結論
インガソール・ランド(Ingersoll Rand)は、工場の空気圧縮機・真空ポンプ・ブロワ・液体用ポンプを作る「産業技術・サービス(ITS)」(2025 年の売上 60.6 億ドル)と、バイオ医薬・医療・半導体向けの精密ポンプや計量機器を作る「精密・科学技術(PST)」(同 16.0 億ドル)の 2 本柱の会社で、売上は 76.5 億ドル。一時要因(のれん減損 2.7 億ドルなど)を除いた GAAP の営業利益は約 15 億ドル(営業利益率 19.8%)、純利益は約 9.8 億ドルで、会社の「調整後」純利益 13.4 億ドルは買収償却と株式報酬を足し戻した値のため使わない。
売上の約 4 割は消耗品・部品・保守のアフターで景気に強く、年 1 回の値上げと小型買収を重ねて伸びてきた。最大の競合はアトラスコプコ(Atlas Copco)で、規模は IR の ITS の約 1.8 倍(圧縮機と真空の合計・推定)。中国では地場メーカーの値下げ、欧州では長納期の真空・ブロワ案件の遅れが重いが、北米の発電・送配電・半導体向けは強く、7 月の有機受注は 2 桁台に戻った。
バリュー投資の観点では、事業の質は高い。ただ伸びの半分近くは買収で買っており、買収には現金(年 5〜12 億ドル)が要る。市場 × シェア × 価格で既存事業を積み上げ、買収は「買収の現金を引き、買収先の利益を足す」組で置くと、10 年後の中立の時価総額は、利益ベースの正当化 PER の上限 17.3 倍(ROE 約 22%・g 4%・k 8.25%・RONIC = k + 残る割合 1/2 ×(ROE − k))の 8 割の 13.8 倍で置くと今の約 1.15 倍にとどまり、還元を入れて資本コスト 8.25% で割り引くと今の値段の約 8 割になる(総合の差 −18%でやや割高)。ただし楽観と悲観の幅は広く、買収の価格と中国の値下げ次第で大きく振れる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」。工場は空気を圧縮し続けるので事業は消えない。堀は据え付け台数に紐づく部品・保守と、買収で積み上げた品ぞろえ。アトラスコプコという強い競合がいる一方、IR も上位の大手で、中国勢は低価格帯が中心で上位の顧客までは取れていない。堀は広がるより、中国で少し狭まり、アフターで少し広がる程度に見る。
次に「オーナー利益」。会社の言う調整後の純利益は株式報酬と買収償却を戻しており、GAAP では約 7 割(約 9.8 億ドル)。償却は現金を使わないが、買収に現金を使い続ける以上、償却は費用として見る。伸びに要る元手は、買収に使う現金(買収価格は売上の約 2.7 倍)と、既存事業の設備・運転資金。これを引いたものがオーナー利益で、ただで伸びる形にはしない。
最後に「安全域」。今の PER は GAAP の約 32 倍で、利益ベースの正当化 PER の上限(約 17 倍)の 約 2 倍。10 年の中立でも買収で利益は 2.6 倍に伸びるが、式の倍率が下がるので、時価総額の伸びは年 1〜2% ほどにとどまる。値段に寄せず評価すると、「優良だが安くはない」。景気の山で買うと損をしやすい。
何で稼ぐ会社か
ITS(2025 年の売上 60.6 億ドル、セグメント EBITDA 率 28.9%)は、ガードナー・デンバーとインガソール・ランドの旧産業部門が合併した本体で、工場用の空気圧縮機(ロータリー・スクリュー、遠心、ピストン)、真空ポンプ、ブロワ、液体用ポンプ(ARO など)と、それに付ける部品・保守・遠隔監視を売る。顧客は食品・化学・半導体・発電・水処理など多数の工場で、1 台の値段は小型から大型まで幅が広い。売上の約 5 割が米州、約 3 分の 1 が欧州・中東・アフリカ、約 15% がアジア太平洋(中国は約 10%)。
PST(同 16.0 億ドル、EBITDA 率 30.0%)は、ミルトン・ロイ(薬液・化学の計量ポンプ)、ジーペックス(Seepex・移送ポンプ)、トーマス・ウェルチ(医療・分析機器向けの小型真空)、ILC ドーバー(製薬の密閉容器と宇宙服)、ドセトロン(農畜産の給水の薬液注入)などを抱え、バイオ医薬・GLP-1 の製造設備・半導体・天然ガスの付臭(新設ガス火力)に売る。ニッチで 1〜2 位が多く、利益率は ITS より高い。
稼ぎ方は、新品を売り、その後の部品・消耗品・保守で長く稼ぐ形。アフターは売上の約 36〜40%(約 30 億ドル)、遠隔監視などのリカーリング売上は 2025 年に 4.5 億ドル超で、2027 年末に 10 億ドルを目指す。もう 1 つの柱が小型買収で、合併後の約 6 年で 80〜85 件。2024 年に ILC ドーバー(約 23 億ドル)を買い、2025 年は買収に 5.3 億ドル、自社株買いに 10.2 億ドルを使った。会計では買収した無形資産の償却が年 3.8 億ドルあり、GAAP の純利益を調整後より 3 割強押し下げている。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 に据え付け台数と保守:圧縮機は工場の電力の約 3 割を使い、止まると工場が止まるので、顧客は保守契約と純正部品を選びやすい。第 2 に販売店・サービス網と買収による品ぞろえ。第 3 に価格を決める力:通常の値上げは年 1〜2%(2026 年は約 2%)で、2022 年の物価高では通常より大きく値上げして通した。一方、中国では地場の過剰設備で価格が下がっている。
