結論
ロケット・ラボは小型ロケットの打上げと、衛星本体・宇宙用部品を設計製造する会社である。筆者の結論は割高だ。ロケットを飛ばせる会社は少なく、顧客から繰り返し仕事を任される力は本物だが、現在の時価総額には未完成の中型ロケットと大型買収の成功が相当程度織り込まれている。
2025年の売上は6.0億ドルまで伸びたが、純損失は2.0億ドルで、フリーキャッシュフローも3.2億ドルの赤字だった。2026年4〜6月期の売上は2.34億ドル、受注残は23.56億ドルと勢いがある。衛星製造・光学部品の大型契約が増え、9月にはイリジウム買収の資金を株式発行で確保した。しかし、打上げの柱として期待されるNeutronの初飛行は10月に2027年へ延期された。
2035年の中立像はElectron系40回、Neutron25回、衛星製造・部品の実質市場でシェア9%を取る姿だ。ここまで広がっても、研究開発と設備の負担を引いた純利益は7.1億ドルとみる。5つの筋書きで測った現在価値は約39億ドルで、指定された2026年10月23日の時価総額約331億ドルに大きく届かない。結果の厳しさは株価に合わせて和らげない。
最大の不確実性は、衛星メーカーから通信衛星を自ら運用する企業へ変わる可能性である。ただし、イリジウムの買収は未成立であり、その利益も負債も予想に先取りしていない。実現すれば評価を作り直す必要がある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、最初に事業の寿命を評価する。衛星は社会の通信、防衛、気象を支える設備になり、10年後も製造と打上げは必要である。ロケット・ラボは小型専用打上げを日常業務に変え、衛星部品を競合メーカーに売る道まで作った。宇宙への信頼できる交通手段と、その荷物を両方作る力は魅力的だ。
次に、その成長を誰のお金で実現するのかを問う。打上げ成功は価値を生むが、開発費が利益より大きければ株主のオーナー利益は残らない。2025年のFCFは大幅赤字で、Neutronを飛ばすまでの支出と買収の代金を株主が負担している。2035年に中立の利益率を確保できても、増分ROICが資本コストを超えたことを何年も示す必要がある。
値段の面では、今の時価総額が大きすぎる。中立の2035年の純利益7.1億ドルと、楽観の28.7億ドルには大きな差があるが、前者だけで現在の評価額を正当化するのは難しい。会社の将来像に夢があっても、現金の回収を待つ10年には資本コストがかかる。筆者なら、再使用の採算と衛星案件の継続受注が数字で立証されるまで、安全域を厚く取る。
何で稼ぐ会社か
会社には開示上、打上げサービスと宇宙システムの2事業がある。前者の主力Electronは小型衛星を専用軌道へ運ぶロケットで、極超音速試験向けのHASTEも含む。2025年は21回飛ばし、打上げ契約の平均単価は850万ドル、1回の費用は480万ドルだった。打上げ事業の売上1.99億ドルには、進捗に応じた売上計上や試験・解約関連の収入も入るため、単純に回数と契約単価を掛けた額とは一致しない。
Neutronは最大約13トンを低軌道へ運ぶ再使用型の中型機で、SpaceXの大型ロケットが主導する衛星群の一括打上げ市場に挑む。2025年時点で商業打上げ売上はなく、研究開発費が先行する。初飛行は2027年見込みへずれたが、2026年には顧客から複数回の発注を得た。初号機の成功と、同じ機体を繰り返し使って採算を出すことは別の関門である。
宇宙システムは2025年売上4.03億ドルで、全社の約3分の2を占める。衛星バスの製造から太陽電池、姿勢制御、光学・赤外線センサー、レーザー通信部品まで売り、政府向けの衛星群を一括受託する。2025年には米宇宙開発庁から追跡衛星18機の大型案件を獲得し、2026年には空中移動目標監視向けの衛星と打上げを組み合わせた案件も取った。買収したGEOST、Mynaric、Motivの技術を束ねることで、完成衛星だけでなく競合メーカーにも部品を売る二重の商機が生まれる。
優良さと弱いところ
強みは、実際に宇宙へ行き着いた回数に裏打ちされた信用である。2025年末までにElectronは75回の成功を重ね、2026年10月には98回目の任務を成功させた。打上げ許認可、専用発射場、設計と製造の習熟は短期間では複製できない。衛星を作って自社ロケットで打ち上げる能力も、国防案件で工程の責任を一社にまとめたい顧客には魅力がある。
ただし、この強みを恒久的な独占と呼ぶのは早い。Electronの平均契約単価は2023年の710万ドルから2025年の850万ドルへ上がったが、軌道・顧客・任務構成の違いを含む数字で、同一サービスの値上げを立証しない。SpaceXの相乗り輸送は小型衛星にとって圧倒的に安く、独立した軌道と日程への追加料金がElectronの価値だ。衛星部品ではレッドワイヤや大手防衛企業との競争があり、顧客の自社製造も起きる。
増分資本利益率はまだ実績で証明されていない。2025年は営業赤字で、手持ちの現金も開発投資と買収に使う。2035年の中立で初めてROEが約13%に達する想定であり、資本コスト9%を超える収益を継続して稼ぐには量産の歩留まりが欠かせない。創業者のシリーズA転換優先株には取締役を一人選ぶ権利があり、株主との利害は重なるが少数株主の統治権限には限界がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
