結論
ベリスクは、米国の損害保険会社に約款・統計・引受データ、大災害モデル、請求分析を年間契約で売る会社で、2025 年の売上は 30.7 億ドル、GAAP の営業利益率は 44.8%。筆者の結論は割高で、約款と統計は記録の正本・業界共同の標準として堀を認めたが、請求分析(Xactimate など)は AI 見積りで単価が下がる側として分けた。
約款・統計(ISO)と生保・海外の引受データは、全米の損保が同じものを使う標準で、州の規制当局への説明にも結びつき、何十年分の統計は新規参入が数年で作れない。開示の証拠が 3 つ揃うので、この部分だけ g を +1.5% とした(全社では利益比で0.9%)。数量は保険料の名目の伸びに連動するため、実質で 0.93 倍に当たる水準を名目で置き、売上は今の約 1.2 倍にとどめた(記録の正本の 0.85〜1.0 倍・価格 1.15〜1.34 倍の範囲)。請求分析は AI 見積りが採用を広げる一方で 1 件あたり単価を下げ、数量1.30倍(名目)・価格0.86倍とした。
中立の売上は今の1.18倍の35.4億ドル、純利益は9.7億ドル。k は基本 8.0% に上乗せ-0.25%で7.75%、倍率は14.0倍。やや悲観と悲観の確率は合わせて35%。本質価値は 105億ドル、今の時価総額 250億ドル に対して-58%で、評価は割高。堀は本物だが、10 年の売上が約 1.8 倍という元の置き方は、AI の自前化が進む時代に強すぎた。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、約款・統計は全米の損保が同じものを使う業界共同の標準で、州の規制当局への説明にも結びつく。何十年分の統計は新規参入が数年では作れない。開示の証拠が 3 つ揃うので、10 年後も存在する確信が高く、この部分だけ長く続く値上げを認める。
一方、請求分析は AI 見積りで単価が下がり、大災害モデルには競合がある。有機成長が 4 四半期連続で目標を下回った点は、強さが落ちてきたしるしとして見る。資本は軽く、フリーキャッシュフローの 75% 以上を返す方針で、純負債は EBITDA の 2〜3 倍に保つ。
本質価値は 105億ドル で、今の時価総額 250億ドル に対して-58%。堀の部分にだけ高い値を払い、請求分析には払わない。10 年後の利益への確信は中〜高めだが、安全域は厚くない。
何で稼ぐ会社か
売上の約 7 割は「引受(アンダーライティング)」で、会社の報告上の 2 つの区分の大きい方。中身は 3 つに分けて見る。第 1 は損保向けの約款・統計・引受データ(ISO)。保険の標準約款、料率の元になる損害統計(損害率)、規則を全米の損保に配り、各社は州への届け出や商品設計にこれを使う。使われていない損保はほとんどなく、年間契約で毎年値上げされる。第 2 は大災害モデル。ハリケーン・地震・山火事・洪水で保険会社がどれだけ払うかを確率で出し、再保険の購入や自己資本の計画の根拠になる。第 3 は生保の引受データ・海外・その他で、最近は売却したマーケティング事業(2025 年売上 0.68 億ドル)も外れた。
残りの約 3 割は「請求(クレーム)」。中心は火災・風水害の修理費を見積もる Xactimate(ザクティウ〈Xactware〉の製品)で、保険会社と修理業者が同じ単価表を使って金額を決める。そこに不正請求を見つける分析(クレームサーチ〈ClaimSearch〉)、賠償責任保険の分析が加わる。売上の 83% が定額の購読、17% が件数に応じた従量課金で、従量課金は嵐が少ない年に減る。
注意点は、会社が開示するのは「引受」と「請求」の 2 区分だけで、ISO・大災害モデル・生保・海外の売上は分かれていないこと。本分析では 2026 年 3 月の投資家説明会の資料などから、ISO 10.4 億ドル、生保・海外 6.0 億ドル、大災害モデル 4.7 億ドル、請求 8.9 億ドルと推定した(足すと 30.0 億ドルで、売却したマーケティング事業を除く)。大災害モデルは会社の長期目標が年 8.5〜9% と、4 区分で最も速い。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 は標準であること。ISO の約款と損害統計は全米の損保が同じものを使い、1 社だけ別の約款に変えると、他社と比べられず、州の規制当局への説明も難しくなる。Xactimate も同じで、保険会社と修理業者が同じ単価表で話すので、片方だけ別の見積りに替えにくい。第 2 はデータの蓄積。全米の請求(クレームサーチ)と何十年分の損害統計は、新しい会社が数年では作れない。第 3 は値上げの力。会社は年に 3.5〜4.5 ポイントの価格上昇(成長目標 6〜8% の半分強)を見込み、物価 3.5% の世界でも通る契約が多い。
資本効率は極めて高い。設備はほとんど要らず、営業利益率 44.8%、設備投資は売上の 8% 台。帳簿の ROE 294% は、自社株買いで自己資本が 3 億ドルまで縮んだ見かけで、実際の資本効率は ROIC(税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債))の約 34%。経営は買収を絞り込み、2022 年にエネルギー調査(ウッドマッケンジー)を売り、2025 年にマーケティング事業を売って、損保一本に集中してきた。
