結論
アメリカン航空は、米国内と欧州・中南米を結ぶ大手ネットワーク航空会社である。株主としての結論は適正圏だが、長期保有に必要な安全域は乏しい。路線網とマイル会員の価値より、機材更新と債務返済に利益を吸い取られる構造を重く見ている。
2025年の売上は546億ドル、営業利益は16億ドル、純利益は1億ドルにすぎなかった。純有利子負債は294億ドル、自己資本はマイナス37億ドルである。2026年7〜9月期は売上が前年同期比19%伸びたが、燃料費は約19億ドル増え、最終損益は約3億ドルの赤字となった。10月22日の会社予想も通年の調整後赤字を示し、燃料高は一時的な雑音とは言い切れない。
それでも米国の空の移動は10年後も必要で、ダラス・フォートワースやシャーロットの乗継網はまねしにくい。シティとの10年契約で支えるAAdvantageは、旅客数を増やさず稼げる数少ない資産だ。一方、デルタ航空やユナイテッド航空ほどプレミアム運賃と利益を取り切れていない。競争により増収が増益へ結び付かない可能性が大きい。
2035年の中立は売上約958億ドル、営業利益約55億ドル、純利益28億ドルである。10年の途中は返済を優先し、正味の株主還元はごくわずかにとどまる。燃料・人件費・債務で再び苦しくなる二つの下振れを計46%と重くした。確率を掛けた10年の価値を年10%で割り戻すと約87億ドルとなり、2026年10月23日の台帳時価総額約80億ドルを8%ほど上回るだけだ。数字以上に、下振れで株主の取り分が消えやすい点を忘れてはならない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、航空需要が10年後に残ることと、航空株が10年間よい投資になることは別である。アメリカンの便を必要とする人は多い。ダラス、シャーロット、マイアミを通る網は競合が短期間で模倣できず、AAdvantageの会員には乗り換える不便もある。だが空席は翌日に売れない。需要が落ちた日にも賃金、リース、借入利息は止まらず、株主が受け取る利益は最後の薄い部分になる。
2025年の営業キャッシュフローは31億ドルだったが、設備投資を引いた自由なお金は約7億ドルのマイナスだった。航空機の更新を無視して償却費を利益へ足すのは、事業の維持費を無かったことにする誤りだ。巨額の設備投資から生まれる増分の利益率が10%の資本コストを超えない限り、売上を増やしても株主価値が同じ勢いで増えるわけではない。
もっとも望ましい資本配分は、会員収益で安定した現金を得て、まず高い借入を返すことだ。運賃の値上げだけでなく、飛行機を増やさず得る提携収入と、空港での乗継密度が利益率を上げるかを見たい。2010年代の巨額の自社株買いが、その後の危機に備える余力を減らした歴史は重い。
中立で利益が大きく回復しても、今の時価総額に対する期待価値の上積みはわずかである。悲観で残るのは帳簿上の資産ではなく、債務を返したあとに株主へ届く現金だけだ。今後の運航利益よりも、負債の減り方と維持投資後の現金を確認できるまでは、単に値段が低く見えるという理由で長く保有する会社にはしにくい。
何で稼ぐ会社か
売り物は飛行機の座席であり、数量は有償旅客マイル、価格は1マイル当たり運賃である。2025年の旅客収入496億ドルのうち、国内線が352億ドルを占める。中南米64億ドル、大西洋66億ドル、太平洋14億ドルと続く。国際線ではロンドンなどの乗継網をワンワールド陣営と組み立て、国内線ではダラス・フォートワース、シャーロット、マイアミなどの拠点から地方都市をつなぐ。
米国内では短距離の小型機をアメリカン・イーグルが担う。大型機だけでは埋まらない地方路線を運び、ハブへの集客を高めるためだ。2025年の旅客輸送量は2,503億有償旅客マイル、搭乗率は83.6%だった。機材を飛ばしていない時間も整備費やリース料がかかり、需要が落ちると座席1単位当たりの費用が急増する。
AAdvantageの提携クレジットカードは航空券と異なる収益の入口である。シティなどから受け取る現金は2025年に62億ドルに達した。このうちブランドや会員への販促に相当する収益35億ドルは「その他」に計上され、マイル交換による搭乗分約40億ドルは既に地域別の旅客収入に含まれる。ここを二重計上してはいけない。シティは2026年から米国のカード発行を独占し、マスターカードも長期の決済網を提供する。
貨物輸送は2025年に8億ドル強で、旅客機の貨物室と限られた専用設備を使う。残るその他の収入は6億ドル強である。会社は地域ごとの営業利益を開示しないため、営業利益の分解は路線の燃料・乗務員・整備負担と、会員事業の高い増分利益を踏まえた推計にすぎない。最後に共通のIT、空港、本社費を差し引く構造だ。
優良さと弱いところ
堀、つまり競合がすぐに奪えない強みは、国内ハブの発着枠と乗継便の密度である。ダラス・フォートワースとシャーロットでは運航便の集積が大きく、地方都市の利用者は直行便がなくてもこの網から目的地を選べる。マイアミから中南米への便、ワンワールドの国際提携、法人契約にも乗換えの手間が生まれる。しかし旅行者は運賃と所要時間で比較できるため、網の強さがそのまま値上げの権利にはならない。
会員事業のほうが守りは厚い。AAdvantageのマイル残高、上級会員資格、シティのカード利用は顧客をつなぎとめる。2026年7〜9月期の新規会員登録は27%増、提携カードの決済額は約10%増だった。プレミアム席は座席のおよそ3割で航空券収入のほぼ半分を稼ぐ。機内通信とラウンジへの投資がサービスの差を縮めれば、デルタ航空に流れる高単価客を取り戻す余地がある。
弱さは株主が支払う資本の重さにある。航空機、エンジン、乗務員、整備基地には巨額の資金を継続して投じなければならない。2025年の営業利益率は3%で、同じ旅客輸送領域のデルタ航空やユナイテッド航空が長期中立で目指せる9%前後に遠い。2026年の運賃上昇さえ燃料費の上昇を吸収できず、増分投資が資本コストに勝つ証拠はまだ薄い。
したがって会社全体を強い堀とは認めない。国内の乗継網は残っても、新規の機材投資には航空各社が同じ条件で挑む。利益率の回復が数年続くまでは、自己資本の薄さによる見かけの高ROEに惑わされないことが大切だ。AIエージェントによる事務・SaaSの代替が中心の事業ではなく、予約や運航調整の自動化は主に費用削減の機会となる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の空の移動は必要性が高く、長期の利用量は人口、旅行、国際交流で少しずつ増える。ただし2026年は中東紛争による燃料高が業界の損益を変えた。世界の航空輸送量は同年8月に前年同月比0.8%減となり、米国国内線も需要の伸びが鈍い。供給する座席を一度増やすと撤収に時間がかかり、値上げだけでは採算を守れない。
