結論
ウェイスト・マネジメント(Waste Management、WM)は、米国最大の廃棄物会社で、一般ごみの収集・埋立・中継(売上の約 8 割)、リサイクル、埋立ガスから作る再生可能天然ガス(RNG)、2024 年 11 月に買収したステリサイクル(Stericycle)の医療廃棄物・情報廃棄(ヘルスケア部門)を持つ。2025 年は売上 252 億ドル、調整後 EBITDA 75.8 億ドル(率 30.1%)、営業利益 46 億ドル、純利益 27 億ドル。2026 年は売上 263〜265 億ドル、調整後 EBITDA 81.5〜82.5 億ドル(率 31%)、フリーキャッシュフロー 37.5〜38.5 億ドルの見通しで、4〜6 月期のコア価格は +5.7%、数量は -1.8%(山火事の片づけを除くと -0.4%)。
事業の質は高い。埋立地は新設がほぼできず、都市ごとに収集網と処分場を押さえるため、数量が伸びなくても価格を物価より 1% ほど上げ続けられる。弱い所は、買収で膨らんだ借金(純負債 約 230 億ドル、EBITDA の約 2.9 倍)と、医療廃棄物の伸び悩み、住宅・建設の数量の弱さである。
バリュー投資の観点では、売上を市場 × シェア × 価格で積み上げ、資本コスト 7.5%(基本 8.0% + quality −0.5%)で割り引いた。利益ベースの正当化 PER は、成長 4%・のれん込みの ROIC で直した ROE 28%・堀の強さ(残る割合 2/3)から、10 年の中立で上限 23 倍、その 9 割の 21 倍とした。中立の筋書きは、2035 年の純利益 約 48 億ドル(年 5〜6% の伸び)、時価総額 約 1,000 億ドル、10 年の還元 440 億ドル。今の 917 億ドル(PER 34 倍・PBR 9.2 倍)は今の利益に対して高く見え、利益の伸びと還元を加えた期待の年率は 4.0% で資本コスト 7.5% に届かず、総合は 2 割弱下回るやや割高。ただし帳簿の ROE は自社株買いで 100% 超になるので、のれん込みの ROIC で測り直した値に頼る点と、悲観(不況の谷・PFAS などの構造的な負け)では 8 割近く下がる点に注意する。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、WM は「10 年後も存在し、今より強いか」と聞かれれば、存在し、強い側に入る。人は 10 年後もごみを出し、埋立地は新設できず、収集網の密度は積み上がる。堀は広がることはあっても狭まりにくい。数量は伸びなくても、価格が物価を上回る事業は、バリュー投資家が最も好む形の 1 つである。
問題はオーナー利益(成長のために必要な再投資を引いた、株主のものになる利益)である。WM は設備投資が減価償却を大きく上回り(2026 年の設備投資 24〜25 億ドル+成長投資 2.5 億ドル)、純利益 27 億ドルに対して、利益のかなりの部分が埋立地・車両の更新に消える。フリーキャッシュフロー 38 億ドルは強いが、買収と借金による成長で、株主のものになる利益は報告の純利益より小さく見るのが落ち着いた見方である。経営は資本を比較的うまく配分してきたが、ステリサイクルの買収は、価格が高く、改善に時間がかかっている。
今の時価総額は純利益の 34 倍、自己資本の 9.2 倍で、中立の筋書きの 10 年後の時価総額(約 1,000 億ドル)に対して 10 年で 1.09 倍にとどまり、これに還元が加わる。期待の年率は 4.0% で資本コスト 7.5% に届かず、安全域は無い。事業はわかりやすく確信度は高い。ただし倍率は k に敏感で、k が 1 ポイント上がれば利益ベースの上限は 2 割ほど下がる点は忘れない。
何で稼ぐ会社か
売上は 4 つの部門から成る。収集・処分(2025 年約 206 億ドル)は、商業(店舗・事務所)、産業(建設・工場の大型コンテナ)、住宅(自治体・個人契約)の収集と、埋立地・中継施設での処分で、売上の約 8 割と、EBITDA 率 38.6%(2026 年 4〜6 月)の利益の柱である。収集は人の巡回で、処分は自社の埋立地に持ち込めると利益が厚く、立地に囲われた寡占が価格を決める。
リサイクル(約 15.5 億ドル)は、段ボール・プラスチック・金属の選別と販売で、再生材の相場に売上が左右される。再生エネルギー(約 4.7 億ドル)は、埋立ガスを精製した RNG と発電で、2026 年は新工場 3 か所が稼働し、売上は前年の約 1.5 倍で伸びている(EBITDA 率 45%)。ヘルスケア(約 25.5 億ドル)は、病院・クリニックの医療廃棄物の回収と焼却、機密書類の廃棄で、買収時の企業価値は約 72 億ドル。2026 年 4〜6 月の調整後 EBITDA 率は 19%(前年 17%)と改善しているが、売上は前年比 -1% と伸びていない。
収益の構造は、価格(コア価格が年 +5% 台)で売上が伸び、数量は景気と住宅・建設の需要、住宅契約の整理(低採算の契約を意図的に捨てる)で動く。課題は 3 つで、第 1 に数量(2026 年は約 -1%)、第 2 にヘルスケアの統合(シナジー 3 億ドル規模を 2027 年までに狙う)、第 3 に成長投資(RNG・リサイクル工場の自動化に年約 2.5 億ドル)が回収できるかである。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 に埋立地で、新しい埋立地は許認可・住民の反対・環境規制で作れず、WM は米国に多数の埋立地を持ち、収集した廃棄物を自社の処分場へ運ぶ「囲い込み」で他社より厚い利益を得る。第 2 に収集網の密度で、同じルートに顧客が集まるほど 1 件あたりの費用が下がる。第 3 に規模で、リパブリック・サービシズ(Republic Services)、ウェイスト・コネクションズ(Waste Connections)、GFL を含む大手が都市ごとの寡占を作り、価格の競争が穏やかである。