弱い点は 4 つ。(1) 売上の 2〜2.5 割が元受保険料の伸びに連動し、保険料が下がる軟調な局面(今の商業用不動産の保険)では伸びが鈍る。(2) 損保が自社で AI を作り、データを内製すれば、標準データの価値が下がる。(3) 請求側の売上は天候に左右される。(4) 独占に近いので、反トラストと取引先の訴訟(JP モルガンの営業秘密訴訟、AccuLynx の件)を抱える。有機成長が 4 四半期連続で目標の 6% を下回った点も、強さが落ちてきたしるしとして見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の損害保険の元受保険料は 2025 年に約 1.1 兆ドル(前年比 +5%)。保険料の伸びは「物価(3.5%)+ 補償の対象の実質的な増加(0.5〜1%)」で、保険の値上げ(料率改定)が続く硬い市場では年 +6〜10%、競争で料率が下がる軟調な市場では +2〜3% まで落ちる。2023〜25 年は自動車・住宅で値上げが続いて硬かったが、2026 年は商業用不動産の料率が軟らかく、保険会社の見積り件数が減っている。会社の目標 6〜8% は、過去の硬い市場で 7.3%、軟らかい市場で 6.8% の成長だった。
競合は領域ごとに違う。大災害モデルは、モーディーズ(Moody's RMS)とベリスクの 2 社が大半を占め(2025 年の保険会社の調査)、米国ではベリスク、欧州ではモーディーズが強い。コタリティ(Cotality、旧コアロジック)・カレン・クラーク(KCC)・JBA などは各 5% 未満。請求の見積りでは Xactimate が事実上の標準で、コタリティの Symbility・イーグルビュー・ホバー・AccuLynx などが周辺を削る。自動車保険の分野ではベリスクは挑戦者(会社の売上の約 1 割)で、先行する競合を追う立場。
構造の変化は AI。会社は 35 件超の AI 案件を動かし、2026 年にはアンスロピック(Anthropic)の Claude 向けの接続機能を出し、請求の AI 見積り(ザクティウ AI〈XactAI〉)は約 7,000 の利用者が使う。ただし大手の保険会社への展開は、データの権利や法務の審査で遅れている。保険会社が自前の大規模言語モデル(LLM)でデータを扱うか、ベリスクのデータを AI 経由で買い続けるかが分かれ目。循環の位置は、天候の少ない年(2025 年のハリケーン、2026 年の前半)の従量課金の谷と、保険料の軟調な時期が重なる底に近い局面。
【AIエージェント代替】損保向けの標準データは AI の影響を受けにくいが、請求分析は AI 見積りで単価が下がり、損保の自前化も進みうる。記録の正本の 0.85〜1.0 倍・価格 1.15〜1.34 倍の範囲で、中立の売上は今の1.18倍と置いた。
資本政策と M&A
還元の方針は、フリーキャッシュフローの 75% 以上を配当と自社株買いで返し、純負債÷EBITDA を 2〜3 倍に保つこと。2026 年は 15 億ドルの加速型自社株買いを実施し、上半期だけで 19 億ドル(約 850 万株)を買い、残り枠は約 8 億ドル。配当は 11% 引き上げた。このため純負債は 2025 年末の 27 億ドルから、2026 年に 40 億ドル台へ増える(2.4 倍の水準を保つとして筋書きに入れた)。借金は借り換えで 5.75%(brief の指標どおり)として純利益に入れた。
M&A は、2025 年 7 月に発表した AccuLynx(屋根工事向けソフト、23.5 億ドルの現金)を、FTC の審査の遅れで 12 月に打ち切った。ところが相手が争い、デラウェア州の衡平法裁判所は 2026 年 8 月に、打ち切りは有効でないとして、独禁当局の承認を取りにいき、通れば買うよう命じた。本分析は未成立の買収として筋書きに入れず、成立すれば約 24 億ドルの現金が出て、その間は 75% の還元を止めると会社が言っていることを文章で触れる。成立済みの小口はマッケンジー・インテリジェンス(McKenzie Intelligence)だけで、売上は小さい。
ベリスク自身が買われる可能性は、時価総額が約 230 億ドルと大きく、データの寡占への反トラストの懸念もあり、低いとみる。
決算期末後〜最新四半期にすでに実行した自社株買い 19.0 億ドル(10-Q のキャッシュフロー)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元には数えず、自己資本の起点(直近期末 3.1 億ドル)からも外した。
【還元の置き方】10 年の還元は純利益の累計の約 100% と置いた(借金を足して純利益並みを返す会社)。残らない分は、伸びが止まる中立の筋書きでは成長に回す元手が要らないため返す。株式報酬は GAAP の純利益ですでに費用として引いている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
AI はベリスクのデータの価値を上げる。保険会社が大規模言語モデルを入れるほど、モデルに食べさせる信頼できるデータが要り、ベリスクの約款・統計・請求の蓄積はその源になる。2026 年にはアンスロピックの Claude 向けの接続機能を出し、すでに大手の 1 社が使っている。ザクティウ AI の利用者は 3 月から約 10 倍に増えた。価格は購読の値上げ、従量課金、プラットフォームの利用料の 3 つで取れる。
数量も底堅い。米国の損保の保険料は 10 年で 1.5〜1.6 倍になり、軟らかい局面は 1〜2 年で戻る。ISO の新しい約款・損害統計の提供(コア・ラインズ・リイマジン)は 2026 年に 25 件の公開を予定し、1 契約あたりの単価と使われる領域を同時に広げる。大災害モデルは長期目標が年 8.5〜9% で、山火事・洪水・サイバーに広がる。請求では不正対策と見積りの AI で、保険会社の 1 件あたりの費用を下げながら採用が増える。