競合のアトラスコプコは圧縮機(営業利益率 24.1%)と真空(同 21.0%)で IR の ITS の約 1.8 倍の規模があり、半導体装置向けの真空では受注が 6 割近く伸びて IR より速い。IR は中核市場のシェアを「とても安定」と言うが、強みは米州の産業用、弱みは真空(半導体)と中国の低価格帯。
資本効率は、のれんを除くと極めて高いが、買収で伸びる会社なので帳簿の自己資本(のれんを含む)で見ると ROE は一時要因を除いて約 10%。調整後の数字は株式報酬と買収償却を戻した値で、GAAP の質は下がる。財務は純負債が EBITDA の 1.7 倍(ムーディーズが 2026 年 6 月に Baa1 へ引き上げ)で健全。弱みは、利益の伸びの約半分を買収に頼る点と、買収の価格が上がると収益が下がる点。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
圧縮機・真空・ブロワ・ポンプの市場は、定義で 220〜560 億ドルとばらつく細かい市場で、数量は工場の稼働・設備更新・省エネ投資で動く。2024〜2025 年は欧州と中国の製造業が弱く、数量が前年を下回る年が続いた(ITS の売上の数量が 18 か月ぶりに増えたのは 2026 年 4〜6 月期)。2026 年は ISM 製造業指数が 54.5(9 月)と拡大に戻り、IR の 7 月の有機受注は 2 桁台前半〜半ば、アトラスコプコの圧縮機(ガス・プロセス向け)の受注も 2026 年 4〜6 月期に有機で 19% 増えた。
追い風は 3 つ:データセンターと電力投資(発電・送配電向けの圧縮機、水冷のブロワとポンプ)、電気代の上昇で古い圧縮機の更新の回収が早くなること、バイオ医薬・GLP-1 の製造設備(PST)。向かい風は、中国の地場メーカー(復盛・開山など)の過剰設備と値下げ、欧州(特にドイツ)の弱さ、中東の長納期案件の遅れ(「中止でなく遅れ」と会社は言う)、鉄鋼・アルミ関税による費用増。
競争の形:圧縮機はアトラスコプコ、IR(旧ガードナー・デンバーを含む)、ケーザー、サルエア(日立の傘下)など上位の数社に、中国・インドの地場の低価格帯が加わる構造。真空は半導体向けがアトラスコプコ(エドワーズ)・ファイファー・荏原が強く、IR(ガードナー・デンバーの真空)は産業・化学向けが中心。どちらも利益の半分近くは部品・保守で、新品の景気より安定している。
資本政策と M&A
資本の使い方の優先順位は、①高収益の有機投資、②小型買収、③余剰の還元。2025 年は FCF 12.2 億ドルのうち、買収に 5.3 億ドル、自社株買いに 10.2 億ドル、配当に 0.3 億ドルを使い、純負債は 38 億ドル(EBITDA の 1.7 倍)に増えた。
買収は 6 年で 80〜85 件、買う価格は事前シナジーで EBITDA の 10 倍台前半。構想中が 11 件、調べている会社が 200 社超で、年の無機成長 4〜5% が目標(2026 年は約 2.5%)。約 10 億ドル規模の案件は価格が合わず見送っており、規律はある。ILC ドーバー級の大型は 3〜5 年に 1 度で当面なし。買った会社の無形資産は 10〜20 年で償却され、GAAP の純利益を押し下げ続ける。
バリュー投資の観点では、買収の収益率が資本コスト(8.25%)を上回り続けるかが本質。買収価格は売上の約 2.7 倍で、買収先が出す税引き後の現金(償却を戻した利益)は価格の約 8%、そこに買収後の年 5% ほどの成長が乗って初めて資本コストを少し超える程度で、価値を大きく生む買収ではない。自社株買いは割高な局面で打つと価値を壊すので、PER 30 倍を超える今の水準での買いは割に合わない。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 3.4 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ITS の受注は底を打った。2026 年 4〜6 月期に数量が 18 か月ぶりに増え、7 月の有機受注は 2 桁台前半〜半ば、長納期の真空・ブロワ案件は 2027 年の売上残高を作っている。電気代の上昇で古い圧縮機の更新の回収期間は縮み、データセンター・発電・半導体の空気分離という新しい需要が重なる。価格は 2022 年の物価高で大きく値上げを通した実績があり、物価 3.5% の世界では通常の値上げが 1〜2% にとどまるとは考えにくい。
アフターは売上の約 4 割、リカーリング売上は 2 年で倍以上に増えて 2027 年末に 10 億ドルを目指す。ITS の EBITDA 率は 2027 年から 30% に向けて戻り、PST は 2027 年末に 33% 超、長期は 30% 台半ばへ。買収は年 4〜5% の無機成長を、事前 EBITDA の 10 倍台前半の小型案件で続け、70〜80 件の経験が統合の速さを生む。アトラスコプコとの差は真空(半導体)だが、IR は産業・化学で十分に大きく、中国は売上の 1 割で、値下げは一時的。10 年後に市場 × シェア × 価格で ITS が 1.7 倍、PST が 2 倍、買収で 60 億ドル超の売上が加わる。
