結論
ロックウェル オートメーション(Rockwell Automation)は、工場の機械を動かす制御装置(Logix)・ドライブ・センサー・安全機器と、その上で動くソフト(FactoryTalk・クラウドの製造実行システム Plex・産業用サイバーセキュリティ Verve)、導入と保守のサービスを売る工場オートメーションの専業で、2025 年 9 月期は売上 83 億ドル、セグメント利益率 20.4%、GAAP 純利益 8.7 億ドル(アスベスト関連の費用と Sensia の減損を含む)、フリーキャッシュフロー 13.6 億ドル。
2026 年は第 3 四半期までに回復が強く、報告売上は約 90 億ドル(+7.5〜9.5%)、全社の営業利益率は約 21.5%、一時益を除いた GAAP 純利益は約 14 億ドルになる見込み。ソフトとコントロールの基礎売上が +18%、デバイスが +10% と、半導体・データセンター・EC と倉庫の自動化が引き、食品飲料とプロセスの一部はまだ動かない。
バリュー投資の観点では、北米に深く入った Logix の導入基盤と、クラウド Plex の乗り換えの費用という堀は本物で、資本もあまり要らない。市場 × シェア × 価格で 2035 年の純利益を約 28 億ドルと積み、資本コスト 8.75%(基本 8.0% + quality +0.75%)で割り引き確率で加重すると、10 年後の本質価値は 254 億ドルで、今の時価総額 482 億ドルを約 47% 下回る。
倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)(k 8.75%・g 4.0%・事業の ROE 44%・moat=普通)の上限 17.8 倍の 7.5 割(13.3 倍)に置いた(Logix と Plex の切り替えの難しさは本物だが、自動化の設備投資は景気の山と谷が大きく、帳簿の ROE が 40% 超で式が高めに出やすい。上限の 7.5 割にとどめた)。総合は今の時価総額に対し -47% で「割高」。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。工場が自動化される流れは 10 年で止まらず、制御装置・ソフト・サービスの需要は残る。Logix の導入基盤と Plex の乗り換えの費用という堀は 10 年続く可能性が高い。ただし、AI と仮想 PLC・オープン規格が堀を削るか、ソフトの価値を押し上げるかが読めず、確信度は中くらいにとどめる。
次に、株主のものになる利益(オーナー利益)。資本はあまり要らず、GAAP 純利益に近い現金が出る(2026 年のフリーキャッシュフロー 約 13 億ドルに対し GAAP 純利益 約 14 億ドル)。株式報酬は費用として引いて見ており、調整後の利益(買収の償却と一時項目を除いた)には頼らない。アスベストと環境の債務も、過去の負の遺産として毎年の費用に入れて見る。
経営は資本配分が堅実で、大型買収で価値を壊した形跡は薄い。ただし自社株買いは割高な株価(PER 35〜55 倍)でも続いており、時価総額 482 億ドルを今払う価値には疑問が残る。式どおりの成熟後の倍率は PER 約 18 倍で、2035 年の純利益 約 28 億ドルに掛けても、今の水準へは割り引くと届かない。安全域がない会社で、優良さは認めるが、この値段では買わないという見方である。
何で稼ぐ会社か
ロックウェルの事業は 3 つの塊で、すべて工場の自動化につながる。
【インテリジェント・デバイス】2025 年 9 月期の売上 37.6 億ドル(利益率 18.0%)。ドライブ(モーターの速度を制御する装置)・モーション制御・センサー・安全機器・産業用の電源と接続機器で、機械メーカー(OEM)と工場の設備更新で売れる。景気と稼働率に敏感で、2024 年は売上が減り、2025 年は −1%、2026 年は基礎で +10% に戻った。
【ソフトとコントロール】売上 23.8 億ドル(29.7%)、2026 年第 3 四半期は 34.8%。Logix のコントローラー(PLC・PAC)は北米の自動車・食品・包装の工場に広く入り、その上のソフト(FactoryTalk)と、2021 年に約 22 億ドルで買ったクラウドの製造実行システム Plex、サイバーセキュリティの Verve、シミュレーションを含む。ロックウェルの堀の中心で、利益率が最も高い。
【ライフサイクル・サービス】売上 22.0 億ドル(14.5%)。導入工事・システム統合・保守契約・コンサルティング・遠隔監視で、案件の時期で振れる。2026 年 4 月に SLB との石油ガスの合弁 Sensia を解消し、処理オートメーションを自社に戻した(年間の売上は約 2.5 億ドル減るが、利益率は約 0.5pt 上がる)。
顧客は、ディスクリート(自動車・半導体・EC と倉庫)、ハイブリッド(食品飲料・ライフサイエンス・日用品)、プロセス(石油ガス・金属・化学)に分かれ、2022 年の売上の比率は 25%・40%・35%。いまはディスクリートが増え、石油ガスは Sensia 解消後で売上の約 10%。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 に、Logix の導入基盤。制御装置は工場の頭脳で、一度入ると 20 年近く使われ、プログラムと技術者の習慣が乗り換えの費用になる。北米では首位級(推定)。第 2 に、Plex のようなクラウドの製造実行システムは、工場の運営そのものに入り、解約されにくい(Plex の純ドル維持率は 100% 超)。第 3 に、ソフトとコントロールの利益率が 30% 台と高く、規模が増えるほど利益率が上がる。粗利益率は 2021 年の 41% から 2025 年に 48% へ上がり、2025〜2026 年に構造的な費用の削減が 4 億ドル超あった。