利益率は 4 区分とも上がる。会社の目標は EBITDA 率を年 25〜75 ベーシスポイント上げること。10 年で営業利益率が 52% に届けば、純利益は今の 2.3 倍の 21 億ドル。式の PER 39 倍なら時価総額は 800 億ドル台になる。
慎重な見方
標準データは、保険会社が自前で作れば価値が落ちる。大手の保険会社は自社の請求・引受データに AI を使い、外部の標準データの購入を減らす圧力がかかる。会社自身が「保険会社の内製の LLM と、データの保護の問題を見ている」と言うとおり、AI 関連の営業は法務の審査で長引いている。有機成長が 4 四半期連続で目標の 6% を割り、2026 年 4〜6 月の純利益は 10% 減った(税率・利払い・訴訟費用の増加)。
請求の売上は嵐で決まる。ハリケーンが来ない年は従量課金が 4% 減り、軟らかい商業用不動産の市場は見積り件数を減らす。Xactimate の単価表を競合の見積りソフトに渡す方針の変更が、AccuLynx の訴訟で独禁当局の論点になり、標準としての囲い込みが逆に規制の標的になる可能性がある。JP モルガンの営業秘密の訴訟も続く。
3 年で借金を 15 億ドル超増やして自社株を買う戦略は、株価が下がれば裏目に出る。景気後退で保険料が減ると、固定費が重く、営業利益率が 38% 台まで下がりうる。10 年後に内製化と値下げが進めば、売上は横ばいで利益率 36%、PER 20 倍で、時価総額は今の約半分。 損保の自前化と AI 見積りで請求分析が崩れ、標準の値上げも反トラストで止まれば、利益率の高さがそのまま下落の幅になる。
どちらに重みを置いたか
強気は標準データの寡占と高い利益率を言い、慎重は AI 見積りと損保の自前化、反トラストを言う。堀の部分(約款・統計・引受データ)にだけ g を認め、請求分析と大災害モデルは堀に含めなかった。数量は保険料の名目の伸びを使うので、実質 0.93 倍相当に直して置いた。やや悲観と悲観を合わせて35%。AI 代替は数量・価格に主に入れ、k・g では重ねていない。結論は割高。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 93.85 ドル123 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 51.90 ドル68 億ドル)。 今の値に割り戻すと 80.22 ドル105 億ドル、今との差 −60.5%、 期待の年率 −3.3%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 115.63 ドル151 億ドル | 61.94 ドル81 億ドル | −12.7% | −1.3% | 12.43 ドル16 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 109.21 ドル143 億ドル | 59.65 ドル78 億ドル | −17.0% | −1.8% | 33.77 ドル44 億ドル |
| 中立 | 38% | 103.93 ドル136 億ドル | 57.36 ドル75 億ドル | −20.7% | −2.3% | 61.29 ドル80 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 79.84 ドル104 億ドル | 48.18 ドル63 億ドル | −37.0% | −4.5% | 29.44 ドル39 億ドル |
| 悲観 | 12% | 50.47 ドル66 億ドル | 22.94 ドル30 億ドル | −63.9% | −9.7% | 8.81 ドル12 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 93.85 ドル123 億ドル | 51.90 ドル68 億ドル | −28.3% | −3.3% | 145.74 ドル191 億ドル |
今の株価時価総額 203.33 ドル266 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 標準データの値上げが通り、請求分析の AI 見積りも取り込む 利益 11 億ドル · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 115.63 ドル151 億ドル
ISO の約款・統計の値上げが保険料の伸びを上回って通り、大災害モデルも新モデルで伸びる最良の筋書き。AI を自社の売り物にして金額の売上が出る開示は確かめられないので、数量は保険料の名目の伸びの範囲。売上は37.8億ドル、純利益は10.8億ドル。 内訳は損保向けの約款・統計・引受データ=数量1.31倍・価格0.96倍・利益率56.6%、生保・海外・その他の引受データ=数量1.34倍・価格0.96倍・利益率40.8%、大災害モデル=数量1.36倍・価格0.98倍・利益率42.3%、保険金請求の分析=数量1.30倍・価格0.92倍・利益率38.5%。 この筋書きの確率は7%。結果は、売上が今の1.26倍の37.8億ドル、営業利益17.4億ドル、純利益10.8億ドル、自己資本3.0億ドル、10年の正味の還元81.0億ドル、時価総額151億ドル(PER14.0倍)。
- 損保向けの約款・統計・引受データ(ISO ほか):数量 10,470(損保の元受保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(データが関わる保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率=料金水準))→ 売上 13 億ドル・営業利益 7 億ドル。数量1.31倍・価格0.96倍・営業利益率56.5%(記録の正本型)