資本効率は高く、ROE は 25〜33%(自社株買いと借金で自己資本が小さい点は割り引く)、営業利益率は 2013 年の 14.9% から 2024 年の 18.8% まで構造的に上がり、EBITDA 率は同業で最も高い(収集・処分 38〜39%、全社 31%)。リーマンでも株価は -30% にとどまり、営業利益率は最悪でも 14.6% だった。
弱い所は 3 つ。第 1 に数量で、コア価格 +5.7% に対して実際の収集・処分の利回りは +3.6% と差があり、住宅の整理・建設の弱さで数量は減っている。第 2 にヘルスケアで、買収後も売上が伸びず、利益率も 19% と本業の半分である。第 3 に借金で、買収で純負債が 2023 年の 163 億ドルから 2025 年の 236 億ドルへ増え、2026 年は自社株買いを絞っている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の廃棄物業界は、収集・処分の売上が年 約 1,100 億ドル(推定)で、数量は人口と景気で年 0〜1% しか伸びず、価格が年 4〜5% 伸びる安定した成長産業である。大手 4 社(WM・リパブリック・サービシズ・ウェイスト・コネクションズ・GFL)が都市ごとに分け合い、埋立地を持つかどうかで利益が決まる。景気の位置は、建設・産業の数量が弱く、住宅の契約整理が続く谷の手前で、価格は強い。リパブリック・サービシズの 2026 年 4〜6 月も、コア価格 +5.3%、数量 -1.6% と WM と同じ構図にある。
構造の変化は 3 つある。第 1 に PFAS(有機フッ素化合物)規制で、埋立地の浸出水処理費が上がり、新規の許認可が厳しくなる(既存の立地の価値と値上げの根拠が高まる一方、費用の転嫁が論点になる)。第 2 に RNG とリサイクルで、埋立ガスと再生材の収益が増えるが、天然ガス価格・環境価値・補助金に左右される。第 3 に拡大生産者責任(EPR)で、包装の廃棄物が減る方向と、リサイクルの原料が確保される方向の両方がある。
今後 10 年は、数量が年 +0.5%、価格が年 +4〜4.5% の名目 5% 前後の成長が中立の見方で、成熟した優良インフラ株の倍率は k 7.5%・g 4% の利益ベースの上限 23 倍前後の内側(9 割の 21 倍)とした。設備投資・買収の重さは、式の ROE を見かけの 27〜40%(10 年では 100% 超)でなく、のれん込みの ROIC に業界並みの借金を乗せた値に置くことで入れた。
資本政策と M&A
資本配分は、営業 CF から設備投資(2026 年 24〜25 億ドル+成長投資 2.5 億ドル)を引いたフリーキャッシュフローを配当と自社株買いに回す方針で、2026 年は還元を約 35 億ドルとし、レバレッジを長期目標の 2.5〜3.0 倍へ戻す。2026 年 1〜6 月の還元は自社株買い 10 億ドル、配当 7.6 億ドル。配当は長年増えており、自社株買いは 2014〜2023 年に毎年 1〜2% 株数を減らしたが、2024〜25 年は買収の影響で絞った。
M&A は、2020 年のアドバンスト・ディスポーザル(約 46 億ドル)、2024 年のステリサイクル(約 72 億ドル)と大型の買収を繰り返す。収集・処分の買収は立地の囲い込みで価値が出るが、ステリサイクルは医療廃棄物で、本業と競争の形が違い、売上が伸びず買収後の改善は始まったばかりである。小口の買収(収集会社・埋立地)が収益を支える。
成長投資は、RNG 工場とリサイクル工場の自動化で、投資額が大きい分、回収が遅い。借金の借り換えで、3 年で約 2 億ドル、10 年で約 4 億ドルの利払いの増加を純利益に入れた。株式報酬による株の増加は小さく(2025 年は株数 +0.3%)、還元額から差し引く分は小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
埋立地の囲い込みは 10 年で厚くなる。新規の埋立地がほぼ作れないのに、人口と経済は増え、PFAS の費用は既存の立地の価格を押し上げる。コア価格は 2026 年 4〜6 月も +5.7% で、数量の弱さは住宅の低採算契約を自ら整理した結果であり、山火事の片づけを除く数量は -0.4%、埋立量は +1.7% と回復している。
調整後 EBITDA 率は 2025 年 30.1% から 2026 年 31% へ上がり、4〜6 月は収集・処分 38.6%、再生エネルギー 45%、ヘルスケア 19%(前年 17%)。ステリサイクルの統合シナジーは 2027 年に 3 億ドル規模で、売上のクロスセルが始まれば利益率はさらに上がる。RNG の新工場 3 か所が 2026 年に稼働し、再生エネルギーの売上は前年の 1.5 倍で伸びている。
フリーキャッシュフローは 2026 年に 38 億ドルと前年より約 3 割増え、還元は 35 億ドル。買収の統合費用が減り、成長投資が一巡すれば、利益のほとんどを株主に返せる。10 年で営業利益率が 24% に達すれば、純利益は今の 2.5 倍になる。インフレが続く世界では、価格を決められるインフラ資産の価値は上がる。これが強気の見方で、楽観の筋書きの下敷きである。
慎重な見方
今の PER 34 倍は、成熟した事業の稼ぐ力に対して高く、この倍率は続かない。数量は 2026 年に約 -1% と減り、コア価格 +5.7% に対して実際の利回りは +3.6% で、住宅・建設の弱さに価格転嫁の限界が見え始めている。2026 年の売上見通しは 4〜6 月に引き下げられた。
ヘルスケア(ステリサイクル)は売上が前年比 -1% で、買収価格約 72 億ドルに見合う成長がない。競合のクリーン・ハーバーズなどの値引き、病院の統合、医療機関の稼働の弱さがあり、シナジーが利益に残る保証もない。借金は純負債 約 230 億ドルで、借り換えで利払いは増え続ける。
