結論
レノックス(Lennox)は、米国とカナダで住宅用空調(エアコン・ヒートポンプ・炉。HCS)と、商業用空調・商業冷凍(BCS)をつくる 1895 年創業のメーカー。2025 年の売上は 52.0 億ドル(HCS 33.4 億ドル・BCS 18.5 億ドル)、営業利益率 20.3% は同社で初めて 20% を超えた。GAAP の純利益(株式報酬を費用にした値)は 8.06 億ドル。
2026 年の住宅は谷にある。冷媒が R-410A から R-454B に切り替わる年で、2025 年第 4 四半期の HCS は売上 −21%、2026 年 4〜6 月期も台数 −12%、新築向けは低採算契約から撤退して売上が約 −30%。会社は 7 月 29 日に年間の調整後 EPS の見通しを下げ、株価は 1 日で約 2 割下がった。一方、商業の BCS は同じ四半期に売上 +24%・利益 +29%。
筋書きは、住宅を「米国の台数 × シェア × 価格」、商業用を「市場 × シェア × 価格」で積み、谷寄りの 2025〜2026 年の利益に倍率を掛けず、均した台数(約 885 万台)に戻る置き方にした。中立の 2028 年は売上 62.5 億ドル・GAAP 純利益 9.5 億ドル、2035 年は売上 89.7 億ドル・純利益 14.1 億ドル。この結論は、式の k − g の小ささ(4.4%)と、純利益が谷寄りの値から回復する前提に支えられている。
倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)(k 9.00%・g 4.0%・事業の ROE 139%・堀は普通)で 10 年の中立の上限は 18.9 倍。その 8 割の 15.1 倍に置いた(住宅の更新が柱で在庫調整の谷の途中、商業用は 2 桁で伸びる。ディーラー網は強いが、上限の 7.5 割)。総合は今の時価総額に対し +21%で「やや割安」。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、レノックスは「10 年後も存在し今より強いか」と問えば存在する。住宅の空調は故障した機器を替え続ける必要があり、商業用も店舗・倉庫・ビルで更新が続く。堀は設置業者の網・部品と保守の継続収入・冷媒の切り替えを済ませた製品群で、広がっているとは言えないが、狭まる兆しも小さい。
オーナー利益で見ると、GAAP の純利益 8.06 億ドルに対し FCF は 6.4 億ドル(2025 年は在庫が約 3 億ドル増えた年)で、会社は FCF が純利益の 90% 超を目標にする。設備投資は売上の 2〜4% と成長に要る元手は小さく、買収も NSI の約 5.5 億ドルのように規模が小さい。資本配分は、自社株買いを 2025 年に 4.8 億ドル使い、株価が下がった 2026 年は上期 1.5 億ドルに抑えており、割安でなければ買わない規律が見える。ただし自己資本が 13 億ドルと薄く、帳簿の ROE 69% は堀の強さの証拠にならない。この分析は ROIC から直した。
値段は、GAAP の PER が約 15 倍と、谷寄りの 2025〜2026 年の利益に対する値。中立で純利益が 10 年後に 14.1 億ドル(年 5.7%)へ増え、利益ベースの正当化 PER(18.9 倍。帳簿の ROE は自己資本が極小で極端に高く、倍率の上限は k − g でほぼ決まる)の 8 割(15.1 倍)を掛けて今に割り引くと、今の時価総額を総合で約 21% 上回る。安全域は厚いが、住宅が均した台数に戻る前提に支えられている。戻りが遅れるやや悲観では 10 年後の時価総額は今の約 1.18 倍、10 年の悲観は 2035 年の時価総額が 52 億ドルで今の約 41%。確信度は「中」で、住宅の回復の時期と、集団訴訟の行方が読みづらいのが理由。
何で稼ぐ会社か
レノックスは、米国とカナダで住宅と商業ビル・店舗の空調と冷凍をつくり売る 1895 年創業のメーカーで、本社はテキサス州リチャードソン。2025 年の売上 52.0 億ドルは 2 つの事業部門に分かれる。
(1) 住宅用空調 HCS(売上 33.4 億ドル・全体の 64%)。エアコン・ヒートポンプ・炉・空気清浄・給湯器と部品を、設置業者と自社の部品・用品の店を通して売る。8 割超が故障した機器の更新で、残りが新築。2026 年は新築向けの低採算の契約から意図して撤退している。
(2) 商業用 BCS(売上 18.5 億ドル・36%)。屋上設置型空調(RTU)・小型のアプライド機器・制御・設置と保守・補修部品と付属品に、商業冷凍(ヒートクラフト。スーパーや冷蔵倉庫向け)を加えた部門。この分析では商業用空調(約 12.5 億ドル)と冷凍(約 6.0 億ドル)に推定で分けた。2025 年 10 月に NSI インダストリーズの HVAC 部門(Duro Dyne・Supco。約 5.5 億ドル、売上 約 2.25 億ドル)を買い、2026 年にもコンフォートエア(Comfort-Aire)・センチュリー(Century)・コーストエア(Coast-Air)のブランドを買収した(借入 約 2 億ドル)。
稼ぎ方は、機器の販売に部品・保守・補修部品の収益が乗る形。2025 年のセグメント利益率は 20.4%(HCS 21.8%、BCS は推定で約 22%)と同社で初めて 20% を超えたが、2026 年 4〜6 月期の 23% 前後には関税の払い戻し 0.30 億ドル(住宅 0.25・商業 0.05)が入っており、実力より約 2 ポイント高い。
会計は、2025 年第 4 四半期に在庫評価を後入先出(LIFO)から先入先出(FIFO)に変えた。この分析は GAAP の純利益(株式報酬と買収無形資産の償却は費用)で置いた。会社の「調整後」は買収の償却(2026 年は約 0.25 億ドル)などを足し戻した値で、2025 年は GAAP 8.06 億ドル・調整後 8.19 億ドル。
優良さと弱いところ
