結論
ザイレム(Xylem)は、ポンプ・水処理・スマートメーター・水質センサーから、産業向けの水処理の運営サービスまで、水の流れの全工程を持つ水インフラの専業会社である。2025 年は売上 90 億ドル、営業利益 12 億ドル(GAAP で営業利益率 13.5%)、純利益 9.5 億ドル。水インフラ、応用水、計測・制御、水処理サービス(2023 年に買収したエボクア)の 4 つに分かれ、売上の 5 割近くが保守・消耗品・サービスという景気に強い構造をもつ。
2026 年は受注残が 53 億ドルと厚く、データセンターの冷却水向けの受注が 3 倍になり、ダウの 23 年の水の運営契約(約 8.5 億ドル)も取った。一方で電気メーターは公益事業者の遅れで下方修正、中国は 3 割近く減り、80/20 の整理で売上の約 2% を自ら切り捨てている。利益率は価格・生産性・整理で急速に上がるが、売上の伸びは名目で 2〜3% と控えめである。
バリュー投資の観点では、事業の質は高い。ただし式に入れる資本効率は、エボクアののれん 83 億ドルを含めると自己資本利益率で 1 割台前半にとどまり、買収で大きくなった会社の効率はそれ以上に上がりにくい。10 年後の中立は売上 158 億ドル・純利益 21.5 億ドルまで伸び(営業利益率 18% 台)、倍率は上限 15.5 倍の 8 割の 12.4 倍。10 年本質価値は今の時価総額 243 億ドルとほぼ釣り合い、強気の筋書きが今を大きく上回り、慎重な筋書きが大きく下回る、幅の広い分布になる。
倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)(k 8.0%・g は上限の 4%・事業の ROE 13%・moat=普通)で、10 年の中立の上限は 15.5 倍。これの 8 割(12.4 倍)に置いた(水の設備・計測・サービスは景気に強いが、のれん込みの ROE は 13% 台で資本効率は高くない)。総合は今の時価総額に対し -20% で「やや割高」。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ザイレムは「10 年後も存在し、今より強いか」と聞かれれば存在する。水は代替がなく、設置した基盤と交換需要が積み上がり、規制が堀を支える。わからない部分は少なく、10 年後の姿を予測しやすい会社である。これが高い確信度の根拠になる。
一方で、オーナー利益(株主のものになる利益)を見ると、純利益 9.5 億ドルのうち、買収無形資産の償却 2.2 億ドルは現金の出ない費用で、株式報酬 0.5 億ドルは実際の費用である。会社が示す調整後の利益は、償却と整理費用を足し戻すので GAAP より 3 割ほど高く見える。ここでは GAAP を使う。FCF は純利益とほぼ同じで、本物の利益といえる。
資本配分は評価が分かれる。エボクアの株式交換は、のれんで自己資本を大きく膨らませ、資本効率を下げた。買収の利回りが資本コストと同じなら価値は増えない。2026 年の自社株買いは、株価が高値から 3 割下がった所で買ったので割安で買った可能性が高いが、借金も増えた。式に入れる資本効率はのれんを含めて 1 割台前半に置く(買収で伸びる会社なので、買収に払った元手を元手から外さない)。安全域は、中立でも今の値段を 1 割ほど上回るだけで、厚くはない。
何で稼ぐ会社か
水インフラ(2025 年 26.4 億ドル、営業利益率 17.5%)は、下水・上下水道のポンプ(輸送)と、紫外線・オゾン・ろ過などの処理装置、浸水対策のポンプを売る。顧客は自治体と産業で、米国の自治体向けは 2026 年に二桁増、中国は 4 割減と地域差が大きい。応用水(18.5 億ドル、同 16.9%)は、商業ビルの空調循環ポンプ(ベルとゴセット、ゴールズ)や住宅の給水ポンプで、データセンターの冷却水向けが急増している。
計測・制御(20.9 億ドル、同 11.7%)は、水道・電気のスマートメーターと通信網(センサス)、漏水・水質の検知センサー、分析ソフト(VUE、スペイン・イドリカとの合弁)で、利益率が最も低く、電気メーターの案件の遅れが重い。水処理サービス(24.6 億ドル、同 12.3%)は、旧エボクアの産業向け水処理の機器・消耗品・運営の請負と、浸水対策ポンプのレンタル(ゴッドウィン)で、ダウの契約のような長期の運営契約が積み上がる。
収益の形は、機械を一度売って終わりではなく、交換部品・消耗品・点検・運営の請負で繰り返し稼ぐことにある。ポンプは壊れると工場や下水処理場が止まるので、顧客は価格より止まらないことを優先し、値上げが通りやすい。足元の課題は、2026 年の売上の伸びが有機で 2〜3% にとどまること、中国の弱さ、電気メーターの遅れ、そして買収の続け方である。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 に設置された基盤で、ポンプ・メーター・処理装置は 10〜30 年使われ、交換部品と点検が自社に回る。ザイレムのメーターは稼働中の水道網に組み込まれ、通信網とソフトも含めて乗り換えにくい。第 2 に規制と実績で、飲料水・下水の設備は認証と過去の納入実績が要り、新興の価格勝負だけでは入れない。第 3 に製品の幅で、自治体は配管からメーター、処理までを 1 社に任せたいが、この幅を持つのはザイレム、ベオリア、エコラボなど数社に限られる。