米運輸統計局の2025年8月〜2026年7月の国内有償旅客マイルでは、デルタ航空17.9%、アメリカン航空17.7%、ユナイテッド航空17.2%、サウスウエスト航空17.1%だった。首位4社はほぼ互角で、全国的な独占ではない。国内の市場規模を2025年価格の年間約8,000億有償旅客マイルとみるが、これは航空会社の地域別輸送量と統計局の本体会社別シェアを突き合わせた概算で、厳密な統一定義の実数ではない。
中南米はアメリカンがマイアミの拠点で強いが、デルタ航空とLATAM、ユナイテッド航空、コパ航空が競う。北大西洋ではデルタ航空とエールフランス・KLM、ユナイテッド航空とルフトハンザ陣営が広い網を持つ。太平洋ではユナイテッド航空に加えアジアの航空会社が有力で、アメリカンの存在感は相対的に小さい。地域別の市場規模とシェアは比較対象となる発着地の定義で変わるため、将来数量の根拠には同社の実績マイルと競合の増便を優先した。
2035年までの中立では米国の市場輸送量は約25%増、国際線は3〜5割増を見込む。一方、アメリカンの地域航空を含む国内シェアは概算21%から20%程度へ少し下がる。価格は10年間の物価上昇約41%が軸であり、2026年の運賃急騰をさらに毎年繰り返すとは考えない。デルタ航空のアメックス提携現金82億ドルに対し、アメリカンの提携現金は62億ドルで、収益力の差を縮められるかが航空券以外の勝負になる。
資本政策と M&A
資本配分の成績は厳しい。2013年のUSエアウェイズとの統合で世界有数の路線網を得たが、2015〜2019年には自社株買いに約119億ドルを使った。その間も負債は増え、2019年末の純有利子負債は約295億ドルだった。2020年の感染症危機で巨額赤字となり、以降の増資・株式報酬が過去の買戻しの効果を薄めた。
配当は2020年に停止し、現在も再開の額や時期は約束していない。2025年には負債総額を約21億ドル減らし、2026年も一部の高金利債を前倒しで償還した。会社の中期的な目標は純負債をEBITDARの3倍に抑えることであり、数値の約束があるのはこの財務目標と費用改善計画である。2026年末までに年間約10億ドルの効率化効果と、約9億ドルの運転資金改善を見込む。新しい大規模な還元枠は確認できない。
2026年9月末の利用可能な流動性は118億ドルだが、そのうち35億ドルは未使用の与信枠で現金ではない。発注済みの航空機は365機に上り、更新投資も続く。2026年7〜9月期にはリパブリック・ホールディングス持ち分の評価減約0.8億ドルも計上した。投資先の評価損を含め、株主に戻せる現金は会計利益より狭い。
現時点で合意済みの非公開化や上場廃止予定は確認されず、普通株はナスダック上場を継続している。支配株主や特別な議決権による少数株主の不利益より、債権者が株主に先んじて回収する財務構造こそが問題だ。買収に頼った上振れは数字に入れず、黒字転換後も返済を先に考える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
アメリカンの国内ハブと中南米の路線網は、世界で最も交通量の多い市場の一角を握る資産である。ダラス・フォートワースでは便の接続を組み直した効果が出ており、乗り継ぎの失敗を減らしながら高い運賃を取れる。シャーロットとマイアミの優位も失われにくい。航空会社を新たに作ることはできても、主要空港で同じ発着枠と便数をそろえることは難しい。
2026年7〜9月期にはプレミアム収入が約23%伸び、法人需要の収入も約28%増えた。プレミアム座席は全体の3割なのに航空券収入のほぼ半分を生み、国内小型機でも4割へ広げる計画がある。無料の高速Wi-Fi、座席画面、ラウンジ、予約の自動化が定着すれば、デルタ航空とユナイテッド航空に奪われた収益性の高い客を取り戻せる。
AAdvantageは座席を大量に増やさず収入が伸びる。シティの独占提携とマスターカードの10年契約により、カードの決済が積み上がるほどブランド使用料が入る。2025年の提携現金62億ドルが2035年に実質で大きく伸び、会員向け営業利益も増える。燃料価格が正常化するなか、長年かけて整えた路線と機材に運賃改善が乗れば、2035年の営業利益率は7%台へ戻る。
この道では債務を減らしながら正味50億ドルを株主に戻せる。設備投資は続くが、利払いが下がれば純利益は60億ドルに達する。最近の燃料ショックを恒久的な採算悪化と誤認してはいけない。需要と会員が伸びる世界では、巨額の固定費が逆に利益の伸びを速める。
慎重な見方
乗継網が大きくても、自由に運賃を決められるとは限らない。米国の国内線は4社のシェアが17〜18%前後で並び、客は検索画面で値段を比べる。デルタ航空は高収益のブランドとアメックス提携、ユナイテッド航空は国際長距離の便数、サウスウエスト航空は新しい座席指定と収益管理で攻めてくる。高単価客を争えば、アメリカンがネットワークに払う機材・人員の費用だけが残る。
2026年の現実がその危険を示している。7〜9月期の収入は約19%増えても、燃料費は約19億ドル増えて最終赤字だった。10〜12月期には燃料単価が1ガロン4.70ドル前後と見込まれる。航空会社には燃料を十分にヘッジする仕組みもなく、乗客が高い運賃を拒めば利益を守れない。賃金と航空機整備の費用は下げにくく、燃料の高値が長引けば返済を進められない。
自己資本は2025年末にマイナス37億ドルで、純有利子負債は294億ドル。使用中の航空機は資産であっても、その売却は路線網を壊す。AAdvantageにも既に担保設定があり、会員価値を株主のためだけに売れるわけではない。2026年の利用可能な流動性には借入枠が含まれ、自由に配当に回せる現金とは異なる。
もし割高な機材更新と運賃競争が重なれば、2035年に売上が2025年とほとんど変わらず、利息を払うと純利益は2億ドルにも届かない。追加の資本調達が必要になり、既存株主の取り分は大きく削られる。AAdvantageの成長だけで債務を相殺できるという見方は、実際の維持投資を軽く見すぎている。
どちらに重みを置いたか
路線網とカード提携には確かな経済的価値がある。ただし2026年の大幅な増収が赤字を防げなかった事実は、値上げの力より費用の重さを示している。2025年末のマイナスの自己資本と2026年の燃料ショックを重く見て、楽観・やや楽観の合計を24%、中立30%、やや悲観・悲観を46%とした。
