結論
パッカー(PACCAR)は、ケンワース・ピータービルト(北米)と DAF(欧州・ブラジル)の大型トラックを作る商用車メーカーで、売上の 24% を占める部品事業と、8% の金融子会社(PACCAR Financial Services)を持つ。2025 年は売上 284 億ドル、純利益 24 億ドル(欧州の民事訴訟費用 3.5 億ドルを含み、除くと約 26 億ドル)。北米クラス 8 の市場が 23 万台まで落ち、関税の負担も重なって、トラックの税前利益率は 4.5% まで下がった。2026 年は 4〜6 月期の純利益が 7.5 億ドルと前年を上回り、部品は過去最高の売上、受注は 2026 年の生産枠が埋まるほど強い。
この会社の特徴は、利益の山と谷が大きいのに、財務の体力が際立つことである。事業側(トラックと部品)には借金がなく、現金と有価証券が約 87〜93 億ドルある。時価総額 584 億ドルの 15% 超が現金で、PER 24.5 倍は谷に近い 2025 年の利益で測った値にすぎない。一方、金融子会社は 147 億ドルの借金を抱えるが、事業の純負債ではなく自己資本(推定 40 億ドル)で評価し、現金とは混ぜていない。
バリュー投資の観点では、北米クラス 8 の台数 × シェア 30% × 価格(物価並み)、欧州 16 トン超の台数 × DAF のシェア 13.5% × 価格、部品(稼働台数 × 1 台あたりの部品売上)で 10 年を積み上げた。山の年の利益に倍率を掛けず、市場をならした台数(北米 26〜27 万台)で利益を置き、倍率は利益ベースの正当化 PER で置いた。上限は事業の ROE 約 30%・g 4%・k 8.75%・RONIC 約 20% で 16.7 倍。中立はその 7.6 割に置き、現金 91 億ドルを足すと 10 年後の時価総額は今の約 1.2 倍になる。割り引くと今の値段を 2 割弱下回り、やや割高である(総合の差 −17%)。循環産業なので悲観の確率を厚めに置いており、価格の動きは荒い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、パッカーは「10 年後も存在し、今より強いか」と聞かれれば存在する。大型トラックは電動化・自動運転でも当面は車が要り、パッカーは北米のケンワース・ピータービルトのブランド、自社エンジン、部品と整備の網、中古の価値を持つ。1939 年から黒字を続けてきた経営は、循環の谷で資本を使い果たさず、山で株主に戻す。借金のない事業と金融子会社の分離が明快で、オーナー利益(利益から成長に要る投資を引いた額)は、ならして年 30 億ドル台前半(2025 年の谷で 20 億ドル、2023 年の山で 40 億ドル超)に見える。
ただし、バリュー投資家が見るのは山の利益ではなく、ならした利益と、谷での耐性である。北米クラス 8 の台数は 2025 年の 23 万台(谷に近い)、2023 年は 30 万台超で、ならして 26 万台前後。今の PER 24.5 倍は谷の利益で測った値で、ならした利益(約 37 億ドル)で測ると約 16 倍になる。事業側の現金 90 億ドル前後を時価総額から引くと、事業は ならした純利益の約 15 倍という計算になる。
主な不確かさは、北米の 2027〜28 年が前倒し購入の反動で落ちるか、欧州で DAF のシェアが下がり続けるか、中国メーカーが欧州で価格を壊すか、の 3 点。確信度は中程度から高めで、安全域は、事業の現金と、谷でも黒字を保つ構造にある。
何で稼ぐ会社か
売上の 68% を占めるトラック事業は、北米のケンワースとピータービルト(米国のテキサス州・オハイオ州・ワシントン州の工場)、欧州の DAF(オランダ・ベルギー・英国の工場、ルノー・トラックス向けのキャブも製造)、メキシコ・ブラジル・豪州の工場から成る。2025 年の納車は 14.4 万台(北米 7.7 万・欧州 4.4 万・他 2.3 万)。北米のクラス 8(大型)小売の市場は 23.3 万台で、シェアは約 30%。欧州の 16 トン超は 29.7 万台で、DAF のシェアは 13.5%(2024 年は 14.4%)。エンジンは自社の PACCAR MX で、ケンワース・ピータービルトの約 29% に載り、部品の売上と利益の土台にもなっている。
部品事業(PACCAR Parts)は 2025 年に売上 68.7 億ドル、税前利益 16.7 億ドル(利益率 24%)。世界 99 か国、2,000 以上の販売店、350 以上の TRP 店、21 の物流拠点を持ち、保有トラックが走るほど売れる。税前利益はトラック事業の 2 倍近くあり、景気の谷でも崩れにくいため、全社の利益を下支えする。
金融子会社は 26 か国で、パッカー車の販売店と顧客に融資・リースを出す(資産 228 億ドル、売上 22.1 億ドル、税前利益 4.85 億ドル、小売のシェア 27%)。トラックを売るための道具であり、銀行ではない。事業の現金と金融子会社の借入は別々に見る必要がある。2025 年は欧州の民事訴訟(EC が認定したトラックのカルテルに関連)で 3.5 億ドルの費用を計上した。
優良さと弱いところ
堀は 4 つある。第 1 に、北米でケンワース・ピータービルトは「運転手が乗りたい車」として、大型の長距離輸送で価格を決める力を持ち、競合のフレイトライナー(ダイムラー)、インターナショナル(トラトン)、ボルボ・マックより高い利益率を長く維持してきた。第 2 に、自社エンジンと一体の部品・整備網で、保有台数からの利益が景気の谷でも続く。第 3 に、中古車の価値の高さと金融子会社の貸し出しで、買い替えの回転がよい。第 4 に、「循環の谷でも赤字にならない」経営(1939 年から毎年黒字)と、借金のない事業の現金。
