結論
トランスダイム・グループは、航空機の機体とエンジンに使う小さな部品(スイッチ、バルブ、ポンプ、センサー、ラッチ、電源、点火装置など)を、自社で設計した独自品として売る会社である。売上の約 9 割が独自設計品、約 55% がアフターマーケット(交換・補修部品)で、2025 年 9 月期は売上 88 億ドル、営業利益率 47.5%、EBITDA(会社定義)率 53.9%。2026 年 9 月期は 4〜6 月期まで売上が前年比 +23%(有機 +13%)で、通期の見通しは売上 105 億ドル・純利益 21 億ドル・EBITDA 率 52.5%に上がった。
強みは、一度採用された部品が機体の寿命(20〜30 年)にわたって交換部品を生み、顧客が値段で乗り換えにくいこと。弱みは、その高い利益を借金で膨らませた資本構成である。純負債は 273 億ドル(EBITDA の約 5.8 倍)、自己資本はマイナスで、2025 年は特別配当で約 96 億ドルを一度に還元した。借り換えの金利は 5.75% 前後で、営業利益の約 4 割が利払いに消える。
バリュー投資の観点では、事業の質は航空宇宙でも最上位だが、値段と借金が余裕を削る。市場(納入機数・飛行時間)× シェア × 価格でセグメントごとに積むと、中立の純利益は 2028 年に約 27 億ドル、2035 年に約 46 億ドル。10 年目の倍率は利益ベースの正当化 PER(ROIC から直した ROE 33%・g 4%・k 8.75%・RONIC 約 21%・上限 17.0 倍)の 9 割、15.3 倍に置き、確率で加重した本質価値は今の時価総額(約 660 億ドル)を 2 割弱下回る水準、つまりやや割高になる。事業の質は最上位でも、借金の重さと修理する権利の法制化という下振れの確率が、値段の高さを正当化しない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点でまず問うのは、10 年後もこの事業は存在し、今より強いかである。答えは「はい」に近い。飛行機が飛ぶ限り交換部品は要り、独自設計の認証部品は他社品に乗り換えにくく、機体が増えれば 10〜20 年後の補修収入も増える。
次に、堀の広がり方と、株主のものになる利益(オーナー利益)である。売上の 5 割強が補修で、設備投資は売上の 3% 程度(約 3 億ドル)と軽く、利益の多くが現金になる。2026 年の FCF は約 26 億ドルの見通しで、純利益を 2 割ほど上回る。増える利益に要る元手は、買収を含めた全体の ROIC(約 19%)で見るので、保守的に置いた。
経営は資本配分に長けるが、その成果の一部は借金に頼る。純負債が EBITDA の 5.8 倍だと、営業利益の約 4 割が利払いに行き、株主の利益は景気と金利に敏感になる。安全域は、倍率の余地ではなく、借金が返せなくなる事態が起きにくい事業であること(不況でも営業利益率が 36% を割らなかった)から来る。
予測のしやすさは高いが、確信度を下げる要因が 2 つある。①独占の値付けは政治(修理する権利・価格監視)に左右される。②10 年の収益は、買収を続けられるかに依存する。値段は、今の約 660 億ドルが 2026 年の純利益の約 32 倍で、成熟後の式の倍率(約 15.3 倍)より高い。成長は市場の伸びの範囲で受け取り、倍率の上積みを当てにしない。
何で稼ぐ会社か
商用の機体・エンジンと防衛装備に使う、機能が限られた特殊部品を 1 万点以上持つ。例は、ポンプ、バルブ、アクチュエーター、点火系、電源、コックピットの操作部品、座席・客室の部品、センサー、ブレーキ制御、防衛向けの電子戦・誘導の部品など。1 つあたりは安く、機体の総費用に占める割合は小さいが、飛行の安全認証を受けているので、顧客は同じ型番を使い続ける。
売上は 3 つの出口で見る。①商用 OEM(ボーイング・エアバス・ビジネスジェット・エンジンメーカーへの新品供給。通常は売上の 25〜30%)、②商用アフターマーケット(航空会社や整備会社への交換・補修部品。30〜35%)、③防衛(防衛機器メーカーへの新品供給と、米国と友好国政府への補修部品。35〜40%)。金額の内訳は開示がなく、10-K の通常の構成と、2025 年に OEM が −1%・商用アフターが約 +10%・防衛が約 +13% だったことから、2025 年を OEM 約 24 億ドル、商用アフター約 33 億ドル、防衛(非航空 1.6 億ドルを含む)約 32 億ドルと推定した。会社の報告セグメントは、パワー&コントロール 46 億ドル(EBITDA 率 56.9%)、機体 41 億ドル(53.7%)、非航空 1.6 億ドル。