同じ領域のデルタ航空やユナイテッド航空より負債の余裕が薄く、サウスウエスト航空より路線の国際的な幅はある。その違いを資本コスト、利益率、下振れの確率に反映した。期待価値は約87億ドルと現在の約80億ドルに近く、分類は適正だ。大きな割安さより、破局時に持ち分を失う非対称性が目立つ。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 32.71 ドル216 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 0.76 ドル5 億ドル)。 今の値に割り戻すと 13.08 ドル86 億ドル、今との差 +3.8%、 期待の年率 +10.4%(資本コスト 10.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 99.75 ドル659 億ドル | 7.56 ドル50 億ドル | +751.7% | +25.6% | 7.51 ドル50 億ドル |
| やや楽観 | 17% | 68.36 ドル452 億ドル | 3.03 ドル20 億ドル | +466.6% | +19.7% | 12.14 ドル80 億ドル |
| 中立 | 30% | 42.48 ドル281 億ドル | 0.91 ドル6 億ドル | +244.4% | +13.4% | 13.02 ドル86 億ドル |
| やや悲観 | 29% | 3.93 ドル26 億ドル | −1.21 ドル−8 億ドル | −78.4% | −12.5% | 0.79 ドル5 億ドル |
| 悲観 | 17% | 1.29 ドル9 億ドル | −1.21 ドル−8 億ドル | −99.4% | −22.8% | 0.01 ドル0 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 32.71 ドル216 億ドル | 0.76 ドル5 億ドル | +165.6% | +10.4% | 33.47 ドル221 億ドル |
今の株価時価総額 12.60 ドル83 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 楽観:ハブとプレミアムが再評価され、会員収益で債務を返す 利益 60 億ドル · PER 11.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 99.75 ドル659 億ドル
国内の実質輸送量は約34%増える。米国全体の輸送市場が約28%拡大するなか、ダラス・フォートワースとシャーロットの増便で地域航空を含む国内シェアが約21%から約22%に上がる。単価も2025年比で約5割上がる。2026年の運賃急騰が毎年続く想定ではなく、上質な座席への販売構成の変化が物価を少し上回るからだ。
中南米ではマイアミを使った接続需要が伸び、デルタ航空・LATAM陣営との競争に勝つ。大西洋ではブリティッシュ・エアウェイズとの提携とプレミアム席がユナイテッド航空に対抗する。太平洋も便数が増えるが、業界最大にはならない。AAdvantageの提携先からの実質受取量は約85%増え、航空券以外の売上が利益を厚くする。
機材更新と高速Wi-Fiへの投資が遅延や乗継失敗を減らし、2028年以降の利益率は持続して改善する。10年間の純利益は2026年の約9億ドルの赤字から回復し、2028年18億、2031年36億、2035年60億ドルへ積み上がる。累計308億ドルから正味50億ドルを還元し、自己資本は約221億ドルに戻る。大型買収より返済と更新を優先する筋書きだ。
- 米国国内旅客:数量 2,234(億有償旅客マイル(RPM。1人が1マイル飛べば1マイル))× 価格 0.32(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル、運賃と手荷物などを含む))→ 売上 708 億ドル・営業利益 55 億ドル。国内市場1.28倍・地域航空込みシェア21.8%程度、価格1.50倍
- 中南米・カリブ旅客:数量 578(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.27(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 157 億ドル・営業利益 14 億ドル。中南米市場1.62倍・シェアほぼ維持、運賃1.48倍
- 大西洋横断旅客:数量 627(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.27(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 168 億ドル・営業利益 15 億ドル。大西洋市場1.55倍・シェア上昇、プレミアム構成で1.58倍
- 太平洋横断旅客:数量 182(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.23(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 41 億ドル・営業利益 2 億ドル。太平洋市場1.80倍・シェア少し上昇、運賃1.57倍
- 航空貨物:数量 32.6(億有償貨物トンマイル(CTM))× 価格 0.57(1貨物トンマイル当たり貨物収入(ドル))→ 売上 19 億ドル・営業利益 1 億ドル。世界貨物量約1.55倍・価格1.43倍、腹積み貨物の稼働改善
- AAdvantage提携・マーケティング:数量 115(2025年価格に直したカード等提携先からの年間現金受領(億ドル、取引量の代用))× 価格 0.83(提携受取金に対するマーケティング収益の認識割合(ドル/2025年価格の受領ドル))→ 売上 95 億ドル・営業利益 43 億ドル。提携受取の実質件数代理1.85倍・認識単価1.47倍
- その他の付帯サービス:数量 3.2(年間搭乗客数(億人、その他収入の数量を推計する代理指標))× 価格 4.29(搭乗客1人当たりその他収入(ドル))→ 売上 14 億ドル・営業利益 1 億ドル。搭乗客1.45倍・付帯単価1.50倍
倍率:事業ROE=純利益60÷2035年自己資本220.7=27.2%。k10.0%、弱い堀で超過ROEの残存割合1/3ゆえRONIC=15.7%。長期g4.0%は米国と国際市場の実質需要増約1.5〜2%+安定したシェア+運賃物価3.5%の合計を、会社共通の上限4%に制限した値。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)=12.93倍。燃料・労務費の循環と追加の機材更新を見て、その85%の10.99倍とした。市場のPERを参照せず、純利益はGAAPで株式報酬を戻していない。