慎重な見方
今の PER は GAAP で約 32 倍、10 年で式の倍率に落ちる分だけで時価総額は伸びない。伸びの約半分が買収で、買収のたびに無形資産の償却が増え、GAAP の純利益は調整後より常に 3 割ほど低い。会社が強調する EBITDA と調整後 EPS は、償却と株式報酬を除いた値である。買収価格は事前で EBITDA の 10 倍台前半、シナジー後でも 9〜10 倍で、税引き後の営業利益の戻りは 7〜9% と資本コストに届かない可能性がある。
本業の数量は弱い。2024〜2025 年に数量が減り、EMEA の受注は 2 桁減、ITS の EBITDA 率は 2026 年に約 1pt 下がる。中国は売上の約 1 割だが過剰設備で価格が下がり、これが東南アジア・インド・中東へ広がれば全体の通常の値上げ 1〜2% が崩れる。アトラスコプコは圧縮機と真空の両方で IR の ITS の約 1.8 倍の規模で、半導体向けの真空の受注が 59% 増えるなど成長分野を取っている。景気が悪化すれば、2009 年の産業機械のように売上が 2 割減り、営業利益率は 15% 台に落ちる。
どちらに重みを置いたか
数量と価格の積み上げは楽観に近い(受注の底打ち・値上げ・アフター)が、評価の主因は倍率で、のれんを元手から除かない式では利益ベースの上限が 17 倍前後にとどまる。買収で伸びる部分を、買収の現金と買収先の利益の組で置くと、10 年の中立は今の約 1.15 倍の時価総額で、割り引くと今の値段の 8 割に戻る。結論はやや割高である。確率は、製造業の拡大と受注回復の勢いを考え、楽観・やや楽観を 3 割強、悲観側を 3 割に置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 85.08 ドル341 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 37.23 ドル149 億ドル)。 今の値に割り戻すと 63.56 ドル255 億ドル、今との差 −14.2%、 期待の年率 +5.1%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 141.65 ドル568 億ドル | 47.53 ドル191 億ドル | +155.3% | +9.8% | 18.92 ドル76 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 112.97 ドル453 億ドル | 43.04 ドル173 億ドル | +110.5% | +7.7% | 34.32 ドル138 億ドル |
| 中立 | 38% | 89.10 ドル357 億ドル | 39.30 ドル158 億ドル | +73.3% | +5.7% | 48.79 ドル196 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 53.54 ドル215 億ドル | 32.07 ドル129 億ドル | +15.5% | +1.5% | 17.12 ドル69 億ドル |
| 悲観 | 10% | 14.99 ドル60 億ドル | 16.61 ドル67 億ドル | −57.4% | −8.2% | 3.16 ドル13 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 85.08 ドル341 億ドル | 37.23 ドル149 億ドル | +65.0% | +5.1% | 122.32 ドル490 億ドル |
今の株価時価総額 74.11 ドル297 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:真空と産業用で小幅にシェアを伸ばし、PST が 30% 台の利益率に届き、買収も規律どおり積み上がる 利益 35 億ドル · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 141.65 ドル568 億ドル
2035 年、ITS の対象市場は 2025 年比で年 +2.8%(電力・データセンター・省エネ更新・インドの設備投資)、IR のシェアは真空と産業用の品ぞろえで 12.8% に上がり、価格は物価並み(1.41 倍)。PST は市場が年 +5%(バイオ医薬・GLP-1・半導体)でシェア 6.9%。買収は年 12.5 億ドルで売上 60.5 億ドル(年 4〜5% の無機成長の目標に近い)。売上は 219.0 億ドル(年 +11.1%)、営業利益率は 22.7%(ITS 27%・PST 31%)、純利益は 34.7 億ドルで 2025 年の一時要因除きの 3.5 倍。リカーリング売上は 10 億ドルを超え、アフターが売上の 4 割台半ばになる。アトラスコプコとは真空で差が残るが、中国は売上比率 1 割以下に下がる。2035 年の有機成長は年 6〜7% で 10% 未満(10% 超の分は買収で、買収は 2035 年までで切って評価する)。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 18.2 倍(g 4.0%・RONIC 17.8%・k 8.25%)の 9.0 割で PER 16.4 倍、時価総額は 568 億ドル。