資本効率は高い。連結の ROE は 12〜29%(2025 年 12%)だが、事業の運転資本(自己資本から現金と金融子会社を除いた約 62 億ドル)で測ると 2025 年でも約 30%、通常の年で 40% 前後になる。投資は設備投資 7〜7.5 億ドル、研究開発 4.5〜4.8 億ドルと小さく、売上が増えても元手がほとんど要らない。
弱い所は 3 つ。利益の振れが大きいこと(営業利益率 3.0% から 17.2%)、DAF の欧州での利益率が低く(トラックの税前利益率は北米の半分以下)シェアが 2024 年から下がったこと、2027 年の排ガス規制と電動化への投資負担。自社株買いをしない(株数は年 0.2% 増える)ので、1 株の価値は純利益の伸びに頼る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
大型トラックは、物流の景気(貨物量・運賃)と車の買い替え周期で数量が 3〜5 割動く典型的な循環産業である。北米のクラス 8 は、2023 年の山(30 万台超)から 2025 年の 23.3 万台まで落ち、2026 年は 23〜27 万台の見通しに戻りつつある。運賃は上昇し、貨物の輸送能力がきつく、車齢が上がっているため、受注は 2026 年の生産枠が埋まるほど強い(7 月の受注は前年比 +68%、2027 年の枠はまだ開いていない)。EPA の 2027 年規制(NOx)は 7 月に見直し案が出て、現行エンジンを罰金つきで作り続けられる形になり、前倒し購入は「中程度」にとどまる見方が多い。業界ノートの「年 28〜30 万台」は生産(輸出・メキシコを含む)の見方で、米加の小売に直すと平年 26 万台前後(2015〜2025 年の平均、推定)になるため、こちらで置き直した。
2025 年 11 月に始まった中型・大型トラックへの 232 条の関税は、米国内の 3 工場で販売の 9 割超を作るパッカーに有利に働く。メキシコで作るダイムラー・トラトンは部品の関税と車体の関税の両方を受ける。パッカーは 2026 年に関税の上乗せ課金をやめ、利益率の回復が見えてきた(トラック・部品・その他の売上総利益率 4〜6 月期 14.4%、前年 13.9%)。
欧州の 16 トン超は 2025 年に 29.7 万台(前年 31.6 万台)に縮んだが、2026 年は 29〜33 万台の見通し。DAF はボルボ・ダイムラー・スカニア・マン・イベコと競い、中国メーカー(BYD・三一重工)の欧州進出と電動トラックの規制(CO2 基準)が価格を押す。南米(ブラジル)は 10〜11 万台で、DAF ブラジルが挑戦中。今後 10 年は、北米が物価並みの価格上昇と台数ほぼ横ばい(ならして年 +0.5〜1%)、欧州が横ばい、部品が保有台数の増加と値上げで名目 5% 前後、という見方を中立とした。
資本政策と M&A
配当方針は、通常配当を前年の純利益の約 3 分の 1 とし、手元の現金が必要額を超えた分を特別配当で出す形で、近年は純利益のほぼ全額を還元している(2025 年の配当は約 23 億ドル、純利益は 23.8 億ドル)。自社株買いはほぼしない(2025 年は 0)。株式報酬で株が毎年約 0.2% 増えるので、還元は配当から株式報酬の分を引いた正味で見る。
現金は事業側に 87〜93 億ドルあり、金融子会社の借入(147 億ドル)とは別に管理されている。事業の純現金は時価総額の約 15% で、これを 1 ドルで数えた。大型の買収はない(過去は DAF・ケンワース・ピータービルトを自社で育てた)。EC の民事訴訟は 2025 年の 3.5 億ドルで一段落したが、追加の請求が出る可能性は残る。
成長の元手は小さい(設備投資 7〜7.5 億ドル、研究開発 4.5〜4.8 億ドル)ので、市場が戻れば、利益のほとんどが株主に戻る構造になっている。ただし、大きな現金を景気の谷に備えて抱える方針が強いので、特別配当は山の年に出る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2026 年は運賃の上昇と車齢の上昇で北米の受注が強く、生産枠は埋まっている。2027 年の排ガス規制は、見直し案で現行エンジンを罰金つきで作り続けられるが、パッカーは自社の新エンジンの準備が最も進んでおり、規制が緩めば緩むほど安く作れる側にいる。232 条の関税はテキサス・オハイオ・ワシントンの国内工場を持つパッカーに有利で、ダイムラー・トラトンのメキシコ生産は不利になる。役員は 2035 年までに北米シェア 35% を目標に掲げた。
部品は過去最高の売上を更新し、保有台数の増加と物価で年 4〜5% 伸びる。税前利益率 24% は景気に左右されにくく、全社の税前利益の約半分を支える。金融子会社は小売のシェア 27% で、貸し倒れが少なく、収益は安定している。DAF は 2026 年に台数が増え、ブラジルの再建も進んでいる。
事業の現金 90 億ドルは時価総額の 15% を超え、景気の山で特別配当として戻る。ならした北米の台数は 26〜27 万台で、シェア 31〜33%、トラックの税前利益率 11〜13%、部品 24〜25% を置けば、ならした純利益は 2028 年に 40 億ドル台、2035 年に 60 億ドル台になる。これが強気の見方で、楽観とやや楽観の筋書きの下敷きである。
慎重な見方
北米の今の強さは前倒し購入と車齢の上昇という 1 回限りの要因が多く、2027 年の規制後は反動で受注が落ちる。大型トラックの台数はリーマン時に 55% 減り、パッカーの営業利益率は 3.0% まで落ちた。今の PER 24.5 倍は、谷に近い利益に付いた高い倍率で、山の利益に直すと割安に見えるだけで、山の利益は続かない。
