結論
テトラ・テックは、水道、河川、防災、土壌浄化を中心に、科学調査から設計、許認可、工事監理まで請け負う技術サービス会社である。十年後も水を安全に使い、老朽設備を直す仕事はなくならない。ただし筆者の結論は割高だ。物理的な現場の強さに比べ、今の時価総額には設計・分析の人月も高い単価で残るという期待が含まれている。
2025年の売上は添付の財務で54.4億ドル、純利益は2.5億ドルである。2026年第3四半期の売上は13.1億ドル、営業利益は1.58億ドルだった。同年6月末の受注残は44.9億ドルに達した。米国の対外援助契約が大量に打ち切られても、英国の水道事業や米国内の規制対応、データセンター向け環境・設備設計が受注を支えている。この事実は強い。しかし受注残は十年分の売上保証ではなく、顧客による途中解約もありうる。
長期の争点は、資格者が責任を負う調査・水処理の設計と、資料作成・データ処理などの反復可能な仕事を分けることだ。後者はAIエージェントが顧客の手元で担いやすく、工数と請求単価が同時に圧迫される。前者は更新投資や水質基準に守られ、値上げと数量増の余地がある。会社が掲げる2030年までの高成長目標は、この違いを十分に示すものではない。
五つの筋書きで残る利益と正味の還元を資本コストで割り引くと、現在の約95.5億ドルに対する本質価値は約59.6億ドルで、差は約マイナス38%となる。十年後の中立でも会社全体の価値は約107億ドルだが、その金額を今払えば要求利回りには届かない。水の技術者集団として評価しながらも、株主の買値には余裕を求めたい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、最初に「十年後も必要か」を問いたい。水質調査、上下水道の設計、環境事故後の現場監理は、データだけがあっても終わらない。規制当局と顧客が求めるのは、責任を引き受ける有資格者と、安全に完成させた実績である。その部分の売上は一時的な設備投資より寿命が長い。
次に「稼いだ資金をいくら株主へ戻せるか」である。設備投資が軽く現金化はよいが、人材の採用と買収が成長の元手になる。買収先ののれんも投じた資本として残し、成長によって増えた利益が取得価格を上回るかを判定すべきだ。見かけのROEだけで経営の手腕を高く採点しない。
最後に「価格を上げられるか」を問う。現場工事の品質保証や水道の規制対応には相応の単価を請求できる。反面、調査報告書の下書き、反復的な図面、政府ITの管理業務はAIエージェントが工数を減らす。Tetra Tech Deltaに技術はあっても、独自データの囲い込みや契約継続率という強い堀の証拠は十分でない。
この会社を十年持つ理由は見つかるが、今の価格に安全域は見つからない。耐久力のある現場事業と先が読みづらい人月事業を同じ高い倍率で買うべきではない。もし市場が十年先の利益まで割り引いた価格を示すなら評価は変わるが、現時点では事業の良さと値付けを分けて考える。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、水、環境、持続可能なインフラに関する専門家の仕事である。米国政府向けを中心とするGSGは、水資源、防災、環境監視、廃棄物処理、政府ITを扱う。民間・海外向けのCIGは、水道会社、工場、発電・送電、データセンター、建物、汚染地の再生を担う。2025年の外部売上はGSGが約26.4億ドル、CIGが約28.1億ドルである。
契約は、一括の固定価格が43.5%、時間・材料に応じた請求が42.6%、原価に報酬を加える方式が13.9%だった。技術者の稼働時間と単価が利益を左右する一方、固定価格の仕事では効率改善が会社の利益となる。ただし工程を読み違えれば損失も会社が負う。年間十万件超の案件を二万五千人以上の社員がこなし、受注が毎年入れ替わる構造である。
二つの会計セグメントを、価値の残り方に応じて四つに分ける。政府向けの水・環境の現場と許認可、政府向けのIT・文書・分析、民間・海外の水・環境・設備の現場、同じく机上の設計・情報処理である。現場で調べ、専門家が署名し、施工を監督する仕事は代替されにくい。報告書の草案、図面修正、情報整理は顧客自身も自動化できる。
2025年の添付財務にある営業利益6.1億ドルは、10-KのGAAP営業利益約4.08億ドルと一致しない。米国の援助契約終了に伴うのれん減損0.92億ドルと、過去の環境浄化案件の和解関連費用1.15億ドルが差の主因である。セグメントの将来利益は添付の営業利益を起点に組み、会社全体の純利益はGAAPの2.5億ドルを起点にする。
優良さと弱いところ
堀、つまり競争相手に簡単に奪われない強みは、規制対応と現場の経験にある。水処理・淡水化では長年業界上位に入り、同じ河川や施設を長く調べて得た測定履歴と自治体との関係が次の案件の入札を助ける。技術者の資格、保険、施設ごとの安全手順、許認可の責任は、文章を作るだけの新規参入者には代えにくい。
それでも独占ではない。顧客は案件ごとに競争入札を行い、エイコム、ジェイコブズ、ダブリューエスピー、スタンテック、アルカディスが争う。安定した継続課金や年単位の移行費用を証明する解約率は開示されていない。Tetra Tech Deltaという独自の解析技術と外販ソフトはあるが、ソフト単体の継続売上や値上げ実績が分からず、全社を強いネットワーク型の堀と呼ぶのは早い。
資本効率は悪くない。添付の過去十年のROE中央値は16.4%で、必要な設備投資も少ない。2025年のフリーキャッシュフローは4.4億ドルと純利益を上回った。ただしその差には引当金や運転資金の変動も含まれ、すべて恒常的なオーナー利益とは言えない。成長の多くは買収で得た人材と顧客によるもので、のれんの負担を無視して増分利回りを評価できない。
