結論
ロッキード・マーチンは、F-35 戦闘機を中心にした航空、PAC-3・THAAD・HIMARS 用ロケット弾などのミサイル・火器管制(MFC)、ブラックホークなどのヘリと艦載システムを担う回転翼・ミッションシステム(RMS)、軍事衛星・戦略ミサイル・オリオン宇宙船の宇宙の 4 事業を持つ、世界最大の防衛主契約者である。2025 年は売上 750 億ドル、営業利益 74 億ドル、純利益 50 億ドル、FCF 69 億ドル。2025 年 4〜6 月期に機密航空計画・カナダ海上ヘリ・トルコ多用途ヘリで 15 億ドル超の損失を出し、利益率が 9〜10% に落ちたが、2026 年 4〜6 月期は損失がなく売上 201 億ドル(前年比 +11%)、営業利益率 10.8% に戻り、通年の売上見通しは 797〜817 億ドル、FCF 見通しは 70〜72 億ドルへ引き上げられた。
最大の変化は受注残で、2026 年 6 月末は 2,304 億ドルと過去最高(2025 年末は 1,936 億ドル)。6 月下旬に出た THAAD 迎撃弾の 7 年・約 350 億ドルの契約で、MFC の受注残だけが半年で 467 億ドルから 879 億ドルへ倍近くに増えた。年初には PAC-3 MSE の年産を約 600 発から 2,000 発へ、THAAD を 96 発から 400 発へ増やす枠組みも結ばれた。
バリュー投資の観点では、事業の質は高く、予測のしやすさも防衛では上位にある。今の時価総額 1,289 億ドルは、2026 年の純利益見通し(約 70 億ドル)の約 18 倍、FCF 見通しの約 18 倍で、FCF 利回りは 5.5% と米国債に並ぶ。ただし F-35 が売上の約 4 分の 1 を占める集中、固定価格の開発契約での度重なる損失、F-47(次世代戦闘機)をボーイングに奪われた点は重い。セグメントごとに市場 × シェア × 価格で積み上げると、10 年後の中立の純利益は今の約 2.5 倍。倍率を利益ベースの正当化 PER(k 7.75%・g 4%・事業の ROE は ROIC 式で約 76%・RONIC 約 42%・上限 24.1 倍)の 8.4 割、10 年後は 20.3 倍に置くと、割り引いて今の時価総額を 3 割ほど上回る割安(k への依存が強い)。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。ある。戦闘機・防空・衛星は各国が備蓄と更新を急ぐ局面にあり、F-35 は 50 年の整備収益を約束し、PAC-3 と THAAD は枯渇した弾薬の補充として増産の枠組みが付いた。堀は、F-35 の集中と次世代戦闘機の失注で一部は狭まったが、ミサイルと宇宙で補って全体では保たれる。
次にオーナー利益を見る。純利益 50 億ドルは 2025 年の損失 15 億ドル超と年金の一時費用で押し下げられており、損失が出ない年の力は 70 億ドル前後。FCF は 69 億ドル、2026 年は 70〜72 億ドルの見通しで、時価総額に対し 5.5%。株式報酬は小さく、設備投資は売上の 2.5〜3% で軽い。成長のための再投資がほとんど要らず、FCF の大半が株主のものになる点が、この会社の質の高さである。ただし配当が FCF の約 9 割と重いので、増産の投資が先に出ると自社株買いが止まる。
経営の資本配分は、株主還元に偏りすぎて自己資本が薄い一方、固定価格契約で損失を出す点がまずい。安全域は、中立の 10 年後の時価総額と還元の合計が今の約 2.6 倍で、悲観では 0.9 倍と今の値段をわずかに割り、厚みは普通の防衛会社として F-35 と固定価格の傷を織り込んだ分にとどまる。予測しにくい部分は F-35 のエンジンと TR-3 の遅れ、固定価格契約の損失で、確信度は防衛の中では中の上にとどめる。
何で稼ぐ会社か
航空(2025 年売上 303 億ドル・利益率 6.9%)は F-35 が中心で、年産 約 150〜190 機の機体と、すでに世界で 1,200 機以上飛ぶ機体の整備・部品、F-16 ブロック 70、C-130J、機密のスカンクワークスを含む。F-35 は 20 か国近くが採用し、整備だけで 2070 年代まで収益が続く構造。2025 年の納入は過去最高の 191 機だが、その約半分は TR-3(改良した計算機とソフト)の遅れで積み残された過去分の引き渡しで、2026 年上期は 51 機(前年同期 97)と、新ロットの受け渡しはこれからである。
MFC(同 145 億ドル・利益率 13.8%)は、パトリオット用の PAC-3 MSE、THAAD、HIMARS・M270 用の GMLRS と PrSM、JASSM・LRASM の巡航ミサイル、ジャベリン、ヘルファイアを担う。利益率が会社で最も高く、受注残は 879 億ドルで売上の約 6 年分にあたる。顧客は米国防総省と、ポーランド・ドイツ・日本などの同盟国。
RMS(同 173 億ドル・利益率 7.6%)は、ブラックホーク(シコルスキー)、CH-53K、イージス戦闘システム、艦載レーダー、訓練・シミュレーション、サイバー。2025 年にカナダ海上ヘリとトルコ多用途ヘリの損失が出た。宇宙(同 130 億ドル・利益率 10.3%)は、トライデント II の D5、極超音速兵器、次世代の GPS 衛星・警戒衛星、オリオンと、ULA(ボーイングとの合弁・持分利益が出る)。顧客の約 7 割が米国政府で、国際は約 26% である。
優良さと弱いところ
堀は広い。F-35 は 1 機種で 3 軍と同盟国の運用・整備・訓練・ソフト更新を握り、いったん採用されれば 50 年単位で手放されない。PAC-3 や THAAD は米国と同盟国の防空網の中核で、シーカー・ロケットモーター・製造ラインの認定そのものが参入障壁になる。価格は競争入札と原価の積み上げで決まるので値上げの力は限られるが、販売後の整備・改修が長期の安定収益になる。資本効率は帳簿上では極端に高く(ROE 75%)、これは自社株買いを長年続けて自己資本が薄くなった結果で、事業の力そのものではない。実力は営業利益率 10〜13% 台、FCF 利益率 9〜10% と見るのが妥当。
