結論
CACIインターナショナルは、米国の国防・情報機関に電子戦技術、宇宙センサー、政府システム、専門人員を提供する会社である。筆者の結論は割高だ。電子戦と宇宙事業には長く残る技術力があるが、人的サービスのAI代替と大型買収の借金を考えると、現在の値段には安全域が乏しい。
2026年6月期の売上は95.7億ドル、営業利益は9.2億ドル、純利益は5.4億ドルだった。2026年9月末には受注残が340億ドルに達し、同年7~9月期も8.2%の増収となった。ただし、買収を除いた成長は2.1%に鈍化し、利払いの増加で純利益の伸びは4.5%にとどまった。受注の強さを、そのまま株主利益の成長と考えるべきではない。
事業の質は一様ではない。電磁波を分析して敵の通信を妨害する装置や宇宙搭載センサーには、開発技術、機密情報へのアクセス、軍への組み込みという壁がある。一方、業務システムの開発や情報分析を人月で請け負う仕事は、AIエージェントが人の工数を減らすほど売上の単位そのものが失われる。会社のTechnologyという呼び名だけで、全売上を高付加価値の製品と見なすことはできない。
2024年のアジュール・サミット買収に続き、2026年にはARKAを取得した。宇宙分野への進出は理にかなうが、純有利子負債は52億ドルとなり、財務の余裕は大きく減った。これからのフリーキャッシュフローは、まず借金の返済と技術力の維持に使う必要がある。
10年後の中立では、売上131億ドル、純利益10.2億ドルを見込む。電子戦・宇宙技術が伸びる一方、デジタル受託と人的任務支援は縮む姿だ。資本コスト8.5%で将来価値と正味還元を割り引くと、確率加重した現在価値は約66億ドルとなり、基準時価総額141億ドルを約53%下回る。事業の将来性を否定するのではない。その将来性に対して、現在の株主が支払う金額が大きすぎるという判断である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、最初に問うべきことは10年後も顧客が必要とする仕事かどうかである。電子戦、宇宙監視、機密通信の答えは明確にイエスだ。国家間の争いが続く限り、相手の信号を捉え、自軍の情報を守り、現場の判断を速くする技術は必要になる。認証された装置と長年の運用経験を持つ会社には、一定の優位がある。
しかし、売上の全体が同じ性質ではない。多くの技術者を配置し、作業時間を積み上げて料金を請求する仕事には、強い価格決定力がない。AIによって必要な人数が減るなら、顧客の利益にはなっても請負会社の売上にはならない。長期契約や受注残が豊富でも、その仕事の必要量が恒久的に減るなら、更新時の契約額は小さくなる。安全な顧客を持つことと、安全な収益構造を持つことは違う。
次に見るのは、稼いだ現金をどの利回りで再投資できるかである。CACIはこの10年に技術企業を買い、売上と利益を伸ばした。だが、その成長には多額の買収資金が必要だった。純負債が大きい現在、次の大型買収に資金を振り向けるより、既存事業の収益力を高めて借金を減らす方が、少数株主にとって確実性は高い。
オーナー利益はGAAP純利益を出発点とし、株式報酬を費用とし、事業維持に必要な投資を差し引いて考える。2026年のフリーキャッシュフローは7.8億ドルと良好だが、全額が自由に使えるわけではない。買収負債と将来の製品開発を考えれば、現金の余裕を過大評価できない。
会社を所有する理由はある。けれども、141億ドルの時価総額に対して、現在のGAAP純利益は5.4億ドルにすぎない。10年後に技術事業が大きく伸びても、人的サービスの縮小と負債返済を同時にこなさなければ、投資家の要求する利回りに届かない。魅力のある事業と、十分に安く買える事業は別だという結論になる。
何で稼ぐ会社か
CACIの顧客は、米国防総省、情報機関、連邦政府の行政機関である。2026年6月期には連邦政府向けが売上の95.6%を占めた。国防関連が53.6%、情報機関が24.6%、その他の連邦機関が17.4%で、実質的には米国政府の予算配分に収益を預ける事業である。会計上の報告セグメントは国内事業と国際事業の2つで、国内が売上の96.8%を占める。
会社は事業内容をTechnologyとExpertiseにも分けている。Technologyは55.8億ドルで売上の58.4%、Expertiseは39.8億ドルで41.6%だった。ただし、前者にもソフトウェア開発の人件費が含まれ、後者にも現場の特殊技術者が含まれる。このため分析では、Technologyを電磁波・宇宙技術と政府向けデジタル技術に分け、Expertiseを専門人員による任務支援として扱う。Technology内の分割は非開示のため推定である。
最も有望なのは電子戦・通信・宇宙技術だ。敵の無線信号を検知する受信装置、通信妨害技術、無人機対処装置、衛星の光学・赤外線センサーなどを開発する。軍用システムに搭載されると改良、保守、更新の仕事が続く。2026年のARKA買収では衛星センサーと地理空間情報を処理するソフトウェアが加わった。SkyValorやSpectralのように、試験から実装・配備へ進む製品の成否が長期利益を左右する。
政府向けデジタル技術は、行政システムの近代化、データ統合、クラウド移行、サイバー対策を担う。長期契約を結んでいても、その収入の多くは開発者の工数や案件の作業量に依存する。AIで作業時間が短くなれば、顧客が支払う費用も減らせる。顧客の基幹データを独占する事業とは異なり、契約更新の際に料金を守り切れるとは限らない。
専門人員による任務支援では、情報分析官、技術者、特殊作戦の支援要員などを顧客の現場に配置する。機密資格と任務経験が必要な仕事は残るが、文書分析、調査、計画立案、定型システム作業は自動化されやすい。2026年7~9月期の契約形態は原価加算型52.8%、固定価格型33.2%、時間・材料型14.0%であった。原価加算型は費用上昇を一定程度回収できる反面、人件費が減れば契約額も縮みやすい。固定価格型ではAIによる効率化を利益として取り込める余地がある。
優良さと弱いところ
CACIの競争優位は、政府との距離の近さと、任務に組み込まれた独自技術の組み合わせにある。2026年の会社資料では従業員の約79%が機密取扱資格を持つ。機密施設で働く要員の確保、軍のシステムとの接続、長い認証・試験工程は、新規参入者が短期間で再現しにくい。電子戦装置や宇宙センサーでは、設計を変更するだけでも顧客側に費用と運用上の危険が生じる。