堀は 4 つ。第 1 は設置業者の網と自社の部品店。住宅の空調は故障した時に業者が薦める 1 台が選ばれやすく、会社は 2026 年 4〜6 月期に更新のシェアが上がったと説明した(通話の要約)。第 2 は設置された機器が部品と保守の継続収入になること。第 3 は冷媒の切り替えを済ませたこと。2025 年に売上の約 4 割あった R-410A は 2026 年にすべて R-454B になり、mix の押し上げが続く。第 4 は商業用で、全国チェーン向けの取引と緊急更新が強く、新工場とスタットガートの工場の能力増で取引を取り戻した。
弱い点は 5 つ。(1) 住宅が売上の 64% で、キャリア・トレイン・ダイキン(グッドマン)・リーム(Rheem)との価格競争が、とくに新築寄りの販路で激しく、会社自身が新築の低採算契約から手を引いた。(2) 利益率の質。2026 年 4〜6 月期の関税の払い戻し 0.30 億ドルは続かない。(3) 帳簿の ROE 69% は自己資本が 11.6 億ドルしかないためで、堀の強さではない。のれんと無形資産 7.7 億ドルを引いた有形の自己資本は約 5 億ドル。(4) 規模はキャリア・トレインより小さい(推定)。(5) HVAC 機器の価格を揃えたとする集団訴訟(2026 年 3 月提起、7 社)が係争中で、会社は争っているが損失を見積もれないとしている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の住宅用空調は年 800〜900 万台(業界ノートの推定。更新が 8 割超)。キャリア(Carrier)、トレイン(Trane)、ダイキン(Daikin。グッドマン経由)、レノックス、リームなどの寡占で、同じ領域のキャリアの担当はレノックスの台数シェアを 14〜16% と置いた。2025 年は冷媒が R-410A から R-454B に切り替わる年で、流通が在庫を減らし、会社の HCS は 2025 年第 4 四半期に売上 −21%、2026 年 4〜6 月期に台数 −12% と出荷が谷に入った。業界の月次統計(AHRI。検索の要約)では中央空調とヒートポンプの出荷が 2 月までの累計で −14%、6 月までの累計で +3% に戻り、春に底を打ったように見える。会社の台数が業界より弱いのは、新築からの撤退(新築向け売上 約 −30%)が効いているため。会社は流通在庫が正常化し追加の在庫調整は無いと説明しており、ただし消費者の信頼感の低さと高い金利で、住宅の回復は 2027 年にずれ込むとしている。
商業用は、軽商業用空調の業界出荷が 2025 年 12 月まで 17 か月連続で減った後に反転する局面にある。BCS は 2026 年 4〜6 月期に売上 +24%(買収 9 ポイントを含む)・利益 +29%。競合はキャリア・トレイン・ジョンソンコントロールズ(JCI。ヨーク)・ダイキンなどで、レノックスは全国チェーンの取引と緊急更新で取った。データセンター向け冷却は会社の通話の要約に出てこず、主力ではない。キャリアやトレインのような AI 投資への連動は小さいと見る。
構造の変化は、ヒートポンプの伸び(AHRI の要約では 2026 年 7 月に +17.6%)、ダクトなしの小型機、ダイキンと中国メーカーの米国での増産。関税(鉄鋼・アルミの 232 条、メキシコ・カナダ)は費用と値付けを揺らす。
資本政策と M&A
2025 年は自社株買い 4.82 億ドル・配当 約 1.7 億ドル・設備投資 1.2 億ドル・買収 5.45 億ドルを使い、FCF は 6.4 億ドル。2026 年は FCF 7.5〜8.5 億ドルの見通しを維持し、上期の自社株買いは 1.52 億ドル、買い入れ枠の残りは 8.58 億ドル。純負債は調整後 EBITDA の 1.3 倍で、債務 15.8 億ドルの中身は、コマーシャルペーパー 4.1 億ドル(4.11%)・ターム 3.0 億ドル(4.55%)・社債 5.0 億ドル(5.50%・2028 年満期)・社債 3.0 億ドル(1.70%・2027 年満期)。1.70% の社債が 2027 年に 5.75% 前後へ借り換わる分と、変動の借入の金利の上がりを、利払いに入れた。
買収は 2025 年の NSI(約 5.5 億ドル)と 2026 年 7 月以降のコンフォートエア等(約 2 億ドル、2027 年に利益に貢献)が済み、会社は今後も同規模かやや小さい買収を続けると説明している(2026 年 1 月の通話)。この分析は成立済みの分だけを入れ、未発表の買収は入れない。2030 年の目標(2026 年 3 月 4 日の Investor Day)は売上 65〜75 億ドル・セグメント利益率 22〜23%・FCF 転換 90% 超。payout_oku は配当 + 自社株買い − 株式報酬による新株の分(年 約 0.3 億ドル)で、FCF の約 95% を使い切り、純負債を EBITDA の約 1.4 倍に保つ前提で置いた。大型の再編の話は確認していない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方は、2026 年を底と見る。住宅の落ち込み(2025 年第 4 四半期の売上 −21%、2026 年 4〜6 月期の台数 −12%)には 3 つの一時的な要因が重なっている。冷媒の切り替えに伴う流通の在庫調整(会社は流通在庫が正常化し追加の在庫調整は無いと説明)、会社が自分で選んだ新築の低採算契約からの撤退(新築向け売上 約 −30%)、高い金利と低い消費者信頼感で先延ばしにされた更新。流通業者を通す 2 段階の販路の台数は 4〜6 月期にほぼ横ばいまで戻り、業界統計(AHRI の要約)も 6 月までの累計で +3% に戻った。更新は故障の積み上がりなので先延ばしは続かず、住宅は均した台数(約 885 万台)に戻る。
商業用の BCS は 4〜6 月期に売上 +24%・利益 +29% で、利益率は 25.5% と住宅を上回った。全国チェーンの取り戻しと緊急更新で取り、新工場とスタットガートの能力増が効いた。軽商業用の市場が 17 か月続いた減少から戻れば、この事業はさらに伸びる。
