結論
ジェイコブズ・ソリューション(Jacobs)は、水・交通・電力などのインフラと、データセンター・半導体工場・医薬工場などの先端施設の設計、工事管理、運営を請け負う技術サービス会社。2024 年 9 月に政府サービス(国防・宇宙・環境の運営請負)をアメンタム(Amentum)として切り離し、残ったのは「インフラ・先端施設(I&AF)」と、英国発のコンサルティング会社 PA コンサルティングの 2 本。この分析は分離済みの政府サービスを含まず、アメンタム株も 2025 年 3 月に手放したので純現金側に数えない。
2025 年 9 月期(台帳の表記は 2025/12)の調整後純売上は約 87 億ドル(パススルーを含む総売上は 120 億ドル)、GAAP 純利益は約 3 億ドルだが、アメンタム株の評価損、リストラ・取引費用、買収無形資産の償却で大きく削られた値で、会社の調整後 EPS の約 6 割。今の GAAP の PER が 50 倍超に見えるのはこのため。2026 年は受注残が 289 億ドル(+27%)、データセンターなど AI 関連が純売上の 11% に達し、先端施設は +24% で伸びる。
売上を「市場 × シェア × 価格」で 3 つのセグメントに積むと、中立の 10 年後(2035 年 9 月期)は純売上 約 164 億ドル、GAAP 純利益 約 16 億ドル。ただし結論の大半は、k が 7.0% と低く倍率が高く出る式と、設計・工事管理の利益率が競合(WSP・ステンテック)に近づく置き方から来ている。
倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)(k 9.00%・g 4.0%・事業の ROE 44%・堀は普通)で 10 年の中立の上限は 17.0 倍。その 7 割の 11.9 倍に置いた(設計・工事管理は人の稼働で売る事業で、顧客ごとの契約は短く堀は普通。AI で設計の時間が減る懸念があり、上限の 7.5 割)。総合は今の時価総額に対し -12%で「やや割高」。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ジェイコブズは「10 年後も存在し、今より強いか」と問えば存在する。公共インフラの老朽更新は止まらず、水の安全、電力網、半導体とデータセンターの工場は複雑で、設計の実績がある会社に偏る。堀は実績・人材・発注者との関係で、広がりはしないが、競合が少数にまとまる中で狭まる兆しも小さい。ただし最大の疑問は AI で、設計の作業時間が減るなら、人月で稼ぐ事業の売上の根拠が変わる。
オーナー利益で見ると、事業は資産が軽く、成長に要る元手は売上増の約 1 割の運転資本程度で、FCF は純利益に近い。GAAP の純利益は 2025 年にアメンタム株の評価損・PA の報酬契約・リストラで 3 億ドルまで落ちたが、一時要因を除いた実力は約 7〜8 億ドル(会社の調整後 EPS 見通しから償却を引いた推定。2026 年の調整後 EPS は約 19% 増の見通し)。資本配分は、事業の分離・PA の完全子会社化・M&A の停止と、方向は良い。割安でない時期にも自社株を買う癖は監視が要る。
値段は、今の時価総額が 2026 年の一時費用を除いた純利益のおよそ 22 倍。中立の 10 年後は純利益 約 16 億ドルと今の約 2 倍で、正当化 PER は 17 倍(k 9.0%・g 4.0%・ROE 44%)、置いた中立はその 7 割の 11.9 倍。結論は「やや割高」で、中立の 10 年後の時価総額は今の約 1.14 倍。ROE は自己資本が縮んだ分だけ高く出ており、安全域は資本政策が続くことと倍率の高さに頼る部分が大きい。確信度は「中」で、AI による置き換えと公共予算の読みづらさが理由。
何で稼ぐ会社か
売上の中身は 3 つ。(1) 重要インフラ・水・環境(調整後純売上 約 49 億ドルと推定):道路・鉄道・空港などの交通、送配電・発電の電力、上下水道と環境修復の設計・プロジェクト管理・運営。米国と英国、豪州が中心で、顧客は政府・公共団体・電力会社。(2) 先端施設(約 25 億ドルと推定):データセンター、半導体工場、医薬・バイオの工場の設計と建設管理。データセンターを中心とする AI 関連の直接の建設が 2026 年 6 月期の純売上の 11%、この市場(ライフサイエンス・先進製造)は 2026 年 4〜6 月期に +24%。(3) PA コンサルティング(約 12.7 億ドル):技術・イノベーション・デジタル・AI・政府向けの経営コンサルティング。営業利益率 約 22% と全社で最も高い。2026 年 3 月に残りの持ち分(約 9.2 億ドルの現金償還)を取得して完全子会社にした。
稼ぎ方は人月 × 単価が基本で、発注者の実費を精算する費用償還型と、固定価格型が混ざる。総売上 120 億ドルのうち約 3 割は下請け・資材のパススルーで利益率が低く、会社は純売上(パススルーを除く)で利益率を示す。2026 年の調整後 EBITDA 率の見通しは 14.7〜14.8%(純売上比)、調整後 FCF 率は約 8%。ほかに資産の重い事業は無く、設備投資は小さい。
会計では買収無形資産の償却(2025 年 9 月期は約 1.6 億ドル、税引き後で約 1.2 億ドル)とリストラ・取引費用が GAAP 純利益を下げる。この分析は費用のまま置き、償却は年とともに減る分だけ利益が戻ると見た(倍率で二重に上乗せしない)。
優良さと弱いところ
堀は、公共・民間の大型案件で選ばれる実績と技術者の層、発注者との長い関係、受注残の厚さ(289 億ドル)。設計と工事管理は失敗の損害が大きいため、発注者は実績のある会社に偏り、競合は大手数社(エーコム(AECOM)、WSP、ステンテック(Stantec))と数多い中小。先端施設は半導体工場やデータセンターの複雑な設計の経験がシェアの根拠になる。
