結論
ハネウェル エアロスペース(HONA)は、2026 年 6 月 29 日にハネウェルから分離して上場した航空宇宙の装備品・エンジン・電源の会社である。2025 年の売上は約 174 億ドル(訴訟による売上控除 3 億ドルを戻すと 177 億ドル)で、中身は防衛・宇宙が約 4 割、民間の航空輸送が約 4 割、ビジネス機が約 2 割。事業別では、民間アフターマーケット(部品・修理・改修)が利益の約 6 割を生む稼ぎ頭の事業で、新造機向けの民間 OE は売上の約 15% の小さな事業である。調整後 EBIT は 2025 年が約 44 億ドル、2026 年の見通しは 43.5〜44.5 億ドルで、8 月の決算で成長率(オーガニック +4〜5%、従来は +7〜9%)と利益の見通しを下げた。
台帳の財務は分離後の pro forma(純利益 17.8 億ドルは支払利息 8.4 億ドルと訴訟・取引・環境の一時費用を含む)で、純負債・自己資本は空欄のため 10-Q から補った。分離のために 160 億ドルの社債を出し、91 億ドルを親会社へ配当したので、2026 年 6 月末の純負債は約 148 億ドル、自己資本は約 −57 億ドル。純負債は今の時価総額の約 28%、調整後 EBIT の約 3 倍である。
バリュー投資の観点では、航空機の稼働が増えるほど部品・修理の売上が積み上がる事業は、10 年後も強いと見る一方、借金と分離直後の不確実性が重い。セグメントごとに市場 × シェア × 価格で積み上げると、中立の純利益(GAAP・一時費用を除く)は 2026 年約 24 億ドル、2028 年約 33 億ドル、2035 年約 60 億ドル。資本コスト 8.25%(基本 8.0% + quality 0.25%)で利益ベースの正当化 PER(g 4%・RONIC 約 22%・上限は 10 年の中立で 19.3 倍)の 8 割強の 15.9 倍を置いて確率で加重すると、本質価値は今の時価総額を 5% ほど上回り、適正になる(筋書きと確率の置き方は下に書いた)。ただし、上場 3 か月で実績が短く、見通しの精度(8 月に引き下げ)と純負債の重さが最大の不確実性で、k が 1 ポイント動くだけで結論が動く。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、この会社は「10 年後も存在し、今より強いか」という問いに、航空機の飛行時間という物理的な需要に支えられた事業であるため、はい、と答えやすい。民間アフターマーケットは、一度機体に載った装備の部品と修理が長期の収益を生む、収穫逓増に近い事業で、運転に要る資本が小さく、オーナー利益(株主に回る利益)が純利益に近い。堀は据え付け基盤と認証で、広がる方向にある(新型機への採用と電子化・遠隔監視の追加)。
一方で、経営の資本配分はまだ証明されていない。分離で背負った 160 億ドルの借金で、自己資本はマイナス、純負債は調整後 EBIT の約 3 倍。借金の返済が先に進めば株主への還元は後ろへずれ、金利が 5% 台のままなら、営業利益の約 2 割(年 8〜9 億ドル)が支払利息に消える。会社は 8 月に見通しを下げており、新しい経営陣が約束した数字を守れるかは、あと数四半期を見ないと確信が持てない。
安全域の考え方は、楽観でも悲観でも払う値段に見合うかどうか。今の時価総額は GAAP(一時費用を除く)の純利益の約 22 倍で、成長 5% 前後の事業としては高くも安くもない。式で出した本質価値は今を 5% ほど上回るだけで適正の範囲であり、k が 1 ポイント高ければ割高側に動く。この点をそのまま差し引いて見るのが、安全域を守る見方である。
何で稼ぐ会社か
民間アフターマーケット(2025 年の売上 約 80 億ドル、推定利益率 33%)は、民間機とビジネス機に積まれた補助動力装置(APU)・ビジネス機用エンジン・電源・ブレーキ・アビオニクスなどの交換部品、修理、改修、遠隔監視とデータの契約である。ハネウェルの装備は多くの機体に積まれており(会社は電子装備で約 9 割の機体に載っていると説明)、飛行時間が増えるほど部品・修理の需要が積み上がる。2025 年のこの事業の伸びは +12%、2026 年 4〜6 月期は +8%。
防衛・宇宙(同 71 億ドル、推定 21.5%)は、軍用機・ヘリのエンジン(T55 など)・APU・飛行制御・ミサイルや衛星の電子機器・通信・推進で、顧客は米国防総省・NASA・同盟国。2025 年の伸びは +9%、直近は +3%。契約は複数年で、予算の決まり方に左右される。
民間 OE(同 26 億ドル、推定 12.5%)は、新造機に載せる装備・エンジンの売上で、エアバス・ボーイング・ビジネス機メーカー(ガルフストリーム・ボンバルディアなど)に納める。機体の増産が遅れるとここが最初に影響を受ける。ただし利益率が低く、将来のアフターマーケットの種まきの役割が大きい。
会社の組織は電子ソリューション(売上 約 68 億ドル)、エンジン・電源システム(同 約 54 億ドル)、制御システム(同 約 52 億ドル)の 3 部門だが、事業の稼ぎ方を見るには上の 3 つの事業別が分かりやすい(部門の合計は重複があり売上より大きい)。2026 年は分離関連の費用が多く、4〜6 月期のセグメント利益は 9.95 億ドル(前年 10.66 億ドル)に減った。
優良さと弱いところ
