結論
スペースXは再使用ロケット、スターリンク衛星通信、AI計算基盤を一体で営む会社である。筆者の結論は割高だ。打ち上げと通信では巨大な参入障壁を築いたが、現在の時価総額にはAI投資の成功と持続的な高収益まで織り込まれている。
2025年の売上は187億ドルで、GAAP純損失は49億ドルだった。2026年6月に上場し、同年7~9月期は売上146億ドル、営業利益28億ドル、純利益44億ドルへ急回復した。ただし四半期の純利益には税効果や評価益があり、平常時のオーナー利益とは異なる。AIの計算基盤への設備投資は同四半期だけで164億ドルに達した。
打ち上げは2025年に世界の約半分を担い、スターリンクの個人契約は2026年9月末に1,360万件になった。自社のロケットで自社の衛星を運ぶ仕組みは模倣しにくい。一方、クラウド計算力の販売は高成長でも、GPUが入れ替わるたびに資金を要し、アマゾンやマイクロソフトとの競争で投下資本の利回りが縮みうる。
2035年の中立筋書きではAIの稼働計算能力が32GWとなり、衛星通信も広がる。それでもGAAP純利益は680億ドル、10年後の会社全体の価値は約8,860億ドルにとどまる。確率と8.5%の資本コストを反映した現在の本質価値は約3,870億ドルで、現在の時価総額約2兆ドルを約8割下回る。強い事業を持つことと、安全な値段で株主になることは別だ。未合意のテスラとの統合は数字に加えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず10年後も顧客が必要とするものを探す。衛星を軌道へ送ることと、地上の回線が届かない場所を通信で結ぶことは、2035年も必要だろう。再使用のノウハウ、衛星網、周波数免許という堀は時間とともに厚くなる。ここだけを所有できるなら、長く持ちたい事業である。
問題は持ち株会社全体である。AI計算基盤は毎年売れる設備ではない。使うたびに電気代がかかり、数年でGPUの更新を迫られる。2026年7~9月期のSIの調整後EBITDAは約50億ドルだが、同じ四半期のSI設備投資は164億ドルで、株式報酬や減価償却も大きい。再投資が本当に資本コストを超えるかは、1四半期の利益では判定できない。
そこで2035年の中立では、スターリンクの通信料金を競争下でも維持し、AI計算容量を32GWまで増やす。それでも純利益は680億ドルにとどまる。会社の発展と株主の利回りが一致するためには、追加の設備・株式報酬・増資が増分の利益を食わないことが必要だ。
現在の値段を合理的に説明するには、AIの大規模な増設と高い稼働率、競争に抗う料金、ロケットと通信の支配力が同時に長く続かなければならない。予測の幅が大きい以上、質のよい事業に対しても安全域のない値段は払わない、という判断になる。
何で稼ぐ会社か
事業は三本柱である。宇宙輸送部門はファルコン9とファルコン・ヘビーで商業衛星、NASAの補給・有人飛行、防衛向け衛星を運ぶ。スターシップはまだ本格的な高頻度運用を確立していないが、成功すれば大きな貨物を安く運べる。自社スターリンク用の打ち上げは外部顧客向けの宇宙輸送売上に重ねて計上されず、通信側の設備原価になる。
通信部門のスターリンクは、契約件数と月額料金の積が基本だ。一般家庭や移動利用者に端末と接続を売り、別に航空会社、船舶、企業、政府へ容量や運用保証を契約する。2025年の個人向け売上は72億ドル、企業・政府向けは42億ドルだった。2026年9月末には約1万1,100基の衛星を運用し、機上接続は3,800機を超えた。直接携帯電話に衛星から接続するスターリンク・モバイルが次の入口になる。
SI(スーパーインテリジェンス)部門は、計算施設を外部へ貸すクラウド契約、GrokとXの有料機能、Xの広告、買収したCursorのプログラミング支援から成る。2026年7~9月期にはSI売上が76億ドルへ急増し、その大半はAI計算基盤の提供だった。自社モデルに使う計算力と外販分を区別する必要があり、見かけのGPU設置容量をすべて販売数量にはできない。
三つの事業は互いを助けるが、損益の性格は違う。宇宙輸送は先行開発費が重く、通信は稼働契約が積み上がれば利益率が高い。SIはモデル改良、電力、GPU減価償却、株式報酬が大きい。10年先の価値は打ち上げ回数より、SIに投じた何千億ドルが更新投資後にも利益を残すかで左右される。
優良さと弱いところ
最も太い堀は再使用の習熟である。2025年の軌道投入は170回で世界の約半数、運んだ質量では8割前後を占めた。再使用機体、製造工程、発射場、政府の安全審査が連動しており、単に安いロケットを設計するだけでは追いつけない。NASAとの運用実績も代替先を選ぶ費用を高める。
衛星通信にも規模の堀がある。衛星を大量に作り、自社の輸送手段で交換し、各国の周波数免許を取り、地上局と顧客端末をつなぐ。航空機や艦船ではいったん据え付けると通信機器の交換と運航認証に手間がかかる。ただし個人向けの価格決定力は万能ではない。2026年9月末の一般顧客は前年から大きく増えたが、平均月額売上は前年同四半期の83ドルから69ドルに落ちた。
AIでは同じ堀を認めない。巨大なGPU施設の建設力は強みだが、計算能力は半導体の世代交代で陳腐化する。クラウド顧客は契約を更新する際、価格と性能で他社へ移れる。Cursorの開発者画面や席課金も、より自律的なAIエージェントに代わる恐れがある。Xの独自の会話データや利用者網は強みだが、値上げ後の低解約率と長期の超過収益を示す証拠はまだ足りない。
経営の開発速度は群を抜く一方、資本配分を公募株主が止める力は弱い。議決権が厚いB種株によって創業者が支配し、設備投資も巨額である。全社としては強い堀の2部門と、競争が激しい成長事業の混合体であり、倍率上の堀は普通として扱う。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
宇宙輸送は規模で集中が進む。OECDによれば2025年の世界の軌道打ち上げは325回前後で、スペースXだけで約半数を占めた。中国の国有企業、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ロケット・ラボ、ブルー・オリジンが競うが、衛星の大量投入という実需ではスペースXが先行する。スターシップが安定運用に入れば市場全体が広がる反面、顧客が自社ロケットを持つ動きも加速する。
