結論
ゼネラル・ダイナミクスは、ビジネスジェットのガルフストリームを持つ航空、原子力潜水艦のエレクトリック・ボートと駆逐艦のバス鉄工所などの海洋、エイブラムス戦車・ストライカー・155mm 砲弾などの戦闘、政府 IT の GDIT と電子装備のミッションシステムの技術という 4 事業を持つ総合防衛企業である。2025 年は売上 526 億ドル(前年比 +10%)、営業利益 54 億ドル(利益率 10.2%)、純利益 42 億ドル、FCF 40 億ドル。2026 年は 4〜6 月期に売上 141 億ドル(+8%)、営業利益率 10.4% と順調で、通年の見通しは売上 約 557 億ドル、営業利益率 10.5% へ引き上げられた(1 株利益の見通しも年初から約 4% 上方修正)。
最大の変化は受注残で、2026 年 6 月末は過去最高の 1,365 億ドル(前年同期は 1,037 億ドル)。内訳は海洋 652 億ドル、戦闘 294 億ドル、航空 240 億ドル、技術 180 億ドルで、売上の約 2.6 年分にあたる。海軍の 2027 年度の造船要求は 658 億ドルと 1962 年以来の高さで、潜水艦には 149 億ドルが付く。ガルフストリームは G700・G800 の納入が進み航空の利益率は 14.5% へ上がった一方、G280 の生産は 2027 年に終わり、G300 の就航は 2027 年末〜2028 年なので、その間は生産の谷が来る。
バリュー投資の観点では、需要が政府と富裕層の長期の投資に支えられ、利益の読みやすさが防衛の中でも高く、資本の使い方も堅実な会社である。今の時価総額 938 億ドルは 2026 年の純利益見通し(約 46 億ドル)の約 20 倍、FCF の約 5% で、純負債は 2026 年 7 月で 32 億ドルと小さい。4 セグメントを市場 × シェア × 価格で積み上げると、10 年後の中立の純利益は今の約 1.9 倍(81 億ドル)。倍率を利益ベースの上限(k 7.75%・g 4%・RONIC=k+2/3×(ROE−k)、中立で 19.9 倍)の 88% の 17.5 倍に置くと、時価総額は今の約 1.5 倍で、還元を加えて割り引くとほぼ適正になる。ただし k が 1 ポイント上がれば倍率は 2 割ほど縮み、適正の範囲は割高側へ寄る点に注意する。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。ある。原子力潜水艦は国家の抑止力の中核で、AUKUS を含め長期の需要が約束され、ガルフストリームは世界の富裕層・企業が使う大型ジェットの代表的な銘柄、戦闘は欧州の再軍備で需要が増える。堀は広く、特に海洋は競合が 1 社しかいない寡占で、技術は政府 IT の効率化の圧力で少し狭まる程度。
次にオーナー利益を見る。純利益 42 億ドルに対し FCF は 40 億ドル、2026 年は純利益の約 105%。株式報酬は小さく、設備投資は売上の 3.5〜4% で、前払いの多い海洋のおかげで伸びに要る運転資金も軽い。成長のための再投資がほとんど要らず、利益のほぼ全部が株主のものになる点が質の高さ。時価総額 938 億ドルに対し 5% 前後の FCF 利回りは、物価 3.5% についていける事業としては悪くない。
経営の資本配分は、純負債が小さく、割高な買収や自社株買いを避けている点でよい。弱みは、海洋の遅れが固定価格部分の利益を削ること、ガルフストリームの谷の年、政府 IT の逆風。安全域は、中立の 10 年後の時価総額と還元の合計が今の約 2.0 倍で、年 7% 台の収益は資本コスト 7.75% にわずかに届かないが、悲観でも約 0.8 倍と大きくは割れない。予測しにくい海洋の遅れとビジネスジェットの循環があるので、確信度は防衛の中では中の上にとどめる。
何で稼ぐ会社か
航空(2025 年売上 131 億ドル・営業利益率 13.3%)は、ガルフストリームの大型機(G500・G600・G700・G800)と中型機(G280)の製造、内装の仕上げ、整備のジェット・アビエーションを含む。2025 年の納入は過去最高の 158 機(大型 136・G280 22)で、2026 年は約 160 機の見通し、年 200 機までの生産能力がある。受注残 240 億ドル。G700 と G800 は 2024〜2025 年に就航し、仕上げの工程の改善で利益率がまだ上がっている。G280 の最終納入は 2027 年 4〜6 月期、後継の G300 は 2027 年末〜2028 年に就航予定で、その間は計画的な生産の谷になる。
海洋(同 167 億ドル・7.1%)は、バージニア級攻撃型潜水艦とコロンビア級弾道ミサイル潜水艦を造るエレクトリック・ボート、アーレイ・バーク級駆逐艦のバス鉄工所、補給艦などのナスコからなり、顧客は米海軍で、受注残は 652 億ドル(売上の約 4 年分)。利益率は低いが前払い・進捗払いで運転資金が軽い。会社の目標は 2030 年代前半に年 バージニア級 2 隻とコロンビア級 1 隻。
戦闘(同 92 億ドル・14.5%)は、エイブラムス戦車、ストライカー、欧州のピラーニャ・アスコット系の装甲車、155mm 砲弾などの弾薬部品(OTS)、火器。欧州の再軍備で陸上システムと砲弾が二桁成長する。技術(同 135 億ドル・9.5%)は、政府 IT・クラウド・サイバーの GDIT と、通信・指揮統制・電子戦のミッションシステム。GDIT は有望案件が 1,200 億ドル超だが、調達の遅れが続く。顧客の中心は米政府で、国際は 2 割弱。
優良さと弱いところ