稼ぎ方は「新品は安く入り、補修で高く稼ぐ」。利益の大半はアフターマーケットから出て、部品ごとに独占に近い値付けができる(国防総省の監察官室は 2019〜2022 年の報告で、独占供給の割合が 70% を超えること、超過利益として 3,700 万ドルを認定したことを指摘している)。もう 1 つの稼ぎ方が買収で、同じ構造の事業を割安に買い、独占部品の値段を調整して利益率を上げる。2026 年 9 月期は、シモンズ(約 7.6 億ドル、2025 年 10 月)、JPE とビクター・シエラ(約 22 億ドル、2026 年 4 月。代替部品の PMA と補修)、小さな買収(約 2.6 億ドル)が加わり、買収に約 32 億ドルを使った。
優良さと弱いところ
堀は 3 つ。①独自設計と認証:部品は機体の型式認証に組み込まれ、顧客が他社品へ切り替えるには再認証の費用と時間がかかる。②交換需要の長さ:1 度の採用が 20〜30 年の補修収入になり、新品の納入が増えるほど、10〜20 年後の補修収入が増える。③買収の手順:買収後に原価の見直しと値付けの調整、不採算品の整理を行い、利益率を押し上げる。この結果、2025 年の営業利益率は 47.5%と、同じ領域のどの会社よりも高く、2020 年のコロナ期でも 36% を割らなかった(2006 年以降の最悪 36.3%)。
価格を決める力は強いが、制約もある。顧客(航空会社・防衛省)は値上げの理由を問い、国防総省は原価データの提出を求めてきた(401 品目で提出を拒んだ件も報じられた)。同社の方針は「インフレを相殺し、その上にわずかな実質値上げ」で、無理な値上げを避ける。
弱い所は 3 つ。①資本構成:自己資本は −97 億ドルで、純負債は EBITDA の約 5.8 倍(目標 5〜7 倍)。利払いは売上の 17.8%(2025 年 15.7 億ドル)で、不況で EBITDA が落ちると耐性は薄い。②買収頼み:独占に近い部品を買える機会は減り、2026 年は米司法省が異議を示したスタラント(Stellant)の買収を撤回した。③法制:防衛の「修理する権利」(部品の製造承認を広げる)や PMA(代替部品)の拡大が、独占部品の値付けを削りうる。経営は資本配分に長け、買収も株主還元も同じ収益の基準で比べる点は評価できる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
商用航空は、需要が供給を超える構造にある。2026 年の民間機納入は 約 1,690 機(2018 年の 1,753 機にまだ届かない)で、世界の受注残は 約 1.8 万機(稼働機の約 6 割)、狭胴機の納入枠は 2033 年ごろまで埋まっている。制約は需要でなく供給(エンジン・部品・整備士)で、国際航空運送協会(IATA)は需給の不均衡が 2031〜34 年まで続くとみる。ボーイングの 737 の月産が 42 → 47 → 52 機へ上がれば、トランスダイムの OEM 売上はこの納入に連動して伸びる。中東の紛争でジェット燃料が高いが、2026 年 4〜6 月期の商用アフターは輸送機で +18% と、稼働の落ち込みは今のところ出ていない(貨物は横ばい)。
防衛は 2027 会計年度の要求が 1.5 兆ドル(基礎 約 1.15 兆ドル+調整予算 約 3,500 億ドル)と大きいが、調整予算は別の法案で未定。トランスダイムの防衛売上は新品の供給と補修で、主契約者の機種(F-35、ミサイル、軍用機の維持)の稼働に連動する。2026 年 9 月期の防衛は高い一桁〜低い二桁の伸びの見通し。
競争は分散している。独自設計品の競合は大手の一部門(パーカー・ハネフィン、イートン、ハネウェル、サフラン、コリンズ・エアロスペースなど)から、小規模な非公開企業まで広く、部品ごとに 1 社か 2 社しかいない。構造的な脅威は PMA(部品製造承認)の代替品で、ヒーコ(HEICO)が代表。トランスダイムも JPE の買収で PMA に入った。防衛の「修理する権利」の法案は、部品の製造承認を広げて独占部品を開放する内容で、2026 年の国防権限法の最終版から外れたとの報道があるが、流動的で、会社は影響を評価していない。景気の循環では、2008 年のリーマン期(株価 −37%)や 2020 年のコロナ期(−50%)に、営業利益率は 36% を割らずに保たれたが、借金は当時よりはるかに大きい。
資本政策と M&A
資本配分は「再投資 → 買収 → 株主還元」の順で、買収と自社株買いは同じ収益の基準で比べる。純負債 ÷ EBITDA の目標は 5〜7 倍、利払いカバーは 2〜3 倍が基準で、今は約 5.8 倍・3 倍。借金の約 75% は 2029 年まで固定で、借り換えは 5.75% 前後(劣後債 6.125%、2034 年)。M&A の余力は 100 億ドル超と会社は言う。
還元は特別配当が中心で、2025 年は特別配当と配当相当の支払い(選択権を持つ役員・従業員向け)で 約 96 億ドルを出し、自己資本をマイナスにした。2026 年 9 月期は自社株買いで 18 億ドル(9 か月)を使い、特別配当は未発表(検討中)。株式報酬は 1.6 億ドルと小さいが、配当相当の支払いが純利益から引かれる(2025 年に 2.1 億ドル)ので、純利益は GAAP でこれを引いた値で見る。