確率:7%。2010年代の高い利益率ほどではなくても、燃料価格の正常化とプレミアム・AAdvantage拡大を同時に達成する展開。2026年の赤字、巨額の更新投資、デルタ・ユナイテッドとの競争を考えると成立条件が多く少数派とする。
やや楽観 17% やや楽観:プレミアム客を取り戻し、利払い負担が緩む 利益 42 億ドル · PER 10.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 68.36 ドル452 億ドル
米国内の航空需要は2025年から約25%増えるが、アメリカンの地域航空を含む国内シェアは約21%から21%台への小幅上昇にとどまる。それでもハブへの接続を磨き、プレミアム席を増やすことで運賃は物価を少し上回って上がる。デルタ航空との差を完全には埋めず、サウスウエスト航空の新しい商品とも運賃を争う。
中南米ではマイアミの集客を維持する。大西洋はワンワールドの共同販売が機能するが、ユナイテッド航空とルフトハンザ陣営の路線網には届かない。太平洋は小さい基盤から増える。AAdvantageの提携現金はシティの契約によって安定して伸びるが、2026年の契約更新時の一時金を恒常利益には含めない。
燃料が過去の急騰から落ち着き、整備・乗務員費用の上昇は運賃でおおむね吸収できる。2035年の売上は約1,081億ドル、営業利益は約68億ドルである。2026年の約10億ドルの赤字から、2028年10億ドル、2032年30億ドル、2035年42億ドルの純利益へ戻る。累計利益207億ドルのうち正味20億ドルを株主へ還元するが、主眼は負債削減と機材更新にある。
- 米国国内旅客:数量 2,134(億有償旅客マイル(RPM。1人が1マイル飛べば1マイル))× 価格 0.31(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル、運賃と手荷物などを含む))→ 売上 653 億ドル・営業利益 43 億ドル。国内市場1.25倍・地域航空込みシェア21.3%程度、価格1.45倍
- 中南米・カリブ旅客:数量 515(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.27(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 137 億ドル・営業利益 11 億ドル。中南米市場1.50倍・シェアやや低下、価格1.45倍
- 大西洋横断旅客:数量 561(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.25(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 142 億ドル・営業利益 11 億ドル。大西洋市場1.47倍・シェアほぼ維持、価格1.49倍
- 太平洋横断旅客:数量 164(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.22(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 35 億ドル・営業利益 2 億ドル。太平洋市場1.70倍・シェアほぼ維持、価格1.50倍
- 航空貨物:数量 30.1(億有償貨物トンマイル(CTM))× 価格 0.56(1貨物トンマイル当たり貨物収入(ドル))→ 売上 17 億ドル・営業利益 1 億ドル。貨物実質1.43倍、単価1.41倍
- AAdvantage提携・マーケティング:数量 104(2025年価格に直したカード等提携先からの年間現金受領(億ドル、取引量の代用))× 価格 0.80(提携受取金に対するマーケティング収益の認識割合(ドル/2025年価格の受領ドル))→ 売上 84 億ドル・営業利益 36 億ドル。提携先の実質取引代理1.68倍、認識単価1.42倍
- その他の付帯サービス:数量 3.0(年間搭乗客数(億人、その他収入の数量を推計する代理指標))× 価格 4.15(搭乗客1人当たりその他収入(ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 1 億ドル。搭乗客1.34倍、付帯単価1.45倍
倍率:事業ROE=42÷149.7=28.1%。k10.0%、弱い堀の残存割合1/3からRONIC=16.0%。長期g3.7%は成熟後の実質の航空需要約1.5%増+シェア緩やかな低下約1%減+単価物価約3.5%という数量と価格の道筋。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)=12.66倍に対し、航空の循環と維持投資で85%の10.76倍とした。GAAP純利益を使用。
確率:17%。プレミアム・カード提携の強化と費用改革は公表済みだが、航空各社の増便で値上げが一部相殺される。成功の一部だけ実現する可能性が十分ある。
中立 30% 中立:旅客は伸びるが、負債のため株主に残る果実は限られる 利益 28 億ドル · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 42.48 ドル281 億ドル
米国内の市場輸送量は実質25%増えるが、アメリカンはデルタ航空とユナイテッド航空の高単価サービス競争に押され、地域航空込みのシェアが約20%に下がる。国内の実際の輸送量は20%増となる。運賃は物価よりやや低い39%上昇にとどまり、プレミアムの伸びが格安運賃の競争と相殺される。2026年の急な運賃上昇が永久に続くとは見ない。
中南米はマイアミが支えとなり輸送量が32%増える。大西洋は30%増、太平洋は45%増を見込むが、競合との共同運航の力関係は変わらない。貨物は旅客機の貨物室を活用して小幅に伸びる。AAdvantageでは提携受取の実質量が55%増え、収益認識も物価に沿って増える。ただしデルタ航空のカード提携と同じ利益水準に届くとは考えない。
燃料価格の正常化には時間がかかり、2026年は約11億ドルの赤字、2027年は小幅な黒字となる。2028年5億、2031年16億、2035年28億ドルへ利益が回復し、10年の累計純利益は128億ドルとなる。正味還元は6億ドルにとどまり、残りは機材維持と借金返済を通じて自己資本のマイナスを解消する。営業利益率は6%弱で、同業の優良会社には届かない。