弱い点は 3 つある。第一に F-35 への集中で、売上の約 4 分の 1 と、利益の大半を握る整備の収益が 1 つの機体に依存する。TR-3 の遅れ、ブロック 4 の遅れ、エンジン(RTX のプラット・アンド・ホイットニー)の改良の遅れなど、供給の詰まりで納入が落ちる。第二に固定価格の開発契約で、2025 年は 15 億ドル超、2024 年も機密計画で損失を出した。第三に次の世代の取り合いで、2025 年に空軍の F-47 をボーイングが取り、海軍の F/A-XX の行方も不透明で、2040 年代の戦闘機の主役は決まっていない。
経営はテイクラートが 2020 年から率いる。株主還元は堅実で、損失の年にも配当を増やし続け、2026 年は自社株買いを止めて債務を縮める姿勢に転じた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
防衛は需要が構造的に増えている。米国の 2027 年度の予算要求は総額 1.5 兆ドル(うち 3,500 億ドルは別の法案での成立が前提で、未成立)で、F-35 は前年要求の 47 機から 85 機へ、弾薬 12 品目の増産、ゴールデンドーム(約 175 億ドル)、造船が柱。欧州の NATO 加盟国は国防費を GDP 比 3.5〜5% へ上げる方向で、パトリオット・THAAD・F-35 の輸出が増える。受注残の厚さ(2,304 億ドル、売上の約 2.9 年分)が、予算の波の中でも売上を支える。
主契約者は、ロッキード・マーチン、RTX、ノースロップ・グラマン、ゼネラル・ダイナミクス、ボーイングの寡占で、政府が唯一の顧客である。ミサイルでは、RTX のレイセオンがシーカー・レーダー・SM-6・AMRAAM・トマホークで強く、パトリオットではレーダーを RTX、迎撃弾を ロッキードが受け持つ協業関係でもある。ノースロップ・グラマンは固体ロケットモーターと B-21 を持つ。宇宙と無人機では、アンドゥリル、パランティア、スペース X が調達の入り口を広げている。
航空では、F-35 の調達数は予算の都合で年によって揺れる(2026 年度の予算では空軍の要求が大幅に減っていた)。民間機のような景気の波は小さいが、予算の凍結(過去には 2011〜2015 年の予算管理法で調達が実質 約 25% 縮んだ)が最大のリスクになる。いまは弾薬の枯渇という共通認識があり、防衛の需要が景気より政策で決まる局面が続く。
資本政策と M&A
還元は配当と自社株買いの 2 本で、2025 年は配当 31 億ドル・自社株買い 30 億ドル(合計 61 億ドル、FCF 69 億ドルの 88%)。2026 年上期は自社株買いがゼロで、会社は純負債 186 億ドル(時価総額の 14.5%)を縮め、設備投資を弾薬の増産に回す姿勢である。配当は長年増配を続けており、FCF 見通し 70〜72 億ドルに対して配当が約 62 億ドル(約 9 割)と重く、自社株買いの再開は FCF の伸び次第になる。
M&A は慎重で、2020 年に発表したエアロジェット・ロケットダイン買収は規制当局の反対で 2022 年に破談になった。以後は大型の買収をせず、固体ロケットモーターなど供給の詰まりは自社の投資と調達で補う方針。買われる側になることは、時価総額 1,289 億ドルと防衛の再編の制約から考えにくい。バリュー投資の観点では、割高な局面での自社株買いを避け、FCF の見通しを守れるかが資本配分の評価の分かれ目。2025 年は機密計画などの損失で利益の質への信頼が傷ついた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
受注残は 2,304 億ドルで売上の約 2.9 年分、半年で 370 億ドル増えた。PAC-3 を年産 2,000 発へ、THAAD を 400 発へ増やす 7 年の枠組みは、米国と同盟国の備蓄が枯渇している以上、予算がつけば確実に売上になる。MFC は利益率 14% 台で、増産で製造ラインを増やすほど単価が下がり 15〜16% が見える。
航空は、2025 年の機密計画の損失 9.5 億ドルが特殊要因で、2026 年上期は利益率 9.2% まで戻った。F-35 は 2027 年度の予算要求で 47 機から 85 機へ増える見込みで、TR-3 の積み残しが片づけば納入が正常化し、ブロック 4 の改良とあわせて整備収益が積み上がる。F-47 を取られても、F-35 の改修・整備と無人僚機などで 2040 年代まで収益が続く。
欧州の防衛費が GDP 比 3.5〜5% に向かい、ポーランド・ドイツ・日本が PAC-3 と F-35 を買い増す。ゴールデンドームでは宇宙迎撃と指揮統制で主契約者に入る可能性が高い。10 年後の純利益は 2.5〜3.5 倍、FCF は 120 億ドルを超え、債務を返したあとは自社株買いが戻る。FCF 利回り 5.5% は、成長が物価に乗る事業としては割安で、利益ベースの上限近くの倍率(20 倍前後)は妥当である。
慎重な見方
F-35 は売上の約 4 分の 1、利益の大半の源で、1 本足である。TR-3 は 2025 年に完了したと言いつつ、ブロック 4 の遅れが続き、2026 年上期の納入は 51 機(前年同期 97 機)と半減した。2027 年度の予算要求は 85 機でも、うち 53 機は別の法案での成立が前提で、成立しなければ従来の 47 機前後にとどまる。F-47 をボーイングに取られ、F/A-XX も未決で、2040 年代の戦闘機の主役からは外れた。