買収は年に数件。2026 年は成立した分が約 32 億ドル(シモンズ 約 7.6 億、JPE・ビクター・シエラ 約 22 億)で、スタラント(9.6 億ドル)は米司法省の異議で撤回、P&I(約 11 億ドル、2026 年の売上 約 3.6 億ドル)は契約済みで未成立。この評価は未成立の P&I を含めず、成立済みだけを今の会社として扱う。独占に近い部品を持つ会社を買える機会は細ってきており、司法省の姿勢が変われば M&A の複利は鈍る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
商用航空は構造的な供給不足で、納入は 2030 年へ年 9% で伸びるとされ(ボーイングが 737 を月 52 機以上、エアバスが A320 系を月 75 機に)、保有機は年 3〜4% 増える。トランスダイムの OEM 売上は納入に連動し、新品の採用が 10〜20 年後の補修収入の種になる。商用アフターは 2026 年 4〜6 月期に輸送機で +18% と、稼働の増加と値上げが重なっている。防衛は 1.5 兆ドル予算案が一部でも通れば、高い一桁以上の伸びが続く。
利益率の強さも本物で、2025 年の営業利益率は 47.5%、EBITDA 率は 53.9%。構成固定で年 1〜1.5 ポイント改善する目標を持つ。買収は余力 100 億ドル超で、JPE の取得で PMA にも入り、競合の代替品を自社の枠に取り込める。スタラントの撤回は 1 件の例外にすぎないと会社は言う。
借金は、安定した事業の借金である。利払いカバーは 3 倍、借金の 75% は 2029 年まで固定で、資金は 5〜7 倍の枠内で動かす。2025 年は特別配当で約 96 億ドルを還元したが、次の特別配当や自社株買いで、増える利益の大半が株主に回る。式の ROE(ROIC から直した 33%)は高く、10 年後も、利益の 9 割弱を還元しながら 4.7% 前後で伸びる会社として評価できる。楽観がそろえば、2035 年の時価総額は今の 2 倍超になる。
慎重な見方
今の値段は、2026 年の純利益の約 32 倍で、成熟後の式の倍率(約 15.3 倍)を大きく超える。高い倍率の理由だった「買収で伸び続ける」は、2026 年に米司法省がスタラントに異議を示して崩れかけた。独占に近い部品を買える機会は減り、買収の伸びが落ちれば、倍率は縮む。
独占の値付けは政治に弱い。国防総省の監察官室は超過利益を認定し、原価データの提出を求めてきた。防衛の「修理する権利」の法案が成立すれば、部品の製造承認が広がり、防衛の補修(売上の約 2 割と推定)の値付けが削られる。商用でも PMA(ヒーコなど)は拡大しており、同社自身が JPE を買って PMA に入ったのも、この脅威への備えと読める。
借金は大きい。純負債 273 億ドルは EBITDA の 5.8 倍で、自己資本は −97 億ドル。利払いは売上の 17.8% で、借り換えの金利が 5.75% 以上に張り付く世界では、利益の増えが利払いに吸われる。リーマン級の景気後退(納入が 25% 減、飛行時間が 12% 減)が来れば、EBITDA の落ち込みで目標の上限 7 倍に近づき、自社株買いは止まる。
航空機の納入は、OEM の増産が実際に進むかにかかっている。2025 年は OEM が −1% だった。需要は強くても、供給の制約で売上の伸びが予定を下回る年がある。
どちらに重みを置いたか
強気の根拠(質・供給不足・補修の長さ)は確かで、中立でも 10 年で純利益が約 2.2 倍になる。ただし慎重な見方の指摘(今の約 32 倍の倍率、5.8 倍の借金、法制と PMA)が重く、確率を下に寄せた。やや悲観を 24%、悲観を 12% と、同じ領域の他社(ハウメット 悲観 10〜12%)に揃えつつ、借金の重さは k(quality +0.75%)と悲観の中身(利益率の低下)で表した。結果は、k が高い分だけ本質価値が今の時価総額を 2 割弱下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,107 ドル644 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 702.89 ドル409 億ドル)。 今の値に割り戻すと 940.70 ドル547 億ドル、今との差 −17.6%、 期待の年率 +4.7%(資本コスト 8.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,687 ドル982 億ドル | 1,003 ドル584 億ドル | +135.7% | +9.0% | 269.05 ドル157 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 1,448 ドル843 億ドル | 867.70 ドル505 億ドル | +102.8% | +7.3% | 463.13 ドル270 億ドル |