- 産業技術・サービス(圧縮機・真空・ブロワ・ポンプ):数量 659(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算・推定))× 価格 18.0%(IR のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 119 億ドル・営業利益 32 億ドル。市場 659 億ドル × シェア 12.8% × 価格 1.41 倍
- 精密・科学技術(計量ポンプ・移送ポンプ・医療用真空・密閉容器):数量 407(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算・推定))× 価格 9.7%(IR のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 40 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場 407 億ドル × シェア 6.90% × 価格 1.41 倍
- 2026 年以降の買収で積み上げる分:数量 125(買収に使う現金の累計(億ドル))× 価格 0.48(買収後の売上 ÷ 買収に使った現金(今 0.37 = 買収価格は売上の約 2.7 倍))→ 売上 61 億ドル・営業利益 11 億ドル。買収に使う現金 125 億ドル × 売上/価格 0.484(買収価格は売上の約 2.1 倍)
倍率:正当化 PER 18.2 倍(g 4.0%・RONIC 17.8%=k 8.25%+残る割合×(事業の ROE 27.3%−k)・moat=normal)に対して 16.4 倍(上限の 9.0 割)に置いた。受注の回復が続き値上げと買収も計画どおり進む最良の筋書き。ただし買収の収益率が k を少し超える程度なので上限の 9.0 割にとどめた。
確率:受注の回復・アフターとリカーリングの積み上がり・PST の高成長・買収の規律がすべてうまく重なる必要がある。堀が広がる筋書きで 1 割。
やや楽観 22% やや楽観:市場は名目で伸び、アフターとリカーリングで利益率が 22% に届く 利益 30 億ドル · PER 15.2 倍 · 株価時価総額 112.97 ドル453 億ドル
2035 年、ITS の市場は年 +2.4%、シェア 12.4%、価格は物価をわずかに下回る 1.40 倍。PST は市場が年 +4.2%、シェア 6.6%。買収は年 10.5 億ドルで売上 50.8 億ドル。売上は 195.8 億ドル(年 +9.9%)、営業利益率は 22.0%(ITS 26%・PST 30%)、純利益は 29.9 億ドル(2025 年の 3.0 倍)。中国勢は低価格帯で追うが、上位の顧客とアフターは守る。電力価格の上昇による更新需要は 2030 年代前半に一巡し、その後は名目成長に落ち着く。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 17.8 倍(g 4.0%・RONIC 16.5%・k 8.25%)の 8.5 割で PER 15.2 倍、時価総額は 453 億ドル。
- 産業技術・サービス(圧縮機・真空・ブロワ・ポンプ):数量 634(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算・推定))× 価格 17.4%(IR のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 110 億ドル・営業利益 29 億ドル。市場 634 億ドル × シェア 12.4% × 価格 1.40 倍
- 精密・科学技術(計量ポンプ・移送ポンプ・医療用真空・密閉容器):数量 378(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算・推定))× 価格 9.2%(IR のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 35 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 378 億ドル × シェア 6.60% × 価格 1.40 倍
- 2026 年以降の買収で積み上げる分:数量 105(買収に使う現金の累計(億ドル))× 価格 0.48(買収後の売上 ÷ 買収に使った現金(今 0.37 = 買収価格は売上の約 2.7 倍))→ 売上 51 億ドル・営業利益 9 億ドル。買収に使う現金 105 億ドル × 売上/価格 0.484(買収価格は売上の約 2.1 倍)
倍率:正当化 PER 17.8 倍(g 4.0%・RONIC 16.5%=k 8.25%+残る割合×(事業の ROE 24.7%−k)・moat=normal)に対して 15.2 倍(上限の 8.5 割)に置いた。北米・半導体向けが牽引し欧州と中国の弱さが残る筋書き。
