結論
バーティブ・ホールディングス(Vertiv)は、データセンターの電力設備(無停電電源・開閉装置・配電)と熱管理(チラー・空調・液冷)を一社で出す世界的な供給者で、2025 年は売上 102 億ドル、GAAP の営業利益率 18.6%、純利益 13 億ドル。AI 向けのデータセンター建設が需要を押し上げ、2025 年末の受注残は 150 億ドル(前年の 2 倍)、2026 年は有機成長 +30〜32%・売上 138〜142 億ドルのガイダンスに上がっている。
事業の質は、電力と冷却が止まれば計算機が止まるという重要性、設置後の保守・部品の収益、納期の長い大型設備で価格を通せている点に出る。一方で、需要の大半は少数のハイパースケーラーの設備投資に連動する一本足で、2019〜2022 年は営業利益率が 4〜8% にとどまった事業でもある。今の 18.6%(2026 年は調整後 23〜24%)は需要の逼迫が作った水準である。
バリュー投資の観点では、5 つの筋書きを数量(取り込める市場 × シェア)× 価格で積み、資本コスト 9.5%(基本 8.0% + quality +1.5%)で割り引くと、時価総額 約 800 億ドル(2026 年 10 月 16 日)は 10 年後の本質価値の推計(324 億ドル)を上回る。2035 年の純利益は中立で 62 億ドル前後。確率は悲観側をやや厚く置いた。受注残の確かさは評価するが、需要が一本足で、倍率が成熟後の水準に戻る分の安全域がない。
倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)(k 9.5%・g 4.0%・事業の ROE 26%・moat=普通)の上限 14.1 倍の 7 割(9.8 倍)に置いた(電力・冷却の質は高いが、需要が AI のデータセンター投資一本足で、投資循環の山に高い PER を掛けない。上限の 7 割にとどめた)。総合は今の時価総額に対し -60% で「割高」。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。データセンターは 10 年後も存在し、電力と冷却は止められない設備なので、事業そのものは続くと確信できる。ただし「今より強いか」には確信が持てない。今の高い利益率と受注は AI 設備投資という一つの需要に乗っており、投資が鈍れば 2019〜2022 年のように営業利益率が 4〜8% へ戻りうる。堀は信頼性・幅・納期にあるが、電力は標準品化しやすく、競合は資本力の大きい巨人である。
株主のものになる利益は、2026 年の GAAP 純利益 約 23 億ドルに対し、調整後 FCF が 24〜26 億ドル。前受金(繰延収益が 18→36 億ドル)が運転資金を肩代わりしているため、成長が止まれば FCF は純利益を下回りうる。伸びに要る投資の元手は軽く、ROE は 30% 台と高い。
経営は資本配分で買収を急ぎ、短い期間に 6 件を重ねている。成長のためなら合理的だが、統合の失敗や高値の買収で価値を壊す恐れがある。安全域の面では、時価総額約 800 億ドルは 2026 年の GAAP 純利益の約 35 倍で、式どおりの成熟後の倍率(約 14 倍)より高い。需要が数年続く前提を置いてようやく届く値段で、わからない部分(AI 投資の持続性)が大きい事業に払う値段としては安全域がない。事業の質は認めるが、確信度を下げて評価する。
何で稼ぐ会社か
売上の中身は、会社が地域別(米州・アジア太平洋・EMEA)でしか開示しないため、製品別に推定した。
【電力設備】無停電電源(UPS)・開閉装置・バスウェイ・配電盤・直流電源。推定で売上 42 億ドル(約 4 割)、営業利益率 20% 前後。データセンターの電気の入り口から各ラックまでを担い、ラックあたりの電力密度が上がるほど 1 現場あたりの金額が増える。【熱管理】チラー・室内空調・液冷の冷却液分配装置(CDU)。推定で 30 億ドル、営業利益率 18% 前後。AI サーバーは発熱が大きく、空冷から液冷へ移るのが追い風だが、液冷は競合も買収で参入している。
【統合ラック・プレハブ】電力と冷却を工場で組み立てて現場へ運ぶモジュール。推定 8 億ドル、利益率は薄い。建設期間の短縮のため大規模案件で採用が増え、2025〜2026 年に ThermoKey(熱交換器)・BMarko(構造物の製造)・Strategic Thermal Labs(液冷)・PurgeRite(液冷配管の洗浄・立ち上げ)などの買収で厚みを足した。【サービス・部品】保守契約・予備部品・遠隔監視。推定 22 億ドル、利益率 28% 前後で最も高い。設置台数が増えるほど積み上がる。
収益の構造は、大型設備(受注から 12〜18 か月で納入。10-K)の新設案件が売上の大半を占め、その後ろにサービスの積み上がりが続く形。地域では米州が 2026 年 4〜6 月期の売上の約 63%(有機 +21%・調整後営業利益率 27.6%)、アジア太平洋が 22%(有機 +26%・13.3%)、EMEA が 15%(有機 −2.4%・25.7%)。顧客はハイパースケーラー・コロケーション事業者・企業のデータセンターで、前受金(繰延収益)が 2026 年 6 月末に 36 億ドル(前年末 18 億ドル)と大型案件の前払いが積み上がっている。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 に、止まれない設備の信頼性。データセンターは 1 分の停止が数百万ドルの損失になるため、電源と冷却は価格より実績で選ばれる。設置済みの機器の保守・部品が同じ会社に出やすく、サービスの利益率 28% 前後が土台になる。第 2 に、電力と熱を一社で出す幅。ハイパースケーラーは数百 MW の現場を短い期間で建てたいので、設計・納入・立ち上げを一括で引き受けるバーティブの「ワンストップ」とプレハブが効く。第 3 に、製造能力と納期。大型の電気設備の納期は長く(変圧器は約 128 週)、すでに能力を確保した会社に注文が集まる。
