株譜
AI 銘柄分析 · 資本財・サービス · 試作

ITWイリノイ・ツール・ワークス ITW

利益率は高いが売上の伸びの実績が弱い。利益ベースの上限で測ると本質価値は今の値段を 1 割半ばほど下回り、やや割高

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)226.82 ドル663 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)279.2 ドル816 億ドル差 −18.8%
10 年後から見ると やや割高 価値 226.82 ドル663 億ドル · 差 −18.8% · 期待の年率 +4.3%
期待の年率リターン(10 年)+4.3%資本コスト比 −3.7 pt
推定の資本コスト8.0%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.0% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

イリノイ・ツール・ワークス(ITW)は、自動車の留め具、業務用の厨房機器、材料試験機と電子機器の製造装置、溶接機、接着剤と整備用品、建築用の留め具、包装資材の 7 事業を、多数の事業部に分けて持つ分散型の産業機器メーカーである。2025 年は売上 160 億ドル、営業利益 42 億ドル(営業利益率 26.3%)、純利益 31 億ドル、FCF 27 億ドル。2012 年に始めた「80/20」の経営(顧客と製品の上位 2 割に経営資源を寄せる)で営業利益率を 9 ポイント以上引き上げ、2030 年に約 30% という目標を置く。2026 年 4〜6 月期は有機成長が +4.5% に加速し、通期見通しを引き上げた。

評価の核心は、利益率の高さより「売上を物価以上に伸ばせるか」にある。2025 年の有機成長は 0.0% で、売上は 2014 年の 145 億ドルから 11 年で 1 割増にとどまる。本質価値の計算では、7 事業を市場 × シェア × 価格で積み、10 年の売上を年 5% 前後、営業利益率を 28% 台とした。利益ベースの正当化 PER の上限は、ROIC から直した ROE(約 70%)、成長 4%、資本コスト 8.0%、RONIC 約 40% で 23.0 倍。売上の伸びの実績が弱いので、その 7.3 割の 16.8 倍を中立に置いた。慎重な見方(今の PER が過去の最高圏にあること、成長の実績が弱いこと、借金が増え自己資本が縮んでいること)を悲観側の確率に入れても、確率の加重平均は今の時価総額を 1 割半ばほど下回り(総合の差 −17%)、結論はやや割高である。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、ITW は「10 年後も存在し、今より強いか」に対して存在すると答えやすい。製品が顧客の費用に占める割合が小さく、切り替えにくく、保守・消耗品が売上の半分近くを占める。80/20 の運営は営業利益率を 2012 年から 9 ポイント以上押し上げた。

課題は 3 つある。第 1 に売上の伸びの実績が弱く、利益率の改善だけでは長期の複利は出ない。成長を最優先にした次の局面が、過去の実績と違う結果を出すかを見る必要がある。第 2 にオーナー利益で、2025 年の FCF は 27 億ドル(純利益の 88%)で、今の時価総額に対する利回りは約 3.4%。2026 年に純利益の 100% 超になる見通しだが、今の値段では利回りは低い。第 3 に資本配分で、還元が純利益を上回り、借金が増え、自己資本が縮んでいる。株価の割に高い自社株買いを続けていないかは、見ておくべき点である。

安全域は、利益ベースの PER(中立で約 17 倍)に対しても今の PER 約 26 倍は高く、大きくない。事業の質は高いが、確率の加重平均は今を 1 割半ばほど下回る。確信度は中程度とする。

何で稼ぐ会社か

7 つの事業で売上の全てを占める(2025 年、億ドル・営業利益率)。自動車 OEM(32.9・21.1%)は自動車メーカー向けの留め具・樹脂部品・内外装の部品で、車の台数と、1 台あたりに使われる部品の数に連動する。食品機器(27.0・27.9%)はホバートなどの業務用厨房機器で、売上の約 3 割は保守・部品(推定)。試験計測・電子機器(28.3・24.6%)は材料試験機のインストロンと、電子機器の組み立て・検査装置で、2026 年 4〜6 月は有機 +10.0%(電子機器 +21%)と加速した。

溶接(18.9・32.9%)は北米で最上位のミラーを持ち、2026 年 4〜6 月は有機 +13.9%(装置 +19%)。ポリマー・流体(17.7・27.9%)は接着剤・整備用の化学品、建設製品(18.2・30.2%)は釘打ち機などの建築用の留め具と屋根・デッキ資材、特殊製品(17.8・31.2%)は飲料の包装材や食品包装、特殊部品。3 事業が営業利益率 30% を超える。

特徴は 多数の事業部を、顧客と製品の上位 2 割に集中して運営する分散型の組織で、本社費は売上の 1% 未満。数量と価格は、対象市場 × シェア × 価格で置いた(開示が無いため市場規模は推定)。北米が中心で、2026 年 4〜6 月の北米の有機成長は +6.4%。

優良さと弱いところ

堀は 3 つある。第 1 に 80/20 の運営の仕組みで、細かく分かれた事業部ごとに、売上の上位 2 割の顧客と製品に経営資源を寄せ、残りの 8 割は値上げか縮小で整理する。2012 年以降で営業利益率を 9 ポイント以上上げた実績は、競合に真似しにくい経営の堀である。第 2 に個々の製品が顧客の工程に組み込まれ、ミラーの溶接機、ホバートの厨房機器、インストロンの試験機のように、ブランドと保守網で切り替えにくい。第 3 に、製品の単価が顧客の総費用に占める割合が小さい留め具・化学品が多く、値上げが通りやすい。

資本効率は帳簿で ROE 95%(自社株買いで自己資本が 32 億ドルまで縮み、見かけが膨らんでいる)。税引き後の営業利益を自己資本と純負債の合計(116 億ドル)で割った ROIC は約 28%。会社の指標では 2023 年に 30.4% とされる。営業利益率は 2009 年の 10.8% から 2025 年の 26.3% へ。

弱い所は、売上の伸びである。2025 年の有機成長は 0.0%、過去の 11 年で売上は 1 割増にとどまった。80/20 は利益率を上げる一方で、成長の低い製品を整理するため売上を削る面もある。自動車 OEM は顧客の値下げ圧力が強く、競合のニフコ・A・レイモンドなどと争う。経営は 2024 年にクリス・オハーリヒーが CEO に就き、成長を最優先する「次の局面」へ移った。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

ITW の市場は、製造業の生産と設備投資、自動車の生産台数、外食・施設の設備更新、住宅と非住宅の建築、電子機器の生産、に分散していて、単一の市場は無い。売上の半分近くは保守・消耗品・交換部品で、景気の山谷は重機ほど深くない(営業利益率の谷は 2009 年の 10.8%)。2026 年は米国の ISM 製造業指数が 54.5 と拡大側にあり、データセンター・電力・半導体の設備、造船、製造業の国内回帰で溶接機と電子機器が伸びる一方、住宅の改装と北米の外食の設備は弱い。

構造の変化は 3 つある。第 1 に AI とデータセンターで、電子機器の組み立て装置と溶接機の新しい需要が生まれている。第 2 に自動車の電動化で、エンジン周りの部品点数が減る一方、電池・内装・軽量化で留め具と樹脂部品の新しい使われ方が出る。第 3 に中国・インドの安価な競合で、留め具・溶接・包装資材の標準品は値下げ競争になる。

今後 10 年の中立の見方は、業界ノートの塊 B(数量 年 +2%・価格 年 +3%)に整合し、事業ごとに市場の実質成長を 0.8〜3% に置く。電子機器と溶接は少し高く、自動車と特殊製品は低い。競合は事業ごとに異なり、溶接のリンカーン・エレクトリック、食品機器のミドルビーとアリ・グループ、接着剤のヘンケル、建築のシンプソン・マニュファクチャリングなど。細分化した市場で、ITW はそれぞれ上位にいる。