- 生保・海外・その他の引受データ:数量 8,844(対象の保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 8 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量1.34倍・価格0.96倍・営業利益率40.8%(記録の正本型)
- 大災害モデル(カタストロフィ・リスク):数量 12,832(損保の元受保険料 × モデル利用の浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 6 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量1.36倍・価格0.98倍・営業利益率42.3%(記録の正本型)
- 保険金請求の分析(ザクティウ〈Xactware〉・不正対策ほか):数量 8,658(損保の元受保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 11 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量1.30倍・価格0.92倍・営業利益率38.5%(人月と記録の正本の混合)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.90%(記録の正本の部分だけ物価並みの値上げが続く。利益の加重)の正当化PER:事業のROE34.0%、RONIC=k+0.50×(ROE−k)=20.9%、(1−g÷RONIC)÷(k−g)=14.0倍。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:AI の売上の金額開示は確かめられず、楽観でも保険料の名目の伸びの範囲。堀が厚いので 7%。
やや楽観 20% 標準の堀が効き、請求分析の単価の下がりが緩やか 利益 10 億ドル · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 109.21 ドル143 億ドル
約款・統計は1.31倍(名目の数量)、価格は0.93倍。請求分析は AI 見積りで単価が緩やかに下がる。売上は36.4億ドル、純利益は10.2億ドル。 内訳は損保向けの約款・統計・引受データ=数量1.31倍・価格0.93倍・利益率55.4%、生保・海外・その他の引受データ=数量1.34倍・価格0.93倍・利益率40.0%、大災害モデル=数量1.36倍・価格0.95倍・利益率41.4%、保険金請求の分析=数量1.30倍・価格0.89倍・利益率37.7%。 この筋書きの確率は20%。結果は、売上が今の1.21倍の36.4億ドル、営業利益16.4億ドル、純利益10.2億ドル、自己資本3.0億ドル、10年の正味の還元78.0億ドル、時価総額143億ドル(PER14.0倍)。
- 損保向けの約款・統計・引受データ(ISO ほか):数量 10,470(損保の元受保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(データが関わる保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率=料金水準))→ 売上 13 億ドル・営業利益 7 億ドル。数量1.31倍・価格0.93倍・営業利益率55.5%(記録の正本型)
- 生保・海外・その他の引受データ:数量 8,844(対象の保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 7 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量1.34倍・価格0.93倍・営業利益率40.0%(記録の正本型)
- 大災害モデル(カタストロフィ・リスク):数量 12,832(損保の元受保険料 × モデル利用の浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 6 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量1.36倍・価格0.95倍・営業利益率41.5%(記録の正本型)
- 保険金請求の分析(ザクティウ〈Xactware〉・不正対策ほか):数量 8,658(損保の元受保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 10 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量1.30倍・価格0.89倍・営業利益率37.8%(人月と記録の正本の混合)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.90%(記録の正本の部分だけ物価並みの値上げが続く。利益の加重)の正当化PER:事業のROE34.0%、RONIC=k+0.50×(ROE−k)=20.9%、(1−g÷RONIC)÷(k−g)=14.0倍。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:標準の堀が効く筋書き。20%。
中立 38% 標準データは伸びるが、請求分析の単価が AI 見積りで下がる 利益 10 億ドル · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 103.93 ドル136 億ドル