堀は 3 つの形がある。第一に原子力潜水艦は、米国で造れるのがエレクトリック・ボートとハンティントン・インガルスの 2 社だけで、技術・人材・許認可・設備の壁が極めて高い。第二にガルフストリームは、大型ビジネスジェットでボンバルディアと並ぶ 2 強のうち、価格を決める力が強く、G700・G800 でも受注残が厚い。第三に戦闘と技術は、米軍の主力装備と情報システムの長期の更新・保守で、乗り換えの費用が大きい。
資本効率は ROE 16〜18% で、極端に高いロッキード・マーチンとは違い、自己資本が薄いことによる見かけの高さではない。営業利益率は 10〜10.5% と低めだが、これは海洋(7%)と技術(9%)の構成による。FCF は純利益の 100% 前後で安定し、2025 年は 40 億ドル、2026 年は純利益の約 105% の見通し。株式報酬は小さく、設備投資は売上の 3.5〜4%。
弱い点は 3 つある。第一に海洋の遅れで、コロンビア級は 12〜16 か月、議会は最大 18〜42 か月の遅れを指摘している。人手不足と離職、供給網が制約で、固定価格の部分で費用が超えると利益率 7% は簡単に削られる。第二にガルフストリームは景気と富裕層の資産に敏感で、G280 の終了から G300 の就航までの谷、G400 の時期の未定が重なる。第三に技術は政府の IT 調達の遅れと AI による工数の置き換えの不安。経営はフィービー・ノヴァコヴィッチが 2013 年から率い、資本配分は堅実。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
防衛は需要が構造的に増えている。米国の 2027 年度の国防予算の要求は総額 1.5 兆ドル(うち約 3,500 億ドルは別の法案での成立が前提で未成立)で、造船は 658 億ドルと 1962 年以来の高さ、潜水艦に 149 億ドル、バージニア級の先行調達に 58 億ドル、戦艦と新型フリゲートの初期予算も入った。海軍は 2030 年代前半に艦艇 450 隻超を目指す。ただし議会は、造船所の人手不足と高い離職率を指摘し、船を足すだけでは足りず、人と設備への投資が要ると見ている。造船の主役は GD の海洋とハンティントン・インガルスの 2 社で、競争より能力の取り合いである。
陸上では、欧州の NATO 加盟国が国防費を GDP 比 3.5〜5% に上げ、装甲車・砲弾・弾薬の需要が膨らむ。競合はラインメタル、BAE、KNDS、ハンファ・エアロスペース、オシュコシュで、欧州では地元の調達が優先されやすく、GD の欧州陸上システム(スペイン・オーストリア・スイス・英国)が地の利を持つ。155mm 砲弾は供給が増産で追いつくかが分かれ目。
ビジネスジェットは、大型機の納入が 2025 年に過去最高、業界の今後 10 年の納入は約 8,500 機・2,830 億ドルとの予測もある。競合はボンバルディア(グローバル 8000)、ダッソー(ファルコン 10X)、テキストロン、エンブラエル。景気後退では納入が 3〜4 割落ちることがあり、2009〜2010 年はガルフストリームも大きく減った。政府 IT は、リードス・サイク・CACI・ブーズ・アレンなどと分散した競争で、連邦予算の効率化と AI による置き換えが逆風、国防・情報分野のクラウド・サイバーは追い風。
資本政策と M&A
還元は配当と自社株買いで、2025 年は配当 16 億ドル・自社株買い 6 億ドル(FCF 40 億ドルの約 55%)。2026 年は上期に配当 8.3 億ドル、自社株買い 3.2 億ドル(希薄化を打ち消す程度)で、FCF は上期だけで 36 億ドル、純負債は 2025 年末の 57 億ドルから 7 月に 32 億ドルへ縮んだ。8 月に償還する 5 億ドルの社債は借り換えずに返す。後半は年金拠出約 5 億ドルと現金の税 5 億ドル超が出る。債務を返し、手元の現金が増えた後は、自社株買いが戻る余地がある。
M&A は、2018 年の CSRA の買収(約 97 億ドル、GDIT の土台)で純負債が一気に 100 億ドル超へ上がったが、その後は返した。経営は大型買収は語らず、条件の合う小さな買収を現金の義務を果たした後に検討する姿勢。バリュー投資の観点では、資本配分は堅実で、割高な局面での自社株買いも抑えている。ただし ROE を保ったまま買収で伸ばす力は、CSRA 型の大型案件が出れば試される。買われる側になる可能性は時価総額と防衛の再編の制約から低い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
受注残は 1,365 億ドルで売上の約 2.6 年分、前年から 32% 増えた。海洋は 652 億ドルの受注残に加え、バージニア級ブロック VI の契約が間もなく出る見込みで、コロンビア級の労働時間は 2026 年上期に前年比 +37%。生産が目標の年 2 隻+1 隻に近づくほど固定費が薄まり、利益率は 7.4% から 8〜9% へ上がる。海軍の造船要求 658 億ドルは過去最高で、議会が人と設備に予算を付ければ遅れは解ける。
航空は、G700・G800 の仕上げの改善で利益率が 14.5% に達し、G300 が 2028 年に入ると、新しい世代の機体が価格と台数を押し上げる。受注残は 240 億ドル、受注対売上は 1.5 倍で、生産能力は年 200 機ある。戦闘は欧州の再軍備で陸上システムと 155mm 砲弾が二桁成長、カナダの装甲車の受注も入り、受注対売上 2.1 倍。技術は国際向けのミッションシステムが 2024 年から 35% 超増え、GDIT の有望案件は 1,200 億ドル超で、OTA の受注数は上期だけで 2025 年通期を超えた。
純負債は小さく、FCF は純利益の約 105%、債務を返したあとは自社株買いが増える。10 年後の純利益は今の 2.5〜2.8 倍、時価総額は上限の内側の 21 倍前後が付く。この質の事業で FCF 利回り 5% は悪くない水準である。
