結論
キャタピラー(Caterpillar)は、建設機械(ショベル・ブルドーザー)、鉱山機械、エンジン・発電機・ガスタービン・鉄道機器、そして金融子会社を持つ世界最大の重機メーカーである。2025 年は売上 676 億ドル、営業利益 112 億ドル(営業利益率 16.5%)、純利益 89 億ドル。2026 年 4〜6 月期は売上が前年比 +24%、営業利益率 20.9% と過去最高水準で、受注残は 720 億ドル(+92%)、通年の売上見通しは十数%増に引き上げられた。
押し上げているのはデータセンター向けの発電設備で、パワー・エナジー部門の発電売上は年 110 億ドルを超え、受注は 2029〜30 年の納入分まで入っている。ただし建設機械・鉱山機械は景気の山谷が大きく、リーマンショックでは株価が 69% 下げ、営業利益率は 4% まで落ちた。今の高収益は「循環の山」と「AI 電源の割増」の合計である。
バリュー投資の観点では、事業は堀が深く(販売・整備網、部品の囲い込み、サービス収益の積み上げ)、資本の戻しも健全で、質は高い。問題は値段で、時価総額 3,451 億ドルは純利益の 39 倍、自己資本の 16 倍に当たる。市場 × シェア × 価格で 10 年を積み上げ、資本コスト 8.5% で割り引くと、中立の筋書きでも利益は 2026 年の見込みから年 4% 台でしか伸びず、成熟した倍率は利益ベースの正当化 PER(k 8.5%・g 4%・事業の ROE 37〜40% 前後から RONIC を出す)の上限 18.5 倍の 7.5 割、約 14 倍に落ち着く。10 年後の時価総額は中立で今の 0.8 倍にとどまり、割り引くと今の値段の 5 割強の価値しかない。10 年の楽観の筋書きなら今を上回るが、循環産業として悲観側の確率も厚く、計算上は割高になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、キャタピラーは「10 年後も存在し、今より強いか」と聞かれれば存在する。重機の世界首位、販売代理店網、サービスの積み上げは、10 年で損なわれにくい堀である。ただし、バリュー投資家が重視するのはオーナー利益(成長のための再投資を引いた株主のものになる利益)の安定性で、この会社は景気の山谷で利益が 4 割以上動く。その平均を見る必要があり、2018〜2025 年の純利益は 2020 年の 30 億ドルから 2024 年の 108 億ドルまで大きく動いている。ならした利益は 2026 年の見込み(約 130 億ドル)より低い 100 億ドル前後にある、というのが落ち着いた見方である。
今の時価総額は、その 2026 年の見込みの純利益に対しても 26 倍で、10 年後の成熟した姿(利益ベースの PER 14 倍前後)と比べると、成長と倍率の両方で多くを先取りしている。資本コスト 8.5% で割り引くと、今の水準を正当化できるのは発電が 2030 年代も伸び続ける楽観の筋書きだけである。安全域はなく、割高の側に余白がある。
事業の質は高いが、予測しにくい要素(データセンター投資の持続、関税、景気)が大きく、確信度は中程度に下げる。よい会社と、よい投資対象は別だ、というのが結論である。
何で稼ぐ会社か
売上は 3 つの事業部門と金融子会社から成る。パワー・エナジー(P&E、2025 年 286 億ドル)は、発電用・船舶用・産業用のエンジン、ソーラー・タービンズのガスタービン、石油・ガス向け圧縮設備、鉄道機関車の部品・整備を扱い、データセンターの非常用・常用電源が主力の成長源である。建設機械(CI、約 230 億ドル)は、ショベル・ホイールローダー・ブルドーザーなどを販売代理店網(ディーラー)経由で世界に売る。資源産業(RI、約 120 億ドル)は、大型の鉱山用トラックやショベル、自動運転の鉱山システム、地下鉱山機械を扱う。キャピタル・ファイナンスなどの金融子会社(約 36 億ドル)は、顧客とディーラーに融資とリースを出す。
収益の構造は、新品の機械を売り、その後の部品・整備・修理・デジタルで長く稼ぐ形で、サービス収益は 2025 年に約 240 億ドルあり、2030 年に 300 億ドルを目標にしている。機械の稼働台数(保有台数)が増えるほど、景気が悪い年でも整備需要が下支えになる。
課題は 3 つある。第 1 に関税で、2025 年の純負担は 17 億ドルに達し、2026 年は価格転嫁と IEEPA 関税の払い戻しで一部を取り戻している。第 2 に中東向けの建設機械の弱さと、大型農業・住宅向けの需要の鈍さ。第 3 に、発電の増産投資が 2030 年以降の需要に見合うかどうかである。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 に世界に張りめぐらされた販売代理店網で、部品を翌日に届ける体制が機械の稼働率を支え、顧客は価格より止まらないことを優先する。第 2 にブランドと中古価格の高さ(下取り価値が高い)。第 3 にサービスとデジタルで、保有機械の稼働データが整備と部品の売上を囲い込む。コマツ・日立建機・ボルボ・中国の三一重工や徐工が追う建設機械では、世界首位のシェアが規模の利益を生む。