ただし、これは全面的な値上げの自由を意味しない。米国政府は強い買い手であり、契約は競争入札や原価査定を通じて決まる。既存案件の更新でも、レイドス、ブーズ・アレン、SAIC、ゼネラル・ダイナミクスなどと争う。機密資格は参入障壁だが、これらの競合も同じ資格を持つ人材を確保している。装置や技術に独占性がある部分と、技能者を供給する部分の堀は分けて評価すべきだ。
過去10年の売上は約3倍となり、営業利益率も7%台から9.6%へ改善した。買収した事業を組み込み、技術案件の比率を高めた経営判断には成果がある。一方、自己資本と純負債を合わせた投下資本の増加に対し、税引き後営業利益の増分は年率換算でおおむね7%台にとどまる。最近の大型買収がまだ十分に稼働していない影響はあるが、増分の資本利益率が8.5%の資本コストを明確に超えたとは言い切れない。
堀が広がる可能性が最も高いのは、独自製品の採用が増え、後続の更新・保守収入が積み上がる場合である。反対に、人を多数配置する契約が売上の中心に残れば、技術の進歩は顧客の費用削減につながり、CACI自身の収入を減らしかねない。会社全体の堀は普通、電子戦・宇宙技術の堀は比較的強いと評価する。収益の質がさらに改善するかを確認したい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の防衛・情報技術市場は、地政学的な緊張を背景に需要が強い。2027会計年度の国防費要求には大幅な増額が盛り込まれ、電子戦、宇宙監視、対無人機、指揮通信が重視されている。ただし、要求額は議会の承認を意味しない。財政赤字と利払いの拡大は、長期には国防予算の配分を厳しくする可能性がある。装備の近代化には予算が付いても、一般的なIT運用や人的支援が同じ率で増えるとは考えない。
市場の物差しとして、政府のIT支出は年間約1,000億ドル、連邦IT契約の直近12か月の発注額は約744億ドルである。後者の集計ではCACIのシェアは約2.9%、レイドス4.1%、ブーズ・アレン3.7%、SAIC2.3%、パランティア1.6%だった。CACIは有力企業の一つだが、顧客が切り替えられないほど支配的な企業ではない。電子戦・宇宙機器と人的任務支援では市場の定義が異なるため、それぞれの数量とシェアを別に考える。
技術の方向は二極化している。電子戦、赤外線センサー、妨害電波への耐性、機密環境でのシステム統合は、現物の装置と現場の検証が必要になる。AIはその性能を高める道具になりやすい。他方、業務ソフトの開発、情報整理、分析報告、定型運用は、AIエージェントが仕事を直接引き受ける。政府が情報保護を理由に導入を遅らせても、10年間その遅れが続くと考えるのは危険だ。
電子戦・宇宙ではL3ハリス、ノースロップ・グラマン、BAEシステムズに加え、アンドゥリルなど新興勢力が強まる。政府ITではレイドス、ブーズ・アレン、SAIC、アクセンチュア・フェデラル、パランティアが競合する。電子戦の製品売上だけを取り出した各社の比較可能なシェアは開示されていないため、事業領域別のシェアは推定として扱う。
10年の中立では、電子戦・宇宙の実質市場が3割程度広がり、CACIがその中でシェアを伸ばすと見る。一方、人的サービスは市場全体が維持されても、同じ仕事を行う人の数が減り、CACIの取扱量は縮小する。市場が大きくなることと、請負企業の売上が増えることを区別する必要がある。
資本政策と M&A
資本配分は技術事業を買収で厚くする方針が中心である。2024年10月にはアジュール・サミット・テクノロジーを約12.75億ドルで取得し、電磁波技術を強化した。2026年3月にはARKAを約26.4億ドルで買収し、衛星センサーとAIを使う地理空間情報処理を取り込んだ。いずれも事業上の方向は明確だが、将来の超過利益で買収価格を回収できるかは別問題である。
大型買収を重ねた結果、2026年6月末の純有利子負債は約52億ドル、EBITDAの約4.4倍となった。借金を約5.75%で借り換えると、現在より年間1億ドル前後の税前利益が失われる可能性がある。2026年7~9月期には実際に利払いが増え、営業増益が純増益に十分つながらなかった。まず負債の削減を優先する方針が合理的である。
2026年10月に会社は2027年6月期の売上見通しを107~109億ドルへ引き上げた。調整後純利益は7.4~7.6億ドル、フリーキャッシュフローは少なくとも9億ドルとした。ただし調整後純利益には買収無形資産の償却の足し戻しがあり、株主価値の計算にはGAAP純利益の見通し5.79~5.99億ドルを使う。3か年目標は高い1桁の売上成長、EBITDA利益率11%台半ば、累計フリーキャッシュフロー16億ドル以上だった。会社はこの達成を上回る見込みを示している。
配当は実施していない。2023年に承認された自社株買い枠は7.5億ドルで、2026年6月末の残枠は約1.87億ドルだった。買い戻しは買収時に抑制されており、長期の一定額を保証するものではない。新たな枠の承認と返済余力に応じて還元が変わる。普通株以外の発行済み優先株はなく、支配株主による特別な利益移転構造も認められない。買収後は自社株買いより負債の返済と増分投資の利回りを重視したい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
CACIは単なる政府向け人材会社から、独自技術を持つ国防技術企業へと変わりつつある。2026年6月期のTechnology売上は16.9%増え、Expertiseの3.5%増を大きく上回った。2026年9月末の受注残は340億ドルで、直近四半期の受注は売上の2倍に達した。中央軍のApollo契約や特殊作戦部隊向けの任務支援では、既存の顧客関係が新たな仕事につながっている。国防の機密分野で新規参入者がこうした信頼を得るには、長い時間がかかる。
最も大きな機会は、戦争の形が変わることだ。安価なドローンが大量に使われ、電波妨害や偽装が日常的になれば、敵の通信を見つける装置と、自軍の通信を守る装置の重要性は高まる。CACIはアジュール・サミットの高周波技術を取得し、さらにARKAの衛星センサーと解析技術を加えた。2026年にはSkyValorの配備やSpectralの生産移行も進んでおり、研究成果を製品の売上に変える段階へ移りつつある。