宇宙産業は打上げ回数と売上が同じ速度では伸びない市場である。衛星産業協会の2026年報告によれば、2025年の世界の商業打上げ収入は124億ドル、衛星製造は204億ドルだった。世界の軌道打上げは325回に達したが、SpaceXだけで約170回を担い、その多くは自社衛星向けだった。Electronの軌道打上げは約18回で世界の回数の5〜6%に相当するものの、売上規模では打上げ市場の2%弱にとどまる。
10年先には衛星通信、早期警戒、画像収集、航法の需要は増える。ただし衛星の量産が進むと1機の値段は下がり、2025年も製造収入は打上げ機数ほど増えていない。中立では2035年の衛星製造・部品市場を2025年価格換算で365億ドル、ロケット・ラボの取り分を9%とする。現状の約2%から大きくシェアを取る前提であり、すでに相応の成功を見込んだ数字だ。単価指数は物価上昇より少し低く、標準化の値下げを含める。
競合のSpaceXは打上げ価格と頻度で優位に立ち、ブルー・オリジンやファイアフライも新型機を進める。衛星の主契約ではロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマン、エアバス、ヨーク・スペース・システムズが強い。政府は複数の供給源を欲するが、予算は議会と任務変更に左右される。AIは設計・検査の工数を減らしても衛星や打上げという現物を代替しないため、AIエージェント代替の指定業態には当たらない。むしろ顧客側の開発内製化を速める可能性を競争に織り込む。
資本政策と M&A
経営は配当や継続的な自社株買いの数値目標を約束していない。資金はNeutronの開発、発射場、衛星の量産設備と企業買収に回る。2025年のフリーキャッシュフローは3.2億ドルの赤字で、株式報酬費用も0.7億ドルあった。2026年4〜6月期末の現金・有価証券は約23.88億ドルと厚くなったが、自由に配れるお金ではない。
2025年のGEOST買収に続き、2026年には光通信のMynaricと宇宙ロボティクスのMotivを傘下に収めた。さらに6月、イリジウムの買収に合意した。企業価値の目安は80億ドルで、衛星運用の継続課金を取り込む狙いだ。9月には2,930万株の発行で19.44億ドルを調達し、既存借入枠の利用も含めて買収資金を整えた。イリジウム株主は承認済みだが、規制当局の承認が必要で、完了目標は2027年半ばである。未成立のため、その事業利益・負債・新株は評価に加えていない。
2026年7〜9月期の会社売上予想は2.50〜2.65億ドル、GAAP粗利益率は29〜31%で、長期利益目標と株主還元額には数字の約束がない。大型買収が実現すると現金、のれん、金利負担と契約上の保証が同時に増える。開発と買収を優先して株主に追加資本を求める資本政策が、稼ぐ力を上回るかを監視したい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
打上げと衛星製造を自前でできる企業は世界でも希少で、国防顧客は第二の信頼できる供給源を求めている。Electronは2025年に21回を飛ばし、2026年10月には通算98回目の任務を成功させた。繰り返し発注する顧客がいるため、打上げ日は単なる輸送サービスではなく、計画を遅らせない保証として売れる。SpaceXの安い相乗りでは対応しにくい軌道と機密任務が残る。
衛星側の成長余地はさらに大きい。2025年に獲得した追跡衛星18機の約8.16億ドルの契約は、打上げをしていた企業が国家安全保障の主契約者にもなれた証拠である。2026年の新しい空中目標監視案件、光学センサー、レーザー通信と宇宙ロボット部品を組み合わせれば、競合メーカーにも製品を供給できる。衛星群の多層化が進む世界でシェアは長く上昇しうる。
Neutronが2027年に飛び、再使用の回転が2020年代末に立ち上がれば、顧客は衛星本体から打上げまで一括して発注できる。2035年に衛星部品市場の16%と年間65回のNeutronを取れた場合、売上は178億ドルを超える。研究開発の固定費を広い売上で吸収できれば、純利益は28億ドル台となる。大型案件の獲得力と量産の規模は、それまでの赤字の印象を変えるはずだ。
慎重な見方
今ある成功と、まだ紙上の計画を混ぜると価値を過大に見積もる。Electronは立派な実績を築いたが、1回の収入は数百万ドル台で、現在の時価総額を単独で支えられない。大型打上げはSpaceXが価格、経験、垂直統合のすべてで優位にある。Neutronは2026年の試験で大型タンクの不具合に直面し、同年10月には初飛行が2027年へ延びた。飛ぶことと再使用を高頻度で成立させることの間には深い谷がある。
衛星部品では開示された受注残が売上や利益を保証しない。固定価格の政府契約は工程が遅れれば採算が悪化し、2025年にも見積費用の修正による売上下方調整があった。大手防衛企業やヨーク・スペース・システムズに追いつかれるうえ、衛星の小型化と量産で単価は下がる。衛星の数が増えても利益が増えるとは限らない。