資本政策と M&A

資本配分は、まず事業への再投資(設備投資は売上の 2〜3%)、次に配当(半世紀以上の連続増配)、次に自社株買い、という順で、買収は小さな補完にとどめる。2025 年の還元は 33 億ドル(純利益の約 1.08 倍)で、純負債は 71 億ドルから 84 億ドルに増えた。2026 年は自社株買い 約 15 億ドルの見通しで、FCF は純利益の 100% 超を見込む。2026 年 6 月末の純負債は約 89 億ドル、自己資本は 29 億ドルに縮んだ。

M&A は小さな補完(試験計測・電子機器で 2026 年の有機以外の寄与 +1.5%)が中心で、大型買収はしない方針に見える。成長の優先順位を有機成長に置いた 2024 年以降も、買収で売上を稼ぐ型ではない。バリュー投資の観点では、割高な局面で自社株買いを続ける規律が問題になる。ITW の PER は過去の最高圏にあり、株価が上がり続ける間は自社株買いが 1 株の価値を押し上げるが、下がる局面では借金で買った株が重くなる。本質価値の計算では、還元から株式報酬の増加分(推定で年 1 億ドル弱)を引いた正味で置いた。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

2026 年 4〜6 月期は有機成長が +4.5% に加速し、溶接が +13.9%、試験計測・電子機器が +10.0%、ポリマー・流体が +7.3%、建設製品が 4 年ぶりの高い伸びと、7 事業のうち 5 事業が伸びた。通期の見通しは 2 度引き上げられ、有機成長の中心値は 3.5%、営業利益率は 26.5〜27.5%。会社は 2030 年に営業利益率 約 30%、ROIC 35% 超、増分利益率 35〜40%、有機成長 4% 超を目標にしており、2025 年の営業利益率 26.3% から毎年 50〜60bp ずつ上げる自助努力が見えている。

80/20 の運営は、競合が追いつきにくい利益率の差を生み、セグメントの 3 つは既に 30% を超える。データセンター・電力・半導体の設備投資と国内回帰は、溶接機と電子機器の長い追い風で、受注が売上を上回って積み上がっている。利益ベースの上限は資本コスト 8.0%・成長 4%・RONIC 約 40% で 23 倍、楽観はその 8 割強(19 倍前後)まで上がり、10 年後の時価総額は今の約 1.6 倍に届く。FCF は純利益の 100% 超を見込む。これが強気の見方である。

慎重な見方

今の PER 約 26 倍は過去 20 期の最高圏(最小 10 倍・中央 21.6 倍)にあり、成長の実績が弱い会社には高すぎる。2025 年の有機成長は 0.0% で、売上は 11 年で 1 割増。2026 年の加速は、溶接機と電子機器という景気と投資の波に乗った部分で、自動車 OEM と食品機器は横ばい、特殊製品は樹脂価格の上昇で利益率が下がった。2026 年の営業利益率の見通し(26.5〜27.5%)は 2025 年の 26.3% からわずかな改善にとどまる。

自己資本は 32 億ドルから 29 億ドルに縮み、純負債は 71 億ドル(2024 年末)から 89 億ドル(2026 年 6 月)に増えた。還元を純利益以上に続け、借り換えで金利が上がれば利益が削られる。ISM が 54.5 の景気の山に近い今、製造業が一服すれば 1% 台の成長に戻り、割高な倍率が縮む。中国・インドの安価な競合と自動車の電動化は、留め具・溶接の標準品の価格を押し下げる。悲観の確率を厚くすべきだ、というのが慎重な見方である。

どちらに重みを置いたか

強気の見方は直近の加速と目標の信頼性、慎重な見方は成長の実績の弱さと高い倍率で、それぞれ強い。確率は中立 38% を中心に、悲観 12%、楽観 8% と、悲観を楽観より厚くした。過去 10 年に有機成長 4% 超を示せなかった実績は、楽観の確率を抑える。一方で、中立の倍率は利益ベースの上限 23 倍の 7.3 割の 16.8 倍に置いた。やや悲観を 20% に厚くした確率の加重平均は今の時価総額を 1 割半ばほど下回り、結論は「やや割高」である。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 289.80 ドル847 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 136.03 ドル398 億ドル)。 今の値に割り戻すと 226.82 ドル663 億ドル、今との差 −18.8%、 期待の年率 +4.3%(資本コスト 8.0%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 8% 428.50 ドル1,253 億ドル 159.08 ドル465 億ドル +110.4% +7.7% 47.01 ドル137 億ドル
やや楽観 22% 371.33 ドル1,085 億ドル 153.27 ドル448 億ドル +87.9% +6.5% 115.41 ドル337 億ドル
中立 38% 304.24 ドル889 億ドル 141.98 ドル415 億ドル +59.8% +4.8% 169.56 ドル496 億ドル
やや悲観 20% 229.49 ドル671 億ドル 126.24 ドル369 億ドル +27.4% +2.5% 71.15 ドル208 億ドル
悲観 12% 102.67 ドル300 億ドル 86.55 ドル253 億ドル −32.2% −3.8% 22.71 ドル66 億ドル
加重平均100% 289.80 ドル847 億ドル136.03 ドル398 億ドル +52.5% +4.3% 425.83 ドル1,245 億ドル

今の株価時価総額 279.24 ドル816 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。

楽観 8% 楽観:有機成長が 10 年続けて 5% 前後になり、営業利益率は 30% 前後 利益 65 億ドル · PER 19.3 倍 · 株価時価総額 428.50 ドル1,253 億ドル

2035 年、「顧客起点の技術革新」で新製品の比率が上がり、溶接機(ミラー)は造船・電力・インフラの需要でシェアを 5%、食品機器と試験計測・電子機器もシェアを 3〜4% 上げる。市場の実質成長は事業により 1.2〜4%、価格は物価並みの 1.43 倍(自動車と試験機は 1.36〜1.38 倍)。営業利益率は 29.8% と、会社の 2030 年の目標 30% に届く。純負債は 95 億ドルとほぼ今のままで、年 15 億ドル規模の自社株買いを続け、増配も 7% を保つ。g の内訳は市場の実質 +1.3%・シェア +0.1%・価格 +3.5%。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 23.2 倍(g 4.0%・RONIC 57.0%・k 8.00%)の 8.3 割で PER 19.3 倍、時価総額は 1,252 億ドル。

  • 自動車 OEM:数量 901(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.6%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 50 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場 901 億ドル × シェア 4.1% × 価格 1.36 倍
  • 食品機器:数量 896(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.7%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 51 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場 896 億ドル × シェア 4.0% × 価格 1.43 倍
  • 試験計測・電子機器:数量 888(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 6.8%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 60 億ドル・営業利益 17 億ドル。市場 888 億ドル × シェア 4.9% × 価格 1.38 倍
  • 溶接:数量 635(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 6.3%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 40 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場 635 億ドル × シェア 4.4% × 価格 1.43 倍
  • ポリマー・流体:数量 806(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.3%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 35 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 806 億ドル × シェア 3.0% × 価格 1.43 倍
  • 建設製品:数量 1,097(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 2.9%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 32 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 1097 億ドル × シェア 2.1% × 価格 1.43 倍
  • 特殊製品:数量 580(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.1%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 30 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 580 億ドル × シェア 3.6% × 価格 1.43 倍

倍率:帳簿の ROE 155% は 40% 超(自己資本が借金・自社株買いで縮んだ見かけ)なので ROIC から直した(ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債 84 億ドル)= 55.3%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利 5.75%×(1−22%))× 純負債÷自己資本(1 倍まで)= 106.1%)。正当化 PER 23.2 倍(g 4.0%・RONIC 57.0%=k 8.00%+残る割合×(事業の ROE 106.1%−k)・moat=normal)に対して 19.3 倍(上限の 8.3 割)に置いた。溶接機・電子機器の勢いが続き利益率が 30% 前後に届く最良の筋書き。ただし有機成長の実績が 10 年弱いので上限の 8.3 割にとどめた。