電子戦の装置が一度採用されれば、軍は訓練、補修、更新を長く続ける。価格が多少上がっても、実任務で稼働するシステムを容易には変更できない。会社が独自製品の割合を高めれば、利益率は現在の9%台から大きく改善できる。技術部門の再投資先が増え、買収資産も想定以上に稼ぐ可能性がある。
AIについても、CACIは一方的に不利な会社ではない。ARKAにはAIを使って地理空間情報を処理する技術があり、機密環境でAIを実装する能力を持つ。顧客が求めるのは文章の作成そのものではなく、戦場で使える判断や通信能力だ。AIが作業を速くしても、機密情報を扱う資格と実装技術が競争力を守る部分がある。
10年で人的サービスが減っても、電子戦・宇宙技術の成長が十分に大きければ全社の利益は大幅に増える。営業利益率が14%台へ近づき、負債を削減した後の現金を株主還元に回せるようになれば、現在の株主にも相応の利益が残る。これは単なる予算増ではなく、より質の高い技術へ収益源を移すことで実現する道筋である。
慎重な見方
CACIの弱点は、政府との長期関係があっても、収益を得る単位が人の工数に依存していることである。Expertiseは2026年の売上の41.6%を占め、Technologyにも業務システムの受託開発が含まれる。AIエージェントが分析、プログラミング、報告、監視の仕事を直接行えば、必要な人員は減る。固定価格の契約では利益が増えても、次の入札ではその効率化が価格に織り込まれる。人を増やすことで成長した過去の10年を、次の10年へ延長するのは危険だ。
政府の仕事は一度受注すれば永久に続くわけではない。契約は更新され、異議申し立てや予算停止も起きる。2026年7~9月期の売上は買収を含めて8.2%伸びたが、買収を除けば2.1%にすぎなかった。受注残340億ドルもすべてが確定した売上ではなく、資金が付いている残高は62億ドルだった。10年間の価値を確実に保証する数字とはいえない。
さらに、技術分野ではCACI自身が競争を受ける。L3ハリスやノースロップ・グラマンは大規模な軍用電子機器の開発力を持つ。アンドゥリルは新しい無人機・電子戦技術の導入方法を変え、パランティアは情報分析の基盤を押さえようとしている。国防省が従来の請負方式を見直し、完成した製品や成果を買う方向に移れば、人月を提供する企業には不利な競争となる。
ARKAの買収も安全とはいえない。26億ドルを超える取得価格には、将来の顧客関係と開発技術に対する期待が含まれる。2026年末時点の純有利子負債は52億ドルに達し、借り換え金利の上昇によって利払いが利益を圧迫する。買収企業の開発が遅れ、受注を他社に取られれば、のれんや無形資産の減損まで生じる。
財務の床も厚くない。自己資本の大部分は買収で生じたのれんと無形資産に支えられており、事業が構造的に衰退した際には売却して回収できる資産ではない。売掛金や設備を処分しても、借金とその他の債務を返すと株主にはほとんど残らない。競争力を失った場合の損失を、現在の自己資本だけで止めることはできない。
どちらに重みを置いたか
事業の継続性では強気の見方に分がある。電子戦と宇宙技術の需要は長く残り、CACIがその一角を占め続ける可能性は高い。ただし、株主利益と現在の値段の評価では慎重な見方が強い。人的サービスの縮小を技術製品が補えるとしても、借金の返済と製品開発に資金が必要になる。
確率は楽観側28%、中立34%、悲観側38%とした。悲観側を厚くした理由は、買収価格の回収、単一の政府顧客への依存、競争入札、負債返済の実行が重なるためである。AIによる数量減少は中立の事業予測に既に織り込んでおり、同じ理由で資本コストを引き上げていない。現在の時価総額と比べた本質価値の差は約マイナス53%で、割高という判断になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 600.40 ドル133 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 106.65 ドル24 億ドル)。 今の値に割り戻すと 336.47 ドル75 億ドル、今との差 −50.2%、 期待の年率 +0.5%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 1,308 ドル290 億ドル | 248.02 ドル55 億ドル | +130.4% | +9.7% | 140.07 ドル31 億ドル |
| やや楽観 | 19% | 971.56 ドル215 億ドル | 171.36 ドル38 億ドル | +69.2% | +5.9% | 217.15 ドル48 億ドル |
| 中立 | 34% | 704.27 ドル156 億ドル | 117.24 ドル26 億ドル | +21.6% | +2.1% | 279.31 ドル62 億ドル |
| やや悲観 | 25% | 213.76 ドル47 億ドル | 40.58 ドル9 億ドル | −62.4% | −9.9% | 63.59 ドル14 億ドル |
| 悲観 | 13% | 39.68 ドル9 億ドル | 13.53 ドル3 億ドル | −92.1% | −24.1% | 6.92 ドル2 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 600.40 ドル133 億ドル | 106.65 ドル24 億ドル | +4.7% | +0.5% | 707.05 ドル157 億ドル |
今の株価時価総額 675.62 ドル150 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 楽観:電子戦・宇宙の独自製品が主力となり、人的サービスの縮小を大きく上回る 利益 20 億ドル · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,308 ドル290 億ドル