弱点も明確である。第 1 に資本効率で、エボクアを株式で買った結果、自己資本の 7 割強がのれんで、純利益の自己資本比は 8% 台と低い。のれんを除いた元手に対する税引き後の営業利益の率は 25% 前後と高いが、買収に払った元手を外して効率を語るのは誠実でない。第 2 に利益率で、営業利益率は 13.5% と、同じ産業機械のパーカー・ハネフィンやドーバーの 2 割前後より低い。第 3 に事業の寄せ集めで、買収で大きくなった会社らしく、事業ごとの利益率の差が大きい(計測・制御 11.7% に対し水インフラ 17.5%)。経営は 80/20(上位 2 割の顧客・製品に集中し、残りを整理する手法)を 2.5 年続け、利益率を押し上げている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
水インフラの市場は、古い水道管・下水処理場の更新、規制(PFAS・鉛管・下水の合流式の改善)、人口の集中、産業の水の再利用の 4 つが下支えする。米国の水道・下水の更新の必要額は 20 年で 1 兆ドルを超えるとされ、自治体の資金は連邦の州回転基金と水道料金で賄う。2021 年の超党派インフラ法の上乗せ分は 2026 年度で終わる見通しで、その後の補助が減ると自治体の発注が鈍る。さらに水道料金の負担能力が上がりすぎると、料金の引き上げが政治的に難しくなる。電気メーターの遅れも、この負担能力と選挙前の慎重さから来ている。
市場は分散している。ポンプではスルザー、グルンドフォス(非上場)、KSB、フローサーブ、フランクリン・エレクトリック、ペンテア。メーターではイトロン、バジャー・メーター、ランディス・ギア、ローパー傘下のネプチューン。処理ではベオリア、エコラボ、アクアテック。ザイレムは世界のポンプ・処理・計測のそれぞれで 5〜6% 程度(推定)のシェアを持つ大手の 1 つだが、細分化した市場で 1 社が突出して勝つ形ではない。
循環は重機ほど深くない。自治体向けは景気に鈍感で、商業ビルと産業向けが景気で動く。2026 年の ISM 製造業指数は拡大圏にあり、産業向けは堅調である。長期では、データセンターの冷却水、半導体工場の超純水、産業の水の再利用が、水の設備投資の新しい需要になる。ただしこれらは受注の伸びが速くても、全社売上に占める割合は 2026 年末で 2% 程度である。競合の追い上げでは、中国・インドのポンプメーカーが新興国で価格を下げ、中国市場でザイレムの売上を削っている。
資本政策と M&A
資本配分は買収・配当・自社株買いの 3 本で、買収の方針は年 10 億ドル前後(2026 年の実績は上期だけで TriOS 約 2.2 億ドル、ウォーターフリート約 2 億ドル、コーネル・ポンプとローパー・ポンプで 14.6 億ドル)。2023 年のエボクア買収(約 75 億ドル、株式交換で株数が 2 割増えた)で水処理サービスが加わり、水インフラ・応用水・計測・制御の 3 事業から 4 事業になった。2016 年のセンサス買収と合わせ、売上の増加の 6 割以上は買収によるものである(推定)。
2026 年上期には株価の下落を受けて自社株買いを 12.4 億ドル(2025 年通年は 0.15 億ドル)に急増させ、純負債は 4.6 億ドルから 16.5 億ドル(EBITDA 比 0.8 倍)に増えた。配当は年 4 億ドル弱。さらに 2026 年 9 月に 15 億ドルの社債と 15 億ドルの与信枠を整え、コーネル・ポンプとローパー・ポンプの買収(EBITDA 率 30% 超、EBITDA の 11.6 倍)に備える。この 2 件とウォーターフリートは未成立なので筋書きには入れず、今の会社だけで書く。
買収倍率が EBITDA の 11〜13 倍だと、買収の利回りは税引き後で 7〜8% 前後で、資本コスト 8% とほぼ同じである。買収は価値を大きく足さず、壊しにくいが、足しもしない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
水は代替がなく、設置された基盤の交換・保守・消耗品が売上の半分近くを占めるので、景気が悪くても落ちにくい。足元の受注残は 53 億ドルと厚く、受注は前年比 41% 増で、ダウの 23 年の運営契約(約 8.5 億ドル)は、長期の安定収益を積む水処理サービスの強さを示す。データセンターの冷却水の受注は 3 倍になり、2026 年は売上が 3 倍(全社の 2% 近く)に届く。電気メーターは遅れているだけで、公益事業者の更新(AMI 2.0)の周期は来るし、水メーターと分析ソフト(VUE)は伸びている。
利益率の伸びは確かで、2026 年の調整後 EBITDA 率は 23.1〜23.5% に上がり、80/20 が整理を終えて成長の道具に変わる 2027 年からは、売上の伸びも有機で 4〜6% に戻る。水インフラの 4〜6 月期の EBITDA 率は前年から 4.8 ポイント上がった。営業利益率が 10 年で 13.5% から 22% 台まで上がれば、純利益は 3 倍強になり、買収の利回りが 8% 前後でも、年 10 億ドルの買収で規模と利益率をさらに積める。自社株買いを株価の下げ局面で 12 億ドル入れた経営は、割安のときに買う規律を持つ。
慎重な見方
伸びは名目で 2〜3% にとどまり、そのうち価格が 3 割以上を占める。数量は中国の落ち込み、住宅の弱さ、電気メーターの遅れで 1% 前後にとどまっている。2026 年の売上の見通しは 2% 増で、2024 年投資家説明会の有機 4〜6% には届かず、毎年の下方修正が続く。利益率の改善の多くは 80/20 と整理費用の減少によるもので、一度きりの効果が大きい。2027 年に売上の伸びが戻るという前提は、中国・住宅・電気メーターのどれもまだ確かではない。