資本効率は直近で高い。ROE は 2025 年に 33.8%、ROIC は約 29%、設備投資は売上の 4% 前後、調整後の FCF 転換率は 95〜100% を目標にする。ただし 2019 年に自己資本が約マイナスで、2021〜2022 年の ROE は 5〜8% だった。需要の逼迫と価格の通りがこの水準を作っており、構造的な堀の証明にはまだ早い。
弱い所は 3 つ。第 1 に、データセンターの一本足と顧客の集中。第 2 に、競合(シュナイダーエレクトリック・イートン・ABB・シーメンス・ファーウェイ・デルタ電子)の資本力が大きく、電力では標準品化が進みやすい。第 3 に、買収を急ぐこと(直近 12 か月に 6 件)で統合の失敗と条件付対価の公正価値の変動(2026 年 4〜6 月期に 0.29 億ドルの費用)が出る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
データセンター向け電力・冷却は、AI の学習・推論のための計算機の増設で、世界が数十年ぶりの投資局面にある。会社は取り込める市場を 750 億ドル(従来の定義では 620 億ドル)と置き、そのうちデータセンター分を約 500 億ドル、年 18〜20% で伸びると見る。データセンターの電力容量の増設は年 20 GW から 5 年後に 35 GW へという想定で、業界ノートでも米国のデータセンター向け電気設備の支出は 2025 年の約 200 億ドルから 2030 年に 650 億ドルへの予測がある。
循環のどこにいるかは、山に近い。ハイパースケーラーの設備投資は 2024 年から急増し、受注残は 2025 年末に 150 億ドルと前年の 2 倍、第 4 四半期の受注は有機 +252%、book-to-bill は約 2.9 だった。株価は 2026 年 9 月の高値から 10 月に入って約 2 割下げ、市場はすでに投資の持続性を疑い始めている。需要の先行きは、サーバーの電力効率の改善、液冷・800 V 直流(エヌビディア(NVIDIA)が打ち出す次世代の電力構造)への移行、電力網の接続待ちや許認可の制約で決まる。
競合は、電力ではシュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)・イートン(Eaton)・ABB・シーメンス・ファーウェイ・デルタ電子、冷却ではシュナイダー(2025 年に液冷のモティヴェアを買収)・イートン(ボイド・サーマルを買収)・ジョンソンコントロールズ。電力設備は GE ベルノバ・イートンが示すように納期が長く価格が通る局面にあるが、能力増強が出そろえば価格は物価並みに戻る。熱では液冷の市場が小さく競争が速い。
資本政策と M&A
バーティブは 2020 年に特別目的買収会社(SPAC)で上場した。配当は年約 1 億ドル(四半期 0.24 億ドル)と小さく、自社株買いは 2024 年に 6 億ドルを行ったのみで、近年は設備投資と買収に回している。2026 年 5 月の Investor Day では、2030 年までの有機成長 年 20〜22%・調整後営業利益率 27% 超・調整後 FCF 転換 95〜100%・設備投資 売上の 3〜4%・レバレッジ 1〜2 倍を掲げ、配当・自社株買いの後に使える資本を約 240 億ドルと見ている。
資本配分は拡大と買収の色が濃い。直近 12 か月に 6 件の買収(ThermoKey・BMarko・Strategic Thermal Labs・PurgeRite など)。2026 年上半期に 21 億ドルの社債を出し、期限が来たタームローンを返済、6 月末は純現金に転じている(現金 約 31 億ドル、長期債務 約 29 億ドル)。レバレッジ 1〜2 倍の目標は、使える資本を将来の買収か自社株買いに回すことを意味するが、高い株価での自社株買いは残る株主の価値を薄める。
株式報酬は売上の約 1.3%(推定)で、株数は年 約 1% 増える。正味の還元は配当から株式報酬で増えた株の分を引くとほぼゼロ。買収の失敗や高値での買収がなければ、資本は事業の伸びに使われ、会社全体の価値に反映される。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
受注残は 2025 年末に 150 億ドルと前年の 2 倍、2026 年 4〜6 月期の売上は +24%(有機 +17.8%)で調整後営業利益率は 22.6%(+410 bp)、通期の有機成長を +30〜32% に引き上げ、調整後 FCF も 24〜26 億ドルへ上方修正した。繰延収益は 18→36 億ドルと倍になり、大型案件の前払いが 2027 年までの売上を支える。データセンターの電力容量の増設は年 20 GW から 35 GW へ増え、液冷・800 V 直流・プレハブの採用で 1 ラックあたりの金額が増える。