PFAS の浸出水処理費は、規制が進めば埋立地ごとの大きな費用になり、顧客・自治体が値上げを嫌えば利益率を削る。拡大生産者責任と排出削減で廃棄物そのものが減る、RNG の補助金(環境価値)が縮む、同業(ウェイスト・コネクションズ・GFL・リパブリック・サービシズ)との値引き競争、といった逆風もある。設備投資が減価償却を上回る事業に PER 34 倍は高く、成熟すれば利益ベースの 21 倍前後へ戻る、というのが慎重な見方で、これだけで時価総額は 4 割ほど減る計算になる。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は事業の質と価格の力で説得力があるが、今の倍率はそれをすでに織り込んでいる。慎重な見方は倍率の回帰とヘルスケアの伸び悩みで強い。確率は楽観 10%・やや楽観 22%・中立 40%・やや悲観 18%・悲観 10% と、必需性の高い事業なので悲観は薄めにしつつ、構造的な負け(PFAS・EPR・補助金)を 1 割に置いた。利益ベースの倍率(上限の 9 割)では、中立の 10 年後の時価総額は約 1,000 億ドルで、今の 917 億ドルを 1 割弱上回るにとどまる。還元を加え、確率の加重平均を資本コスト 7.5% で割り引くと、今の値段を 2 割弱下回る(やや割高)。慎重な見方の「倍率の回帰」は本分析の式でも出る(中立 21 倍)。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 232.14 ドル938 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 103.61 ドル419 億ドル)。 今の値に割り戻すと 184.80 ドル747 億ドル、今との差 −22.7%、 期待の年率 +3.5%(資本コスト 7.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 369.52 ドル1,494 億ドル | 128.65 ドル520 億ドル | +108.4% | +7.6% | 49.82 ドル201 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 294.46 ドル1,190 億ドル | 116.28 ドル470 億ドル | +71.8% | +5.6% | 90.36 ドル365 億ドル |
| 中立 | 40% | 246.46 ドル996 億ドル | 108.86 ドル440 億ドル | +48.6% | +4.0% | 142.13 ドル574 億ドル |
| やや悲観 | 18% | 149.70 ドル605 億ドル | 94.01 ドル380 億ドル | +1.9% | +0.2% | 43.87 ドル177 億ドル |
| 悲観 | 10% | 48.74 ドル197 億ドル | 47.01 ドル190 億ドル | −60.0% | −8.7% | 9.57 ドル39 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 232.14 ドル938 億ドル | 103.61 ドル419 億ドル | +40.4% | +3.5% | 335.75 ドル1,357 億ドル |
今の株価時価総額 239.10 ドル966 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:埋立地の囲い込みで価格が物価を 1.5% 上回り続け、再生エネルギーとヘルスケアも育つ 利益 67 億ドル · PER 22.3 倍 · 株価時価総額 369.52 ドル1,494 億ドル
2035 年、収集・処分の市場は 2025 年比で年 +0.8%、シェアは 19%(買収と、埋立地のない地域への拡大)、価格は 10 年で 1.62 倍(年 +5%、物価 3.5% に実質 +1.5%)。PFAS・許認可の厳格化で新規の埋立地が作れず、既存の立地の価値が上がる。RNG と再生エネルギーは 130 億ドル規模の市場で 10% のシェア、売上 18 億ドル。ヘルスケアは医療機関と情報廃棄の規模で 49 億ドルの売上。営業利益率は 24%、純利益は 67 億ドル(2025 年の約 2.5 倍)。10 年の自社株買いと配当は 520 億ドル。
- 収集・処分(収集・埋立・中継):数量 1,188(米国の収集・処分の売上市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 30.8%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 366 億ドル・営業利益 124 億ドル。市場 1,188 億ドル、シェア × 価格 = 0.3078
- リサイクル(加工・販売):数量 190(北米のリサイクル加工・販売の市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 15.5%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1。再生材の相場を含む))→ 売上 30 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 190 億ドル、シェア × 価格 = 0.1551
- 再生エネルギー(RNG・再生電力):数量 130(RNG・埋立ガス関連の収益市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 14.1%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1。RNG の価格と環境価値を含む))→ 売上 18 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 130 億ドル、シェア × 価格 = 0.141
- ヘルスケア(医療廃棄物・情報廃棄):数量 215(米国の医療廃棄物・情報廃棄の売上市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 22.6%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 49 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 215 億ドル、シェア × 価格 = 0.2256