資本効率は高く、ROE は 40% 台(自社株買いで自己資本が小さい点を割り引く必要がある)。営業利益率は 2018 年 15.8% → 2023 年 20.6% → 2025 年 17.2% と、2010 年代より構造的に高い水準にある。経営は「利益ある成長」を掲げ、FCF のほぼ全額を還元する方針を持つ。
弱い所は、利益が景気の山谷に大きく連動することである。2009 年の営業利益率は 4.1%、2016 年は 5.5%。価格を決める力は強いが、需要が 3〜5 割落ちる年は固定費の重さで利益が急減する。また、売上の 3 割近くを占める発電が急拡大した分、データセンター投資が止まる・効率が上がって電力需要が下振れる、といった単一テーマへの依存が増している。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
建設機械・鉱山機械・エンジン・商用車は、景気の山谷で数量が 3〜5 割動く典型的な循環産業である。2026 年は、データセンターと電力インフラ、銅など鉱物の需要、米国のインフラ投資、リショアリングが重なり、北米のクラス 8 トラックの受注も急回復した。一方、大型農機は谷、住宅向けは金利 5% の下で弱く、建設機械の中東向けは弱含みである。景気の位置は、電力・鉱山が山の手前から中腹、住宅・農機が谷という二極化である。
構造の変化は 3 つある。第 1 に発電で、AI の電力需要から、ガスタービン・往復式エンジンの受注が 2029〜30 年まで埋まり、納期が競争力の源泉になっている。競合は GE ベルノバ・三菱重工・シーメンスエナジー(ガスタービン)、カミンズ・ロールスロイス・ワルチラ(エンジン)。第 2 に電動化と自動運転で、鉱山では自動運転が先行している。第 3 に中国メーカーの低価格攻勢で、新興国・欧州で値下げ圧力になる。
今後 10 年は、発電の高成長が 2030 年代前半にピークを迎えて落ち着き、建設・鉱山は名目成長(数量 年 +2%、価格 年 +3〜3.5%)に戻る、というのが中立の見方である。倍率は利益ベースの正当化 PER(k 8.5%)の上限の 6〜8.5 割で置き、成熟した優良循環株で PER 10〜16 倍とした。
資本政策と M&A
資本配分は規律が高い。2025 年は自社株買い 52 億ドルと配当 28 億ドルで約 80 億ドルを還元し、方針は MP&E(機械・エンジン)の FCF のほぼ全額を還元すること(2025 年は約 84%)。配当は 30 年以上増え続けている。自社株買いは株数を 2018〜2025 年に毎年 3〜5% ほど減らしてきたが、株価が割高な局面で買い続けると、1 株の価値を壊す側に働く点は注意が必要である。株式報酬による株の増加分は、還元額から差し引いて正味で見る。
M&A は、1 件ずつの小さな買収(デジタル・自動化・サービス)が中心で、2012 年に買収した中国の炭鉱機器メーカー(ERA マイニング機械)で 2013 年に約 6 億ドルの減損を出した失敗の過去がある。大型の合併の可能性は低い。増産投資(エンジン・タービンの能力拡大、年 20 億ドル台の設備投資)は、需要の山が過ぎた後の稼働率が最大の論点になる。借金は金融子会社を除くと純負債 341 億ドル程度(金融子会社の借入を含む連結値)で、2025〜26 年の借り換えで利払いが増える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
発電の増産は 2029〜30 年の納入分まで受注済みで、受注残は 720 億ドルと過去最高。データセンターの電源は、停電を避けるために価格より納期を重視する買い手が多く、キャタピラーは価格を決める力を持つ。サービス収益は保有台数の増加とともに 240 億ドルから 300 億ドルへ向かい、景気が悪い年の下支えになる。
営業利益率は 2023 年 20.6%、2024 年 20.9%、2026 年 4〜6 月期 20.9% と、2010 年代の 10〜15% から構造的に切り上がった。投資家説明会の 2030 年目標は、売上 1,000 億ドルで営業利益率 21〜25%。実現すれば、純利益は 2025 年の 2 倍を超える。
自社株買いは毎年 3〜5% 株数を減らし、1 株あたりの利益は純利益より速く伸びる。鉱山の自動運転、電動化の過渡期のディーゼル需要、米国のインフラ・製造業の回帰も重なる。中国の建機は価格競争で追うが、稼働率と整備網の差は大きい。10 年後に、データセンター発電の需要が落ち着いても、保有台数が増えた整備需要で利益は守られる。これが強気の見方で、楽観の筋書きの下敷きである。
慎重な見方
今の利益は循環の山に当たる。クラス 8 トラックの受注急増は 2027 年の排ガス規制前の前倒し購入を含み、規制後は反動で落ちる。大型農機は谷で、住宅向けは金利 5% で弱く、中東向けの建設機械は弱含み。リーマンショックでは営業利益率は 4.1%、株価は 69% 下げ、コロナでも売上が 2 割落ちた。
発電の急拡大は、データセンター投資のピークアウトで需要が落ちる、電力会社・GE ベルノバ・三菱重工・小型燃料電池ベンダーとの競争で価格が下がる、効率の高い AI チップで必要な電力が減る、といったリスクを持つ。キャタピラー自身が能力を 2〜3 倍に増やしているため、需要が外れると稼働率が下がり、固定費が利益を圧迫する。