2025年には援助契約の中止でのれんが傷み、過去の浄化案件の訴訟費用も発生した。専門家の責任が堀になる反面、品質事故が起きれば長く尾を引くことを示した。堀の判定は全社として普通、現場・許認可は強め、ITや机上分析は弱めとする。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
長期の需要を支えるのは、老朽水道、洪水対策、有害物質の監視と、既存施設を止めずに更新する必要性である。米環境保護庁は2026年度に上下水道の州回転基金向けに約72億ドルを示した。飲料水のPFAS規制では基準自体の必要性は残るが、一部の順守期限を2031年まで延ばす案も出ている。法律と予算は需要を生む半面、政権が支出や期限を変えれば受注時期はずれる。
競争市場は広く分散している。ENRの2026年設計会社順位ではテトラ・テックは全米3位で、ジェイコブズとエイコムが先行する。環境サービスの世界順位でもエイコム、ダブリューエスピー、ジェイコブズが競合し、上下水道にはスタンテックやアルカディスが強い。世界の環境・持続可能性コンサル市場は2024年に約588億ドルという外部調査があるが、同社が扱う土木設計や政府ITはその外側にもある。厳密な会社別シェアは開示されない。
数量の見通しは、現場・許認可の対象案件が実質で十年間に三〜五割増え、競争でシェアがおおむね横ばいになる中立とする。対照的に、机上の報告、図面の反復修正、IT支援は市場自体が伸びても、一案件に投入される請求可能な人時が減る。契約方式のうち約六割が時間や費用に結びついており、自動化で短縮した工数がそのまま顧客への値下げになりうる。
2026年の足元は二極化している。GSGの最初の九か月の売上は約24%減ったが、CIGは約8%増えた。援助事業と災害対応を除く政府の基礎需要は伸びている。今後は水道と送配電・高性能建築の設計需要を取り込めるか、競合がAIで同じ業務をより安く提供するかが、シェアと利益率を分ける。市場規模の細分値は公開統計そのものではなく、会社の売上とENRの業界範囲から推定したものとする。
資本政策と M&A
経営陣の2030年目標は、買収を含む売上の年10〜15%成長、うち自力成長6〜10%、買収成長4〜5%で、EBITDA利益率を毎年0.5ポイント以上改善することだ。営業キャッシュフローは純利益を超える方針を示す。しかしこれは約束された最低利益ではない。2026年度の外注費控除後売上の会社予想は43.15〜43.65億ドルで、前年から縮小する。対外援助事業の消滅とAIによる工数削減を考え、十年の中立には長期目標をそのまま延ばさない。
買収は能力と地域を買う手段である。2023年のRPS取得に続き、2025年はアイルランドのキャロン・ウォルシュと豪州のSAGEを買収した。2026年には米国政府のデータ分析に強いハルビクと、豪州のプロビデンスを取得し、合計対価は約2.32億ドルだった。一方、ノルウェーの事業を売却した。事業拡張は可能だが、買収の大半がのれんとなり、増分ROICを追い続ける必要がある。
2025年は配当0.7億ドル、自社株買い2.5億ドルだった。2026年第3四半期には1.0億ドルを買い戻し、6月末の残る承認枠は3.98億ドルである。四半期配当は11%増えた。将来の還元は株式報酬の希薄化を差し引いた正味で測り、買収に必要な資金を残す。創業家の支配的な複数議決権株は確認されず、経営トップは2026年2月にロジャー・アーガスへ交代した。後任が質より買収件数を追うなら評価を変える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
水と環境の設計は需要が消えない。水道の漏水、都市洪水、PFAS、送電網の拡張、データセンターの水利用は、景気が弱くても放置できない。自治体と連邦政府は予算の優先順位を変えても、安全な飲料水と既存施設の保全を続ける必要がある。広い案件をまとめて遂行できる二万五千人超の専門家網は、単独の小規模コンサルでは代替しにくい。
売上の基盤を示すのは2026年6月末の44.9億ドルの受注残である。米国の援助契約が失われても、政府の水・防災と英国の水道向けが新しい仕事を作った。CIGは2026年最初の九か月で増収を保ち、政府の低採算の援助業務が消えたことでGSGの純売上に対する利益率も改善した。収益性を上げる仕事へ資源を動かす余地がある。
AIも道具として役に立つ。衛星画像、洪水予測、水道の漏水検知、汚染の拡散解析を速くすることで、有資格者が同じ人数でもより広い範囲を検査できる。固定価格契約ではこの時間短縮の利益を自社に残せる。買収した技術者集団と既存の自治体の関係を使い、許認可と施工監理を一体で請け負う比率が増えれば、営業利益率は高まる。
十年後には現場案件の実質数量が大きく伸び、シェアも小幅に上がる。エイコムやジェイコブズが大型総合案件を取り合っても、水処理や環境科学の専門分野で選ばれ続ける。会社の正味の還元は利益の成長に応じて増え、増分投資が資本コストを上回るなら、長期保有する価値は十分にある。
慎重な見方
最大のリスクは、科学者を雇う仕事と、請求できる人の時間が同じでなくなることだ。2025年の売上の42.6%は時間・材料契約で、別に13.9%が原価加算契約だった。AIエージェントが文書、測定値の整理、解析案、設計変更を自動化すれば、顧客は以前の工数を支払わない。固定価格契約で一時的に利益が増えても、次回の競争入札で値下げが広がる。
Tetra Tech Deltaの解析ソフトは対抗手段だが、ソフトだけの継続売上、解約率、値上げ率は会社が十分には示していない。独自データの蓄積が競合を閉め出すと証明できない限り、席課金や情報処理に強い価値を付けられない。エイコム、ダブリューエスピー、スタンテックも同じ生成AIを利用でき、顧客自身が一部を内製化する。