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。帳簿の ROE は自社株買いで自己資本が縮み 164% に達するため、のれん込みの ROIC 17.1% に純負債(EBITDA の 2.8 倍、自己資本の 1 倍まで)を乗せた ROE 29.6% を使う。RONIC=k 7.5%(基本 8.0% + quality −0.5%)+ 残る割合 0.67 ×(ROE − k)= 22.2%(堀は強:埋立地は新設がほぼできず、都市ごとに収集網と処分場を押さえる(残る割合 2/3))。g は 4.0%(収集・埋立の量(人口・事業所数)の実質伸び 0〜1% + 価格 3.5% は 4% を超えるが、倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=23.4 倍に対し、95% の 22.3 倍に置いた(価格の実質上昇が 10 年続く筋書きなので上限の近く)。時価総額=純利益 67.1 億ドル × 22.3 倍=1494 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:価格の実質上昇が 10 年続き、ヘルスケアとエネルギーが利益に乗る必要がある。堀が最も広がる姿だが、物価を超える価格の上昇は自治体・顧客の抵抗にも当たるため 1 割。
やや楽観 22% やや楽観:価格は物価 +1% を保つが、新規事業の寄与は限定的 利益 55 億ドル · PER 21.6 倍 · 株価時価総額 294.46 ドル1,190 億ドル
収集・処分は市場が年 +0.6%、シェアは据え置き 18.7%、価格は 10 年で 1.55 倍(年 +4.5%)。営業利益率は 22% まで上がる。リサイクルは再生材の需要と拡大生産者責任(EPR)の追い風で売上 27 億ドル、RNG は 16 億ドル。ヘルスケアは統合が完了し、売上 45 億ドル、EBITDA 率は 22% 前後。全社の売上は 428 億ドル、純利益 55 億ドル。借金は純負債が EBITDA の 2.8 倍を保ち、利払いは 22 億ドル。自社株買いは株価が高い局面を避けつつ続け、還元は 470 億ドル。
- 収集・処分(収集・埋立・中継):数量 1,171(米国の収集・処分の売上市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 29.0%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 340 億ドル・営業利益 111 億ドル。市場 1,171 億ドル、シェア × 価格 = 0.2903
- リサイクル(加工・販売):数量 180(北米のリサイクル加工・販売の市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 14.8%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1。再生材の相場を含む))→ 売上 27 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 180 億ドル、シェア × 価格 = 0.148
- 再生エネルギー(RNG・再生電力):数量 120(RNG・埋立ガス関連の収益市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 13.4%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1。RNG の価格と環境価値を含む))→ 売上 16 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 120 億ドル、シェア × 価格 = 0.1339
- ヘルスケア(医療廃棄物・情報廃棄):数量 208(米国の医療廃棄物・情報廃棄の売上市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 21.9%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 45 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 208 億ドル、シェア × 価格 = 0.2185
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。帳簿の ROE は自社株買いで自己資本が縮み 145% に達するため、のれん込みの ROIC 16.6% に純負債(EBITDA の 2.8 倍、自己資本の 1 倍まで)を乗せた ROE 28.6% を使う。RONIC=k 7.5%(基本 8.0% + quality −0.5%)+ 残る割合 0.67 ×(ROE − k)= 21.5%(堀は強:埋立地は新設がほぼできず、都市ごとに収集網と処分場を押さえる(残る割合 2/3))。g は 4.0%(収集・埋立の量(人口・事業所数)の実質伸び 0〜1% + 価格 3.5% は 4% を超えるが、倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=23.3 倍に対し、93% の 21.6 倍に置いた(営業利益率が上がり続ける安定した成長の筋書き)。時価総額=純利益 55.0 億ドル × 21.6 倍=1190 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:WM の過去の実績(営業利益率が 2013 年の 14.9% から 2024 年の 18.8% へ上昇)が続く姿。足もとからは最も近い上側。