2036年、電子戦と宇宙監視の需要が一段と強まる。米軍が対無人機装備、信号情報収集、宇宙搭載センサーに資金を振り向け、CACIの独自技術が複数の主要プログラムに採用される。対象市場は実質約1,250億ドルへ拡大し、CACIのシェアは約6%に上がる。価格は10年間で1.48倍となり、実績を持つ製品では物価以上の値上げが通る。製品の量産と保守の拡大で電子戦・宇宙事業の営業利益率は19.8%に達する。
一方、政府向けデジタル受託ではAIエージェントによって開発工数が減る。市場の支出が増えてもCACIの数量は現在をわずかに下回る。専門人員支援も配置人数は減るが、機密資格と現場経験を必要とする案件が残り、単価は物価に近い伸びを維持する。これらの分野の利益率は固定価格契約への移行と効率化によって比較的高い水準を守る。
ARKA買収の投下資本が十分な利益を生み、追加の大型買収は行わず、借金を減らす。10年間の純利益累計は約126.5億ドル、正味の株主還元は55億ドル、期末自己資本は116.1億ドルとなる。利益の源泉が技術製品に移ることで、競争優位は現在より明確になる。
- 電磁波・電子戦・宇宙技術:数量 75.5(対象となる電子戦・宇宙・機密通信技術市場の実質規模×CACIシェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.48(同種の装置・開発成果・実装案件の平均販売単価指数(FY2026=1))→ 売上 112 億ドル・営業利益 22 億ドル。実質市場約1,250億ドル×推定シェア6.0%。独自製品の採用拡大で数量2.25倍、価格1.48倍。
- 政府向けデジタル開発・システム近代化:数量 22.0(連邦政府のIT契約市場の実質規模×CACIの受注・実行シェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.34(同等の開発・運用成果1単位当たりの契約単価指数(FY2026=1))→ 売上 29 億ドル・営業利益 3 億ドル。実質市場約1,050億ドル×シェア約2.1%。AIエージェント代替で数量は現在の0.99倍。
- 専門人員による情報・任務支援:数量 38.5(政府向け技術・専門支援サービスの実質市場規模×CACIの担当業務シェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.34(契約工数・任務成果1単位当たりの平均請求価格指数(FY2026=1))→ 売上 52 億ドル・営業利益 4 億ドル。実質市場約1,600億ドル×推定シェア2.4%。人月数量は現在の0.97倍で、単価は物価におおむね連動。
倍率:資本コストk8.5%、10年目のROE=19.9÷116.1=17.14%。会社全体のmoatはnormalで、超過ROEの残存割合1/2を採用する。RONIC=8.5%+0.5×(17.14%-8.5%)=12.82%。g_longは2.5%で、電子戦・宇宙の長期成長4%程度とAI影響下の人月・デジタル受託0%を加重している。10年目利益に掛ける正当化PER=(1-2.5%÷12.82%)÷(8.5%-2.5%)×1.025=13.75倍。AI代替の影響を数量とg_longに織り込んでいるため、この上限を採用する。GAAP純利益19.9億ドル×13.75倍=273.62億ドル。買収償却と株式報酬の足し戻しは行わない。
確率:ARKAとアジュール・サミットの技術が国防の主力案件に広く採用され、独自技術のシェアが大幅に上昇する場合。AIで減る人月収入を補うには電子戦・宇宙が極めて好調である必要があり、確率は9%に抑える。AI関連の新規製品収入を金額で確認できないデジタル受託については、楽観でも数量を現在以下にする。
やや楽観 19% やや楽観:独自技術が拡大し、負債返済も進む 利益 15 億ドル · PER 13.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 971.56 ドル215 億ドル
電子戦・宇宙技術の需要が着実に伸びる。CACIは高周波装置や衛星センサーで採用を増やし、実質市場約1,120億ドルに対してシェア約5.8%を得る。独自の装置と更新・保守収入が厚くなり、同事業の営業利益率は17.6%になる。アジュール・サミットとARKAの取得によって得た技術が複数の顧客に広がり、従来より高い付加価値を持つ会社になる。
ただし、政府向けソフト開発と専門人員支援ではAIエージェントが工数を削る。デジタル受託の数量は現在の約88%、人的任務支援は約87%に減る。機密を扱う作業は残り、成果物の質が高い契約では一定の料金を維持できるが、従来の人月売上を完全には守れない。レイドスやブーズ・アレンとの競争も続く。
10年間の利益累計は約100.5億ドルとなり、負債の削減と38億ドルの正味還元を両立する。営業利益率の改善によって営業利益は21.3億ドルとなる。事業の寿命と利益率への信頼は現在より増すが、人的サービスが残るため、会社全体が製品独占企業になるわけではない。
- 電磁波・電子戦・宇宙技術:数量 65.2(対象となる電子戦・宇宙・機密通信技術市場の実質規模×CACIシェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.44(同種の装置・開発成果・実装案件の平均販売単価指数(FY2026=1))→ 売上 94 億ドル・営業利益 17 億ドル。実質市場約1,120億ドル×シェア約5.8%。市場拡大に加え契約を奪取し、数量は現在の1.95倍。
- 政府向けデジタル開発・システム近代化:数量 19.7(連邦政府のIT契約市場の実質規模×CACIの受注・実行シェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.31(同等の開発・運用成果1単位当たりの契約単価指数(FY2026=1))→ 売上 26 億ドル・営業利益 3 億ドル。AI代替で工数数量0.88倍。成果型への移行を一部認めるが、価格の伸びは物価以下。
- 専門人員による情報・任務支援:数量 34.8(政府向け技術・専門支援サービスの実質市場規模×CACIの担当業務シェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.33(契約工数・任務成果1単位当たりの平均請求価格指数(FY2026=1))→ 売上 46 億ドル・営業利益 3 億ドル。実質市場約1,540億ドル×シェア約2.3%。資格が必要な任務は残るが、人月数量は0.87倍。