約款・統計は数量1.31倍・価格0.90倍、大災害モデルは1.36倍・0.92倍。請求分析は AI 見積りで単価が下がり1.30倍・0.86倍、利益率37.1%。売上は35.4億ドル、営業利益は15.6億ドル、純利益は9.7億ドル。 内訳は損保向けの約款・統計・引受データ=数量1.31倍・価格0.90倍・利益率54.4%、生保・海外・その他の引受データ=数量1.34倍・価格0.90倍・利益率39.2%、大災害モデル=数量1.36倍・価格0.92倍・利益率40.6%、保険金請求の分析=数量1.30倍・価格0.86倍・利益率37.1%。 この筋書きの確率は38%。結果は、売上が今の1.18倍の35.4億ドル、営業利益15.6億ドル、純利益9.7億ドル、自己資本3.0億ドル、10年の正味の還元75.0億ドル、時価総額136億ドル(PER14.0倍)。
- 損保向けの約款・統計・引受データ(ISO ほか):数量 10,470(損保の元受保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(データが関わる保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率=料金水準))→ 売上 12 億ドル・営業利益 7 億ドル。数量1.31倍・価格0.90倍・営業利益率54.4%(記録の正本型)
- 生保・海外・その他の引受データ:数量 8,844(対象の保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 7 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量1.34倍・価格0.90倍・営業利益率39.2%(記録の正本型)
- 大災害モデル(カタストロフィ・リスク):数量 12,832(損保の元受保険料 × モデル利用の浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 6 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量1.36倍・価格0.92倍・営業利益率40.7%(記録の正本型)
- 保険金請求の分析(ザクティウ〈Xactware〉・不正対策ほか):数量 8,658(損保の元受保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 10 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量1.30倍・価格0.86倍・営業利益率37.0%(人月と記録の正本の混合)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.90%(記録の正本の部分だけ物価並みの値上げが続く。利益の加重)の正当化PER:事業のROE34.0%、RONIC=k+0.50×(ROE−k)=20.9%、(1−g÷RONIC)÷(k−g)=14.0倍。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:標準は伸び、請求分析が下がる中心の筋書き。38%。
やや悲観 23% 損保の自前化と成長の鈍化が重なる 利益 8 億ドル · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 79.84 ドル104 億ドル
損保が AI で自前の見積りと統計を作り、標準の使用が減る。有機成長が目標を下回る局面が続く。約款・統計の価格は0.87倍、請求分析は0.83倍。売上は30.9億ドル、純利益は7.5億ドル。 内訳は損保向けの約款・統計・引受データ=数量1.18倍・価格0.87倍・利益率47.9%、生保・海外・その他の引受データ=数量1.21倍・価格0.87倍・利益率34.5%、大災害モデル=数量1.22倍・価格0.89倍・利益率35.9%、保険金請求の分析=数量1.17倍・価格0.83倍・利益率32.6%。 この筋書きの確率は23%。結果は、売上が今の1.03倍の30.9億ドル、営業利益12.0億ドル、純利益7.5億ドル、自己資本3.0億ドル、10年の正味の還元63.0億ドル、時価総額104億ドル(PER14.0倍)。 10年の純利益の累計は81.8億ドル(起点の純利益から最終年へ、毎年ほぼ一定の率または幅で動く道筋で積んだ)で、自己資本は今に累計を足して還元を引いた。
- 損保向けの約款・統計・引受データ(ISO ほか):数量 9,423(損保の元受保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(データが関わる保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率=料金水準))→ 売上 11 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量1.18倍・価格0.87倍・営業利益率47.8%(記録の正本型)
- 生保・海外・その他の引受データ:数量 7,960(対象の保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 6 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量1.21倍・価格0.87倍・営業利益率34.5%(記録の正本型)
- 大災害モデル(カタストロフィ・リスク):数量 11,548(損保の元受保険料 × モデル利用の浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量1.22倍・価格0.89倍・営業利益率35.8%(記録の正本型)