慎重な見方
GD は 4 つの事業が別々の弱点を持つ。海洋は売上の約 3 割、利益率 7% の薄い事業で、コロンビア級は 12〜16 か月、議会の見方では最大 18〜42 か月遅れており、人手不足と離職、供給網の詰まりは解けていない。固定価格の部分で費用が超えると、利益率は 7% から 5% に落ちて全社の利益が 1 割動く。2027 年度の造船要求 658 億ドルのうち調整予算分は別の法案で、成立するか未定。下半期は材料の受け取り時期で海洋の伸びが鈍る。
ガルフストリームは、G280 の最終納入が 2027 年 4〜6 月期、G300 の就航は 2027 年末〜2028 年で、間に計画的な生産の谷がある。G400 の時期は未定で、認証は規制当局が決める。ボンバルディアのグローバル 8000 やダッソーのファルコン 10X が大型機の上位で競り、景気後退や富裕層の資産の下落で納入は 3〜4 割落ちうる。今の 14.5% の利益率はこの谷の前の山である。
技術は、米政府の IT 調達が遅れ、AI が IT 保守の工数を置き換え、競合のリードス・SAIC・パランティアに削られる。戦闘は米陸軍の車両近代化の優先度が下がり、欧州ではラインメタル・ハンファが地元の調達を取る。しかも時価総額 938 億ドルは今の利益の約 20 倍で、造船の遅れや連続の損失があれば、利益ベースの上限(20 倍前後)を超える倍率は成り立たない。
どちらに重みを置いたか
事業の質と受注の見通しは強気の見方が強く、海洋の寡占と受注残の厚さが利益を守る。一方、海洋の遅れ、ガルフストリームの谷、技術の逆風は慎重な見方の言い分が重く、悲観・やや悲観を 10 年で 35% と厚めに置いた。倍率は利益ベースの上限(k 7.75%・堀 強)の 8〜9.5 割で、10 年の中立は約 17.5 倍。結論は「安定した優良な防衛・ジェット企業で、利益ベースの倍率では今の値段は適正の範囲。海洋の遅れとジェットの循環は確率で表した」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 500.49 ドル1,363 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 164.86 ドル449 億ドル)。 今の値に割り戻すと 350.77 ドル956 億ドル、今との差 0.0%、 期待の年率 +6.6%(資本コスト 7.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 869.16 ドル2,368 億ドル | 222.45 ドル606 億ドル | +211.2% | +12.0% | 109.16 ドル297 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 684.70 ドル1,865 億ドル | 194.92 ドル531 億ドル | +150.8% | +9.6% | 193.52 ドル527 億ドル |
| 中立 | 33% | 520.91 ドル1,419 億ドル | 168.49 ドル459 億ドル | +96.5% | +7.0% | 227.50 ドル620 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 306.80 ドル836 億ドル | 132.51 ドル361 億ドル | +25.2% | +2.3% | 101.04 ドル275 億ドル |
| 悲観 | 12% | 170.62 ドル465 億ドル | 113.79 ドル310 億ドル | −18.9% | −2.1% | 34.13 ドル93 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 500.49 ドル1,363 億ドル | 164.86 ドル449 億ドル | +89.7% | +6.6% | 665.35 ドル1,813 億ドル |
今の株価時価総額 350.79 ドル956 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:海洋の年 2 隻+1 隻が定着し、欧州の陸上と技術が伸びる 利益 115 億ドル · PER 20.6 倍 · 株価時価総額 869.16 ドル2,368 億ドル
2035 年、海軍の造船は実質で年 +7%、バージニア級 2 隻+コロンビア級 1 隻の体制が定着し、海洋はシェア 16.0%、利益率 9.0%。航空は G300 と G400 を加えた新世代でシェア 22.0%、利益率 16.5%。戦闘は欧州と米陸軍の更新で利益率 15.0%、技術は国際向けのミッションシステムと GDIT で 11.0%。価格は物価並み(10 年 1.41 倍)。売上は 1,228 億ドル(年 8.8%)、営業利益は 148 億ドル、純利益は 115 億ドル(今の約 2.7 倍)。債務は返し終え、現金が積み上がり、自社株買いも続く。
- 航空(ガルフストリーム):数量 917(ビジネスジェットの新造・仕上げ・整備の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 31.0%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 285 億ドル・営業利益 47 億ドル。市場 917 億ドル × シェア 22.0% × 価格 1.41 倍
- 海洋(潜水艦・水上艦):数量 2,000(米海軍の艦艇の建造・整備の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 22.6%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 451 億ドル・営業利益 41 億ドル。市場 2,000 億ドル × シェア 16.0% × 価格 1.41 倍