財務は2025年末に純現金だったが、FCFの赤字とNeutron開発は株主資本を使い続ける。イリジウム買収は約80億ドル規模で、成立すれば通信網の利点だけでなく負債、統合費用、顧客の継続維持まで引き受ける。買収が未成立の段階でその利益を先取りすべきではない。現在の値段は、開発・シェア拡大・利益率・資本配分の四つが同時に良くなることを要求している。
どちらに重みを置いたか
事業の存続には強気の材料があり、Electronと衛星部品の地位は簡単には崩れない。ただし利益の質と株主の取り分では慎重な見方が優勢だ。Neutronの再使用採算、衛星の製造利益率、大型買収の統合はいずれも実績が不足している。楽観側を27%、悲観側を41%とし、中立を32%にした。これは技術の競争と資本配分の失敗を別々に織り込んだ結果で、金利を恣意的に上げて二重に罰してはいない。将来の売上が大きく増える中立像でも、現在の値段から期待する回収には足りず、結論は割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 17.09 ドル108 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 −1.52 ドル−10 億ドル)。 今の値に割り戻すと 6.23 ドル39 億ドル、今との差 −88.6%、 期待の年率 −11.4%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 69.74 ドル439 億ドル | 1.59 ドル10 億ドル | +30.3% | +2.7% | 6.42 ドル40 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 31.64 ドル199 億ドル | −0.95 ドル−6 億ドル | −43.9% | −5.6% | 5.52 ドル35 億ドル |
| 中立 | 32% | 13.11 ドル83 億ドル | −2.38 ドル−15 億ドル | −80.4% | −14.1% | 3.43 ドル22 億ドル |
| やや悲観 | 26% | 2.46 ドル15 億ドル | −1.91 ドル−12 億ドル | −99.0% | −27.9% | 0.14 ドル1 億ドル |
| 悲観 | 15% | 1.91 ドル12 億ドル | −1.59 ドル−10 億ドル | −99.4% | −29.6% | 0.05 ドル0 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 17.09 ドル108 億ドル | −1.52 ドル−10 億ドル | −71.6% | −11.4% | 15.57 ドル98 億ドル |
今の株価時価総額 54.73 ドル345 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 楽観:Neutronが量産・再使用に成功し、世界の衛星防衛主契約者へ 利益 29 億ドル · PER 15.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 69.74 ドル439 億ドル
2035年にはNeutronが同じ機体を繰り返し飛ばし、年65回の安定運用に届く。単価は防衛向けの軌道指定や機体構成の上乗せで1回0.75億ドルとなる。Electron・HASTEも年55回、単価は2025年から約1.6倍となり、専用日程の強みを失わない。SpaceXが大型衛星群の大量輸送を握り続けても、政府と企業は別の打上げ経路に代金を払う。
衛星市場は2025年価格換算で490億ドル、同社のシェアは16%へ上がる。大型防衛衛星群、赤外線センサー、レーザー通信がまとまり、価格・製品構成の指数は1.55倍になる。宇宙システムの売上は121.5億ドル、Neutronは48.8億ドルに達する。大型案件の量産が進み、固定費の吸収で営業利益は37.5億ドル、純利益は28.7億ドルとなる。
2026〜2035年の純利益の累計は101.3億ドルと見る。最初の3年の赤字を、2031年以降の増益で取り戻す道筋である。企業買収は成立したものだけの製造技術を含み、未成立のイリジウムの通信利益を足さない。株式報酬と増資を差し引いた10年間の正味還元が10億ドルとなれば、自己資本は108.5億ドルへ増える。
- Electron・HASTE(小型専用打上げ):数量 55.0(年間のElectron・HASTE打上げ任務回数(回))× 価格 0.16(打上げ1回当たりの認識売上(億ドル、試験・解約収入の均し込みを含む))→ 売上 9 億ドル・営業利益 4 億ドル。年55回×1回0.155億ドル。2025年の実績より高単価の防衛任務が増える想定。
- Neutron(開発中の中型再使用打上げ):数量 65.0(年間Neutron商業打上げ回数(回))× 価格 0.75(1回当たり打上げ認識売上(億ドル、任務構成を含む推定))→ 売上 49 億ドル・営業利益 22 億ドル。2027年の初飛行成功から量産・再使用が定着し、2035年に年65回×0.75億ドル。