確率:強気の見方に近いが、中国の低価格と買収価格の上昇で利益率の改善が小幅にとどまる。
中立 38% 中立:市場は名目で伸び、シェアは一定、利益率は 21% 前後、買収は年 9 億ドルを積み上げる 利益 26 億ドル · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 89.10 ドル357 億ドル
2035 年、ITS の市場は 2025 年比で年 +2.0%(2026 年は横ばい、その後は工場の稼働と更新)で 609 億ドル、IR のシェアは 12.1% で一定、価格は 1.38 倍(会社の通常の値上げ年 1〜2% は物価 2% 台の前提で、物価 3.5% では 3% 台前半と見た)。PST は市場が年 +3.5%、シェア 6.4%、価格 1.39 倍。買収は年 9 億ドル(目標の下限に近い年 2.5〜3% の無機成長)で売上 43.6 億ドル。売上は 176.7 億ドル(年 +8.7%)、営業利益率は 21.1%(ITS 25%・PST 28.5%・買収分 17%)、営業利益は 37.4 億ドル、純利益は 25.8 億ドル(2025 年の 2.6 倍)。ITS の EBITDA 率は 30% 近くまで戻り、PST は 30% 台半ばに届くが、買収の償却(年 4 億ドル台)が GAAP の利益を押し下げ続ける。アトラスコプコとは現状のシェア関係が続く。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 17.3 倍(g 4.0%・RONIC 15.2%・k 8.25%)の 8.0 割で PER 13.8 倍、時価総額は 357 億ドル。
- 産業技術・サービス(圧縮機・真空・ブロワ・ポンプ):数量 610(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算・推定))× 価格 16.7%(IR のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 102 億ドル・営業利益 26 億ドル。市場 610 億ドル × シェア 12.1% × 価格 1.38 倍
- 精密・科学技術(計量ポンプ・移送ポンプ・医療用真空・密閉容器):数量 353(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算・推定))× 価格 8.9%(IR のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 31 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 353 億ドル × シェア 6.38% × 価格 1.39 倍
- 2026 年以降の買収で積み上げる分:数量 90.0(買収に使う現金の累計(億ドル))× 価格 0.48(買収後の売上 ÷ 買収に使った現金(今 0.37 = 買収価格は売上の約 2.7 倍))→ 売上 44 億ドル・営業利益 7 億ドル。買収に使う現金 90 億ドル × 売上/価格 0.484(買収価格は売上の約 2.1 倍)
倍率:正当化 PER 17.3 倍(g 4.0%・RONIC 15.2%=k 8.25%+残る割合×(事業の ROE 22.1%−k)・moat=normal)に対して 13.8 倍(上限の 8.0 割)に置いた。圧縮機・真空・ポンプで世界上位、売上の約 4 割が消耗品・保守で景気に強い質だが、伸びの約半分が買収で、買収の税引き後の戻りが k を少し超える程度のため、上限の 8.0 割。
確率:業界ノート塊 B の中立(数量 年 +2%・価格 年 +3%)を IR の市場に当て、シェアは「とても安定」という会社の言葉どおり一定とした。議論の落としどころで最大の確率。
やや悲観 20% やや悲観:中国勢の低価格が広がり価格が物価を下回り、買収の収益も下がって利益率が 19% にとどまる 利益 19 億ドル · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 53.54 ドル215 億ドル
2035 年、中国勢(復盛・開山など)の低価格が東南アジア・中東・インド、さらに欧州の中位まで広がり、ITS の価格は 1.32 倍(物価を下回る)、シェアは 11.5% に低下する。市場は年 +1.4%。PST は市場が年 +2.8%、シェア 6.1%。買収は価格が上がり年 6.5 億ドルに絞られ、売上 30.2 億ドル。売上は 144.4 億ドル(年 +6.6%)、営業利益率は 19.1%(ITS 22.5%・PST 26.5%)、純利益は 18.8 億ドル。アトラスコプコは半導体向けの真空でさらに伸びる。旧ガードナー・デンバーのブランドで価格競争が避けられず、アフターが利益を支える。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 16.1 倍(g 4.0%・RONIC 12.6%・k 8.25%)の 7.1 割で PER 11.4 倍、時価総額は 215 億ドル。