政府依存も軽くない。2025年には米国の対外援助契約がほぼ停止され、約5.8億ドルあった援助売上が大きく失われた。次は環境規制の緩和や州の財政難が起きるかもしれない。PFASの順守期限の延長案は、緊急性が予算の時期を動かす例である。2026年の受注残には途中解約できる契約が含まれ、顧客の資金繰りまで保証しない。
過去の買収も無条件には褒められない。のれんは多く、2025年には減損が発生した。環境浄化案件をめぐる和解も、事業の瑕疵が株主負担になることを教えた。買収した人員を維持する費用が高止まりし、設計の単価と利益率がともに低下すれば、十年後は会社全体の売上が名目でも縮む。
どちらに重みを置いたか
水の現場と規制に守られた仕事は強く、会社が消える筋書きは中心には置かない。一方、机上の情報処理と工数請求を十年間同じ姿で残せる根拠は弱い。2026年に援助事業が消えた事実も、政府との取引が恒久的な契約ではないことを示した。
そのため楽観側を27%、中立を31%、やや悲観と悲観の合計を42%とし、やや下方に傾けた。AIの影響はまず工数と価格、長期成長率に表し、資本コストの寿命上乗せでは繰り返さない。確率に含める悲観は、政府調達と買収失敗も重なる別の事象である。受注残や自社株買いを考慮しても、確率加重した現在価値は今の時価総額を下回り、割高との判定になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 39.20 ドル101 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 9.94 ドル26 億ドル)。 今の値に割り戻すと 23.94 ドル62 億ドル、今との差 −38.0%、 期待の年率 +2.7%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 78.61 ドル203 億ドル | 19.37 ドル50 億ドル | +153.5% | +11.2% | 9.80 ドル25 億ドル |
| やや楽観 | 17% | 63.54 ドル164 億ドル | 15.49 ドル40 億ドル | +104.5% | +8.4% | 13.44 ドル35 億ドル |
| 中立 | 31% | 43.63 ドル113 億ドル | 11.23 ドル29 億ドル | +42.0% | +4.0% | 17.01 ドル44 億ドル |
| やや悲観 | 25% | 23.19 ドル60 億ドル | 5.42 ドル14 億ドル | −26.0% | −3.2% | 7.15 ドル18 億ドル |
| 悲観 | 17% | 7.13 ドル18 億ドル | 3.10 ドル8 億ドル | −73.5% | −14.0% | 1.74 ドル4 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 39.20 ドル101 億ドル | 9.94 ドル26 億ドル | +27.1% | +2.7% | 49.13 ドル127 億ドル |
今の株価時価総額 38.65 ドル100 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 楽観:現場の水・環境を広げ、AIは工程を効率化するが机上の請求量は増やさない 利益 14 億ドル · PER 14.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 78.61 ドル203 億ドル
2035年、自治体の管路更新と洪水防御、欧州・豪州の水道改修が長く続く。米国政府向けの現場市場は十年で85%増え、競争相手のエイコムやジェイコブズから難度の高い水・環境案件を奪う。海外の現場も市場が倍になり、取得した事業の専門家を既存顧客へ展開してシェアを高める。受注は大きくても、一件ごとの工程を確実に利益へ変える。
AIを使って解析や設計を速め、固定価格契約の採算が改善する。ただし政府ITと机上設計では請求できる実質工数が現在とほぼ同じで、AIだけを理由とした数量拡大は見込まない。ソフト単独の大型新規収入を織り込まず、資格者による最終責任と現場監理の単価が値上げを支える。エイコムとWSPが競争力を保つ中でも、水処理の難案件で選ばれる形だ。
営業利益は約19.8億ドルに達し、配当と自社株買いの正味還元は十年で50億ドルに増える。買収のための資金を確保しても、現場の増分利益が投じたのれんを回収できる。自己資本が積み上がり、今より幅広い水・環境分野で仕事を取る。
- GSG:政府向け水・環境の現場、許認可・施工監理:数量 833(米国政府向け水・環境・土木の対象案件市場(2025年価格、億ドル))× 価格 6.5%(対象市場での当社シェア×案件当たり契約単価指数(2025年=1))→ 売上 54 億ドル・営業利益 8 億ドル。実質対象市場1.85倍、当社シェア1.10倍、単価1.45倍。実質有償工数・案件の数量は2.035倍。
- GSG:政府IT・データ解析・机上コンサル:数量 1,620(政府IT・情報処理・技術助言の対象工程市場(2025年価格、億ドル))× 価格 0.7%(対象市場での当社シェア×有償工程の契約単価指数(2025年=1))→ 売上 11 億ドル・営業利益 1 億ドル。実質対象市場1.35倍、当社シェア0.74倍、単価1.34倍。実質有償工数・案件の数量は0.999倍。
- CIG:民間・海外の水・環境・高性能施設の現場:数量 5,000(民間・海外の水・環境・インフラ設計監理市場(2025年価格、億ドル))× 価格 1.3%(対象市場での当社シェア×案件当たり契約単価指数(2025年=1))→ 売上 63 億ドル・営業利益 10 億ドル。実質対象市場2.00倍、当社シェア1.04倍、単価1.45倍。実質有償工数・案件の数量は2.080倍。