- 保険金請求の分析(ザクティウ〈Xactware〉・不正対策ほか):数量 7,792(損保の元受保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 9 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量1.17倍・価格0.83倍・営業利益率32.6%(人月と記録の正本の混合)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.90%(記録の正本の部分だけ物価並みの値上げが続く。利益の加重)の正当化PER:事業のROE34.0%、RONIC=k+0.50×(ROE−k)=20.9%、(1−g÷RONIC)÷(k−g)=14.0倍。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:自前化と成長の鈍化が重なる筋書き。有機成長が 4 四半期連続で目標を下回った点を見て 23%。
悲観 12% 標準が揺らぎ、反トラストと自前化で値上げが止まる 利益 5 億ドル · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 50.47 ドル66 億ドル
反トラストと取引先の訴訟で値上げが止まり、損保の自前化が標準を揺らす。約款・統計の数量は1.02倍、請求分析は1.01倍、利益率26.0%。売上は24.8億ドル、純利益は4.8億ドル。 内訳は損保向けの約款・統計・引受データ=数量1.02倍・価格0.81倍・利益率38.1%、生保・海外・その他の引受データ=数量1.05倍・価格0.81倍・利益率27.4%、大災害モデル=数量1.06倍・価格0.83倍・利益率28.3%、保険金請求の分析=数量1.01倍・価格0.77倍・利益率26.0%。 この筋書きの確率は12%。結果は、売上が今の0.83倍の24.8億ドル、営業利益7.7億ドル、純利益4.8億ドル、自己資本19.0億ドル、10年の正味の還元30.0億ドル、時価総額66.0億ドル(PER13.8倍)。 10年の純利益の累計は65.0億ドル(起点の純利益から最終年へ、毎年ほぼ一定の率または幅で動く道筋で積んだ)で、自己資本は今に累計を足して還元を引いた。
- 損保向けの約款・統計・引受データ(ISO ほか):数量 8,166(損保の元受保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(データが関わる保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率=料金水準))→ 売上 9 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量1.02倍・価格0.81倍・営業利益率38.1%(記録の正本型)
- 生保・海外・その他の引受データ:数量 6,898(対象の保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量1.05倍・価格0.81倍・営業利益率27.4%(記録の正本型)
- 大災害モデル(カタストロフィ・リスク):数量 10,009(損保の元受保険料 × モデル利用の浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量1.06倍・価格0.83倍・営業利益率28.5%(記録の正本型)
- 保険金請求の分析(ザクティウ〈Xactware〉・不正対策ほか):数量 6,753(損保の元受保険料 × 浸透率(億ドル))× 価格 0.00(対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率))→ 売上 7 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量1.01倍・価格0.77倍・営業利益率25.9%(人月と記録の正本の混合)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.90%(記録の正本の部分だけ物価並みの値上げが続く。利益の加重)の正当化PER:事業のROE25.1%、RONIC=k+0.50×(ROE−k)=16.4%、(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.8倍。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:標準が揺らぐ筋書き。12%で、やや悲観と合わせて35%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
損保向けの約款・統計・引受データ(ISO ほか)
損保の標準約款・料率の元になる損害統計・引受の規則を年間契約で全米の損保に配る。
| 数量損保の元受保険料 × 浸透率(億ドル) | 価格データが関わる保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率=料金水準) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 7,992 | 0.00 | 10 | 6 |
| 10 年後 中立 | 10,470 | 0.00 | 12 | 7 |