確率:顧客起点の技術革新が実を結び、有機 4% 超の目標を景気をならして満たし、さらに溶接機・電子機器でシェアが上がる、の重なり。過去 10 年の実績からは遠く 8% に置いた。

やや楽観 22% やや楽観:シェアを保ち、営業利益率は 29% 台に上がる 利益 60 億ドル · PER 18.1 倍 · 株価時価総額 371.33 ドル1,085 億ドル

2035 年、事業の質が保たれ、有機成長は年 4% 前後(市場の実質 1〜3.5% に価格 3〜3.5%)。溶接機・電子機器・ポリマーでは小幅にシェアを取り、自動車 OEM は値下げ圧力で価格が物価を下回る。営業利益率は 29.2% で、2030 年の目標にはわずかに届かない。80/20 の改善余地は残り、事業部の統合で増分利益率は 35% を保つ。純負債は 100 億ドルで、還元は純利益の 100% 近く。競合のリンカーン・エレクトリックやヘンケルに対しても価格を保ち、中国の安価な品には標準品で一部を譲るにとどまる。g の内訳は市場の実質 +1.0%・シェア 0%・価格 +3.4%。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 23.2 倍(g 4.0%・RONIC 55.2%・k 8.00%)の 7.8 割で PER 18.1 倍、時価総額は 1,085 億ドル。

  • 自動車 OEM:数量 884(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.5%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 48 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場 884 億ドル × シェア 4.1% × 価格 1.33 倍
  • 食品機器:数量 870(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.5%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 48 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場 870 億ドル × シェア 3.9% × 価格 1.41 倍
  • 試験計測・電子機器:数量 846(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 6.5%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 55 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場 846 億ドル × シェア 4.8% × 価格 1.36 倍
  • 溶接:数量 605(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 6.1%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 37 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場 605 億ドル × シェア 4.3% × 価格 1.41 倍
  • ポリマー・流体:数量 768(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.2%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 33 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 768 億ドル × シェア 3.0% × 価格 1.41 倍
  • 建設製品:数量 1,076(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 2.9%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 31 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 1076 億ドル × シェア 2.0% × 価格 1.41 倍
  • 特殊製品:数量 569(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.0%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 29 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 569 億ドル × シェア 3.5% × 価格 1.41 倍

倍率:帳簿の ROE 167% は 40% 超(自己資本が借金・自社株買いで縮んだ見かけ)なので ROIC から直した(ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債 84 億ドル)= 53.5%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利 5.75%×(1−22%))× 純負債÷自己資本(1 倍まで)= 102.5%)。正当化 PER 23.2 倍(g 4.0%・RONIC 55.2%=k 8.00%+残る割合×(事業の ROE 102.5%−k)・moat=normal)に対して 18.1 倍(上限の 7.8 割)に置いた。2026 年の加速が続き有機成長 4% の筋書き。

確率:会社の 2030 年の目標(営業利益率 約 30%・有機成長 4% 超)に近い姿だが届かない。22% に置いた。

中立 38% 中立:名目成長 5% 台で営業利益率 28%、成長は市場並み 利益 53 億ドル · PER 16.8 倍 · 株価時価総額 304.24 ドル889 億ドル

2035 年、売上は 2025 年の 1.64 倍の 262 億ドル(年 5%)。事業ごとに市場の実質成長を 0.8〜3%、価格を物価並み(1.41 倍。自動車 OEM は 1.30 倍、試験機は 1.33 倍と値下げ要求で低い)に置く。溶接機は新製品でシェアを 2% 上げ、自動車 OEM と特殊製品は 2〜3% 下げる。営業利益率は 28.3%(2025 年 26.3%、2030 年の目標 30% には届かない)。企業戦略の自助努力は続くが、人件費の上昇を価格で転嫁するのが精いっぱいで増分利益率は下がる。純負債は 100 億ドルで、配当と自社株買いの合計は純利益並み。g の内訳は市場の実質 +1.0%・シェア −0.3%・価格 +3.3%。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 23.0 倍(g 4.0%・RONIC 49.6%・k 8.00%)の 7.3 割で PER 16.8 倍、時価総額は 889 億ドル。

  • 自動車 OEM:数量 866(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.2%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 45 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 866 億ドル × シェア 4.0% × 価格 1.30 倍
  • 食品機器:数量 837(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.3%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 45 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場 837 億ドル × シェア 3.9% × 価格 1.38 倍
  • 試験計測・電子機器:数量 806(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 6.3%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 51 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場 806 億ドル × シェア 4.7% × 価格 1.33 倍
  • 溶接:数量 576(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 6.0%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 35 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場 576 億ドル × シェア 4.3% × 価格 1.41 倍
  • ポリマー・流体:数量 731(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.1%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 30 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 731 億ドル × シェア 2.9% × 価格 1.41 倍
  • 建設製品:数量 1,044(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 2.9%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 30 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 1044 億ドル × シェア 2.0% × 価格 1.41 倍
  • 特殊製品:数量 552(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.9%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 27 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 552 億ドル × シェア 3.5% × 価格 1.41 倍

倍率:帳簿の ROE 143% は 40% 超(自己資本が借金・自社株買いで縮んだ見かけ)なので ROIC から直した(ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債 84 億ドル)= 47.9%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利 5.75%×(1−22%))× 純負債÷自己資本(1 倍まで)= 91.2%)。正当化 PER 23.0 倍(g 4.0%・RONIC 49.6%=k 8.00%+残る割合×(事業の ROE 91.2%−k)・moat=normal)に対して 16.8 倍(上限の 7.3 割)に置いた。製品が顧客の費用に占める割合が小さく切り替えにくい質の高い利益で ROE も高いが、売上の伸びの実績が 11 年で 1 割増と弱く、ROE の大半は借金による自己資本の縮みで膨らんでいるため、上限の 7.3 割。

確率:業界ノートの中立(数量 年 +2%・価格 年 +3%)に、ITW の価格を決める力(80/20)と、有機成長の実績の弱さ(過去 10 年の売上はほぼ横ばい)を合わせた落としどころ。

やや悲観 20% やや悲観:シェアが下がり、成長は物価をわずかに上回る程度 利益 41 億ドル · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 229.49 ドル671 億ドル

2035 年、市場の実質成長が 0〜2% にとどまり、自動車 OEM(数量 横ばいでシェア 7% 減)、試験計測・電子機器、食品機器でシェアを 3% 前後落とす。価格は物価を下回る 1.25〜1.36 倍。営業利益率は 25.8% まで下がり、2025 年の水準を割る。純負債は 115 億ドルに増え、企業買収を 15 億ドル試みるが利益への寄与は小さい。有機成長は年 2% 台で、過去 10 年に近い。溶接機と電子機器の需要は残るが、投資の波が去ると数量の伸びは市場並みに戻り、80/20 による整理の効果も出尽くす。配当は増配を保つが、増配の幅は 5% 程度に縮む。g の内訳は市場の実質 +0.7%・シェア −0.5%・価格 +3.2%。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 22.7 倍(g 4.0%・RONIC 43.8%・k 8.00%)の 7.2 割で PER 16.4 倍、時価総額は 671 億ドル。

  • 自動車 OEM:数量 800(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.8%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 38 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 800 億ドル × シェア 3.8% × 価格 1.25 倍
  • 食品機器:数量 773(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.0%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 39 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 773 億ドル × シェア 3.7% × 価格 1.33 倍
  • 試験計測・電子機器:数量 731(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.8%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 43 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 731 億ドル × シェア 4.6% × 価格 1.28 倍
  • 溶接:数量 522(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.6%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 29 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 522 億ドル × シェア 4.1% × 価格 1.35 倍
  • ポリマー・流体:数量 676(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 3.9%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 26 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 676 億ドル × シェア 2.9% × 価格 1.36 倍
  • 建設製品:数量 975(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 2.7%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 26 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 975 億ドル × シェア 2.0% × 価格 1.36 倍
  • 特殊製品:数量 526(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.6%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 24 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 526 億ドル × シェア 3.4% × 価格 1.36 倍