- 戦闘(陸上車両・砲弾):数量 2,625(世界の陸上防衛装備(車両・砲弾・火器)の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 8.7%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 230 億ドル・営業利益 34 億ドル。市場 2,625 億ドル × シェア 6.2% × 価格 1.41 倍
- 技術(GDIT・ミッションシステム):数量 2,700(米政府 IT と防衛電子・通信・指揮統制の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 9.7%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 263 億ドル・営業利益 29 億ドル。市場 2,700 億ドル × シェア 6.9% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 28.2%(この筋書きの純利益 115.0 ÷ 自己資本 408 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 7.8%(基本 8.0% + quality -0.2%)+ 残る割合 0.67 ×(ROE − k)= 21.4%(堀は強:潜水艦と駆逐艦は米海軍の事実上の単独供給で、ガルフストリームも大型ビジネスジェットの寡占(残る割合 2/3))。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=市場の実質 2〜7% + 価格 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=21.7 倍に対し、95% の 20.6 倍に置いた(潜水艦の寡占と受注残で最も質が高い筋書きで、ROE が高い分だけ上限に近い)。時価総額=純利益 115.0 億ドル × 20.6 倍=2368 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:潜水艦の増産が 10 年続き、G300・G400 が成功し、欧州の陸上の需要が続き、技術も伸びる展開。大きな事業で 10 年これが続く確率は 1 割。
やや楽観 22% やや楽観:海洋と陸上が伸び、航空と技術は堅調 利益 97 億ドル · PER 19.2 倍 · 株価時価総額 684.70 ドル1,865 億ドル
2035 年、海軍の造船は実質で年 +6%、海洋はシェア 15.8%、利益率 8.5%。航空はシェア 21.0%、利益率 15.5%、戦闘は 14.2%、技術は 10.0%。価格は物価並み(1.41 倍)。売上は 1,104 億ドル、営業利益は 124 億ドル、純利益は 97 億ドル(今の約 2.3 倍)。海洋は潜水艦の年 2 隻+1 隻の体制に届くのが 2030 年代半ばと遅れるが、受注残が売上の約 4 年分あるので数量は読める。欧州の陸上は地元優先の調達と分け合う形で伸び、ガルフストリームは G300 の就航後に台数を回復する。競合と照らすと、利益率はロッキード・マーチンやノースロップ・グラマンと同じ水準。
- 航空(ガルフストリーム):数量 871(ビジネスジェットの新造・仕上げ・整備の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 29.6%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 258 億ドル・営業利益 40 億ドル。市場 871 億ドル × シェア 21.0% × 価格 1.41 倍
- 海洋(潜水艦・水上艦):数量 1,800(米海軍の艦艇の建造・整備の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 22.3%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 401 億ドル・営業利益 34 億ドル。市場 1,800 億ドル × シェア 15.8% × 価格 1.41 倍
- 戦闘(陸上車両・砲弾):数量 2,400(世界の陸上防衛装備(車両・砲弾・火器)の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 8.5%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 203 億ドル・営業利益 29 億ドル。市場 2,400 億ドル × シェア 6.0% × 価格 1.41 倍