資本効率は良い。必要な設備は軽く、営業利益に対する運転資本と設備は小さい。ただし帳簿の ROE は自社株買いで自己資本が小さくなって膨らんでおり(2019 年は 172%)、実力は ROIC(税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債))の 17〜22% 前後で見る。
弱い所は 4 つ。第 1 に、規模:シーメンスの工場オートメーション事業は売上でロックウェルの 2 倍以上、シュナイダーと三菱電機(工場オートメーション 約 1 兆円)も大きく、欧州とアジアではロックウェルの存在感が小さい。第 2 に、過去 10 年の売上の伸びは年 2% 台と、物価にも届かなかった。第 3 に、ライフサイクル・サービスは利益率 15% 前後で伸びず、デバイスは価格と費用の差が足を引く(2026 年第 3 四半期)。第 4 に、アスベストと環境の過去の債務が GAAP 利益を毎年のように削る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
工場オートメーションの世界市場は約 2,500 億ドル(推定。調査会社により 2,000〜3,000 億ドル)。数量は製造業の設備投資と、既存設備の更新・保守で決まる。業界ノートの置き方は、数量が年 +2.5%(ソフトの比率が上がる)、価格が物価並み(年 +3.5%)。ロックウェルの終端市場は、ディスクリート(自動車・半導体・EC と倉庫)、ハイブリッド(食品飲料・ライフサイエンス・日用品)、プロセス(石油ガス・金属・化学)で、ディスクリートの市場が最も伸び、プロセスの市場が最も遅い。
競争は寡占で、シーメンスが PLC の世界首位(20% 超)、ロックウェル・シュナイダー・三菱電機・ABB を合わせた上位 5 社で 2025 年に約 77%(有料調査の要約)。ロックウェルは北米で強く、欧州はシーメンス、日本・アジアは三菱電機とオムロン、中国は地場のイノバンス(Inovance)などが価格で攻める。シーメンス・シュナイダーは AI とデジタルツインの買収で同じ道を行く。エマソン(EMR)とハネウェルは、主にプロセスと建物で競合する。
今の局面:製造業の景気指数 ISM は 2026 年 9 月に 54.5 と強く、半導体・データセンター・EC と倉庫の自動化・電池が設備投資を引く。食品飲料とプロセスの一部はまだ動かず、欧州と中国は弱い。関税で価格と費用の差が揺れる。構造の論点は 2 つ:AI と仮想 PLC(ソフトで動く制御装置)・OPC UA などのオープン規格が、専用の制御装置の囲い込みを弱めるか。逆にクラウドと AI がソフトの課金を増やすか。この 2 つの向きが 10 年で最大の不確実性になる。
資本政策と M&A
還元は配当(年 6 億ドル前後)と自社株買い(2026 年は 9 か月で 7.5 億ドル、承認枠の残り 12 億ドル)が中心で、フリーキャッシュフローをほぼ全部返す方針。株式報酬による株の増加は年 0.5〜1% に収まり、自社株買いで年 1% 前後の純減が続く。
買収は過去に 2020 年のフィイクス(Fiix。保守管理ソフト)、2021 年の Plex(約 22 億ドル。クラウドの製造実行システム)、2023 年のクリアパス(Clearpath。自走搬送ロボット OTTO)と Verve(産業用サイバーセキュリティ)。小型で、買収の償却は年 1〜2 億ドル。投資は 5 年で 20 億ドルの計画(工場・人・デジタル。ウィスコンシン州ニューバーリンの新工場を含む)で、買収より自社の設備と開発が中心。2026 年 4 月の Sensia の解消は、売上は減るが、利益率を上げる整理だった。
純負債は約 31 億ドル(純負債÷税引き前の営業利益で 1.7 倍前後)。借り換えは約 5.75% で、利払いの増加は小さい。大型買収に走る気配は薄く、買収は補完にとどまる想定。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2026 年はすでに 3 つの数字が上向く。第 3 四半期の基礎売上は +10%、ソフトとコントロールは +18%(北米の Logix は第 1 四半期に +25% 超)、全社の営業利益率は 22.3%(前年同期 19.5%)。会社は通期の売上見通しを +7.5〜9.5% に引き上げ、増分利益率は約 40〜50% と高い。Plex は過去最高の新規受注、ARR は +6%、ソフトは 1 桁後半の伸びで、純ドル維持率は 100% 超。
データセンター・半導体・EC と倉庫の自動化は、設備投資の追い風が続く。米国内への生産の回帰と、AI を使う工場(自走搬送ロボット OTTO、Plex のデータ)がソフトとコントロールの市場を広げ、年 5% 前後で伸びる。Sensia の解消でプロセスの利益率が上がり、構造的な費用の削減(4 億ドル超)と 5 年 20 億ドルの投資で、会社の中期目標の全社 23.5% は 2028 年に届く。物価が年 3.5% 続くので、価格も上がり、名目の売上は年 7% 以上伸びる。