| 中立 | 34% | 1,222 ドル711 億ドル | 745.70 ドル434 億ドル | +72.4% | +5.6% | 669.08 ドル389 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 764.60 ドル445 億ドル | 553.26 ドル322 億ドル | +15.4% | +1.4% | 316.29 ドル184 億ドル |
| 悲観 | 12% | 416.32 ドル242 億ドル | 355.67 ドル207 億ドル | −32.4% | −3.8% | 92.64 ドル54 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 1,107 ドル644 億ドル | 702.89 ドル409 億ドル | +58.5% | +4.7% | 1,810 ドル1,054 億ドル |
今の株価時価総額 1,142 ドル664 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:納入が年 3,200 機へ、補修が実質 1.65 倍、独占の値付けが法制を通り抜ける 利益 59 億ドル · PER 16.5 倍 · 株価時価総額 1,687 ドル982 億ドル
2035 年に、民間機の納入は年 約 3,200 機に届き、保有機は 2030 年に 約 3.4 万機(ハウメットの投資家説明会の見通し)を超えて増え続ける。商用アフターは稼働と機齢の上昇で市場が実質 1.65 倍、シェアは PMA の取り込み(JPE など)と、OEM での採用の積み上げで 10.0% に上がる。価格は物価+年 0.5% の実質の値上げ(10 年で 1.55 倍)。防衛は 1.5 兆ドル予算案が大筋で成立し、欧州の再軍備と重なる。修理する権利は成立せず、国防総省の価格監視も強まらない。営業利益率は構成固定で年 1 ポイント改善が続き 49.5%。競合と照らすと、ヒーコなどの PMA はシェアを 1〜2 ポイント取るが、独自設計の部品の大半は置き換えられない。売上 253 億ドル(2025 年の 88 億ドルの 2.9 倍)、営業利益 125 億ドル(率 49.5%)、純利益 59.4 億ドル(GAAP・配当相当の支払い控除後)。10 年間の還元は正味 584 億ドル(配当・自社株買い − 株式報酬)、増資は無い。期末の純負債は 851 億ドル(EBITDA の 6.0 倍)。
- 商用 OEM(新品供給):数量 1,025(機体・エンジン向けの独自設計部品の供給市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 7.4%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 76 億ドル・営業利益 32 億ドル。市場 1025 億ドル × シェア 5.2% × 価格 1.43 倍
- 商用アフターマーケット(補修部品):数量 660(商用機の独自設計・PMA 部品の補修市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 15.5%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 102 億ドル・営業利益 59 億ドル。市場 660 億ドル × シェア 10.0% × 価格 1.55 倍
- 防衛(新品・補修・非航空):数量 1,015(防衛向けの独自設計部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 7.3%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 74 億ドル・営業利益 36 億ドル。市場 1015 億ドル × シェア 5.1% × 価格 1.43 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。帳簿の自己資本はマイナスなので、事業の ROE は ROIC 式(ROIC 18.8% + (ROIC − 借入金利 5.75%×(1−22%)) × 純負債÷自己資本(上限 1 倍))の 33.2% を使う。RONIC=k 8.75%(基本 8.0% + quality 0.75%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 21.0%(堀は普通:独自設計の認証部品は乗り換えにくいが、PMA と修理する権利、国防総省の価格監視があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。市場の実質 +1.2%・価格 +3.5% から導けば 4.7% だが、g の上限 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=17.0 倍に対し、97% の 16.5 倍に置いた(供給不足の構造と補修の長さがそろい法制の逆風が出ない筋書きだが、借金が重いので上限の 9.7 割)。時価総額=純利益 59.4 億ドル × 16.5 倍=982 億ドル(純負債は倍率の中の借金として見ており、利払い後の純利益に掛けた)。