資本効率は低い。自己資本の 7 割がのれんで、純利益の自己資本比は 8% 台、買収の利回りも資本コストと変わらない。それでも年 10 億ドルの買収を続け、2026 年はコーネル・ポンプとローパー・ポンプに 14.6 億ドルを借金で払う。株価は 52 週安値で、自社株買いに借金を使った直後に新たに借金を積む姿は、規律を疑わせる。水道料金の負担能力と SRF の補助の終わりは、自治体向けの数量をいつでも止めうる。
どちらに重みを置いたか
事業の質と受注残の厚さは強気の見方が強く、利益率の上昇も確かである。しかし売上の伸びが名目 2〜3% で、資本効率がのれん込みで 1 割台前半という弱みは慎重な見方が正しく、倍率を押し上げる材料にならない。そのため確率は楽観 10%・やや楽観 22%・中立 36%・やや悲観 20%・悲観 12% とし、強気の見方は利益率に、慎重な見方は倍率と買収の効率に反映した。倍率は利益ベースの正当化 PER の内側(中立は 8 割)に置き、総合は今の時価総額に対し -20% で「やや割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 117.83 ドル278 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 42.70 ドル101 億ドル)。 今の値に割り戻すと 83.64 ドル198 億ドル、今との差 −23.5%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 218.15 ドル516 億ドル | 37.92 ドル90 億ドル | +134.4% | +8.9% | 25.61 ドル61 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 162.21 ドル383 億ドル | 41.35 ドル98 億ドル | +86.3% | +6.4% | 44.78 ドル106 億ドル |
| 中立 | 36% | 113.20 ドル268 億ドル | 43.97 ドル104 億ドル | +43.9% | +3.7% | 56.58 ドル134 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 78.04 ドル184 億ドル | 47.06 ドル111 億ドル | +14.5% | +1.4% | 25.02 ドル59 億ドル |
| 悲観 | 12% | 33.05 ドル78 億ドル | 38.09 ドル90 億ドル | −34.9% | −4.2% | 8.54 ドル20 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 117.83 ドル278 億ドル | 42.70 ドル101 億ドル | +46.9% | +3.9% | 160.53 ドル379 億ドル |
今の株価時価総額 109.26 ドル258 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:水の設備投資が重なり、データセンター・AMI の更新・長期契約が利益率を 22% 台へ押し上げる 利益 34 億ドル · PER 15.2 倍 · 株価時価総額 218.15 ドル516 億ドル
2035 年、水の設備投資が続き、データセンターの冷却水・半導体の超純水・産業の水の再利用が新しい需要になる。水インフラの市場は 2025 年比で年 +3.5%(635 億ドル)、応用水は年 +3.0%(403)、計測・制御は公益事業者の AMI 2.0 の更新で年 +4.0%(488)、水処理サービスはダウ型の長期運営契約の積み上がりで年 +3.2%(685)。シェアは各 0.3〜0.4 ポイント上がり、価格は物価をわずかに上回る 1.45 倍(値上げの力と電気メーターの回復)。売上は 196 億ドル(年 +8.0%)、営業利益率は 22.8%(調整後 EBITDA 率でほぼ 30%)、純利益は 34.0 億ドルで 2025 年の 3.6 倍。80/20 の整理が終わり、買収も年 10 億ドルのペースで高い利回りの案件(ローパー・ポンプ型)が増える。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 16.3 倍(g 4.0%・RONIC 11.5%・k 8.00%)の 9.3 割で PER 15.2 倍、時価総額は 516 億ドル。
- 水インフラ:数量 635(水・排水の輸送と処理の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 9.1%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 58 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場 635 億ドル × シェア 6.3% × 価格 1.45 倍
- 応用水:数量 403(商業ビル・住宅・産業の水ポンプと関連機器の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 9.5%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 38 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 403 億ドル × シェア 6.6% × 価格 1.45 倍