関税の純負担は 2025 年に 17 億ドル。中国の三一重工・徐工は新興国と欧州で低価格攻勢を続け、鉱山でも電動・自動運転で新規参入が出る。自社株買いは割高な株価での買いで、価値を壊す。PER 39 倍は 2018〜2025 年の中央値 15.8 倍の 2.5 倍で、成熟すれば 14 倍前後に戻る、というのが慎重な見方で、これだけで時価総額は約半分になる計算になる。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は事業の質と発電の受注残で説得力があるが、今の株価はそれをすでに織り込んでいる。慎重な見方は倍率の回帰と景気の循環で強い。確率は、楽観 10%・やや楽観 22%・中立 36%・やや悲観 20%・悲観 12% と、循環産業として悲観を厚めに置いた。悲観には構造的な負けの筋(発電の需要減・中国の追い上げ)を置いた。今の時価総額を上回るのは楽観だけ(やや楽観はほぼ同じ水準)で、確率の加重平均を割り引くと今の値段を 4 割半ばほど下回るため、結論は割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 552.10 ドル2,608 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 240.86 ドル1,138 億ドル)。 今の値に割り戻すと 404.37 ドル1,910 億ドル、今との差 −42.6%、 期待の年率 +1.2%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 939.68 ドル4,438 億ドル | 338.77 ドル1,600 億ドル | +81.6% | +6.1% | 127.84 ドル604 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 726.51 ドル3,431 億ドル | 296.42 ドル1,400 億ドル | +45.3% | +3.8% | 225.04 ドル1,063 億ドル |
| 中立 | 36% | 591.98 ドル2,796 億ドル | 254.08 ドル1,200 億ドル | +20.2% | +1.9% | 304.58 ドル1,439 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 332.27 ドル1,569 億ドル | 190.56 ドル900 億ドル | −25.7% | −2.9% | 104.56 ドル494 億ドル |
| 悲観 | 12% | 156.11 ドル737 億ドル | 101.63 ドル480 億ドル | −63.4% | −9.6% | 30.93 ドル146 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 552.10 ドル2,608 億ドル | 240.86 ドル1,138 億ドル | +12.6% | +1.2% | 792.96 ドル3,745 億ドル |
今の株価時価総額 704.05 ドル3,325 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:発電が 2030 年代も伸び続け、世界首位の整備網でサービスが 500 億ドルを超える 利益 268 億ドル · PER 16.6 倍 · 株価時価総額 939.68 ドル4,438 億ドル
2035 年、発電の対象市場は 2025 年比で年 +6.8% の 2,900 億ドル、シェアも小幅に上がり、物価も 10 年で 1.41 倍。建設機械は年 +3%、鉱山は自動運転と銅需要で年 +3.4%。サービスは 500 億ドルを超え、営業利益率は 22% 近くに達して投資家説明会の 2030 年目標の上側を維持する。純利益は 2025 年の約 3 倍。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 19.7 倍(g 4.0%・RONIC 35.4%・k 8.50%)の 8.4 割で PER 16.6 倍、時価総額は 4,438 億ドル。自社株買いで株数は 10 年で 2 割以上減り、還元は FCF のほぼ全額に達する。中国勢は低価格で追うが、稼働率と整備網の差で首位を守り、電動化の過渡期にもディーゼル需要が残る。 10 年(2026〜2035 年)の純利益の累計は約 1914 億ドル(2028 年の 159 億ドルまで年 +21%、そこから 2035 年の 268 億ドルまで年 +7.7%で伸びる道筋で足した。減損・赤字の年は無い)。
- パワー・エナジー:数量 2,900(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算))× 価格 27.7%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 803 億ドル・営業利益 213 億ドル。市場 2,900 億ドル × シェア 19.6% × 価格 1.41 倍