バーティブは電力と熱を一社で出せる数少ない会社で、ハイパースケーラーが最も重視する建設期間の短縮に強い。Investor Day では 2030 年まで有機 年 20〜22%・調整後営業利益率 27% 超を掲げ、会社の想定する取り込める市場は 750 億ドル、うちデータセンター分は年 18〜20% で伸びる。サービスは設置台数の増加に遅れて伸び、利益率を引き上げる。レバレッジを 1〜2 倍まで使える資本が約 240 億ドルあり、買収と自社株買いで価値を上積みできる。これが強気の見方で、楽観とやや楽観の筋書きの下敷きである。
慎重な見方
今の需要は AI 設備投資という一つの循環に乗っており、少数のハイパースケーラーの方針で数量が急に動く。株価は 2026 年 9 月の高値から 10 月の 2 週間で約 2 割下げており、市場は投資の持続性を疑い始めている。バーティブは 2019〜2022 年に営業利益率が 4〜8% で、今の 18.6%(2026 年の調整後 23〜24%)は需要の逼迫が作った水準。標準品化が進めば、シュナイダーエレクトリック・イートン・ABB・中国勢との値引きで元に戻りうる。
時価総額 約 800 億ドルは 2026 年の GAAP 純利益の約 35 倍で、式どおりの成熟後の倍率(約 21〜24 倍)を大きく超える。成長が 2030 年前後に終わるだけで、利益が計画どおり伸びても倍率が縮んで株価は横ばいか下がる。会社の調整後の数字は株式報酬と買収の償却を足し戻しており、GAAP で見ると安くない。前受金は成長が止まれば逆回転して FCF を圧迫する。買収を 12 か月に 6 件も重ねており、統合の失敗と減損の恐れがある。サーバーの電力効率の改善で必要な電力容量の想定が下がれば、10 年の数量の見通しが崩れる。これが慎重な見方である。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は受注残・繰延収益・ガイダンスの確かさで 2027 年までの利益の伸びを支える。しかし慎重な見方が突く 3 点(需要が一つの循環に乗っていること・標準品化で価格決定力が弱まること・倍率が成熟後に戻ること)は、10 年の価値を決める。AI 投資の持続性と競合の標準化が効く 10 年は、悲観側を厚くした。確率は 楽観 8%・やや楽観 20%・中立 32%・やや悲観 25%・悲観 15%。倍率は利益ベースの正当化 PER の内側(中立は上限の 7 割)に置き、総合は今の時価総額に対し -60% で「割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 137.66 ドル538 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 43.04 ドル168 億ドル)。 今の値に割り戻すと 82.89 ドル324 億ドル、今との差 −57.6%、 期待の年率 −0.8%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 305.23 ドル1,192 億ドル | 62.97 ドル246 億ドル | +88.3% | +6.5% | 29.46 ドル115 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 219.50 ドル858 億ドル | 54.91 ドル215 億ドル | +40.3% | +3.4% | 54.88 ドル214 億ドル |
| 中立 | 32% | 154.95 ドル605 億ドル | 48.07 ドル188 億ドル | +3.8% | +0.4% | 64.97 ドル254 億ドル |
| やや悲観 | 25% | 67.17 ドル262 億ドル | 31.95 ドル125 億ドル | −49.3% | −6.6% | 24.78 ドル97 億ドル |
| 悲観 | 15% | 19.79 ドル77 億ドル | 24.32 ドル95 億ドル | −77.4% | −13.8% | 6.62 ドル26 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 137.66 ドル538 億ドル | 43.04 ドル168 億ドル | −7.6% | −0.8% | 180.70 ドル706 億ドル |
今の株価時価総額 195.59 ドル764 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:AI とデータセンターの電力投資が 10 年続き、液冷と直流電源で堀が広がる 利益 100 億ドル · PER 11.9 倍 · 株価時価総額 305.23 ドル1,192 億ドル
データセンターの電力容量の増設が年 35 GW 近くで続き、液冷・800 V 直流・プレハブの需要が長く続く姿。価格は物価並み(1.41 倍)、サービスは設置台数の増加で積み上がる。
2035 年 12 月期、取り込める市場は 2025 年比で実質 電力 2.7 倍・熱 3.2 倍まで伸び(年率 約 10〜12%)、シェアは電力 23%・熱 20% を保つ。電力 188 億ドル、熱 180 億ドル、統合ラック 40 億ドル、サービス 77 億ドル、売上 486 億ドル(2025 年の約 4.8 倍、2026 年から年 14.8%)。GAAP の営業利益率 25.8%(調整後 約 28%、会社の 2030 年目標 27% 超をわずかに上回る)、純利益 100.2 億ドル。サービスの比率が上がり利益率を支える。倍率は PER 11.9 倍(正当化 PER の上限 14.4 倍の 8.3 割。内訳は multiple.why)。