- 計測・制御:数量 488(スマートメーター・水質センサー・分析の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 9.8%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 48 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 488 億ドル × シェア 6.7% × 価格 1.45 倍
- 水処理サービス:数量 685(産業・自治体の水処理の機器・消耗品・サービス・レンタルの対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 7.6%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 52 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場 685 億ドル × シェア 5.2% × 価格 1.45 倍
倍率:正当化 PER 16.3 倍(g 4.0%・RONIC 11.5%=k 8.00%+残る割合×(事業の ROE 15.0%−k)・moat=normal)に対して 15.2 倍(上限の 9.3 割)に置いた。水の設備投資が重なり、データセンター・AMI の更新・長期契約が利益率を 22% 台へ押し上げる最良の筋書き。ただし ROE はのれんを含む 15% 止まりなので上限の 9.3 割にとどめた。
確率:データセンター・半導体・更新需要・電気メーターの回復が全部そろい、買収も価値を足す必要がある。10 年で重なる確率は 1 割。
やや楽観 22% やや楽観:更新と規制が自治体を支え、電気メーターが回復して営業利益率が 20% 台へ 利益 28 億ドル · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 162.21 ドル383 億ドル
2035 年、水の更新と規制(PFAS・鉛管)が自治体の発注を支え、データセンターの冷却水が応用水に厚みを足す。水インフラの市場は年 +3.0%(605 億ドル)、応用水は年 +2.5%(384)、計測・制御は年 +3.4%(461)、水処理サービスは年 +2.7%(653)。シェアは 0.2 ポイント前後上がり、価格は 1.43 倍。売上は 178 億ドル(年 +7.0%)、営業利益率は 20.5%、純利益は 27.5 億ドル。電気メーターの遅れは 2027〜28 年に戻り、2030 年前に計測・制御の利益率が 15% を超える。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 16.0 倍(g 4.0%・RONIC 11.1%・k 8.00%)の 8.7 割で PER 13.9 倍、時価総額は 383 億ドル。
- 水インフラ:数量 605(水・排水の輸送と処理の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 8.7%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 52 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場 605 億ドル × シェア 6.1% × 価格 1.43 倍
- 応用水:数量 384(商業ビル・住宅・産業の水ポンプと関連機器の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 9.1%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 35 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 384 億ドル × シェア 6.4% × 価格 1.43 倍
- 計測・制御:数量 461(スマートメーター・水質センサー・分析の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 9.3%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 43 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 461 億ドル × シェア 6.5% × 価格 1.43 倍
- 水処理サービス:数量 653(産業・自治体の水処理の機器・消耗品・サービス・レンタルの対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 7.3%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 47 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 653 億ドル × シェア 5.1% × 価格 1.43 倍
倍率:正当化 PER 16.0 倍(g 4.0%・RONIC 11.1%=k 8.00%+残る割合×(事業の ROE 14.2%−k)・moat=normal)に対して 13.9 倍(上限の 8.7 割)に置いた。更新と規制が自治体を支え、電気メーターが回復して営業利益率が 20% 台に届く筋書き。楽観より控えめで上限の 8.7 割。