- 建設機械:数量 1,750(世界の建設機械市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 25.2%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 440 億ドル・営業利益 90 億ドル。市場 1,750 億ドル × シェア 17.9% × 価格 1.41 倍
- 資源産業:数量 850(鉱山・重建設の機械市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 28.2%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 240 億ドル・営業利益 38 億ドル。市場 850 億ドル × シェア 20.0% × 価格 1.41 倍
- 金融子会社:数量 560(融資・リース資産残高(億ドル))× 価格 0.10(収益率(利回り))→ 売上 56 億ドル・営業利益 13 億ドル。融資・リース残高 560 億ドル × 利回り 10.0%
倍率:帳簿の ROE 67% は 40% 超(自己資本が借金・自社株買いで縮んだ見かけ)なので ROIC から直した(ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債 341 億ドル)= 35.7%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利 5.75%×(1−22%))× 純負債÷自己資本(1 倍まで)= 62.3%)。正当化 PER 19.7 倍(g 4.0%・RONIC 35.4%=k 8.50%+残る割合×(事業の ROE 62.3%−k)・moat=normal)に対して 16.6 倍(上限の 8.4 割)に置いた。発電が 2030 年代も伸び続け、サービスの積み上げで利益率が 20% 超を保つ最良の筋書き。ただし循環産業の山の利益なので上限の 8.4 割にとどめた。
確率:発電の需要が長く続き、シェアも上がる必要があり、さらに建設・鉱山が好調を維持する。大型の構造変化が味方する筋書きで 1 割。
やや楽観 22% やや楽観:発電は 2030 年代前半にピークアウトするが、サービスの積み上げで利益率は 20% 近く 利益 232 億ドル · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 726.51 ドル3,431 億ドル
2035 年、発電の対象市場は 2,600 億ドル(年 +5.6%)、建設機械は年 +2.4%、鉱山は年 +2.6%。発電の増産が一巡して新品の伸びは鈍るが、サービスは 400 億ドルを超えて利益率を守る。営業利益率は約 21%、純利益は 2025 年の約 2.6 倍。自社株買いで株数は 10 年で 2 割ほど減る。PER 14.8 倍(利益ベースの正当化 PER の上限 18.8 倍の 7.9 割。g 4.0%・RONIC 25.7%・moat=normal・k 8.50%)。電動化は鉱山の自動運転から段階的に進み、キャタピラーは自社の電動機械と自動運転で先行を保つが、ディーラー網への投資は重くなる。中国勢は新興国で低価格を続け、価格の上がり方は物価をわずかに下回る。
- パワー・エナジー:数量 2,600(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算))× 価格 27.2%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 706 億ドル・営業利益 180 億ドル。市場 2,600 億ドル × シェア 19.3% × 価格 1.41 倍
- 建設機械:数量 1,650(世界の建設機械市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 25.2%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 415 億ドル・営業利益 81 億ドル。市場 1,650 億ドル × シェア 17.9% × 価格 1.41 倍
- 資源産業:数量 790(鉱山・重建設の機械市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 28.2%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 223 億ドル・営業利益 33 億ドル。市場 790 億ドル × シェア 20.0% × 価格 1.41 倍
- 金融子会社:数量 540(融資・リース資産残高(億ドル))× 価格 0.10(収益率(利回り))→ 売上 54 億ドル・営業利益 13 億ドル。融資・リース残高 540 億ドル × 利回り 10.0%
倍率:帳簿の ROE 47% は 40% 超(自己資本が借金・自社株買いで縮んだ見かけ)なので ROIC から直した(ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債 341 億ドル)= 27.3%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利 5.75%×(1−22%))× 純負債÷自己資本(1 倍まで)= 43.0%)。正当化 PER 18.8 倍(g 4.0%・RONIC 25.7%=k 8.50%+残る割合×(事業の ROE 43.0%−k)・moat=normal)に対して 14.8 倍(上限の 7.9 割)に置いた。発電は 2030 年代前半にピークアウトするが、サービスの積み上げで利益率が 20% 近くを保つ筋書き。