衛星通信では、SIAの2025年世界衛星サービス市場は1,050億ドル。ただしテレビ放送などを含むため、その全額をスターリンクの獲得可能市場にしてはいけない。携帯通信・政府回線・航空機接続は別の用途で、地上の光ファイバーや5Gとも価格を競う。ユーテルサット・ワンウェブに加え、アマゾン・レオは衛星投入を進め、2026年10月にはグローバルスター買収の規制承認を得た。スターリンクの価格が毎年物価以上に上がる前提は置きにくい。
AI計算力はさらに競争が厳しい。アマゾン、マイクロソフト、グーグルは既存の企業顧客とクラウド販売網を持ち、コアウィーブもGPU供給に集中する。SIの2026年9月末の設置能力1.7GWは急成長の証拠だが、販売可能容量と契約済み容量は同じではない。GPU価格の低下、電力網と冷却の制約、推論の効率化が10年後の設備稼働率と単価を揺らす。
会社は宇宙・通信・AIを合わせた極めて大きな潜在市場を示す。しかし、潜在市場が拡大しても設備所有者の取り分は保証されない。通信では数量増と単価下落が併存し、AIでは計算量の増加と計算単価の低下が同時に起こる。これが売上の成長だけで価値を決めない理由である。
資本政策と M&A
創業以来の最大の成功は、ファルコンの再使用とスターリンクへの先行投資である。通信収益が増え、2026年7~9月期の通信部門のGAAP営業利益率は約45%となった。一方で2025年の連結フリーキャッシュフローは141億ドルの赤字で、2026年1~9月期も設備投資だけで481億ドルを使った。経営の資本効率を判定するには、売上急増後の現金回収を見る必要がある。
2026年6月のIPOによる手取額は約857億ドル。8月にはCursorを株式交換で取得し、会計上の買収対価は425億ドル、さらに将来の従業員勤務に応じて費用化される株式報酬が約234億ドルある。株式報酬を足し戻した調整後利益は株主の取り分ではない。今後もSIの設備投資を優先し、配当と定例的な自社株買いの数値目標は約束していない。
経営陣は2026年末の売上年率1,000億ドルを目標とし、2027年1~3月期の売上を330~370億ドルと見込む。2026年10~12月期の設備投資は350~400億ドルに及ぶ見込みだ。売上目標と設備支出は同時に評価しなければならない。
テスラとの統合は双方の独立委員会が検討中だが、2026年10月28日現在、合意は成立していない。したがって相手の利益・株式は計算に含めない。議決権10票のB種株による支配と関連会社間取引は、少数株主にとって持続的な監督課題である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
再使用ロケットで世界の軌道投入量の大半を担うという事実は、競争優位の出発点として非常に強い。ファルコンで築いた製造・運用能力をスターシップへ移せれば、衛星一基あたりの打ち上げ原価は一段下がる。2026年7~9月にはスターシップが初めて軌道に到達し、自社の次世代スターリンク衛星26基を投入した。顧客向け輸送の採算改善は、社内の衛星を安く上げられる利点として通信にも還元される。
スターリンクは2026年9月末で一般向け1,360万件を獲得し、航空機の設置も3,800機を超えた。地上網ではつながりにくい海、空、僻地で代替性が低い。衛星を大量に上げ続けるほど容量が増し、政府との高機密通信契約にも有利になる。通信の営業利益率がすでに四割を超えることは、机上の夢ではなく現実の稼ぐ力を示す。
SIも外部顧客とのクラウド契約が2026年7~9月期に一気に立ち上がり、計算容量は1.7GWに達した。AIを作る会社であると同時に計算インフラを販売する会社となり、CursorとGrokは自社GPUの使用量を生み出す。電力とGPUの確保が続けば、2035年に70GWへ拡大し、高い稼働率で利益を残す可能性がある。三つの柱が互いの顧客を広げる構造は、普通の防衛企業や通信企業にはない。
慎重な見方
今の価格には、まだ証明されていないAI計算基盤の経済性が大きく含まれる。2026年7~9月期のSIは営業黒字になったが、GPUの減価償却、買収に伴う株式報酬、次世代設備への更新を引いた現金の余裕は乏しい。設備を増設しても、顧客が数年後に安い計算能力へ移れば料金が下がる。アマゾン、マイクロソフト、グーグルは電力調達と企業契約の両面から追い上げられる。
スターリンクの一般向け顧客数は急増したが、平均月額売上は前年より下がった。加入者増をそのまま売上の成長率にしてはいけない。アマゾン・レオやユーテルサットとの競争に加え、携帯電話の直接接続には周波数規制、端末性能、各国の承認がある。衛星の寿命も有限で、交換の打ち上げは止められない。
宇宙輸送のシェアには実力があるものの、社内スターリンク向けの便が多数で、外販売上は総打ち上げ回数に比例しない。スターシップの熱防護や高頻度再使用が難航すると、研究開発費が長引く。2035年には他社の再使用機も増えているかもしれない。
さらに、Cursorの席課金や操作画面を前提にした機能はAIエージェント自身に代替されうる。買収と大量発行の株式報酬が続けば、会社が大きくなっても公募株主の持分は薄まる。議決権集中の下では、この危険を外部株主が止めにくい。
どちらに重みを置いたか
宇宙輸送と通信の堀については強い見方に分がある。だが時価総額の大半を支えるほどの超過利益をAI投資から生み出す確度は、まだ高くない。SIの開示には外部クラウド契約の急増という明るい材料がある反面、設備投資と株式報酬の増え方も極端である。
したがって楽観側26%に対し、やや悲観と悲観を合わせ41%とし、中立33%を中心に据えた。AIエージェントによる席課金の縮小はソフト部門の数量・価格と先の成長率に織り込み、確率を同じ理由だけで二重に引き下げてはいない。慎重側を厚くした主因は、GPU更新を含めた増分の資本利益率と資金調達の読みにくさである。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 75.03 ドル1.02 兆ドル(+ 還元の換算額還元の合計 −7.05 ドル−958 億ドル)。 今の値に割り戻すと 28.50 ドル3,869 億ドル、今との差 −78.8%、 期待の年率 −6.3%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 278.16 ドル3.78 兆ドル | −6.26 ドル−850 億ドル | +101.8% | +7.2% | 24.47 ドル3,323 億ドル |