堀の中心は、機体に載った装備が 20〜30 年にわたって部品・修理を生む据え付け基盤と、FAA などの認証・部品承認の壁である。装備を替えるには機体の認証をやり直す必要があり、航空会社は同じ供給元の部品・修理を使い続けやすい。新造機に選ばれることが 30 年のアフターマーケットを決めるため、OE で採用を取り続けることが堀の維持になる。防衛でも、エンジンや電子装備は長期の維持整備契約と一体で売れる。
価格を決める力は強い。受注残は約 182 億ドル(前年 +9%)、過去 4 年の新規契約は 900 億ドル超と会社は説明する。アフターマーケットは供給が足りない業界の中で、値上げが通りやすい。資本効率も高く、運転に使う資本は小さい(自己資本と純負債の合計で約 90 億ドル、税引き後の営業利益はその約 3 分の 1)。
弱い所は 3 つ。第一に、新会社として標準の運営費(ハネウェルへの商標使用料を含む)が加わり、調整後 EBIT が分離前より薄くなる。第二に、環境費用(2025 年に約 3.9 億ドル、毎年 1〜2 億ドル規模が続く推定)と取引・分離費用で GAAP の利益が調整後より大きく下がる。第三に、2026 年 8 月に成長と利益の見通しを下げた点で、サプライチェーンの制約を会社が読み切れていない可能性がある。競合のコリンズ(RTX)・サフラン・GEエアロスペース・ガーミンなどと比べ、装備の幅は広いが、エンジン単体の規模はそれらに劣る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
世界の民間機の納入は 2026 年に約 1,690 機(2018 年の 1,753 機に届かない)で、受注残は約 18,100 機、納入枠は 2033 年ごろまで埋まっている。制約は需要ではなくエンジン・部品・整備士の供給で、需給の不均衡は 2031〜34 年まで続くと国際航空運送協会(IATA)は見る。エアバスとボーイングの複占が続く限り、機体メーカーの増産ペースが OE の売上を決め、稼働機の増加と飛行時間がアフターマーケットを決める。
業界ノートの中立の置き方では、納入機数は 10 年で年 +4.5%、飛行時間は年 +3.5%、整備の単価は物価(3.5%)を上回る。アフターマーケットは 10 年で名目 2.1〜2.3 倍。この会社はこれより控えめに置いた:OE の数量は年 +4%、アフターの飛行時間は年 +3%。理由は、8 月に会社自身が供給制約を理由に成長見通しを下げたこと(業界の納入が伸びても、この会社の部品が足りなければ売上にならない)である。
防衛は、米国の 2027 会計年度の要求が 1.5 兆ドル(基礎 約 1.15 兆ドルと調整予算 約 3,500 億ドル。調整予算は別の法案で未成立)と大きく増えるが、航空機搭載機器の側では、新興勢(アンドゥリルなど)への移行や固定価格契約の損失が主契約者の取り分を削る恐れがある。ハネウェルは主契約者ではなく、装備の供給元なので、予算増の恩恵は間接的で遅れて届く。
競合は事業ごとに違う。アフターマーケットと OE の電子装備ではコリンズ(RTX)・サフラン・ガーミン・タレス、補助動力装置とエンジンではプラット・アンド・ホイットニー(RTX)・GEエアロスペース・ロールス・ロイスなど。再編の波の中で、ハネウェルが 3 分割されたことで、エアロスペースは純粋な航空宇宙の銘柄として他社(GEエアロスペース・ハウメットなど)と直接比べられるようになった。
資本政策と M&A
分離の資金の流れ:エアロスペースは 2026 年 3 月に 160 億ドルの社債を出し、91 億ドルを現金で親会社(今のハネウェル・テクノロジーズ)へ配当し、残りを交換社債として親会社の債務の整理に使った。この結果、自己資本は −57 億ドル(配当の分だけ帳簿が減った)で、純負債は約 148 億ドル。借入は 5% 台半ばの利率で、支払利息は年 8〜9 億ドルである。投資適格を維持するという会社の方針は、レバレッジを下げることを意味する。
配当は「同業並み」とだけ開示され、金額は未開示。資本配分の優先順位は、組織内の投資、配当、小型の買収、機会的な自社株買いの順(投資家説明会)。目標は 2030 年にオーガニック売上の年平均 +6〜8%、調整後 EBIT 65 億ドル超、FCF 40 億ドル超(第三者の要約による。公式資料では確認できていない)。
M&A は小型の買い足しが中心の方針で、大型の買収は想定されていない。分離後の数年は返済を優先すると見て、本分析の筋書きでは買収を入れていない。株式報酬(2025 年に約 0.9 億ドル)は費用として純利益に含め、還元は株式報酬を引いた正味で置いた。自社株買いは、純負債が薄くなる 2029 年以降に増えると置いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
受注残 182 億ドル・過去 4 年の新規契約 900 億ドルは、供給が追いつけば売上になる需要が積まれていることを意味する。2026 年 8 月の見通しの引き下げは、需要の問題ではなく、サプライヤーの部品の供給が足りないという一時的な問題で、会社が「実績のある供給能力」に合わせて保守的に置き直した、いわば最初の見通しを現実に合わせた仕切り直しだ。2027 年以降は、これが解けるにつれて伸びが戻る。
アフターマーケットは構造的に強い。稼働機の増加と、部品・修理の整備単価が物価を上回る上昇を続け、2025 年は +12%、2026 年 4〜6 月期も +8%。ハネウェルの装備が載った機体は多く、ビジネス機・民間機とも飛行時間が伸びる。電子化・遠隔監視(飛行データの契約)が上乗せになり、アフターマーケットの利益率は 33% から 35% へ上がる余地がある。防衛は米国の 2027 年度要求(1.5 兆ドル)の恩恵を、航空機搭載機器と宇宙で受ける。