- 宇宙システム(衛星製造・センサー・部品):数量 490(世界の衛星製造・関連搭載部品市場の実質規模(2025年価格、億ドル))× 価格 24.8%(同社の取り分(シェア)×受注ミックスを含む名目価格指数)→ 売上 122 億ドル・営業利益 55 億ドル。世界の実質衛星市場490億ドル×同社シェア16%×価格・ミックス1.55倍。
倍率:資本コストk=9.0%、長期g=4.0%(衛星の実質需要伸び約0.5%+名目物価3.5%、成熟後のシェア伸びはほぼ止まる)、堀は普通で超過収益の残存割合1/2。帳簿ROE=GAAP純利益28.7÷自己資本108.5=26.5%。40%未満で無形の成長資産も自己資本に含むため帳簿の値を使用。RONIC=k+0.5×(ROE−k)=17.7%。10年目利益用の正当化PER上限は(1−g/RONIC)÷(k−g)×(1+g)=16.11倍。その95%の15.30倍とした。再使用の高頻度成功と防衛センサーの独自性が残るが、衛星製造の受注波動があり、数十年の独占ではないため上限の全額は使わない。純利益はSBCと買収償却を費用とするGAAP、余剰現金の別建て加算なし。
確率:2035年の世界の実質衛星製造・部品市場が490億ドルへ広がり、同社が16%を取る展開。Neutronを年65回という高い運用水準へ持ち上げるには、初号機成功後の再使用・設備拡張・供給網に連続成功が必要であり、確率は1割未満とした。
やや楽観 18% やや楽観:衛星製造で二桁シェアに接近し、中型打上げを定着 利益 15 億ドル · PER 13.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 31.64 ドル199 億ドル
Neutronは初期の工程遅延を乗り越え、2035年には年間42回を飛ばす。再使用の間隔は順次短くなるが、SpaceXとの差を縮め切れず、1回の受取額は0.65億ドルにとどまる。Electron・HASTEは年46回をこなし、機密衛星や専用軌道の顧客を維持する。価格の上げ幅は物価と任務構成で説明できる範囲だ。
衛星の製造・部品の世界実質市場は430億ドル、同社の取り分は11.5%に広がる。2026年に得た空中移動目標の監視案件や光通信部品で、政府の主契約者と部品の下請けを両方こなす。ただし防衛案件の利益率は競争入札に制限され、宇宙システムの本社費控除前利益率は40%にとどまる。全社売上は約107億ドル、営業利益は19.3億ドル、GAAP純利益は14.8億ドルになる。
累計純利益52.9億ドルと、設備投資・株式報酬のための正味資本流入6億ドルにより、2035年の自己資本は76.1億ドルとなる。イリジウム買収の成否はこの製造・打上げだけの利益に織り込まない。将来の通信サービス収益が乗れば別途調べ直す。
- Electron・HASTE(小型専用打上げ):数量 46.0(年間のElectron・HASTE打上げ任務回数(回))× 価格 0.15(打上げ1回当たりの認識売上(億ドル、試験・解約収入の均し込みを含む))→ 売上 7 億ドル・営業利益 3 億ドル。年46回×0.145億ドル。専用性による小幅な実質単価上昇。
- Neutron(開発中の中型再使用打上げ):数量 42.0(年間Neutron商業打上げ回数(回))× 価格 0.65(1回当たり打上げ認識売上(億ドル、任務構成を含む推定))→ 売上 27 億ドル・営業利益 11 億ドル。Neutron年42回×0.65億ドル。再使用達成も価格競争を反映。
- 宇宙システム(衛星製造・センサー・部品):数量 430(世界の衛星製造・関連搭載部品市場の実質規模(2025年価格、億ドル))× 価格 17.0%(同社の取り分(シェア)×受注ミックスを含む名目価格指数)→ 売上 73 億ドル・営業利益 29 億ドル。衛星市場実質430億ドル×シェア11.5%×名目価格・ミックス1.48。
倍率:資本コストk=9.0%、長期g=4.0%(衛星の実質需要伸び約0.5%+名目物価3.5%、成熟後のシェア伸びはほぼ止まる)、堀は普通で超過収益の残存割合1/2。帳簿ROE=GAAP純利益14.8÷自己資本76.1=19.4%。40%未満で無形の成長資産も自己資本に含むため帳簿の値を使用。RONIC=k+0.5×(ROE−k)=14.2%。10年目利益用の正当化PER上限は(1−g/RONIC)÷(k−g)×(1+g)=14.95倍。その90%の13.46倍とした。事業ROEは20%弱に改善するが、買収を必要とする成長と契約入札の波が続くため上限の9割とする。純利益はSBCと買収償却を費用とするGAAP、余剰現金の別建て加算なし。
確率:Electronの顧客継続率と政府契約の積み上がりは強い。Neutronが2027〜2028年に軌道投入でき、10年で年40回程度に育つが、SpaceXとの価格競争は続くという、成功しても圧倒的独占にはならない展開を2割弱とした。
中立 32% 中立:Neutronは年間25回、衛星のシェア9%で収益を黒字化 利益 7 億ドル · PER 11.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 13.11 ドル83 億ドル