- 技術(GDIT・ミッションシステム):数量 2,560(米政府 IT と防衛電子・通信・指揮統制の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 9.5%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 242 億ドル・営業利益 24 億ドル。市場 2,560 億ドル × シェア 6.7% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 23.9%(この筋書きの純利益 97.0 ÷ 自己資本 406 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 7.8%(基本 8.0% + quality -0.2%)+ 残る割合 0.67 ×(ROE − k)= 18.5%(堀は強:潜水艦と駆逐艦は米海軍の事実上の単独供給で、ガルフストリームも大型ビジネスジェットの寡占(残る割合 2/3))。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=市場の実質 2〜7% + 価格 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=20.9 倍に対し、92% の 19.2 倍に置いた(海洋の増産が遅れつつも続き、欧州の陸上が育つ筋書き)。時価総額=純利益 97.0 億ドル × 19.2 倍=1865 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:海洋の増産が遅れつつも続き、欧州の陸上が育つ展開。
中立 33% 中立:売上は年 6.3%、海洋と陸上が支え、成熟した優良な防衛・ジェット企業になる 利益 81 億ドル · PER 17.5 倍 · 株価時価総額 520.91 ドル1,419 億ドル
2035 年、海軍の造船は実質で年 +4.5%、海洋はシェア 15.5%、利益率 8.0%(潜水艦の寡占と生産の安定で 8% に届く)。航空は市場が実質で年 +2.5%、G300 と G400 を含めてシェア 20.0%、利益率 14.5%。戦闘は市場が実質で年 +3.8%、シェア 5.7%(欧州の地元優先で少し下がる)、利益率 13.5%。技術は市場が実質で年 +2%、シェア 6.5%、利益率 9.5%。価格は物価並み(10 年 1.41 倍)。売上は 972 億ドル(年 6.3%)、営業利益は 103 億ドル、純利益は 81 億ドル(今の約 1.9 倍)。競合と照らすと、うまくいけばオーナー利益は今の 1.9 倍前後、ハンティントン・インガルスに造船のシェアを取られ、ボンバルディアにジェットを取られれば 1.4 倍前後に留まる。
- 航空(ガルフストリーム):数量 832(ビジネスジェットの新造・仕上げ・整備の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 28.2%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 235 億ドル・営業利益 34 億ドル。市場 832 億ドル × シェア 20.0% × 価格 1.41 倍
- 海洋(潜水艦・水上艦):数量 1,550(米海軍の艦艇の建造・整備の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 21.9%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 339 億ドル・営業利益 27 億ドル。市場 1,550 億ドル × シェア 15.5% × 価格 1.41 倍
- 戦闘(陸上車両・砲弾):数量 2,175(世界の陸上防衛装備(車両・砲弾・火器)の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 8.0%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 175 億ドル・営業利益 24 億ドル。市場 2,175 億ドル × シェア 5.7% × 価格 1.41 倍
- 技術(GDIT・ミッションシステム):数量 2,440(米政府 IT と防衛電子・通信・指揮統制の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 9.2%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 224 億ドル・営業利益 21 億ドル。市場 2,440 億ドル × シェア 6.5% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 19.8%(この筋書きの純利益 81.0 ÷ 自己資本 409 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 7.8%(基本 8.0% + quality -0.2%)+ 残る割合 0.67 ×(ROE − k)= 15.8%(堀は強:潜水艦と駆逐艦は米海軍の事実上の単独供給で、ガルフストリームも大型ビジネスジェットの寡占(残る割合 2/3))。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=市場の実質 2〜7% + 価格 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=19.9 倍に対し、88% の 17.5 倍に置いた(ジェットの循環と海洋の遅れを見て 9 割弱)。時価総額=純利益 81.0 億ドル × 17.5 倍=1419 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界の中立(調達予算 年 +5%、造船は優先で年 +7%、欧州の陸上は物価+実質 4%)に沿う。強気と慎重の見方の落としどころ。
やや悲観 23% やや悲観:海洋の遅れが続き、ジェットのシェアが落ち、技術が伸びない 利益 58 億ドル · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 306.80 ドル836 億ドル