取り方:売上 10.4 億ドルは、引受区分 21.8 億ドルから売却したマーケティング事業(0.68)・大災害モデル・生保と海外・その他を引いた推定値。数量 = 米国損保の元受保険料 1.11 兆ドル(AM Best)× 浸透率 72%(ISO の約款・統計・規則が使われる保険料の割合、推定)。価格 = 売上 ÷ 数量(保険料 1 ドルあたり 0.13%)。物価 3.5% は保険料側に入るので、価格は「ベリスクの値上げ(年 3.5〜4.5%)と保険料の上がり(物価 + 実質)の差、および新しい約款・統計の追加による単価の増加」だけ動く。中立の 10 年は 1.154 倍(値上げが保険料を 1.05 倍上回り、新規の約款・AI 付加を 1.10 倍)、3 年は 1.045 倍。 【AIエージェント代替の見直し】約款・統計(ISO)は、全米の損保が同じものを使う標準、州の規制当局への説明、何十年分の統計の蓄積という 3 つの開示の証拠がある記録の正本。堀として g を +1.5% とした。数量は保険料の名目の伸びに連動するので、実質 0.93 倍相当を名目1.31倍で置き、価格は保険料との比で0.90倍(売上は 1.18 倍。物価 1.41 倍の中で実質は縮む側)。
生保・海外・その他の引受データ
生保・年金の引受向けデータ、海外の損保向けの製品、その他の引受の製品。
| 数量対象の保険料 × 浸透率(億ドル) | 価格対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6,600 | 0.00 | 6 | 2 |
| 10 年後 中立 | 8,844 | 0.00 | 7 | 3 |
取り方:売上 6.0 億ドルは、投資家説明会の資料にある引受区分の内訳(引受データ約 6 割、生保 2 割強、海外 1 割弱、その他)から推定。米国の生保・年金と海外の損保のうち製品の対象になる保険料を約 1.1 万億ドル(推定)と置き、浸透率 60% で数量 6,600 億ドル。価格 = 売上 ÷ 数量。米国の損保と違い保険料の伸びとの連動は弱く、数量は対象保険料の名目の伸び(年 4%)に浸透率の変化を掛けて置いた。海外の伸びを価格の上乗せに含める。 【AIエージェント代替の見直し】生保・海外の引受データ。ISO と同じ標準・規制・蓄積の性格が強い。数量1.34倍(名目)、価格0.90倍。
大災害モデル(カタストロフィ・リスク)
ハリケーン・地震・山火事・洪水などの損害額を確率で出し、再保険と自己資本の計画に使われるモデル。
| 数量損保の元受保険料 × モデル利用の浸透率(億ドル) | 価格対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 9,435 | 0.00 | 5 | 2 |
| 10 年後 中立 | 12,832 | 0.00 | 6 | 2 |
取り方:売上 4.7 億ドルは、引受区分 21.8 億ドルのうち、投資家説明会の資料にある「引受データと分析」「生保」「海外」「マーケティング」の合計 約 17 億ドルを除いた残りから推定(会社は非開示)。数量 = 米国の元受保険料 1.11 兆ドル × 浸透率 85%(モデルの対象になる保険料、世界の再保険取引を含めた推定)。価格 = 売上 ÷ 数量。会社の長期目標は年 8.5〜9%。競合はモーディーズ(RMS)で、米国はベリスク、欧州はモーディーズが強い。山火事・洪水・サイバーなど新モデルの追加を浸透率と価格の上乗せで置いた。 【AIエージェント代替の見直し】大災害モデル。独自モデルだが競合(モーディーズ)があり、堀の証拠は 1 つなので g には含めない。数量1.36倍(名目)、価格0.92倍。
保険金請求の分析(ザクティウ〈Xactware〉・不正対策ほか)
火災・風水害の修理見積り(Xactimate)、不正請求の検出(クレームサーチ)、賠償責任の分析。
| 数量損保の元受保険料 × 浸透率(億ドル) | 価格対象保険料 1 ドルあたりのベリスクの売上(比率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6,660 | 0.00 | 9 | 3 |
| 10 年後 中立 | 8,658 | 0.00 | 10 | 4 |
取り方:売上 8.93 億ドルは 2025 年の請求区分の実績(+4.1%、有機・定為替 +5.7%)。数量 = 米国損保の元受保険料 1.11 兆ドル × 浸透率 60%(見積り・不正対策・賠償責任の分析が使われる保険料、推定)。価格 = 売上 ÷ 数量。軟らかい市場と天候の少ない年は従量課金が減るが、数量の定義が保険料なので、そのぶれは浸透率と価格に含める。AI 見積り(ザクティウ AI)は数量(採用)を広げ、1 件あたりの単価を下げる。競合はコタリティ(Symbility)・イーグルビュー・ホバー・AccuLynx など。 【AIエージェント代替の見直し】請求分析(Xactimate・不正対策)。見積りの標準単価表という堀はあるが、AI 見積り(Zacty AI)が採用を広げる一方で 1 件あたりの単価を下げる。席・使用量課金に近い混合として数量1.30倍(名目)、価格0.86倍、利益率は今の 39% から低下。
リスクと懸念
AI エージェント代替(請求分析の単価と自前化)
請求分析(Xactimate・不正対策)は、AI 見積りが採用を広げる一方で 1 件あたりの単価を下げる。損保が自社で AI を作ってデータを内製すれば、標準データの価値も下がりうる。約款・統計は標準として守られるので、中立の売上は今の1.18倍、悲観では0.83倍と置いた。
保険会社の AI 内製化で標準データの価値が下がる
大手の保険会社が自社の請求・引受データに AI を使い、外部の標準データの購入を減らせば、ISO と請求分析の単価・浸透率が下がる。会社自身が保険会社の内製の LLM とデータ保護を見ていると認め、AI 関連の営業は法務の審査で長引いている。有機成長が 4 四半期連続で目標の 6% を割った点も、強さの低下の兆し。