弱みは 3 つ。第 1 に利益率。競合は WSP の調整後 EBITDA 率 19.1%、ステンテックの 2026 年見通し 17.8〜18.3%(第三者の要約)、エーコムの米州の調整後営業利益率 18.0%(建設管理の損失を除く)だが、ジェイコブズは 14.7〜14.8%。プロジェクト管理・運営・費用償還型の比率が高く、純売上の測り方も違うので単純比較はできないが、差は約 4pt ある。第 2 に、連結の合弁会社に関する不利な中間判決の引当金(2025 年)のように、大型プロジェクトの個別の損失が出る。第 3 に、2025 年は利益の大半が一時費用(アメンタム株の評価損、PA の報酬契約、リストラ)で消え、GAAP の利益が読みにくい。
資本効率は、自己資本が自社株買いで縮み帳簿の ROE は高く出る(2024 年 17.5%、直近は買収・償還で振れる)。資産の軽い事業で、成長に要る元手は売上増の約 1 割(運転資本)と小さい。経営は、分離でアメンタムを切り離し、PA を完全子会社にし、純レバレッジを 1.8 倍から 2027 年に約 1.5 倍へ下げ、M&A は当面しないと言っている。資本配分は悪くない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場は 3 つに分かれ、動く力が違う。インフラの設計・工事管理は、米国では 2021 年のインフラ投資・雇用法(IIJA)の予算が山を迎えており、その権限が 2026 年 9 月 30 日に失効した。下院の BUILD America 250 法案(H.R. 8870)が 5 月に委員会を通過(62 対 2)したが、高速道路信託基金の契約権限は約 4,744 億ドルで、約 1,060 億ドルが年次予算に依存する形に変わり、短期延長の議論も続く。IIJA 水準を保つには年 1,020 億ドル超が要り、信託基金の税収は約 440 億ドルなので、予算の山は過ぎたと見るのが慎重。それでも交通・電力・水の老朽更新は物価分を超えて続くので、市場は実質で年 +1〜2% と置いた。水・環境は 2026 年 4〜6 月期に +1% 強で、水は強く環境が弱い。
先端施設は、AI のデータセンター投資と半導体の国内生産が追い風で、ジェイコブズの受注残の伸び(+27%)と先端施設の純売上 +24% が裏付けになる。ただし投資の山は読みにくく、建設費が高騰すれば計画が延びる。ここは市場の実質の伸びを 3 年 年 +9%、10 年平均 年 +5% と置いた。
PA コンサルティングは、政府と企業の技術・AI 関連のコンサルで、英国政府の指導部の交代で案件の開始が遅れ、中東は一時停止(2026 年 4〜6 月期)。競合は大手コンサルとテック系の助言会社で、AI が助言業務そのものを置き換える圧力を受ける。全体を通じた構造変化は AI で、設計の図面作成や調査の時間が減れば、同じ仕事に要る人月が減り、請負の売上(時間 × 単価)が縮みうる。最大の分かれ目で、悲観の筋書きは市場の数量と価格にこれを入れた。
資本政策と M&A
還元は 2025 年 9 月期に自社株買い 7.5 億ドル・配当 1.5 億ドルで計 9 億ドル超、2026 年も 9 か月で自社株買い 6.1 億ドル・配当 1.2 億ドルを実行し、会社は FCF の 100% 超を還元すると言う。この分析の payout_oku は、配当 + 自社株買い − 株式報酬による新株の分(年約 0.7〜0.8 億ドル)。
資本の使い方で目立つのは 2 点。第 1 に PA コンサルティングの残り持分の取得(2026 年 3 月 20 日。約 9.2 億ドルの現金で、償還できる非支配持分約 10 億ドルを解消)で、純負債が増え、長期債務は 2025 年 9 月末の 22 億ドルから 2026 年 6 月末の 36 億ドルになった。この支出は 2026 年に済んでいるので、payout からは除き、純負債の出発点に入れてある。第 2 に、アメンタム株は 2025 年 3 月に約 1,946 万株を英ポンド建ての定期借入(約 2.4 億ポンド)の返済と交換して手放した。会社の持ち分は 0 で、条件つきでエスクローに残る約 973 万株は受け取れば株主に配ると会社が表明しているので、会社の資産に数えない。
純レバレッジは 1.8 倍、2027 年 9 月期末に約 1.5 倍の目標。M&A は当面しない。支配株主はなく、時価総額 165 億ドルで TOB の対象になる規模でもない。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 6.1 億ドル(10-Q・2025 年 9 月 27 日〜2026 年 6 月 26 日)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方は、いま起きている需要を実力と見る。受注残は 289 億ドルで +27%、2026 年 4〜6 月期の先端施設(ライフサイエンス・先進製造)は純売上 +24%、AI 関連の直接の建設は純売上の 11% で前期より 1pt 増えた。2026 年の純売上は +9.5〜10%、調整後 EBITDA 率は 14.7〜14.8% に上がり、調整後 EPS は約 19% 増える。この受注はデータセンター・半導体工場・水・電力網の設計と工事管理として 2027〜2029 年に売上になる。