会社が示した 2030 年の目標(オーガニック売上の年平均 +6〜8%、調整後 EBIT 65 億ドル超、FCF 40 億ドル超)が実現すれば、純利益は 2028 年に 40 億ドル台、2035 年に 90 億ドル近くまで伸び、返済が進んで 2029 年以降は還元が自社株買いで大きく戻る。利益ベースの正当化 PER(k 8.25%・g 4%)の上限は 20 倍前後で、強気の見方はその上限近くまで倍率が付くと見る。
慎重な見方
純負債は調整後 EBIT の約 3 倍(160 億ドルの社債を出し、利率は 5% 台半ば)で、支払利息は年 8〜9 億ドル。自己資本はマイナスで、利益のほんの少しの下振れが、返済の遅れと還元の先送りを同時に招く。2026 年 8 月に成長率と調整後 EBIT を約 6% 引き下げた事実が、新経営陣の見通しの精度の問題を示している。分離直後の一時費用(取引費用が 4〜6 月期だけで 3.3 億ドル、分離関連費用と在庫の廃棄が約 1 億ドル)は 2026 年だけで終わらないかもしれない。
供給制約は機体メーカーにも同じ形で効く。ボーイングの 737 の増産の許可・品質問題、エアバスのエンジン不足が続けば、OE の数量は伸びない。アフターマーケットも、飛行時間が伸びても航空会社の損益(IATA の 2026 年純利益の見通しは 410 億ドルから 230 億ドルへ下方修正)が燃料高で悪化すれば、整備の先送りと中古品(PMA)への切り替えが起きる。防衛は予算が議会で決まるまで読めず、固定価格契約の損失はボーイングが 6 年で 100 億ドル規模の損失を出した前例がある。
さらに、環境費用(2025 年に約 3.9 億ドル)、商標使用料、株式報酬、買収無形資産の償却を引くと、GAAP の利益は調整後 EBIT の 9 割に届かない。会社の言う「調整後」より、GAAP の純利益で見るべきで、そこでの今の PER は 22〜30 倍と高めである。
どちらに重みを置いたか
事業の質(据え付け基盤・認証・価格を決める力・資本の軽さ)は強気の言い分が強く、借金と見通しの精度への疑いは慎重な見方の言い分が強い。調整後の数字ではなく GAAP の利益で置き、成長の置き方も会社の目標(年 6〜8%)より低く(10 年 6.4%)して、強気の主張を割り引いた。確率は 10 年で楽観 7%・やや楽観 20%・中立 35%・やや悲観 25%・悲観 13% とし、悲観側(やや悲観と悲観の合計)を 38% と厚くした。結論は「質の高い事業だが、借金と上場直後の不確実性を織り込むと本質価値は今の時価総額とほぼ同じで適正」で、その差は資本コストの置き方に左右される。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 280.57 ドル889 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 72.61 ドル230 億ドル)。 今の値に割り戻すと 175.84 ドル557 億ドル、今との差 +7.9%、 期待の年率 +8.0%(資本コスト 8.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 523.41 ドル1,659 億ドル | 109.82 ドル348 億ドル | +288.4% | +14.5% | 44.33 ドル140 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 388.53 ドル1,231 億ドル | 92.15 ドル292 億ドル | +194.9% | +11.4% | 96.14 ドル305 億ドル |
| 中立 | 35% | 301.82 ドル956 億ドル | 79.21 ドル251 億ドル | +133.7% | +8.9% | 133.36 ドル423 億ドル |
| やや悲観 | 25% | 198.28 ドル628 億ドル | 59.64 ドル189 億ドル | +58.2% | +4.7% | 64.48 ドル204 億ドル |
| 悲観 | 13% | 84.79 ドル269 億ドル | 29.66 ドル94 億ドル | −29.8% | −3.5% | 14.88 ドル47 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 280.57 ドル889 億ドル | 72.61 ドル230 億ドル | +116.6% | +8.0% | 353.18 ドル1,119 億ドル |
今の株価時価総額 163.02 ドル517 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:民間機の増産と据え付け基盤の拡大で 10 年で利益 3.7 倍 利益 90 億ドル · PER 18.5 倍 · 株価時価総額 523.41 ドル1,659 億ドル
2035 年、民間機の納入は年 3,000 機規模に近づき、OE は年 +6% の数量で伸びてシェアを 8.2% へ上げる(新型機での採用)。アフターは稼働機が増え、飛行時間 +4.5%・整備単価が物価を年 1.5% 上回って約 2.8 倍の規模、シェア 13.8%。防衛・宇宙は年 +3% でシェア 7.6%。アフターの利益率は 36%(電子化・遠隔監視・修理の内製化)、防衛 24%。売上 443 億ドル(OE 74・アフター 224・防衛・宇宙 144)、GAAP 営業利益(一時費用を除く)121.0 億ドル、純利益 89.8 億ドル、期末の純負債 54 億ドル。利益の伸びに合わせて運転資本と設備への投資も増えるため、純負債の減りは 138 億ドルから 54 億ドルにとどまるが、還元は大きく増える。環境費用は 2035 年に 1.8 億ドルまで下がる。競合では、新型機への採用でコリンズ・サフランと並ぶ。