確率:供給不足の構造と補修の長さがそろい、法制の逆風が出ない。借金と今の高い倍率を考え、1 割にとどめた。
やや楽観 20% やや楽観:納入と稼働は強く、PMA は一部にとどまる 利益 53 億ドル · PER 16.0 倍 · 株価時価総額 1,448 ドル843 億ドル
民間機の納入は年 約 3,000 機、商用アフターは市場が実質 1.55 倍、シェアは 9.7%(買収で数ポイント保つ)。価格は物価+年 0.35% の実質の値上げ。防衛は予算が名目で年 +6%、シェアはほぼ維持。営業利益率は 48.5%(構成固定の改善と買収の薄まりの差し引き)。競合と照らすと、PMA の拡大は部品の一部にとどまり、トランスダイムの独占部品の値付けは保たれる。売上 226 億ドル(2025 年の 88 億ドルの 2.6 倍)、営業利益 110 億ドル(率 48.5%)、純利益 52.6 億ドル(GAAP・配当相当の支払い控除後)。10 年間の還元は正味 505 億ドル(配当・自社株買い − 株式報酬)、増資は無い。期末の純負債は 734 億ドル(EBITDA の 5.9 倍)。
- 商用 OEM(新品供給):数量 965(機体・エンジン向けの独自設計部品の供給市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 7.1%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 69 億ドル・営業利益 28 億ドル。市場 965 億ドル × シェア 5.0% × 価格 1.42 倍
- 商用アフターマーケット(補修部品):数量 620(商用機の独自設計・PMA 部品の補修市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 14.7%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 91 億ドル・営業利益 52 億ドル。市場 620 億ドル × シェア 9.7% × 価格 1.51 倍
- 防衛(新品・補修・非航空):数量 945(防衛向けの独自設計部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 7.0%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 66 億ドル・営業利益 32 億ドル。市場 945 億ドル × シェア 5.0% × 価格 1.42 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。帳簿の自己資本はマイナスなので、事業の ROE は ROIC 式(ROIC 18.8% + (ROIC − 借入金利 5.75%×(1−22%)) × 純負債÷自己資本(上限 1 倍))の 33.2% を使う。RONIC=k 8.75%(基本 8.0% + quality 0.75%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 21.0%(堀は普通:独自設計の認証部品は乗り換えにくいが、PMA と修理する権利、国防総省の価格監視があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。市場の実質 +1.2%・価格 +3.5% から導けば 4.7% だが、g の上限 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=17.0 倍に対し、94% の 16.0 倍に置いた(PMA と値付けの制約が少し効く強気側の中心の筋書き)。時価総額=純利益 52.6 億ドル × 16.0 倍=843 億ドル(純負債は倍率の中の借金として見ており、利払い後の純利益に掛けた)。
確率:強い前提のうち、PMA と値付けの制約だけが少し効く。強気側の中心。
中立 34% 中立:市場は実質 1.3〜1.8 倍、シェアは済んだ買収の分だけ、利益率は 47% 台で落ち着く 利益 46 億ドル · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 1,222 ドル711 億ドル