- 米国国内旅客:数量 2,001(億有償旅客マイル(RPM。1人が1マイル飛べば1マイル))× 価格 0.29(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル、運賃と手荷物などを含む))→ 売上 587 億ドル・営業利益 31 億ドル。米国内市場1.25倍・地域航空込みシェア20.8%→20.0%程度、単価1.39倍
- 中南米・カリブ旅客:数量 462(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.26(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 119 億ドル・営業利益 8 億ドル。中南米市場約1.40倍・シェア緩やかに低下、単価1.40倍
- 大西洋横断旅客:数量 503(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.24(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 121 億ドル・営業利益 8 億ドル。大西洋市場約1.35倍・シェア約16%→15.4%、単価1.41倍
- 太平洋横断旅客:数量 143(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.20(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 29 億ドル・営業利益 1 億ドル。太平洋市場約1.55倍・シェア4.1%→3.8%、単価1.42倍
- 航空貨物:数量 26.9(億有償貨物トンマイル(CTM))× 価格 0.56(1貨物トンマイル当たり貨物収入(ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 1 億ドル。貨物量1.28倍、単価1.40倍
- AAdvantage提携・マーケティング:数量 96.1(2025年価格に直したカード等提携先からの年間現金受領(億ドル、取引量の代用))× 価格 0.79(提携受取金に対するマーケティング収益の認識割合(ドル/2025年価格の受領ドル))→ 売上 76 億ドル・営業利益 30 億ドル。カード提携受取の実質量1.55倍、認識単価1.40倍
- その他の付帯サービス:数量 2.7(年間搭乗客数(億人、その他収入の数量を推計する代理指標))× 価格 4.01(搭乗客1人当たりその他収入(ドル))→ 売上 11 億ドル・営業利益 1 億ドル。搭乗客1.20倍、付帯単価1.40倍
倍率:事業ROE=28÷84.7=33.1%(FY2025のマイナス資本に10年の利益128億ドルを蓄積した後の帳簿ROE。40%未満であり帳簿値を使う)。k10.0%、弱い堀で残る割合1/3ゆえRONIC=17.7%。10年後以降のg3.3%は米国市場の実質数量1%強増+同社シェア微減約1%+価格の物価上昇3.5%を合算し、2025〜2035年の成長率より鈍化させた。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)=12.54倍で、利益率の不安定さと更新投資を反映して80%の10.03倍。事業ROEが高く見えても機材の増分ROICが同じだけ高いとは断定しない。
確率:30%。旅行の必要性と米国内ハブを認めながら、国内シェアのわずかな低下、運賃の長期的な物価への回帰、継続的な機材更新を両立する中心筋書き。2026年の燃料高による赤字からの回復は段階的とした。
やや悲観 29% やや悲観:燃料と賃金の転嫁に失敗し、負債が残る 利益 4 億ドル · PER 6.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3.93 ドル26 億ドル
米国内の航空輸送市場は2025年より約16%広がるが、アメリカンは機材更新を遅らせ、地域航空込みの国内シェアが19%程度へ落ちる。実際の輸送量の増加は6%にとどまる。デルタ航空の高単価サービスとユナイテッド航空の便数に客を奪われ、国内運賃は10年で32%しか上がらない。物価約41%より低いため、賃金と燃料の上昇を吸収しにくい。
大西洋では共同運航の利益が薄くなり、太平洋は規模の小ささが不利に働く。中南米もLCCと競争し、数量は伸びても営業利益率が落ちる。AAdvantageの提携現金は増えるが、プレミアム会員の一部が他社へ移り、提携売上の収益率が下がる。大型買収には踏み込まないが、保有する航空機を安く売れないため固定費は残る。
2035年に売上は約780億ドルまで増えても、営業利益は約26億ドルにとどまる。2026年は約13億ドル、2027年は6億ドルの赤字で、その後の回復も鈍い。10年間の累計純損失は約7億ドル、配当や買戻しはなく、株式報酬による希薄化相当の正味8億ドルを株主側の持ち出しとみる。2035年の純利益4億ドルは借入返済に回り、自己資本はなおマイナスとなる。
- 米国国内旅客:数量 1,768(億有償旅客マイル(RPM。1人が1マイル飛べば1マイル))× 価格 0.28(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル、運賃と手荷物などを含む))→ 売上 493 億ドル・営業利益 20 億ドル。国内市場1.16倍・地域航空込みシェア20.8%→19.0%程度、単価1.32倍
- 中南米・カリブ旅客:数量 392(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.24(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 95 億ドル・営業利益 5 億ドル。中南米市場1.25倍・シェア低下、運賃1.31倍
- 大西洋横断旅客:数量 426(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.22(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 94 億ドル・営業利益 4 億ドル。大西洋市場1.20倍・シェア低下、運賃1.30倍
- 太平洋横断旅客:数量 118(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.19(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 23 億ドル・営業利益 0 億ドル。太平洋市場1.40倍・シェア低下、運賃1.33倍