2035年のElectron・HASTEは年40回を飛ばし、会計上の1回当たり売上は0.132億ドルに上がる。追加料金を払ってでも軌道と日時を指定する顧客は残る一方、相乗り便の低価格は打上げ市場全体の値決めを抑える。Neutronは開発遅れを乗り越えるが、再使用と部品供給の習熟に手間取り、年25回、単価0.60億ドルにとどまる。
衛星製造・部品の市場は2025年価格換算で365億ドル、会社の取り分は9%となる。物価と一部の製品高度化は単価に乗るが、標準衛星の量産による値下がりが相殺し、価格指数は1.37倍となる。SpaceXと大型防衛メーカーが強くても、同社は中規模の政府案件と特殊センサーで居場所を築く。宇宙システムの売上は45.0億ドル、全社は65.3億ドルで、営業利益9.18億ドル、純利益7.1億ドルとなる。
2026〜2028年の開発赤字後、2030年ごろから黒字を積み増す。期間純利益は累計20.85億ドルで、正味資本流入15億ドルを差し引いた還元はマイナスになるため、2035年の自己資本は53.05億ドルへ増える。買収成立前のイリジウムの契約やFCFは一切算入せず、この単体の稼ぎだけで判断する。
- Electron・HASTE(小型専用打上げ):数量 40.0(年間のElectron・HASTE打上げ任務回数(回))× 価格 0.13(打上げ1回当たりの認識売上(億ドル、試験・解約収入の均し込みを含む))→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。年40回×0.132億ドル。専用性維持、物価と構成改善。
- Neutron(開発中の中型再使用打上げ):数量 25.0(年間Neutron商業打上げ回数(回))× 価格 0.60(1回当たり打上げ認識売上(億ドル、任務構成を含む推定))→ 売上 15 億ドル・営業利益 6 億ドル。2035年のNeutronは年25回×0.60億ドル。再使用は限定的。
- 宇宙システム(衛星製造・センサー・部品):数量 365(世界の衛星製造・関連搭載部品市場の実質規模(2025年価格、億ドル))× 価格 12.3%(同社の取り分(シェア)×受注ミックスを含む名目価格指数)→ 売上 45 億ドル・営業利益 17 億ドル。衛星市場実質365億ドル×シェア9%×価格指数1.37、量産値下がり込み。
倍率:資本コストk=9.0%、長期g=4.0%(衛星の実質需要伸び約0.5%+名目物価3.5%、成熟後のシェア伸びはほぼ止まる)、堀は普通で超過収益の残存割合1/2。帳簿ROE=GAAP純利益7.1÷自己資本53.05=13.4%。40%未満で無形の成長資産も自己資本に含むため帳簿の値を使用。RONIC=k+0.5×(ROE−k)=11.2%。10年目利益用の正当化PER上限は(1−g/RONIC)÷(k−g)×(1+g)=13.37倍。その87%の11.63倍とした。競争と製造案件の費用超過がなお残り、2025年までの営業赤字から十分なGAAP利益へ転じる確信度が低いため上限の87%を採る。純利益はSBCと買収償却を費用とするGAAP、余剰現金の別建て加算なし。
確率:衛星の実質市場が10年で約1.8倍になり、SDA案件を足場にシェアを約2%から9%へ高める。Electronの実績を評価しつつ、Neutronの2027年初飛行から高頻度運用まで時間を要するとして、中立を最大の32%とする。
やや悲観 26% やや悲観:Neutronの量産が伸びず、衛星案件は薄利に 利益 1 億ドル · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2.46 ドル15 億ドル
Neutronは飛べるようになっても再使用の点検期間が長く、2035年の打上げは8回にとどまる。大型打上げではSpaceXが便数と価格を抑え、顧客はNeutronを第二の選択肢として使うだけになる。Electronは年30回を保つが、単価の伸びは物価を下回る。専用軌道の価値は残っても差別化の利益が削られていく。
衛星の実質製造市場は305億ドルへ広がる一方、会社のシェアは5.5%で頭打ちになる。ヨーク・スペースやノースロップ・グラマンとの競争が激しくなり、長期契約の原価見積り変更で売上の割に利益が薄い。宇宙システムの売上は21.0億ドル、全社は28.5億ドルとなるが、研究開発と本社費が残って営業利益は2.0億ドル、純利益は1.4億ドルにすぎない。
2026〜2030年の赤字が長引いて期間純損失の合計は7.7億ドルとなる。増資と株式報酬から戻る額を差し引いた正味還元はマイナス12億ドルで、2035年自己資本は21.5億ドルとなる。買収を繰り返す余力が減り、工場設備と顧客契約を保てる価値を中心にみる。イリジウムは未成立のため利益に足さない。
- Electron・HASTE(小型専用打上げ):数量 30.0(年間のElectron・HASTE打上げ任務回数(回))× 価格 0.12(打上げ1回当たりの認識売上(億ドル、試験・解約収入の均し込みを含む))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。年30回×0.117億ドル。相乗りとの競争で実質単価低下。