| やや楽観 | 17% | 147.83 ドル2.01 兆ドル | −7.36 ドル−1,000 億ドル | +4.3% | +0.4% | 23.88 ドル3,243 億ドル |
| 中立 | 33% | 65.25 ドル8,860 億ドル | −8.47 ドル−1,150 億ドル | −57.9% | −7.8% | 18.74 ドル2,544 億ドル |
| やや悲観 | 26% | 9.09 ドル1,235 億ドル | −6.63 ドル−900 億ドル | −98.2% | −25.1% | 0.64 ドル87 億ドル |
| 悲観 | 15% | 6.44 ドル875 億ドル | −4.79 ドル−650 億ドル | −98.8% | −27.4% | 0.25 ドル34 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 75.03 ドル1.02 兆ドル | −7.05 ドル−958 億ドル | −49.5% | −6.3% | 67.98 ドル9,231 億ドル |
今の株価時価総額 134.72 ドル1.83 兆ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 楽観:スターシップ・スターリンク・AI計算力の三重拡大 利益 2,440 億ドル · PER 15.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 278.16 ドル3.78 兆ドル
スターシップは週次の商用運航と高い再使用率を確立し、2035年の外販打ち上げは180件になる。NASAと防衛の開発契約も続き、独立した輸送価格は重量物の需要で改善する。スターリンクは一般向け9,500万件を獲得し、航空・海運・政府と直接携帯通信の市場でも高いシェアを維持する。
最大の上振れはSIである。外販可能なAI計算設備が70GWに達し、電力とGPUを安定確保する。顧客は長期契約を更新し、更新費用を払った後でも高い営業利益率が残る。Cursorの席課金はAIエージェント代替で爆発的には増えないが、Grokが自社計算基盤の稼働を支える。通信の営業利益率は40%前後を維持する。
2026年のAI先行投資から利益が次第に立ち上がり、2026~2035年のGAAP純利益累計は9,000億ドルになる。IPO、成立済みCursor買収の新株、株式報酬から後年の自社株買いを引いた正味の株主還元はマイナス850億ドルと見る。投資回収は進むが増設も止まらない。2035年のGAAP純利益は2,440億ドルまで上がり、同社の強みが3事業で同時に生きる筋書きである。
- 外部顧客向け打ち上げ:数量 180(外販打ち上げ件数(件))× 価格 1.45(1打ち上げ当たり売上(億ドル))→ 売上 261 億ドル・営業利益 70 億ドル。顧客便180、年初の競合市場のうち大型便を確保。自社スターリンク便を除外
- 宇宙開発・NASA契約:数量 3.4(2025年の外部契約検収・進捗1年度相当(組))× 価格 27(1年度相当の契約認識額(億ドル))→ 売上 92 億ドル・営業利益 11 億ドル。NASA・防衛工程の認識は2025年の3.4倍
- スターリンク個人向け:数量 95.0(年間平均有料契約数(百万人))× 価格 13(百万人当たり年間売上(億ドル))→ 売上 1,188 億ドル・営業利益 475 億ドル。一般向け9,500万件、月額約104ドル
- スターリンク企業・政府・モバイル:数量 720(企業・モバイル等の実質市場×スペースXシェア(億ドル・2025年価格))× 価格 1.42(2025年=1の契約単価指数)→ 売上 1,022 億ドル・営業利益 358 億ドル。市場1,800億ドル×シェア40%、単価指数1.42
- SI・AI計算インフラ外販:数量 70.0(対外販売可能な名目計算容量(GW))× 価格 135(1GW当たり年間外販売上(億ドル))→ 売上 9,450 億ドル・営業利益 2,363 億ドル。外販可能70GW、1GW年135億ドル、GPU更新後利益率25%
- Xの媒体広告:数量 6.4(月間利用者(億人、期末代理))× 価格 4.60(1億MAU当たり年間広告売上(億ドル))→ 売上 29 億ドル・営業利益 5 億ドル。Xの利用6.4億人、媒体の広告単価は物価より低い
- Grok・X有料機能とAPI:数量 6.5(X・Grok有料契約数(百万人、期末代理))× 価格 3.30(百万人当たり年間売上(億ドル))→ 売上 21 億ドル・営業利益 2 億ドル。Grok等の有料契約は2026年よりやや増えるが席課金の大幅拡大は見ない
- CursorのAI開発者契約:数量 7.2(正規化した有料開発者席数(百万人))× 価格 9.50(百万人当たり年間契約売上(億ドル))→ 売上 68 億ドル・営業利益 11 億ドル。Cursorは2026年推定750万席の96%、名目単価は使用量単価込み
倍率:利益ベースの正当化PER。k8.5%、名目g3.5%(市場の実質数量増+シェア変化+物価と単価競争の合算)を用いる。純利益2,440億ドル÷期末自己資本10,263.2億ドル=事業ROE約23.8%。現金を余剰と分けず、設備・周波数・開発費を除外しない。全社の堀は普通としてRONIC=k+1/2×(ROE−k)=約16.1%。来期利益に対する式(1−g÷RONIC)÷(k−g)に1+gを掛けた10年目利益基準の上限は約16.21倍で、その95.5%に相当する15.48倍とした。AI外販の大規模な定着とスターリンクの回線乗換費用が強く働くが、GPU需要のピークを永続化しない。GAAP利益で株式報酬を費用化済み。
確率:スターシップの高頻度再使用とAIクラウド70GWの高収益がともに達成される必要があり、3部門の最高条件の同時成立は珍しいため9%。