- CIG:机上設計、デジタル解析・助言:数量 1,540(民間・海外の企画設計・情報処理の有償工程市場(2025年価格、億ドル))× 価格 0.6%(対象市場での当社シェア×有償工程の契約単価指数(2025年=1))→ 売上 9 億ドル・営業利益 1 億ドル。実質対象市場1.40倍、当社シェア0.71倍、単価1.34倍。実質有償工数・案件の数量は0.994倍。
倍率:資本コスト8.5%、長期g2.4%。10年目のGAAP純利益13.85億ドル÷期末自己資本49.55億ドル=ROE28.0%。買収が成長の元手なのでのれんを分母から除かず、堀は普通で超過ROEの残存率1/2、RONIC18.2%。来期利益に対する正当化PERへ(1+g)を掛けた10年目利益ベースの上限は14.58倍。AI代替リスクを数量とgに反映済みのため、上限14.58倍を使用し、現金やのれん償却の二重加算はしない。GAAP純利益には株式報酬を費用として含む。
確率:水処理・送配電・汚染地浄化・高性能施設の現場案件で市場成長と小幅なシェア増の両方を達成する必要がある。海外の買収統合が成功し、固定価格案件で効率改善を内部に残せる確率を一割とする。
やや楽観 17% やや楽観:現場市場が広がり水・設備が稼ぐ、机上請求は微減 利益 11 億ドル · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 63.54 ドル164 億ドル
水道施設の保守更新と都市洪水対策が続き、現場の設計・施工監理市場は実質で拡大する。米国の規制対応ではシェアが少し上がり、海外では豪州のSAGEやプロビデンス、英国の水道案件が収益源となる。水と環境への支出は政権によって配分が変わるが、既存施設の修理は先送りしきれない。
資料のとりまとめと図面更新はAIで速くなり、政府ITと民間の机上業務は請求工数が微減する。それでも複雑な顧客データの検証と専門家の説明責任は残り、値上げの一部を契約に反映できる。エイコム、WSP、スタンテックと争いながらも、現場を得意とする部門では高い稼働率を維持する。
営業利益は16億ドル台、純利益は11億ドル強となる。株式報酬と買収資金の必要性を考えて還元は十年で40億ドルにとどめる。自己資本も増え、成長のほぼ全てを買収に頼らず継続できる姿である。
- GSG:政府向け水・環境の現場、許認可・施工監理:数量 765(米国政府向け水・環境・土木の対象案件市場(2025年価格、億ドル))× 価格 6.1%(対象市場での当社シェア×案件当たり契約単価指数(2025年=1))→ 売上 47 億ドル・営業利益 7 億ドル。実質対象市場1.70倍、当社シェア1.05倍、単価1.43倍。実質有償工数・案件の数量は1.785倍。
- GSG:政府IT・データ解析・机上コンサル:数量 1,560(政府IT・情報処理・技術助言の対象工程市場(2025年価格、億ドル))× 価格 0.6%(対象市場での当社シェア×有償工程の契約単価指数(2025年=1))→ 売上 10 億ドル・営業利益 1 億ドル。実質対象市場1.30倍、当社シェア0.72倍、単価1.30倍。実質有償工数・案件の数量は0.936倍。
- CIG:民間・海外の水・環境・高性能施設の現場:数量 4,500(民間・海外の水・環境・インフラ設計監理市場(2025年価格、億ドル))× 価格 1.2%(対象市場での当社シェア×案件当たり契約単価指数(2025年=1))→ 売上 56 億ドル・営業利益 8 億ドル。実質対象市場1.80倍、当社シェア1.03倍、単価1.43倍。実質有償工数・案件の数量は1.854倍。
- CIG:机上設計、デジタル解析・助言:数量 1,485(民間・海外の企画設計・情報処理の有償工程市場(2025年価格、億ドル))× 価格 0.6%(対象市場での当社シェア×有償工程の契約単価指数(2025年=1))→ 売上 9 億ドル・営業利益 1 億ドル。実質対象市場1.35倍、当社シェア0.70倍、単価1.30倍。実質有償工数・案件の数量は0.945倍。
倍率:資本コスト8.5%、長期g2.4%。10年目のGAAP純利益11.22億ドル÷期末自己資本46.40億ドル=ROE24.2%。買収に必要なのれんを自己資本に含め、堀は普通、超過ROEの残存率1/2からRONIC16.3%。正当化PERの来期利益倍率に(1+g)を掛けた上限は14.32倍。現場の設計監理が伸びても机上型のAI代替を免除せず、数量と長期gに既に反映したため上限14.32倍を採用する。純利益はGAAPで株式報酬も費用とする。
確率:2026年の海外水道と政府の水質・環境事業の受注が続き、買収済みの人材を活用できる姿である。現場の採算は強いが競合の投資も進み、楽観ほどのシェア増には至らない。
中立 31% 中立:現場は伸びるが、机上の有償工数がAIで三分の一減る 利益 8 億ドル · PER 13.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 43.63 ドル113 億ドル
十年後も水道管は老朽化し、洪水対策と環境浄化の現場には技術者が必要である。米国政府向けの現場市場は実質で約五割、海外・民間は約六割拡大する。エイコムやWSPとの入札競争は続き、テトラ・テックのシェアはおおむね維持される。物価相当の値上げが施工監理と水道設計では通る。
政府IT・データ解析は対象市場が伸びても、AIエージェントと顧客の内製化で有償工数が十年で約35%減る。民間の机上設計も約33%減る。両部門の契約単価は十年で物価ほど上がらず、Tetra Tech Deltaのソフト売上だけで穴を埋めるとは考えない。現場では許認可と安全責任が残るため、仕事全体が半分になるわけではない。