分離でアメンタムを切り離し、PA を完全子会社にし、M&A を止めて FCF の 100% 超を還元している。資産の軽い事業なので FCF は純利益に近く、自社株買いで 2025 年は株数が 3% 減った。利益率は競合(WSP 19.1%・ステンテック 17.8〜18.3%・エーコム米州 18.0%)より約 4pt 低く、価格の決め方と事業構成が整えば、中立でも 2035 年に GAAP 純利益は今の約 2 倍の 16 億ドル、楽観なら 23 億ドルに届く。
さらに GAAP の純利益は 2025 年にアメンタム株の評価損 2.3 億ドルとリストラ・PA の報酬契約 1.6 億ドルで押し下げられており、これらは繰り返さない。式の倍率は高い ROE で出るので、成長しながら高い ROE で還元できるこの会社は、置いた倍率でも今の時価総額に近い本質価値を持つ。
慎重な見方
慎重な見方は、時点と置き換えを突く。第 1 に AI。設計の図面作成・調査・積算は AI で時間が減りやすく、人月 × 単価で稼ぐ事業では、同じ仕事の売上が縮み、値下げの圧力も受ける。顧客の公共団体は予算の説明責任があり、時間単価の引き下げを迫りやすい。第 2 に公共予算。IIJA は 2026 年 9 月 30 日に失効し、後継の法案は信託基金の契約権限を減らして残りを年次予算に回す形で、IIJA 水準(年 1,020 億ドル超)を保てる見通しは薄い。水・環境は 2026 年 4〜6 月期に +1% 強にとどまった。
第 3 に先端施設の山。データセンターの投資効率が疑われれば、受注と建設計画は同じ向きに崩れ、半導体は循環が大きい。第 4 に利益率。エーコムは建設管理の損失で 2026 年 4〜6 月期に営業損失を出し、費用償還型でなく固定価格型の大型案件は損失が出うる。ジェイコブズ自身も連結合弁会社の不利な中間判決の引当金を 2025 年に出した。第 5 に PA。英国政府の案件の開始遅れと中東の停止があり、コンサルは景気の影響を受けやすく、AI に助言そのものが置き換わる。
式の倍率の高さも疑わしい。ROE が自己資本の縮みで高く出るので正当化 PER が約 17 倍と出るが、10 年後に成熟した設計会社にこの倍率が付く保証はなく、倍率が 10 倍に縮むだけで本質価値は大きく目減りする。
どちらに重みを置いたか
強気の事実(受注残 +27%・先端施設 +24%・調整後 EBITDA 率の上昇・M&A の停止・還元)は確定した数字だが、慎重な見方の「AI による置き換え」「公共予算の崖」「先端施設の山」は 10 年で効くので、10 年は悲観側に 35%(やや悲観 23%・悲観 12%)を置いた。理由は、AI の影響が 10 年で効くため。事業の質と受注は強気、利益率と倍率は慎重な見方が正しい。結論は式が決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER の内側(中立は 7 割)に置いた結果、総合は今の時価総額に対し -12%で「やや割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 162.63 ドル191 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 80.91 ドル95 億ドル)。 今の値に割り戻すと 121.29 ドル143 億ドル、今との差 −17.1%、 期待の年率 +5.2%(資本コスト 9.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 318.57 ドル375 億ドル | 122.89 ドル145 億ドル | +201.8% | +11.7% | 39.73 ドル47 億ドル |
| やや楽観 | 21% | 232.11 ドル273 億ドル | 104.80 ドル123 億ドル | +130.4% | +8.7% | 70.75 ドル83 億ドル |
| 中立 | 35% | 161.45 ドル190 億ドル | 88.75 ドル105 億ドル | +71.1% | +5.5% | 87.57 ドル103 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 105.31 ドル124 億ドル | 60.38 ドル71 億ドル | +13.3% | +1.3% | 38.11 ドル45 億ドル |
| 悲観 | 12% | 37.37 ドル44 億ドル | 24.12 ドル28 億ドル | −58.0% | −8.3% | 7.38 ドル9 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 162.63 ドル191 億ドル | 80.91 ドル95 億ドル | +66.5% | +5.2% | 243.54 ドル287 億ドル |
今の株価時価総額 146.26 ドル172 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 9% 楽観:先端施設が 1,850 億ドルの市場で先行を保ち、利益率が競合の水準に近づく 利益 23 億ドル · PER 16.3 倍 · 株価時価総額 318.57 ドル375 億ドル
2035 年に先端施設の市場は 1,850 億ドル(今の 2.3 倍、年 +8.8%)、シェアは複雑な工場の設計の実績で 3.4% に上がり、純売上 89.9 億ドル、利益率 18%。重要インフラ・水・環境は IIJA の後継と電力網の更新で市場 2,897 億ドル(年 +1.9%)、シェア 2.15%、利益率 14%(WSP・ステンテックに近づく)、純売上 89.1 億ドル。PA は AI 助言の需要で市場 800 億ドル、シェア 2.3%、利益率 23%。価格は 1.43 倍。AI は設計の生産性を上げ、請負の単価を保ったまま利益率が上がる。2035 年の純売上は 205 億ドル、営業利益 33.0 億ドル、GAAP 純利益 23.0 億ドル。10 年間の還元は約 145 億ドル。この筋書きは、AI が味方になり、データセンターの投資が 2035 年まで落ちない前提で、楽観の端にある。