やや楽観 17% やや楽観:衛星通信の堀を保ちAI投資も収益化 利益 1,350 億ドル · PER 14.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 147.83 ドル2.01 兆ドル
打ち上げ回数は145件へ増えるが、ブルー・オリジンとユナイテッド・ローンチ・アライアンスにも大型案件が流れる。スターリンクは7,800万件まで拡大する。個人向け平均月額は100ドル程度で、2026年の値下がりから持ち直す。企業・政府市場ではシェア36%に達し、航空と直接携帯通信で強みが保たれる。
SIの外販計算設備は50GWまで増える。先に設備をそろえられる強みを生かす一方、アマゾンやマイクロソフトの増設により、GW当たり売上は初期の高単価より下がる。Cursorは開発者の席数が緩やかに減るが、既存の法人契約が残り、Grokも継続課金を得る。
2026~2035年のGAAP純利益の累計は4,500億ドルに達する。上場・買収関連の発行と社員向け株式報酬を正味で控除すると、株主還元はマイナス1,000億ドルとなる。通信の高い収益性とSIの改善が競争の重さを上回り、2035年のGAAP純利益は1,350億ドルとなる。
- 外部顧客向け打ち上げ:数量 145(外販打ち上げ件数(件))× 価格 1.25(1打ち上げ当たり売上(億ドル))→ 売上 181 億ドル・営業利益 44 億ドル。有料打ち上げ145便、価格には重量物案件の比率増を反映
- 宇宙開発・NASA契約:数量 2.7(2025年の外部契約検収・進捗1年度相当(組))× 価格 25(1年度相当の契約認識額(億ドル))→ 売上 68 億ドル・営業利益 3 億ドル。NASA・国防契約の進捗は2025年の2.7倍
- スターリンク個人向け:数量 78.0(年間平均有料契約数(百万人))× 価格 12(百万人当たり年間売上(億ドル))→ 売上 936 億ドル・営業利益 356 億ドル。一般向け7,800万件、月額100ドル
- スターリンク企業・政府・モバイル:数量 450(企業・モバイル等の実質市場×スペースXシェア(億ドル・2025年価格))× 価格 1.35(2025年=1の契約単価指数)→ 売上 608 億ドル・営業利益 194 億ドル。実質市場1,250億ドル×シェア36%
- SI・AI計算インフラ外販:数量 50.0(対外販売可能な名目計算容量(GW))× 価格 118(1GW当たり年間外販売上(億ドル))→ 売上 5,900 億ドル・営業利益 1,269 億ドル。外販可能50GW、1GW年118億ドル
- Xの媒体広告:数量 6.0(月間利用者(億人、期末代理))× 価格 4.30(1億MAU当たり年間広告売上(億ドル))→ 売上 26 億ドル・営業利益 4 億ドル。月間利用6億人、広告単価は緩やかに回復
- Grok・X有料機能とAPI:数量 5.9(X・Grok有料契約数(百万人、期末代理))× 価格 3.15(百万人当たり年間売上(億ドル))→ 売上 19 億ドル・営業利益 1 億ドル。Grok・X有料会員は2026年水準の範囲で推移
- CursorのAI開発者契約:数量 6.6(正規化した有料開発者席数(百万人))× 価格 8.70(百万人当たり年間契約売上(億ドル))→ 売上 57 億ドル・営業利益 9 億ドル。Cursorの席数は2026年推定の88%で価格は名目緩やか
倍率:利益ベースの正当化PER。k8.5%、名目g3.5%(市場の実質数量増+シェア変化+物価と単価競争の合算)を用いる。純利益1,350億ドル÷期末自己資本5,913.2億ドル=事業ROE約22.8%。現金を余剰と分けず、設備・周波数・開発費を除外しない。全社の堀は普通としてRONIC=k+1/2×(ROE−k)=約15.7%。来期利益に対する式(1−g÷RONIC)÷(k−g)に1+gを掛けた10年目利益基準の上限は約16.08倍で、その92.5%に相当する14.87倍とした。AIクラウドの販売単価低下が続き、ロケット・通信の堀だけが安定収入を支えるため最高位より抑える。GAAP利益で株式報酬を費用化済み。
確率:通信・ロケットの継続優位は確認できるが、AI設備50GWの建設と更新費を抑える技術が必要で、上振れとしては17%。
中立 33% 中立:強い通信網と競争的なGPUクラウドが併存 利益 680 億ドル · PER 13.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 65.25 ドル8,860 億ドル
2035年の外販打ち上げは115件となり、主力のファルコンに加えてスターシップが実用化する。宇宙開発ではNASAや防衛の契約進捗が増えるものの、次世代の研究開発費も残る。スターリンクは一般向け6,000万件を獲得する。平均月額は約92ドルとなり、物価3.5%の累積ほどは値上がりしない。
企業・政府・モバイル市場は2025年価格の実質で1,000億ドルへ広がり、シェアは30%とする。SIのAI外販容量は32GWに増えるが、GW当たり売上は2026年の初期契約より低下する。アマゾン、マイクロソフト、グーグルの競争が価格を抑え、SIの営業利益率は17%に落ち着く。Cursorは2026年の推定席数から2割減り、機能を使うほど課金する仕組みで一部を補う。
2026~2035年のGAAP純利益は初年の赤字から徐々に増え、累計2,300億ドルとなる。上場と成立済み買収による株式発行、株式報酬から控除した正味の還元はマイナス1,150億ドルで、期末自己資本は約3,863億ドルとなる。2035年の営業利益は約953億ドル、GAAP純利益は680億ドルである。
- 外部顧客向け打ち上げ:数量 115(外販打ち上げ件数(件))× 価格 1.12(1打ち上げ当たり売上(億ドル))→ 売上 129 億ドル・営業利益 28 億ドル。顧客便115、ロケット競合増を踏まえながら輸送重量は増える
- 宇宙開発・NASA契約:数量 2.0(2025年の外部契約検収・進捗1年度相当(組))× 価格 23(1年度相当の契約認識額(億ドル))→ 売上 46 億ドル・営業利益 −1 億ドル。NASA・防衛の開発契約進捗が2025年の2倍、開発費を負担