ロックウェルは資本があまり要らず、利益の大半を自社株買いと配当で返せる。2035 年に売上 2 倍・純利益 3 倍の筋書きは、堀と物価で説明がつく。これが強気の見方で、楽観とやや楽観の筋書きの下敷きである。
慎重な見方
時価総額 482 億ドルは、2026 年の GAAP 純利益の約 35 倍(2025 年は 55 倍)。式どおりの成熟後の倍率(PER 約 20 倍)に戻るだけで 4 割落ちる。2026 年の回復は、2024〜2025 年の低い所からの反動と、半導体・データセンター・EC という限られた分野に支えられており、食品飲料・プロセス・欧州・中国はまだ動かない。製造業の景気指数 ISM は 54.5 と山に近く、2009 年(売上 −17%・全社の営業利益率 9.2%)や 2015〜2016 年(原油安で停滞)の前例がある。
競争は厳しい。シーメンスは売上で 2 倍以上、PLC で世界首位。シュナイダーと三菱電機も大きく、中国のイノバンスは価格で攻める。2026 年第 3 四半期にデバイスは価格と費用の差が足を引き、ライフサイクル・サービスは基礎で −2% と伸びない。過去 10 年の売上の伸びは年 2% 台で、物価にも届かなかった。
構造の危険は、仮想 PLC・OPC UA などのオープン規格・AI による制御の自動化が、専用の制御装置の囲い込みという堀を弱めること。アスベストと環境の過去の債務が毎年の利益を削り、帳簿の ROE は自社株買いで膨らんで見えている。これが慎重な見方で、やや悲観と悲観の筋書きの下敷きである。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は、2026 年の受注・利益率・ソフトの伸びが数字で裏づけられている。競合・オープン化・中国が効く 10 年は悲観側を厚くし、過去 10 年の伸びの低さを確率に反映した。確率は 楽観 6%・やや楽観 20%・中立 34%・やや悲観 26%・悲観 14%。倍率は利益ベースの正当化 PER の内側(中立は上限の 7.5 割)に置き、総合は今の時価総額に対し -47% で「割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 302.85 ドル343 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 142.10 ドル161 億ドル)。 今の値に割り戻すと 224.32 ドル254 億ドル、今との差 −47.1%、 期待の年率 +0.5%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 571.35 ドル646 億ドル | 176.83 ドル200 億ドル | +76.5% | +5.8% | 44.89 ドル51 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 455.26 ドル515 億ドル | 165.34 ドル187 億ドル | +46.4% | +3.9% | 124.12 ドル140 億ドル |
| 中立 | 34% | 330.24 ドル374 億ドル | 150.31 ドル170 億ドル | +13.4% | +1.3% | 163.39 ドル185 億ドル |
| やや悲観 | 26% | 201.86 ドル228 億ドル | 134.39 ドル152 億ドル | −20.7% | −2.3% | 87.43 ドル99 億ドル |
| 悲観 | 14% | 91.07 ドル103 億ドル | 88.42 ドル100 億ドル | −57.7% | −8.2% | 25.13 ドル28 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 302.85 ドル343 億ドル | 142.10 ドル161 億ドル | +5.0% | +0.5% | 444.95 ドル503 億ドル |
今の株価時価総額 423.87 ドル479 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 楽観:国内回帰・AI 工場・ソフトの課金が 10 年続き、売上が 2.5 倍・全社の営業利益率 25% 超 利益 41 億ドル · PER 15.8 倍 · 株価時価総額 571.35 ドル646 億ドル
2035 年 9 月期、半導体・データセンター・電池・米国内への生産の回帰・AI を使う工場が 10 年続けて伸び、ディスクリート向けの市場が年 +5.5%、ハイブリッド +3.5%、プロセス +2.5%(2026 年から 9 年)。ソフトとコントロールは Plex と Verve の課金が積み上がり、市場が年 +6.5%(ソフトの比率の上昇を含む)、シェア 約 4.8%(2026 年の 4.3% から)、価格は物価を上回る 1.50 倍で売上 81.4 億ドル・利益率 37.0%。デバイスは市場 +3.9%・シェア 3.7%・価格 1.43 倍で 85.6 億ドル・22.0%、サービスは 41.3 億ドル・17.0%。売上は 208.3 億ドル(2025 年の約 2.5 倍、年 9.6%)、全社の営業利益率 25.6%、純利益 41.0 億ドル。倍率は PER 15.8 倍(正当化 PER の上限 18.0 倍の 8.8 割。内訳は multiple.why)。