確率:水の更新と規制の追い風が続き、電気メーターは回復するが、データセンター需要は限定的、買収の効率は平均並み。強気の見方が部分的に通る形で 2 割強。
中立 36% 中立:数量 年 +2%・価格 物価並みで売上 年 +5〜6%、営業利益率は 18% 台へ 利益 22 億ドル · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 113.20 ドル268 億ドル
2035 年、水インフラの市場は 2025 年比で年 +2.3%(565 億ドル、数量の伸びは自治体の更新と産業向け)、応用水は年 +1.8%(359)、計測・制御は年 +2.6%(427、水メーターは二桁・電気は低成長)、水処理サービスは年 +2.0%(609)。シェアは一定(計測・制御だけ国際メーターの売却で 0.1 ポイント低下)、価格は物価並みの 1.41 倍。売上は 158 億ドル(年 +5.7%、投資家説明会の有機 4〜6% の下の方)、営業利益率は 18.3%(80/20・生産性・買収償却の減少で 2025 年の 13.5% から上がる。調整後 EBITDA 率はおよそ 25% 台)、純利益は 21.5 億ドルで 2025 年の 2.3 倍。未成立の買収は入れない。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 15.5 倍(g 4.0%・RONIC 10.6%・k 8.00%)の 8.0 割で PER 12.4 倍、時価総額は 268 億ドル。
- 水インフラ:数量 565(水・排水の輸送と処理の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 8.3%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 47 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 565 億ドル × シェア 5.9% × 価格 1.41 倍
- 応用水:数量 359(商業ビル・住宅・産業の水ポンプと関連機器の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 8.7%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 31 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 359 億ドル × シェア 6.2% × 価格 1.41 倍
- 計測・制御:数量 427(スマートメーター・水質センサー・分析の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 8.8%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 37 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 427 億ドル × シェア 6.2% × 価格 1.41 倍
- 水処理サービス:数量 609(産業・自治体の水処理の機器・消耗品・サービス・レンタルの対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 7.0%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 42 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 609 億ドル × シェア 4.9% × 価格 1.41 倍
倍率:正当化 PER 15.5 倍(g 4.0%・RONIC 10.6%=k 8.00%+残る割合×(事業の ROE 13.1%−k)・moat=normal)に対して 12.4 倍(上限の 8.0 割)に置いた。水の設備・計測・サービスは景気に強いが、のれん込みの ROE は 13% 前後で資本効率は高くないので上限の 8.0 割。
確率:事業ノートの中立(数量 年 +2%・価格 年 +3%)に、ザイレムの受注残と利益率の改善を合わせた議論の落としどころ。確率は最も厚い 36%。
やや悲観 20% やや悲観:補助と料金の負担能力、中国の価格競争で伸びが 3% 台に鈍り、利益率は 16% 止まり 利益 16 億ドル · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 78.04 ドル184 億ドル
2035 年、自治体の補助が減り水道料金の負担能力も頭打ちになって、水インフラの市場は年 +1.5%(522 億ドル)、応用水は年 +1.3%(341)、計測・制御は電気メーターの遅れが続き年 +1.8%(394)、水処理サービスは年 +1.5%(580)にとどまる。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 15.0 倍(g 4.0%・RONIC 10.0%・k 8.00%)の 7.7 割で PER 11.6 倍、時価総額は 184 億ドル。中国・インドの安いポンプに新興国で押され、シェアは 0.2〜0.4 ポイント下がり、価格も 1.36 倍と物価に届かない。売上は 136 億ドル(年 +4.2%)、営業利益率は 16.0%、純利益は 15.9 億ドル。買収の効率は資本コスト並みで、自社株買いは中程度。