- 産業技術・サービス(圧縮機・真空・ブロワ・ポンプ):数量 575(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算・推定))× 価格 15.2%(IR のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 87 億ドル・営業利益 20 億ドル。市場 575 億ドル × シェア 11.5% × 価格 1.32 倍
- 精密・科学技術(計量ポンプ・移送ポンプ・医療用真空・密閉容器):数量 329(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算・推定))× 価格 8.2%(IR のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 27 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 329 億ドル × シェア 6.10% × 価格 1.34 倍
- 2026 年以降の買収で積み上げる分:数量 65.0(買収に使う現金の累計(億ドル))× 価格 0.47(買収後の売上 ÷ 買収に使った現金(今 0.37 = 買収価格は売上の約 2.7 倍))→ 売上 30 億ドル・営業利益 5 億ドル。買収に使う現金 65 億ドル × 売上/価格 0.465(買収価格は売上の約 2.2 倍)
倍率:正当化 PER 16.1 倍(g 4.0%・RONIC 12.6%=k 8.25%+残る割合×(事業の ROE 16.9%−k)・moat=normal)に対して 11.4 倍(上限の 7.1 割)に置いた。中国勢の低価格が広がり買収の収益も下がる筋書きなので上限の 7.1 割。
確率:中国勢の低価格が先進国の中位まで広がる、買収の価格が上がる、のどちらかが起きる確率を 2 割とした。
悲観 10% 悲観:構造的に負ける。アトラスコプコと中国勢に挟まれてシェアを失い、買収も失敗して優良でなくなる 利益 8 億ドル · PER 7.9 倍 · 株価時価総額 14.99 ドル60 億ドル
2035 年、IR は構造的に優良でなくなっている。ITS の市場は年 +0.5% にとどまり、シェアは 9.6% に下がり(アトラスコプコと中国・インドの地場に挟まれる)、価格は 1.18 倍と物価を大きく下回る。PST は医薬の成長が鈍り市場は年 +1.5%、シェア 5.4%。買収は割高になり成果が出ず、10 年で 25 億ドルに絞られ、売上 10.8 億ドル。売上は 89.1 億ドルと 2025 年とほぼ同じ(名目の横ばい=実質で 3 割減)、営業利益率は 13.1%、純利益は 7.6 億ドル(2025 年の 8 割弱)。買収したのれん・無形資産の減損は営業利益率の低下として織り込んだ。アフターが約 4 割あるため倒産はせず、配当と小さな自社株買いは続く。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 12.1 倍(事業の ROE が k 以下なので上限は 1÷k)の 6.5 割で PER 7.9 倍、時価総額は 60 億ドル。
- 産業技術・サービス(圧縮機・真空・ブロワ・ポンプ):数量 526(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算・推定))× 価格 11.3%(IR のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 60 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 526 億ドル × シェア 9.6% × 価格 1.18 倍
- 精密・科学技術(計量ポンプ・移送ポンプ・医療用真空・密閉容器):数量 290(対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算・推定))× 価格 6.5%(IR のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 19 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 290 億ドル × シェア 5.40% × 価格 1.20 倍
- 2026 年以降の買収で積み上げる分:数量 25.0(買収に使う現金の累計(億ドル))× 価格 0.43(買収後の売上 ÷ 買収に使った現金(今 0.37 = 買収価格は売上の約 2.7 倍))→ 売上 11 億ドル・営業利益 1 億ドル。買収に使う現金 25 億ドル × 売上/価格 0.430(買収価格は売上の約 2.3 倍)
倍率:事業の ROE 7.5% は k 8.25% 以下なので上限は 1÷k の 12.1 倍。7.9 倍(上限の 6.5 割)に置いた。アトラスコプコと中国勢に挟まれ買収も失敗して優良でなくなる筋書き。成長の弱さ・優良さの崩れは g と ROE に入れ、式の外では引かない。
確率:業界ノートの構造的な負け筋(中国・インドの安価な製品、自社の高い買収倍率による投資収益の低下)が重なる。アフターが約 4 割で安定しているため、資本財の悲観の標準(1〜1.2 割)の下限の 1 割に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