- インテリジェント・デバイス(制御装置・ドライブ・センサー・安全機器):数量 1,591(工場向け制御機器・ドライブ・モーション・センサー・安全機器の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.4%(シェア × 物価指数)→ 売上 86 億ドル・営業利益 19 億ドル。市場・シェア・価格
- ソフトとコントロール(Logix 制御装置・FactoryTalk・Plex・Verve):数量 1,102(工場向けコントローラー・産業ソフト(MES・SCADA・サイバーセキュリティ)の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 7.4%(シェア × 物価指数)→ 売上 81 億ドル・営業利益 30 億ドル。市場・シェア・価格
- ライフサイクル・サービス(導入・保守・コンサル・遠隔監視):数量 976(工場オートメーションの導入・保守・コンサルティング・運用サービスの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.2%(シェア × 物価指数)→ 売上 41 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.75%(基本 8.0% + quality +0.75%)・g 4.0%(上限の内側。工場自動化の実質の伸び 3% 前後 + 価格 3.5% だが、景気の山を見て 4% を超えない)・事業の ROE 47%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 41.0 ÷ 自己資本 88.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 27.7%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 18.0 倍(上限 = 純利益 41.0 億ドル × これ = 738 億ドル)。これの 0.9 割(15.8 倍)に置いた。楽観:利益の質が最も良く出る筋書きなので上限に最も近く置いた。
確率:国内回帰・AI 工場・ソフトの課金が 10 年続き、シーメンスにも負けない必要がある。ロックウェルの売上の伸びは過去 10 年で年 2% 台と低く、2.5 倍になる筋書きは 1 割未満の 6%。
やや楽観 20% やや楽観:市場は物価プラス 3% 超で伸び、ソフトがシェアを取って 10 年で売上 2.2 倍 利益 35 億ドル · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 455.26 ドル515 億ドル
2035 年 9 月期、市場は物価プラス 3% 超(ディスクリート +4.5%・ハイブリッド +3%・プロセス +2%)で伸び、ロックウェルはソフトでシェアを取る(ソフトとコントロール 約 4.7%、価格 1.47 倍で 72.1 億ドル・35.8%)。デバイスはシェアを少し上げて 77.4 億ドル・21.2%、サービスは 37.2 億ドル・16.2%。シーメンスとの差は縮まらないが、北米の Logix の基盤とクラウドの Plex の乗り換えの費用が堀として働く。売上は 186.7 億ドル(年 8.4%)、全社の営業利益率 24.6%、純利益 35.0 億ドル。倍率は PER 14.7 倍(正当化 PER の上限 17.9 倍の 8.2 割。内訳は multiple.why)。
- インテリジェント・デバイス(制御装置・ドライブ・センサー・安全機器):数量 1,501(工場向け制御機器・ドライブ・モーション・センサー・安全機器の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.2%(シェア × 物価指数)→ 売上 77 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場・シェア・価格
- ソフトとコントロール(Logix 制御装置・FactoryTalk・Plex・Verve):数量 1,040(工場向けコントローラー・産業ソフト(MES・SCADA・サイバーセキュリティ)の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 6.9%(シェア × 物価指数)→ 売上 72 億ドル・営業利益 26 億ドル。市場・シェア・価格
- ライフサイクル・サービス(導入・保守・コンサル・遠隔監視):数量 926(工場オートメーションの導入・保守・コンサルティング・運用サービスの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.0%(シェア × 物価指数)→ 売上 37 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.75%(基本 8.0% + quality +0.75%)・g 4.0%(上限の内側。工場自動化の実質の伸び 3% 前後 + 価格 3.5% だが、景気の山を見て 4% を超えない)・事業の ROE 45%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 35.0 ÷ 自己資本 77.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 27.1%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 17.9 倍(上限 = 純利益 35.0 億ドル × これ = 628 億ドル)。これの 0.8 割(14.7 倍)に置いた。やや楽観:楽観より伸びと利益率が控えめなので一段下。