倍率:k8.5%、ROE=14.7÷107.1=13.73%。moatはnormalでRONIC=8.5%+0.5×(13.73%-8.5%)=11.11%。g_long2.5%は電子戦・宇宙の実質需要増と物価上昇、人的受託の成長ゼロを加重した値。正当化PER=(1-2.5%÷11.11%)÷(8.5%-2.5%)×1.025=13.24倍。AIリスクは既に受託数量の縮小とg_longに反映しているため式の上限を採用する。純利益は買収償却と株式報酬を費用に含むGAAP14.7億ドルで、時価総額は194.63億ドル。
確率:受注残と製品開発の進展が収益につながり、技術製品が人的サービスの縮小を補う場合。国防技術への移行には合理性があるが、大型買収の成果と競争入札の不確実性を考え19%とする。
中立 34% 中立:電子戦・宇宙が伸びても、人月サービスの縮小で成長は緩やかになる 利益 10 億ドル · PER 12.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 704.27 ドル156 億ドル
2036年、電子戦・宇宙技術の実質市場は約1,000億ドルとなる。CACIは独自製品の採用を増やし、シェアを現在の約4.5%から5.4%へ伸ばす。価格は物価上昇に沿って1.41倍となり、数量も現在の約1.62倍に増える。営業利益率は16.4%へ改善する。ARKAの買収は一定の成果を生むが、市場を独占できるわけではなく、L3ハリスやノースロップ・グラマンとの競争は続く。
政府向けデジタル受託は、AIエージェントによる開発・運用工数の削減で実質数量が0.68倍になる。市場そのものは広がるが、CACIのシェアは低下する。価格は1.30倍で物価上昇に届かない。専門人員支援も数量が0.68倍となる。機密現場の任務は維持されるが、情報分析や資料作成では少人数で同じ成果が得られるため、必要な契約工数は減る。
全社売上は約131億ドル、営業利益は15.3億ドル、GAAP純利益は10.2億ドルとなる。2026年の純利益5.4億ドルから10年間の平均的な成長を想定すると、累計利益は約78億ドルとなる。そこから正味26億ドルを還元し、期末自己資本は96.6億ドルに増える。借金の返済を先に進めることで利払いを抑え、営業利益の伸びが株主利益につながる。技術企業への転換は進むものの、高い収益性を持つ独占的な会社にはならない。
- 電磁波・電子戦・宇宙技術:数量 54.3(対象となる電子戦・宇宙・機密通信技術市場の実質規模×CACIシェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.41(同種の装置・開発成果・実装案件の平均販売単価指数(FY2026=1))→ 売上 77 億ドル・営業利益 13 億ドル。実質市場約1,000億ドル×シェア5.4%。市場数量の伸び約1.33倍とシェア拡大で数量1.62倍。単価は物価並み。
- 政府向けデジタル開発・システム近代化:数量 15.2(連邦政府のIT契約市場の実質規模×CACIの受注・実行シェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.30(同等の開発・運用成果1単位当たりの契約単価指数(FY2026=1))→ 売上 20 億ドル・営業利益 2 億ドル。実質市場約930億ドル×シェア約1.6%。AIエージェント代替で数量0.68倍、単価は物価を下回る1.30倍。
- 専門人員による情報・任務支援:数量 27.1(政府向け技術・専門支援サービスの実質市場規模×CACIの担当業務シェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.27(契約工数・任務成果1単位当たりの平均請求価格指数(FY2026=1))→ 売上 34 億ドル・営業利益 2 億ドル。実質市場約1,510億ドル×シェア約1.8%。人月型の数量は0.68倍、契約単価は1.27倍。
倍率:k8.5%、ROE=10.2÷96.6=10.56%。会社全体のmoatはnormalで、RONIC=8.5%+0.5×(10.56%-8.5%)=9.53%。g_long2.5%は電子戦・宇宙技術の需要成長と名目価格上昇、デジタル受託・人月型の長期成長0%を利益構成で加重した値。正当化PER=(1-2.5%÷9.53%)÷(8.5%-2.5%)×1.025=12.60倍。AI代替で中立数量と長期成長を既に引き下げているため、倍率の式をさらに割り引かない。純利益10.2億ドルはGAAPで、買収無形資産の償却および株式報酬を足し戻さない。時価総額は128.52億ドル。ROEは帳簿自己資本を分母とし、40%以下であるためROICによる置き換えは行わない。
確率:電子戦・宇宙技術の需要は増え、会社は一定のシェアを確保する。他方、政府向けIT開発と人月支援の数量はAIエージェント代替で約3分の1減る。現在の受注と買収済み技術の価値を認めつつ、全社の高成長が続くとはみない。最も起こりやすい筋書きとして34%とする。
やや悲観 25% やや悲観:政府の効率化と新興企業との競争で技術・人月の両方が弱る 利益 3 億ドル · PER 9.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 213.76 ドル47 億ドル
2036年、国防予算は名目では増えているが、新型装備への投資が優先され、従来型の政府ITや人員支援への支出は抑えられる。アンドゥリル、L3ハリス、ノースロップ・グラマンが電子戦の新しい契約を獲得し、CACIのシェア拡大は止まる。電子戦・宇宙事業の実質市場は約900億ドルにとどまり、CACIのシェアは約4.4%となる。価格の伸びも1.30倍に抑えられ、製品の営業利益率は11%へ下がる。
政府向けデジタル受託ではAIエージェントと政府の内製化が進む。人が設計・運用する仕事の必要量が大きく減り、数量は現在の0.55倍、価格は1.12倍にとどまる。専門人員支援でも、分析・計画・定型運用の自動化によって数量は0.52倍となる。機密施設での現場作業は残るが、契約の更新時に単価と人員の双方を見直される。