- Neutron(開発中の中型再使用打上げ):数量 8.0(年間Neutron商業打上げ回数(回))× 価格 0.50(1回当たり打上げ認識売上(億ドル、任務構成を含む推定))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。Neutronは年8回、単価0.50億ドルにとどまる。
- 宇宙システム(衛星製造・センサー・部品):数量 305(世界の衛星製造・関連搭載部品市場の実質規模(2025年価格、億ドル))× 価格 6.9%(同社の取り分(シェア)×受注ミックスを含む名目価格指数)→ 売上 21 億ドル・営業利益 7 億ドル。衛星市場実質305億ドル×シェア5.5%×価格指数1.25。
倍率:Neutronの量産が伸びず、衛星案件も薄利となるため、2035年のROEはGAAP純利益1.4億ドル÷自己資本21.5億ドル=約6.5%と資本コスト9.0%に届かない。したがって成長企業としてのPERを認めず、稼ぐ力と売れる資産の床を上限・下限として評価する。稼ぐ力は純利益1.4億ドル÷資本コスト9.0%=15.56億ドル、回収可能資産の床は8.0億ドルである。現在の自己資本17.2億ドルにPBR0.90倍を掛けた15.48億ドルを時価総額とし、稼ぐ力の15.56億ドルを超えない。2035年の自己資本をPBRの分母に使わず、過去の市場PBRや株価の谷も参照していない。純利益は株式報酬と買収償却を費用としたGAAPである。
確率:Neutronの初飛行後に量産・再使用で苦戦し、年8回しか飛ばせない。衛星市場は成長するが同社のシェアは5.5%で、受注の更新に苦戦し追加調達を要する。この程度の失速は十分起こり得るため26%を割り当てた。
悲観 15% 悲観:Neutronの商業化に失敗し、衛星製造の主契約からも後退 利益 −1 億ドル · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1.91 ドル12 億ドル
Neutronの再使用は商業原価に届かず、顧客への引渡しも繰り返し遅れる。開発資産の減損を経て2035年のNeutron打上げ収入はゼロとなる。Electronは衛星群の相乗り便に取って代わられ、政府の特別任務を中心に年20回だけ残る。実質価格の上昇はほとんどなく、独立した発射場の固定費が事業の重荷になる。
衛星製造の世界市場は実質230億ドルまでしか広がらず、同社のシェアは2025年の約2%から1.5%へ下がる。大型防衛主契約は他社へ移り、部品の下請けは薄利でしか残らない。全社売上は6.0億ドルほどで2025年並みに戻り、営業赤字は約0.81億ドル、GAAP純損失は0.9億ドルとなる。これは成長が鈍るのでなく構造的に競争に負けた姿である。
10年間のGAAP純損失は累計14.6億ドル。追加資本の純流入10億ドルを差し引いた正味還元はマイナスで、帳簿自己資本は12.6億ドルとなる。ただし減損や資産の売り値は帳簿どおりではないため、現時点の純現金と売却可能な設備・部品を基準に守れる額を測る。イリジウムの通信事業は買収未成立として含めず、再編や事業売却の可能性のみ考える。
- Electron・HASTE(小型専用打上げ):数量 20.0(年間のElectron・HASTE打上げ任務回数(回))× 価格 0.11(打上げ1回当たりの認識売上(億ドル、試験・解約収入の均し込みを含む))→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。年20回×0.105億ドル。極限られた専用任務に縮小。
- Neutron(開発中の中型再使用打上げ):数量 0.0(年間Neutron商業打上げ回数(回))× 価格 0.50(1回当たり打上げ認識売上(億ドル、任務構成を含む推定))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。Neutronは商業化できずゼロ回。価格は採用されない参考値。
- 宇宙システム(衛星製造・センサー・部品):数量 230(世界の衛星製造・関連搭載部品市場の実質規模(2025年価格、億ドル))× 価格 1.7%(同社の取り分(シェア)×受注ミックスを含む名目価格指数)→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。衛星市場実質230億ドル×シェア1.5%×価格指数1.12。
倍率:Neutronの商業化に失敗し、衛星製造の主契約も失う構造的な赤字ケースである。2035年のGAAP純損失は0.9億ドルのため、永久成長を前提とするPERを使用しない。2025年末の自己資本17.2億ドルにPBR0.70倍を掛け、時価総額を12.04億ドルとする。これは純現金と売却可能資産の税引後回収価値12.0億ドルをわずかに上回る床に相当する。2035年の自己資本12.6億ドルには倍率を掛けず、過去の市場PBRや谷の株価も使わない。Neutronの開発資産・のれんは回収価値に含めず、事業を縮小した際の清算可能資産を中心に評価した。