確率:発電の高成長は一巡しても、保有台数の整備需要が残る展開。強気の見方に近いが、中国の追い上げで価格が少し弱い。
中立 36% 中立:発電は 2030 年代前半にピークを打ち、建設・鉱山は名目成長に戻り、利益率は 20% 前後 利益 201 億ドル · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 591.98 ドル2,796 億ドル
2035 年、パワー・エナジーの対象市場は 2025 年比 年 +4.4% の 2,300 億ドル(シェア一定)。建設機械は数量 年 +2%・価格 年 +3.5%、鉱山は数量 年 +2%。10 年の物価上昇は 1.41 倍で、全社の売上は約 1,280 億ドル(年 +6.6%、投資家説明会の 5〜7% の範囲)。営業利益率は 19.8% と、2030 年目標の範囲(15〜25%)の中ほどで、景気の山谷をならした水準。営業利益は 253 億ドル、純利益は 200 億ドル(2025 年の 2.2 倍)。借り換えの利払い増は純利益に反映。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 18.5 倍(g 4.0%・RONIC 23.8%・k 8.50%)の 7.5 割で PER 13.9 倍、時価総額は 2,796 億ドル。
- パワー・エナジー:数量 2,300(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算))× 価格 26.9%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 618 億ドル・営業利益 151 億ドル。市場 2,300 億ドル × シェア 19.1% × 価格 1.41 倍
- 建設機械:数量 1,590(世界の建設機械市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 25.2%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 400 億ドル・営業利益 74 億ドル。市場 1,590 億ドル × シェア 17.9% × 価格 1.41 倍
- 資源産業:数量 744(鉱山・重建設の機械市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 28.2%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 210 億ドル・営業利益 29 億ドル。市場 744 億ドル × シェア 20.0% × 価格 1.41 倍
- 金融子会社:数量 520(融資・リース資産残高(億ドル))× 価格 0.10(収益率(利回り))→ 売上 52 億ドル・営業利益 12 億ドル。融資・リース残高 520 億ドル × 利回り 10.0%
倍率:正当化 PER 18.5 倍(g 4.0%・RONIC 23.8%=k 8.50%+残る割合×(事業の ROE 39.2%−k)・moat=normal)に対して 13.9 倍(上限の 7.5 割)に置いた。販売・整備網と部品の囲い込みの堀は深いが、2026 年の利益は建設・鉱山の循環の山と AI 電源の割増の合計で、景気の振れが大きい(リーマンで営業利益率 4%)ので上限の 7.5 割。
確率:業界ノートの中立(発電 10 年 年 +6%、建設・農機は数量 +2%・価格 +3%)に、成熟した循環産業としての PER 13.6 倍(利益ベースの正当化 PER の上限の 7.5 割)を当てた。
やや悲観 20% やや悲観:発電のピークアウトと中国の追い上げで、利益率が 15% 台に戻る 利益 141 億ドル · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 332.27 ドル1,569 億ドル
2035 年、データセンター電源の増設が止まり、発電の市場は 2025 年比 年 +2.9% の 2,000 億ドルにとどまる。中国メーカー(三一重工・徐工)との競争で建設機械の価格が下がり、鉱山も電動化の過渡期で値引きが出る。営業利益率は約 16%、営業利益は 178 億ドル(2025 年の 1.6 倍)、純利益は 141 億ドル。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 18.3 倍(g 4.0%・RONIC 22.8%・k 8.50%)の 6.1 割で PER 11.1 倍、時価総額は 1,569 億ドル。サービス収益は保有台数で守られるが、新品の値引きと能力過剰で利益の伸びが売上の伸びを下回り、自社株買いも抑えられて還元が減る。