確率:市場が物価プラス 3% 超で伸び、ソフトの比率が上がっていく筋書き。2023 年にも売上 90 億ドルまで伸びた実績はあるが、その後の落ち込みも大きく、2 割とした。
中立 34% 中立:成熟した優良なオートメーション会社になり、売上は年 6.7%、全社の営業利益率は 23% 台 利益 28 億ドル · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 330.24 ドル374 億ドル
2035 年 9 月期、高い伸びは 2030 年前後に落ち着き、成熟した優良なオートメーション会社になる。市場は実質で年 +2.5%(ディスクリート +3.5%・ハイブリッド +2.5%・プロセス +1.5%)、価格は物価並みの 1.41 倍(ソフトは 1.43 倍)。デバイスはシェアを少し失い(中国のイノバンスなどの低価格機とシーメンスで 3.5%→3.4%)68.1 億ドル・20.5%、ソフトとコントロールはシェア 4.3% を保って 58.0 億ドル・34.5%(ソフトの比率が上がるほど利益率が上がる)、サービスは 33.7 億ドル・15.5%。売上は 159.9 億ドル(2025 年の約 1.9 倍、年 6.7%)、全社の営業利益率 23.3%(会社の中期目標 23.5% とほぼ同じ)、営業利益 36.4 億ドル、純利益 28.0 億ドル。倍率は PER 13.3 倍(正当化 PER の上限 17.8 倍の 7.5 割。内訳は multiple.why)。
- インテリジェント・デバイス(制御装置・ドライブ・センサー・安全機器):数量 1,416(工場向け制御機器・ドライブ・モーション・センサー・安全機器の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.8%(シェア × 物価指数)→ 売上 68 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場・シェア・価格
- ソフトとコントロール(Logix 制御装置・FactoryTalk・Plex・Verve):数量 941(工場向けコントローラー・産業ソフト(MES・SCADA・サイバーセキュリティ)の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 6.2%(シェア × 物価指数)→ 売上 58 億ドル・営業利益 20 億ドル。市場・シェア・価格
- ライフサイクル・サービス(導入・保守・コンサル・遠隔監視):数量 879(工場オートメーションの導入・保守・コンサルティング・運用サービスの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 3.8%(シェア × 物価指数)→ 売上 34 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.75%(基本 8.0% + quality +0.75%)・g 4.0%(上限の内側。工場自動化の実質の伸び 3% 前後 + 価格 3.5% だが、景気の山を見て 4% を超えない)・事業の ROE 44%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 28.0 ÷ 自己資本 64.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 26.2%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 17.8 倍(上限 = 純利益 28.0 億ドル × これ = 500 億ドル)。これの 0.7 割(13.3 倍)に置いた。中立:Logix と Plex の切り替えの難しさは本物だが、自動化の設備投資は景気の山と谷が大きく、帳簿の ROE が 40% 超で式が高めに出やすい。上限の 7.5 割にとどめた
確率:業界ノートの中立(数量 年 +2.5%・価格は物価並み)とロックウェルの 2026 年の強さの間に置いた落としどころ。過去 10 年は年 2% 台の売上の伸びで、中立でも年 6.7% は強めなので、確率を 3 分の 1 に抑えた。
やや悲観 26% やや悲観:シーメンス・シュナイダー・中国勢に押されて成長が物価並みに落ち、利益率も伸びない 利益 22 億ドル · PER 10.6 倍 · 株価時価総額 201.86 ドル228 億ドル
2035 年 9 月期、シーメンス・シュナイダー・三菱電機が AI とクラウドの機能を束ねて攻め、中国のイノバンスなどが新興国と中堅の機械メーカーを取り、ロックウェルの PLC の囲い込みはゆっくり弱まる。市場は実質 +1.5%(ディスクリート +2.5%・ハイブリッド +1.5%・プロセス +0.5%)、デバイスのシェアは毎年 0.6% ずつ、サービスは 1% ずつ落ち、価格は物価より小さい 1.38 倍。売上は 136.1 億ドル(2025 年の約 1.6 倍、年 5.0%)、セグメント利益率 22.7%、全社の営業利益率 21.4%、純利益 21.5 億ドル。倍率は PER 10.6 倍(正当化 PER の上限 18.0 倍の 5.9 割。内訳は multiple.why)。