産業技術・サービス(圧縮機・真空・ブロワ・ポンプ)
工場用の空気圧縮機・真空ポンプ・ブロワ・液体用ポンプと、その部品・保守・遠隔監視。売上の約 4 割がアフター。
| 数量対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算・推定) | 価格IR のシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 500 | 12.1% | 61 | 14 |
| 10 年後 中立 | 610 | 16.7% | 102 | 26 |
取り方:圧縮機・真空・ブロワ・ポンプの IR が売る分野の対象市場を約 500 億ドル(2025 年価格・推定。調査会社の数字は 220〜560 億ドルとばらつく)、IR のシェアを約 12.1% と置いた。売上は 2025 年通期 60.56 億ドル。営業利益 13.7 億ドルは、セグメント EBITDA 17.48 億ドルから減価償却(約 0.9)と買収償却(約 2.9・推定の配分)を引いた値(株式報酬は本社に置く)。売上 = 市場 × シェア × 価格(価格指数は 2025 年 = 1。物価 3.5% で中立は 10 年 1.41 倍だが、IR の通常の値上げは年 1〜2% なので筋書きは 10 年 1.38 倍を中立とした)。競合と照らすと、アトラスコプコは圧縮機(2026 年 4〜6 月期の営業利益率 24.1%)と真空(同 21.0%)の合計で IR の ITS の約 1.8 倍(推定)、ケーザー・サルエア・中国地場が続く。
精密・科学技術(計量ポンプ・移送ポンプ・医療用真空・密閉容器)
バイオ医薬・医療・半導体・ガス付臭向けの精密ポンプと計量機器、製薬の密閉容器(ILC ドーバー)。利益率は ITS より高い。
| 数量対象市場(億ドル、2025 年の価格に換算・推定) | 価格IR のシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 250 | 6.4% | 16 | 4 |
| 10 年後 中立 | 353 | 8.9% | 31 | 9 |
取り方:計量・移送ポンプ・医療用真空・製薬の密閉容器・付臭機器などの IR が売るニッチの対象市場を約 250 億ドル(推定)、IR のシェアを約 6.4% と置いた。売上は 2025 年通期 15.95 億ドル。営業利益 3.5 億ドルは、セグメント EBITDA 4.78 億ドルから減価償却(約 0.24)と買収償却(約 1.0・推定の配分)を引いた値。売上 = 市場 × シェア × 価格。競合は製品ごとに異なる細分市場で、ミルトン・ロイ・ジーペックスなどが各ニッチで 1〜2 位。ライフサイエンスの受注は 2026 年 4〜6 月期に 2 桁増。
2026 年以降の買収で積み上げる分
これから買う小型会社の売上と利益。買収に使う現金(億ドル)とセットで置き、ただで伸びる形にはしない。
| 数量買収に使う現金の累計(億ドル) | 価格買収後の売上 ÷ 買収に使った現金(今 0.37 = 買収価格は売上の約 2.7 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.37 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 0.48 | 44 | 7 |
取り方:2025 年までの買収は ITS・PST の売上に入っているので、この欄の今は 0。今後の買収は、買収価格が売上の約 2.7 倍(事前シナジーで EBITDA の 10 倍台前半、EBITDA 率 約 25%)という実績(2025 年は 5.25 億ドルで売上 約 2 億ドルを加える)から、売上 = 買収に使う現金 × 0.37 とし、買収後の成長で時価総額を測る時点の値は 10 年で 0.484 に上がる。買収先の営業利益率は、新たに増える無形資産の償却(価格の約 5.5%/年)を引いた GAAP で 15〜18%。
リスクと懸念
買収の価格と償却
伸びの約半分を買収に頼る。買収価格は売上の約 2.7 倍(事前 EBITDA の 10 倍台前半)で、買収先が出す税引き後の現金は価格の約 8% と、資本コスト 8.25% とほぼ同じ。買収競争で価格が上がると収益は資本コストを下回り、無形資産の償却(年 3.8 億ドル)が GAAP の利益を押し下げ続ける。約 10 億ドルの案件を価格で見送る規律が崩れるかを見る。
中国の値下げの波及
中国は売上の約 10%(3 年前は約 15%)で、地場の過剰設備により価格は負の低い 1 桁。会社は一時的と言うが、同じメーカーがインド・東南アジア・中東・欧州の低価格帯へ出てくれば、通常の値上げ年 1〜2% が崩れ、ITS の EBITDA 率 28% 台の維持が難しくなる。
半導体向け真空でアトラスコプコに劣る
アトラスコプコの真空事業は 2026 年 4〜6 月期に受注が有機で 59% 増え、半導体装置の増産を取り込んでいる。IR の真空は産業・化学が中心で、半導体向けの高成長市場で取り残されれば、新品の成長もアフターの積み上げも遅れる。