- 航空貨物:数量 23.1(億有償貨物トンマイル(CTM))× 価格 0.52(1貨物トンマイル当たり貨物収入(ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 0 億ドル。貨物量1.10倍、単価1.31倍
- AAdvantage提携・マーケティング:数量 74.4(2025年価格に直したカード等提携先からの年間現金受領(億ドル、取引量の代用))× 価格 0.74(提携受取金に対するマーケティング収益の認識割合(ドル/2025年価格の受領ドル))→ 売上 55 億ドル・営業利益 20 億ドル。提携受取の実質量1.20倍、認識単価1.30倍
- その他の付帯サービス:数量 2.4(年間搭乗客数(億人、その他収入の数量を推計する代理指標))× 価格 3.75(搭乗客1人当たりその他収入(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 0 億ドル。搭乗客1.07倍、付帯単価1.31倍
倍率:2035年に自己資本がなおマイナス36.3億ドルで帳簿ROEとPBRは意味がない。営業利益26.06億ドルから借換後の利息・その他約21億ドルを払い、法人税を控除してGAAP純利益4億ドルだけが残る。新規投資のROICはk10%に届かないと見て、稼ぐ力の上限1/k=10倍より十分低い6.5倍とした。長期gは市場実質伸び約1%+シェア減と弱い運賃約1%で計1.5%程度。過去の谷の倍率や簿価で床を作らない。
確率:29%。2026年7〜9月期には運賃が伸びても燃料高で最終赤字となった。燃料高・組合賃金・航空機不足が一つだけ長引いても成り立ち、負債の厚さから通常の航空会社より確率を高くした。
悲観 17% 悲観:競争と固定費で資本が失われ、再資本化に迫られる 利益 2 億ドル · PER 5.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1.29 ドル9 億ドル
国内の市場輸送量が約10%伸びるなか、アメリカンの地域航空込みの国内シェアは17%程度へ下がる。売る輸送量は2025年の9割に縮み、運賃上昇も18%にとどまる。デルタ航空、ユナイテッド航空、再編された格安会社が高単価客と価格重視の客を別々に奪う。中南米のマイアミの優位も弱まり、太平洋・大西洋の不採算便を撤退する。
燃料の高止まり、整備士・パイロットの賃上げ、古い機材の整備費が重なる。AAdvantageのカード契約は続くが、搭乗客と高単価会員が減り、提携取引の実質量は14%下がる。会社は便数と本社費を大きく削り、営業利益をかろうじて約20億ドル残すものの、借換後の利息にほぼ消える。2035年の純利益は1.7億ドルにすぎない。
2026年から数年間は赤字が続き、10年間で純損失約63億ドルになる。株主への還元はゼロで、株式報酬と少額増資の正味8億ドルを追加で株主が負担する。自己資本は約93億ドルのマイナスで、救済増資や債務再編によって旧株主の取り分が著しく希薄化する恐れがある。路線の運航は続いても、株主価値はほぼ消えてしまうという筋書きだ。倒産に至らず路線を維持する場合にも、株主価値の床は借金の後ろに置かれる。
- 米国国内旅客:数量 1,501(億有償旅客マイル(RPM。1人が1マイル飛べば1マイル))× 価格 0.25(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル、運賃と手荷物などを含む))→ 売上 374 億ドル・営業利益 15 億ドル。国内市場1.10倍・地域航空込みシェア20.8%→17.0%程度、運賃1.18倍
- 中南米・カリブ旅客:数量 308(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.22(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 68 億ドル・営業利益 3 億ドル。中南米市場1.15倍・シェア急落、単価1.20倍
- 大西洋横断旅客:数量 302(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.21(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 62 億ドル・営業利益 2 億ドル。大西洋市場1.10倍・シェア急落、単価1.21倍
- 太平洋横断旅客:数量 93.4(億有償旅客マイル(RPM))× 価格 0.17(1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル))→ 売上 16 億ドル・営業利益 0 億ドル。太平洋市場1.30倍・シェア低下、単価1.19倍
- 航空貨物:数量 19.3(億有償貨物トンマイル(CTM))× 価格 0.47(1貨物トンマイル当たり貨物収入(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 0 億ドル。貨物量0.92倍、単価1.17倍
- AAdvantage提携・マーケティング:数量 53.3(2025年価格に直したカード等提携先からの年間現金受領(億ドル、取引量の代用))× 価格 0.67(提携受取金に対するマーケティング収益の認識割合(ドル/2025年価格の受領ドル))→ 売上 36 億ドル・営業利益 11 億ドル。提携受取の実質量0.86倍、認識単価1.19倍
- その他の付帯サービス:数量 2.0(年間搭乗客数(億人、その他収入の数量を推計する代理指標))× 価格 3.38(搭乗客1人当たりその他収入(ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 0 億ドル。搭乗客0.90倍、付帯単価1.18倍
倍率:自己資本はマイナス92.6億ドルでPBRは使わない。2035年の営業利益約19.74億ドルが借換後の利息等にほぼ充当され、GAAP純利益は1.7億ドルだけ残る。ROICはk10%を大幅に下回り、稼ぐ力の上限1/k=10倍より十分低い5.0倍を用いた。長期gは需要の実質微増が市場シェアの継続低下と運賃の物価未満の伸びで相殺され約0%。倒産・再資本化の可能性を含めるが、時価総額は正の小額を残す。