加えて、2025 年に売上の 4 割あった旧冷媒がすべて新冷媒になる mix の押し上げ、買収済みの NSI などの部品・付属品、自社株買い(枠の残り 8.6 億ドル)が続く。中立でも 2028 年の純利益は 9.5 億ドル(2025 年比 +18%)、2035 年は 14.1 億ドルで、利益ベースの正当化 PER の内側(中立 16.2 倍)を掛けた今の価値は時価総額を上回る。
慎重な見方
慎重な見方は、会社自身が見通しを下げた点を突く。調整後 EPS の見通しは 2026 年 1 月の中央値から 7 月に約 3% 下がり、住宅の売上成長は約 4% から約 1%、台数は 1 桁後半の減に直された。株価は 1 日で約 2 割下がった。回復は 2027 年にずれ込むと会社は言うが、高い金利・低い消費者信頼感・住宅の手頃さの悪化は会社が決められない。
利益の質も落ちている。4〜6 月期の利益には関税の払い戻し 0.30 億ドルが入り、HCS の利益率は 2025 年の 21.8% から 2026 年上期は 19.4% に下がった。BCS の +24% のうち 9 ポイントは買収で、利益増 0.35 億ドルのうち買収は連結で 0.17 億ドル。オーガニックは 1 割強にとどまる。住宅は売上の 64% と、1 つの市場への集中が深い。
構造の面では、ヒートポンプとダクトなしの小型機への置き換え、ダイキンと中国メーカーの米国での増産、キャリア・トレインの規模が長期の圧力になる。HVAC 機器の価格を揃えたとする集団訴訟(7 社)は、値付けの自由度を狭めうる。帳簿の ROE 69% は自己資本が小さいためで、有形の自己資本は 5 億ドル強、純負債は EBITDA の約 1.3 倍あり、金利が 5% 台の世界では利払いが利益を削る。
どちらに重みを置いたか
強気の見方の事実(流通在庫の正常化・BCS の 25% 台の利益率・新築撤退は自分で選んだこと)は確認でき、慎重な見方の事実(見通しの下方修正・関税の払い戻しの一回性・住宅 64% の集中・訴訟)も確認できる。10 年は構造の勝ち負けで、楽観側 31%・悲観側 34% と悲観側をわずかに厚くした(住宅への集中・価格の集団訴訟・競合の増産)。事業の質(堀・商業の伸び)は強気の見方が正しく、帳簿の ROE の高さは自己資本の薄さによるもので堀の証拠にせず、倍率は上限の 8 割に抑えた。結論は式が決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER の内側(中立は 8 割)に置いた結果、総合は今の時価総額に対し +21%で「やや割安」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 581.15 ドル206 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 287.59 ドル102 億ドル)。 今の値に割り戻すと 432.40 ドル153 億ドル、今との差 +14.2%、 期待の年率 +8.7%(資本コスト 9.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 1,005 ドル356 億ドル | 394.35 ドル140 億ドル | +269.4% | +14.0% | 125.92 ドル45 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 781.07 ドル277 億ドル | 346.05 ドル123 億ドル | +197.6% | +11.5% | 247.97 ドル88 億ドル |
| 中立 | 35% | 602.26 ドル213 億ドル | 307.34 ドル109 億ドル | +140.2% | +9.2% | 318.36 ドル113 億ドル |
| やや悲観 | 21% | 423.45 ドル150 億ドル | 244.92 ドル87 億ドル | +76.5% | +5.8% | 140.36 ドル50 億ドル |
| 悲観 | 13% | 147.46 ドル52 億ドル | 130.51 ドル46 億ドル | −26.6% | −3.0% | 36.14 ドル13 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 581.15 ドル206 億ドル | 287.59 ドル102 億ドル | +129.4% | +8.7% | 868.74 ドル308 億ドル |
今の株価時価総額 378.72 ドル134 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 9% 住宅で 16% のシェア・商業で 13.5% のシェアを取り、利益率が 23% 台へ 利益 19 億ドル · PER 18.5 倍 · 株価時価総額 1,005 ドル356 億ドル
更新で強い販売店網と新工場の能力で住宅のシェアを取り、商業用では全国チェーンの取り込みが続く 10 年。2035 年の住宅の台数は 1000 万台、シェア 16.0%、価格 1.43 倍。商業用の市場は 190 億ドル、シェア 13.5%、価格 1.43 倍。冷凍は市場 80 億ドル・シェア 11.0%。利益率は住宅 24.5%・商業 27.5%・冷凍 19.0%、本社費 1.2 億ドル。売上 111.3 億ドル、営業利益 26.4 億ドル(利益率 23.7%)、利払い 2.3 億ドル、GAAP 純利益 19.3 億ドル。10 年間の還元は株式報酬の分を引いて約 140 億ドル。未発表の買収は入れていない(成立済みの NSI・コンフォートエア等の分だけ)。2026〜27 年は在庫調整で純利益が 8〜9 億ドルの足踏みとなり、その後に年 1 割強で伸びるため、10 年の純利益の累計は約 130 億ドル(2035 年の 19.3 億ドルの 7 倍弱)。