倍率:帳簿の ROE 171% は 40% 超(自己資本が借金・自社株買いで縮んだ見かけ)なので ROIC から直した(ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債 84 億ドル)= 42.0%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利 5.75%×(1−22%))× 純負債÷自己資本(1 倍まで)= 79.6%)。正当化 PER 22.7 倍(g 4.0%・RONIC 43.8%=k 8.00%+残る割合×(事業の ROE 79.6%−k)・moat=normal)に対して 16.4 倍(上限の 7.2 割)に置いた。製造業の一服で有機成長が 1% 台に落ち、利益率が低下する筋書きなので上限の 7.2 割。

確率:中国・インドの安価な競合と顧客の値下げ要求で、価格と数量の両方が重くなる姿。ITW の過去の実績に近く 2 割に置いた。

悲観 12% 悲観:事業の質が崩れ、売上は物価並みにも伸びず、営業利益率は 2 割まで下がる 利益 21 億ドル · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 102.67 ドル300 億ドル

構造的に負けて、もう優良ではなくなっている 2035 年。中国・インドの安価な競合が自動車 OEM・溶接・建設製品で値下げを仕掛け、ITW は数量を守るために価格を物価の 6 割しか上げられない。自動車 OEM の電動化で使われる部品点数が減り(数量 年 −1%)、シェアも 15% 失う。営業利益率は 20% 強まで下がり、純利益は 21 億ドル。80/20 の効果が出尽くし、企業買収に 20 億ドルを費やして成果が出ない。配当と自社株買いを維持するために純負債は 140 億ドルまで増え、借り換えの金利で利益がさらに削られる。g の内訳は市場の実質 +0.3%・シェア −1.0%・価格 +2.9%。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 21.0 倍(g 4.0%・RONIC 25.1%・k 8.00%)の 6.8 割で PER 14.3 倍、時価総額は 300 億ドル。

  • 自動車 OEM:数量 724(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.0%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 29 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 724 億ドル × シェア 3.5% × 価格 1.15 倍
  • 食品機器:数量 700(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.2%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 30 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 700 億ドル × シェア 3.5% × 価格 1.22 倍
  • 試験計測・電子機器:数量 663(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.9%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 32 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 663 億ドル × シェア 4.2% × 価格 1.15 倍
  • 溶接:数量 450(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.5%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 20 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 450 億ドル × シェア 3.7% × 価格 1.22 倍
  • ポリマー・流体:数量 600(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 3.2%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 19 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 600 億ドル × シェア 2.6% × 価格 1.22 倍
  • 建設製品:数量 900(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 2.2%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 20 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 900 億ドル × シェア 1.8% × 価格 1.22 倍
  • 特殊製品:数量 476(対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 3.8%(ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 18 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 476 億ドル × シェア 3.1% × 価格 1.22 倍

倍率:帳簿の ROE 70% は 40% 超(自己資本が借金・自社株買いで縮んだ見かけ)なので ROIC から直した(ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債 84 億ドル)= 23.3%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利 5.75%×(1−22%))× 純負債÷自己資本(1 倍まで)= 42.2%)。正当化 PER 21.0 倍(g 4.0%・RONIC 25.1%=k 8.00%+残る割合×(事業の ROE 42.2%−k)・moat=normal)に対して 14.3 倍(上限の 6.8 割)に置いた。中国・インド勢の値下げと電動化で数量を失う筋書き。成長の弱さ・優良さの崩れは g と ROE に入れ、式の外では引かない。

確率:構造的な負けの筋(中国勢の値下げ・自動車の電動化・買収の失敗・高い自社株買いの価格)が同時に起きる姿。慎重な見方を反映して 12% に置いた。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

自動車 OEM

自動車メーカー向けの留め具・樹脂と金属の部品・内外装の機能部品(全世界の軽自動車から商用車まで)。

数量対象市場(億ドル、2025 年価格)価格ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 800 4.1% 33 7
10 年後 中立 866 5.2% 45 10

取り方:自動車 OEM 向けの留め具・成形部品・組み立て部品の対象市場を 約 800 億ドル(推定。世界の自動車部品のうち留め具・樹脂部品・小物部品の範囲を、各業界団体と競合の売上から足した概算)、ITW のシェアを約 4.1% と置いた。2025 年の売上は 32.9 億ドル、営業利益率 21.1%(2024 年から +150bp)、有機成長 +2.0%。売上 = 市場 × シェア × 価格(価格指数は 2025 年 = 1)。競合はニフコ・A・レイモンド・スタンレー・ブラック&デッカーの留め具事業など。ITW の事業は自動車の台数と電動化で変わる部品の使われ方に左右され、顧客の値下げ要求が強い。

食品機器

ホバートなどの業務用厨房機器(食器洗浄機・調理機器・冷蔵・計量)と保守サービス。

数量対象市場(億ドル、2025 年価格)価格ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 700 3.9% 27 8
10 年後 中立 837 5.3% 45 13

取り方:業務用厨房機器とそのサービス・部品の世界市場を 約 700 億ドル(推定。機器と保守サービスの合計)、ITW のシェアを約 3.9% と置いた。2025 年の売上は 27.0 億ドル、営業利益率 27.9%、有機成長 +0.8%。売上 = 市場 × シェア × 価格。競合はアリ・グループ(ウェルビルトを傘下に持つ)、ミドルビーなど。北米の外食・施設の設備更新に左右され、売上の約 3 割は保守・部品で安定する(推定)。

試験計測・電子機器

材料の試験機(インストロン)、電子機器の組み立て・検査装置、計測機器、ソフトウェア。

数量対象市場(億ドル、2025 年価格)価格ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 600 4.7% 28 7
10 年後 中立 806 6.3% 51 14

取り方:材料試験・計測・電子機器の組み立て装置の対象市場を 約 600 億ドル(推定。電子機器向けのスクリーン印刷・検査装置、材料試験機、計測機器の合計)、ITW のシェアを約 4.7% と置いた。2025 年の売上は 28.3 億ドル、営業利益率 24.6%、有機成長 −1.4%(2026 年 4〜6 月は +10.0%、電子機器 +21%)。売上 = 市場 × シェア × 価格。競合は ASMPT、ツビック・ローエル、アンフェノール傘下のエムティーエス(MTS)、キーサイトなど。

溶接

ミラー・ホバート・ブラザーズの溶接機と消耗品(溶接棒・ワイヤ)、プラズマ切断機。

数量対象市場(億ドル、2025 年価格)価格ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 450 4.2% 19 6
10 年後 中立 576 6.0% 35 12

取り方:溶接機・消耗品・切断機の世界市場を 約 450 億ドル(推定。装置と消耗品の合計)、ITW のシェアを約 4.2% と置いた。2025 年の売上は 18.9 億ドル、営業利益率 32.9%、有機成長 +2.0%(2026 年 4〜6 月は +13.9%、装置 +19%)。売上 = 市場 × シェア × 価格。競合はリンカーン・エレクトリック、ESAB、フロニウス、ダイヘン、神戸製鋼。北米の産業用溶接機ではミラーが最上位のブランド。

ポリマー・流体

接着剤・シーラント、整備用の化学品、自動車アフターマーケット用品、流体の分配・潤滑。

数量対象市場(億ドル、2025 年価格)価格ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 600 2.9% 18 5
10 年後 中立 731 4.1% 30 9

取り方:接着剤・シーラント・整備用品・潤滑の対象市場を 約 600 億ドル(推定)、ITW のシェアを約 2.9% と置いた。2025 年の売上は 17.7 億ドル、営業利益率 27.9%、有機成長 −0.2%(2026 年 4〜6 月は +7.3%)。売上 = 市場 × シェア × 価格。競合はヘンケル、HB フラー、シーカ、WD-40、3M など。原料は原油由来の樹脂・化学品で、価格と費用のずれが利益率に出やすい。