中立 40% 中立:価格は物価を 0.6% 上回り、数量は小幅増、新規事業は事業の 1 割を占める程度 利益 48 億ドル · PER 20.8 倍 · 株価時価総額 246.46 ドル996 億ドル
2035 年、収集・処分の市場は年 +0.5%(2025 年の価格で 1,156 億ドル)、シェアは 18.5%、価格は 10 年で 1.50 倍(年 +4.1%)。売上は 405 億ドル(年 +4.9%)、営業利益率 21%、純利益 48 億ドル。ヘルスケアは売上 44 億ドル、RNG・再生エネルギーは 14 億ドル、リサイクルは 26 億ドル。純負債は EBITDA の 2.8 倍を保ち利払い 22 億ドル。還元は 10 年で 440 億ドル。埋立地は新設がほぼできないので、既存の立地の価値は収集網の密度とともに保たれ、必需性の高い事業として利益は景気にあまり左右されない。
- 収集・処分(収集・埋立・中継):数量 1,156(米国の収集・処分の売上市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 27.8%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 321 億ドル・営業利益 101 億ドル。市場 1,156 億ドル、シェア × 価格 = 0.2775
- リサイクル(加工・販売):数量 175(北米のリサイクル加工・販売の市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 14.8%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1。再生材の相場を含む))→ 売上 26 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 175 億ドル、シェア × 価格 = 0.148
- 再生エネルギー(RNG・再生電力):数量 110(RNG・埋立ガス関連の収益市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 12.7%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1。RNG の価格と環境価値を含む))→ 売上 14 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 110 億ドル、シェア × 価格 = 0.1269
- ヘルスケア(医療廃棄物・情報廃棄):数量 202(米国の医療廃棄物・情報廃棄の売上市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 21.9%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 44 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 202 億ドル、シェア × 価格 = 0.2185
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。帳簿の ROE は自社株買いで自己資本が縮み 137% に達するため、のれん込みの ROIC 16.2% に純負債(EBITDA の 2.8 倍、自己資本の 1 倍まで)を乗せた ROE 27.9% を使う。RONIC=k 7.5%(基本 8.0% + quality −0.5%)+ 残る割合 0.67 ×(ROE − k)= 21.1%(堀は強:埋立地は新設がほぼできず、都市ごとに収集網と処分場を押さえる(残る割合 2/3))。g は 4.0%(収集・埋立の量(人口・事業所数)の実質伸び 0〜1% + 価格 3.5% は 4% を超えるが、倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=23.2 倍に対し、90% の 20.8 倍に置いた(埋立地の寡占と値上げの実績を認めるが、買収で膨らんだ借金とヘルスケアの伸び悩みがあるので 10 割にはしない)。時価総額=純利益 47.8 億ドル × 20.8 倍=996 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの中立(価格 +4.5%・数量 +0.5%)に近いが、10 年では価格の上乗せが縮むと見て少し控えめに置いた。最も厚い 4 割。
やや悲観 18% やや悲観:同業の競り合いと規制費用で価格が物価並みに縮み、ヘルスケアが伸びない 利益 32 億ドル · PER 18.9 倍 · 株価時価総額 149.70 ドル605 億ドル
ウェイスト・コネクションズ・GFL・リパブリック・サービシズとの競り合いと、PFAS の浸出水処理費・拡大生産者責任の費用で、収集・処分の価格は 10 年で 1.42 倍(物価並み)、シェアは 17.8% へ縮む。数量は市場が横ばい(排出削減と EPR で廃棄物が減る分を人口が埋める)。ヘルスケアは競合の値引きと病院の統合で 38 億ドルにとどまり、RNG は補助金(環境価値クレジット)の縮小で利益率が落ちる。営業利益率は 17.8%、純利益 32 億ドル。ヘルスケアの買収価格に見合う利益は出ず、統合の効果は限られる。それでも埋立地と収集網は残るので、事業は存続する。
- 収集・処分(収集・埋立・中継):数量 1,122(米国の収集・処分の売上市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 25.3%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 284 億ドル・営業利益 82 億ドル。市場 1,122 億ドル、シェア × 価格 = 0.2528