欧州では DAF のシェアが 14.4% から 13.5% に落ち、市場も 31.6 万台から 29.7 万台に縮み、EC の民事訴訟の追加請求も残る。中国の BYD や三一重工が電動トラックで欧州に入り、規制の CO2 基準が価格を押す。DAF の税前利益率は北米の半分以下にとどまる。232 条の関税は、メキシコ産トラックの価格差を縮めても、部品の関税とコストの上昇で、パッカー自身の費用も上がる。
2035 年までに北米シェア 35% は役員の願望にすぎず、フレイトライナーとインターナショナル・ボルボが対抗して値引きをすれば守れない。電動化と自動運転の投資は、ソフトウェアとバッテリーで他社に遅れる可能性もある。利益ベースの上限 16.7 倍は、成長が物価並み以上(4%)で事業の ROE 約 30% が続く前提で、これが崩れれば倍率は 13 倍台に落ちる。
どちらに重みを置いたか
事業の質・北米の受注・現金の厚さで強気の見方が強く、倍率は利益ベースの上限(16.7 倍)の 7.6 割に置いた。循環産業として 2027〜28 年の反動を警戒する慎重な見方にも根拠がある。確率は楽観 8%・やや楽観 20%・中立 36%・やや悲観 22%・悲観 14%(シェアを失い、構造的に弱い姿)とし、悲観側を厚めに置いた。ならした利益で積むと、中立の 10 年後の時価総額は今の約 1.2 倍。確率の加重平均は今の値段を 2 割弱下回り、やや割高である。利益を山でなくならして置き、悲観の深さと確率で守った。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 122.50 ドル645 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 58.72 ドル309 億ドル)。 今の値に割り戻すと 91.55 ドル482 億ドル、今との差 −16.5%、 期待の年率 +5.2%(資本コスト 8.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 199.64 ドル1,052 億ドル | 70.99 ドル374 億ドル | +147.0% | +9.5% | 21.65 ドル114 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 162.34 ドル855 億ドル | 66.06 ドル348 億ドル | +108.4% | +7.6% | 45.68 ドル241 億ドル |
| 中立 | 36% | 132.86 ドル700 億ドル | 61.69 ドル325 億ドル | +77.5% | +5.9% | 70.04 ドル369 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 92.29 ドル486 億ドル | 53.15 ドル280 億ドル | +32.7% | +2.9% | 32.00 ドル169 億ドル |
| 悲観 | 14% | 42.33 ドル223 億ドル | 42.33 ドル223 億ドル | −22.7% | −2.5% | 11.85 ドル62 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 122.50 ドル645 億ドル | 58.72 ドル309 億ドル | +65.4% | +5.2% | 181.22 ドル955 億ドル |
今の株価時価総額 109.59 ドル577 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:北米シェア 33.5%(目標 35% へ近づく)、台数 30 万台、トラック利益率 14%、部品が名目 6% で伸びる 利益 68 億ドル · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 199.64 ドル1,052 億ドル
2035 年の売上は 548 億ドル(北米 272・欧州 89・他 33・部品 119・金融 35)、税前利益 88 億ドル、純利益 67.9 億ドル(2025 年の 2.9 倍)。北米は 30 万台、シェアは 33.5%(役員の目標 35% に近づく)、価格は物価 1.41 倍に付加価値を乗せて 1.45 倍。トラックの税前利益率は北米 14%、欧州 7.5%、他 6%。部品は稼働台数 180 万台(年 +1.2%)、1 台あたりの売上が物価と構成で 1.5 倍となり、売上 119 億ドル、利益率 25.5%。金融子会社の資産は 360 億ドル。電動化・自動運転でも先頭集団にとどまり、特別配当で還元は大きい。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 17.1 倍(g 4.0%・RONIC 21.5%・k 8.75%)の 8.5 割で PER 14.4 倍、時価総額は 1,052 億ドル。
- 北米トラック(ケンワース・ピータービルト):数量 300(米加クラス 8 小売の市場(千台))× 価格 90.7%(パッカーのシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 272 億ドル・営業利益 38 億ドル。市場 300 千台 × シェア 33.5% × 価格 1.45 倍
- 欧州トラック(DAF):数量 335(欧州 16 トン超の市場(千台))× 価格 26.6%(DAF のシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 89 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 335 千台 × シェア 15.5% × 価格 1.45 倍