2035 年、海洋はシェア 14.0%(ハンティントン・インガルスと新興造船所への分散)、利益率 6.5%。航空はシェア 18.0%、利益率 12.5%(グローバル 8000・ファルコン 10X との競り)。戦闘はラインメタル・ハンファにシェアを取られ 5.2%、利益率 12.2%。技術は 8.5%。売上は 790 億ドル、営業利益は 72 億ドル、純利益は 58 億ドル(今の約 1.4 倍)。価格は物価並みに上がるが、人件費と材料費の上がりを固定価格の契約が吸収できず、海洋と戦闘の利益率が削られる。ガルフストリームの納入は景気の波で年 120〜150 機に収まる年が多く、技術は連邦の IT 調達の効率化で数量が伸びない。優良な事業が普通の複合企業に近づくが、受注残の厚さで利益は今を下回らない。
- 航空(ガルフストリーム):数量 780(ビジネスジェットの新造・仕上げ・整備の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 25.4%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 198 億ドル・営業利益 25 億ドル。市場 780 億ドル × シェア 18.0% × 価格 1.41 倍
- 海洋(潜水艦・水上艦):数量 1,350(米海軍の艦艇の建造・整備の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 19.7%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 267 億ドル・営業利益 17 億ドル。市場 1,350 億ドル × シェア 14.0% × 価格 1.41 倍
- 戦闘(陸上車両・砲弾):数量 1,950(世界の陸上防衛装備(車両・砲弾・火器)の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 7.3%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 143 億ドル・営業利益 17 億ドル。市場 1,950 億ドル × シェア 5.2% × 価格 1.41 倍
- 技術(GDIT・ミッションシステム):数量 2,200(米政府 IT と防衛電子・通信・指揮統制の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 8.3%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 183 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場 2,200 億ドル × シェア 5.9% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 14.6%(この筋書きの純利益 58.0 ÷ 自己資本 397 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 7.8%(基本 8.0% + quality -0.2%)+ 残る割合 0.67 ×(ROE − k)= 12.3%(堀は強:潜水艦と駆逐艦は米海軍の事実上の単独供給で、ガルフストリームも大型ビジネスジェットの寡占(残る割合 2/3))。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=市場の実質 2〜7% + 価格 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=18.0 倍に対し、80% の 14.4 倍に置いた(成長が鈍り ROE も下がる筋書き)。時価総額=純利益 58.0 億ドル × 14.4 倍=836 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:海洋の費用超過が常態化し、ボンバルディア・ダッソーが大型機で追い、政府 IT が AI で縮む展開。
悲観 12% 悲観:構造的に負け、海洋の損失とジェットの競り負けで優良ではなくなる 利益 36 億ドル · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 170.62 ドル465 億ドル
2035 年、海軍は造船所を分散し、GD の海洋はシェア 12.5%、利益率 5.0%。航空は G300・G400 の遅れでボンバルディア・ダッソーに大型機を取られ、シェア 15.0%、利益率 10.0%。戦闘は 4.8%、利益率 10.5%、技術は AI で IT 保守の数量が減り 5.3%、利益率 7.5%。売上は 610 億ドル、営業利益は 45 億ドル、純利益は 36 億ドル(今の約 0.9 倍)。競合と照らすと、GD は特別な優良企業ではなく、予算と景気に左右される普通の複合企業になる。
- 航空(ガルフストリーム):数量 728(ビジネスジェットの新造・仕上げ・整備の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 21.2%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 154 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場 728 億ドル × シェア 15.0% × 価格 1.41 倍
- 海洋(潜水艦・水上艦):数量 1,150(米海軍の艦艇の建造・整備の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 17.6%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 203 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 1,150 億ドル × シェア 12.5% × 価格 1.41 倍