- リサイクル(加工・販売):数量 160(北米のリサイクル加工・販売の市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 13.0%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1。再生材の相場を含む))→ 売上 21 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 160 億ドル、シェア × 価格 = 0.13
- 再生エネルギー(RNG・再生電力):数量 90.0(RNG・埋立ガス関連の収益市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 11.1%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1。RNG の価格と環境価値を含む))→ 売上 10 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 90 億ドル、シェア × 価格 = 0.1105
- ヘルスケア(医療廃棄物・情報廃棄):数量 190(米国の医療廃棄物・情報廃棄の売上市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 20.3%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 39 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 190 億ドル、シェア × 価格 = 0.2025
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。帳簿の ROE は自社株買いで自己資本が縮み 178% に達するため、のれん込みの ROIC 15.7% に純負債(EBITDA の 2.8 倍、自己資本の 1 倍まで)を乗せた ROE 26.9% を使う。RONIC=k 7.5%(基本 8.0% + quality −0.5%)+ 残る割合 0.67 ×(ROE − k)= 20.5%(堀は強:埋立地は新設がほぼできず、都市ごとに収集網と処分場を押さえる(残る割合 2/3))。g は 4.0%(収集・埋立の量(人口・事業所数)の実質伸び 0〜1% + 価格 3.5% は 4% を超えるが、倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=23.0 倍に対し、82% の 18.9 倍に置いた(規制の強化と費用の上昇で利益率が下がる筋書き)。時価総額=純利益 32.1 億ドル × 18.9 倍=605 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:同業の寡占が崩れる、規制費用を価格に転嫁できない、といった構造の悪化はありうるが、全面的な負けではない中間として 2 割弱とした。
悲観 10% 悲観:価格を決める力が失われ、数量が減り、優良な事業ではなくなっている 利益 14 億ドル · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 48.74 ドル197 億ドル
PFAS 規制による浸出水処理費の急増、新規の埋立地の許認可の厳格化にもかかわらず自治体が値上げを拒む、拡大生産者責任による廃棄物の削減、RNG の補助金の廃止が重なる。数量は市場が 8% 減り、シェアも 17% へ縮み、価格は 10 年で 1.25 倍(物価を大きく下回る)。営業利益率は今より 3pt 下の水準(収集・処分 26.5%)に落ち、全社で 13%、純利益は 14 億ドル。ヘルスケアは 25 億ドルで頭打ち、再生エネルギーは利益がほぼ消える。それでも埋立地という実物資産と廃棄物の必需性は残るので、事業は存続する。還元は配当を中心に 10 年で 190 億ドルへ絞る。
- 収集・処分(収集・埋立・中継):数量 1,012(米国の収集・処分の売上市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 21.3%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 215 億ドル・営業利益 57 億ドル。市場 1,012 億ドル、シェア × 価格 = 0.2125
- リサイクル(加工・販売):数量 130(北米のリサイクル加工・販売の市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 9.9%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1。再生材の相場を含む))→ 売上 13 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 130 億ドル、シェア × 価格 = 0.099
- 再生エネルギー(RNG・再生電力):数量 60.0(RNG・埋立ガス関連の収益市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 7.0%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1。RNG の価格と環境価値を含む))→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 60 億ドル、シェア × 価格 = 0.07
- ヘルスケア(医療廃棄物・情報廃棄):数量 160(米国の医療廃棄物・情報廃棄の売上市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 15.6%(WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 25 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 160 億ドル、シェア × 価格 = 0.156