- 住宅用空調(HCS・米国とカナダ):数量 1,000(米国の住宅用空調の出荷台数(万台。エアコン・ヒートポンプ・炉の組み合わせ換算、推定。業界ノート))× 価格 6.2%(レノックスの台数シェア × 1 台あたり売上(0.271 億ドル/万台。部品・カナダ・新築を含む)× 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 62 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場 1000 万台 × シェア 16.0% × 1 台あたり 0.271 億ドル/万台 × 価格 1.430 倍
- 商業用空調・部品・保守(BCS の主力):数量 190(北米の軽商業用空調(屋上設置型・小型アプライド)と補修部品・付属品の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 19.3%(レノックスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 37 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 190 億ドル × シェア 13.5% × 価格 1.430 倍
- 商業冷凍(ヒートクラフト):数量 80.0(北米の商業冷凍機器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 15.7%(レノックスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 13 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 80 億ドル × シェア 11.0% × 価格 1.430 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 964.0%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.00%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 486.5%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 19.8 倍。住宅と商業でシェアを取り利益率が 23% 台に乗る姿でも、堀は普通で住宅への集中が大きいので、上限の 9.3 割の 18.4 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:楽観の 9%。シェアを取り続け利益率が 23% 台に乗る確率。今の売上の 6 割強が住宅で、値付けと競合の動きに左右されるので 1 割未満。
やや楽観 22% 住宅は更新の優良な販売店網でシェア 15% 超、商業用は 12.5% 利益 16 億ドル · PER 16.9 倍 · 株価時価総額 781.07 ドル277 億ドル
住宅で更新のシェアがじわじわ上がり、商業用で NSI と買収済みの部品・付属品の販路が効く 10 年。2035 年の住宅の台数は 975 万台、シェア 15.2%、価格 1.42 倍。商業用の市場は 175 億ドル、シェア 12.5%、価格 1.42 倍。冷凍は市場 74 億ドル・シェア 10.5%。利益率は住宅 23.5%・商業 26.5%・冷凍 18.0%、本社費 1.2 億ドル。売上 99.2 億ドル、営業利益 22.4 億ドル(利益率 22.6%)、利払い 2.0 億ドル、GAAP 純利益 16.4 億ドル。10 年間の還元は株式報酬の分を引いて約 122 億ドル。未発表の買収は入れていない(成立済みの NSI・コンフォートエア等の分だけ)。2026〜27 年は在庫調整で純利益が 8〜9 億ドルの足踏みとなり、その後に伸びるため、10 年の純利益の累計は約 117 億ドル。
- 住宅用空調(HCS・米国とカナダ):数量 975(米国の住宅用空調の出荷台数(万台。エアコン・ヒートポンプ・炉の組み合わせ換算、推定。業界ノート))× 価格 5.9%(レノックスの台数シェア × 1 台あたり売上(0.271 億ドル/万台。部品・カナダ・新築を含む)× 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 57 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場 975 万台 × シェア 15.2% × 1 台あたり 0.271 億ドル/万台 × 価格 1.420 倍
- 商業用空調・部品・保守(BCS の主力):数量 175(北米の軽商業用空調(屋上設置型・小型アプライド)と補修部品・付属品の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 17.8%(レノックスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 31 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 175 億ドル × シェア 12.5% × 価格 1.420 倍
- 商業冷凍(ヒートクラフト):数量 74.0(北米の商業冷凍機器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 14.9%(レノックスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 11 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 74 億ドル × シェア 10.5% × 価格 1.420 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 276.6%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.00%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 142.8%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 19.4 倍。更新のシェアと商業の伸びが続く姿でも、堀は普通で住宅への集中が大きいので、上限の 8.7 割の 16.9 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:やや楽観の 22%。更新のシェア上昇と商業の伸び。2030 年の目標(利益率 22〜23%)に近い道筋。