- 電力設備(UPS・開閉装置・バスウェイ・配電):数量 581(データセンター向け電力設備の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 32.4%(シェア × 物価指数)→ 売上 188 億ドル・営業利益 53 億ドル。市場・シェア・価格
- 熱管理(チラー・空調・液冷の CDU):数量 640(データセンター向け冷却設備の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 28.2%(シェア × 物価指数)→ 売上 181 億ドル・営業利益 45 億ドル。市場・シェア・価格
- 統合ラック・プレハブ(工場組立のモジュール):数量 168(データセンター向けプレハブ・統合ラック市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 24.0%(シェア × 物価指数)→ 売上 40 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場・シェア・価格
- サービス・部品(保守・予備部品・遠隔監視):数量 305(データセンター設備の保守・部品の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 25.4%(シェア × 物価指数)→ 売上 77 億ドル・営業利益 25 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.50%)・g 4.0%(上限の内側。データセンター向け電気設備の実質の伸びは 10 年先には 2〜3% に落ちる + 価格 3.5% から、4% を超えない)・事業の ROE 29%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 100.2 ÷ 自己資本 349.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 19.1%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 14.4 倍(上限 = 純利益 100.2 億ドル × これ = 1440 億ドル)。これの 0.8 割(11.9 倍)に置いた。楽観:利益の質が最も良く出る筋書きなので上限に最も近く置いた。
確率:データセンターの電力容量の増設が 10 年続き、競合に価格で負けず、AI の電力効率向上も需要を減らさない必要がある。構造変化が全部味方する筋書きで 1 割弱とした。
やや楽観 20% やや楽観:2030 年までは高成長が続き、その後は成熟へ移る 利益 78 億ドル · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 219.50 ドル858 億ドル
会社の 2030 年の目標(有機 年 20〜22%)に近い 5 年を経て、2030 年代は市場の成長が年 6〜8% に落ち着く。電力・熱ともにシェアは保つが、競合の値引きで価格は物価並みにとどまる。サービスが設置台数の増加で厚くなる。
2035 年 12 月期、取り込める市場は実質で電力 2.4 倍・熱 2.8 倍、シェアは電力 22%・熱 18%(2025 年から +2.5 ポイント・+3 ポイント)。電力 160 億ドル、熱 142 億ドル、統合ラック 33 億ドル、サービス 66 億ドル、売上 401 億ドル(2025 年の約 3.9 倍)。GAAP の営業利益率 24.3%(調整後 約 27%)、純利益 78.1 億ドル。倍率は PER 11.0 倍(正当化 PER の上限 14.2 倍の 7.7 割。内訳は multiple.why)。
- 電力設備(UPS・開閉装置・バスウェイ・配電):数量 516(データセンター向け電力設備の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 31.0%(シェア × 物価指数)→ 売上 160 億ドル・営業利益 42 億ドル。市場・シェア・価格
- 熱管理(チラー・空調・液冷の CDU):数量 560(データセンター向け冷却設備の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 25.4%(シェア × 物価指数)→ 売上 142 億ドル・営業利益 33 億ドル。市場・シェア・価格
- 統合ラック・プレハブ(工場組立のモジュール):数量 150(データセンター向けプレハブ・統合ラック市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 21.9%(シェア × 物価指数)→ 売上 33 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場・シェア・価格