建設製品

住宅・非住宅の建築用の留め具(釘打ち機のパスロードなど)、屋根材・デッキ用の資材、アンカー。

数量対象市場(億ドル、2025 年価格)価格ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 900 2.0% 18 6
10 年後 中立 1,044 2.9% 30 9

取り方:建築用の留め具・屋根材・デッキ用資材・アンカーの対象市場(主に北米)を 約 900 億ドル(推定)、ITW のシェアを約 2.0% と置いた。2025 年の売上は 18.2 億ドル、営業利益率 30.2%、有機成長 −5.1%(住宅の改装と新築の弱さ)。売上 = 市場 × シェア × 価格。競合はシンプソン・マニュファクチャリング、スタンレー・ブラック&デッカー、ヒルティなど。2026 年 4〜6 月の有機成長は +2.0% で、4 年ぶりの高い伸びと説明された。

特殊製品

包装の資材と機器(飲料の 6 缶包装のハイコーンなど)、食品包装、家電・産業向けの特殊部品。

数量対象市場(億ドル、2025 年価格)価格ITW のシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 500 3.6% 18 6
10 年後 中立 552 4.9% 27 9

取り方:包装の資材・機器、食品包装、家電や産業向けの特殊部品の対象市場を 約 500 億ドル(推定)、ITW のシェアを約 3.6% と置いた。2025 年の売上は 17.8 億ドル、営業利益率 31.2%、有機成長 +1.0%。売上 = 市場 × シェア × 価格。競合はシールド・エア、アムコアなどの包装資材メーカー。2026 年は樹脂価格の上昇で、価格と費用のずれの影響が最も大きい事業(営業利益率が約 110bp 下がった)。

リスクと懸念

成長の実績の弱さ

2025 年の有機成長は 0.0% で、売上は 2014 年から 11 年で 1 割増にとどまる。80/20 は利益率を上げる一方、売上の小さな顧客と製品を整理する面があり、有機成長 4% 超という目標を景気をならして満たせるかは未確認。2026 年の加速も、溶接機と電子機器という投資の波に乗った部分が大きい。

高い倍率の縮み

今の PER は約 26 倍で、過去 20 期の最小 10 倍・中央 21.6 倍に比べて最高圏にある。成長の実績が弱いまま倍率が中央値へ戻れば、利益が伸びても時価総額は伸びない。利益ベースの上限(27 倍)は成長 4.5%・RONIC 約 40% を前提にしており、成長が 3% に鈍ると上限は 20 倍台前半に下がる。

景気の山と製造業の循環

2026 年 9 月の ISM 製造業指数は 54.5 と景気の山に近い。過去のリーマン(2007-09 の下げ −52%)では営業利益率が 10.8% まで落ち、コロナ(2020)でも売上は 126 億ドルまで減った。設備投資と自動車の生産が同時に落ちると、自動車 OEM・溶接・建設製品が同時に減る。

価格と費用のずれ

樹脂・化学品など原油由来の原料が上がると、値上げが追いつくまで営業利益率が下がる。2026 年 4〜6 月は約 40bp の押し下げで、特殊製品は約 110bp 低下した。会社は下期に緩和すると見るが、原料価格の上昇が続けば有機成長が価格に偏って数量が落ちる。

借金と自社株買い

純負債は 2024 年末の約 71 億ドルから 2026 年 6 月の約 89 億ドルへ増え、自己資本は 29 億ドルに縮んだ。借金の借り換えで金利が 5.75% 前後になると、利払いが増える。株価が高い局面で自社株買い(2026 年 約 15 億ドル)を続けると、1 株の価値を壊す側に働く可能性がある。

自動車の電動化と顧客の値下げ要求

自動車 OEM(売上の約 2 割)は顧客の値下げ要求が強く、電動化でエンジン周りの部品が減る。ニフコ・A・レイモンドなどの競合と、中国の部品メーカーの追い上げに挟まれ、価格は物価を下回る前提を置いた。営業利益率は 21% と全事業で最も低い。

関税と貿易政策

ITW は北米を中心に地域ごとに生産する方針で、関税の直接の影響は限られるとされるが、鉄鋼・アルミの関税は原材料の価格を押し上げる。報復関税で欧州・アジアの売上が減ると、有機成長の押し上げが弱まる。価格と費用のずれの一因にもなる。

今後の分かれ目

有機成長が 3 四半期連続で 4% を超え、7 事業のうち 5 事業以上が伸びる
成長の実績の弱さという最大の弱点が解消へ向かい、楽観・やや楽観の確率を上げる。倍率は利益ベースの上限の内側(17〜20 倍)で、今の PER が正当化される度合いが上がる。
ISM 製造業指数が 50 を割り込み、自動車の生産が減る
自動車 OEM・溶接・建設製品が同時に減り、やや悲観・悲観の確率を厚くする。谷の PER は過去 20 期で 10〜16 倍。
営業利益率が 2027 年に 28% を超え、2030 年の目標 30% が見える
利益率の構造的な切り上げが確認され、10 年の営業利益率を 29〜30% 台に上げる。楽観側の確率を上げる。
樹脂・化学品の価格がさらに上がり、価格と費用のずれが 2027 年も続く
特殊製品・自動車 OEM・ポリマー・流体の利益率が下がり、中立の営業利益率を 27% 台前半に下げる。
純負債が 100 億ドルを超え、借り換えの金利が 6% に近づく
利払いが純利益を 1〜2% 押し下げ、自社株買いが縮む。やや悲観の確率を上げる。
自動車の電動化が加速し、1 台あたりの留め具・樹脂部品の数が減る
自動車 OEM の数量を 10 年で 1 割下げ、悲観の筋書き(シェア低下)の確率を厚くする。

見ておくもの

  • 有機成長(2026 年 4〜6 月は +4.5%、事業ごとの広がり)
  • 営業利益率(2026 年 26.5〜27.5%、2030 年の目標 約 30%)と増分利益率(40% 前後)
  • 溶接機と電子機器の受注が売上を上回って続くか
  • 価格と費用のずれ(樹脂・化学品の価格、特殊製品の利益率)
  • 純負債・自己資本と自社株買いの額
  • ISM 製造業指数と自動車の生産台数
  • 2026 年 10〜12 月期決算(通期見通しの再上げの有無)

倍率と資本コストの決め方

今の PER 約 26 倍(GAAP の 2025 年)や、予想 PER は見ずに、7 事業ごとに市場 × シェア × 価格(10 年 1.41 倍が基本。自動車 OEM と試験機は低く置いた)で売上と利益を積み、倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)(k 8.0%・g は上限の 4%・RONIC = k + 1/2 ×(ROIC から直した ROE − k))の上限に対して置いた。10 年の中立は上限 23.0 倍の 7.3 割の 16.8 倍(成長の実績が弱く、ROE は縮んだ自己資本で膨らむため 8 割以上には置かない)。k は保守・消耗品が厚く景気の振れが小さい分(cycle +0.25%)と、切り替えにくい製品の値段の守り(pricing −0.25%)が打ち消し合い、quality は 0。同じ領域の DOV・IEX・IR と同じ物差しで、上限の 7〜8 割に揃えた。今の時価総額に寄せる調整はしていない。結果として確率の加重平均は今より 1 割半ば下に出た。

資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0。景気の振れ(+0.25%)と値段の守りやすさ(−0.25%)が打ち消し合う。成長の実績の弱さ・自社株買いと借金・自動車と電子機器の値下げ圧力は k に足さず、悲観側の確率と筋書きで表した。存続を疑う要素はなく上乗せは 0。