中立 35% 中立:シェアは今のまま、価格は物価並み、利益率は 21% 台へ 利益 14 億ドル · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 602.26 ドル213 億ドル
住宅の台数は更新中心で年 +1%、シェアは 14.5% で横ばい、価格は物価並みの 10 年。2030 年の会社の目標(売上 65〜75 億ドル・セグメント利益率 22〜23%)に対し、この中立は 2030 年に売上 約 70 億ドル(目標の中ほど)・利益率 21% 前後(目標の下)を通る道筋に置いた。2035 年の住宅の台数は 950 万台、シェア 14.5%、価格 1.41 倍。商業用の市場は 164 億ドル、シェア 11.8%、価格 1.41 倍。冷凍は市場 69 億ドル・シェア 10.0%。利益率は住宅 22.5%・商業 25.5%・冷凍 17.0%、本社費 1.1 億ドル。売上 89.7 億ドル、営業利益 19.3 億ドル(利益率 21.5%)、利払い 1.7 億ドル、GAAP 純利益 14.1 億ドル。10 年間の還元は株式報酬の分を引いて約 109 億ドル。未発表の買収は入れていない(成立済みの NSI・コンフォートエア等の分だけ)。
- 住宅用空調(HCS・米国とカナダ):数量 950(米国の住宅用空調の出荷台数(万台。エアコン・ヒートポンプ・炉の組み合わせ換算、推定。業界ノート))× 価格 5.5%(レノックスの台数シェア × 1 台あたり売上(0.271 億ドル/万台。部品・カナダ・新築を含む)× 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 53 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場 950 万台 × シェア 14.5% × 1 台あたり 0.271 億ドル/万台 × 価格 1.410 倍
- 商業用空調・部品・保守(BCS の主力):数量 164(北米の軽商業用空調(屋上設置型・小型アプライド)と補修部品・付属品の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 16.6%(レノックスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 27 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 164 億ドル × シェア 11.8% × 価格 1.410 倍
- 商業冷凍(ヒートクラフト):数量 69.0(北米の商業冷凍機器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 14.1%(レノックスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 10 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 69 億ドル × シェア 10.0% × 価格 1.410 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 139.4%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.00%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 74.2%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 18.9 倍。シェア横ばい・価格は物価並みの姿で、ディーラー網は強いが堀は普通なので、上限の 8.0 割の 15.1 倍に置いた。純利益は GAAP。(帳簿の ROE は自社株買いで自己資本が極小のため高く出る。ROIC は約 38% で、堀の強さの証拠にはせず、倍率は上限の 8 割に抑えた。)
確率:中立の 35%。シェア横ばい・価格は物価並み。
やや悲観 21% 価格が物価に届かず、住宅のシェアが 13.5% へ下がる 利益 11 億ドル · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 423.45 ドル150 億ドル
価格が物価に届かない(競争と訴訟後の値付けの慎重化)うえ、住宅のシェアが競合に削られる 10 年。2035 年の住宅の台数は 910 万台、シェア 13.5%、価格 1.36 倍。商業用の市場は 150 億ドル、シェア 10.8%、価格 1.36 倍。冷凍は市場 64 億ドル・シェア 9.3%。利益率は住宅 20.5%・商業 23.0%・冷凍 15.0%、本社費 1.1 億ドル。売上 75.4 億ドル、営業利益 14.5 億ドル(利益率 19.2%)、利払い 1.3 億ドル、GAAP 純利益 10.5 億ドル。10 年間の還元は株式報酬の分を引いて約 87 億ドル。未発表の買収は入れていない(成立済みの NSI・コンフォートエア等の分だけ)。
- 住宅用空調(HCS・米国とカナダ):数量 910(米国の住宅用空調の出荷台数(万台。エアコン・ヒートポンプ・炉の組み合わせ換算、推定。業界ノート))× 価格 5.0%(レノックスの台数シェア × 1 台あたり売上(0.271 億ドル/万台。部品・カナダ・新築を含む)× 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 45 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 910 万台 × シェア 13.5% × 1 台あたり 0.271 億ドル/万台 × 価格 1.360 倍