反トラストと取引先の訴訟
AccuLynx の買収は FTC の審査で止まり、デラウェア州の裁判所は 2026 年 8 月に打ち切りの無効と、当局の承認の取得を命じた。Xactimate の単価表を競合の見積りに渡さない方針が論点になり、標準としての囲い込みが規制の標的になりうる。JP モルガンが営業秘密の不正使用で起こした訴訟も続き、訴訟費用が 2026 年 4〜6 月の純利益を押し下げた。
軟調な保険料と天候の少ない年
売上の 2〜2.5 割が元受保険料の伸びに連動し、商業用不動産の保険の軟化で見積り件数が減っている。請求の従量課金(売上の 17%)はハリケーンが来ない年に減り、2026 年 4〜6 月に 4.2% 減った。硬い市場でも軟らかい市場でも目標を満たしてきたが、3 年以上の軟調は未経験。
借金を増やした自社株買いの反動
2026 年上半期に 19 億ドルを買い、純負債÷EBITDA は 2.5 倍前後。ここから 2.4 倍を保つとして筋書きに入れたが、株価が高い時に買った分は価値を壊す。景気後退で EBITDA が 3 割落ちれば 3.3 倍になり、還元が止まる。利払いは 2026 年 4〜6 月に 0.53 億ドルと前年の 0.36 億ドルから増えた。
大災害モデルの競合と規制
モーディーズ(RMS)とベリスクが大半を占めるが、カレン・クラークなどが山火事・洪水で規制当局の承認を取り、価格競争が起きうる。カリフォルニアの山火事の保険の規制や、再保険料率の動きで、モデルの需要が変わる。長期目標の年 8.5〜9% は 4 区分で最も高く、外れた時の影響も大きい。
Xactimate の標準が競合の見積りに削られる
コタリティの Symbility・イーグルビュー・ホバー・AccuLynx などが、航空写真と AI で見積りを自動化する。ベリスクは ザクティウ AI(約 7,000 の利用者)で対抗するが、1 件あたり単価が下がり、AI の計算費用(トークン費用)が利用料を食う可能性もある。
今後の分かれ目
- 保険会社の大手が AI の自前化を理由に ISO・請求の契約を減らし、更新率が低下したら
- 浸透率の筋書きが下振れ、やや悲観・悲観の確率を上げる。倍率は g の低下(1 ポイントで PER が 3〜4 倍下がる)で見る。
- AccuLynx の買収が当局に承認され、約 24 億ドルの現金で成立したら
- 75% の還元を一時止め、純負債が 2.9 倍前後に上がる。成立後の利益と借金を筋書きに足し直す。Xactimate の囲い込みへの規制の懸念も確かめる。
- 次のハリケーンの季節に大きな嵐が来て、請求の従量課金が大きく伸びたら
- 従量課金は一時的に増えるが、一年の話。3 年の筋書きは変えず、数量の見直しはしない。
- 有機成長が 3 四半期続けて 6% を超え、AI の接続機能が価格に反映されたら
- 価格の筋書きが楽観側に寄る。楽観・やや楽観の確率を上げてよい。
- 商業用の保険料が 2 年以上下がり続け、保険会社の見積り・引受の件数が減ったら
- 3 年のやや悲観が近づく。ただし ISO の契約は年間更新で、売上の落ち込みは浅い。
- 株価がさらに下がり、時価総額が 200 億ドルを割ったら
- 式の中立の本質価値を大きく下回る局面。ただし借金で買う自社株買いの価値は上がる一方、訴訟や AI の兆しが数字に出ていないかを確認する。
- 損保の大手が ISO の約款・統計の利用を減らし、自前の統計へ切り替える動きが出たら
- 標準の堀の前提が崩れる合図。g の +1.5% を外し、約款・統計の数量を中立の{iso_base_vm:.2f}倍より下げる。
- 請求分析の 1 件あたり単価が AI 見積りで 2 年続けて下がったら
- 請求分析の置き換えが始まった合図。数量と価格を下げ、やや悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 有機・定為替の売上成長率(目標 6〜8% に戻るか)と、購読の更新率・価格の上げ幅
- 米国損保の元受保険料の伸び(とくに商業用の料率)
- 請求の従量課金の動き(ハリケーンの季節の件数)
- AI の接続機能・ザクティウ AI の利用者と売上への寄与
- AccuLynx の訴訟・FTC の審査の結果と、JP モルガンの訴訟
- 純負債÷EBITDA(2〜3 倍)と自社株買いの価格
- 有機成長(目標 6〜8%)と、請求分析の 1 件あたり単価、損保の自前化の動き
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 250億ドル や過去の高い PER は見ずに、4 つの事業の数量(保険料の名目に連動)と価格を、記録の正本の 0.85〜1.0 倍・1.15〜1.34 倍の範囲に直して置いた。倍率は正当化 PER で、k は基本 8.0% + 景気 −0.5 + 値決め −0.5 + 借金 0.25 + 寿命 0.5 = 7.75%、g は約款・統計・引受データの利益比で0.9%。AI 代替は数量・価格に主に入れ、k・確率(悲観側35%)・g に重ねていない。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 5% + β 0.78 × 5%。k = 基本 8.0% + quality -0.25% = 7.75%(β は使わない)。損保の保険契約に付く収入で景気にほぼ左右されず循環 −0.5%、標準データで値決め −0.5%(元の評価どおり。AI 見積りの単価下落は価格 0.86〜0.92 倍にすでに入れた)、自社株買いに借金を足す方針で借金 +0.25%、寿命は記録の正本の下限 +0.5%。個別のリスクは k に足さず筋書きと確率で表した。