同じ業種(資本財・サービス)の AI 分析

割安 ペンテアPNR プール機器の在庫調整と水事業の安定収益。買い足しと住宅の景気が振れる。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 14.2 倍)で置くと、本質価値は今の時価総額を 4 割強上回り、割安 本質価値との差 +38.6% · 10 年 割安(年 +10.3%) やや割安 ロッキード・マーチンLMT 受注残 2,300 億ドルと防空ミサイルの増産で利益が戻る防衛の王道銘柄。F-35 一本足の傷はあるが、利益ベースの倍率(10 年中立 20.3 倍)で測っても本質価値は今の時価総額を 3 割ほど上回る(割安) 本質価値との差 +23.1% · 10 年 やや割安(年 +8.8%) やや割安 コパートCPRT 堀の厚い事故車オークションの寡占で、余った現金 40 億ドルを戻り方 0.5 で足し、台数の弱さを織り込んでも、利益ベースの本質価値は今の値段を 3 割弱上回る 本質価値との差 +22.4% · 10 年 やや割安(年 +8.5%) やや割安 テクストロンTXT 時価総額 131 億ドルは GAAP の純利益の 14 倍。ジェット・MV-75・工業を抱える複合企業は、利益ベースの倍率(10 年中立 12.6 倍)で測ると本質価値が今の約 1.2 倍に出てやや割安 本質価値との差 +18.0% · 10 年 やや割安(年 +8.7%) やや割安 レノックス・インターナショナルLII 住宅は在庫調整の谷、商業用は 2 桁で伸びる空調。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 15.1 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し +21% でやや割安 本質価値との差 +14.2% · 10 年 やや割安(年 +8.7%) やや割安 オーチス・ワールドワイドOTIS 保守の継続収入が利益の大半を稼ぐ優良事業。中国の新設不況と KONE・TKE 統合の競争で悲観側を厚く置いても、総合は今の時価総額に対し +22% でやや割安 本質価値との差 +13.6% · 10 年 やや割安(年 +8.6%) やや割安 ウーバー・テクノロジーズUBER 実力の利益は見かけの半分。未成立の買収を外した単体で、自動運転で取り分が削られる負けを厚く見ると、利益ベースの倍率では今の値段をやや上回る(やや割安) 本質価値との差 +10.6% · 10 年 やや割安(年 +8.8%) やや割安 ノースロップ・グラマンNOC B-21 と Sentinel で米国の核抑止の 2 本柱を持つ防衛の主契約者。受注残は史上最高だが利益率は薄く、利益ベースの倍率では本質価値は今の時価総額をやや上回る(やや割安) 本質価値との差 +10.6% · 10 年 やや割安(年 +7.6%) 適正 ハネウェル エアロスペースHONA 民間機の装備品とアフターマーケット・防衛の 3 本柱で稼ぐが、分離で純負債 約 148 億ドルと自己資本のマイナスを背負い、2026 年の見通しを下げた直後の新会社 本質価値との差 +7.9% · 10 年 適正(年 +8.0%) 適正 ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスUAL 山の年でなくならした利益で測ると、国際線とプレミアムで稼ぐ航空会社の本質価値は今の値段を 1 割強上回る。ただし燃料・賃金・景気の悲観を厚く置いたただし燃料・賃金・景気の悲観を厚く置いた 本質価値との差 +7.7% · 10 年 適正(年 +9.0%) 適正 ユナイテッド・パーセル・サービスUPS アマゾンの荷物の削減を終え利益が戻り始めた宅配の最大手。利益ベースの倍率で測ると純利益 15 倍の今の値段はやや安いが、アマゾン自前網との競争を重く見て確率を悲観側に置いた 本質価値との差 +6.4% · 10 年 適正(年 +7.5%) 適正 キャリア・グローバルCARR 売却後の空調はデータセンターと更新需要で伸びる優良株。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 14.8 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し +9% で適正 本質価値との差 +5.1% · 10 年 適正(年 +7.4%) 適正 ローリンズROL 家庭と店舗に張りつく定期契約の害虫駆除は景気に強く、買収の支出を利益から引き、利益ベースの倍率(中立 23 倍)で測ると、本質価値は今の値段を 1 割弱上回る水準で適正 本質価値との差 +3.7% · 10 年 適正(年 +6.4%) 適正 ゼネラル・ダイナミクスGD ガルフストリームと潜水艦で稼ぐ防衛・ビジネスジェットの複合企業。受注残 1,365 億ドルで利益の見通しは堅く、利益ベースの倍率(資本コスト 7.75%、中立は上限の 9 割弱)で測ると今の値段は適正の範囲 本質価値との差 0.0% · 10 年 適正(年 +6.6%) 適正 ビルダーズ・ファースト・ソースBLDR 米国最大級の住宅建材の流通・加工。着工の谷と重い借金。利益ベースの正当化 PER の 9 割(中立 10 年 9.6 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し +3% で適正 本質価値との差 −1.9% · 10 年 適正(年 +8.6%) 適正 マスコ・コーポレーションMAS 改修需要に乗るブランド製品。ホームデポ頼みと住宅循環が重い。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 16.1 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -6% で適正 本質価値との差 −8.5% · 10 年 適正(年 +6.1%) 適正 ユニオン・パシフィックUNP 線路という最高級の堀を持ち、未成立の NSC 合併を除いた単独の姿で測ると、純利益の 24 倍の今の値段はほぼ適正 本質価値との差 −8.7% · 10 年 適正(年 +5.2%) 適正 ヴェラルトVLTO 定期収入が約 6 割の水質・製品識別の会社。利益ベースの正当化 PER(中立 19 倍)で測ると、今の値段(PER 26.9 倍)はやや高いが適正の範囲 本質価値との差 −9.0% · 10 年 適正(年 +5.6%) 適正 L3ハリス・テクノロジーズLHX 宇宙・通信・ミサイル推進の 3 本柱で受注残 420 億ドル。固体ロケットモーターの増産が利益を押し上げるが、利益ベースの倍率(10 年中立 15.4 倍)で測ると本質価値は今の時価総額を 1 割ほど下回る(やや割高) 本質価値との差 −9.8% · 10 年 適正(年 +5.3%) やや割高 GEエアロスペースGE 民間エンジン整備という最良の事業を持つが、PER 39 倍は 10 年後の利益ベースの PER(中立 21 倍)の 1.8 倍で、計算上はやや割高 本質価値との差 −11.3% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 スリーエムMMM PFAS の訴訟支払いを抱えつつ利益率は上向き。利益ベースの上限で測ると本質価値は今の値段に近く、適正 本質価値との差 −12.7% · 10 年 やや割高(年 +5.3%) やや割高 W・W・グレインジャーGWW 北米の産業用品流通で堀の深い優良企業。利益ベースの正当化 PER の 85 割(中立 10 年 20.5 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -12% でやや割高 本質価値との差 −13.4% · 10 年 やや割高(年 +5.0%) やや割高 デルタ航空DAL 山の年でなくならした利益で測ると、燃料高でも優良な航空会社の価値は今の値段とほぼ釣り合う。利益ベースの PER は 10 倍台で、循環と燃料の悲観を厚く置いた 本質価値との差 −14.1% · 10 年 やや割高(年 +6.2%) やや割高 スナップオンSNA 整備士へのバン販売の堀と厚い現金で利益率 22% を保つ。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 14.2 倍)で置くと、本質価値は今の時価総額を 1 割半ばほど下回り、やや割高 本質価値との差 −14.2% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 インガソール・ランドIR 圧縮機・真空・ポンプで世界の上位を争う質の高い産業機械。買収で伸びる分は買収の現金を引いて評価すると、利益ベースの上限で見ると今の値段は高く、やや割高 本質価値との差 −14.2% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 A.O.スミスAOS 北米最大の給湯器メーカー。中国の不振とヒートポンプ移行が重い。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 12.7 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -11% でやや割高 本質価値との差 −15.8% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 ハンティントン・インガルス・インダストリーズHII 米国で唯一の原子力空母の造船所で、潜水艦も手がける。受注残 573 億ドルで売上は読めるが利益率は 5% 台と薄く、利益ベースの PER(中立 12.7 倍)で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −15.9% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 パッカーPCAR 北米クラス 8 の循環と DAF の欧州で稼ぐ堅実な首位級。