- 商業用空調・部品・保守(BCS の主力):数量 150(北米の軽商業用空調(屋上設置型・小型アプライド)と補修部品・付属品の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 14.7%(レノックスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 22 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 150 億ドル × シェア 10.8% × 価格 1.360 倍
- 商業冷凍(ヒートクラフト):数量 64.0(北米の商業冷凍機器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 12.6%(レノックスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 8 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 64 億ドル × シェア 9.3% × 価格 1.360 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 63.6%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.00%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 36.3%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 17.8 倍。価格が物価に届かず住宅のシェアが下がる姿なので、上限の 8.0 割の 14.2 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:やや悲観の 21%。集団訴訟後の値付けの慎重化と競合の増産で価格が物価に届かない。2030 年の目標に届かない確率を厚く置いた。
悲観 13% 構造的な負け:ヒートポンプ・小型機への切り替えと値崩れで、もう優良ではない 利益 5 億ドル · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 147.46 ドル52 億ドル
ヒートポンプ・ダクトなしの小型機への置き換えと、ダイキン・中国メーカーの米国での増産で台数と価格が崩れ、更新の高い利益率を守れなくなる 10 年。2035 年の住宅の台数は 800 万台、シェア 11.5%、価格 1.20 倍。商業用の市場は 125 億ドル、シェア 8.5%、価格 1.20 倍。冷凍は市場 52 億ドル・シェア 7.5%。利益率は住宅 16.0%・商業 17.0%・冷凍 11.0%、本社費 1.0 億ドル。売上 47.4 億ドル、営業利益 6.5 億ドル(利益率 13.7%)、利払い 0.6 億ドル、GAAP 純利益 4.7 億ドル。10 年間の還元は株式報酬の分を引いて約 46 億ドル。未発表の買収は入れていない(成立済みの NSI・コンフォートエア等の分だけ)。
- 住宅用空調(HCS・米国とカナダ):数量 800(米国の住宅用空調の出荷台数(万台。エアコン・ヒートポンプ・炉の組み合わせ換算、推定。業界ノート))× 価格 3.7%(レノックスの台数シェア × 1 台あたり売上(0.271 億ドル/万台。部品・カナダ・新築を含む)× 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 30 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 800 万台 × シェア 11.5% × 1 台あたり 0.271 億ドル/万台 × 価格 1.200 倍
- 商業用空調・部品・保守(BCS の主力):数量 125(北米の軽商業用空調(屋上設置型・小型アプライド)と補修部品・付属品の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 10.2%(レノックスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 13 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 125 億ドル × シェア 8.5% × 価格 1.200 倍
- 商業冷凍(ヒートクラフト):数量 52.0(北米の商業冷凍機器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定))× 価格 9.0%(レノックスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 52 億ドル × シェア 7.5% × 価格 1.200 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 17.3%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.00%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.1%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 13.9 倍。ヒートポンプ・小型機への切り替えと値崩れで構造的に負ける姿なので、上限の 8.0 割の 11.1 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:悲観の 13%。ヒートポンプ・小型機への切り替えと中国・ダイキンの増産で優良でなくなる確率。住宅が売上の 6 割を占め単一市場への依存が高いので、キャリア・トレインと同じ 12〜13% にした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