固定価格の開発契約で、2024 年は機密計画、2025 年は機密航空・カナダ海上ヘリ・トルコ多用途ヘリで損失を出した。機密計画は内容が見えず、追加の損失がいつ出るか読めない。PAC-3 と THAAD の増産は、ロケットモーター・シーカー・電子部品の供給の詰まりが先で、ノースロップ・グラマンの固体ロケットモーターの能力や協力会社の増強が遅れれば、枠組みは契約でも数量にならない。増産の枠組みには追加予算が前提という条件が付き、議会が通さなければ動かない。
配当が FCF の約 9 割で、自社株買いを止めても自由度は小さい。純負債 186 億ドルに対して自己資本は 67 億ドルしかなく、損失が続けば財務の余裕が薄い。ROE 75% は自己資本の薄さの裏返しで、資本の質の証明ではない。アンドゥリルなど新興が無人機・低価格ミサイルで入ってくれば、主契約者の取り分も削られる。
どちらに重みを置いたか
事業の質と受注の見通しは強気の見方が強く、確率は楽観側にやや寄せた(楽観とやや楽観で 32%)。ただし F-35 の集中と固定価格の損失の前歴は慎重な見方の言い分が重く、悲観・やや悲観を 35% と厚めに置いた(悲観 12% は RTX の 10% より少し厚い)。倍率は k 7.75% の利益ベースの式で、10 年の中立は上限 24.1 倍の 8.4 割の 20.3 倍。結論は「優れた事業で、値段は割安。ただし割安の大きさは k と帳簿でない ROIC 式の ROE に依存し、F-35 と固定価格契約の傷は確率で表した」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,011 ドル2,362 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 358.29 ドル837 億ドル)。 今の値に割り戻すと 726.14 ドル1,696 億ドル、今との差 +23.1%、 期待の年率 +8.8%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,780 ドル4,156 億ドル | 535.33 ドル1,250 億ドル | +292.5% | +14.7% | 231.52 ドル541 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 1,373 ドル3,205 億ドル | 428.27 ドル1,000 億ドル | +205.3% | +11.8% | 396.19 ドル925 億ドル |
| 中立 | 33% | 1,067 ドル2,492 億ドル | 376.87 ドル880 億ドル | +144.8% | +9.4% | 476.56 ドル1,113 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 623.90 ドル1,457 億ドル | 274.09 ドル640 億ドル | +52.2% | +4.3% | 206.54 ドル482 億ドル |
| 悲観 | 12% | 297.90 ドル696 億ドル | 192.72 ドル450 億ドル | −16.8% | −1.8% | 58.87 ドル137 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 1,011 ドル2,362 億ドル | 358.29 ドル837 億ドル | +132.2% | +8.8% | 1,370 ドル3,198 億ドル |
今の株価時価総額 589.91 ドル1,377 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:ミサイルと宇宙が積み上がり、純利益が今の 3.5 倍に 利益 183 億ドル · PER 22.7 倍 · 株価時価総額 1,780 ドル4,156 億ドル
2035 年、防空・ミサイル市場は実質で年 +8.5%、ロッキードのシェアは 8.2%、利益率 16%。航空は F-35 の整備・改修と無人僚機で市場の実質年 +3% に乗り、シェア 10.5%、利益率 11.5%。RMS は 12%、宇宙はゴールデンドームの宇宙部分と戦略ミサイルでシェア 9%、利益率 12%。価格は物価並み(10 年 1.41 倍)。売上は 1819 億ドル、営業利益は 234 億ドル、純利益は 183 億ドル。債務を返し終え自社株買いも続く。競合と照らすと、RTX(レイセオンの利益率 13% 台)を上回る利益率を MFC が出す前提で、ノースロップ・グラマンの固体ロケットモーターの増強が間に合うことが条件になる。
- 航空(F-35 ほか):数量 4,032(軍用機の世界調達・整備の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 14.8%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 597 億ドル・営業利益 69 億ドル。市場 4,032 億ドル × シェア 10.5% × 価格 1.41 倍
- ミサイル・火器管制(MFC):数量 4,520(防空・ミサイル・センサーの世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 11.6%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 523 億ドル・営業利益 84 億ドル。市場 4,520 億ドル × シェア 8.2% × 価格 1.41 倍