- 民間 OE(新造機向けの装備・エンジン):数量 645(新造機に載る装備・補機・エンジンの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 11.6%(ハネウェルのシェア × 物価指数)→ 売上 75 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場・シェア・価格
- 民間アフターマーケット(部品・修理・改修・データ):数量 994(飛行時間に連動する装備・補機・エンジン・電子装備のアフターマーケット世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 22.6%(ハネウェルのシェア × 物価指数 × 整備の値上げ)→ 売上 224 億ドル・営業利益 81 億ドル。市場・シェア・価格
- 防衛・宇宙:数量 1,344(防衛・宇宙向け航空機搭載機器・推進・電子装備の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 10.7%(ハネウェルのシェア × 物価指数)→ 売上 144 億ドル・営業利益 35 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE は、帳簿(63%)が自己資本の小ささで高く出るので、ROIC 式(ROIC+(ROIC−借入金利×(1−税率))×業界並みの純負債÷自己資本 0.5)の 46.3% を使う。RONIC=k 8.25%(基本 8.0% + quality 0.25%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 27.3%(堀は普通:据え付け基盤と認証はあるが、新型機の採用競争と中古部品の圧力があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=民間機の稼働(飛行時間)の実質伸び 2〜3% + アフターマーケットの価格 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=20.1 倍に対し、92% の 18.5 倍に置いた(供給制約が 2027 年に解けアフターが年 +10% で伸びる筋書きだが、純負債が重いので上限の 9 割強)。時価総額=純利益 89.8 億ドル × 18.5 倍=1659 億ドル。純利益は GAAP(一時費用を除く)。
確率:民間機の増産が 2030 年代に月産の目標を超え、据え付け基盤が積み上がり、会社の 2030 年の目標を超えて伸び続ける展開。10 年では 7% に抑えた。
やや楽観 20% やや楽観:アフターと電子化の上乗せで成長 8% 弱、純負債は半分以下 利益 72 億ドル · PER 17.1 倍 · 株価時価総額 388.53 ドル1,231 億ドル
2035 年、会社の 2030 年の目標に近い道筋を保ち、OE は年 +5%・シェア 7.6%、アフターは飛行時間 +3.6%・整備単価が物価を年 1% 上回って利益率 35%、防衛・宇宙は年 +2.2%・利益率 22.8%。売上 377 億ドル(OE 63・アフター 186・防衛・宇宙 128)、GAAP 営業利益(一時費用を除く)97.6 億ドル、純利益 72.0 億ドル、期末の純負債 49 億ドル。純負債は 2035 年に約 49 億ドルまで減り、配当を毎年増やし、2030 年代に入ると小型買収も進む。新型機への採用は部分的で、電子化が付加価値になる。
- 民間 OE(新造機向けの装備・エンジン):数量 586(新造機に載る装備・補機・エンジンの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 10.7%(ハネウェルのシェア × 物価指数)→ 売上 63 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場・シェア・価格
- 民間アフターマーケット(部品・修理・改修・データ):数量 912(飛行時間に連動する装備・補機・エンジン・電子装備のアフターマーケット世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 20.4%(ハネウェルのシェア × 物価指数 × 整備の値上げ)→ 売上 186 億ドル・営業利益 65 億ドル。市場・シェア・価格