- その他地域トラック(メキシコ・南米・豪州ほか):数量 240(対象市場(千台、南米 16 トン超・メキシコ・豪州・他の合計の推定))× 価格 13.8%(パッカーのシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 33 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 240 千台 × シェア 14.0% × 価格 1.45 倍
- 部品(PACCAR Parts):数量 1,800(パッカー系の稼働トラック(千台、推定))× 価格 0.07(1 台あたりの年間部品売上(億ドル/千台)× 物価の指数 × 構成の改善)→ 売上 119 億ドル・営業利益 30 億ドル。稼働台数 1800 千台 × 1 台あたり部品売上 4,300 ドルの 1.54 倍
- 金融子会社(PACCAR Financial Services):数量 360(融資・リース資産(億ドル))× 価格 0.10(収益率(売上 ÷ 資産))→ 売上 35 億ドル・営業利益 8 億ドル。融資・リース資産 360 億ドル × 利回り 9.7%
倍率:正当化 PER 17.1 倍(g 4.0%・RONIC 21.5%=k 8.75%+残る割合×(事業の ROE 34.3%−k)・moat=normal)に対して 14.4 倍(上限の 8.5 割)に置いた。北米が 29 万台まで戻りシェアも伸びる最良の筋書き。ただし台数は循環の山で、山の利益に高い倍率は掛けないので上限の 8.5 割にとどめた。時価総額には、事業の純利益に PER を掛けた分に加えて余った現金 91 億ドルを足している。
確率:北米シェア 35% の目標に近づき、台数が高水準で、部品が名目 6% で伸び続ける必要がある。重なる確率は 1 割弱。
やや楽観 20% やや楽観:シェア 32%、台数 28.5 万台、利益率 12.5%。DAF は 14.8% に上がる 利益 59 億ドル · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 162.34 ドル855 億ドル
2035 年の売上は 503 億ドル(北米 243・欧州 82・他 30・部品 115・金融 34)、税前利益 76 億ドル、純利益 58.6 億ドル(2025 年の 2.5 倍)。北米は 28.5 万台、シェア 32%、価格 1.43 倍、トラック利益率は北米 12.5%・欧州 6.2%・他 5%。部品は名目 5.5% で伸び、DAF のシェアは 14.8% に回復する。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 16.9 倍(g 4.0%・RONIC 20.3%・k 8.75%)の 8.1 割で PER 13.3 倍、時価総額は 855 億ドル。
- 北米トラック(ケンワース・ピータービルト):数量 285(米加クラス 8 小売の市場(千台))× 価格 85.4%(パッカーのシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 244 億ドル・営業利益 30 億ドル。市場 285 千台 × シェア 32.0% × 価格 1.43 倍
- 欧州トラック(DAF):数量 325(欧州 16 トン超の市場(千台))× 価格 25.1%(DAF のシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 82 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 325 千台 × シェア 14.8% × 価格 1.43 倍
- その他地域トラック(メキシコ・南米・豪州ほか):数量 225(対象市場(千台、南米 16 トン超・メキシコ・豪州・他の合計の推定))× 価格 13.2%(パッカーのシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 30 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 225 千台 × シェア 13.5% × 価格 1.43 倍
- 部品(PACCAR Parts):数量 1,780(パッカー系の稼働トラック(千台、推定))× 価格 0.06(1 台あたりの年間部品売上(億ドル/千台)× 物価の指数 × 構成の改善)→ 売上 115 億ドル・営業利益 29 億ドル。稼働台数 1780 千台 × 1 台あたり部品売上 4,300 ドルの 1.50 倍
- 金融子会社(PACCAR Financial Services):数量 350(融資・リース資産(億ドル))× 価格 0.10(収益率(売上 ÷ 資産))→ 売上 34 億ドル・営業利益 7 億ドル。融資・リース資産 350 億ドル × 利回り 9.7%
倍率:正当化 PER 16.9 倍(g 4.0%・RONIC 20.3%=k 8.75%+残る割合×(事業の ROE 31.8%−k)・moat=normal)に対して 13.3 倍(上限の 8.1 割)に置いた。北米 27.5 万台、シェア 31.5% で部品と欧州も堅調な筋書き。楽観より控えめで上限の 8.1 割。余った現金の分は別に足している。
確率:シェアが 32% に上がり、部品とエンジンの囲い込みが効く展開。強気の見方に近い 2 割。
中立 36% 中立:北米は平年 27 万台、シェア 31%、トラック利益率 11%。DAF は横ばい、部品は名目 5% で伸びる 利益 51 億ドル · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 132.86 ドル700 億ドル