- 回転翼・ミッションシステム(RMS):数量 3,525(軍用ヘリ・艦載システム・C6ISR・訓練の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 10.2%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 358 億ドル・営業利益 43 億ドル。市場 3,525 億ドル × シェア 7.2% × 価格 1.41 倍
- 宇宙:数量 2,686(軍用宇宙・戦略ミサイルの世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 12.7%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 341 億ドル・営業利益 41 億ドル。市場 2,686 億ドル × シェア 9.0% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE は、帳簿(762%)が自社株買いで自己資本が小さく高く出るので、ROIC 式(ROIC+(ROIC−借入金利×(1−税率))×業界並みの純負債÷自己資本 0.5)の 100.0% を使う。RONIC=k 7.75%(基本 8.0% + quality −0.25%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 53.9%(堀は普通:PAC-3・THAAD は独占に近いが、F-35 への集中と固定価格の損失、F-47 の失注があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=防衛予算・ミサイル防衛の数量(実質年 1.5〜2%)+ 契約価格の物価 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=24.7 倍に対し、92% の 22.7 倍に置いた(F-35 の納入が正常化し PAC-3・THAAD が前倒しで立ち上がる筋書きだが、F-35 一本足の傷があるので上限の 9 割強)。時価総額=純利益 183 億ドル × 22.7 倍=4156 億ドル。
確率:PAC-3・THAAD の増産が 7 年を超えて続き、欧州・アジアの輸出が伸び、ゴールデンドームの主契約者になり、F-35 の次の改修・無人機も取る展開。大きな事業で 10 年これが続く確率は 1 割。
やや楽観 22% やや楽観:MFC の利益率が 15% に届き、航空が 10〜11% で安定する 利益 149 億ドル · PER 21.5 倍 · 株価時価総額 1,373 ドル3,205 億ドル
2035 年、防空・ミサイル市場は実質で年 +7%、シェア 7.8%、利益率 15.3%。航空は市場が実質で年 +2.5%、F-35 の整備の稼働増でシェア 10.0%、利益率 10.8%。RMS はシェア 7.0%、利益率 11.3%。宇宙はシェア 8.7%、利益率 11.3%。売上は 1615 億ドル、営業利益は 194 億ドル、純利益は 149 億ドル。競合と照らすと、RTX が同じ弾薬の増産で並び、ノースロップ・グラマンが固体ロケットモーターで部品を握るが、ロッキードは PAC-3 と THAAD の独占に近い立場で利益率を守る。
- 航空(F-35 ほか):数量 3,840(軍用機の世界調達・整備の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 14.1%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 541 億ドル・営業利益 58 億ドル。市場 3,840 億ドル × シェア 10.0% × 価格 1.41 倍
- ミサイル・火器管制(MFC):数量 3,934(防空・ミサイル・センサーの世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 11.0%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 433 億ドル・営業利益 66 億ドル。市場 3,934 億ドル × シェア 7.8% × 価格 1.41 倍
- 回転翼・ミッションシステム(RMS):数量 3,360(軍用ヘリ・艦載システム・C6ISR・訓練の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 9.9%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 332 億ドル・営業利益 38 億ドル。市場 3,360 億ドル × シェア 7.0% × 価格 1.41 倍
- 宇宙:数量 2,516(軍用宇宙・戦略ミサイルの世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 12.3%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 309 億ドル・営業利益 35 億ドル。市場 2,516 億ドル × シェア 8.7% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE は、帳簿(233%)が自社株買いで自己資本が小さく高く出るので、ROIC 式(ROIC+(ROIC−借入金利×(1−税率))×業界並みの純負債÷自己資本 0.5)の 88.3% を使う。RONIC=k 7.75%(基本 8.0% + quality −0.25%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 48.0%(堀は普通:PAC-3・THAAD は独占に近いが、F-35 への集中と固定価格の損失、F-47 の失注があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=防衛予算・ミサイル防衛の数量(実質年 1.5〜2%)+ 契約価格の物価 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=24.4 倍に対し、88% の 21.5 倍に置いた(MFC の増産が計画どおりで航空の損失が止まる筋書き)。時価総額=純利益 149 億ドル × 21.5 倍=3205 億ドル。