- 水インフラ:数量 522(水・排水の輸送と処理の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 7.6%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 40 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 522 億ドル × シェア 5.6% × 価格 1.36 倍
- 応用水:数量 341(商業ビル・住宅・産業の水ポンプと関連機器の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 8.0%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 27 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 341 億ドル × シェア 5.9% × 価格 1.36 倍
- 計測・制御:数量 394(スマートメーター・水質センサー・分析の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 8.1%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 32 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 394 億ドル × シェア 5.9% × 価格 1.36 倍
- 水処理サービス:数量 580(産業・自治体の水処理の機器・消耗品・サービス・レンタルの対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 6.4%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 37 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 580 億ドル × シェア 4.7% × 価格 1.36 倍
倍率:正当化 PER 15.0 倍(g 4.0%・RONIC 10.0%=k 8.00%+残る割合×(事業の ROE 12.0%−k)・moat=normal)に対して 11.6 倍(上限の 7.7 割)に置いた。補助と料金の負担能力、中国の価格競争で伸びが 3% 台に鈍る筋書き。堀が削れた会社として中立より下の上限の 7.7 割。
確率:補助の縮小と料金の負担能力、中国・新興国の価格競争、電気メーターの遅れが同時に効く。水インフラの更新は止まらないが伸びは鈍る。慎重な見方の通常形で 2 割。
悲観 12% 悲観:自治体の発注が止まり、中国勢にシェアを奪われ、買収の失敗でのれんが膨らむ 利益 9 億ドル · PER 8.8 倍 · 株価時価総額 33.05 ドル78 億ドル
2035 年、補助の終わりと料金の負担能力で自治体の発注が数年止まり、データセンターの冷却水も一時的な需要に終わる。水インフラの市場は 2025 年比でほぼ横ばい(年 +0.4%、468 億ドル)、応用水・計測・制御・水処理サービスも年 +0.3〜0.8%。中国勢と電気メーターの競争でシェアは 0.6〜1.2 ポイント下がり、価格は 1.30 倍と物価に大きく届かない。営業利益率は 12.5%、売上は 106 億ドル(年 +1.6%)、純利益は 8.9 億ドルで 2025 年を下回る。さらに、成長を買収で買い続けた結果、のれんが 30 億ドル増え、買収の利回りが 6% に落ちる。優良な水の設備会社ではなくなる。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 12.5 倍(事業の ROE が k 以下なので上限は 1÷k)の 7.0 割で PER 8.8 倍、時価総額は 78 億ドル。
- 水インフラ:数量 468(水・排水の輸送と処理の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 6.6%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 31 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 468 億ドル × シェア 5.1% × 価格 1.30 倍
- 応用水:数量 309(商業ビル・住宅・産業の水ポンプと関連機器の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 7.1%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 22 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 309 億ドル × シェア 5.5% × 価格 1.30 倍
- 計測・制御:数量 357(スマートメーター・水質センサー・分析の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 6.7%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 24 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 357 億ドル × シェア 5.1% × 価格 1.30 倍