事業は優良だが、利益ベースの上限の内側(中立は 7.6 割)で測ると、今の値段は 2 割弱高く、やや割高 本質価値との差 −16.5% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 ジェイコブズ・ソリューションJ 政府サービスを分離した設計・工事管理会社。利益ベースの正当化 PER の 7 割(中立 10 年 11.9 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -12% でやや割高 本質価値との差 −17.1% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 トランスダイム・グループTDG 独占に近い航空機部品の補修収入で稼ぐ高収益の複利機械。ただし純負債は EBITDA の約 5.8 倍で、利益ベースの倍率(10 年中立 15.3 倍)で測ると本質価値は今の時価総額を 2 割弱下回る(やや割高) 本質価値との差 −17.6% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 ハベルHUBB 電力会社の送配電部材とデータセンター配線で稼ぐ高収益企業。利益ベースの正当化 PER の 8.5 割(中立 10 年 16.8 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -18% でやや割高 本質価値との差 −17.8% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 フォーティブFTV 分離後は計測・施設ソフト・滅菌の堅い会社。GAAP の PER 30 倍は高く、利益ベースの本質価値は今の値段を 1 割ほど下回り、総合はやや割高 本質価値との差 −19.2% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) やや割高 レイドス・ホールディングスLDOS 政府案件の受注残は厚いが、人月で売る IT 受託は AI エージェントの標的で、売上が縮む前提で見るとやや割高(-14%) 本質価値との差 −20.1% · 10 年 やや割高(年 +4.1%) やや割高 アメテックAME ニッチな計測・精密部品を買い足して束ねる質の高い会社。利益ベースの正当化 PER の 8.5 割(中立 10 年 17.5 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -24% でやや割高 本質価値との差 −20.6% · 10 年 やや割高(年 +4.0%) やや割高 スタンレー・ブラック&デッカーSWK 工具の回復は費用削減の実現と関税の転嫁で決まる。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 9.8 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -15% でやや割高 本質価値との差 −20.9% · 10 年 やや割高(年 +4.9%) やや割高 カミンズCMI 発電は受注が 2028 年下期まで埋まり利益は拡大中だが、北米トラックの循環が深く、利益ベースの本質価値は今の時価総額を 2 割強下回るやや割高 本質価値との差 −22.3% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 ウェイスト・マネジメントWM 堀は厚く価格の力も強い。資本コスト 7.5% で利益ベースの正当化 PER(中立 21 倍)を測ると、PER 34 倍の今の値段はやや割高の範囲 本質価値との差 −22.7% · 10 年 やや割高(年 +3.5%) やや割高 アレジオンALLE 商業施設の錠・出口装置で米国の上位を守る堅い事業。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 13.5 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -13% でやや割高 本質価値との差 −23.3% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 ザイレムXYL 水の設備・計測・サービスで景気に強いが、のれん込みの資本効率は低い。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 12.4 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -20% でやや割高 本質価値との差 −23.5% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 ドーバーDOV 5 部門の買収型機械メーカー。液冷・バイオ医薬で伸びるが、GAAP の PER 25 倍は利益ベースの 10 年の中立の倍率(約 13 倍)の約 2 倍で、本質価値は今の値段を 3 割弱下回るやや割高 本質価値との差 −26.7% · 10 年 やや割高(年 +3.7%) やや割高 フェデックス・フレイトFDXF 分離で借金を負った LTL 首位級の事業は堀も回復余地もあるが、薄い利益率の回復をすでに値段が先に見込んでおり、利益ベースの倍率(10 年中立 12.0 倍)で測るとやや割高 本質価値との差 −27.4% · 10 年 やや割高(年 +4.1%) やや割高 RTXコーポレーションRTX 民間機と防衛の両輪で受注残 2,890 億ドルを積む優良企業。GAAP の PER 39 倍に対し、利益ベースの倍率(10 年後の中立 14.7 倍)で測ると本質価値は今の時価総額を 3 割弱下回る(やや割高) 本質価値との差 −28.1% · 10 年 やや割高(年 +3.4%) やや割高 ノーフォーク・サザンNSC 東部の線路は代えのきかない優良な資産だが、今の値段にはユニオン・パシフィックとの合併の上乗せが入っており、NSC 単体の利益ベースの価値は 2 割台半ば下で、やや割高 本質価値との差 −28.4% · 10 年 やや割高(年 +2.8%) やや割高 CSXCSX 線路の堀と利益率の回復は本物だが、回復後の利益に今の値段が先に届いており、利益ベースの倍率(moat 強・10 年中立 19.5 倍)で測ると、やや割高 本質価値との差 −28.7% · 10 年 やや割高(年 +2.8%) やや割高 エマソン・エレクトリックEMR プロセス産業の制御・計測の堀は深いが、事業の入れ替えの途中。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 14.6 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -30% でやや割高 本質価値との差 −29.1% · 10 年 やや割高(年 +3.1%) やや割高 ハネウェル・インターナショナルHON エアロスペース分離後のビル・プロセス・産業オートメーション専業。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 13.4 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -26% でやや割高 本質価値との差 −29.2% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) 割高 ジェネラック・ホールディングスGNRC 停電頼みの住宅用発電機から、データセンター向けの大型発電機へ変わる途中。利益ベースの正当化 PER の 7.2 割(中立 10 年 10.2 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -32% で割高 本質価値との差 −30.4% · 10 年 割高(年 +3.8%) 割高 フェデックスFDX 分離後のフェデックスは、売上 825 億ドルで営業利益率 5〜6% の薄利の宅配会社。分離前の台帳の PER 15.8 倍は見かけで、継続事業では 20 倍超。費用削減は本物だが、利益ベースの倍率(10 年中立 11.1 倍)で測ると割高 本質価値との差 −32.6% · 10 年 割高(年 +2.9%) 割高 トレイン・テクノロジーズTT 受注残 121 億ドルの AI 冷却ブームで利益は拡大中だが、PER 35 倍は 10 年後の利益ベースの PER(中立 16.4 倍)の 2 倍で、総合は今の時価総額に対し -33% で割高 本質価値との差 −34.5% · 10 年 割高(年 +2.5%) 割高 シンタスCTAS 堀は厚く伸びも安定だが、利益ベースの正当化 PER(成熟後の中立 22 倍)で測ると、PER 40 倍台の今の値段は割高 本質価値との差 −35.2% · 10 年 割高(年 +2.0%) 割高 サウスウエスト・エアラインLUV 手荷物有料化・指定席・プレミアム席の上積みが計画の 6〜7 割で定着する前提でも、利益ベースで測ると価値は今の値段を下回る。会社計画の実現度で大きく分かれる。会社計画の実現度で大きく分かれる 本質価値との差 −35.6% · 10 年 割高(年 +3.3%) 割高 リパブリック・サービシズRSG 廃棄物の寡占と価格の力は強いが、利益ベースの正当化 PER(中立 19 倍)で測ると今の値段は割高。数量の弱さと環境ソリューションの不振が懸念 本質価値との差 −36.5% · 10 年 割高(年 +1.7%) 割高 アイデックスIEX 受注は過去最高でも、GAAP の PER 37 倍は利益ベースの 10 年の中立(約 14 倍)の 2 倍半ほどで、本質価値は今の値段の 6 割強で割高 本質価値との差 −36.9% · 10 年 割高(年 +1.9%) 割高 パーカー・ハネフィンPH 航空が 3 割超・産業が 7 割の高収益な動き・流れの制御部品大手。