確率:整備収益の積み上がりとミサイル増産で、強気の見方の根拠(受注残・独占に近い防空)が強い。F-47 の失注の傷を考え、中立の次にやや厚く置いた。
中立 33% 中立:売上は年 6.8%、MFC の比重が上がり、成熟した優良な防衛会社になる 利益 123 億ドル · PER 20.3 倍 · 株価時価総額 1,067 ドル2,492 億ドル
2035 年、防空・ミサイル市場は実質で年 +6%、ロッキードのシェアは 7.5%、利益率 14.5%(独占に近い PAC-3・THAAD が支え、RTX・ノースロップ・グラマンと分け合う)。航空は市場が実質で年 +2%、F-35 の新造は終わりに向かうが整備が増え、シェア 9.6%、利益率 10%。RMS は 10.5%、宇宙は 10.5%。価格は物価並み(10 年 1.41 倍)。売上は 1449 億ドル、営業利益は 162 億ドル、純利益は 123 億ドル(今の約 2.5 倍。借り換えで利払いが約 3 億ドル増える)。競合と照らすと、RTX(レイセオンの利益率 13% 台)と同水準で、うまくいけばオーナー利益は今の 2.3 倍前後になる。
- 航空(F-35 ほか):数量 3,657(軍用機の世界調達・整備の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 13.5%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 495 億ドル・営業利益 50 億ドル。市場 3,657 億ドル × シェア 9.6% × 価格 1.41 倍
- ミサイル・火器管制(MFC):数量 3,582(防空・ミサイル・センサーの世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 10.6%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 379 億ドル・営業利益 55 億ドル。市場 3,582 億ドル × シェア 7.5% × 価格 1.41 倍
- 回転翼・ミッションシステム(RMS):数量 3,200(軍用ヘリ・艦載システム・C6ISR・訓練の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 9.5%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 302 億ドル・営業利益 32 億ドル。市場 3,200 億ドル × シェア 6.7% × 価格 1.41 倍
- 宇宙:数量 2,330(軍用宇宙・戦略ミサイルの世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 11.7%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 273 億ドル・営業利益 29 億ドル。市場 2,330 億ドル × シェア 8.3% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE は、帳簿(224%)が自社株買いで自己資本が小さく高く出るので、ROIC 式(ROIC+(ROIC−借入金利×(1−税率))×業界並みの純負債÷自己資本 0.5)の 76.1% を使う。RONIC=k 7.75%(基本 8.0% + quality −0.25%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 41.9%(堀は普通:PAC-3・THAAD は独占に近いが、F-35 への集中と固定価格の損失、F-47 の失注があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=防衛予算・ミサイル防衛の数量(実質年 1.5〜2%)+ 契約価格の物価 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=24.1 倍に対し、84% の 20.3 倍に置いた(受注残 2,300 億ドルと防空ミサイルの増産で利益が戻る質は高いが、F-35 への集中と固定価格の損失があり、上限すれすれには置かない)。時価総額=純利益 123 億ドル × 20.3 倍=2492 億ドル。
確率:業界の中立(調達予算 年 +5%、弾薬の数量 年 +6%)に沿う。F-35 の整備が収益を支え、MFC が全体の利益率を押し上げる。強気と慎重の見方の落としどころ。
やや悲観 23% やや悲観:F-35 の次を取れず、シェアを一部失って利益率が 9〜10% にとどまる 利益 86 億ドル · PER 16.9 倍 · 株価時価総額 623.90 ドル1,457 億ドル
2035 年、F-35 の新造が終わったあとの次の機体を取れず、航空はシェア 8.5%、利益率 8.5%(整備だけでは埋まらない)。MFC は新興の低価格ミサイルとノースロップ・グラマン・RTX に一部の入札で負け、シェア 6.8%、利益率 13.2%。RMS は固定価格の損失が続いて 9%、宇宙は 9.5%。市場の伸びは物価並みに近い。売上は 1216 億ドル、営業利益は 118 億ドル、純利益は 86 億ドル。競合と照らすと、ボーイングが F-47 と無人機で航空の主役になり、アンドゥリルが無人機・低価格ミサイルで取り分を伸ばす。負ければ純利益は今の 1.7 倍にとどまる。