確率:17%。永久的な燃料・賃金負担増、国内シェアの大幅減、航空機投資の失敗が重なった構造的な負け。通常時には強い路線網があるため最多にはしないが、マイナス自己資本と多額の担保付借入から無視できない確率とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
米国国内旅客
米国内の幹線・地方都市からハブへの旅客。アメリカン・イーグルを含む。
| 数量億有償旅客マイル(RPM。1人が1マイル飛べば1マイル) | 価格1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル、運賃と手荷物などを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,668 | 0.21 | 352 | 14 |
| 10 年後 中立 | 2,001 | 0.29 | 587 | 31 |
取り方:2025年通期業績の地域別表:国内RPM166,753百万マイルを1,667.53億へ換算、国内旅客売上35,201百万ドルを352.01億へ換算。単価は売上÷RPM=21.11セント。国内市場はBTSの2025年8月〜2026年7月のアメリカン本体輸送1,412.7億RPM・シェア17.7%から約8,000億RPMと概算。開示するグループ国内RPM1,667.53億には地域航空が含まれるため、グループのシェアは20.8%ほどになり、BTSの本体シェアとは別。地域営業利益の開示はないので、ハブ便の運航採算を推計。
中南米・カリブ旅客
マイアミを中心とする中南米・カリブ・メキシコ方面の旅客と接続便。
| 数量億有償旅客マイル(RPM) | 価格1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 350 | 0.18 | 64 | 4 |
| 10 年後 中立 | 462 | 0.26 | 119 | 8 |
取り方:2025年通期の中南米RPM35,014百万マイル、売上6,444百万ドルから単価18.40セント。地域全社で比較できる市場規模の公式値がなく、米国発着中南米市場約1,520億RPM・同社シェア約23%は概算として扱う。マイアミの集客力とデルタ航空・LATAM・ユナイテッド航空との競争を数量へ反映。採算は推計。
大西洋横断旅客
英国・欧州を中心とした大西洋横断路線。ワンワールド提携を活用。
| 数量億有償旅客マイル(RPM) | 価格1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 387 | 0.17 | 66 | 2 |
| 10 年後 中立 | 503 | 0.24 | 121 | 8 |
取り方:2025年通期の大西洋RPM38,699百万マイル、旅客売上6,583百万ドルから単価17.01セント。米国発着大西洋旅客市場を約2,420億RPM、同社シェア約16%とするのは路線範囲を限定した推計であり公式シェアではない。デルタ航空・エールフランスKLM連合、ユナイテッド航空・ルフトハンザ陣営との競争が中心。採算は推計。
太平洋横断旅客
アジアと米国を結ぶ長距離便。日本航空などとの国際提携を含む。
| 数量億有償旅客マイル(RPM) | 価格1有償旅客マイル当たり旅客収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 98.3 | 0.14 | 14 | 0 |
| 10 年後 中立 | 143 | 0.20 | 29 | 1 |
取り方:2025年通期の太平洋RPM9,828百万マイル、旅客売上1,415百万ドルから単価14.40セント。米国発着太平洋の市場を約2,400億RPM・同社シェア約4.1%とするのは対象路線の幅に依存する粗い推定で、ユナイテッド航空とアジア各社が強い。採算は推計。
航空貨物
旅客機の貨物室を中心に、書類・部品・商業貨物を輸送する。
| 数量億有償貨物トンマイル(CTM) | 価格1貨物トンマイル当たり貨物収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 21.0 | 0.40 | 8 | 0 |
| 10 年後 中立 | 26.9 | 0.56 | 15 | 1 |
取り方:2025年の貨物トンマイル2,102百万と貨物収入839百万ドルから単価39.91セント。世界の貨物市場は2025年に約1,800〜1,900億トンマイル規模と概算し、アメリカンの輸送量シェアは約1%にすぎない。貨物専用機を多く持つ大手と異なり旅客便の空きスペースを生かす。採算は推計。
AAdvantage提携・マーケティング
提携カードと会員プログラムのブランド、顧客向け販促・データ活用の権利。特典航空券の売上は旅客4地域に含める。
| 数量2025年価格に直したカード等提携先からの年間現金受領(億ドル、取引量の代用) | 価格提携受取金に対するマーケティング収益の認識割合(ドル/2025年価格の受領ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 62.0 | 0.57 | 35 | 18 |
| 10 年後 中立 | 96.1 | 0.79 | 76 | 30 |
取り方:2025年10-Kの提携先現金受領約62億ドルと、その他に認識したマイルのマーケティングサービス売上35.11億ドルから、認識率35.11÷62=56.6%。実際の販売マイル件数は未開示のため、2025年価格に直したカード提携先の受領金額を実質の取引量の代理指標にした。国内外の全市場シェアの同一定義は不明で、デルタ航空のアメックス受領82億ドルを規模の比較に使う。交換航空券による約40.36億ドルは地域旅客収入に内包され、ここへ加えない。採算は推計。
その他の付帯サービス
ラウンジ、外部提供サービスなど提携マーケティング以外のその他収入。
| 数量年間搭乗客数(億人、その他収入の数量を推計する代理指標) | 価格搭乗客1人当たりその他収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2.2 | 2.86 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 2.7 | 4.01 | 11 | 1 |
取り方:2025年の搭乗客223.54百万人=2.2354億人と、10-Kにあるその他収益6.40億ドルから1人当たり約2.86ドルと推計。各商品別の数量・単価は未開示であり、搭乗客数との比例は代理仮定にすぎない。2025年の報告売上546.33億ドルに地域旅客496.43、貨物8.39、提携マーケティング35.11、その他6.40を合算して整合させる。