堀は厚いが PER 34 倍は利益ベースの上限(18 倍)の 2 倍近く、割高 本質価値との差 −37.1% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 ノードソンNDSN 接着剤・医療部品・電子検査のニッチ首位で稼ぐ高収益企業だが、AI 向けの急回復を織り込んだ PER 38 倍は利益ベースの上限(約 19 倍)の 2 倍で、割高 本質価値との差 −37.4% · 10 年 割高(年 +1.8%) 割高 ジョンソンコントロールズJCI データセンター冷却が伸びるビル設備の優良会社。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 13.4 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -41% で割高 本質価値との差 −41.1% · 10 年 割高(年 +1.7%) 割高 エムコア・グループEME 設備工事の大手。受注残 171 億ドルは山の利益。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 10.9 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -43% で割高 本質価値との差 −41.4% · 10 年 割高(年 +1.9%) 割高 キャタピラーCAT 受注残 720 億ドルの AI 電源ブームで利益は急拡大中だが、PER 39 倍は利益ベースの 10 年の中立の倍率(約 14 倍)の約 3 倍で割高 本質価値との差 −42.6% · 10 年 割高(年 +1.2%) 割高 GEベルノバGEV ガスタービン受注残と電化で利益が伸びるが、山の利益に高い倍率を掛けない。利益ベースの正当化 PER の 7 割(中立 10 年 14.8 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -49% で割高 本質価値との差 −42.7% · 10 年 割高(年 +1.0%) 割高 オールド・ドミニオン・フレイト・ラインODFL 拠点網の密度と運賃の規律という堀は本物だが、谷の利益の上にすでに回復後の値段が乗っており、式で測ると割高 本質価値との差 −43.3% · 10 年 割高(年 +0.8%) 割高 イートンETN 北米の配電設備は寡占と受注で質が高いが、投資の山と債務を抱える。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 13.5 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -48% で割高 本質価値との差 −45.1% · 10 年 割高(年 +0.8%) 割高 ファスナルFAST 大口契約とオンサイトでシェアを取る産業用品流通。利益ベースの正当化 PER の 85 割(中立 10 年 18.2 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -45% で割高 本質価値との差 −46.3% · 10 年 割高(年 +0.2%) 割高 ユナイテッド・レンタルズURI 建機レンタル最大手で専門機材が 2 桁成長するが、借金で膨らむ ROE と建設の循環を利益ベースの PER(中立 12.0 倍)と悲観の確率で見ると、総合は今の時価総額に対し -41% で割高 本質価値との差 −46.4% · 10 年 割高(年 +1.1%) 割高 ロックウェル オートメーションROK 北米の制御装置 Logix とクラウドの Plex という堀はあるが、景気の振れが大きい。利益ベースの正当化 PER の 7.5 割(中立 10 年 13.3 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -47% で割高 本質価値との差 −47.1% · 10 年 割高(年 +0.5%) 割高 シー・エッチ・ロビンソン・ワールドワイドCHRW 北米最大のトラック仲介で、AI による人員減が利益に残るかが核心。資本コスト 9.25% の利益ベースの倍率(moat 弱・10 年中立 12.5 倍)で測ると割高で、安全域はない 本質価値との差 −47.2% · 10 年 割高(年 +0.6%) 割高 ボーイングBA 受注残 7,150 億ドルの民間機の複占の一角だが、営業赤字・純負債 260 億ドル・固定価格契約の損失を抱え、時価総額 1,500 億ドルは利益ベースの倍率では回復が完成しても届かず割高 本質価値との差 −47.8% · 10 年 割高(年 +1.7%) 割高 ハウメット・エアロスペースHWM ガスタービンと航空エンジンの翼・部品で世界首位級の寡占。利益は急伸し堀も本物だが、時価総額約 880 億ドルは 2026 年の純利益の約 42 倍で、10 年後の利益ベースの PER(中立 15.4 倍)の 2.7 倍。大きく割高大きく割高 本質価値との差 −48.1% · 10 年 割高(年 +0.4%) 割高 エクスペディターズ・インターナショナル・オブ・ワシントンEXPD 資産を持たないフォワーダーの資本効率は優良だが、2026 年の運賃高騰の利益を先に払っている。ならした利益と利益ベースの倍率(moat 弱・10 年中立 13 倍)で測ると割高 本質価値との差 −48.8% · 10 年 割高(年 +0.2%) 割高 JBハント・トランスポート・サービシズJBHT インターモーダルの回復と値上げ余地は本物だが、ならした利益に今の値段が先に届いており、貨物の山と鉄道再編の両方に弱く、利益ベースの倍率(10 年中立 12.5 倍)で測ると割高 本質価値との差 −50.4% · 10 年 割高(年 −0.1%) 割高 ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズBR 議決権の配布という本物の堀は認めるが、取引後処理は AI の標的で、利益の倍率を下げて見ると割高(-50%) 本質価値との差 −52.9% · 10 年 割高(年 −1.3%) 割高 ワブテックWAB 受注残 309 億ドルと機関車の更新で伸びる、のれん込みの重い資本。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 12.4 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -55% で割高 本質価値との差 −53.4% · 10 年 割高(年 −0.9%) 割高 アクソン・エンタープライズAXON 時価総額 317 億ドルは GAAP の純利益(株式報酬を費用にした値)の 260 倍超。警察の束ね売りで 10 年伸びても、利益ベースの倍率では中立の 10 年後が今の値段に届かず割高 本質価値との差 −56.1% · 10 年 割高(年 −0.5%) 割高 ディア・アンド・カンパニーDE 2026 年が農機サイクルの底(純利益 約 49 億ドル)で、PER 35 倍は利益ベースの 10 年の中立の倍率(約 12 倍)の 3 倍近くで、計算上は割高 本質価値との差 −56.4% · 10 年 割高(年 −1.4%) 割高 オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)ADP 給与処理の堀は本物だが、1 人あたり課金は AI エージェントに揺さぶられ、利益の倍率を下げて見ると割高(-54%) 本質価値との差 −56.6% · 10 年 割高(年 −2.1%) 割高 ペイチェックスPAYX 小企業向けの給与は 1 人あたり課金の席型で、AI エージェントと新興勢力が削る前提で見ると割高(-54%) 本質価値との差 −56.9% · 10 年 割高(年 −2.0%) 割高 バーティブ・ホールディングスVRT 電力と冷却を握る優良企業だが、AI 投資一本足の需要。利益ベースの正当化 PER の 7 割(中立 10 年 9.8 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -60% で割高 本質価値との差 −57.6% · 10 年 割高(年 −0.8%) 割高 ベリスク・アナリティックスVRSK 損保の標準データという本物の堀は認めるが、請求分析は AI 見積りで単価が下がり、利益の倍率を抑えると割高(-58%) 本質価値との差 −60.5% · 10 年 割高(年 −3.3%) 割高 コンフォート・システムズUSAFIX データセンター向けの機械・電気工事は利益率 17% の山にいる。利益ベースの正当化 PER の 8 割(中立 10 年 10.5 倍)で置くと、総合は今の時価総額に対し -62% で割高 本質価値との差 −61.3% · 10 年 割高(年 −2.2%) 割高 クアンタ・サービシーズPWR 受注残 534 億ドルで今年の利益は急増するが、現在の PER 約 54 倍は 10 年後の利益ベースの PER(中立 12.0 倍)の 4 倍を超え、総合は今の時価総額に対し -66% で割高 本質価値との差 −61.5% · 10 年 割高(年 −1.9%) 割高 エクイファックスEFX 独自データと寡占の堀は認めるが、本人同意の直接取得という代替が数量を削り、利益の倍率を抑えると割高(-62%) 本質価値との差 −67.6% · 10 年 割高(年 −4.2%)

ほかの業種も見る(AI 銘柄分析の一覧)→

読んだ資料

  1. ITW 2026 年 4〜6 月期決算(8-K・プレスリリース)
  2. ITW 2025 年通期決算(8-K・セグメント)
  3. ITW 2026 年 4〜6 月期決算説明会の要約(vectorshift)
  4. ITW 企業戦略(80/20・次の局面)
  5. ITW 投資家向け:2030 年の目標
  6. ITW 2023 年 Investor Day
  7. ITW の CEO 交代の発表(オハーリヒー)
  8. ITW 時価総額(Bullfincher)

分析日 2026-10-16