2035 年の売上は 463 億ドル(北米 220・欧州 74・他 26・部品 111・金融 33)、税前利益 66 億ドル、純利益 51.1 億ドル(2025 年の 2.1 倍)。北米は平年 27 万台、シェア 31%、価格は物価並みの 1.41 倍。トラックの税前利益率は北米 11%・欧州 5%・他 4.5%。欧州は 31.5 万台、DAF のシェア 14%。部品は稼働台数 176 万台(年 +1%)、1 台あたりの売上が物価と構成で 1.47 倍となり、売上 111 億ドル、利益率 24.5%。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 16.7 倍(g 4.0%・RONIC 19.2%・k 8.75%)の 7.6 割で PER 12.2 倍、時価総額は 700 億ドル(g の内訳:台数 0.0%・シェア 0.0%・物価 3.5%。部品の台数 +1% の上乗せは台数の伸びに入れず保守的に見た)。
- 北米トラック(ケンワース・ピータービルト):数量 270(米加クラス 8 小売の市場(千台))× 価格 81.6%(パッカーのシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 220 億ドル・営業利益 24 億ドル。市場 270 千台 × シェア 31.0% × 価格 1.41 倍
- 欧州トラック(DAF):数量 315(欧州 16 トン超の市場(千台))× 価格 23.4%(DAF のシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 74 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 315 千台 × シェア 14.0% × 価格 1.41 倍
- その他地域トラック(メキシコ・南米・豪州ほか):数量 205(対象市場(千台、南米 16 トン超・メキシコ・豪州・他の合計の推定))× 価格 12.5%(パッカーのシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 26 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 205 千台 × シェア 13.0% × 価格 1.41 倍
- 部品(PACCAR Parts):数量 1,760(パッカー系の稼働トラック(千台、推定))× 価格 0.06(1 台あたりの年間部品売上(億ドル/千台)× 物価の指数 × 構成の改善)→ 売上 111 億ドル・営業利益 27 億ドル。稼働台数 1760 千台 × 1 台あたり部品売上 4,300 ドルの 1.47 倍
- 金融子会社(PACCAR Financial Services):数量 340(融資・リース資産(億ドル))× 価格 0.10(収益率(売上 ÷ 資産))→ 売上 33 億ドル・営業利益 7 億ドル。融資・リース資産 340 億ドル × 利回り 9.7%
倍率:正当化 PER 16.7 倍(g 4.0%・RONIC 19.2%=k 8.75%+残る割合×(事業の ROE 29.7%−k)・moat=normal)に対して 12.2 倍(上限の 7.6 割)に置いた。ブランド・自社エンジン・部品網の質は高く、事業側は無借金。ただしトラックの利益は台数の循環で大きく振れる(リーマンで営業利益率 3%)ので上限の 7.6 割。余った現金 91 億ドルは別に足している。
確率:平年 27 万台、シェア 31%、DAF 14%、部品の稼働台数 年 +1% と名目 5% の議論の落としどころ。
やや悲観 22% やや悲観:北米シェア 29%、台数 24.5 万台、利益率 7.5%。DAF のシェアが 13% に下がる 利益 37 億ドル · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 92.29 ドル486 億ドル
2035 年の売上は 397 億ドル(北米 182・欧州 62・他 20・部品 103・金融 29)、税前利益 48 億ドル、純利益 36.8 億ドル(2025 年の 1.5 倍)。232 条の関税が緩み、電動化と排ガス対応のコストが重く、北米のシェアは 29%、台数は 24.5 万台、価格は物価をやや下回る 1.37 倍にとどまる。トラックの税前利益率は北米 7.5%、欧州 3.5%、他 3%。DAF のシェアは 13% に下がる。部品は稼働台数の伸びが年 +0.7% に鈍り、利益率は 22.5%。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 15.5 倍(g 4.0%・RONIC 15.1%・k 8.75%)の 7.8 割で PER 11.7 倍、時価総額は 486 億ドル。
- 北米トラック(ケンワース・ピータービルト):数量 245(米加クラス 8 小売の市場(千台))× 価格 74.2%(パッカーのシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 182 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場 245 千台 × シェア 29.0% × 価格 1.37 倍
- 欧州トラック(DAF):数量 295(欧州 16 トン超の市場(千台))× 価格 21.1%(DAF のシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 62 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 295 千台 × シェア 13.0% × 価格 1.37 倍