確率:Neutronの撤退・長期停止と、宇宙防衛契約の競争敗北が同時に起きる。2026年時点の受注残の延長だけでは守れない継続事業の崩れを15%とし、単なる一時不況より深い損失を反映した。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
Electron・HASTE(小型専用打上げ)
Electronとその極超音速試験型HASTE。専用軌道と日程を優先する政府・企業から1任務ごとに収入を得る。
| 数量年間のElectron・HASTE打上げ任務回数(回) | 価格打上げ1回当たりの認識売上(億ドル、試験・解約収入の均し込みを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 21.0 | 0.09 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 0.13 | 5 | 2 |
取り方:2025年10-K開示の21回、打上げ関連のセグメント売上1.99042億ドルを使用。契約ベースの平均単価は0.085億ドル(850万ドル)、原価は0.048億ドルで、差額約0.205億ドルは時期差・進捗計上・契約終了や試験など。単価0.09478億ドルはその実績を21回で割った会計上の均しで、純粋な打上げ値上げではない。op_oku 0.813億ドルは開示された本社R&D・販管費控除前のセグメント粗利益で、全社営業利益とは異なる。2025年世界325回の軌道打上げに対し同社の軌道打上げは約18回で回数シェア約5.5%、SpaceXは約170回で約52%(BryceTech/OECDおよび会社10-K)。
Neutron(開発中の中型再使用打上げ)
約13トン級の中型再使用型ロケット。2027年を初飛行目標とし、現時点では打上げ売上がゼロの開発案件。
| 数量年間Neutron商業打上げ回数(回) | 価格1回当たり打上げ認識売上(億ドル、任務構成を含む推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.50 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 25.0 | 0.60 | 15 | 6 |
取り方:2025年末時点で商用飛行前のため数量・売上・開示セグメント粗利益はゼロ。price=0.50億ドルは過去実績でなく2035年の市場参加を考えるための比較用仮説。2026年5月にはNeutron5回を含む複数回契約を公表したが内訳金額は非開示。2026年10月14日の8-Kで初飛行が2027年へ延期。開発費は全社の本社・研究開発調整に含める。
宇宙システム(衛星製造・センサー・部品)
国防・商業の衛星本体、光学センサー、反応輪、太陽電池、レーザー通信、搭載ソフトと運用を製造・受託する。
| 数量世界の衛星製造・関連搭載部品市場の実質規模(2025年価格、億ドル) | 価格同社の取り分(シェア)×受注ミックスを含む名目価格指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 204 | 2.0% | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 365 | 12.3% | 45 | 17 |
取り方:SIAの2026年報告は2025年の世界の衛星製造収入204億ドルと開示(https://sia.org/affordability-productivity-drive-historic-satellite-industry-growth-satellite-industry-association-releases-29th-annual-state-of-the-satellite-industry-report/)。会社10-Kの宇宙システム売上4.02757億ドルを割ると推定シェアは約1.97%。部品と政府衛星の定義が市場統計と完全一致しないため近似である。機数と製品平均単価を会社は開示しないので、実質市場×シェア×単価指数で数量と価格を分離した。2025年末の売上内訳は完成衛星と部品の混合。op_oku 1.259億ドルは開示粗利益(本社費前)、営業利益ではない。競合はロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマン、ヨーク・スペース、レッドワイヤ等。
リスクと懸念
Neutronの技術・量産リスク
2026年1月の大型タンクの試験破損を経て設計・製造を変更し、10月には初飛行を2027年へ延期した。初号機が成功しても、機体・エンジンを繰り返し再利用し、顧客を失わずに年25回以上飛ばせる保証はない。遅れが2年増えるだけで中立のNeutron売上と全社の固定費吸収は大きく損なわれる。
SpaceXとの価格差と衛星市場の単価下落
SpaceXの相乗り輸送は50キロ級で約35万ドルからと安く、Electronの専用打上げは軌道と日程への上乗せ料金で成り立つ。Neutronが大型ロケットの価格競争に巻き込まれれば再使用の利得は顧客に移る。衛星製造も機数が増えて売上が伸びない局面があり、数量の伸びを利益の伸びと取り違えられない。