- サービス・部品(保守・予備部品・遠隔監視):数量 283(データセンター設備の保守・部品の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 23.3%(シェア × 物価指数)→ 売上 66 億ドル・営業利益 20 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.50%)・g 4.0%(上限の内側。データセンター向け電気設備の実質の伸びは 10 年先には 2〜3% に落ちる + 価格 3.5% から、4% を超えない)・事業の ROE 27%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 78.1 ÷ 自己資本 285.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 18.5%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 14.2 倍(上限 = 純利益 78.1 億ドル × これ = 1112 億ドル)。これの 0.8 割(11.0 倍)に置いた。やや楽観:楽観より伸びと利益率が控えめなので一段下。
確率:2030 年までの高成長が実現し、その後も市場が年 6〜8% で伸びる展開。強気の見方に近いが、競合の買収攻勢で価格が物価以上には上がらないと見た。
中立 32% 中立:高成長は 2030 年前後に終わり、電力・熱の寡占の一角として成熟する 利益 62 億ドル · PER 9.8 倍 · 株価時価総額 154.95 ドル605 億ドル
業界ノートの中立(米データセンター向け電気設備は 2036 年に約 600〜650 億ドル、数量 年 +6.5%・価格 年 +2%)に、バーティブのシェアの小幅な上昇を足した姿。2030 年までは会社の目標(20〜22%)に届かず年 +13〜16%、その後は年 6〜8% に落ちる。堀は保たれるが、シュナイダーエレクトリック・イートン・ABB が同じ領域に買収を重ね、価格決定力は電力で物価並み、熱で少し弱い。
2035 年 12 月期、取り込める市場は実質で電力 2.1 倍・熱 2.4 倍・統合ラック 2.1 倍・サービス 1.8 倍、シェアは電力 21%・熱 17%・統合ラック 14%・サービス 15.5%。価格は物価並みの 1.41 倍。電力 134 億ドル、熱 115 億ドル、統合ラック 25 億ドル、サービス 57 億ドル、売上は 331 億ドル(2025 年の約 3.2 倍、2026 年から年 10.0%)。GAAP の営業利益率 23.1%(調整後 約 25.5%。会社の目標 27% を競合の値引きで割り引いた)、純利益 61.7 億ドル。倍率は PER 9.8 倍(正当化 PER の上限 14.1 倍の 7 割。内訳は multiple.why)。
- 電力設備(UPS・開閉装置・バスウェイ・配電):数量 452(データセンター向け電力設備の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 29.6%(シェア × 物価指数)→ 売上 134 億ドル・営業利益 34 億ドル。市場・シェア・価格
- 熱管理(チラー・空調・液冷の CDU):数量 480(データセンター向け冷却設備の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 24.0%(シェア × 物価指数)→ 売上 115 億ドル・営業利益 25 億ドル。市場・シェア・価格
- 統合ラック・プレハブ(工場組立のモジュール):数量 126(データセンター向けプレハブ・統合ラック市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 19.7%(シェア × 物価指数)→ 売上 25 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場・シェア・価格
- サービス・部品(保守・予備部品・遠隔監視):数量 261(データセンター設備の保守・部品の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 21.9%(シェア × 物価指数)→ 売上 57 億ドル・営業利益 17 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.50%)・g 4.0%(上限の内側。データセンター向け電気設備の実質の伸びは 10 年先には 2〜3% に落ちる + 価格 3.5% から、4% を超えない)・事業の ROE 26%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 61.7 ÷ 自己資本 238.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 17.7%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 14.1 倍(上限 = 純利益 61.7 億ドル × これ = 868 億ドル)。これの 0.7 割(9.8 倍)に置いた。中立:電力・冷却の質は高いが、需要が AI のデータセンター投資一本足で、投資循環の山に高い PER を掛けない。上限の 7 割にとどめた
確率:電力と熱の寡占は保たれるが、堀は広がらないと見て中心に厚く置いた。
やや悲観 25% やや悲観:AI の電力効率向上と競合の値引きで、成長が鈍り利益率が下がる 利益 36 億ドル · PER 7.3 倍 · 株価時価総額 67.17 ドル262 億ドル
チップの電力あたりの性能向上でデータセンターの電力容量の伸びが想定より小さくなり、シュナイダーエレクトリック・イートン・ABB・中国勢(ファーウェイなど)との競争で電力・熱の価格は物価に追いつかない。バーティブはシェアを 1〜2 ポイント失い、利益率は 2026 年のガイダンスから下がる。