- その他地域トラック(メキシコ・南米・豪州ほか):数量 180(対象市場(千台、南米 16 トン超・メキシコ・豪州・他の合計の推定))× 価格 11.2%(パッカーのシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 20 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 180 千台 × シェア 12.0% × 価格 1.37 倍
- 部品(PACCAR Parts):数量 1,720(パッカー系の稼働トラック(千台、推定))× 価格 0.06(1 台あたりの年間部品売上(億ドル/千台)× 物価の指数 × 構成の改善)→ 売上 103 億ドル・営業利益 23 億ドル。稼働台数 1720 千台 × 1 台あたり部品売上 4,300 ドルの 1.40 倍
- 金融子会社(PACCAR Financial Services):数量 310(融資・リース資産(億ドル))× 価格 0.10(収益率(売上 ÷ 資産))→ 売上 29 億ドル・営業利益 5 億ドル。融資・リース資産 310 億ドル × 利回り 9.5%
倍率:正当化 PER 15.5 倍(g 4.0%・RONIC 15.1%=k 8.75%+残る割合×(事業の ROE 21.5%−k)・moat=normal)に対して 11.7 倍(上限の 7.8 割)に置いた。前倒し購入の反動で北米が 22.5 万台に戻る筋書き。堀が削れた会社として中立より下の上限の 7.8 割。
確率:232 条の関税が緩み、電動化の投資が重くなり、シェアが 29% に下がる。DAF も 13% に下がる展開。2 割強。
悲観 14% 悲観:構造的に負ける(シェア 26%・DAF 11.5%・価格 1.30 倍)うえに景気の谷が重なり、利益率が 1 桁前半に張り付く 利益 22 億ドル · PER 8.2 倍 · 株価時価総額 42.33 ドル223 億ドル
2035 年の売上は 286 億ドル(北米 120・欧州 43・他 12・部品 89・金融 22)、税前利益 29 億ドル、純利益 22.2 億ドル(2025 年の 0.9 倍)。北米のシェアが 26%(ダイムラー・インターナショナル・ボルボの値引きと、メキシコ生産の優位の回復)、台数は 19 万台に落ち(需要が平年から 3 割減)、価格は 1.30 倍にとどまる。欧州は中国メーカーの電動トラックに押されて DAF のシェアが 11.5%、台数 24 万台、他地域は利益ゼロ。トラックの税前利益率は北米 5%、欧州 1%、他 0%。部品は稼働台数が 162 万台とほぼ横ばいで、利益率 19%。純利益 22 億ドル(2025 年並み)で、優良なトラック会社ではなくなる。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限 13.1 倍(g 4.0%・RONIC 10.6%・k 8.75%)の 6.8 割で PER 8.2 倍、時価総額は 223 億ドル。
- 北米トラック(ケンワース・ピータービルト):数量 190(米加クラス 8 小売の市場(千台))× 価格 63.1%(パッカーのシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 120 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 190 千台 × シェア 26.0% × 価格 1.30 倍
- 欧州トラック(DAF):数量 240(欧州 16 トン超の市場(千台))× 価格 17.7%(DAF のシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 43 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 240 千台 × シェア 11.5% × 価格 1.30 倍
- その他地域トラック(メキシコ・南米・豪州ほか):数量 140(対象市場(千台、南米 16 トン超・メキシコ・豪州・他の合計の推定))× 価格 8.9%(パッカーのシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数)→ 売上 12 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 140 千台 × シェア 10.0% × 価格 1.30 倍
- 部品(PACCAR Parts):数量 1,620(パッカー系の稼働トラック(千台、推定))× 価格 0.05(1 台あたりの年間部品売上(億ドル/千台)× 物価の指数 × 構成の改善)→ 売上 89 億ドル・営業利益 17 億ドル。稼働台数 1620 千台 × 1 台あたり部品売上 4,300 ドルの 1.27 倍
- 金融子会社(PACCAR Financial Services):数量 250(融資・リース資産(億ドル))× 価格 0.09(収益率(売上 ÷ 資産))→ 売上 23 億ドル・営業利益 3 億ドル。融資・リース資産 250 億ドル × 利回り 9.0%
倍率:正当化 PER 13.1 倍(g 4.0%・RONIC 10.6%=k 8.75%+残る割合×(事業の ROE 12.4%−k)・moat=normal)に対して 8.2 倍(上限の 6.8 割)に置いた。シェアを失い景気の谷も重なる構造的な負けの筋書き。成長の弱さ・優良さの崩れは g と ROE に入れ、上限の 6.8 割に置いた。余った現金の分は別に足している。