政府契約の工程損失と集中
衛星追跡やミサイル防衛は長期需要があっても、年度予算、監査、輸出規制、秘密保護の要件で工程が止まる。政府向けの固定価格契約は原価が膨らんでも売価を上げにくい。2025年の衛星製造でも原価見積り変更による収益調整があり、受注残23.56億ドルは利益でも確定現金でもない。
イリジウム買収と資本配分
買収の合意企業価値は約80億ドルで、株式と現金の組合せに加えて被買収側の借入を引き継ぐ。2026年9月に約19.44億ドルの株式発行を終えたが、買収は規制承認前である。成立しても統合費用や再投資でオーナー利益が伸びない可能性があり、未成立の事業を利益に先取りしない。
株式報酬・追加増資による持分価値の希薄化
2025年の株式報酬費用は0.7億ドルで、2026年も大規模な株式発行が続いた。会社全体の時価総額を評価するため将来株数で機械的に割り引かないが、新株発行による払込みは正味還元から差し引く。赤字が長引くと本業が成長しても既存株主への還元が遅れ、安全域を薄くする。
輸出規制、発射場、宇宙環境
米国とニュージーランドの発射許可、ITARなどの輸出統制、打上げ事故の調査は事業の前提である。宇宙ごみ、軌道混雑、地政学的な緊張で顧客の機体設計や発射日程が変われば、工場の稼働率が落ちる。長い準備期間に対して収益の計上が一つの打上げ時期に偏りやすい。
事業の見通しを上回る株価の先取り
2025年までGAAP赤字が続く企業に2026年10月時点で300億ドル超の時価総額が付いている。10年で大きく売上を伸ばしても、成熟後に資本コストを回収する利益規模へ届かなければ株主の期待利回りは低い。株価の上げ下げは倍率の根拠にせず、必要な数量・単価・実際の営業利益で判断する。
今後の分かれ目
- 2027年中にNeutronが軌道投入に成功し、2029年までに再使用と年間10回超の運用を実証したら
- 中立からやや楽観へ確率を動かす。単なる初飛行成功だけでなく、再使用原価と発射間隔を確認する。
- Neutronが2028年以降まで遅れ、契約の取消しや設備投資の上振れが続いたら
- 中立のNeutron年間25回を引き下げ、赤字期間と正味の資本流入を増やすため、悲観側の比重を高める。
- SDAの次回衛星群にも主契約者として選ばれ、完成衛星・センサーで連続受注を取れたら
- 宇宙システムの市場シェアを9%より上で見直す。ただし原価見積りの修正と実現した粗利益率を同時に確認する。
- 衛星製造市場の名目売上が低迷し、会社の部品単価指数も物価を大きく下回ったら
- 2035年の実質市場365億ドルやシェア9%の前提を削り、固定価格契約の採算も見直す。
- イリジウム買収が2027年に成立し、引継ぎ負債・新株・キャッシュフローの数字が確定したら
- 合併後の企業を別途評価し直す。今回の単体2035年利益へ未成立の通信サービス利益を後付けしない。
- 営業黒字とFCF黒字が数四半期続き、設備投資後に株式報酬を上回る余剰現金が残ったら
- 増分ROICを確認し、将来の正味還元を改善する。増資が減り初めて本業利益が株主に残ると判断できる。
- 政府の宇宙防衛予算が実質削減され、受注残の解約と固定価格契約の損失が重なったら
- 宇宙システムの市場シェアと営業利益率を悲観に寄せ、回収可能資産と追加増資の規模を再点検する。
見ておくもの
- Neutronの初飛行実施日、軌道投入成否、再使用に要する整備日数と1回原価
- Electron/HASTEの年間打上げ回数、打上げ契約の平均単価と1回原価
- 衛星製造・部品の売上と固定価格契約の採算修正、SDAの次トランシェ受注
- 全社および事業別の粗利益率、研究開発・一般管理費、GAAP営業利益とFCF
- 受注残の打上げ/宇宙システム別内訳と今後1年で売上となる比率
- イリジウム買収の規制承認・完了の有無、引き受ける負債と追加発行株
- 優先株・普通株の合算持分、株式報酬と正味増資、資金の使途
倍率と資本コストの決め方
分析は2025年のElectron21回、衛星製造204億ドル市場と売上4.027億ドル、2026年の受注実績を先に確認し、2035年の各事業の任務回数・実質市場・シェア・単価から利益を作った。現在のPERは赤字のため倍率の根拠にならず、市場や同業の倍率も使用していない。資本コストは基本8%と品質+1%の合計9%。2035年の中立ROE約13.4%、長期g4%(実質の世界需要0.5%程度と物価3.5%、シェア上昇は成熟後に止まる)、通常の堀でRONIC約11.2%とし、10年目利益用の正当化PER上限約13.4倍の87%を適用した。FY2025の会計上のセグメント粗利益から中央のR&D・販管費を控除している。現金を利息と資産で二重に数えず、2026年の買収予定企業の業績を足していない。株価が高いという結論から利益や確率を逆算していない。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。kは米国株の基本8.0%に品質調整+1.0%を足した9.0%。βや時価総額から上乗せはしない。GEエアロスペースやロッキード・マーチンより実証された超過収益の期間が短く、個別の開発遅延・買収失敗は利益率と悲観確率へ反映した。