- 防衛・宇宙:数量 1,243(防衛・宇宙向け航空機搭載機器・推進・電子装備の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 10.3%(ハネウェルのシェア × 物価指数)→ 売上 128 億ドル・営業利益 29 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE は、帳簿(61%)が自己資本の小ささで高く出るので、ROIC 式(ROIC+(ROIC−借入金利×(1−税率))×業界並みの純負債÷自己資本 0.5)の 40.4% を使う。RONIC=k 8.25%(基本 8.0% + quality 0.25%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 24.3%(堀は普通:据え付け基盤と認証はあるが、新型機の採用競争と中古部品の圧力があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=民間機の稼働(飛行時間)の実質伸び 2〜3% + アフターマーケットの価格 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=19.7 倍に対し、87% の 17.1 倍に置いた(2026 年の仕切り直しが戻り、会社の目標に近い成長になる筋書き)。時価総額=純利益 72.0 億ドル × 17.1 倍=1231 億ドル。純利益は GAAP(一時費用を除く)。
確率:会社の 2030 年の目標に近い道筋を、2035 年まで保つ展開。受注残の厚さが支える。
中立 35% 中立:成長 6% 台・利益率 26% 台、純負債は約 49 億ドルまで減る 利益 60 億ドル · PER 15.9 倍 · 株価時価総額 301.82 ドル956 億ドル
2035 年、市場の実質成長(OE は納入の伸びで +4%、アフターは飛行時間 +3%、防衛は予算の実質 +1.5%)と物価 3.5%(アフターは整備単価がわずかに上回る)で、売上は年 6% 台で伸びる。シェアは OE 7.2%・アフター 12.55%・防衛 7.1% で変わらず、利益率は OE 13.8%・アフター 34.2%・防衛 22.2% へ緩やかに上がる。売上 330 億ドル(OE 54・アフター 160・防衛・宇宙 116)、GAAP 営業利益(一時費用を除く)82.4 億ドル、純利益 60.3 億ドル、期末の純負債 49 億ドル。純負債は 2026 年 138 億ドルから 49 億ドルへ減る(伸びに要る投資は増えた利益を ROE 60% で割った分を引いた)。新型機への採用は取りこぼさず、分離の影響は一巡する。
- 民間 OE(新造機向けの装備・エンジン):数量 533(新造機に載る装備・補機・エンジンの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 10.2%(ハネウェルのシェア × 物価指数)→ 売上 54 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場・シェア・価格
- 民間アフターマーケット(部品・修理・改修・データ):数量 860(飛行時間に連動する装備・補機・エンジン・電子装備のアフターマーケット世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 18.6%(ハネウェルのシェア × 物価指数 × 整備の値上げ)→ 売上 160 億ドル・営業利益 55 億ドル。市場・シェア・価格
- 防衛・宇宙:数量 1,161(防衛・宇宙向け航空機搭載機器・推進・電子装備の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 10.0%(ハネウェルのシェア × 物価指数)→ 売上 116 億ドル・営業利益 26 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE は、帳簿(61%)が自己資本の小ささで高く出るので、ROIC 式(ROIC+(ROIC−借入金利×(1−税率))×業界並みの純負債÷自己資本 0.5)の 36.7% を使う。RONIC=k 8.25%(基本 8.0% + quality 0.25%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 22.5%(堀は普通:据え付け基盤と認証はあるが、新型機の採用競争と中古部品の圧力があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=民間機の稼働(飛行時間)の実質伸び 2〜3% + アフターマーケットの価格 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=19.3 倍に対し、82% の 15.9 倍に置いた(アフターマーケットが利益の約 6 割を生む質は高いが、分離で純負債約 148 億ドルを背負った新会社で、返済が先になる分だけ上限すれすれには置かない)。時価総額=純利益 60.3 億ドル × 15.9 倍=956 億ドル。純利益は GAAP(一時費用を除く)。
確率:市場の実質成長と物価で年 6% 台、利益率はゆっくり上がる落としどころ。
やや悲観 25% やや悲観:OE のシェア低下とアフターの競争で成長 4% 台 利益 45 億ドル · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 198.28 ドル628 億ドル
2035 年、OE は新型機の採用で一部を落としシェア 6.6%(数量は年 +2.5%)、アフターは中古部品(PMA)と独立系整備会社の取り込みで整備単価が物価並みにとどまりシェア 11.6%、防衛・宇宙は主契約者の外注の見直しでシェア 6.8%・数量は年 +0.8%。利益率は 12.2%・32.2%・20.5% と据え置き〜低下。売上 273 億ドル(OE 42・アフター 128・防衛・宇宙 102)、GAAP 営業利益(一時費用を除く)62.4 億ドル、純利益 45.4 億ドル、期末の純負債 37 億ドル。分離後の独立会社が小型買収で価値を損なう可能性も含める。純負債は 37 億ドルまでしか減らない。