確率:構造的に負ける筋(北米のシェア 26% への低下、中国メーカーの欧州進出、電動化での遅れ)に景気の谷が重なる。優良ではなくなる姿で 14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
北米トラック(ケンワース・ピータービルト)
米国・カナダのクラス 8(大型)とクラス 6〜7(中型)のトラックの製造・販売。米国内の 3 工場で作る。
| 数量米加クラス 8 小売の市場(千台) | 価格パッカーのシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 233 | 56.0% | 131 | 7 |
| 10 年後 中立 | 270 | 81.6% | 220 | 24 |
取り方:米加クラス 8 小売 23.3 万台(2025 年、会社発表)× シェア 30%(10-K では 29.9%)× 1 台あたり収入 1.867 億ドル/千台(中型トラックの売上を含めた実効値)で、売上 130.5 億ドル。北米の納車 7.73 万台(クラス 8 約 7.0 万+中型約 0.7 万)から逆算した。税前利益 7.2 億ドル(利益率 5.5%)は、トラック事業の税前利益 8.7 億ドルを北米・欧州・他に分けた推定(EC 訴訟費用 3.5 億ドルはトラック事業の外に計上されており含めない)。競合は、フレイトライナー(ダイムラー、約 37〜40%)、インターナショナル(トラトン、約 15%)、ボルボ・マック(約 16%)で、パッカーは 30% の 2 位から 3 位。
欧州トラック(DAF)
欧州の 16 トン超を中心とする DAF の大型・中型トラックの製造・販売(ルノー・トラックス向けのキャブも含む)。
| 数量欧州 16 トン超の市場(千台) | 価格DAF のシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 297 | 16.0% | 48 | 1 |
| 10 年後 中立 | 315 | 23.4% | 74 | 4 |
取り方:欧州 16 トン超 29.7 万台(2025 年、DAF 公表)× DAF のシェア 13.5% × 1 台あたり収入 1.185 億ドル/千台(軽・中型を含む実効値)で、売上 47.5 億ドル。欧州の納車 4.38 万台から逆算。税前利益 0.95 億ドル(利益率 2.0%)は推定(EC 訴訟費用は別)。競合はダイムラー・ボルボ・トラトン(スカニア・マン)・イベコで、DAF は 13.5% の 4〜5 位。英国(27.7%)とオランダ(25.6%)で首位。
その他地域トラック(メキシコ・南米・豪州ほか)
メキシコ・ブラジル(DAF)・豪州・その他のトラック。
| 数量対象市場(千台、南米 16 トン超・メキシコ・豪州・他の合計の推定) | 価格パッカーのシェア × 1 台あたり収入(億ドル/千台)× 物価の指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 180 | 8.7% | 16 | 1 |
| 10 年後 中立 | 205 | 12.5% | 26 | 1 |
取り方:対象市場を約 18 万台(南米 16 トン超 約 10 万・メキシコ 約 4.5 万・豪州 約 1.5 万・他 約 2 万の推定)、シェアを約 12.8%、1 台あたり収入 0.68 億ドル/千台と置いた。納車 2.31 万台から逆算し、売上 15.7 億ドル、税前利益 0.6 億ドル(利益率 4%)は推定。ブラジルは地場のスカニア・メルセデス・ボルボ・イベコ・VW が強く、DAF は伸びしろの中。
部品(PACCAR Parts)
保有トラックの交換部品・整備部品・アクセサリー。世界 99 か国、販売店 2,000 以上、TRP 350 店以上。
| 数量パッカー系の稼働トラック(千台、推定) | 価格1 台あたりの年間部品売上(億ドル/千台)× 物価の指数 × 構成の改善 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,600 | 0.04 | 69 | 17 |
| 10 年後 中立 | 1,760 | 0.06 | 111 | 27 |
取り方:パッカー系の稼働トラックを約 160 万台(ケンワース・ピータービルト・DAF の過去約 15 年の販売の残存の推定)、1 台あたりの年間部品売上 4,300 ドル(0.04294 億ドル/千台)と置いた。売上 68.7 億ドル(2025 年、過去最高)、税前利益 16.7 億ドル(利益率 24.3%)は会社発表。保有が増えるほど(稼働台数の年 +1%)、物価と部品の構成で単価が伸びる。競合は、フレイトライナー・ボルボ・マックの純正部品と、独立系の部品店(ジェニュイン・パーツほか)。
金融子会社(PACCAR Financial Services)
パッカー車の販売店と顧客への融資・リース。事業の純負債とは別に、自己資本で評価する。
| 数量融資・リース資産(億ドル) | 価格収益率(売上 ÷ 資産) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 228 | 0.10 | 22 | 5 |
| 10 年後 中立 | 340 | 0.10 | 33 | 7 |
取り方:融資・リース資産 228 億ドル(2025 年末)、売上 22.1 億ドル(利回り 9.7%)、税前利益 4.85 億ドル(売上の 22%)は会社発表。借入 156 億ドルは金融の事業の仕入れで、金利の変化は利ざやに含め、純利益の調整には入れない。自己資本は推定 40 億ドル(資産 − 借入 − 繰延税金・その他負債)で、PBR で評価する(純現金と混ぜない)。小売のシェア 27%。