連結の売上は約95億ドル、営業利益は約11.5億ドルとなる。利益の現金化は比較的良いものの、買収ののれんと株式報酬を意識し、正味の総還元は十年で29億ドルにとどめる。純利益は7.7億ドル、自己資本は約39.8億ドルとなり、堀は現場と規制対応に偏ったまま残る。
- GSG:政府向け水・環境の現場、許認可・施工監理:数量 666(米国政府向け水・環境・土木の対象案件市場(2025年価格、億ドル))× 価格 5.7%(対象市場での当社シェア×案件当たり契約単価指数(2025年=1))→ 売上 38 億ドル・営業利益 5 億ドル。実質対象市場1.48倍、当社シェア0.98倍、単価1.41倍。実質有償工数・案件の数量は1.450倍。
- GSG:政府IT・データ解析・机上コンサル:数量 1,440(政府IT・情報処理・技術助言の対象工程市場(2025年価格、億ドル))× 価格 0.5%(対象市場での当社シェア×有償工程の契約単価指数(2025年=1))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。実質対象市場1.20倍、当社シェア0.54倍、単価1.28倍。実質有償工数・案件の数量は0.648倍。
- CIG:民間・海外の水・環境・高性能施設の現場:数量 3,875(民間・海外の水・環境・インフラ設計監理市場(2025年価格、億ドル))× 価格 1.2%(対象市場での当社シェア×案件当たり契約単価指数(2025年=1))→ 売上 45 億ドル・営業利益 6 億ドル。実質対象市場1.55倍、当社シェア0.98倍、単価1.41倍。実質有償工数・案件の数量は1.519倍。
- CIG:机上設計、デジタル解析・助言:数量 1,375(民間・海外の企画設計・情報処理の有償工程市場(2025年価格、億ドル))× 価格 0.4%(対象市場での当社シェア×有償工程の契約単価指数(2025年=1))→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。実質対象市場1.25倍、当社シェア0.54倍、単価1.26倍。実質有償工数・案件の数量は0.675倍。
倍率:資本コスト8.5%、長期g2.4%。現場業務は物価3.5%程度の値上げと小幅な実質需要増を見込むが、机上業務はAIエージェント代替で長期の名目成長0%とする。10年目のGAAP純利益7.70億ドル÷期末自己資本39.80億ドル=ROE19.3%。買収ののれんは成長の元手なので除外しない。堀は普通で超過ROEの残存率1/2、RONIC13.9%。正当化PERの来期利益倍率に(1+g)を掛けた上限は13.89倍。AIによる縮小を数量と長期gに反映したため、上限13.89倍とする。市場PERや過去の倍率は使わない。
確率:上下水道と防災の更新需要は続くが、顧客はAIによる工数削減を契約料金に反映させる。2026年の政府援助削減と海外水道の増収をともに尊重し、これを中心的な経路とする。
やや悲観 25% やや悲観:連邦予算の伸び悩みとAI工数減少でシェアを失う 利益 5 億ドル · PER 10.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 23.19 ドル60 億ドル
米国の政策変更で環境関連の予算は横ばいに近づき、水道・防災の現場市場の実質成長は十年で二割強に鈍る。エイコムとジェイコブズが大規模契約を取り、テトラ・テックの政府現場のシェアは一割強下がる。英国・豪州の水道市場は伸びるものの、WSPとアルカディスの入札攻勢で、海外のシェアも落ちる。
政府ITではAIが文書作成と業務設計を内製化し、請求可能な実質工数は十年でほぼ半減する。民間の机上設計も同じ程度減り、価格は物価に追いつかない。固定価格契約の効率改善は入札価格で顧客に還元され、専門家の採用費と品質保証費は残る。営業利益率は中立より低下する。
米国の援助契約に続く減損や小型買収の採算悪化が、株主に帰属する現金を圧迫する。純利益は約4.6億ドルまで伸びるものの、会社の競争上の位置は弱まり、還元は十年で14億ドルとなる。生き残りは確かでも、優れた利益成長株とは呼びにくい。
- GSG:政府向け水・環境の現場、許認可・施工監理:数量 549(米国政府向け水・環境・土木の対象案件市場(2025年価格、億ドル))× 価格 4.9%(対象市場での当社シェア×案件当たり契約単価指数(2025年=1))→ 売上 27 億ドル・営業利益 3 億ドル。実質対象市場1.22倍、当社シェア0.88倍、単価1.36倍。実質有償工数・案件の数量は1.074倍。
- GSG:政府IT・データ解析・机上コンサル:数量 1,344(政府IT・情報処理・技術助言の対象工程市場(2025年価格、億ドル))× 価格 0.4%(対象市場での当社シェア×有償工程の契約単価指数(2025年=1))→ 売上 5 億ドル・営業利益 0 億ドル。実質対象市場1.12倍、当社シェア0.45倍、単価1.20倍。実質有償工数・案件の数量は0.504倍。
- CIG:民間・海外の水・環境・高性能施設の現場:数量 3,200(民間・海外の水・環境・インフラ設計監理市場(2025年価格、億ドル))× 価格 1.0%(対象市場での当社シェア×案件当たり契約単価指数(2025年=1))→ 売上 32 億ドル・営業利益 4 億ドル。実質対象市場1.28倍、当社シェア0.89倍、単価1.34倍。実質有償工数・案件の数量は1.139倍。
- CIG:机上設計、デジタル解析・助言:数量 1,265(民間・海外の企画設計・情報処理の有償工程市場(2025年価格、億ドル))× 価格 0.3%(対象市場での当社シェア×有償工程の契約単価指数(2025年=1))→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。実質対象市場1.15倍、当社シェア0.44倍、単価1.18倍。実質有償工数・案件の数量は0.506倍。