2035 年 12 月期、取り込める市場は実質で電力 1.7 倍・熱 1.9 倍、シェアは電力 19%・熱 15%・統合ラック 12%・サービス 14%、価格は電力・熱で 1.30 倍(物価を下回る)。電力 90 億ドル、熱 74 億ドル、統合ラック 17 億ドル、サービス 44 億ドル、売上 226 億ドル(2025 年の約 2.2 倍)。GAAP の営業利益率 19.1%、純利益 35.8 億ドル。2035 年の伸びは市場の実質 +2.0%・シェア −0.8%・価格 +3.3% で約 4.5%。
- 電力設備(UPS・開閉装置・バスウェイ・配電):数量 366(データセンター向け電力設備の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 24.7%(シェア × 物価指数)→ 売上 90 億ドル・営業利益 19 億ドル。市場・シェア・価格
- 熱管理(チラー・空調・液冷の CDU):数量 380(データセンター向け冷却設備の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 19.5%(シェア × 物価指数)→ 売上 74 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場・シェア・価格
- 統合ラック・プレハブ(工場組立のモジュール):数量 102(データセンター向けプレハブ・統合ラック市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 16.9%(シェア × 物価指数)→ 売上 17 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場・シェア・価格
- サービス・部品(保守・予備部品・遠隔監視):数量 225(データセンター設備の保守・部品の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 19.7%(シェア × 物価指数)→ 売上 44 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.50%)・g 4.0%(上限の内側。データセンター向け電気設備の実質の伸びは 10 年先には 2〜3% に落ちる + 価格 3.5% から、4% を超えない)・事業の ROE 22%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 35.8 ÷ 自己資本 165.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 15.6%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 13.5 倍(上限 = 純利益 35.8 億ドル × これ = 484 億ドル)。これの 0.5 割(7.3 倍)に置いた。やや悲観:伸びが落ち堀が削れた会社として中立より下。
確率:電力効率の向上と値引き競争で成長が鈍る展開。電気設備の領域では過去に価格競争が繰り返され、バーティブは 2019〜2022 年に営業利益率が 4〜8% だった(今の 18.6% は需要の逼迫が作った水準)。起きても不思議でないので 4 分の 1 とした。
悲観 15% 悲観:AI 電力需要の過大な見積もりと競合で堀が薄まり、優良企業ではなくなる 利益 14 億ドル · PER 5.5 倍 · 株価時価総額 19.79 ドル77 億ドル
AI データセンターへの投資が数年の山のあとで大きく縮み、新設の電力・冷却の需要が構造的に小さくなる。標準化された電源・冷却を中国勢と欧州の大手が安く出し、価格は物価に追いつかない。バーティブはシェアを電力 15%・熱 11% まで失い、買収の一部は減損になり、優良な資本効率の企業ではなくなる。
2035 年 12 月期、取り込める市場は 2025 年比で実質 電力 1.25 倍・熱 1.3 倍・統合ラック 1.1 倍・サービス 1.3 倍にとどまり、シェアは電力 15%・熱 11%・統合ラック 7%・サービス 12%。価格は電力・熱で 1.20 倍・統合ラックとサービスで 1.35 倍。電力 48 億ドル、熱 34 億ドル、統合ラック 6 億ドル、サービス 30 億ドル、売上 119 億ドル(2025 年とほぼ同じ名目)。GAAP の営業利益率 13.6%、純利益 14.0 億ドル(2025 年とほぼ同じ)。2035 年の伸びは市場の実質 +0.5%・シェア −1.0%・価格 +3.5% で約 3%。バリュー投資の目で見れば、ここは優良企業としての評価をもう受けられない姿である。
- 電力設備(UPS・開閉装置・バスウェイ・配電):数量 269(データセンター向け電力設備の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 18.0%(シェア × 物価指数)→ 売上 48 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場・シェア・価格
- 熱管理(チラー・空調・液冷の CDU):数量 260(データセンター向け冷却設備の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 13.2%(シェア × 物価指数)→ 売上 34 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場・シェア・価格