- パワー・エナジー:数量 2,000(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算))× 価格 26.3%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 526 億ドル・営業利益 105 億ドル。市場 2,000 億ドル × シェア 19.1% × 価格 1.38 倍
- 建設機械:数量 1,480(世界の建設機械市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 24.5%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 363 億ドル・営業利益 54 億ドル。市場 1,480 億ドル × シェア 17.8% × 価格 1.37 倍
- 資源産業:数量 650(鉱山・重建設の機械市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 27.5%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 179 億ドル・営業利益 20 億ドル。市場 650 億ドル × シェア 20.0% × 価格 1.38 倍
- 金融子会社:数量 470(融資・リース資産残高(億ドル))× 価格 0.10(収益率(利回り))→ 売上 47 億ドル・営業利益 9 億ドル。融資・リース残高 470 億ドル × 利回り 10.0%
倍率:正当化 PER 18.3 倍(g 4.0%・RONIC 22.8%=k 8.50%+残る割合×(事業の ROE 37.0%−k)・moat=normal)に対して 11.1 倍(上限の 6.1 割)に置いた。発電のピークアウトと中国の追い上げで利益率が 15% 台に戻る筋書きなので、上限の 6.1 割。
確率:データセンター発電の過剰能力と、中国メーカーの値下げが重なる展開。キャタピラー自身が能力を 2〜3 倍に増やしており、起きても不思議でない。
悲観 12% 悲観:構造的に負ける(発電の需要減・中国の価格攻勢)うえにリーマン級の不況が重なる 利益 73 億ドル · PER 10.1 倍 · 株価時価総額 156.11 ドル737 億ドル
2035 年、データセンターの電力投資が 2030 年に頭打ちとなり、電源の過剰供給で発電の市場は 2025 年比ほぼ横ばい。キャタピラーは納期の強みを失って価格を 8% 下げる。建設機械は中国勢に新興国と欧州を奪われ、市場は 2025 年比で 4% 減、価格も 7% 下がる。鉱山は電動・自動運転の新規参入で営業利益率が 7% に落ちる。営業利益は 92 億ドル、純利益は 70 億ドル(2025 年の 8 割)で、優良な循環株ではなくなる。PER 10.1 倍(利益ベースの正当化 PER の上限 16.8 倍の 6.0 割。g 4.0%・RONIC 16.3%・moat=normal・k 8.50%)。2008〜09 年のような急な谷は来ないが、需要が戻らない長い停滞になり、自社株買いは大きく縮み、設備の減損と能力過剰の整理(人員の削減)が続く。バリュー投資家の目で見れば、ここは優良企業としての評価をもう受けられない姿である。 10 年(2026〜2035 年)の純利益の累計は約 570 億ドル。2028 年の不況の底で 33 億ドルまで落ち、そこから 2035 年の 73 億ドルへ戻る道筋で足した(設備の減損・整理費用は各年の利益に含む)。自己資本は 今 213 億ドル + 累計 570 億ドル − 還元 480 億ドル ≒ 303 億ドル。
- パワー・エナジー:数量 1,550(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算))× 価格 24.7%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 383 億ドル・営業利益 54 億ドル。市場 1,550 億ドル × シェア 19.1% × 価格 1.30 倍
- 建設機械:数量 1,250(世界の建設機械市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 23.3%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 291 億ドル・営業利益 29 億ドル。市場 1,250 億ドル × シェア 17.8% × 価格 1.31 倍
- 資源産業:数量 560(鉱山・重建設の機械市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 26.0%(キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 146 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 560 億ドル × シェア 20.0% × 価格 1.30 倍
- 金融子会社:数量 420(融資・リース資産残高(億ドル))× 価格 0.10(収益率(利回り))→ 売上 42 億ドル・営業利益 7 億ドル。融資・リース残高 420 億ドル × 利回り 10.0%