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。帳簿の ROE は自社株買いで自己資本が縮み 14% に達するため、のれん込みの ROIC 9.4% に純負債(EBITDA の 2.8 倍、自己資本の 1 倍まで)を乗せた ROE 14.2% を使う。RONIC=k 7.5%(基本 8.0% + quality −0.5%)+ 残る割合 0.67 ×(ROE − k)= 11.9%(堀は強:埋立地は新設がほぼできず、都市ごとに収集網と処分場を押さえる(残る割合 2/3))。g は 4.0%(収集・埋立の量(人口・事業所数)の実質伸び 0〜1% + 価格 3.5% は 4% を超えるが、倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=19.0 倍に対し、74% の 14.1 倍に置いた(構造的に負け、ROE が下がる筋書き)。時価総額=純利益 14.0 億ドル × 14.1 倍=197 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:廃棄物はリーマンでも -30% の下げにとどまり、構造的な負けの筋は規制と価格にとどまる。確率は 1 割に置いた。還元は配当を中心に 10 年で 190 億ドルへ絞る。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
収集・処分(収集・埋立・中継)
商業・産業・住宅の収集と、埋立地・中継施設での処分。多数の埋立地と収集網を持つ中核事業。
| 数量米国の収集・処分の売上市場(億ドル、2025 年価格) | 価格WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,100 | 18.7% | 206 | 61 |
| 10 年後 中立 | 1,156 | 27.8% | 321 | 101 |
取り方:米国の収集・処分の売上市場を約 1,100 億ドル(推定)、WM のシェアを約 18.7% と置いた。売上は 2026 年 1〜6 月の構成(収集・処分 105.6 億ドル)と 2025 年の傾向から約 206 億ドル。営業利益は EBITDA 率 38.6% から減価償却(約 18 億ドル・推定)を引いて約 61 億ドル。売上 = 市場 × シェア × 価格。競合はリパブリック・サービシズ(2026 年の売上見通し 172〜173 億ドル、EBITDA 率 約 32%)、ウェイスト・コネクションズ、GFL で、米国の大手が都市ごとの寡占を作る。WM は EBITDA 率が最も高く、埋立地の数と規模で優位。
リサイクル(加工・販売)
段ボール・紙・プラスチック・金属の選別と再生材の販売。
| 数量北米のリサイクル加工・販売の市場(億ドル、2025 年価格) | 価格WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1。再生材の相場を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 150 | 10.3% | 16 | 2 |
| 10 年後 中立 | 175 | 14.8% | 26 | 4 |
取り方:北米の市場を約 150 億ドル(推定)、WM のシェアを約 10.3% と置いた。売上は 2026 年 1〜6 月の 7.7 億ドルと 2025 年の水準から約 15.5 億ドル。EBITDA 率は 20% 前後で、減価償却 約 1 億ドルを引き営業利益 約 2 億ドル。再生材の価格(段ボール・プラスチック)が売上を左右し、収集・処分のコストを下げる機能も持つ。競合は GFL・リパブリック・サービシズ(自社施設)・地域の加工業者。
再生エネルギー(RNG・再生電力)
埋立ガスを精製した再生可能天然ガス(RNG)と、埋立ガス発電の販売。
| 数量RNG・埋立ガス関連の収益市場(億ドル、2025 年価格) | 価格WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1。RNG の価格と環境価値を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 60.0 | 7.5% | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 110 | 12.7% | 14 | 4 |
取り方:市場を約 60 億ドル(推定)、WM のシェアを約 7.5% と置いた。売上は 2026 年 1〜6 月の 3.16 億ドル(前年 2.06 億ドル)と 2025 年後半の増加から約 4.7 億ドル、EBITDA 率 約 45% から減価償却 約 0.8 億ドルを引き営業利益 約 1.3 億ドル。2026 年は RNG の新工場 3 か所(年約 350 万 MMBtu)が稼働した。価格は天然ガス価格と再生燃料基準の環境価値に連動し、変動が大きい。
ヘルスケア(医療廃棄物・情報廃棄)
2024 年 11 月に買収したステリサイクル(Stericycle)の事業。医療廃棄物の回収・処理と機密書類の廃棄。
| 数量米国の医療廃棄物・情報廃棄の売上市場(億ドル、2025 年価格) | 価格WM のシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 170 | 15.0% | 26 | 2 |
| 10 年後 中立 | 202 | 21.9% | 44 | 6 |
取り方:市場を約 170 億ドル(推定)、WM のシェアを約 15% と置いた。売上は 2026 年 1〜6 月の 12.5 億ドルの 2 倍強から約 25.5 億ドル。調整後 EBITDA 率は 2026 年 4〜6 月で 19%(前年 17%)、減価償却と買収で積んだ無形資産の償却 約 2.6 億ドルを引いて営業利益 約 2 億ドル。競合は医療廃棄物のクリーン・ハーバーズ、モーフォード・マネジメントなど。売上は 4〜6 月に前年比 -1%(内部での変化は -0.5%)と伸び悩み。
リスクと懸念