- 民間 OE(新造機向けの装備・エンジン):数量 461(新造機に載る装備・補機・エンジンの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 9.2%(ハネウェルのシェア × 物価指数)→ 売上 42 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場・シェア・価格
- 民間アフターマーケット(部品・修理・改修・データ):数量 796(飛行時間に連動する装備・補機・エンジン・電子装備のアフターマーケット世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 16.1%(ハネウェルのシェア × 物価指数 × 整備の値上げ)→ 売上 128 億ドル・営業利益 41 億ドル。市場・シェア・価格
- 防衛・宇宙:数量 1,083(防衛・宇宙向け航空機搭載機器・推進・電子装備の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 9.5%(ハネウェルのシェア × 物価指数)→ 売上 102 億ドル・営業利益 21 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE は、帳簿(53%)が自己資本の小ささで高く出るので、ROIC 式(ROIC+(ROIC−借入金利×(1−税率))×業界並みの純負債÷自己資本 0.5)の 28.8% を使う。RONIC=k 8.25%(基本 8.0% + quality 0.25%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 18.5%(堀は普通:据え付け基盤と認証はあるが、新型機の採用競争と中古部品の圧力があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=民間機の稼働(飛行時間)の実質伸び 2〜3% + アフターマーケットの価格 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=18.4 倍に対し、75% の 13.8 倍に置いた(供給制約が長引き成長が 4% 台にとどまる筋書き)。時価総額=純利益 45.4 億ドル × 13.8 倍=628 億ドル。純利益は GAAP(一時費用を除く)。
確率:OE で採用を落とし、整備では中古部品や競合に取り分を譲る展開。分離後の独立会社が資本配分を誤る危険を含める。
悲観 13% 悲観:構造的に取り分を失い、成長が止まる優良でない部品会社へ 利益 23 億ドル · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 84.79 ドル269 億ドル
2035 年、新型機の採用を失ってシェアが OE 5.5%・アフター 10.0%・防衛 6.2% へ下がり、数量は OE 横ばい・アフター −3%・防衛 −5%、価格の上げも物価に届かない。利益率は 8.5%・27.5%・17% で、会社は純負債を 54 億ドルまでしか減らせず、新しい投資にも制約が出る。売上 189 億ドル(OE 26・アフター 83・防衛・宇宙 79)、GAAP 営業利益(一時費用を除く)34.3 億ドル、純利益 23.2 億ドル、期末の純負債 54 億ドル。それでも受注残と据え付け基盤は残るので、アフターマーケットの収益は細りながらも続く。
- 民間 OE(新造機向けの装備・エンジン):数量 360(新造機に載る装備・補機・エンジンの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 7.4%(ハネウェルのシェア × 物価指数)→ 売上 27 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場・シェア・価格
- 民間アフターマーケット(部品・修理・改修・データ):数量 621(飛行時間に連動する装備・補機・エンジン・電子装備のアフターマーケット世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 13.4%(ハネウェルのシェア × 物価指数 × 整備の値上げ)→ 売上 83 億ドル・営業利益 23 億ドル。市場・シェア・価格
- 防衛・宇宙:数量 950(防衛・宇宙向け航空機搭載機器・推進・電子装備の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 8.3%(ハネウェルのシェア × 物価指数)→ 売上 79 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE は、帳簿(54%)が自己資本の小ささで高く出るので、ROIC 式(ROIC+(ROIC−借入金利×(1−税率))×業界並みの純負債÷自己資本 0.5)の 18.7% を使う。RONIC=k 8.25%(基本 8.0% + quality 0.25%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 13.5%(堀は普通:据え付け基盤と認証はあるが、新型機の採用競争と中古部品の圧力があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=民間機の稼働(飛行時間)の実質伸び 2〜3% + アフターマーケットの価格 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=16.5 倍に対し、70% の 11.6 倍に置いた(OE のシェア低下とアフターの競争で優良さを失う構造的な負けの筋書き)。時価総額=純利益 23.2 億ドル × 11.6 倍=269 億ドル。純利益は GAAP(一時費用を除く)。