- 重要インフラ・水・環境:数量 2,897(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 3.1%(ジェイコブズのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 89 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場 2,897 億ドル × シェア 2.15% × 価格 1.43 倍
- 先端施設(データセンター・半導体・ライフサイエンス):数量 1,850(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 4.9%(ジェイコブズのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 90 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場 1,850 億ドル × シェア 3.40% × 価格 1.43 倍
- PA コンサルティング:数量 800(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 3.3%(PA のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 26 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 800 億ドル × シェア 2.30% × 価格 1.43 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 76.2%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.00%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 42.6%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 18.1 倍。先端施設で先行を保ち利益率が競合に近づく姿でも、堀は普通で AI の影響が 10 年先に確証が無いので、上限の 9.0 割の 16.3 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:楽観 9%。AI が味方になり、データセンターが 2035 年まで落ちず、利益率が競合に並ぶ前提は、10 年先に確証が無い。
やや楽観 21% やや楽観:先端施設が年 +7.5%、重要インフラは実質 +1.7% で安定 利益 19 億ドル · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 232.11 ドル273 億ドル
先端施設は市場 1,650 億ドル、シェア 3.25%、利益率 17.2%、純売上 76.1 億ドル。重要インフラ・水・環境は市場 2,842 億ドル、シェア 2.10%、利益率 13.5%、純売上 84.7 億ドル。PA は市場 780 億ドル、シェア 2.2%、利益率 22%。価格は 1.42 倍。AI による設計時間の減少は、生産性の向上でほぼ相殺される。先端施設は 2030 年代前半まで年 +7.5% 前後で伸びて AI 関連の需要が続き、PA はシェアを少し上げ、競合(WSP・ステンテック)との利益率の差は先端施設の実績で 3 分の 2 まで縮む。10 年の間の公共予算は IIJA 失効後の後継法で物価並みに保たれる。2035 年の純売上は 185 億ドル、営業利益 28.1 億ドル、純利益 19.4 億ドル。10 年間の還元は約 123 億ドル。
- 重要インフラ・水・環境:数量 2,842(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 3.0%(ジェイコブズのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 85 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 2,842 億ドル × シェア 2.10% × 価格 1.42 倍
- 先端施設(データセンター・半導体・ライフサイエンス):数量 1,650(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 4.6%(ジェイコブズのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 76 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場 1,650 億ドル × シェア 3.25% × 価格 1.42 倍