- 水処理サービス:数量 531(産業・自治体の水処理の機器・消耗品・サービス・レンタルの対象市場(億ドル、2025 年価格・推定))× 価格 5.6%(ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 30 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 531 億ドル × シェア 4.3% × 価格 1.30 倍
倍率:事業の ROE 7.4% は k 8.00% 以下なので上限は 1÷k の 12.5 倍。8.8 倍(上限の 7.0 割)に置いた。自治体の発注が止まり、中国勢にシェアを奪われ、買収の失敗でのれんが膨らむ筋書き。事業の ROE が k 以下なので上限は 1÷k で、稼ぐ力(純利益 ÷ k)の 7.0 割に置いた。成長の弱さ・優良さの崩れは g と ROE に入れた。
確率:10 年のうちに自治体の発注が数年止まり、中国勢に新興国と電気メーターを奪われ、買収の効率が資本コストを下回る。公共・水の設備では稀だが、買収の失敗を含め 1 割強とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
水インフラ
ポンプ(上下水・浸水対策)と水処理装置(紫外線・オゾン・ろ過)。自治体と産業向け。
| 数量水・排水の輸送と処理の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定) | 価格ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 450 | 5.9% | 26 | 5 |
| 10 年後 中立 | 565 | 8.3% | 47 | 10 |
取り方:輸送(下水・上水ポンプ、浸水対策)と処理(紫外線・オゾン・ろ過)の対象市場を約 450 億ドル(2025 年価格・推定。中国を含む)、ザイレムのシェアを約 5.9% と置いた。売上は 2025 年通期の 10-K 開示の 26.4 億ドル、営業利益 4.62 億ドル(17.5%)。
応用水
商業ビル・住宅・産業の循環ポンプと給水ポンプ(ベル・アンド・ゴセット、ゴールズ、ジャブスコ)。データセンターの冷却水が成長源。
| 数量商業ビル・住宅・産業の水ポンプと関連機器の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定) | 価格ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 300 | 6.2% | 18 | 3 |
| 10 年後 中立 | 359 | 8.7% | 31 | 6 |
取り方:商業ビルの空調循環ポンプ・住宅給水ポンプ・産業ポンプの対象市場を約 300 億ドル(推定)、シェアを約 6.2% と置いた。売上 18.5 億ドル、営業利益 3.12 億ドル(16.9%)は 10-K の開示。
計測・制御
水道・電気のスマートメーターと通信網(センサス)、漏水・水質センサー、分析ソフト(VUE)。
| 数量スマートメーター・水質センサー・分析の対象市場(億ドル、2025 年価格・推定) | 価格ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 330 | 6.3% | 21 | 2 |
| 10 年後 中立 | 427 | 8.8% | 37 | 6 |
取り方:水道・電気・ガスのスマートメーター(ハード・通信・ソフト)と水質・漏水センサー、分析ソフトの対象市場を約 330 億ドル(推定)、シェアを約 6.3% と置いた。売上 20.9 億ドル、営業利益 2.44 億ドル(11.7%)は 10-K の開示。2026 年に国際メーターの一部を売却し、TriOS を買収(成立済み、小さい)。
水処理サービス
旧エボクア。産業向けの水処理機器・消耗品・運営の請負(ダウの 23 年契約など)、浸水対策ポンプのレンタル。
| 数量産業・自治体の水処理の機器・消耗品・サービス・レンタルの対象市場(億ドル、2025 年価格・推定) | 価格ザイレムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 500 | 4.9% | 25 | 3 |
| 10 年後 中立 | 609 | 7.0% | 42 | 8 |
取り方:産業向け水処理の機器・消耗品・運営の請負・レンタルの対象市場を約 500 億ドル(推定)、シェアを約 4.9% と置いた。売上 24.6 億ドル、営業利益 3.02 億ドル(12.3%)は 10-K の開示。ウォーターフリート(約 2 億ドル)は未成立なので入れない。
リスクと懸念
自治体の補助の終わりと水道料金の負担能力
超党派インフラ法の上乗せ分は 2026 年度で終わる見通しで、延長が決まらなければ自治体の発注が鈍る。水道料金は家計の負担が重くなっており、引き上げが政治的に難しくなると、設備更新の財源そのものが細る。水インフラと応用水の数量に直接効く。
電気メーターの遅れ(計測・制御)
公益事業者は電気料金の負担を気にして、選挙前の発注を慎重にしている。2026 年の見通しは低単一桁成長に引き下げられ、計測・制御は 2025 年の営業利益率 11.7% と全社で最も低い。遅れが 2028 年まで続くと、利益率の改善が止まる。AMI 2.0 の更新周期の始まりが遅れる分、受注残の消化も遅れる。