リスクと懸念
北米の前倒し購入の反動
2027 年の排ガス規制を前にした 2026 年の購入が、その後の需要を先取りしている。受注の山の後に反動が来ると、台数は 2028 年に 22 万台前後へ戻り、利益が半分近くまで落ちる。2027 年の受注枠がいつ、どの価格で開くかが分かれ目で、枠が薄ければ生産計画の引き下げも早く出る。
景気の谷での利益急減
大型トラックの台数はリーマンで 55% 減り、パッカーの営業利益率は 3.0% まで下がった。事業の現金 90 億ドルと部品の利益で赤字は避けられるが、純利益は今の 5 分の 1 以下になりうる。金融子会社の貸し倒れも増え、中古価値の下落が貸出資産の質に響く。
DAF のシェア低下と欧州の低収益
欧州 16 トン超の DAF のシェアは 2024 年の 14.4% から 2025 年に 13.5% へ落ち、市場も縮んだ。トラックの利益率は北米の半分以下で、中国の BYD・三一重工の電動トラックや、CO2 規制の遵守費用が価格を押す。
関税と通商政策の変化
232 条の関税は国内生産のパッカーに有利だが、メキシコとの USMCA の見直しや関税の撤回・緩和で、ダイムラー・トラトンとの価格差が縮めば、優位は薄まる。IEEPA 関税の払い戻しは一時的な追い風にすぎず、利益率の回復を恒常と見るのは危うい。
EC 民事訴訟の追加費用
2025 年に 3.5 億ドルの費用を計上したが、トラックのカルテル(EC の過去の判断)に関連する民事訴訟は欧州各国で続き、追加の請求が出る可能性がある。額は不確かで、1 件ごとに数億ドルの費用が出る可能性がある。
電動化・自動運転の投資負担
研究開発は年 4.5〜4.8 億ドルと小さいが、ゼロエミッション車(EV・水素)の規制対応で台あたりのコストが上がる。自動運転ではアウロラなど新興との提携が中心で、取り残されるとシェアに響く。顧客の採用が遅いうちは費用だけが先に出る。
金融子会社の貸し倒れ
金融子会社の資産は 228 億ドルで、運賃が下がり中古価値が崩れる年には貸し倒れが増え、利益が 4.85 億ドルから半分以下になる可能性がある。借入は市場金利に連動するため、金利の動きにも影響を受ける。利ざやが薄くなれば、トラックの販売促進にも使いにくくなる。
今後の分かれ目
- 北米クラス 8 の 2027 年の受注枠が開き、2026 年を上回る受注が続く
- 台数が 27 万台を超えて続き、やや楽観・楽観の確率を上げる。トラックの税前利益率が 12% を超える。
- 2027 年の排ガス規制後に北米の受注が前年比 4 割以上減る
- 2028 年の台数が 22 万台を割る展開で、やや悲観・悲観の確率を上げる。利益は半分近くまで落ちる。
- DAF の欧州シェアが 13% を割り込む
- 欧州トラックの利益率が 2% 台に張り付き、10 年のやや悲観・悲観の確率を上げる。
- 232 条の関税が撤回・緩和され、メキシコ生産のダイムラー・トラトンとの価格差が縮む
- 北米シェア 35% の目標が遠のき、10 年の中立のシェア 31% を 30% に引き下げる。
- 景気の山で特別配当が出て、事業の現金が 60 億ドルまで減る
- 還元の質は高いが、谷への備えが薄くなり、悲観の筋書きでの下値が深くなる。
- EC 民事訴訟で追加の費用が 5 億ドルを超える
- 1 度限りの費用として純利益を押し下げるが、事業の価値は変わらない。やや悲観の確率を少し上げる。
見ておくもの
- 北米クラス 8 の月次受注(ACT・FTR)と 2027 年の枠の開放
- 米加クラス 8 小売の台数とパッカーのシェア(目標 35%)
- トラック・部品・その他の売上総利益率(2026 年 4〜6 月期 14.4%)
- 欧州 16 トン超の登録台数と DAF のシェア(2025 年 13.5%)
- 部品の売上(過去最高圏)と税前利益率(24%)
- 事業の現金・有価証券(87〜93 億ドル)と特別配当
- 金融子会社の貸し倒れと税前利益(年 4〜5 億ドル)
- EC 民事訴訟の追加費用
倍率と資本コストの決め方
今の PER 24.5 倍・時価総額 584 億ドルを見る前に、北米・欧州・他地域のトラックの台数 × シェア × 価格(物価 10 年 1.41 倍)と、部品(稼働台数 × 1 台あたり部品売上)、金融子会社の資産 × 利回りで売上を積み、利益率を置いた。山の年の利益に倍率を掛けず、北米の台数をならした 26〜27 万台(2015〜2025 年の平均 約 26 万台・推定)で置いた。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限(中立 10 年は 16.7 倍。k 8.75%・g は上限の 4%・RONIC = k + 1/2 ×(事業の ROE − k))の 7.6 割。金融子会社の利益も含めて掛けた。k は台数の循環の大きさ(cycle +1.0%)と値段の守り(pricing −0.25%)で quality +0.75%。事業の純現金 91 億ドルは余った現金として帳簿の値で足した。悲観側は谷の倍率や市場の評価倍率を根拠にせず、稼ぐ力の内側で置いた。結果は今の値段に寄せておらず、帳尻は合わせていない。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.75%。トラックの循環の深さを quality の cycle で見た。個別のリスク(関税・排ガス規制の前倒し需要の反動・EV 化)は k に足さず、悲観・やや悲観の確率と筋書きの数量・利益率で表した。存続を疑う要素はなく上乗せは 0。