- PA コンサルティング:数量 780(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 3.1%(PA のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 24 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 780 億ドル × シェア 2.20% × 価格 1.42 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 57.9%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.00%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 33.5%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 17.6 倍。先端施設が年 +7.5% で伸び重要インフラが安定する姿でも、堀は普通なので、上限の 8.0 割の 14.1 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:やや楽観 21%。AI の影響が生産性の向上と相殺される。
中立 35% 中立:先端施設は 1,400 億ドル市場でシェア 3.1%、公共インフラは物価並み、利益率は競合に半分だけ近づく 利益 16 億ドル · PER 11.9 倍 · 株価時価総額 161.45 ドル190 億ドル
数量は、先端施設が 1,403 億ドルの市場(3 年は年 +9%、その後は年 +4.5%)でシェア 3.10%(競合に少し削られる)、重要インフラ・水・環境が 2,769 億ドルの市場(実質 年 +1.2%、AI による設計時間の減少と老朽更新が相殺)でシェア 2.04%(横ばい)、PA が 768 億ドルの市場(年 +2.5%)でシェア 2.10%。価格は物価並みの 1.41 倍。利益率は先端施設 16.5%、重要インフラ 13.0%、PA 21%(競合との約 4pt の差の半分を埋める)。純売上は 79.6・61.3・22.7 億ドルで合計 164 億ドル(2025 年の約 1.9 倍、年 +6.5%)。営業利益 23.5 億ドル(償却 0.7 億ドルへ減少)、純利益 16.0 億ドル。10 年間の還元は約 104 億ドル。
- 重要インフラ・水・環境:数量 2,769(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 2.9%(ジェイコブズのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 80 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 2,769 億ドル × シェア 2.04% × 価格 1.41 倍
- 先端施設(データセンター・半導体・ライフサイエンス):数量 1,403(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 4.4%(ジェイコブズのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 61 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 1,403 億ドル × シェア 3.10% × 価格 1.41 倍
- PA コンサルティング:数量 768(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 3.0%(PA のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 23 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 768 億ドル × シェア 2.10% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 43.8%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.00%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 26.4%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 17.0 倍。公共インフラは物価並み・先端施設は競合に少し削られる姿で、堀は普通で自己資本が縮んだ分 ROE が高く出ているので、上限の 7.0 割の 11.9 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:中立 35%。公共インフラは物価並み、先端施設は競合に少し削られる素直な筋書き。
やや悲観 23% やや悲観:AI で設計の時間が減り、価格と市場が縮む 利益 11 億ドル · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 105.31 ドル124 億ドル
AI による設計・調査の効率化が進み、同じ仕事の人月が減る。重要インフラ・水・環境の市場は 2,523 億ドル(今の 105%、実質 年 +0.5%)、シェア 1.95%、利益率 11.8%。先端施設は市場 1,100 億ドル(データセンターの山が過ぎて年 +3.2%)、シェア 2.95%、利益率 15%。PA はコンサルの AI 化で市場 680 億ドル、シェア 2.0%、利益率 19.5%。価格は物価を下回る 1.38 倍。2035 年の純売上は 132 億ドル、営業利益 16.5 億ドル、純利益 10.7 億ドル。10 年間の還元は約 71.1 億ドル。