売上は約90億ドルとなり、営業利益は6.6億ドルに縮む。借り換え利払いが重く、純利益は2.9億ドルにとどまる。会社は追加買収を控え、負債返済を優先するため、10年間の正味還元は9億ドルに抑えられる。利益の累計は約41.5億ドル、期末自己資本は77.1億ドルとなるが、収益性が資本コストを下回るため、帳簿の増加がそのまま株主価値の増加にはならない。
- 電磁波・電子戦・宇宙技術:数量 39.4(対象となる電子戦・宇宙・機密通信技術市場の実質規模×CACIシェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.30(同種の装置・開発成果・実装案件の平均販売単価指数(FY2026=1))→ 売上 51 億ドル・営業利益 6 億ドル。実質市場約900億ドル×シェア約4.4%。製品採用が競合へ流れ、数量は1.18倍止まり。
- 政府向けデジタル開発・システム近代化:数量 12.3(連邦政府のIT契約市場の実質規模×CACIの受注・実行シェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.12(同等の開発・運用成果1単位当たりの契約単価指数(FY2026=1))→ 売上 14 億ドル・営業利益 1 億ドル。AIと内製化で数量0.55倍。人件費の削減効果は契約の再入札で顧客に移る。
- 専門人員による情報・任務支援:数量 20.7(政府向け技術・専門支援サービスの実質市場規模×CACIの担当業務シェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.20(契約工数・任務成果1単位当たりの平均請求価格指数(FY2026=1))→ 売上 25 億ドル・営業利益 1 億ドル。人月数量0.52倍、価格1.20倍。政府の契約効率化でシェアは約1.4%まで低下。
倍率:ROE=2.9÷77.1=3.76%でk8.5%を下回るため、利益の再投資で超過価値は生まれない。RONIC=8.5%+0.5×(3.76%-8.5%)=6.13%。g_longはAI代替を考慮した全社の2.5%を共通の長期前提とするが、この筋書きでは資本効率が低く、継続利益の価値は1÷k=11.76倍を上限とする。収益力の劣化と政府の価格交渉力を考慮してPER9.0倍とし、純利益2.9億ドル×9.0倍=26.1億ドル。中立の12.6倍より低く、稼ぐ力の上限2.9÷8.5%=34.1億ドルを超えない。過去の市場PBRは使わない。
確率:連邦予算の伸びが鈍化し、AIの利用が進むことで従来型の受託・専門人員需要が想定より速く減る。電子戦技術は残るものの競合との価格競争で十分な超過利益を得られない。買収負債の重さと政府の入札構造から25%とする。AIの数量への影響自体は中立にも織り込んでいる。
悲観 13% 悲観:電子戦でもシェアを失い、人月型事業が半減して買収価値が毀損する 利益 1 億ドル · PER 8.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 39.68 ドル9 億ドル
2036年、国防の電子戦・宇宙需要は残るが、CACIは主要な新規プログラムの採用を逃す。アンドゥリルやL3ハリスなどが新技術で先行し、CACIの既存技術は保守や旧式装置の更新に偏る。対象市場が実質約930億ドルへ広がっても、シェアは約3.6%まで低下する。販売数量は現在と同程度にとどまり、価格の伸びも1.22倍に抑えられる。電子戦・宇宙事業の営業利益率は10%へ下がる。
政府向けデジタル受託はAIエージェントと政府の直接調達に押され、数量が0.43倍に縮む。専門人員支援も数量が0.40倍となり、文書分析、開発、計画支援の仕事が大量に失われる。機密現場の特殊作業は残るが、必要な人数は減る。会社全体の売上は約69億ドル、営業利益は4.2億ドルとなる。利払いと税負担を差し引いた純利益は1.1億ドルにとどまる。
ARKAなどで取得した技術や顧客関係の一部が期待した収益を生まず、期間中に税後約10.5億ドルののれん・無形資産減損が生じる。10年間の通常年度利益の合計約33億ドルから減損を差し引き、GAAP純利益累計は22.5億ドルとなる。還元は正味3億ドルに抑えられ、期末自己資本は64.1億ドルとなるが、その大部分は売却しにくい事業資産である。存続する会社としての価値は僅かな稼ぐ力に依存する。
- 電磁波・電子戦・宇宙技術:数量 33.5(対象となる電子戦・宇宙・機密通信技術市場の実質規模×CACIシェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.22(同種の装置・開発成果・実装案件の平均販売単価指数(FY2026=1))→ 売上 41 億ドル・営業利益 4 億ドル。実質市場約930億ドル×シェア約3.6%。市場は成長するが採用を逃し、自社数量は横ばい。
- 政府向けデジタル開発・システム近代化:数量 9.6(連邦政府のIT契約市場の実質規模×CACIの受注・実行シェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.07(同等の開発・運用成果1単位当たりの契約単価指数(FY2026=1))→ 売上 10 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェント代替で数量0.43倍。価格1.07倍で実質的に大幅な値下げとなる。
- 専門人員による情報・任務支援:数量 15.9(政府向け技術・専門支援サービスの実質市場規模×CACIの担当業務シェア(FY2026価格の億ドル相当))× 価格 1.10(契約工数・任務成果1単位当たりの平均請求価格指数(FY2026=1))→ 売上 17 億ドル・営業利益 0 億ドル。人月数量0.40倍。高付加価値の任務以外では価格競争が強まり、利益率は2%。
倍率:純利益1.1億ドル、自己資本64.1億ドルでROEは1.72%。k8.5%を大きく下回る。moatはこの筋書きでは実質的に弱まっており、将来の再投資に超過利益を認めない。成長前提を価値に足し込むより、残る事業の稼ぐ力を保守的に評価する。PER8.0倍でmcapは8.8億ドル。稼ぐ力の上限である1.1÷8.5%=12.94億ドルを下回り、税後売却可能資産の床0億ドルを上回る。過去のPBRの底や蓄積した帳簿自己資本を床に使わない。