製造業の循環と数量の弱さ
ITS の数量は 2024〜2025 年に減り、2026 年 4〜6 月期に 18 か月ぶりに増えた。EMEA の受注は 2 桁減、ドイツは弱い。ISM 54.5 は価格指数の急騰を伴い、持続性に疑問がある。リーマン級の不況では産業機械の売上が 2 割台減り、営業利益率が 15% 台に落ちる。
今の値付けと自社株買い
PER は GAAP で約 32 倍と、利益ベースの上限(約 17 倍)より高い。2025 年は FCF を上回る 10.2 億ドルの自社株買いと買収で純負債を増やした。割高な局面の自社株買いは価値を壊し、株価が下がれば買い増すか買収に回すかの判断が問われる。
関税と費用の上昇
鉄鋼・アルミ関税と部材費の上昇が利益率を押し下げ、2026 年 4〜6 月期の ITS の EBITDA 率は 26.8%(前年比 −1.8pt)に下がった。値上げ(年 約 2%)が追いつくのは後半と見られ、最高裁が無効とした IEEPA 関税の払い戻し(2026 年後半に見込み)は上振れ要因だが見通しに入っていない。
大型買収と会計上の損失
2025 年はのれん・無形資産の減損 2.7 億ドルと持分法の損失 1.3 億ドルがあり、GAAP の純利益は 5.8 億ドルと調整後の半分以下だった。ILC ドーバーの保険金 1.875 億ドル(2026 年に 1.625 を受取見込み)のような一時益と損失で GAAP は振れやすい。
今後の分かれ目
- ITS の新規受注(有機)が 2026 年 10〜12 月期から 2 桁増を保つ
- 長納期案件が 2027 年の売上を作り、ITS の EBITDA 率は 2027 年から改善に戻る。楽観・やや楽観の確率を上げ、評価が上に動く。
- 中国地場の値下げが中国の外(インド・東南アジア・欧州)の見積もりに出始める
- 通常の値上げ年 1〜2% が崩れ、価格を中立の 3% 台前半から下げる。やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 買収の価格が EBITDA の 10 倍台前半から 14〜15 倍に上がる、または 10 億ドル級の大型を買う
- 買収の現金に対する収益が資本コストを下回り、買収分の価値を下げる。のれんの増加で ROE の元手も増える。
- アトラスコプコの真空の受注の伸びが一巡し、半導体装置の投資が下がる
- 競合の成長が鈍り、IR の ITS が相対的に不利でなくなるが、半導体向けの景気の悪化として IR の真空・PST の半導体向けも落ち、全体では悲観側。
- PST の EBITDA 率が 2027 年に 33% を超える
- 長期の 30% 台半ばの目標が現実的となり、PST の営業利益率の中立 28.5% を上げられる。
- 株価が下がり PER が利益ベースの上限(約 17 倍)の内側に入る
- 自社株買いが価値を生む局面になり、買収より還元に回す方が株主に有利になる。
見ておくもの
- ITS・PST の新規受注の有機成長と、長納期案件(真空・ブロワ)の出荷時期
- 中国の価格(負の低い 1 桁が横ばいに近づくか)と、中国以外への波及
- ITS の EBITDA 率(2026 年は 28% 前後 → 2027 年から改善)と PST の EBITDA 率(2027 年末に 33% 超)
- 買収の件数・価格(事前 EBITDA の倍率)・年の無機成長(目標 4〜5%)
- アトラスコプコの圧縮機・真空の受注と営業利益率
- ISM 製造業指数とその価格指数、鉄鋼・アルミ関税と IEEPA 関税の払い戻し
- リカーリング売上(2027 年末に 10 億ドルの目標)とアフターの比率(約 36〜40%)
倍率と資本コストの決め方
今の PER(GAAP の一時要因除きで約 32 倍)と株価を見る前に、2 つの事業を市場 × シェア × 価格で積み上げ、買収は買収に使う現金と買収先の利益の組で足した。倍率は式どおり(ROE は買収で伸びる会社なのでのれんを除かない帳簿の自己資本 ROE、g は市場・シェア・価格から出し、ROE からは出していない)。10 年の中立の PER は利益ベースの上限 17.3 倍(k 8.25%・g は上限の 4%・moat=normal)の 8 割の 13.8 倍で、アフターが売上の約 4 割ある質は評価するが、伸びの半分が買収で戻りが k を少し超える程度なので 9 割には置かない。k は産業の循環(cycle +0.5%)とアフターの厚さ(pricing −0.25%)で quality を +0.25% とした。同じ領域の CAT・CMI・DOV と同じ物差しで、上限の 8 割前後に揃えた。総合はやや割高になったが、今の株価に寄せたのではなく、利益ベースの上限から出た値である。調整後 EPS や EBITDA の倍率は使わず、買収償却も戻していない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.25%。産業機械の標準的な循環に、アフターの厚さの割引を足した。個別のリスク(中国の値下げ・買収の価格・半導体向け真空の遅れ)は k に足さず、筋書きの数量・価格・利益率と確率で表した。存続に疑いはなく上乗せは 0。