倍率:資本コスト8.5%、長期g2.4%。10年目のGAAP純利益4.64億ドル÷期末自己資本39.50億ドル=ROE11.7%。買収に必要なのれんは自己資本から除外せず、堀は普通、超過ROEの残存率1/2でRONIC10.1%。10年目利益ベースの正当化PER上限は約12.81倍。現場のシェア低下と机上の再入札による構造変化で、正当化上限を下回る10.6倍とする。中立より低い成長の確度と回復余地を反映し、悲観側の床には過去の市場倍率を使わない。GAAP純利益で評価する。
確率:政府援助契約の終了が単発では終わらず、公共案件の延期とAIでの内製化が同時に起きる姿である。専門性が残る現場も競争入札で値上げが遅れ、四分の一の確率を与える。
悲観 17% 悲観:許認可以外にも競争が広がり、AIと予算削減と買収減損が重なる 利益 2 億ドル · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 7.13 ドル18 億ドル
2035年には連邦政府の環境・防災支出が縮み、自治体も老朽施設の投資を先送りする。水・環境の市場自体はなくならないが、エイコム、WSP、スタンテックの調達規模と技術者網に負け、テトラ・テックの現場シェアは三〜四割減る。政府現場の実質受注は現在の約56%、海外も約65%となる。かつての技術順位は、新規受注の取り分を守れない。
机上の資料・図面・政府IT支援はAIエージェントが直接処理する。請求可能な工数は政府部門で約27%、民間部門で約25%に減り、単価も十年で1割に満たない上昇にとどまる。契約の再入札が続き、少数の固定価格案件で得た効率改善も次回の値下げに消える。売上は名目でも約33億ドルに縮む。
過去の買収で計上したのれんのうち約8.5億ドルが十年の途中で減損し、事業が回復するまでの純利益累計は14億ドルにとどまる。正味還元の8億ドルを差し引くと自己資本は23.8億ドルとなる。末年の純利益は約1.8億ドル、将来ののれんの売却価値は当てにしない。倒産は避けても、超過利益を稼ぐ堀は相当薄れる。
- GSG:政府向け水・環境の現場、許認可・施工監理:数量 405(米国政府向け水・環境・土木の対象案件市場(2025年価格、億ドル))× 価格 3.0%(対象市場での当社シェア×案件当たり契約単価指数(2025年=1))→ 売上 12 億ドル・営業利益 1 億ドル。実質対象市場0.90倍、当社シェア0.62倍、単価1.20倍。実質有償工数・案件の数量は0.558倍。
- GSG:政府IT・データ解析・机上コンサル:数量 1,140(政府IT・情報処理・技術助言の対象工程市場(2025年価格、億ドル))× 価格 0.2%(対象市場での当社シェア×有償工程の契約単価指数(2025年=1))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。実質対象市場0.95倍、当社シェア0.28倍、単価1.07倍。実質有償工数・案件の数量は0.266倍。
- CIG:民間・海外の水・環境・高性能施設の現場:数量 2,500(民間・海外の水・環境・インフラ設計監理市場(2025年価格、億ドル))× 価格 0.7%(対象市場での当社シェア×案件当たり契約単価指数(2025年=1))→ 売上 16 億ドル・営業利益 2 億ドル。実質対象市場1.00倍、当社シェア0.65倍、単価1.20倍。実質有償工数・案件の数量は0.650倍。
- CIG:机上設計、デジタル解析・助言:数量 1,100(民間・海外の企画設計・情報処理の有償工程市場(2025年価格、億ドル))× 価格 0.2%(対象市場での当社シェア×有償工程の契約単価指数(2025年=1))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。実質対象市場1.00倍、当社シェア0.25倍、単価1.07倍。実質有償工数・案件の数量は0.250倍。
倍率:資本コスト8.5%、長期g2.4%。10年目のGAAP純利益1.84億ドル÷期末自己資本23.80億ドル=ROE7.7%。買収ののれんを除かず、堀は普通、超過ROEの残存率1/2からRONIC8.1%。ROEが資本コストを下回るため、PER上限は1÷k=11.76倍。構造的な競争敗北を考慮して10.0倍とする。期末時価総額18.40億ドルは添付の現在自己資本17.8億ドルを下回らず、参考の売れる資産床8億ドルも上回る。GAAP純利益ベース。
確率:AIによる机上工数の四分の三減と政府案件の縮小だけでなく、強いはずの現場分野まで競合に奪われる構造的敗北である。過去ののれんと品質事故の尾を引く可能性を含め、十年の下方の尾を17%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
GSG:政府向け水・環境の現場、許認可・施工監理
河川、水道、洪水防御、環境測定、汚染地の再生、軍や自治体施設の設計。現場調査と資格者の責任、規制当局の承認が必要で、机上作業だけでは完結しない。AI分類は「現場の体・建設コンサルの許認可業務」。
| 数量米国政府向け水・環境・土木の対象案件市場(2025年価格、億ドル) | 価格対象市場での当社シェア×案件当たり契約単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 450 | 4.1% | 18 | 3 |
| 10 年後 中立 | 666 | 5.7% | 38 | 5 |