- 航空(F-35 ほか):数量 3,480(軍用機の世界調達・整備の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 12.0%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 417 億ドル・営業利益 35 億ドル。市場 3,480 億ドル × シェア 8.5% × 価格 1.41 倍
- ミサイル・火器管制(MFC):数量 3,258(防空・ミサイル・センサーの世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 9.6%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 312 億ドル・営業利益 41 億ドル。市場 3,258 億ドル × シェア 6.8% × 価格 1.41 倍
- 回転翼・ミッションシステム(RMS):数量 3,047(軍用ヘリ・艦載システム・C6ISR・訓練の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 8.7%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 266 億ドル・営業利益 24 億ドル。市場 3,047 億ドル × シェア 6.2% × 価格 1.41 倍
- 宇宙:数量 2,115(軍用宇宙・戦略ミサイルの世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 10.4%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 221 億ドル・営業利益 21 億ドル。市場 2,115 億ドル × シェア 7.4% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE は、帳簿(65%)が自社株買いで自己資本が小さく高く出るので、ROIC 式(ROIC+(ROIC−借入金利×(1−税率))×業界並みの純負債÷自己資本 0.5)の 41.0% を使う。RONIC=k 7.75%(基本 8.0% + quality −0.25%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 24.4%(堀は普通:PAC-3・THAAD は独占に近いが、F-35 への集中と固定価格の損失、F-47 の失注があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=防衛予算・ミサイル防衛の数量(実質年 1.5〜2%)+ 契約価格の物価 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=22.3 倍に対し、76% の 16.9 倍に置いた(F-35 の納入が遅れ追加の損失が出て、次の機体も取れない筋書き)。時価総額=純利益 86 億ドル × 16.9 倍=1457 億ドル。
確率:F-47 の失注、F/A-XX の不確実、新興の台頭、固定価格契約の損失の連鎖で、2040 年代の取り分が細る筋書き。前歴を考え 2 割強と厚めに置いた。
悲観 12% 悲観:構造的に負け、固定価格の損失と予算の縮小で優良ではなくなる 利益 47 億ドル · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 297.90 ドル696 億ドル
2035 年、F-35 の整備が同盟国の離脱と競争入札で縮み、航空はシェア 7.0%、利益率 5.5%。MFC は供給の詰まりと新興への入札の移行でシェア 6.0%、利益率 11.5%。RMS は損失が続いてシェア 5.5%、利益率 7%、宇宙は 8%。市場の伸びも物価を下回る。売上は 940 億ドル、営業利益は 70 億ドル、純利益は 47 億ドル(今の約 0.9 倍)。競合と照らすと、ボーイングが航空、RTX とノースロップ・グラマンが弾薬、アンドゥリルとスペース X が無人機・宇宙を取り、ロッキードは特別な優良企業ではなく、予算に左右される普通の防衛会社になる。2027〜28 年は固定価格契約の損失と予算の縮小で純利益が 40 億ドル前後まで落ち、その後に 47 億ドルへ戻る道なので、10 年の純利益の累計は約 441 億ドル。
- 航空(F-35 ほか):数量 3,153(軍用機の世界調達・整備の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 9.9%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 311 億ドル・営業利益 17 億ドル。市場 3,153 億ドル × シェア 7.0% × 価格 1.41 倍
- ミサイル・火器管制(MFC):数量 2,820(防空・ミサイル・センサーの世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 8.5%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 239 億ドル・営業利益 28 億ドル。市場 2,820 億ドル × シェア 6.0% × 価格 1.41 倍
- 回転翼・ミッションシステム(RMS):数量 2,763(軍用ヘリ・艦載システム・C6ISR・訓練の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 7.8%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 214 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場 2,763 億ドル × シェア 5.5% × 価格 1.41 倍