- 戦闘(陸上車両・砲弾):数量 1,650(世界の陸上防衛装備(車両・砲弾・火器)の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 6.8%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 112 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場 1,650 億ドル × シェア 4.8% × 価格 1.41 倍
- 技術(GDIT・ミッションシステム):数量 1,900(米政府 IT と防衛電子・通信・指揮統制の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 7.5%(ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 142 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 1,900 億ドル × シェア 5.3% × 価格 1.41 倍
倍率:構造的に負けた事業は成長を期待できないので、稼ぐ力(純利益 ÷ k)で置く。純利益 36 億ドル ÷ k 7.75%(基本 8.0% + quality −0.25%)= 約 465 億ドル(PER 12.9 倍=1÷k)。事業の ROE は 10.8% で k を少し上回るので、式の上限(g 4%・RONIC は k+2/3×(ROE−k))は 15.7 倍。その 8 割強の 12.9 倍に置いた。時価総額=純利益 36.0 億ドル × 12.9 倍=465 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:コロンビア級の遅れの賠償・固定価格の損失、海軍が造船所を分散、G300・G400 の遅れ、AI による政府 IT の縮小が重なる展開。確率は 1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
航空(ガルフストリーム)
ガルフストリームのビジネスジェットの製造・仕上げと、ジェット・アビエーションの整備。利益の波はジェットの納入機数と仕上げの工程で決まる。
| 数量ビジネスジェットの新造・仕上げ・整備の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 650 | 20.2% | 131 | 18 |
| 10 年後 中立 | 832 | 28.2% | 235 | 34 |
取り方:ビジネスジェットの新造機・仕上げ・整備・改修の世界市場を約 650 億ドル(推定。納入 約 700 機前後・業界の今後 10 年 2,830 億ドルの予測と整備を含む)と置き、シェア 20.2% で 2025 年の売上 131 億ドルを出した。利益率 13.3%(営業利益 17.5 億ドル)。競合:ボンバルディア、ダッソー、テキストロン(セスナ)、エンブラエル。
海洋(潜水艦・水上艦)
バージニア級・コロンビア級の原子力潜水艦、アーレイ・バーク級駆逐艦、補給艦。顧客は米海軍で、受注残が売上の約 4 年分。
| 数量米海軍の艦艇の建造・整備の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,000 | 16.7% | 167 | 12 |
| 10 年後 中立 | 1,550 | 21.9% | 339 | 27 |
取り方:米海軍の艦艇の建造・整備・潜水艦の工業基盤の市場を約 1,000 億ドル(推定。海軍の造船予算に整備・先行調達・設計を含む)と置き、シェア 16.7% で売上 167 億ドルを出した。利益率 7.1%。競合:ハンティントン・インガルス(売上 約 120 億ドル)、オースタル、フィンカンティエリ・マリネット。潜水艦は 2 社の寡占。
戦闘(陸上車両・砲弾)
エイブラムス戦車・ストライカー・欧州の装甲車・155mm 砲弾など。欧州の再軍備で伸びる。
| 数量世界の陸上防衛装備(車両・砲弾・火器)の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,500 | 6.1% | 92 | 13 |
| 10 年後 中立 | 2,175 | 8.0% | 175 | 24 |
取り方:世界の陸上防衛装備(装甲車・戦車・砲弾・小火器)の市場を約 1,500 億ドル(推定)と置き、シェア 6.1% で売上 92 億ドルを出した。利益率 14.5%。競合:ラインメタル、BAE、KNDS、ハンファ・エアロスペース、オシュコシュ。
技術(GDIT・ミッションシステム)
GDIT の政府 IT・クラウド・サイバーと、ミッションシステムの通信・指揮統制・電子戦。
| 数量米政府 IT と防衛電子・通信・指揮統制の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ゼネラル・ダイナミクスのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,000 | 6.8% | 135 | 13 |
| 10 年後 中立 | 2,440 | 9.2% | 224 | 21 |
取り方:米連邦の IT 予算 約 1,000 億ドルに防衛の電子・通信・指揮統制 約 1,000 億ドルを足した約 2,000 億ドル(推定)にシェア 6.75% を置き、売上 135 億ドル、利益率 9.5%。競合:リードス、SAIC、CACI、ブーズ・アレン、L3ハリス、RTX、パランティア。