- スターリンク個人向け:数量 60.0(年間平均有料契約数(百万人))× 価格 11(百万人当たり年間売上(億ドル))→ 売上 660 億ドル・営業利益 231 億ドル。一般向け6,000万契約、月額約92ドル。2026年の値下がりを踏まえ、2025年比の単価上昇は物価未満
- スターリンク企業・政府・モバイル:数量 300(企業・モバイル等の実質市場×スペースXシェア(億ドル・2025年価格))× 価格 1.30(2025年=1の契約単価指数)→ 売上 390 億ドル・営業利益 117 億ドル。実質市場1,000億ドル×シェア30%、価格指数1.30
- SI・AI計算インフラ外販:数量 32.0(対外販売可能な名目計算容量(GW))× 価格 105(1GW当たり年間外販売上(億ドル))→ 売上 3,360 億ドル・営業利益 571 億ドル。外販可能32GW、GW年105億ドル。2026年初期の高単価が競争で低下
- Xの媒体広告:数量 5.4(月間利用者(億人、期末代理))× 価格 4.00(1億MAU当たり年間広告売上(億ドル))→ 売上 22 億ドル・営業利益 2 億ドル。Xの月間利用5.4億、広告の単価改善は緩やか
- Grok・X有料機能とAPI:数量 5.1(X・Grok有料契約数(百万人、期末代理))× 価格 3.05(百万人当たり年間売上(億ドル))→ 売上 16 億ドル・営業利益 0 億ドル。Grok・X等の2026年有料契約6.3百万から0.81倍、使用量課金が席減を一部補う
- CursorのAI開発者契約:数量 6.0(正規化した有料開発者席数(百万人))× 価格 8.50(百万人当たり年間契約売上(億ドル))→ 売上 51 億ドル・営業利益 5 億ドル。Cursorは2026年推定750万席×0.80、名目契約単価は現在比の約1割増にとどめる
倍率:利益ベースの正当化PER。k8.5%、名目g3.5%(市場の実質数量増+シェア変化+物価と単価競争の合算)を用いる。純利益680億ドル÷期末自己資本3,863.2億ドル=事業ROE約17.6%。現金を余剰と分けず、設備・周波数・開発費を除外しない。全社の堀は普通としてRONIC=k+1/2×(ROE−k)=約13.1%。来期利益に対する式(1−g÷RONIC)÷(k−g)に1+gを掛けた10年目利益基準の上限は約15.15倍で、その86.0%に相当する13.03倍とした。ロケットと通信には堀があっても、利益の大半が設備更新を要するAI計算力に移るため、全社の超過利益の残存割合は普通の二分の一とする。GAAP利益で株式報酬を費用化済み。
確率:2026年Q3のSI受注増とスターリンクの実績を認めつつ、GPUの供給競争、周波数免許、値下げを平常化させた中心の33%。
やや悲観 26% やや悲観:AI単価下落と通信競争で資本収益率が低迷 利益 130 億ドル · PER 9.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 9.09 ドル1,235 億ドル
スターシップの整備費が高止まりし、有料打ち上げは75件にとどまる。政府は国防予算を維持するが、商業大型案件がブルー・オリジンや他社へ移る。スターリンクは4,300万件まで増えるものの、地上回線やアマゾン・レオとの価格競争で個人向け月額は80ドル台にとどまる。モバイル周波数の許可が遅れ、企業市場でのシェアも24%まで下がる。
AI計算容量は14GWまで増えたが、契約単価が下がり、GPUを取り換える負担が重い。SIのGAAP営業利益率は8%にとどまる。Cursorの席数はAIエージェントへの置き換えにより2026年推定基盤の64%に縮む。X広告も競合に流れ、AIの稼ぎが通信の利益を増幅しない。
2026~2035年のGAAP純利益累計は約500億ドルにとどまり、正味の追加資本負担は900億ドルとなる。2035年の純利益は130億ドルで、自己資本利益率は資本コストを下回る。換金できる資産はあっても設備の簿価は守られず、期待した成長が株主に残らない筋書きである。
- 外部顧客向け打ち上げ:数量 75.0(外販打ち上げ件数(件))× 価格 0.95(1打ち上げ当たり売上(億ドル))→ 売上 71 億ドル・営業利益 6 億ドル。顧客便75、ULAとブルー・オリジンに大型案件が流れる
- 宇宙開発・NASA契約:数量 1.3(2025年の外部契約検収・進捗1年度相当(組))× 価格 19(1年度相当の契約認識額(億ドル))→ 売上 25 億ドル・営業利益 −6 億ドル。NASA契約の進捗低下、固定開発費が残る
- スターリンク個人向け:数量 43.0(年間平均有料契約数(百万人))× 価格 9.80(百万人当たり年間売上(億ドル))→ 売上 421 億ドル・営業利益 105 億ドル。一般向け4,300万件、低価格国比率上昇で月額82ドル
- スターリンク企業・政府・モバイル:数量 168(企業・モバイル等の実質市場×スペースXシェア(億ドル・2025年価格))× 価格 1.20(2025年=1の契約単価指数)→ 売上 202 億ドル・営業利益 40 億ドル。実質市場700億ドル×シェア24%、価格指数1.20
- SI・AI計算インフラ外販:数量 14.0(対外販売可能な名目計算容量(GW))× 価格 85(1GW当たり年間外販売上(億ドル))→ 売上 1,190 億ドル・営業利益 95 億ドル。外販14GW、GW年85億ドル、価格低下と償却増
- Xの媒体広告:数量 4.7(月間利用者(億人、期末代理))× 価格 3.40(1億MAU当たり年間広告売上(億ドル))→ 売上 16 億ドル・営業利益 −1 億ドル。X利用4.7億人、広告の実質単価が下落
- Grok・X有料機能とAPI:数量 4.2(X・Grok有料契約数(百万人、期末代理))× 価格 2.80(百万人当たり年間売上(億ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 −2 億ドル。有料のGrok・X機能は2026年水準の約0.67倍へ縮む
- CursorのAI開発者契約:数量 4.8(正規化した有料開発者席数(百万人))× 価格 7.70(百万人当たり年間契約売上(億ドル))→ 売上 37 億ドル・営業利益 −6 億ドル。Cursor席数は2026年の0.64倍、単価も値下がり