- インテリジェント・デバイス(制御装置・ドライブ・センサー・安全機器):数量 1,297(工場向け制御機器・ドライブ・モーション・センサー・安全機器の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.6%(シェア × 物価指数)→ 売上 59 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場・シェア・価格
- ソフトとコントロール(Logix 制御装置・FactoryTalk・Plex・Verve):数量 826(工場向けコントローラー・産業ソフト(MES・SCADA・サイバーセキュリティ)の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.8%(シェア × 物価指数)→ 売上 48 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場・シェア・価格
- ライフサイクル・サービス(導入・保守・コンサル・遠隔監視):数量 804(工場オートメーションの導入・保守・コンサルティング・運用サービスの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 3.6%(シェア × 物価指数)→ 売上 29 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.75%(基本 8.0% + quality +0.75%)・g 4.0%(上限の内側。工場自動化の実質の伸び 3% 前後 + 価格 3.5% だが、景気の山を見て 4% を超えない)・事業の ROE 47%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 21.5 ÷ 自己資本 46.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 27.7%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 18.0 倍(上限 = 純利益 21.5 億ドル × これ = 387 億ドル)。これの 0.6 割(10.6 倍)に置いた。やや悲観:伸びが落ち堀が削れた会社として中立より下。
確率:過去 10 年の売上の伸びが物価を下回ってきた事実(2014→2025 年で年 2.1%)に近い筋書き。シーメンス・シュナイダー・中国勢の競争でデバイスのシェアが落ち続けるため、中立より少し厚い 26%。
悲観 14% 悲観:PLC の囲い込みが崩れ、ソフトの価格も下がって、10 年経っても売上が 2026 年の 1.1 倍 利益 12 億ドル · PER 8.8 倍 · 株価時価総額 91.07 ドル103 億ドル
2035 年 9 月期、OPC UA などのオープンな規格と仮想の PLC(ソフトで動く制御装置)が広がり、制御装置を機械メーカーが選ぶ時に Logix を選ぶ理由が薄まる。AI が現場の制御やプログラムの作成を自動化し、ソフトの価格が下がる。シーメンスと中国勢がシェアを奪い、ロックウェルのシェアはデバイス 3.0%・ソフト 3.5%・サービス 2.4%、価格は物価に追いつかず 1.30 倍。市場も実質 +0.5〜1.5%。売上は 100.0 億ドル(2026 年の約 1.1 倍、2025 年の年 1.8%)、全社の営業利益率 17.0%、純利益 11.7 億ドルと 2026 年を下回る。倍率は PER 8.8 倍(正当化 PER の上限 17.0 倍の 5.2 割。内訳は multiple.why)。バリュー投資家の目では、もう優良企業としての倍率は付かない姿である。
- インテリジェント・デバイス(制御装置・ドライブ・センサー・安全機器):数量 1,186(工場向け制御機器・ドライブ・モーション・センサー・安全機器の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 3.8%(シェア × 物価指数)→ 売上 45 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場・シェア・価格
- ソフトとコントロール(Logix 制御装置・FactoryTalk・Plex・Verve):数量 724(工場向けコントローラー・産業ソフト(MES・SCADA・サイバーセキュリティ)の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.5%(シェア × 物価指数)→ 売上 32 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場・シェア・価格