倍率:正当化 PER 16.8 倍(g 4.0%・RONIC 16.3%=k 8.50%+残る割合×(事業の ROE 24.1%−k)・moat=normal)に対して 10.1 倍(上限の 6.0 割)に置いた。構造的に負けて優良な循環株でなくなる筋書き。成長の弱さ・優良さの崩れは g と ROE に入れ、式の外では引かない。
確率:リーマン級の不況に、10 年のうちの構造的な負け(データセンター需要の頭打ち、電動・自動運転の新規参入、中国の低価格)が重なる。利益の変動が大きい産業のため 1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
パワー・エナジー
エンジン・発電機・ガスタービン・圧縮設備・鉄道機器と、その部品・整備。データセンター向け発電が成長源。
| 数量対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算) | 価格キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,500 | 19.1% | 286 | 56 |
| 10 年後 中立 | 2,300 | 26.9% | 618 | 151 |
取り方:エンジン・発電・タービン・圧縮・鉄道の対象市場を約 1,500 億ドル(2025 年価格・推定)、キャタピラーのシェアを約 19% と置いた。売上は 2025 年通期 286 億ドル、利益率は 4Q の 19.6% と年間の傾向から約 19.5% と推定。売上 = 市場 × シェア × 価格(価格指数は 2025 年 = 1、中立で 10 年 1.41 倍)。競合と照らすと、ガスタービンは GE ベルノバ・シーメンスエナジー・三菱重工の 3 社で大型機の大半を持ち、キャタピラー(ソーラー・タービンズ)は中小型機が中心。往復式エンジン・発電機ではカミンズ・ロールスロイス(mtu)・ワルチラと並ぶ首位級で、全体のシェア約 19% は妥当な水準。
建設機械
ショベル・ローダー・ドーザーなどの建設機械を販売代理店経由で世界に販売。
| 数量世界の建設機械市場(億ドル、2025 年価格) | 価格キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,300 | 17.8% | 232 | 39 |
| 10 年後 中立 | 1,590 | 25.2% | 400 | 74 |
取り方:建設機械の世界市場を約 1,300 億ドル(推定)、シェア約 18% と置いた。通期の部門売上は未取得のため、4Q の 69 億ドルと 2024 年の構成から約 232 億ドルと推定。利益率は関税の影響を含め約 17%。売上 = 市場 × シェア × 価格(価格指数は 2025 年 = 1)。世界の建設機械の売上シェアはキャタピラーが約 16〜18% で首位、コマツが約 10〜11%、徐工・三一重工が各 5% 前後、リープヘル・ディア・ボルボが各 4% 前後と見られ、置いた 18% はこの並びに合う。中国勢の低価格攻勢は悲観側の価格(物価を下回る)で表した。
資源産業
大型鉱山トラック・ショベル・自動運転・地下鉱山機械と整備。
| 数量鉱山・重建設の機械市場(億ドル、2025 年価格) | 価格キャタピラーのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 610 | 20.0% | 122 | 13 |
| 10 年後 中立 | 744 | 28.2% | 210 | 29 |
取り方:鉱山・採石・重建設の機械市場を約 610 億ドル(推定)、シェア約 20% と置いた。売上は 2025 年に前年並みで約 122 億ドルと推定、利益率は 4Q の 10.7% から約 10.5%。売上 = 市場 × シェア × 価格(価格指数は 2025 年 = 1)。超大型の鉱山トラック・ショベルはキャタピラーとコマツの二強で、日立建機・リープヘル、地下鉱山ではエピロック・サンドビックが競う。重建設も含めた市場でのシェアを約 20% と置いた。
金融子会社
キャピタル・ファイナンスなどの顧客・ディーラー向け融資とリース。
| 数量融資・リース資産残高(億ドル) | 価格収益率(利回り) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 350 | 0.10 | 36 | 9 |
| 10 年後 中立 | 520 | 0.10 | 52 | 12 |
取り方:融資・リース資産を約 350 億ドル(推定)、収益率約 10.3% と置いた。売上 2025 年 36 億ドル、営業利益は約 8.6 億ドル。借入は金融の事業のため、金利の変化は利ざやに含め、純利益の調整には入れない。
リスクと懸念
データセンター電力投資の反動
発電の売上は年 110 億ドルを超え、受注残は 2029〜30 年まで入っている。AI の電力需要が見込みを下回る、効率が上がる、別の電源(燃料電池・オンサイト再エネ)に流れる、のどれが起きても受注の取り消しや納期の延期につながる。増産で能力を 2〜3 倍にする投資が、稼働率の低下で固定費の重荷になる。
循環の山での高い利益率