住宅用空調(HCS・米国とカナダ)
住宅のエアコン・ヒートポンプ・炉・空気清浄・給湯器・部品。設置業者と自社の部品店を通して売り、更新が 8 割超。
| 数量米国の住宅用空調の出荷台数(万台。エアコン・ヒートポンプ・炉の組み合わせ換算、推定。業界ノート) | 価格レノックスの台数シェア × 1 台あたり売上(0.271 億ドル/万台。部品・カナダ・新築を含む)× 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 850 | 3.9% | 33 | 7 |
| 10 年後 中立 | 950 | 5.5% | 53 | 12 |
取り方:台数 × シェア × 単価。米国の住宅用空調(業界ノート:年 800〜900 万台、更新が 8 割超)を 850 万台とみる(2025 年は冷媒の切り替えと後半の流通の在庫調整で谷寄り。均した水準は約 885 万台と推定し、2028 年に戻る置き方。同じ領域のキャリアの担当と揃えた)。レノックスのシェアは約 14.5%(推定。キャリアの担当の置き方:キャリア 約 20%・ダイキン/グッドマン 約 20%・リーム 約 15%・トレイン 10〜14%・レノックス 14〜16%)。売上 33.4 億ドル(HCS の 2025 年。前年 35.8 億ドルから −7%)÷(850 万台 × 14.5%)= 1 台あたり 0.271 億ドル/万台(炉・部品・カナダ・新築・給湯器を含む)。セグメント利益率 21.8%(利益 7.29 億ドル)。
商業用空調・部品・保守(BCS の主力)
北米の屋上設置型空調(RTU)・小型アプライド機器・制御・設置と保守・補修部品と付属品(NSI の Duro Dyne・Supco を含む)。
| 数量北米の軽商業用空調(屋上設置型・小型アプライド)と補修部品・付属品の市場(億ドル、2025 年の値段、推定) | 価格レノックスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 120 | 10.4% | 13 | 3 |
| 10 年後 中立 | 164 | 16.6% | 27 | 7 |
取り方:市場 × シェア × 価格指数。市場は北米の軽商業用空調(屋上設置型・小型アプライド)と補修部品・付属品に絞って 120 億ドルとみる(推定:屋上設置型 約 70 億ドル + 小型アプライド・チラー 約 20 億ドル + 補修部品・付属品 約 30 億ドル)。同じ領域のキャリアの担当(440 億ドル)・トレインの担当(380 億ドル)の置き方は大型チラー・VRF・サービス全体を含む広い定義で、レノックスが売らない範囲が多いので、ここは狭く取った(シェアは比べられない)。売上 12.52 億ドル(BCS 18.52 億ドルから冷凍 約 6.0 億ドルを引いた推定。2025 年第 4 四半期の NSI 約 0.56 億ドルを含む)、シェア 10.4%。利益率 24.5%(BCS の利益は公表値が取れず、全社営業利益 約 10.5 億ドル + 本社費 約 0.8 億ドル − HCS 利益 7.29 億ドル = 約 4.05 億ドルから、商業用 約 3.07 億ドル・冷凍 約 0.98 億ドルに推定で分けた)。競合はキャリア・トレイン・JCI(ヨーク)・ダイキン・リーム。
商業冷凍(ヒートクラフト)
スーパー・食品店・コールドストレージ向けの冷凍・冷蔵機器(コンデンシングユニット・ユニットクーラー等)。BCS の一部。
| 数量北米の商業冷凍機器の市場(億ドル、2025 年の値段、推定) | 価格レノックスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 60.0 | 10.0% | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 69.0 | 14.1% | 10 | 2 |
取り方:市場 × シェア × 価格指数。北米の商業冷凍機器(コンデンシングユニット・ユニットクーラー・コールドストレージ向け)の市場を 60 億ドルとみる(公表の市場規模を確認できず、ヒートクラフトの売上と業界の位置から置いた推定。確度は低い)。売上 6.0 億ドル(BCS の約 3 分の 1 と推定)、シェア 10.0%、利益率 16.3%(約 0.98 億ドル、推定)。競合は食品店向けの冷凍機器大手(ハスマン(Hussmann)・ヒルフェニックス(Hillphoenix)・エマソン(Emerson)のコープランドなど)。
リスクと懸念
住宅の回復の遅れ
2026 年の住宅の台数は 1 桁後半の減の見通しで、会社は回復が 2027 年にずれ込むとした。高い金利・低い消費者信頼感・手頃さの悪化は会社が決められない。2026 年 1 月から 7 月までに EPS の見通しが約 3% 下がり、住宅の売上成長が約 4% から約 1% に直された。中立は 2028 年に約 885 万台へ戻る置き方で、やや悲観は 860 万台・価格 1.08 倍・利益率 20.5% にとどまる。
集団訴訟と価格の規律
In re HVAC Equipment Antitrust Litigation(2026 年 3 月提起、レノックスを含む 7 社)は、HVAC 機器の価格を揃えたと主張する。会社は争い、損失を見積もれないとしている。和解や判決で値付けの行動が変われば、物価並みの価格(10 年 1.41 倍)を置いた中立が崩れる。やや悲観の価格は 10 年 1.36 倍とした。
関税の払い戻しの一回性と費用
2026 年 4〜6 月期の利益に関税の払い戻し 0.30 億ドルが入った(住宅 0.25・商業 0.05)。続かない利益で、セグメント利益率 23% のうち約 2 ポイントにあたる。鉄鋼・アルミの 232 条やメキシコ・カナダの扱いの変更は費用を揺らし、会社は費用削減の技術者がその対応に回って、生産性の削減額を 0.75 億ドルから 0.60 億ドルに下げた。
商業用の循環と買収の取り込み