- ライフサイクル・サービス(導入・保守・コンサル・遠隔監視):数量 736(工場オートメーションの導入・保守・コンサルティング・運用サービスの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 3.1%(シェア × 物価指数)→ 売上 23 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.75%(基本 8.0% + quality +0.75%)・g 4.0%(上限の内側。工場自動化の実質の伸び 3% 前後 + 価格 3.5% だが、景気の山を見て 4% を超えない)・事業の ROE 32%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 11.7 ÷ 自己資本 36.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 20.6%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 17.0 倍(上限 = 純利益 11.7 億ドル × これ = 199 億ドル)。これの 0.5 割(8.8 倍)に置いた。悲観:構造的に負けて優良でなくなった会社として最も下。
確率:オープン規格・仮想 PLC・AI による自動化で、制御装置の囲い込みという堀が崩れる構造的な負け筋と、不況が重なる。デバイスの利益率が 15% 台まで戻る形で、1 割強とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
インテリジェント・デバイス(制御装置・ドライブ・センサー・安全機器)
PLC を除く現場機器と、モーターを動かすドライブ・モーション制御・センサー・安全機器・産業用の電源と接続機器。機械メーカーと工場の設備更新で売れる。
| 数量工場向け制御機器・ドライブ・モーション・センサー・安全機器の世界市場(億ドル、2025 年価格) | 価格シェア × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,100 | 3.4% | 38 | 7 |
| 10 年後 中立 | 1,416 | 4.8% | 68 | 14 |
取り方:産業用の現場機器の世界市場を約 1,100 億ドル(推定。産業オートメーション全体 約 2,500 億ドルの 4 割強)、シェア約 3.4% と置いた。2025 年 9 月期の売上 37.6 億ドル(前年 −1%)、セグメント利益 6.8 億ドル(18.0%)。2026 年は報告売上が約 41 億ドル、利益率 約 19.5% に改善する見込み(第 3 四半期は売上 10.8 億ドル +12%・20.0%)。
ソフトとコントロール(Logix 制御装置・FactoryTalk・Plex・Verve)
Logix のコントローラー・ネットワーク機器・HMI と、製造実行システム Plex(クラウド)・FactoryTalk のソフト・産業用サイバーセキュリティ Verve・シミュレーション。ロックウェルの堀の中心。
| 数量工場向けコントローラー・産業ソフト(MES・SCADA・サイバーセキュリティ)の世界市場(億ドル、2025 年価格) | 価格シェア × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 600 | 4.0% | 24 | 7 |
| 10 年後 中立 | 941 | 6.2% | 58 | 20 |
取り方:産業用コントローラー(PLC・PAC・HMI)と製造系ソフトの世界市場を約 600 億ドル(推定。PLC だけで 130 億ドル前後と言われる)、シェア約 4.0% と置いた。2025 年 9 月期の売上 23.8 億ドル(+9%)、セグメント利益 7.1 億ドル(29.7%)。2026 年は売上 約 28 億ドル、利益率 33% 前後(第 3 四半期は 7.5 億ドル・基礎 +18%・34.8%)。
ライフサイクル・サービス(導入・保守・コンサル・遠隔監視)
導入工事・システム統合・保守契約・コンサルティング・遠隔監視・サイバーの運用。2026 年 4 月に石油ガスの合弁 Sensia を解消し、処理オートメーションを自社に戻した。
| 数量工場オートメーションの導入・保守・コンサルティング・運用サービスの世界市場(億ドル、2025 年価格) | 価格シェア × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 700 | 3.1% | 22 | 3 |
| 10 年後 中立 | 879 | 3.8% | 34 | 5 |
取り方:工場オートメーションの導入・統合・保守・運用サービスの対象市場を約 700 億ドル(推定)、シェア約 3.1% と置いた。2025 年 9 月期の売上 22.0 億ドル(−3%)、セグメント利益 3.2 億ドル(14.5%)。Sensia の解消で年間 約 2.5 億ドルの減収(利益率は約 0.5pt 改善)。2026 年は売上 約 21 億ドル、利益率 14.7%(第 3 四半期は基礎 −2%・15.1%)。
リスクと懸念
設備投資の循環と受注の反落
製造業の景気指数 ISM は 54.5(2026 年 9 月)と強く、半導体・データセンター・EC の案件が山に近い所で積み上がっている。2009 年は売上が約 17% 減り、全社の営業利益率が 9.2% まで落ちた。2015〜2016 年は原油安で停滞した前例もある。山の年の利益に高い倍率が付いている点が最大の懸念。
制御装置の囲い込みの弱まり(オープン化・仮想 PLC)
OPC UA などのオープン規格と、ソフトで動く仮想 PLC、AI による制御プログラムの自動作成が広がると、Logix を選ぶ理由(既存のプログラム・技術者・互換性)が薄まる。シーメンス・シュナイダー・中国のイノバンスが、この変化を新しい顧客の獲得に使う。10 年で最も大きな構造のリスク。