リスクと懸念
海洋の遅れと固定価格の費用超過
コロンビア級は 12〜16 か月、議会の見方では最大 18〜42 か月遅れ、人手不足と離職、供給網が制約。固定価格の部分で費用が超えると海洋の利益率 7% は 5% に落ち、全社の営業利益は約 1 割動く。
ガルフストリームの谷と景気
G280 の最終納入は 2027 年 4〜6 月期、G300 の就航は 2027 年末〜2028 年で、間に生産の谷がある。G400 の時期は未定で、認証は規制当局が決める。景気後退で納入が 3〜4 割落ちる循環もあり、今の利益率 14.5% は山にある。
造船予算の成立
2027 年度の造船要求 658 億ドルのうち調整予算分は別の法案で、成立するか未定。議会は調整予算に造船所の基盤整備を頼ることにも異論を出している。つなぎ予算が長引けば先行調達が遅れ、バージニア級ブロック VI の契約の時期も後ろへずれる。
政府 IT の遅れと AI による置き換え
GDIT は有望案件 1,200 億ドル超でも調達の遅れが続く。連邦の効率化と、AI による IT 保守・開発の工数の置き換えで数量が縮み、リードス・SAIC・パランティアとの競争で価格も押される。技術は売上の約 4 分の 1 を占め、利益率 9% 台が崩れると全社に響く。
陸上の移行期
戦闘は米陸軍の車両近代化の優先度の変化と、欧州の地元優先の調達(ラインメタル・ハンファ)が重しになる。155mm 砲弾は増産が追いつくかが分かれ目で、2026 年は陸上システムが移行期にあり、4〜6 月期の戦闘の売上は前年比 +0.3% にとどまった。
資本コストへの敏感さ
式の倍率は k 7.75% に敏感で、k が 1 ポイント上がれば倍率は 2 割ほど縮む。適正の範囲は前提の置き方で動くので、確率と悲観の深さで備えているが、前提そのものが外れれば割高に寄る。
大型買収と年金
CSRA(約 97 億ドル、2018 年)のような大型買収は ROE を薄める。2026 年後半の年金拠出 約 5 億ドルや、年金の割引率の変動も利益と自己資本をぶらす。経営は買収を語らないので、出た時に資本配分の質が試される。
今後の分かれ目
- バージニア級ブロック VI の契約が結ばれ、年 2 隻の生産に近づいたら
- 海洋の利益率が 8% 台へ上がる道が見え、中立の利益を 3〜5% 上げて見る。楽観・やや楽観の確率を上げる。
- コロンビア級やバージニア級の遅れがさらに 1 年以上延び、固定価格で費用超過が出たら
- 海洋の利益率を 5〜6% に下げて見る。やや悲観・悲観の確率を厚くし、倍率も下げる。
- G300 の認証と就航が 2028 年に間に合い、G400 の時期も固まったら
- 航空の谷が浅く済み、シェア 20% 超と利益率 14.5% 前後を保つ。中立の利益を 2〜3% 上げて見る。
- 景気後退で富裕層の資産が下がり、ガルフストリームの受注が 2 四半期続けて受注対売上 1 倍を割ったら
- 航空の納入と利益率の下振れを見込み、やや悲観の確率を上げる。受注残 240 億ドルで谷の深さは限られる。
- 3,500 億ドルの調整予算が成立しなかったら
- 造船の先行調達と弾薬の増産が遅れ、海洋と戦闘の売上を 2〜3% 下げて見る。ただし受注残が厚く悲観の深さは限られる。
- 株価が下がり、2026 年の純利益見通しの 15 倍前後になったら
- FCF 利回りが 7% に近づき安全域が広がる。債務を返した後なので自社株買いの効果も大きく、評価を上げる。
見ておくもの
- 海洋の受注残(652 億ドル)の売上化と、バージニア級ブロック VI の契約、コロンビア級の遅れの縮まり方
- ガルフストリームの納入(年 160 機)と受注対売上、G300・G400 の認証と就航の時期
- 営業利益率(会社全体 10.5%、海洋 7.4%、航空 14.7%)の推移と固定価格契約の損失の有無
- 2027 年度の造船予算と調整予算の成立、欧州の陸上調達の受注と 155mm 砲弾の増産
- GDIT の受注(OTA・有望案件 1,200 億ドル超)と、連邦 IT 調達の遅れの解消
- FCF(純利益の約 105%)と純負債、自社株買いの再開、年金拠出
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 938 億ドルや PER 22 倍を見る前に、4 セグメントそれぞれで市場の実質成長 × シェア × 物価指数(10 年 1.41)で売上を積み上げ、利益率を置いて純利益を出した。倍率は利益ベースの正当化 PER((1−g÷RONIC)÷(k−g)、k 7.75%=基本 8.0% + quality −0.25%、g 4%、RONIC=k+2/3×(事業の ROE−k)、堀は潜水艦と駆逐艦の単独供給+ジェットの寡占で強。moat_why)の上限(10 年の中立で 19.9 倍)の 8〜9.5 割に置いた:ジェットの循環と海洋の遅れが理由で、10 割にはしていない。悲観は構造的に負けた事業として、成長を見込まず稼ぐ力(純利益 ÷ k)で置いた。純負債は 1 ドルで数えた。結果は適正の範囲で、k が 1 ポイント上がれば割高に寄る。数字を寄せていない。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 5% + β 0.60 × 5%。k=基本 8.0% + quality −0.25% = 7.75%。防衛の長期予算と海洋の単独供給による安定を −0.25% で認めた。純負債は小さく、上乗せは置かない。海洋の遅れ・ガルフストリームの谷・政府 IT の逆風は k に足さず、筋書きと確率(悲観・やや悲観 35%)で表した。