BCS は 2026 年に売上 約 +20% の見通しだが、買収が約 9 ポイント(NSI など)を占め、オーガニックは 1 割強。軽商業用の業界出荷は 17 か月連続で減った後で、反転が続くかは分からない。10 年の悲観は商業用の新設が減る谷の年(市場 −30% 前後・利益率 15%)を含む置き方にした。
薄い自己資本と金利
自己資本は 13.0 億ドル(2026 年 6 月末)に対し純負債は 17.4 億ドルで、EBITDA の約 1.3 倍。自社株買いで自己資本が薄く、帳簿の ROE は 69% と見かけが高い(ROIC から直した)。1.70% の社債(3.0 億ドル・2027 年満期)などが 5.75% 前後に借り換わり、コマーシャルペーパー(4.11%)も 5% 台の世界では高くなるので、10 年の純利益に利払いの増加を入れた。
ヒートポンプと競合の増産
住宅の空調は、ヒートポンプとダクトなしの小型機への置き換えが進み、ダイキン(グッドマン)や中国メーカーが米国で増産すると、ダクト付きの炉とエアコンが主力のレノックスのシェアと価格が削られる。10 年の悲観は住宅のシェア 11.5%・価格 1.20 倍・利益率 16% で、営業利益率は 13.7% まで下がる。
今後の分かれ目
- 2026 年 10 月〜2027 年の AHRI の月次で中央空調・ヒートポンプの出荷が前年比プラスを保ち、レノックスの HCS の台数が前年比プラスに戻る
- 住宅の均した台数(約 885 万台)に戻る中立が確かになり、やや楽観〜楽観の確率を 1 割動かす。2028 年の純利益は 9.5 億ドルから 10 億ドル超へ。
- 2027 年も HCS の台数が前年割れで、会社が見通しをもう一度下げる
- 住宅の台数 860 万台・価格 1.08 倍のやや悲観に寄る。2028 年の純利益は 8.0 億ドル前後と、今の純利益(2025 年 8.06 億ドル)から伸びない。ただし今の時価総額は割らない。
- 集団訴訟で和解金や価格の行動の制限が出る
- 金額は見積もれないが、物価並みの価格を置いた中立の前提が崩れ、10 年の価格が 1.36 倍(やや悲観)に寄る。確率を悲観側へ 1 割動かす。
- BCS の利益率が 25% 台を保ったまま売上が年 +8% 以上で伸び続ける
- 商業用の市場 年 +4.5%・シェア 12.0% のやや楽観が確かになり、2028 年の営業利益は 14 億ドル台へ。住宅が戻らなくても全社の利益は伸びる。
- 2026 年後半に関税の払い戻しが止まり、費用が増える
- 2026 年の利益率が 1〜2 ポイント下がる。中立の住宅の利益率 22.0% を 21% 台に、商業用 25.0% を 24% 台に直すと 2028 年の純利益は約 0.5 億ドル減る。
- 米国の住宅ローン金利や短期金利が大きく下がる
- この分析は金利と物価を動かさない前提(全筋書き共通)で、倍率の上振れは数えない。ただし住宅の台数は先延ばしされた更新が出て、住宅の筋書きは楽観に寄る。
見ておくもの
- AHRI の月次出荷(中央空調・ヒートポンプ・炉)と流通在庫。住宅の台数が前年比プラスに戻る時期
- HCS の台数・売上・利益率(2025 年 21.8%、2026 年上期 19.4%)と、新築向け売上の落ち込みの底
- BCS の売上とオーガニックの伸び・利益率(2026 年 4〜6 月期 25.5%)、全国チェーン向けの受注
- 2026 年 10 月 28 日の決算での 2026 年の調整後 EPS の見通しと、2027 年の住宅の見通し
- 集団訴訟(E.D. Michigan)の進み方、関税の払い戻しと 232 条の扱い、純負債と自社株買いの額
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見る前に、数量 × 価格で積んだ利益から利益ベースの正当化 PER((1−g/RONIC)/(k−g)、RONIC=k+残る割合×(事業の ROE−k))で出した。10 年の中立は正当化 PER の上限 18.9 倍(k 9.00%・g 4.0%・ROE 139%・堀は普通)の 8 割 = 15.1 倍。住宅の更新が柱で在庫調整の谷の途中、商業用は 2 桁で伸びる。ディーラー網は強いが、 悲観側は構造的な負けの筋書きとして上限の内側に置いた。今の株価や過去の倍率に寄せて選んだ値ではなく、全筋書きが検査の上限(正当化 PER × 事業の純利益の 1.1 倍)の内側に収まっている。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β 1.12 × 5%。k = 基本 8.0% + quality 1.0% = 9.0%。売上の約 6 割強が住宅で新築と在庫調整に台数が振れ、商業の新設もあり循環に +0.5%、住宅用空調は主要各社が価格を揃える競り値決めで価格の集団訴訟もあり値決めに +0.25%、純負債は時価総額の約 14% で借金は 0、ヒートポンプ・小型機への切り替えが 10 年で効くので寿命に +0.25%。住宅への集中・訴訟・自社株買いによる薄い自己資本などの個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益率と確率(悲観を厚く)で表した。上乗せは 0。
同じ業種(資本財・サービス)の AI 分析
読んだ資料
- Lennox 2026 年 4〜6 月期の決算発表(SEC 8-K)
- Lennox 2026 年 6 月 30 日の 10-Q(債務・自己資本・訴訟・株数)
- Lennox 2026 年 4〜6 月期 決算説明会の記録(Motley Fool)
- Lennox 2025 年 10〜12 月期 決算説明会の記録(Motley Fool)
- Lennox 2025 年通期の決算発表と 2026 年の見通し(会社 IR)
- Lennox 2026 年 Investor Day:2030 年の長期目標(会社 IR)
- Lennox による NSI Industries の HVAC 部門の買収(Contracting Business)
- AHRI 2026 年 6 月の統計発表