倍率:k8.5%、g3.5%、期末ROE7.2%は資本コスト以下であり、成長に価値を付けない。PER上限1÷k=11.76倍に対して9.50倍で、GAAP純利益130億ドル×9.50倍=1,235億ドル。悲観側は稼ぐ力の上限130÷0.085=約1,529億ドルを超えず、別途換金可能資産を保守的に見積もる。
確率:通信の値下げとAI投資の収益率低下は独立に起こりうる。数百億ドルの設備投資を要する同社には珍しくないため26%。
悲観 15% 悲観:GPU過剰投資の減損で稼ぐ力が失われる 利益 −40 億ドル · PBR 2.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6.44 ドル875 億ドル
AI計算力は技術革新で供給過剰になり、2030年代前半からGPUの再販価格と契約単価が崩れる。SIが外販に使える設備は5GWへ縮小し、計算基盤の営業損失が続く。Cursorは自律的な開発エージェントに置き換えられて席数が半分以下になり、Grokの課金とXの広告も低迷する。
再使用ロケットの競合が育ち、有料打ち上げは35件まで落ちる。スターシップの開発は長引き、固定の研究開発費が削れない。スターリンクはなお2,900万件の契約を持つが、低価格国が中心で、衛星を更新する現金を十分に生まない。通信網や周波数免許には売却価値が残るが、AIデータセンターの簿価とのれんは大幅に減損する。
2035年の営業損益は小幅赤字、GAAP純損失は40億ドルになる。2027~2030年にはAI計算需要の一時的な好況で利益を確保する。しかし2031~2034年に旧世代GPUの大規模減損、Cursor買収に伴うのれんの減損、AI設備撤退費用が集中し、それまでの利益を大きく上回る損失を計上する。2026~2035年のGAAP損益累計は663.2億ドルの赤字となる。新株発行と株式報酬を差し引いた正味の還元はマイナス650億ドルで、期末自己資本は400億ドルまで縮む。残る現金と売却可能資産の税後価値のみが株主の裏付けとなる。
- 外部顧客向け打ち上げ:数量 35.0(外販打ち上げ件数(件))× 価格 0.72(1打ち上げ当たり売上(億ドル))→ 売上 25 億ドル・営業利益 −3 億ドル。再使用競合に顧客便を奪われ35件へ、契約単価も落ちる
- 宇宙開発・NASA契約:数量 1.0(2025年の外部契約検収・進捗1年度相当(組))× 価格 15(1年度相当の契約認識額(億ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 −6 億ドル。大型開発の失敗で進捗認識は2025年並み、固定費は維持
- スターリンク個人向け:数量 29.0(年間平均有料契約数(百万人))× 価格 8.00(百万人当たり年間売上(億ドル))→ 売上 232 億ドル・営業利益 42 億ドル。一般向け2,900万件だが、低価格競争で月額約67ドル
- スターリンク企業・政府・モバイル:数量 76.5(企業・モバイル等の実質市場×スペースXシェア(億ドル・2025年価格))× 価格 1.00(2025年=1の契約単価指数)→ 売上 77 億ドル・営業利益 6 億ドル。実質市場450億ドル×シェア17%、価格は2025年水準
- SI・AI計算インフラ外販:数量 5.0(対外販売可能な名目計算容量(GW))× 価格 60(1GW当たり年間外販売上(億ドル))→ 売上 300 億ドル・営業利益 −33 億ドル。外販5GW、GW年60億ドル、旧GPUの減損で採算悪化
- Xの媒体広告:数量 3.3(月間利用者(億人、期末代理))× 価格 3.00(1億MAU当たり年間広告売上(億ドル))→ 売上 10 億ドル・営業利益 −2 億ドル。X利用3.3億人へ減少し広告費が競合媒体へ流れる
- Grok・X有料機能とAPI:数量 3.0(X・Grok有料契約数(百万人、期末代理))× 価格 2.50(百万人当たり年間売上(億ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 −2 億ドル。有料機能の席数と単価が低下し赤字運営
- CursorのAI開発者契約:数量 3.2(正規化した有料開発者席数(百万人))× 価格 6.50(百万人当たり年間契約売上(億ドル))→ 売上 21 億ドル・営業利益 −6 億ドル。Cursor席数は2026年比0.43倍で価格も下がる
倍率:2035年はGAAP純損失40億ドルでPERを使えない。2026~2035年には一時的なAI収益を得るが、2031~2034年の旧世代GPU・のれんの大規模減損と設備撤退費用がそれを上回り、期間のGAAP損益累計は−663.2億ドルとなる。2025年自己資本413.2億ドル+期間損益累計−663.2億ドル−正味還元−650億ドル=2035年自己資本400億ドルで、現在の自己資本413.2億ドルを下回る。悲観の価値は期末自己資本の帳簿価値でなく、純現金と売却可能資産の税後価値875億ドルを根拠にする。時価総額875億ドル÷期末自己資本400億ドル=PBR2.1875倍であり、400億ドル×2.1875倍=875億ドルと一致する。このPBRは独立に算定した資産売却価値を帳簿自己資本で割った表示上の倍率であり、過去のPBRを参考にしたものではない。
確率:巨額設備の減損と競合による長期シェア喪失、AIエージェント代替が重なる。事業消滅ではなく資本損失が主な下値で15%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
外部顧客向け打ち上げ
ファルコン等を使った顧客向けロケット輸送。社内の衛星投入便を除く。
| 数量外販打ち上げ件数(件) | 価格1打ち上げ当たり売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 43.0 | 0.60 | 26 | 8 |
| 10 年後 中立 | 115 | 1.12 | 129 | 28 |
取り方:2025年の外販ファルコン43便はIPO届出書の開示。打ち上げサービス売上25.76億ドル÷43件で平均約0.60億ドル。NASA・防衛案件と小型衛星で契約単価は異なる。開発関連収益は別区分。営業利益8億ドルは共通研究開発費を次区分へ寄せた分析用配分であり、公式の小区分利益ではない。