- 宇宙:数量 1,920(軍用宇宙・戦略ミサイルの世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 9.2%(ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 176 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場 1,920 億ドル × シェア 6.5% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE は、帳簿(78%)が自社株買いで自己資本が小さく高く出るので、ROIC 式(ROIC+(ROIC−借入金利×(1−税率))×業界並みの純負債÷自己資本 0.5)の 30.9% を使う。RONIC=k 7.75%(基本 8.0% + quality −0.25%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 19.3%(堀は普通:PAC-3・THAAD は独占に近いが、F-35 への集中と固定価格の損失、F-47 の失注があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=防衛予算・ミサイル防衛の数量(実質年 1.5〜2%)+ 契約価格の物価 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=21.1 倍に対し、70% の 14.8 倍に置いた(構造的に負け、固定価格の損失と予算の縮小で普通の防衛会社になる筋書き。上限の 7 割に置いた)。時価総額=純利益 47 億ドル × 14.8 倍=696 億ドル。悲観の下限は、純利益 47 億ドルを k で割った稼ぐ力 606 億ドルより上の 696 億ドルで、10 年の還元 450 億ドルと合わせて 1,146 億ドル(今の時価総額 1,289 億ドルを下回る)。
確率:F-35 の改修・整備の縮小、次世代戦闘機の失注、新興へのシェアの移行、固定価格契約の損失、予算の凍結が重なる展開。確率は 1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
航空(F-35 ほか)
F-35 の機体・整備、F-16、C-130J、機密のスカンクワークス。利益の大半は稼働中の機体の整備・改修。
| 数量軍用機の世界調達・整備の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,000 | 10.1% | 302 | 21 |
| 10 年後 中立 | 3,657 | 13.5% | 495 | 50 |
取り方:米国と同盟国の軍用機(戦闘機・輸送機・無人機)の新造と整備・改修の世界市場を約 3,000 億ドル(推定。米国の航空機調達に、F-35 の整備、同盟国と欧州の戦闘機・輸送機を含む)と置き、シェア約 10.1% で 2025 年の売上 302 億ドルを出した。利益率 6.9%(機密計画の損失 9.5 億ドルを含む)。競合:ボーイング(F-15EX・F-47)、ノースロップ・グラマン(B-21)、欧州のエアバス・ダッソー・サーブ、RTX(エンジンの P&W)。
ミサイル・火器管制(MFC)
PAC-3 MSE、THAAD、GMLRS、PrSM、JASSM、ジャベリンなど。受注残が売上の約 6 年分で、利益率が最も高い。
| 数量防空・ミサイル・センサーの世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,000 | 7.2% | 144 | 20 |
| 10 年後 中立 | 3,582 | 10.6% | 379 | 55 |
取り方:業界ノート(RTX のレイセオンと同じ市場)の約 2,000 億ドルにシェア約 7.2% を置いた。2025 年の売上 144.5 億ドル、利益率 13.8%。競合:RTX(SM-6・AMRAAM・トマホーク、パトリオットのレーダー)、ノースロップ・グラマン(固体ロケットモーター・IBCS)、ボーイング、ゼネラル・ダイナミクス、アンドゥリル。PAC-3 と THAAD は事実上の独占に近い。
回転翼・ミッションシステム(RMS)
ブラックホーク・CH-53K、イージス戦闘システム、艦載レーダー、訓練、サイバー。固定価格の損失が出やすい。
| 数量軍用ヘリ・艦載システム・C6ISR・訓練の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,500 | 6.9% | 173 | 13 |
| 10 年後 中立 | 3,200 | 9.5% | 302 | 32 |
取り方:軍用ヘリ、艦載の戦闘・センサー、C6ISR・訓練・サイバーの合計 約 2,500 億ドル(推定)にシェア約 6.9% を置き、売上 173 億ドル、利益率 7.6%(カナダ海上ヘリ・トルコ多用途ヘリの損失を含む)。競合:ボーイング、ノースロップ・グラマン、ゼネラル・ダイナミクス、L3ハリス、RTX、ベル(テキストロン)。
宇宙
軍事衛星、トライデント II D5、極超音速兵器、オリオン、ULA の持分利益。
| 数量軍用宇宙・戦略ミサイルの世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ロッキードのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,500 | 8.7% | 130 | 14 |