4〜6 月期の営業利益率 20.9% は関税の払い戻しという一時益を含み、クラス 8 の前倒し購入も含む。リーマンでは営業利益率 4.1%、株価は 69% 下げた。数量が 3〜5 割落ちる年は、固定費の重さで利益が急減する。景気の山では、いまの利益率を将来も続くものと見ないことが大切である。
関税と原材料
2025 年の関税の純負担は 17 億ドル。IEEPA 関税は最高裁で無効になって払い戻しが出たが、鉄鋼・アルミの関税は残る。価格転嫁が遅れる、または需要が冷える場合は、利益率の下押しが続く。部品の調達先の組み替えにも時間がかかる。
中国メーカーの低価格攻勢
三一重工・徐工・柳工は新興国と欧州で値下げを続け、鉱山機械でも電動・自動運転で追う。キャタピラーのシェアが落ちる、または価格を下げて守ることになれば、売上と利益率の両方に響き、サービスの囲い込みにも影響する。ディーラー網の強さが守りの壁だが、新興国では価格が優先され、壁が効きにくい。
割高な自社株買い
毎年 50 億ドル規模の自社株買いは、PER 39 倍の水準で行えば 1 株の価値を壊す。株式報酬による株の増加分を差し引いた正味の還元は、見かけより小さく、配当と合わせて還元と言い切れない。自社株買いを増やすほど、割高な価格で買う分は、残る株主の価値を薄めることになる。
中東・農機・住宅の弱さ
中東向けの建設機械は弱含み、大型農機は 2026 年が谷、住宅向けは金利 5% で鈍い。電力・鉱山の好調が、この弱さを覆い隠している。電力・鉱山が崩れた場合、下支えは少なく、利益率はかなり落ちる。景気の山で受けた受注が、そのまま谷の入り口になる点にも注意が必要である。
設備投資と金利
発電の増産に年 20 億ドル台の設備投資を続けるため、需要が外れると回収が遅れる。金融子会社を除く純負債は借り換えのたびに利払いが増え(10 年で約 6 億ドル)、純利益を押し下げる。金融子会社の借入が増えると格付けと資金調達の条件にも影響し、設備投資の収益率が資本コストを下回る期間が長引く恐れがある。
今後の分かれ目
- データセンターの電力投資が 2027〜28 年に目に見えて減速し、発電の新規受注が縮小する
- 発電の高成長は 2030 年前に終わり、やや悲観・悲観の確率を上げる。倍率は PER 11〜14 倍前後に近づく。
- クラス 8 の受注が 2027 年の排ガス規制後に前年比で 5 割以上減る
- 建設・商用の数量が循環の谷へ向かう信号で、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 営業利益率が景気の山でも 22% を超え、サービス収益が 2030 年を待たず 300 億ドルに達する
- 利益率の構造的な切り上げが確認され、楽観・やや楽観の確率を上げる。ただし倍率の上限(正当化 PER 18〜19 倍)は変わらない。
- 中国メーカーが欧州・東南アジアで 1〜2 割の値下げを続け、シェアが落ちる
- 価格を決める力の低下で、建設・鉱山の利益率を 2〜3 ポイント下げる。10 年の悲観の確率を上げる。
- 株価が下がり、自社株買いが PER 15 倍以下の水準で続けられるようになる
- 1 株の価値を守る買いになり、還元の質が上がる。
見ておくもの
- 受注残(720 億ドル)の出荷ペースと新規受注の伸び
- 発電事業の売上と受注(データセンター向け)
- 北米クラス 8 トラックの月次受注
- 営業利益率の推移(山での 20% が続くか)
- 関税の純負担と価格転嫁
- サービス収益(目標 2030 年 300 億ドル)
- MP&E の FCF と還元(正味)
倍率と資本コストの決め方
今の PER 39 倍や、2026 年の見込み PER 26 倍を見る前に、4 つの事業ごとに市場規模 × シェア × 物価(10 年 1.41 倍)で売上を積み、利益率を置いた。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)(k 8.5%・g は上限の 4%・RONIC = k + 残る割合 1/2(moat=normal)×(事業の ROE − k)。40% 超の帳簿 ROE は ROIC の式で直した)の上限に対して置いた:10 年の中立は上限 18.5 倍の 7.5 割の 13.9 倍(過去 19 期の中央値 15.8 倍より低い。循環の山の利益と AI 電源の割増の質を 7.5 割に反映)。悲観側は、谷の PBR や谷の倍率を根拠にせず、稼ぐ力(ならした純利益 ÷ k に近い上限)の 6 割で置いた。k は景気の振れ(cycle +0.75%)と販売網の強さ(pricing −0.25%)で quality を +0.5% とした。結果として 10 年の楽観だけが今の時価総額を上回り、加重平均では割高が出るが、数字を調整して帳尻を合わせてはいない。営業利益率は 2026 年の 20% 超を山として、中立は 19〜20% にならした。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.5%。景気の振れを quality の cycle で、販売網の強さを pricing で見た。個別のリスク(発電への依存・関税・中国の価格競争)は k に足さず、悲観・やや悲観の確率と筋書きの数量・利益率で表した。存続を疑う要素はなく上乗せは 0。