宇宙開発・NASA契約
ドラゴンの補給、有人輸送と研究開発契約、スターシップの開発。
| 数量2025年の外部契約検収・進捗1年度相当(組) | 価格1年度相当の契約認識額(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.0 | 15 | 15 | −15 |
| 10 年後 中立 | 2.0 | 23 | 46 | −1 |
取り方:IPO届出書の2025年打ち上げ・開発売上15.10億ドルを、非開示の工程件数に代えて2025年契約進捗1年度相当とする。今後のvolumeはNASAなどの進捗認識量を2025年を1として表す指数で、実際のミッション件数とは異なる。営業損失14.6億ドルはスターシップ研究開発費を主にこの区分に負担させた推計。宇宙輸送部門合計では約−6.6億ドル。
スターリンク個人向け
家庭、旅行、移動先の衛星ブロードバンド契約。端末や月額プランを含む。
| 数量年間平均有料契約数(百万人) | 価格百万人当たり年間売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 7.4 | 9.72 | 72 | 28 |
| 10 年後 中立 | 60.0 | 11 | 660 | 231 |
取り方:IPO届出書の2025年個人向け収入72.08億ドル、同年平均月額81ドルから年間平均契約数を72.08÷(81×12÷100)=約7.41百万人と逆算。2025年末契約8.9百万人、2026年9月末13.6百万人を別途確認。単価は年平均の通信・端末売上の概算で、物価より安い海外向けプランの増加で下がりうる。営業利益は通信部門公式合計44.23億ドルを顧客別に推計配分した値。
スターリンク企業・政府・モバイル
航空、海上、政府の専用通信、企業回線、携帯事業者向け直接通信。
| 数量企業・モバイル等の実質市場×スペースXシェア(億ドル・2025年価格) | 価格2025年=1の契約単価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 41.8 | 1.00 | 42 | 16 |
| 10 年後 中立 | 300 | 1.30 | 390 | 117 |
取り方:2025年の企業・政府売上41.79億ドルはIPO届出書。SIAの2024年企業向け衛星サービス市場197億ドルから2025年を約210億ドルと推定し、関連市場のシェア約19.9%=41.79億ドルとして数量の市場×シェアを構成。衛星テレビや地上移動通信の全体は含めない。2026年9月にスターリンク搭載航空機3,800機、モバイルは各国通信会社と提携。単価指数の2025年=1は分析上の基準。
SI・AI計算インフラ外販
GPUと電力・データセンターを外部顧客のAI学習・推論用に提供する。
| 数量対外販売可能な名目計算容量(GW) | 価格1GW当たり年間外販売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.8 | 0.00 | 0 | −25 |
| 10 年後 中立 | 32.0 | 105 | 3,360 | 571 |
取り方:2025年末の名前上のAI計算設備容量0.8GWはIPO届出書。2025年のX・Grokのサブスクリプション等を含むSIソリューション売上13.57億ドルは下のappへ置き、当時の独立したクラウド外販売上は非開示なので零とする。2026年9月末は設置能力1.7GW、同四半期SIソリューション・設備収入70.22億ドルだがCursor等も含むため、全額をGPU利用単価と誤認しない。2025年の−25億ドルはAI設備とモデル開発費の推定配分。
Xの媒体広告
X上の広告在庫を売る。広告制作・運用の受託ではない。
| 数量月間利用者(億人、期末代理) | 価格1億MAU当たり年間広告売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5.2 | 3.55 | 18 | −7 |
| 10 年後 中立 | 5.4 | 4.00 | 22 | 2 |
取り方:2025年のX広告売上18.44億ドル、同年末のX・Grok統合MAU約5.2億人を使用。利用者数は年平均の公表がないため期末代理を使い、1人年約3.55ドルの広告売上に相当。広告市場全体に対する取り分は小さく、他媒体やAI要約による来訪減に弱い。広告の営業損益−7億ドルはSIの内訳非開示を踏まえた推計。
Grok・X有料機能とAPI
Xプレミアム、Grok有料プラン、データ提供、モデルAPI。
| 数量X・Grok有料契約数(百万人、期末代理) | 価格百万人当たり年間売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4.9 | 2.77 | 14 | −26 |
| 10 年後 中立 | 5.1 | 3.05 | 16 | 0 |
取り方:IPO届出書の2025年SIソリューション・インフラ13.57億ドルは当時主にX有料プラン、Grok課金、データライセンス、APIだった。年末有料契約約4.9百万人で割り、1契約年約277ドルの換算単価とする。純粋な席課金単価ではなくライセンスも含む代理指標である。営業損失−26.2億ドルは開発費を含めた推計。公式2025年SI損失−63.55億ドルとfacts連結営業損失−20.6億ドルとの差5.29億ドルはSI配分に明示的に調整した。
CursorのAI開発者契約
2026年8月買収のコードエージェント。2025年末時点では連結対象外。
| 数量正規化した有料開発者席数(百万人) | 価格百万人当たり年間契約売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 6.0 | 8.50 | 51 | 5 |
取り方:2025年末には子会社でないため売上・数量ともゼロ。2026年8月14日に株式交換で買収が成立し、9月末までの約1か月半の連結売上は6.08億ドル。席数は未公表なので2026年を約750万席の推定起点とし、2035年中立ではAIエージェント代替により0.80倍の600万席、単価は2026年正規化を起点とした1~1.15倍の範囲に抑える。取得前の2025年売上に遡及加算しない。