確率:AIによる工数削減に加え、電子戦・宇宙分野でも競合に技術と契約を奪われ、買収無形資産が減損する構造的な敗北。国防という顧客の需要そのものは消えないため倒産を中心には置かないが、純負債が大きく株主の残余価値は薄い。確率は13%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
電磁波・電子戦・宇宙技術
ソフトウェア制御の電子戦装置、高周波技術、対無人機システム、宇宙センサー、衛星画像・信号処理を提供する。会社開示のTechnologyのうち、現物の装置と独自技術が主要な価値となる部分を推定して切り出した。
| 数量対象となる電子戦・宇宙・機密通信技術市場の実質規模×CACIシェア(FY2026価格の億ドル相当) | 価格同種の装置・開発成果・実装案件の平均販売単価指数(FY2026=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 33.5 | 1.00 | 34 | 5 |
| 10 年後 中立 | 54.3 | 1.41 | 77 | 13 |
取り方:2026年6月期のTechnology売上55.8億ドルから、政府向けITの契約市場とCACIの連邦IT契約額に相当する約22.3億ドルをデジタル受託として分け、残る33.5億ドルを電子戦・宇宙・その他の独自技術関連と推定した。厳密な製品別売上・営業利益は非開示であり、会社公表の正式セグメントではない。対象市場は国防の調達・研究開発予算のうち、電子戦、宇宙監視、特殊通信などに対応する約750億ドルと推定し、CACIのシェアを約4.5%とした。市場規模とシェアは分析用推定である。競合はL3ハリス、ノースロップ・グラマン、BAEシステムズ、アンドゥリル。各社が同じ製品市場の売上を開示していないため、比較可能な競合シェアは算定できない。営業利益5.1億ドルは装置の開発・販売に比較的高い利益率があるとみた配賦推定。ARKAは2026年3月に取得済みなので基準の事業に含む。現物の装置と機密現場の統合が中心で、AIエージェント代替による人月削減を全体に一律適用しない。
政府向けデジタル開発・システム近代化
行政・国防の業務アプリケーション、データ統合、クラウド移行、サイバー運用、システム開発・保守を請け負う。会社のTechnologyに含まれるが、収益の相当部分は開発者の工数と案件ごとの納入に依存する。
| 数量連邦政府のIT契約市場の実質規模×CACIの受注・実行シェア(FY2026価格の億ドル相当) | 価格同等の開発・運用成果1単位当たりの契約単価指数(FY2026=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 22.3 | 1.00 | 22 | 2 |
| 10 年後 中立 | 15.2 | 1.30 | 20 | 2 |
取り方:2026年10月26日時点のFederalBidAlertsによる直近12か月の連邦IT契約市場は約744億ドル。CACIへの義務付け額は約21億ドルでシェア2.9%、レイドス4.1%、ブーズ・アレン3.7%、SAIC2.3%、パランティア1.6%。この契約市場を数量の基礎とし、会社のTechnology全体に含まれるシステム開発・運用収入について、国際業務と契約実行時期の差を含め約22.3億ドルと推定した。政府ITの総予算約1,000億ドルは契約市場とは定義が異なる。営業利益は9%台を推定し、会社の開示値ではない。会計・給与などの記録の正本を独占する証拠や解約率5%未満の開示は確認できず、AIエージェント代替では人月・受託開発型とする。
専門人員による情報・任務支援
機密情報分析、特殊作戦支援、技術者派遣、軍の計画立案、ネットワーク分析、船舶・設備の設計支援などを行う。人の資格と経験が価値の中心で、原価加算型や時間・材料型の契約が多い。
| 数量政府向け技術・専門支援サービスの実質市場規模×CACIの担当業務シェア(FY2026価格の億ドル相当) | 価格契約工数・任務成果1単位当たりの平均請求価格指数(FY2026=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 39.9 | 1.00 | 40 | 2 |
| 10 年後 中立 | 27.1 | 1.27 | 34 | 2 |
取り方:会社が2026年6月期のExpertiseとして開示した39.85億ドルを基礎とし、丸め差を含め39.87億ドルとした。市場は国防省の技術・運用支援契約に情報機関と連邦民間機関の類似業務を加え、約1,350億ドルと推定する。CACIのシェアは約3.0%。この市場は厳密な統計分類ではなく、情報機関の機密調達と競合の事業別売上が公開されないため、各社の同一母集団シェアは確定できない。2026年の連邦ハイテク契約ランキングでは、CACIの対象契約額57.4億ドルに対しレイドス118.4億ドル、ブーズ・アレン93.2億ドルであり、競争の規模感を示す。利益率5%程度は人件費中心の契約構造からの推定。機密現場の作業には保護があるが、分析・計画・資料作成の自動化が進むため、AIエージェント代替では原則として人月型を採用する。
リスクと懸念
AIエージェント代替
CACIの売上の41.6%はExpertiseであり、Technologyにも業務システムの受託開発が含まれる。AIエージェントは情報分析、コード作成、監視、報告書作成の人手を減らせる。人月・工数で請求する契約では、生産性向上が売上減少につながる。機密資格や現場での作業が残るとしても、全仕事が保護されるわけではない。中立ではデジタル受託と人的任務支援の実質数量を、それぞれ約0.68倍とした。
政府予算への集中と契約の再入札
米国連邦政府への依存は売上の95.6%に達する。政府が予算配分を変更したり、つなぎ予算で新規案件を延期したりすると売上が遅れる。契約は長くても更新時には競争入札があり、受注残のすべてに資金が付いているわけではない。2026年9月末の総受注残340億ドルに対し、資金確保済みの残高は62億ドルだった。受注の維持と実際の資金化を分けて確認する必要がある。