2035 年に、民間機の納入は年 約 2,800 機(2025 年の約 1,550 機から年 +6.1%)、商用アフターの市場は実質 1.45 倍、シェアは 9.4%(済んだ買収の分だけ上がり、その後は横ばい)。価格は物価+年 0.4% の実質の値上げ(10 年で 1.48 倍)で、防衛は物価並み。防衛の市場は予算の伸び(名目 +5%)で実質 1.25 倍。営業利益率は 47.5%(構成固定の改善と買収の薄まり、OEM 比率の上昇が釣り合う)。純利益は 2026 年の見通しの約 2.2 倍。競合と照らすと、ヒーコの PMA が商用で 1〜2 ポイント取る一方で、独自設計の補修は独占に近く、買収は未成立の分を含めず、今後の買収は価値が中立(買値と収益が釣り合う)として数字に入れない。売上 202 億ドル(2025 年の 88 億ドルの 2.3 倍)、営業利益 96 億ドル(率 47.5%)、純利益 46.4 億ドル(GAAP・配当相当の支払い控除後)。10 年間の還元は正味 434 億ドル(配当・自社株買い − 株式報酬)、増資は無い。期末の純負債は 630 億ドル(EBITDA の 5.8 倍)。
- 商用 OEM(新品供給):数量 905(機体・エンジン向けの独自設計部品の供給市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 6.8%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 62 億ドル・営業利益 25 億ドル。市場 905 億ドル × シェア 4.9% × 価格 1.41 倍
- 商用アフターマーケット(補修部品):数量 581(商用機の独自設計・PMA 部品の補修市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 13.9%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 81 億ドル・営業利益 45 億ドル。市場 581 億ドル × シェア 9.4% × 価格 1.48 倍
- 防衛(新品・補修・非航空):数量 877(防衛向けの独自設計部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 6.8%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 59 億ドル・営業利益 28 億ドル。市場 877 億ドル × シェア 4.8% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。帳簿の自己資本はマイナスなので、事業の ROE は ROIC 式(ROIC 18.8% + (ROIC − 借入金利 5.75%×(1−22%)) × 純負債÷自己資本(上限 1 倍))の 33.2% を使う。RONIC=k 8.75%(基本 8.0% + quality 0.75%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 21.0%(堀は普通:独自設計の認証部品は乗り換えにくいが、PMA と修理する権利、国防総省の価格監視があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。市場の実質 +1.2%・価格 +3.5% から導けば 4.7% だが、g の上限 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=17.0 倍に対し、90% の 15.3 倍に置いた(需要は強いが増産は遅れがち、買収の機会は細る落としどころ。純負債が EBITDA の 5.8 倍なので上限すれすれには置かない)。時価総額=純利益 46.4 億ドル × 15.3 倍=711 億ドル(純負債は倍率の中の借金として見ており、利払い後の純利益に掛けた)。
確率:需要は構造的に強いが、増産は遅れがち、買収の機会は細る。10 年後は納入と稼働の伸びが落ち着き、独占の値付けは保たれる。強気と慎重の見方の落としどころとして最大の 34%。
やや悲観 24% やや悲観:修理する権利が部分的に通り、PMA が補修を削り、値付けが物価を下回る 利益 31 億ドル · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 764.60 ドル445 億ドル
修理する権利が部分的に成立し、PMA が補修で 1 ポイント以上のシェアを取り、価格監視で実質の値上げが消えて価格は物価を下回る(10 年 1.38 倍)。納入は年 約 2,400 機、商用アフターは市場が実質 1.30 倍、シェアは 8.5%。防衛は予算の伸びが名目 +4% にとどまり、実質 1.10 倍。営業利益率は 43.4%(防衛と補修の値付けが削られる)。競合と照らすと、ヒーコだけでなく OEM 自身が補修部品を取りに来る。売上 154 億ドル(2025 年の 88 億ドルの 1.7 倍)、営業利益 67 億ドル(率 43.4%)、純利益 31.1 億ドル(GAAP・配当相当の支払い控除後)。10 年間の還元は正味 322 億ドル(配当・自社株買い − 株式報酬)、増資は無い。期末の純負債は 462 億ドル(EBITDA の 6.1 倍)。