- 重要インフラ・水・環境:数量 2,523(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 2.7%(ジェイコブズのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 68 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 2,523 億ドル × シェア 1.95% × 価格 1.38 倍
- 先端施設(データセンター・半導体・ライフサイエンス):数量 1,100(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 4.1%(ジェイコブズのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 45 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 1,100 億ドル × シェア 2.95% × 価格 1.38 倍
- PA コンサルティング:数量 680(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 2.8%(PA のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 19 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 680 億ドル × シェア 2.00% × 価格 1.38 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 26.2%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.00%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 17.6%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 15.4 倍。AI で設計の時間が減り価格と市場が縮む姿なので、上限の 7.5 割の 11.6 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:やや悲観 23%。AI による設計時間の減少と価格の低下が、10 年で効きやすい。
悲観 12% 悲観:AI に設計の仕事を奪われ、優良な技術サービス会社でなくなる 利益 5 億ドル · PER 9.6 倍 · 株価時価総額 37.37 ドル44 億ドル
構造的に負ける筋書き。AI が設計・調査・積算・助言の作業の多くを置き換え、重要インフラ・水・環境の市場は 2,330 億ドル(今の 97%)、シェア 1.8%、先端施設は需要の山が過ぎた後に自前の設計・標準化で市場 780 億ドル(今の 97.5%)、シェア 2.6%、PA は助言の置き換えで市場 560 億ドル、シェア 1.8%。公共団体は時間単価の引き下げと成果型への変更を迫り、価格は 1.33 倍(物価より低い)。利益率は重要インフラ 9.5%、先端施設 12%、PA 15%。固定価格型の大型案件の損失も出る。2035 年の純売上は 96 億ドル、営業利益 8.5 億ドル、純利益 4.6 億ドル。10 年間の還元は約 28.4 億ドルに縮む。
- 重要インフラ・水・環境:数量 2,330(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 2.4%(ジェイコブズのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 56 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 2,330 億ドル × シェア 1.80% × 価格 1.33 倍
- 先端施設(データセンター・半導体・ライフサイエンス):数量 780(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 3.5%(ジェイコブズのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 27 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 780 億ドル × シェア 2.60% × 価格 1.33 倍
- PA コンサルティング:数量 560(対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア)× 価格 2.4%(PA のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 13 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 560 億ドル × シェア 1.80% × 価格 1.33 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 10.9%(純利益 ÷ 自己資本)、k 9.00%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 10.0%。長期の g 4.0% で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 12.0 倍。AI に設計の仕事を置き換えられ構造的に優良でなくなる姿なので、稼ぐ力(純利益÷k)の内側に、上限の 8.0 割の 9.6 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:悲観 12%。AI に設計・助言の仕事を置き換えられ、構造的に優良でなくなる。確率は慎重に厚めに置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