リスクと懸念
燃料高の転嫁不能
2026年7〜9月期は燃料費が前年同期より約19億ドル増え、運賃が大幅に伸びても赤字となった。会社は燃料を原則として長期ヘッジしておらず、10〜12月期の想定単価は1ガロン4.70ドルである。燃料費の上昇が運賃値上げを追い越すと、売上高が過去最高でも株主利益が消える。景気後退で搭乗率まで下がれば損失は非線形に広がる。
自己資本マイナスと借換え
2025年末の純有利子負債は294億ドルで、自己資本はマイナス37億ドル。2026年9月末には利用可能な流動性118億ドルを持つが、うち35億ドルは未使用の借入枠だ。借換え金利が約5.75%へ収れんすれば利払いは増えやすい。利益が出ない期間が延びると担保差入れや増資が必要となり、営業を続けても旧株主が得る価値は失われうる。
プレミアム席での競争
デルタ航空は運航品質とカード提携で高単価客を握り、ユナイテッド航空は国際長距離便を強化している。アメリカンはプレミアム席を増やすが、機内設備とラウンジの投資が競合への追随だけに終われば運賃は上がらない。国内のシェアは大手4社がほぼ並び、検索画面での運賃比較も容易だ。値上げの失敗は数量だけでなく1席当たり利益を削る。
航空機・エンジン納入と設備投資
2026年9月末の確定発注済み航空機は365機に上る。納入遅延は古い機材の整備費を増やし、逆に計画通り大量納入されても需要が弱ければ稼働率が下がる。維持更新の設備投資を止めると、安全性や運航品質を損なうため削減しにくい。2025年の自由なお金は赤字であり、償却費を全額自由な利益とみなすことはできない。
会員・カード提携収益の集中
AAdvantageは重要な収益源だが、2026年以降の米国内提携カード発行はシティに集中する。マイルの発行・償還の条件が変わったり、顧客がデルタ航空やユナイテッド航空の会員へ移ったりすれば、マーケティング収益は予想より少なくなる。2026年9か月の提携現金には契約延長に伴う一時金が含まれるため、その伸び率を10年続く基準にしてはならない。
労務・運航規制と地政学
操縦士と整備士の労働契約、航空機とエンジンの認証、国際線の二国間航空協定に業務が左右される。航空燃料の供給障害や中東の紛争だけでなく、感染症、空域閉鎖、自然災害も座席の価値を一夜で消す。AIによる予約・運航調整の省力化には恩恵があるが、乗務員と整備士を機械の事務作業のように置き換えられるわけではない。
過去の買戻しと今後の増資
2015〜2019年には約119億ドルの自社株買いを行ったが、その後の危機で希薄化が生じ、自己資本もマイナスとなった。負債返済より早く買戻しを再開すれば、安全余力が再び削られる。やや悲観・悲観では配当も買戻しもなく、株式報酬や資本調達による正味の持ち出しを還元額のマイナスとして織り込む。追加の株が生まれても会社全体の価値は株主間に薄く分配される。
今後の分かれ目
- 四半期の旅客単位収入の伸びが燃料を含む単位費用の伸びを複数四半期上回り、営業利益率が6%を超えたら
- プレミアム・運賃改善が持続する根拠が増す。中立からやや楽観への移行を検討し、同時に設備投資後の現金が増えるか確かめる。
- 純有利子負債が250億ドルを下回り、会社定義の純負債/EBITDARが3倍以下になったら
- 借換えと株主の取り分の危険が小さくなる。資本コストの負債部分は改めて見直せるが、利益率改善とは別に二重計上しない。
- 2027年以降も燃料単価が1ガロン4ドル超に長くとどまり、運賃転嫁が追い付かなければ
- やや悲観・悲観の確率が上がる。中立の黒字回復の時期を遅らせ、借入増加と増資の必要性を評価する。
- 地域航空込みの国内有償旅客マイルのシェアが2年間にわたり18%を下回ったら
- ハブ網の優位の縮小と見なし、2035年の国内数量をやや悲観へ寄せる。値上げ可能性と搭乗率も同時に点検する。
- AAdvantage提携先からの通常の現金受領が一時金を除いて年率8%以上伸び続けたら
- 航空券以外の増分利益が強まる。提携マーケティング売上の数量を上方修正するが、特典航空券分の二重計上は避ける。
- 営業キャッシュフローから機材更新投資を引いた自由資金が3年続けて年間20億ドルを超えたら
- 負債返済後の株主還元の余地が現実になる。買戻しの額そのものでなく、株式報酬を差し引いた正味の還元を見直す。
- 担保差入れや高利の社債で資金繰りをつなぎ、公開増資・債務再編が発表されたら
- 路線網が存続しても現在の株主価値の床はないため悲観へ移る。新株発行で調達する資金を正味還元のマイナスに反映する。
見ておくもの
- 米国内・中南米・大西洋・太平洋のRPMとイールド(運賃収入/RPM)、搭乗率、国内シェア
- 燃料1ガロン当たり価格、TRASM・PRASMとCASM-exの差、年間燃料ヘッジの有無
- AAdvantage提携カードの一時金を除く現金受領、登録会員・特典交換件数、マーケティング認識額
- GAAP営業利益率と純利益、営業CFから航空機更新を引いたFCF、2026年の会社予想の修正
- 純有利子負債・現預金・社債償還期限、会社定義の純負債/EBITDAR、担保余力
- 航空機365機の納入予定と実際の更新投資、整備・賃金コスト、欠航・遅延率
- 配当再開の条件、自社株買いの純額、株式報酬による希薄化、増資・資本再編の可能性
倍率と資本コストの決め方
出発点は2025年の地域別有償旅客マイルと同じ地域の実際の旅客単価で、AAdvantageと貨物も二重計上なく分けた。数量は市場の実質成長とアメリカンのシェア、価格は基本的に10年の物価1.41倍から組み立てた。2026年の急激な運賃上昇は永久には続かない。営業利益に資本費用と税を通し、2026年の赤字を含む期間利益で自己資本を繰り越した。k=10%、弱い堀のRONICを用いた正当化PERの7〜10割の範囲で上側を評価し、マイナス自己資本の悲観にはPBRを使わない。市場の過去倍率、現行株価、同業の市場評価から末値を逆算していない。リースは米国基準で既に負債計上されており、過去との比較でも固定の契約義務として扱った。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。基本8.0%+事業の質の調整2.0%=10.0%。現状は赤字と負債に注意を要するが、2026年9月の流動性118億ドルと財務継続が確認できるので存続危機の特別上乗せは0。燃料高の継続や増資による株主の損失は低い筋書きと確率に反映し、同じ理由で何重にも割り引かない。デルタ航空9.0%、ユナイテッド航空9.5%より0.5〜1.0ポイント高い。