- 統合ラック・プレハブ(工場組立のモジュール):数量 66.0(データセンター向けプレハブ・統合ラック市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 9.5%(シェア × 物価指数)→ 売上 6 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場・シェア・価格
- サービス・部品(保守・予備部品・遠隔監視):数量 189(データセンター設備の保守・部品の取り込める市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 16.2%(シェア × 物価指数)→ 売上 31 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.50%)・g 4.0%(上限の内側。データセンター向け電気設備の実質の伸びは 10 年先には 2〜3% に落ちる + 価格 3.5% から、4% を超えない)・事業の ROE 13%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 14.0 ÷ 自己資本 105.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.4%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 11.8 倍(上限 = 純利益 14.0 億ドル × これ = 165 億ドル)。これの 0.5 割(5.5 倍)に置いた。悲観:構造的に負けて優良でなくなった会社として最も下。
確率:AI 投資が過大な見積もりだった場合、数年の山のあとに需要が縮み、標準品化で堀が薄まる。バーティブはデータセンター一本足で、2022 年に株価が −68% 下げた経歴を持つ。10 年という長さと一本足を考え、悲観を厚めの 15% に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
電力設備(UPS・開閉装置・バスウェイ・配電)
データセンターに電気を安定して届ける無停電電源(UPS)・開閉装置・バスウェイ・配電盤・直流電源。ラック単位の電力密度の上昇で単価と台数が増える。
| 数量データセンター向け電力設備の取り込める市場(億ドル、2025 年価格) | 価格シェア × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 215 | 19.5% | 42 | 9 |
| 10 年後 中立 | 452 | 29.6% | 134 | 34 |
取り方:取り込める市場 620 億ドル(会社の従来の定義)を製品別に分け、電力設備を約 215 億ドル(推定)、シェア約 19.5% と置いた。2025 年の売上 102 億ドルの製品別の内訳は会社が地域別でしか開示していないため、10-K の製品説明と過去の構成から推定した(電力 42 億ドル、営業利益率 約 20.5%)。
熱管理(チラー・空調・液冷の CDU)
サーバーの熱を逃がすチラー・室内空調・液冷の冷却液分配装置(CDU)・熱交換器。AI サーバーは 1 ラックの発熱が大きく、液冷への移行が進む。
| 数量データセンター向け冷却設備の取り込める市場(億ドル、2025 年価格) | 価格シェア × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 200 | 15.0% | 30 | 5 |
| 10 年後 中立 | 480 | 24.0% | 115 | 25 |
取り方:冷却設備の取り込める市場を約 200 億ドル(推定)、シェア 15% と置いた(売上 30 億ドル、営業利益率 約 18%、推定)。液冷は市場が小さく伸びが大きい一方、競合(シュナイダーエレクトリックのモティヴェア、イートンのボイド)が買収で追っている。
統合ラック・プレハブ(工場組立のモジュール)
電力・冷却・ラックを工場で組み立てて現場に運ぶプレハブ型のモジュール、統合ラック。建設期間を短くするため大規模案件で採用が増える。
| 数量データセンター向けプレハブ・統合ラック市場(億ドル、2025 年価格) | 価格シェア × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 60.0 | 13.3% | 8 | 1 |
| 10 年後 中立 | 126 | 19.7% | 25 | 4 |
取り方:プレハブ・統合ラックの取り込める市場を約 60 億ドル(推定)、シェア約 13.3% と置いた(売上 8 億ドル、営業利益率 約 12.5%、推定)。他の製品の組み込みで利益率は薄い。
サービス・部品(保守・予備部品・遠隔監視)
設置済みの電力・冷却設備の保守契約、予備部品、遠隔監視。設置台数が増えるほど積み上がる収益で、利益率が最も高い。
| 数量データセンター設備の保守・部品の取り込める市場(億ドル、2025 年価格) | 価格シェア × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 145 | 15.2% | 22 | 6 |
| 10 年後 中立 | 261 | 21.9% | 57 | 17 |