重要インフラ・水・環境
交通(道路・鉄道・空港)、電力(送配電・発電)、上下水道と環境修復の設計・プロジェクト管理・運営。顧客は政府・公共団体・電力会社。
| 数量対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア | 価格ジェイコブズのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,400 | 2.0% | 49 | 5 |
| 10 年後 中立 | 2,769 | 2.9% | 80 | 10 |
取り方:調整後純売上(パススルーを除く)で置く。会社は I&AF の純売上 74.3 億ドルを重要インフラ・先端施設(ライフサイエンス・先進製造)・水・環境の 3 つの市場で開示するが、金額の割合を確認できなかったので、I&AF の純売上のうち先端施設を約 25 億ドルと推定し、残りの約 49 億ドルをこのセグメントとした。市場 2,400 億ドルは、米国・英国・豪州などの公共インフラの設計・工事管理・技術コンサルの対象市場の推定(エーコム・WSP・ステンテック・ジェイコブズなど大手の合計が 3 割弱)で、シェア 2.04% = 49 ÷ 2,400。営業利益率 11.0%(I&AF のセグメント営業利益 9.04 億ドルを、先端施設の利益率を高く置いて 2 つに分けた推定)。
先端施設(データセンター・半導体・ライフサイエンス)
データセンター、半導体工場、医薬・バイオ工場の設計と建設管理。AI 関連の直接の建設は純売上の 11%(2026 年 6 月期)。
| 数量対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア | 価格ジェイコブズのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 800 | 3.2% | 25 | 4 |
| 10 年後 中立 | 1,403 | 4.4% | 61 | 10 |
取り方:先端施設の設計・建設管理の対象市場を 800 億ドルと推定(データセンター・半導体・ライフサイエンスの設計・EPCM 費用の部分。工事そのものは含まない)。シェア 3.16% = 25.3 ÷ 800。純売上 25.3 億ドルは、2026 年 6 月期のデータセンターなど AI 関連が純売上の 11%(約 10 億ドル)、残りが半導体・ライフサイエンスとして推定。営業利益率 14.4%(重要インフラより高いと置いた推定。2026 年 4〜6 月期に I&AF の営業利益が +14% で純売上 +10% を上回ったことを根拠に、先端施設の利益率が高いと見た)。
PA コンサルティング
英国発の経営コンサルティング。技術・イノベーション・デジタル・AI・政府向け。2026 年 3 月に残りの持ち分を取得して完全子会社。
| 数量対象市場の規模(億ドル、2025 年の実質。推定)× シェア | 価格PA のシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 600 | 2.1% | 13 | 3 |
| 10 年後 中立 | 768 | 3.0% | 23 | 5 |
取り方:売上 12.66 億ドル、セグメント営業利益 2.78 億ドル(営業利益率 22%)は 2025 年 9 月期の開示値。市場 600 億ドルは、英国・欧州・米国の技術・イノベーション・政府向けの経営コンサルティングの対象市場の推定で、シェア 2.11% = 12.66 ÷ 600。受注残 4.2 億ドル。
リスクと懸念
AI による設計・調査時間の減少
設計の図面作成、調査、積算、プロジェクト管理の事務は AI で時間が減りやすい。人月 × 単価で稼ぐ事業は、同じ仕事の売上が縮み、公共団体は時間単価の引き下げを迫りやすい。10 年の悲観は市場の数量を今の約 97%(実質で年 −0.3%)、価格を 1.33 倍(物価より低い)に置いた。この分析で最も大きいリスク。
公共インフラ予算の崖
IIJA の権限は 2026 年 9 月 30 日に失効し、短期延長の議論が続く。下院の後継法案(H.R. 8870)は高速道路信託基金の契約権限約 4,744 億ドルに対し、約 1,060 億ドルを年次予算に回す形で、IIJA の水準(年 1,020 億ドル超)は信託基金の税収(約 440 億ドル)では賄えない。10 年の悲観は重要インフラ・水・環境の市場を今の 97% に置いた。
先端施設(データセンター・半導体)の山
AI 関連の直接の建設は純売上の 11%、先端施設は 2026 年に +24% で伸びるが、投資効率が疑われれば同じ向きに崩れる。半導体は循環も大きい。10 年の悲観は構造的な需要の縮小で市場が今の 97%、シェア 2.6% を置いた。
利益率の差と固定価格型の大型案件
競合の調整後 EBITDA 率(WSP 19.1%・ステンテック 17.8〜18.3% の見通し)よりジェイコブズは約 4pt 低い(14.7〜14.8%)。費用償還型でない大型案件では損失が出うる。エーコムは建設管理の損失で 2026 年 4〜6 月期に営業損失を出し、ジェイコブズも連結合弁会社の不利な中間判決の引当金を 2025 年に出した。中立は 10 年で全社の営業利益率(GAAP)を約 14% まで上げるが、競合との差は残す。