ヘルスケア(ステリサイクル)が伸びない
買収価格は約 72 億ドルだが、2026 年 4〜6 月の売上は前年比 -1% で、調整後 EBITDA 率は 19%(本業は 38%)。医療機関の稼働と競合の値引き、焼却炉などの設備投資、統合費用が重なり、シナジー 3 億ドル規模が出なければ買収の価値を壊す。減損のリスクもある。
数量の弱さが長引く
2026 年の収集・処分の数量は約 -1% の見通しで、住宅の低採算契約の整理、建設・産業の弱さ、顧客の廃棄物削減が重なる。コア価格 +5.7% に対して実際の利回りは +3.6% と差があり、値上げを数量の減少が打ち消すと、売上と利益の伸びが鈍る。
PFAS 規制と埋立地の許認可
浸出水に含まれる PFAS の処理費は埋立地ごとに大きく、規制が強まると費用が急増する。新規埋立地の許認可はさらに厳しくなり、既存の立地の価値は上がるが、自治体や顧客が転嫁を拒めば利益率が下がり、規制の動きで費用の見積もりも大きく変わる。
借金の増加と利払い
純負債は 2023 年の 163 億ドルから 2025 年の 236 億ドルへ増え、借り換えで利払いは 3 年で約 2 億ドル、10 年で約 4 億ドル増える。レバレッジを 2.5〜3.0 倍へ戻すため自社株買いが絞られ、1 株の伸びが遅れる。
倍率の縮み
今の PER 34 倍・PBR 9.2 倍は、資本コスト 7.5% の利益ベースの上限(23 倍)を大きく上回る。成長が名目 5% で、金利が 5% の世界では、安定した事業にも倍率の縮みが起き、株価が利益の伸びに追いつかない期間が長引く。
再生エネルギー・リサイクルの市況
RNG は天然ガス価格と環境価値(再生燃料基準・クレジット)に連動し、補助金・規制の変更で収益が大きく動く。再生材(段ボール・プラスチック)の相場も上下する。成長投資(年約 2.5 億ドル)の回収が遅れると、設備投資が利益を圧迫する。
同業との競り合い
リパブリック・サービシズ、ウェイスト・コネクションズ、GFL は価格で穏やかな競争を続けているが、買収と埋立地の取り合い、都市の入札で値引きが起きると、価格の力が弱まる。ごみの量そのものが減る長い流れ(拡大生産者責任)も重なる。
今後の分かれ目
- ヘルスケアの売上が 2027 年までに前年比 +3% 以上に戻り、調整後 EBITDA 率が 21% を超える
- 統合の成功が見え、楽観・やや楽観の確率を上げる。買収の価格が正当化され、本業の質への評価が戻る。買収の価格が正当化され、本業の質への評価が戻る。
- コア価格が 4% 台へ落ち、数量が 2027 年も 1% 以上減り続ける
- 価格の力と数量の両方が弱まったことを示し、やや悲観・悲観の確率を上げる。本質価値は今より下へ寄る。
- PFAS の規制が強化され、埋立地の浸出水処理費が売上の 1% を超える水準へ上がる
- 短期は利益率が 1pt 以上下がるが、新規の埋立地の許認可が一段と厳しくなれば、既存の立地の価値と価格の根拠が上がる。転嫁できるかが分かれ目。
- 米国が景気後退に入り、建設・産業の数量が 2 割減る
- 営業利益率は 15% 前後へ落ちるが、必需性が高く、株価の下げは -30% 程度にとどまるのが過去の実績。10 年のやや悲観の筋書きに近づく。
- RNG の補助金(環境価値クレジット)が縮小または廃止される
- 再生エネルギーの利益率が落ち、成長投資の回収が遅れる。10 年のやや悲観の筋書きに近づく。
- 株価が時価総額 700 億ドル(PER 25 倍前後)まで下がる
- 中立の 10 年後の時価総額(約 1,000 億ドル)と還元 440 億ドルを考えると、期待の年率が資本コスト 7.5% に並び、適正から割安に近づく。
見ておくもの
- 収集・処分のコア価格・利回り・数量の内訳(四半期)
- ヘルスケアの売上成長率と調整後 EBITDA 率
- 調整後 EBITDA 率(全社 31% の維持)
- フリーキャッシュフローと純負債 ÷ EBITDA(2.5〜3.0 倍への戻り)
- リサイクル品の価格と RNG の稼働・環境価値
- PFAS 規制の動きと浸出水処理費
- リパブリック・サービシズ・ウェイスト・コネクションズの価格・数量との比較
倍率と資本コストの決め方
今の PER 34 倍にも、過去の PER にも寄せていない。先に市場 × シェア × 価格で売上を積み、増分利益率から営業利益を出した。倍率は利益ベースの正当化 PER((1−g÷RONIC)÷(k−g)、k 7.5%=基本 8.0% + quality −0.5%、g 4%、RONIC=k+2/3×(事業の ROE−k))の上限の内側。帳簿の ROE は自社株買いで自己資本が縮み 100% 超になるため、のれん込みの ROIC に業界並みの借金を乗せた ROE(10 年の中立で 27.9%)で測った。10 年後の中立は上限 23.2 倍の 9 割の 20.8 倍。買収で膨らんだ借金とヘルスケアの伸び悩みがあるので 10 割にはせず、楽観でも上限の 9.5 割までとした。悲観側は ROE が下がる分だけ上限が下がり(上限 19.0 倍)、その 7.5 割に置いた。ROE の高さは成長の根拠にしていない。結果は事業の質が高く崩れる心配は小さい一方、値段が高く、期待の年率は資本コストを下回るやや割高。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 5% + β 0.60 × 5%。k=基本 8.0% + quality −0.5% = 7.5%。需要が安定し、埋立地の希少性と収集網の密度で値決めの力もある事業なので、強い堀の会社の下げの限度まで下げた。純負債は EBITDA の約 2.9 倍で上乗せは置かない。ヘルスケア(ステリサイクル)の統合・PFAS・数量の弱さなどの個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。設備投資・買収の重さは、式の ROE をのれん込みの ROIC に借金を乗せた値に置くことで入れ、式の外で倍率を割り引くことはしない。