確率:10 年の構造的な負け:新型機での採用を失い、防衛の主契約者の外注が新興勢へ移り、借金の返済が長引いて投資が遅れる。13% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
民間 OE(新造機向けの装備・エンジン)
エアバス・ボーイング・ビジネス機メーカーの新造機に載せる装備・APU・エンジン・電子装備の売上。納入機数が数量、機体 1 機あたりの搭載額が価格。
| 数量新造機に載る装備・補機・エンジンの世界市場(億ドル、2025 年価格) | 価格ハネウェルのシェア × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 360 | 7.2% | 26 | 3 |
| 10 年後 中立 | 533 | 10.2% | 54 | 8 |
取り方:新造機(民間機・ビジネス機)に載る装備・補助動力装置・エンジン・電子装備の世界市場を約 360 億ドル(推定:納入額 約 1,400 億ドルのうち装備・補機の取り分 約 25%)、ハネウェルのシェアを約 7.2% と置いた。2025 年の売上 26.0 億ドルは、訴訟控除の戻しを入れた売上 177.2 億ドルから民間アフター 約 80 と防衛・宇宙 71 を引いた残り(4〜6 月期の事業別の約 4 倍とも整合)。利益率 12.5% は未開示で、H1 のセグメント別(エンジン・電源 16.1%)から推定。
民間アフターマーケット(部品・修理・改修・データ)
民間機とビジネス機に載ったハネウェル製装備の交換部品・修理・改修・遠隔監視の契約。飛行時間が数量、整備 1 時間あたりの売上が価格。
| 数量飛行時間に連動する装備・補機・エンジン・電子装備のアフターマーケット世界市場(億ドル、2025 年価格) | 価格ハネウェルのシェア × 物価指数 × 整備の値上げ | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 640 | 12.5% | 80 | 27 |
| 10 年後 中立 | 860 | 18.6% | 160 | 55 |
取り方:飛行時間に連動する装備・補機・エンジン・電子装備のアフターマーケットを約 640 億ドル(推定:業界ノートのエンジンのアフターマーケット 約 600〜700 億ドルの幅から)、ハネウェルのシェアを約 12.5% と置いた。2025 年の売上は会社の「世界の民間アフターマーケット 77 億ドル」に訴訟控除の戻し 約 3 億ドルを足した 80.2 億ドル(2026 年 4〜6 月期は 20.26 億ドル、前年比 +8%)。利益率 33% は H1 のセグメント別(電子ソリューション 27.6%・制御 28.3%)より高いはずとの推定(未開示)。
防衛・宇宙
軍用機・ヘリのエンジンと APU、飛行制御・電子機器、ミサイル・衛星の電子装備・推進、通信。顧客は米国防総省・NASA・同盟国。調達予算が数量、1 機・1 台あたりの搭載額が価格。
| 数量防衛・宇宙向け航空機搭載機器・推進・電子装備の世界市場(億ドル、2025 年価格) | 価格ハネウェルのシェア × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,000 | 7.1% | 71 | 15 |
| 10 年後 中立 | 1,161 | 10.0% | 116 | 26 |
取り方:米国防総省の調達・研究開発(約 3,000 億ドル、業界ノートの推定)に同盟国向けの輸出と宇宙を加えたうち、航空機搭載機器・推進・電子装備にあたる分を約 1,000 億ドル(推定)、シェアを約 7.1% と置いた。2025 年の売上は会社の「防衛・宇宙 71 億ドル(+9%)」(4〜6 月期 17.68 億ドルの約 4 倍とも整合)。利益率 21.5% は未開示で推定。
リスクと懸念
借金と金利
分離で社債 160 億ドルを出し、純負債は 2026 年 6 月末で約 148 億ドル(調整後 EBIT の約 3 倍)、自己資本は −57 億ドル。支払利息は年 8〜9 億ドル(営業利益の約 2 割)。利益が下振れすると、返済と還元が同時に遅れ、投資適格の維持も圧力を受ける。
見通しの精度と供給制約
2026 年 8 月に、オーガニック成長(+7〜9% から +4〜5%)と調整後 EBIT(約 6% 減)を下げた。サプライチェーンの部品不足が理由で、新会社が出した初めての通期見通しがすぐ崩れた事実は軽くない。部品の納期が戻らなければ、受注残が売上にならない。
一時費用と GAAP の利益の質
取引費用は 4〜6 月期だけで 3.3 億ドル、上半期で 5.2 億ドル。環境費用は 2025 年に 3.9 億ドル(毎年 1〜2 億ドル規模が続く推定)。調整後 EBIT と GAAP の純利益の差が大きく、会社の言う利益を鵜呑みにできない。
航空会社の損益と機体メーカーの増産
IATA の 2026 年の航空会社の純利益の見通しは 410 億ドルから 230 億ドルへ下方修正された(ジェット燃料の高騰)。景気後退で航空会社が整備を先送りし納入を遅らせれば、アフターと OE が同時に落ちる。ボーイングの 737 の増産と品質の問題が続くと OE の数量が伸びない。