中国と新興国の価格競争
中国の売上は 2026 年 4〜6 月期に 27% 減り、水インフラでは 4 割減った。中国・インド企業の安いポンプが新興国でも価格を下げており、処理装置は中国の景気に左右される。80/20 で自ら切り捨てる売上(約 2%)も、数量の伸びを数年削る。
資本配分と買収の効率
エボクアの株式交換でのれんが自己資本の 7 割を占め、純利益の自己資本比は 8% 台。2026 年は自社株買いに 12.4 億ドルを借金も使って入れた直後に、コーネル・ポンプとローパー・ポンプで 14.6 億ドルを現金で払う。買収倍率が EBITDA の 11〜13 倍だと税引き後の利回りは資本コストとほぼ同じで、買収が積み上がるほど資本効率が上がらない。
利益の質(調整後と GAAP の差)
調整後の EPS は買収無形資産の償却と再編費用を足し戻すので GAAP より 3 割ほど高く、倍率が安く見える。実際に現金が出る再編費用は 2025 年に 1 億ドル超あり、株式報酬も 0.5 億ドルある。利益率の改善が 80/20 と整理の費用の減少に大きく頼っているなら、一度きりの効果が終わった後に伸びが鈍る。
データセンター需要の一時性
応用水のデータセンター向け受注は 3 倍になったが、全社売上に占める割合は 2026 年末で 2% 程度。AI の設備投資が減速する、冷却の方式が水を使わない形(空冷・液冷の閉鎖系)に変わる、などで需要は減る可能性があり、新しい成長の柱として織り込みすぎると外れる。
金利の高止まりと借金
純負債は 2026 年に 4.6 億ドルから 16.5 億ドルに増え、2026 年 9 月に 15 億ドルの社債も発行した。借り換えで利払いが増える(10 年国債 5% + 上乗せ)。借金の水準は今は控えめ(EBITDA 比 0.8 倍)だが、買収を重ねて 2 倍を超えると、悲観の筋書きで影響が大きくなる。
今後の分かれ目
- 2027 年に電気メーターの案件が戻り、計測・制御の売上が前年比で二桁に戻る
- AMI 2.0 の周期が始まった合図で、計測・制御の利益率が 15% 台に近づく。やや楽観・楽観の確率を上げる。
- 超党派インフラ法の上乗せ分の延長が決まらず、州回転基金の配分が大きく減る
- 水インフラの数量が 2027〜28 年に落ち、やや悲観・悲観の確率を上げる。自治体向けの二桁増は 2026 年が山になる。
- 応用水のデータセンター受注が 2027 年も前年比で倍以上に増え、全社売上の 5% に近づく
- 応用水の市場の伸びと利益率が上がり、楽観・やや楽観の確率を上げる。2026 年の受注 3 倍が一時的でなかった証拠になる。
- コーネル・ポンプとローパー・ポンプの買収が成立し、続けて大型の買収(売上 10 億ドル規模)を発表する
- 買収で伸びる会社の色がさらに強まり、のれんの増加と借金の増加で資本効率が下がる。やや悲観の確率を上げる。
- 80/20 の切り捨てが 2027 年に終わっても有機成長が 3% に届かない
- 整理が成長の道具になるという会社の説明が外れた合図で、中立の伸びを下げ、やや悲観の確率を上げる。
- 中国の売上の下落が止まり、水インフラの受注が 2026 年下期に前年比プラスに戻る
- 下振れの重しが取れ、中立の確率が厚くなる。水インフラの利益率 21% の筋書きが現実的になる。
見ておくもの
- 受注残(2026 年 4〜6 月期 53 億ドル)と受注の前年比、book-to-bill
- 応用水のデータセンター売上(2026 年に約 3 倍、年末で全社の約 2%)
- 計測・制御の売上の前年比と電気メーターの受注(AMI 2.0 の開始時期)
- 有機成長率(2026 年 2〜3%、目標 4〜6%)と 80/20 の切り捨て売上
- 調整後 EBITDA 率(2026 年 23.1〜23.5%)と GAAP の営業利益率
- 純負債の EBITDA 倍率(0.8 倍)と買収(コーネル・ポンプとローパー・ポンプ、ウォーターフリート)の成立・価格
- 連邦の州回転基金(SRF)と水道の補助金の延長
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見る前に、数量 × 価格で積んだ利益から利益ベースの正当化 PER((1−g/RONIC)/(k−g)、RONIC=k+残る割合×(事業の ROE−k))で出した。10 年の中立は正当化 PER 15.5 倍(k 8.0%・g は上限の 4%・ROE 13%・moat=普通)の 8 割 = 12.4 倍。水の設備・計測・サービスは景気に強いが、のれん込みの ROE は 13% 台で資本効率は高くないので 8 割。k は保守・サービスの厚さによる景気への強さ(cycle +0.25%)と、規制で守られても自治体の予算に縛られる値段(pricing −0.25%)が打ち消し合い quality は 0。悲観側は谷の倍率や市場の評価倍率を根拠にせず、稼ぐ力の内側で置いた。今の株価に寄せて選んだ値ではなく、全筋書きが検査の上限(正当化 PER × 事業の純利益の 1.1 倍)の内側に収まっている。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0。景気の振れ(+0.25%)と値段の守りやすさ(−0.25%)が打ち消し合う。個別のリスク(買収の統合・水道の予算・中国の値下げ)は k に足さず、筋書きの数量・利益率と確率で表した。存続を疑う要素はなく上乗せは 0。