取り方:設置済み設備の保守・部品・監視の取り込める市場を約 145 億ドル(推定)、シェア約 15.2% と置いた(売上 22 億ドル、営業利益率 約 28%、推定)。納入の累計が増えると 2〜3 年遅れて伸びる。
リスクと懸念
AI 設備投資の一本足
需要の大半は少数のハイパースケーラーとモデル開発会社の設備投資に連動する。一社の方針転換で新規受注が急に減りうる。2001〜02 年の通信設備の崩壊や 2022 年の下落(山から −68%)が前例で、2026 年 10 月にも株価は 2 週間で約 2 割下げている。
電力効率の改善と需要の過大見積もり
チップとサーバーの電力あたりの性能が上がると、必要な電力容量の想定が下がる。データセンターの電力容量は年 20 GW から 35 GW へという想定が前提で、これが外れると 10 年の数量が崩れる。会社の言う市場の年 18〜20% 成長もこの想定に乗っている。
競合の資本力と標準品化
シュナイダーエレクトリック・イートン・ABB・シーメンス・ファーウェイ・デルタ電子は規模が大きく、液冷でもシュナイダー(モティヴェア)とイートン(ボイド)が買収で追う。電力設備は標準品化が進むと価格が物価並みかそれ以下に落ちる。
前受金の逆回転と利益の質
繰延収益は 18→36 億ドルに増え、運転資金を肩代わりしている。成長が止まれば逆回転して FCF が純利益を下回る。会社の調整後の数字は株式報酬と買収の償却を足し戻しており、GAAP の利益で見る必要がある。
買収の統合と条件付対価
直近 12 か月に 6 件(ThermoKey・BMarko・Strategic Thermal Labs・PurgeRite など)。統合の失敗・高値の買収・条件付対価の公正価値の変動(2026 年 4〜6 月期に 0.29 億ドルの費用)で利益が削られうる。
供給の制約と関税
変圧器・半導体・銅などの供給が逼迫し、2026 年 4〜6 月期にも大型の多段階案件の売上の一部が後ろにずれた。関税と原材料費の上昇に価格が追いつかなければ、利益率の拡大が止まる。能力増強が競合も含めて出そろえば、納期プレミアムが消えて価格は物価並みに戻る。
今後の分かれ目
- ハイパースケーラーのいずれかが設備投資の伸びを大きく下方修正する
- 新規受注と book-to-bill が 1 を割り、やや悲観・悲観の確率を上げる。倍率は PER 15〜17 倍へ寄る。
- Investor Day の目標(有機 年 20〜22%・調整後営業利益率 27%)が 2027 年の実績で上方修正される
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。ただし倍率の上限(k 9.5%・g 4% の式)は変わらない。
- チップの電力あたりの性能向上でデータセンターの電力容量の増設計画が下がる
- 10 年の数量の見通しを下げ、やや悲観・悲観の確率を上げる。電力設備の標準品化が進む合図。
- シュナイダーエレクトリック・イートンの液冷の受注が急伸し、バーティブのシェアが下がる
- 熱管理のシェアが 15% から下がる筋書き(やや悲観)の確率を上げる。
- 2026 年 10 月下旬の決算で受注残が前期から減る、または繰延収益が減る
- 2028 年以降の中立の伸びを下げる。前受金の逆回転が始まった合図として確率を悲観側に寄せる。
- 大型の買収(時価総額の 5% 超)を高い倍率で発表する
- のれんの減損の恐れで悲観側を厚くする。買収後の ROE の低下を筋書きに反映する。
見ておくもの
- 受注残(2025 年末 150 億ドル)と book-to-bill、繰延収益(36 億ドル)の増減
- 有機成長率(2026 年のガイダンス +30〜32%)と米州・アジア太平洋・EMEA の伸び
- 調整後・GAAP の営業利益率(2026 年のガイダンス 23.3〜24.3% 調整後)と増分利益率
- ハイパースケーラー上位の設備投資の見通しと電力容量の増設計画(年 20 GW → 35 GW)
- 液冷の受注とシュナイダーエレクトリック・イートンの動き、サービスの伸び
- 調整後 FCF(24〜26 億ドル)と純現金・レバレッジ(目標 1〜2 倍)、自社株買いの再開
- 買収の件数と条件付対価、のれんの減損
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見る前に、数量 × 価格で積んだ利益から利益ベースの正当化 PER((1−g/RONIC)/(k−g)、RONIC=k+残る割合×(事業の ROE−k))で出した。10 年の中立は正当化 PER 14.1 倍(k 9.5%・g 4.0%・ROE 26%・moat=普通)の 7 割 = 9.8 倍。電力・冷却の質は高いが、需要が AI のデータセンター投資一本足で、投資循環の山に高い PER を掛けない。上限の 7 割にとどめた。今の株価や過去の倍率に寄せて選んだ値ではなく、全筋書きが検査の上限(正当化 PER × 事業の純利益の 1.1 倍)の内側に収まっている。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +1.5% = 9.5%(β は使わない。決まり v2。内訳は quality_parts と quality_why)。AI 投資一本足の需要と顧客の集中を quality で厚めに見た。個別のリスク(買収の統合・標準品化)は k に足さず、筋書きと確率(悲観をやや厚く)で表した。長期の g は 4.0% まで、k − g ≥ 3.5% を守る。