防衛予算と契約の形
2027 年度の要求 1.5 兆ドルのうち調整予算 約 3,500 億ドルは別の法案で未成立。議会のつなぎ予算で凍結されれば、防衛・宇宙の伸びは落ちる。固定価格の開発契約の損失(ボーイングが 6 年で 100 億ドル規模)が、装備の供給元にも波及しうる。
競合と中古部品
コリンズ(RTX)・サフラン・ガーミン・タレスなどが新型機の電子装備とアフターで競り合い、部品承認を受けた中古部品(PMA)や独立系整備会社が値上げを抑える。値上げ力が弱まれば、アフターの利益率 33% を保てない。
新会社の資本配分
親会社から切り離された独立会社として、配当・自社株買い・買収の方針は未知。借金が重いなかで小型買収や配当を増やす順番を誤れば、価値を損なう。商標使用料などの標準の運営費も毎年かかる。経営陣の資本配分の実績はまだ短く、数四半期の行動を見て評価する必要がある。
今後の分かれ目
- 2026 年 10〜12 月期(10 月 28 日発表の見込み)以降も、見通しの下方修正が続く
- 楽観・やや楽観の確率を下げ、やや悲観の確率を上げる。借金の重さが表に出て、倍率の根拠である 2028 年の純利益の伸びを疑う。
- 部品の納期が 2027 年前半に戻り、OE とアフターのオーガニック成長が +8% 超へ上がる
- 会社の 2030 年の目標(年 +6〜8%)に届く道筋が確かになり、楽観・やや楽観の確率を上げる。
- 調整予算(約 3,500 億ドル)が成立し、ミサイル・宇宙・航空機搭載機器の契約が増える
- 防衛・宇宙の数量が上がり、利益率 23% 台へ。やや楽観の確率を上げる。
- 景気後退で航空会社が納入と整備を延ばし、飛行時間が 10% 以上減る
- アフターと OE が同時に落ち、悲観の筋書きになる。純負債の比率が上がり、投資適格の維持が圧力を受ける。
- 純負債が調整後 EBIT の 2 倍を下回り、自社株買いが始まる
- 資本配分の方針が見え、利益の質への疑いが薄れる。やや楽観の確率を上げる。
- 新型機の装備選定でライバルのコリンズやサフランに負けたと発表される
- OE と将来のアフターのシェアが下がる。10 年のやや悲観・悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 今後の四半期の見通し(オーガニック成長・調整後 EBIT・FCF)の修正の有無
- アフターマーケットのオーガニック成長(2026 年 4〜6 月期 +8%、2025 年 +12%)
- OE のサプライヤーの納期と、ボーイング・エアバスの月産(737 の 42→47→52 機など)
- 純負債と調整後 EBIT の倍率(約 3 倍から 2 倍へ)、支払利息と配当の方針
- 防衛の調整予算(約 3,500 億ドル)と固定価格契約の損失の有無
- 取引費用・環境費用が 2027 年に減るか(GAAP と調整後の差)
- IATA の航空会社の収益の見通しと燃料価格
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価(今の PER は GAAP の継続純利益 約 24 億ドルに対し約 22 倍)から作らず、利益ベースの正当化 PER((1−g÷RONIC)÷(k−g)、k 8.25%=基本 8.0% + quality 0.25%、g 4%、RONIC=k+1/2×(事業の ROE−k)、moat 普通)から出した。事業の ROE は自己資本が負に近く帳簿が使えないので、ROIC+(ROIC−借入金利×(1−税率))×業界並みの純負債÷自己資本 0.5 の式(19〜46%)で置いた。倍率は上限の 7 割から 9.2 割(10 年の中立は上限 19.3 倍の 8.2 割で 15.9 倍)に収めた。純負債が調整後 EBIT の約 3 倍と重い新会社なので、割合を普通の会社より低めにした。結果は本質価値が今を 5% ほど上回る適正で、k が高ければ割高側に動く。事業別の利益率は未開示で、上期のセグメント別から推定した。今の株価に寄せた数字はない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β 1.00 × 5%。k=基本 8.0% + quality 0.25% = 8.25%。航空需要の循環と、分離で背負った借金の重さを小さく戻し、アフターマーケットの価格決定力で一部を相殺した。上場して 3 か月と短く、見通しを下げた直後の新会社である点(見通しの精度・一時費用・資本配分)は k に足さず、筋書きと確率(やや悲観・悲観 38%)で表した。
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読んだ資料
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- ハネウェル エアロスペース 2026 年 4〜6 月期決算(IR)
- ハネウェル エアロスペース Form 10-12B/A(pro forma・分離の資金)
- ハネウェル エアロスペース Form 10 提出の発表(2025 年 pro forma)
- ハネウェル エアロスペース 投資家説明会 2026(Quartr の要約・第三者)
- Barchart:ハネウェル エアロスペース 4〜6 月期決算と 2026 年見通しの更新
- StockAnalysis:HONA の時価総額と株数
- Chartrow:HONA の株価(2026-10-02)