| 10 年後 中立 | 2,330 | 11.7% | 273 | 29 |
取り方:米国の軍用宇宙(衛星・打ち上げ・地上)、戦略ミサイル・極超音速、NASA の探査と同盟国向けを合わせ約 1,500 億ドル(推定)にシェア約 8.7% を置き、売上 130 億ドル、利益率 10.3%。競合:スペース X、ノースロップ・グラマン、ボーイング、L3ハリス、ブルー・オリジン、新興の衛星会社。
リスクと懸念
F-35 への集中
売上の約 4 分の 1 と整備収益が 1 機種に依存する。TR-3 とブロック 4 の遅れ、エンジンの改良の遅れ、同盟国の購入の見直しで、納入数と受け取りの時期が動く。2026 年上期の納入は 51 機と前年同期の約半分。
固定価格の開発契約の損失
2024 年の機密計画、2025 年の機密航空・カナダ海上ヘリ・トルコ多用途ヘリで損失が連続した。機密計画は内容が見えず、追加の損失がいつ出るか読みにくい。利益率が 1〜2 ポイント下がると純利益は 2 割近く動く。
次世代戦闘機の失注
F-47 はボーイングに渡り、海軍の F/A-XX も未決。2040 年代の戦闘機の主役から外れれば、F-35 の整備の先の成長が細る。F-35 の改修・整備と無人僚機でどこまで補えるかが分かれ目になる。
増産の枠組みの実行
PAC-3 の年産 2,000 発、THAAD の 400 発は、追加予算と、ロケットモーター・シーカー・電子部品の供給が前提。議会の予算が遅れる、協力会社の増強が遅れると、受注残が売上に変わる速度が落ちる。
国防予算の凍結・縮小
2027 年度の要求 1.5 兆ドルのうち 3,500 億ドルは別の法案で、成立は未定。つなぎ予算が長引いたり、財政赤字と金利 5% の利払いで予算管理法のような縮小が来れば、調達が実質 10〜25% 縮んだ過去の再来になる。
新興勢の台頭
アンドゥリル、パランティア、スペース X が無人機・低価格ミサイル・宇宙・指揮統制の調達を取り、主契約者の取り分が削られる可能性がある。ゴールデンドームが宇宙新興と分割されれば、宇宙・MFC の上振れが小さくなる。
薄い自己資本と配当の重さ
自己資本 67 億ドルに対し純負債 186 億ドル、配当は FCF の約 9 割。損失が続けば還元と増産の投資を両立しにくく、自社株買いの再開が遅れる。年金の一時費用(2025 年は 4.8 億ドル)もぶれの要因になる。
今後の分かれ目
- F-35 の納入が月 15 機以上に戻り、TR-3 の積み残しが片づいたら
- 航空の利益率が 9〜10% に定着し、中立の利益を 3〜5% 上げて見る。やや楽観の確率を上げる。
- 機密計画などで新たな損失が 5 億ドル以上出たら
- 固定価格の問題が構造的と見て、やや悲観・悲観の確率を厚くし、倍率も 1〜2 倍下げて見る。
- PAC-3 の 7 年の契約が正式に結ばれ、年産が 1,000 発を超えて立ち上がったら
- MFC の利益率が 14〜16% に上がる道が見え、楽観・やや楽観の確率を上げる。
- 3,500 億ドルの別の法案が成立せず、F-35 の調達が 47 機前後にとどまったら
- 航空の売上が 3〜5% 下振れし、中立の利益を下げる。ただし受注残が厚く、悲観の深さは限られる。
- 次世代戦闘機(F/A-XX など)をロッキードが取ったら
- 2040 年代の航空の収益が守られ、10 年の航空のシェア・利益率を 1 段上げて見る。
- 株価が下がり、損失のない年の純利益の 14〜15 倍前後になったら
- FCF 利回りが 7% 台になり安全域が広がる。債務が減っていれば自社株買いの再開の効果も大きく、評価が上がる。
見ておくもの
- F-35 の納入数(四半期ごと)と TR-3・ブロック 4 の進み方、2027 年度の F-35 調達数
- MFC の受注残(879 億ドル)の売上化の速度、PAC-3・THAAD の年産の実績と 7 年契約の締結
- 全セグメントの利益率(会社全体 11% 台への回復)と新たな損失の有無
- 3,500 億ドルの別の法案とゴールデンドーム契約の割り方、F/A-XX の決定
- FCF(2026 年 70〜72 億ドル)と純負債の推移、自社株買いの再開の時期
- 年金の積立と一時費用、設備投資(2026 年 20〜24 億ドル)の水準
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額や PER 25.7 倍を見る前に、4 セグメントで市場 × シェア × 価格指数から売上を積み、利益率と利払いで 2035 年の純利益を出した。倍率は利益ベースの正当化 PER((1−g÷RONIC)÷(k−g)、k 7.75%=基本 8.0% + quality −0.25%、g 4%、RONIC=k+1/2×(事業の ROE−k)、moat 普通)の 7〜9.2 割(10 年の中立は上限 24.1 倍の 8.4 割で 20.3 倍)に置いた。自社株買いで帳簿の ROE が 40% を大きく超えるため、事業の ROE は ROIC+(ROIC−借入金利×(1−税率))×純負債÷自己資本 0.5 の式(31〜100%)で置いた。悲観は稼ぐ力(純利益÷k)より上の 14.8 倍で、10 年の還元と合わせても今の時価総額を下回る。F-35 への集中と固定価格の損失があるので上限の 8.4 割に抑えた。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 5% + β 0.60 × 5%。k=基本 8.0% + quality −0.25% = 7.75%。受注残の厚さと政府が唯一の顧客という安定を −0.25% で認めた。F-35 への集中・固定価格契約の損失・F-47 の失注・予算の凍結は k に足さず、筋書きと確率(やや悲観・悲観 35%)で表した。純負債は小さく、上乗せは置かない。