PA コンサルティングの景気感応度
英国政府の指導部の交代で案件の開始が遅れ、中東は一時停止(2026 年 4〜6 月期)。営業利益率は約 22% と高く、セグメント利益の約 4 分の 1 を稼ぐ(2025 年 9 月期の営業利益 2.8 億ドル)ので、景気や政府予算が崩れると利益が大きく動く。残りの持ち分を 9.2 億ドルで買ったため、のれんの減損も出うる。
GAAP の利益の読みにくさと償却・リストラ
2025 年は GAAP 純利益 3.1 億ドルのうち、アメンタム株の評価損 2.3 億ドル、リストラ・取引費用 1.6 億ドル、償却 1.6 億ドルが出た。2026 年も PA の報酬契約でリストラ・取引費用が 9 か月で 4.0 億ドル、第 3 四半期の GAAP 税率は 43.4%。この分析は 2026 年を一時費用で押し下げたまま置き、2027 年以降は平常の償却(年 1.2 億ドル前後から減少)とリストラ(年 0.3 億ドル)のみを入れた。
倍率の高さへの依存
利益ベースの正当化 PER は中立の 10 年後で約 17 倍(k 9.0%・g 4.0%・ROE 44%)で、その 7 割の 11.9 倍に置いた。ROE は自己資本が縮んだ分だけ高く出ており、成熟した設計会社にこの倍率が付き続ける保証は無い。倍率が 10 倍に縮めば、中立の 10 年後の時価総額は 160 億ドルと今(166 億ドル)を下回り、結論は今の判定より割高側へ動く。
今後の分かれ目
- IIJA の後継法案が成立せず、短期延長が続いて 2027 年も信託基金の契約権限が IIJA 水準を下回る
- 重要インフラ・水・環境の市場の伸び(実質 +2%)が +1% 以下に落ち、やや悲観に寄る。純売上は数年で約 2 億ドル減り、確率を悲観側へ 1 割動かす。
- 2027 年に先端施設(ライフサイエンス・先進製造)の純売上の伸びが 10% を割り、AI 関連の割合が 11% から下がる
- 先端施設の市場(年 +9%)の置き方が崩れ、やや悲観〜悲観の確率が上がる。先端施設の純売上は 37 億ドルから 31 億ドル前後にとどまり、数年後の純利益は 9.2 億ドルから 7 億ドル台へ。
- 調整後 EBITDA 率が 2027 年に 15.5% を超え、16% 台に乗る
- 競合との利益率の差が縮み始めた証拠で、中立の 10 年が楽観寄りに動く。10 年の営業利益率 14% の置き方が上振れし、本質価値はさらに増える。
- 大手の公共団体・企業が AI を使った設計の単価の引き下げや発注の変更(時間単価から成果型)を一斉に求める
- 10 年の価格 1.41 倍が 1.38 倍→1.33 倍へ下がり、市場の数量も減るので、やや悲観〜悲観の筋書きに寄る。確率を悲観側へ動かす。
- PA コンサルティングの売上が 2 四半期続けて前年を下回り、営業利益率が 20% を割る
- PA の 10 年の売上 22.7 億ドル・利益率 21% の置き方が下振れし、取得したばかりの持ち分の減損の懸念も出る。10 年の中立が 1 割下がる。
- 大型の固定価格契約で損失が出る(建設管理・合弁)
- セグメント利益率が 1〜2pt 下がり、10 年のやや悲観に寄る。会社は M&A を止めているので、買収の失敗は当面ない。
見ておくもの
- 受注残(2026 年 6 月末 289 億ドル、+27%)と受注比(TTM 純売上ベース 1.2 倍)、先端施設・データセンターの純売上の伸びと割合(11%)
- 調整後 EBITDA 率(2026 年 14.7〜14.8% の見通し)と、競合(WSP 19.1%・ステンテック・エーコム米州 18.0%)との差
- IIJA の後継法案・信託基金の契約権限、水・環境の純売上の伸び(+1% 強からの戻り)
- PA コンサルティングの売上と営業利益率(約 22%)、英国政府と中東の案件の再開
- 純レバレッジ(1.8 倍→2027 年に約 1.5 倍)、自社株買い(FCF の 100% 超)と GAAP の純利益・償却・リストラ費用
- AI による設計・調査の時間の減少が受注の単価・契約の形に出ているか(時間単価から成果型への変更)
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見る前に、数量 × 価格で積んだ利益から利益ベースの正当化 PER((1−g/RONIC)/(k−g)、RONIC=k+残る割合×(事業の ROE−k))で出した。10 年の中立は正当化 PER の上限 17.0 倍(k 9.00%・g 4.0%・ROE 44%・堀は普通)の 7 割 = 11.9 倍。設計・工事管理は人の稼働で売る事業で、顧客ごとの契約は短く堀は普通。AI で設計の時間が減る懸念があり、 悲観側は構造的な負けの筋書きとして上限の内側に置いた。今の株価や過去の倍率に寄せて選んだ値ではなく、全筋書きが検査の上限(正当化 PER × 事業の純利益の 1.1 倍)の内側に収まっている。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β 0.80 × 5%。k = 基本 8.0% + quality 1.0% = 9.0%。公共予算と民間投資に連れて受注が動き循環に +0.25%、固定価格型の大型案件の損と AI による時間単価の低下で値決めに +0.25%、純負債は時価総額の約 17% で借金は 0、AI が設計の作業を置き換える構造の変化が 10 年で効くので寿命に +0.5%。公共予算の崖・先端施設の山などの個別のリスクは k に足さず、筋書きの数量・利益率と確率(悲観を厚く)で表した。上乗せは 0。