- 商用 OEM(新品供給):数量 775(機体・エンジン向けの独自設計部品の供給市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 6.2%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 48 億ドル・営業利益 17 億ドル。市場 775 億ドル × シェア 4.5% × 価格 1.38 倍
- 商用アフターマーケット(補修部品):数量 520(商用機の独自設計・PMA 部品の補修市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 11.7%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 61 億ドル・営業利益 32 億ドル。市場 520 億ドル × シェア 8.5% × 価格 1.38 倍
- 防衛(新品・補修・非航空):数量 770(防衛向けの独自設計部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 5.9%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 45 億ドル・営業利益 19 億ドル。市場 770 億ドル × シェア 4.3% × 価格 1.36 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。帳簿の自己資本はマイナスなので、事業の ROE は ROIC 式(ROIC 18.8% + (ROIC − 借入金利 5.75%×(1−22%)) × 純負債÷自己資本(上限 1 倍))の 33.2% を使う。RONIC=k 8.75%(基本 8.0% + quality 0.75%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 21.0%(堀は普通:独自設計の認証部品は乗り換えにくいが、PMA と修理する権利、国防総省の価格監視があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。市場の実質 +1.2%・価格 +3.5% から導けば 4.7% だが、g の上限 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=17.0 倍に対し、84% の 14.3 倍に置いた(修理する権利・PMA・価格監視のうち 1〜2 つが効き、利益率が 43% へ下がる筋書き)。時価総額=純利益 31.1 億ドル × 14.3 倍=445 億ドル(純負債は倍率の中の借金として見ており、利払い後の純利益に掛けた)。
確率:修理する権利・PMA・価格監視のうち 1〜2 つが効く確率を 24% とした。借金の重さ(5.8 倍)が下振れの感度を高める。
悲観 12% 悲観:独占の値付けが法制と競争で崩れ、もう独占に近い高収益企業ではなくなる 利益 18 億ドル · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 416.32 ドル242 億ドル
構造的な負け。修理する権利が成立して防衛の補修が開放され、商用でも PMA と OEM 自身の補修部品で、独占部品のシェアが 8.2% から 7.2% へ、価格は物価より低い上がり方(10 年 1.25 倍)。国防総省が原価の開示を義務づけ、防衛の利益率は 38% へ。買収は司法省に阻まれ、借金(EBITDA の 6.5 倍)の元手で買収より自社株買いを続け、伸びが止まる。営業利益率は 38%、売上は 2025 年の 1.2 倍にとどまる。競合と照らすと、同じ部品で複数社の競争が起き、独占を前提にした 47% の利益率は守れない。売上 110 億ドル(2025 年の 88 億ドルの 1.2 倍)、営業利益 42 億ドル(率 38.0%)、純利益 18.3 億ドル(GAAP・配当相当の支払い控除後)。10 年間の還元は正味 207 億ドル(配当・自社株買い − 株式報酬)、増資は無い。期末の純負債は 307 億ドル(EBITDA の 6.5 倍)。
- 商用 OEM(新品供給):数量 675(機体・エンジン向けの独自設計部品の供給市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 5.5%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 37 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場 675 億ドル × シェア 4.2% × 価格 1.30 倍
