓地の生前販売では売上認識と現金回収の時期も異なる。契約残高の伸びだけを評価せず、将来の履行費用と実際の営業キャッシュフローを確かめる必要がある。
墓地の開発費と将来の維持管理義務
墓地の土地は希少な資産だが、未開発地を販売可能な区画に変えるには造成、道路、排水設備、霊廟などの投資が必要である。販売した後も墓地の維持管理は長期に続く。2026年の会社計画では、墓地開発に約1.7億ドルを投じる。高級墓所の販売が伸びなかった場合、資本が土地と設備に固定され、帳簿の資産価値ほどの現金を株主に返せなくなる。
地域独立事業者とオンライン価格競争
葬儀場は地域の信用が大切であり、大企業が全国ブランドを持つだけで優位になるわけではない。小規模な独立葬儀場や直接火葬専門業者は、施設と人件費を抑えて安価なサービスを提供できる。AIによる案内やオンライン価格比較が普及すると、消費者は必要なサービスだけを選びやすくなる。SCIの本業はAIエージェントに直接代替されないが、低価格事業者への顧客流出を促す間接的な影響はある。
買収価格と資本配分の悪化
SCIは地域の葬儀場と墓地を買収して規模を広げてきた。買収はシェアを獲得する有効な手段だが、人口高齢化を見込んで競合も買収を進めれば取得価格が上がる。既存のブランドや営業員が買収後に失われる場合、計画した利益が出ないこともある。さらに自社株買いを利益より多く続ければ、純負債が増える。投下資本利益率と自社株買いの取得価格を分けて点検する必要がある。
法規制と顧客の信頼
葬儀・火葬・墓地事業は州ごとの許認可、消費者保護規制、生前契約の資金管理、墓地の維持管理義務に従う。墓地におけるサービス不備や信託資産の管理問題は、訴訟費用だけでなく地域の信用を傷つける。新たな土地開発や火葬施設の許認可が厳しくなれば供給が制限され、既存施設の価値を高める可能性もあるが、費用負担が増す面もある。競争上の堀と規制負担を同じものとして評価してはいけない。
今後の分かれ目
- 比較可能な葬儀施行件数が2年以上連続して年2%以上増え、平均単価も年3%以上上がる
- 高齢化による需要増を競合に奪われず取り込めている証拠となる。中立よりもやや楽観の可能性を高め、葬儀部門の数量と価格の両方を上方修正する。
- 葬儀施行件数が減り続け、平均単価の伸びも年2%を下回る
- 低価格火葬への移行が売上の質を弱めていると判断する。営業利益率の悪化が始まれば、やや悲観と悲観の確率を増やし、長期の成長率を引き下げる。
- 墓地の比較可能な生前販売額が年5%以上伸び、認識売上と営業キャッシュフローも継続して増える
- 生前販売が会計上の契約増加だけでなく実際の現金と利益を生んでいる証拠となる。墓地事業の強い堀を再確認し、楽観側の確率を高める。
- 墓地の生前販売は伸びるが、開発費と営業員報酬が増えて現金収支が悪化する
- 契約残高の増加を価値創造と見なさず、墓地の増分投下資本利益率を再計算する。資本コスト7.5%を下回る投資が続くなら、利益率と長期の価値を引き下げる。
- 純負債÷EBITDAが3倍以下に下がり、配当と設備投資を営業キャッシュフローで賄える
- 財務の安全性が改善し、自社株買いを借金に依存せず実施できる。借り換えの影響を軽く見直し、中立からやや楽観の可能性を高める。
- 純負債÷EBITDAが4.5倍を超え、財務制限条項の上限5倍に近づく
- 配当と自社株買いの継続性を再点検し、悲観側の確率を大きく引き上げる。墓地の土地を保有していても短期に現金化できるとは限らず、事業の継続価値から負債負担を慎重に測る。
- 会社が大規模な葬祭事業者の買収を発表し、取得価額が買収対象の営業キャッシュフローに対して高くなる
- 買収後の施設数だけではなく、取得価格、追加の負債、統合費用と増分利益を比較する。投資利回りが資本コストを下回るなら、シェア拡大を楽観材料とせず価値を下方修正する。
見ておくもの
- 比較可能な葬儀施行件数と平均単価の伸び率を毎四半期確認する
- 通常の埋葬と火葬の構成比、直接火葬の利用率、記念商品の付帯率
- 墓地の生前販売額、認識済み墓所売上、繰延売上の増減
- 生前契約残高170億ドルの増減と信託資産の運用収益
- 墓地造成費と施設維持投資を差し引いた営業キャッシュフロー
- 純有利子負債÷EBITDA、財務制限条項の余裕、借り換え金利
- 小規模買収に使った金額と取得施設の売上・利益の改善
- 配当と自社株買いから株式報酬・増資を控除した正味還元
- キャリッジ・サービシズおよび地域独立事業者との価格・件数の比較
- 2026年10月28日米国時間に公表予定の第3四半期決算と、通期見通しの変更
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や市場PER、同業他社のPERを使って10年後の倍率を決めていない。葬儀は施行件数と総売上換算単価、墓地は競合の権益販売件数を基に推定した認識売上換算取引数と単価で売上を求めた。墓地の数量は会社の直接開示ではなく推計であり、ここが最も不確実な入力である。営業利益は各部門の2025年粗利益を営業貢献利益の起点とし、全社の費用を差し引いた。純利益はGAAPを使用し、株式報酬を戻さない。
中立のROE29.4%、k7.5%、g4.0%、強い堀の残存割合2/3からRONIC22.1%となる。10年目の利益に対する正当化PER上限は約24.3倍であり、中立21.4倍はその約88%。楽観23.0倍、やや楽観22.0倍も各筋書きの正当化上限内である。悲観ではROEが資本コストを下回るため、PERを10.0倍まで引き下げた。倍率の選択は利益の質によるもので、現在の市場評価に寄せたものではない。
自己資本は各筋書きで現在の16.4億ドルに10年間のGAAP純利益累計を足し、株式報酬などを控除した正味還元を差し引いている。悲観の時価総額18億ドルは現在自己資本16.4億ドルの参考床を上回り、悲観の時価総額と還元の合計38億ドルも現在時価総額114.6億ドルを下回る。
確率9%、20%、36%、24%、11%の加重平均を資本コスト7.5%で割り引き、還元は期間中央で受け取るとすると、現在の適正価値は約118.6億ドル、差は約+3.5%となる。2026年10月28日の米国市場終了後に予定されている第3四半期決算は、基準時点で未反映である。米国会計基準ではリース債務が既に計上されており、将来も同じ会計の考え方で比較する。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%にquality−0.5%を加え、資本コストを7.5%とする。βや市場のPERは使用しない。負債の重さはqualityのdebtに反映済みで、事業の存続そのものが危うい状態ではないためdistress上乗せは設けない。火葬への移行、買収の失敗、信託収益の変動などは数量・利益率・確率で表す。