シーメンス・シュナイダー・三菱電機・中国勢との競争
シーメンスは売上でロックウェルの 2 倍以上、PLC で世界首位。シュナイダーと三菱電機も大きい。欧州とアジアではロックウェルの存在感が小さく、中国の国産機は価格で攻める。2026 年第 3 四半期にデバイスは価格と費用の差が足を引いた。
ライフサイクル・サービスの伸び悩み
2026 年第 3 四半期は基礎で −2%、利益率は 15% 前後。食品飲料・ライフサイエンス・化学の大型案件が先送りされ、Sensia の解消で売上は年 2.5 億ドル減る。サービスの比率が下がることは利益率には良いが、顧客との関係の幅は狭まる。
アスベスト・環境の過去の債務
2025 年は税前で 1.5 億ドルの費用が GAAP 純利益を削った(会社の調整後の利益からは除外)。2026 年の金額は小さいが、将来の訴訟の見積もりや対象が変われば、純利益を揺らす。GAAP で見る限り、10 年を通して無視できない。
関税とサプライチェーン、価格と費用の差
デバイスの価格と費用の差は 2026 年第 3 四半期にマイナスだった。電子部品・鋼材の関税と物価の上昇を価格に転嫁できない期間が続けば、利益率の改善(2026 年は全社で +2pt 前後)は止まり、中期の目標 23.5% にも届きにくくなる。
高い株価での自社株買い
年 10 億ドル近い自社株買いは、PER 35〜55 倍の株価で行われており、株主のものになる利益を使って割高な株を買っている面がある。景気の谷でも配当と買い戻しを続ければ、自己資本が薄い中で借り入れが増えやすい。
今後の分かれ目
- 2026 年 11 月の通期決算で、2027 年の売上の基礎の伸びが +8% 超・全社の営業利益率が 23% 超の見通しになる
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。ただし式の倍率(k 8.75%・g 4% の上限)は変わらず、本質価値の差は縮むが、なお今の水準には届かない。
- 受注の基礎の伸びが 2027 年に前年を下回り、受注残の伸びが止まる
- 景気の山が近いという信号で、10 年のやや悲観・悲観の確率を上げる。2009 年型の悲観は売上 −16%・純利益 6 割減。
- OPC UA ベースの仮想 PLC が主要な機械メーカーの標準になる、または大手の自動車・食品の顧客が Logix から他社へ移ると発表する
- 堀が崩れる 10 年の悲観の確率を上げる。デバイスの利益率は 15% 台まで戻り、PER は 16 倍前後まで下がる。
- Plex・Verve など新ソフトの ARR の伸びが 2 桁になり、純ドル維持率が 105% を超える
- ソフトとコントロールの市場とシェアの伸びを上方修正し、やや楽観の確率を上げる。
- 5 年 20 億ドルの投資で工場の増設が進む一方、フリーキャッシュフローが 10 億ドルを下回る
- 自社株買いの余力が落ち、還元の合計を下げる。借り入れが増えれば倍率の式の ROE と純負債を見直す。
- シーメンスまたはシュナイダーが、ロックウェル型の北米の顧客向けにソフトの価格を大きく下げる(産業ソフトの価格競争)
- ソフトとコントロールの利益率(33〜35%)が 30% 前後まで下がる前提に切り替え、やや悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 全社の営業利益率(2026 年 約 21.5%、会社の中期目標 23.5%)と増分利益率、ソフトとコントロールの利益率(直近 34.8%)
- 受注・受注残と、ディスクリート(半導体・データセンター・EC)・ハイブリッド(食品飲料)・プロセスの設備投資の動き、ISM 製造業指数
- ソフトの ARR(基礎 +6%、ソフト 1 桁後半)・Plex の新規受注・純ドル維持率、Verve の導入数
- シーメンス・シュナイダーの産業ソフトの買収と価格、中国のイノバンスの海外展開、OPC UA と仮想 PLC の普及
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見る前に、数量 × 価格で積んだ利益から利益ベースの正当化 PER((1−g/RONIC)/(k−g)、RONIC=k+残る割合×(事業の ROE−k))で出した。10 年の中立は正当化 PER 17.8 倍(k 8.75%・g 4.0%・ROE 44%・moat=普通)の 7.5 割 = 13.3 倍。Logix と Plex の切り替えの難しさは本物だが、自動化の設備投資は景気の山と谷が大きく、帳簿の ROE が 40% 超で式が高めに出やすい。上限の 7.5 割にとどめた。今の株価や過去の倍率に寄せて選んだ値ではなく、全筋書きが検査の上限(正当化 PER × 事業の純利益の 1.1 倍)の内側に収まっている。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.75% = 8.75%(β は使わない。決まり v2。内訳は quality_parts と quality_why)。製造業の設備投資の循環が大きく、利益が山谷で振れるので quality を厚めに見た。個別のリスク(Logix の囲い込みの弱まり・シーメンスとの競争・AI による置き換え・アスベスト債務)は k に足さず、筋書きと確率で表した。長期の g は 4.0% まで、k − g ≥ 3.5% を守る。