取り方:10-KのGSG外部売上26.374億ドルを起点に、水処理・防災・環境監視・許認可・施工監理など現場責任型を推定18.4億ドルとした。年間10万件超の案件数は全社合計しかなく、政府分の施工件数も標準単価も非開示。したがってENRの2026年設計上位500社売上1,587億ドルと公共・水分野の範囲を参考に、対象の実質市場450億ドル、当社シェア4.09%とする推計であり公表シェアではない。競争相手はエイコム、ジェイコブズ、スタンテック、HDR等(ENR:https://www.enr.com/toplists/2026-top-500-design-firms-1)。営業利益2.50億ドルは会社開示GSGセグメント利益約3.41億ドルから机上型を引いた推定。GSGの災害復旧など一時案件もこの中に含む。
GSG:政府IT・データ解析・机上コンサル
連邦機関向けのシステム刷新、分析報告、AI支援、情報整理、技術管理および文書作成。請求可能な人月と時間が売上の基盤で、2026年買収のハルビクもここに近い。AI分類は「人月・工数で売る受託・コンサル」。
| 数量政府IT・情報処理・技術助言の対象工程市場(2025年価格、億ドル) | 価格対象市場での当社シェア×有償工程の契約単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,200 | 0.7% | 8 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,440 | 0.5% | 7 | 1 |
取り方:10-KはGSGでIT・高度解析、環境情報処理、政府コンサルを明記するが、時間請求の工程別売上は非開示。GSG総額26.37億ドルの約30%に当たる7.97億ドルをAIエージェント代替の対象と推定し、残額は現場・許認可とする。米政府ITと高度分析・技術支援の対象市場を1,200億ドルと試算、当社シェア0.664%と逆算した。これは予算額を厳密に集計した市場シェアではない。競合はブーズ・アレン、レイドス、SAIC、ICF等。固定価格契約43.5%、時間材料42.6%、原価加算13.9%は全社構成で、AI対象比率と同義にしていない。ソフトの契約更新率・値上げ率が確認できず、「記録の正本」型ではない。
CIG:民間・海外の水・環境・高性能施設の現場
海外の上下水道、工場・発電・送電、データセンター、汚染地浄化、土木・設備の現地調査と設計監督。地理ごとの規制・専門資格・顧客設備の履歴を活用する。AI分類は「現場の体・建設コンサルの許認可業務」。
| 数量民間・海外の水・環境・インフラ設計監理市場(2025年価格、億ドル) | 価格対象市場での当社シェア×案件当たり契約単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,500 | 0.8% | 21 | 3 |
| 10 年後 中立 | 3,875 | 1.2% | 45 | 6 |
取り方:10-KのCIG外部売上28.052億ドルのうち、現地測定、規制対応、水道・設備設計、工事監理の約75%を21.0億ドルと推定。米国以外を含む土木・水・環境エンジニアリングという広い市場を実質2,500億ドルと仮置きし、シェア0.84%とした。環境・持続可能性コンサルだけの世界市場588億ドル(Environment Analyst、2024年、https://www.home.environment-analyst.com/market-assessments )より広く、ENRの設計会社上位各社が対象。エイコム、WSP、ジェイコブズ、アルカディス、スタンテックが競合する。全社にまたがる現場案件の正確な件数・技術者稼働率の開示はなく、市場は推定である。CIGセグメント利益約3.57億ドルから机上型分を差し引いた2.75億ドルを推定。
CIG:机上設計、デジタル解析・助言
建物・エネルギー・インフラの机上計画、図面調整、データ処理、報告書作成、ソフト導入助言。定型的な工程は顧客のAIと競合する。AI分類は「人月・工数で売る受託・コンサル」。
| 数量民間・海外の企画設計・情報処理の有償工程市場(2025年価格、億ドル) | 価格対象市場での当社シェア×有償工程の契約単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,100 | 0.6% | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,375 | 0.4% | 6 | 1 |
取り方:CIGのうち机上で完結できる設計反復・モデリング・情報整理を約25%の7.03億ドルと推定。対象市場1,100億ドル、シェア0.639%はENR設計会社と世界エンジニアリング市場の範囲を用いた推計であり、公式の細分類・公表シェアではない。シェアが小さくても、自動化によって外注すべき人時が減る点がリスク。競争相手はWSP、エイコム、アルカディス、IT内製チーム。Tetra Tech DeltaはAI解析・サブスクリプションを持つが独立した売上額、解約率、規制対応の移行期間、継続値上げという二つ以上の堀の証拠はないため、記録の正本型にしない。
リスクと懸念
AIエージェント代替と人月単価の切り下げ
2025年の時間・材料契約42.6%と原価加算契約13.9%は、工数が短くなると請求額が減りやすい。独自のAI解析ツールを使っても、顧客が報告書作成や初期設計を内製化すれば売上は失われる。中立では政府ITの有償工数を十年で約35%、民間の机上設計を約33%減らし、長期の名目成長率も下げる。
連邦予算・USAID契約の消滅
米政府は2025年に援助契約の大部分を停止し、同社の関連売上約5.8億ドルが縮んだ。2026年最初の九か月もGSGの売上は約24%減った。環境政策や連邦機関の優先順位が変われば、既存の受注残を含めて解約や発注延期が起こる。水道の必要性だけでは予算の執行時期まで保障しない。