リスクと懸念
AI計算設備の増分ROICと電力制約
2026年1~9月の設備投資は約481億ドルで、大半がSI向けだった。電力接続の遅れ、GPUの供給制約、数年後の更新価格上昇が重なると、売上は増えても投下資本の利回りは8.5%に届かない。契約済みの容量、実際の稼働率、設備の耐用年数を区別して追う必要がある。
スターリンクの単価下落と衛星交換
一般向け契約の急増と同時に、月額売上は2025年7~9月の83ドルから2026年同四半期の69ドルへ下がった。低価格国へ広がれば加入件数の伸びほど売上が伸びない。衛星の寿命が尽きれば交換打ち上げも必要で、通信部門の利益率が長く四割台を維持する保証はない。
スターシップの高頻度再使用と安全規制
初の軌道上へのスターシップ衛星投入は大きな進展だが、連続運航、上段の回収、耐熱材の整備費、発射場の環境規制にはなお不確実性がある。FAAの許可や事故後の停止が長引けば、ロケット開発費が費用に残り、スターリンク次世代衛星の投入能力も制約される。
AIエージェント代替とCursorの席課金
Cursorの価値の一部は開発者が操作する画面や契約席数に依存する。コード生成から実行・検証までAIエージェントが自動化すると、利用者一人当たりの契約単価や必要席数が減る。中立では2026年の正規化した顧客基盤から数量を約8割、実質価格を抑え、長期の成長率をゼロと扱う。Grokの成功を理由にこのリスクを消さない。
テスラとの統合と支配株主
2026年10月、スペースXとテスラは統合の可能性を検討する委員会を設けたが、条件合意はない。関連当事者間で株式交換比率を決める場合、両社の少数株主の利害が一致するとは限らない。B種株の1株10票と創業者の議決権集中は、条件が不利でも外部株主が止めにくい構造を作る。
政府依存・周波数免許・地政学
NASAと米国防衛契約は宇宙輸送の基礎需要だが、政権交代や予算の遅れで受注時期が動く。海外の通信免許は国ごとに異なり、直接携帯電話へ接続する事業では干渉や安全保障上の審査が要る。中国・ロシアなどへの市場参入制限や、軌道上の破片・衛星衝突も設備価値を減らす。
株式報酬・増資とフリーキャッシュフロー
2026年のIPOは資金を増やしたが、発行株式も増えた。Cursorの取得では買収対価と別に勤務継続を条件とした株式報酬が約234億ドルあり、今後の費用になる。調整後EBITDAが急増しても株式報酬、更新投資、資金調達を引けば株主への正味還元がマイナスの期間が続きうる。
今後の分かれ目
- スターシップが2028年までに週次の商用運航と上段の完全回収を安定して達成したら
- 外販打ち上げとスターリンク交換費用の両方に好影響が出る。宇宙輸送の営業利益率を中立より5ポイントほど上げ、通信の設備単価にも改善余地を認める。
- スターリンクの一般向け契約が2030年に3000万件を超え、ARPU低下が止まったら
- 2035年の個人向け接続数と単価をやや楽観へ近づける。通信の設備更新後の現金収益を同時に確認し、契約数だけでは判断しない。
- AI計算基盤が2028年に10GW超へ拡大し、実効稼働率とGAAP営業利益率が改善したら
- 2035年の稼働容量を45~70GWの楽観側へ移す。ただし取得・更新投資を含む増分ROICが資本コストを超えることを条件とする。
- GPU容量当たりの年間販売収入が2026年の年率換算から半減したら
- AI売上は設置GWが増えても伸びにくい。投下資本の減損と収益性悪化を織り込み、やや悲観・悲観の比重を増やす。
- CursorとXの有料機能で顧客の契約席数が継続的に減り、値下げが続いたら
- AIエージェント代替が進んだ証拠として、SIソフトの中立数量を2026年対比7割まで下げ、長期の名目成長率をゼロ以下で見直す。
- テスラとの統合に正式合意し、独立委員会が交換比率と利益相反条件を公表したら
- 成立前はテスラの利益も株式も加えない。正式条件に基づいて新規発行、対価、少数株主の取り分を再計算し、既存の単体シナリオを作り直す。
- 会社が設備投資縮小後にGAAP利益と自由現金収支の黒字を3年続けたら
- 過剰投資の懸念が弱まり、還元の正味マイナスを縮めて評価する。単なるGPU償却の先送りでないかも同時に確認する。
見ておくもの
- 四半期の外部顧客向け打ち上げ数と同売上、社内用便との区別
- スターシップの上段回収、週次運航、FAAの許可・事故停止日数
- スターリンク個人契約数、月次ARPU、企業・政府向け契約の伸び
- スターリンク衛星の基数、世代交代、航空機設置数、モバイル周波数許認可
- SIの契約済み稼働GW、外部顧客単価、減価償却・設備投資の期間比較
- Cursor・Grok・Xの有料契約席数と解約率、広告単価
- GAAP営業利益、株式報酬、投資後のFCF、ネット有利子負債
- テスラとの統合委員会の正式結論とB種株の議決権変化
倍率と資本コストの決め方
台帳の株価147.490005493と株数135億7900万株は、最後の比較にだけ使う。2026年10月27日の全種類株時価総額約2兆200億ドルと台帳約2兆28億ドルの差は1%未満である。2025年の売上・利益・自己資本はfactsを採り、2026年9月の開示によるIPO・Cursor買収とAI投資を将来の数量と持分変動に織り込んだ。正当化PERはk8.5%、長期g3.5%、事業ROEから残る超過収益を普通の堀として半分に薄めたRONICで決め、10年目利益に(1+g)を掛けた。中立の式の上限約15.2倍に対して13.03倍である。過去・現在の市場PERや同業の株価倍率から逆算していない。2025年の連結営業利益は届出書とfactsで約5.3億ドル異なるため、セグメント基準年の費用配分は推計と明示した。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k=米国株の基本8.0%+quality0.5%=8.5%。同領域の安定的な防衛大手より少し高く、ボーイングより低い。打ち上げと通信の堀を認める一方、GPUの巨額更新投資を価格決定力と切り離して評価した。テスラ統合や規制の個別リスクはkに上乗せせず筋書きで扱う。