買収負債と金利負担
ARKAの約26.4億ドルの買収によって有利子負債が増え、2026年6月末の純負債は約52億ドルとなった。借り換え金利が約5.75%で定着すれば、会社が負債を減らさない限り利払いが利益を圧迫する。2026年7~9月期は営業利益が16.6%増えた一方、純利益の伸びは4.5%だった。フリーキャッシュフローを新たな買収へ使い続けると、株主の安全域がさらに薄くなる。
電子戦・宇宙技術での競争
CACIは電子戦や宇宙センサーを成長の核としているが、L3ハリス、ノースロップ・グラマン、BAEシステムズ、アンドゥリルとの競争が強い。政府が新興企業の完成品を直接採用したり、従来の大型請負契約を小さな開発案件に分けたりすれば、既存の契約関係が持つ優位は弱まる。ARKAの技術が主要なプログラムで採用されなければ、買収価格に見合う利益を回収できなくなる。
のれんと取得無形資産の減損
2026年6月末ののれんは約64.8億ドル、その他の無形資産は約20.7億ドルで、合わせると自己資本を大きく超える。これらは将来の収益に対する期待であり、設備や現金のように容易に売却できない。買収した技術の陳腐化や契約の喪失が起きれば、減損が純利益と帳簿自己資本を削る。悲観では税後の売却可能資産から負債を差し引いた床を0億ドルとみた。
機密技術者の確保と固定価格契約
機密資格を持つ技術者はCACIの競争力を支えるが、その確保には高い人件費がかかる。技能者の不足、賃上げ、採用の遅れが続くと、契約の履行費用が増える。固定価格契約では予想外の費用を顧客に転嫁しにくく、製品開発や納入に遅れが出れば利益率が急に下がる。AIによる省人化が進む部分と、現場の技術者が不足する部分が同時に存在する点にも注意が必要だ。
株主還元の実質額
配当はなく、自社株買いは買収と負債の状況に応じて変動してきた。株式報酬を打ち消すための買い戻しは、株主への正味の還元には含められない。2026年6月末の自社株買い残枠は約1.87億ドルであり、将来の大きな買い戻しは新たな承認が必要になる。還元よりも買収を優先し続ければ、事業の成長が株主の手元に届くまで時間がかかる。
今後の分かれ目
- 電子戦・宇宙技術の売上が年率10%を超えて伸び、営業利益率も16%を超えたら
- 独自製品の採用が増えている証拠となる。中立からやや楽観へ評価を移し、利益の増加と長期の資本効率改善を認める。
- Technology売上の伸びが5%未満となり、買収を除いた成長も2%程度にとどまったら
- 製品事業への転換が想定より遅いと判断する。人月サービスの縮小を補えない可能性が高まり、やや悲観の重みを増す。
- AI導入によってデジタル受託・Expertiseの人月数量が現在から3年間で20%以上減ったら
- AIエージェント代替が中立より速く進んでいると判断する。成果報酬型契約が増えていなければ、10年後の数量と利益率を下方修正する。
- 純有利子負債がEBITDAの2倍以下に低下し、同時にフリーキャッシュフローが年9億ドル以上を維持したら
- 買収後の財務リスクが大きく下がる。金利負担の減少と自社株買いの余力を認め、価値の見方を上方へ修正する。
- ARKAの主要技術が国防・宇宙の複数プログラムに採用され、買収後の増分ROICが10%を超えたら
- 大型買収が資本コストを上回る利益を生んだと判断できる。電子戦・宇宙の堀と将来利益への確信を高める。
- 国防予算の削減や入札敗北で受注残が2四半期連続して減り、資金確保済み受注残も減少したら
- 短期の案件時期のずれではなく、競争力か予算構造の変化を疑う。電子戦・宇宙技術の数量とシェアを再評価する。
- 大規模な買収を再開し、純負債がEBITDAの4倍超にとどまったら
- 資本配分の規律に疑問が生じる。買収による売上増をそのまま評価せず、利払いと投下資本の回収率を重く見る。
見ておくもの
- 四半期のTechnologyとExpertiseの売上成長率、および買収を除く有機的成長率
- 電子戦・宇宙・対無人機の製品採用、SkyValorの配備、Spectralの量産と後続契約
- ARKAの事業成長、取得技術の商用化、買収の増分ROIC
- 総受注残と資金確保済み受注残、受注額÷売上高、新規案件の比率
- 政府向けデジタル受託と人的任務支援の契約工数、AI導入による削減率
- 原価加算型・固定価格型・時間材料型の契約構成と営業利益率
- 純有利子負債÷EBITDA、利息費用、借り換え金利と返済額
- GAAP純利益と調整後純利益の差、買収無形資産の償却と株式報酬
- フリーキャッシュフローから借金返済と買収を差し引いた正味の株主還元
- 米国防予算の成立状況、電子戦・宇宙技術への資金配分、競合の採用実績
倍率と資本コストの決め方
時価総額140.6億ドルや現在の市場PERを、将来の倍率の出発点には使っていない。会社開示のTechnology58.4%とExpertise41.6%を基礎に、政府ITの契約市場と電子戦・宇宙の推定市場を用いて数量と価格を組み立てた。人月型のデジタル受託と専門人員支援は、AIエージェント代替によって中立数量を約0.68倍とし、物価未満の価格上昇を採用した。倍率はk8.5%、g_long2.5%、通常の堀のRONICを使う利益ベースの正当化PERで、10年目利益に対応するよう1+gを掛けている。GAAP純利益は買収償却と株式報酬を費用としており、調整後利益を二重に評価していない。現金1.9億ドルに対し有利子負債53.8億ドルで、余剰純現金はない。自己資本は今の44.6億ドルに期間のGAAP利益累計を足し、株式報酬と増資払い込みを差し引いた正味還元を控除した。悲観では減損込みの累計利益を用いた。会社の実決算期は6月末だが、fyは添付factsの年/12表記にそろえた。結果の大幅な割高判定を市場価格に合わせて修正していない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%に事業品質による+0.5%を加え、資本コストを8.5%とする。レイドスと同程度の水準だが、CACIは2026年のARKA買収後の純負債が大きい。国防需要の景気耐性がその一部を相殺する。AI代替、M&Aの成果、政府予算の変化は数量・利益率・確率で扱い、追加の上乗せはしない。