許認可・環境浄化の法的責任
2025年の過去の環境浄化案件に関する和解などで、営業利益に1.15億ドルの費用が計上された。品質の検証が難しい業務では、事故や記録の不備が契約終了後にも訴訟費用となる。専門資格と現場責任は競争上の強みだが、賠償を通じて一度の失敗が長年の利益を消す。
買収で生じるのれんと増分ROIC
2025年末ののれんは約20.5億ドルと自己資本約17.8億ドルを上回る。RPSをはじめ買収で獲得した人材・顧客が退職やAI代替で失われれば、買収価格を回収できない。2025年には約0.92億ドルの減損を認識しており、悲観では更に大きい減損と統合失敗を想定する。現金だけで買っても投資元本の価値は増えない。
競争入札と専門技術者の費用
エイコム、WSP、ジェイコブズ、スタンテックは同じ水道・環境・インフラ市場を狙う。入札では資格と実績が必要だが、最終的な価格競争も避けられない。地盤や浄水の技術者の採用難で賃金が先に上がり、固定価格契約への転嫁が間に合わなければ、売上が伸びても営業利益率は下がる。
規制・水投資の執行時期
飲料水のPFAS規制は技術需要を生む一方、2026年には一部の順守期限を2031年へ延ばす提案も出た。州の水道更新基金の予算があっても設計契約に届くまで時間がかかる。規制の緩和、官公庁の人員不足、地方自治体の資金難が重なると、受注と実際の請求の間が長くなる。
運転資金と株主への実質的な還元
2026年6月末の受注残44.9億ドルの大部分は一年ほどで処理され、顧客は一部を解約できる。大型案件の請求回収が延びれば利益と現金が乖離する。自社株買いは株式報酬の希薄化を打ち消す分を除いた額だけが正味の還元であり、取得企業への支払いが増えると配当と買い戻しの余力は小さくなる。
今後の分かれ目
- 2027年以降も州・自治体の水道案件の実質受注が年5%前後増え、GSGの援助事業を除く成長が続く
- 現場案件の市場成長と顧客からの評価を確認できる。中立より現場の数量を増やし、やや楽観の確率を引き上げる。ただし政府ITのAI代替を自動的に消さない。
- 政府IT・設計部門の売上が、新規買収を除いて3年連続で2桁減る
- AIエージェントによる有償工数の消失や顧客内製化が進んだ可能性が高い。机上型の実質数量と単価を切り下げ、やや悲観と悲観を重くする。
- Tetra Tech Deltaの有料契約額、5%未満の解約率、年単位の移行負担などが分かる形で開示される
- 証拠が二つ以上揃った対象商品だけを独自データ・記録の正本型へ移し、ソフトの数量・価格と長期成長率を再評価する。会社全体の人月業務まで強い堀とは扱わない。
- 営業利益率が一時費用を除いて12%台後半で定着し、のれん込みの増分ROICが8.5%を上回る
- 固定価格契約でAIの効率化を会社が取り込めていると判断し、現場と机上の利益率を上げる。買収の成果は利益と投入資本の両方で確かめる。
- 米国の環境・援助関連予算がさらに削られ、GSGの受注残が二期連続で減る
- 案件数を回復させるための価格競争が強まる。政府現場のシェアと価格を下げ、買収したIT受託会社ののれん減損も検討する。
- 2027年以降に英国の水道と豪州の高性能施設の大型契約が続き、CIGの自力成長が6%を超える
- 民間・海外の現場分野で市場以上にシェアを得たと見直す。やや楽観の確率を高めるが、大型案件の採算と現金回収も併せて確認する。
- 株式報酬を差し引いた正味の配当・買い戻しが、3年累計でGAAP純利益の半分を下回る
- 成長投資の負担、買収費用、株主に戻らない現金を点検し、総還元の前提を下げる。表面上の自社株買いだけでは資本配分の質を高く評価しない。
見ておくもの
- GSGの援助・災害対応を除く自力売上成長率と、政府現場の受注件数
- CIGの英国水道・豪州・データセンター案件の自力売上と営業利益率
- 全社受注残44.9億ドルの増減、1年内の売上転換率と解約
- 固定価格43.5%・時間材料42.6%の契約構成がどう移るか
- 政府IT・机上設計の請求可能人時、単価と人員の変化
- Tetra Tech Deltaの独立した有料売上、契約更新率、値上げの証拠
- のれん約20.5億ドルに対する減損、買収先ごとの増分ROIC
- 営業キャッシュフローと純利益の差、売掛金回収日数
- 配当・自社株買いから株式報酬と増資の払い込みを引いた正味還元
- PFASと上下水道の予算執行、各州の水道・環境入札の新規公募
倍率と資本コストの決め方
最初に2025年のGSG・CIGの外部売上を出発点とし、各々を現場・許認可とAI代替を受ける机上業務に分けた。後者の中立の実質有償工数は十年で0.65〜0.68倍、単価は物価以下、長期成長率は0%とし、現場は市場数量・シェア・値上げから算出した。全社の長期g2.4%はこの加重結果であり、ROEから逆算していない。ROEには買収で必要なのれんも含め、超過利益の残存率は普通の堀として二分の一。正当化PERの式と翌年の利益を区別し、中立は上限13.89倍とした。現在の市場PERや同業の過去の市場倍率から倍率を決めず、2025年の一時費用は今後の利益にそのまま繰り返さない。純有利子負債8.2億ドルで余剰純現金はなく、株式報酬を還元から引き、悲観は現在自己資本17.8億ドルを下回らないと確認した。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%に四要素の合計0.5%を加えた8.5%。建設サービスのジェイコブズやエイコムの9.0%より低いのは、水・規制対応の比重が高く大型施工損失を直接負わないため。AI代替、USAID、訴訟、買収価格は数量・利益率・確率で別途評価し、存続危機による追加上乗せはしない。