- 商用アフターマーケット(補修部品):数量 460(商用機の独自設計・PMA 部品の補修市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 9.0%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 41 億ドル・営業利益 19 億ドル。市場 460 億ドル × シェア 7.2% × 価格 1.25 倍
- 防衛(新品・補修・非航空):数量 665(防衛向けの独自設計部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 4.8%(トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 32 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場 665 億ドル × シェア 3.8% × 価格 1.25 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。帳簿の自己資本はマイナスなので、事業の ROE は ROIC 式(ROIC 18.8% + (ROIC − 借入金利 5.75%×(1−22%)) × 純負債÷自己資本(上限 1 倍))の 32.6% を使う。RONIC=k 8.75%(基本 8.0% + quality 0.75%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 20.7%(堀は普通:独自設計の認証部品は乗り換えにくいが、PMA と修理する権利、国防総省の価格監視があり、残る割合は 1/2)。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。市場の実質 +1.2%・価格 +3.5% から導けば 4.7% だが、g の上限 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=17.0 倍に対し、78% の 13.2 倍に置いた(法制・競争・借金が重なる構造的な負けの筋書き。2035 年の純利益 18.3 億ドル÷ k の稼ぐ力 209 億ドル(11.4 倍)より上の 13.2 倍だが、10 年の還元 207 億ドルと合わせても今の時価総額 663 億ドルを大きく下回る)。時価総額=純利益 18.3 億ドル × 13.2 倍=242 億ドル(純負債は倍率の中の借金として見ており、利払い後の純利益に掛けた)。
確率:法制・競争・借金が重なる構造的な負けの確率を 12%。ハウメットなど同じ領域の悲観 10〜12% と揃え、利益率 −9.5 ポイントとシェア・価格の低下で深さを置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
商用 OEM(新品供給)
ボーイング・エアバス・ビジネスジェット・エンジンメーカーへの新品部品。納入が増えると 10〜20 年後の補修収入の種になる。
| 数量機体・エンジン向けの独自設計部品の供給市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 500 | 4.8% | 24 | 9 |
| 10 年後 中立 | 905 | 6.8% | 62 | 25 |
取り方:2025 年の商用 OEM の売上を、通常の構成(25〜30%)と 2025 年の前年比 −1% から 約 23.8 億ドルと推定(開示なし)。市場は、機体・エンジン・客室の独自設計部品の供給を約 500 億ドルと推定し(納入 約 1,500〜1,600 機に連動)、シェア 4.8%。営業利益率 39%(補修より低い)。価格は物価並み(長期契約で転嫁に時間差があり、実質の上積みは置かない)。競合:パーカー・ハネフィン、イートン、ハネウェル、サフラン、コリンズ。
商用アフターマーケット(補修部品)
航空会社・整備会社・ビジネスジェット運航者への交換・補修部品。独自設計品の独占に近い値付けで、利益の中心。
| 数量商用機の独自設計・PMA 部品の補修市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 400 | 8.2% | 33 | 19 |
| 10 年後 中立 | 581 | 13.9% | 81 | 45 |
取り方:2025 年の商用アフターの売上を、通常の構成(30〜35%)と、売上の約 55% がアフター(防衛の補修を含む)という 10-K の記載から 約 32.7 億ドルと推定。市場は、世界の民間機の稼働(飛行時間 年 +3.5〜4%)に連動する独自設計部品の補修を約 400 億ドルと推定し、シェア 8.2%。営業利益率 57%(セグメントの EBITDA 率 53.7〜56.9% より、補修は高く、新品は低い)。価格は物価+年 0.4〜0.5% の実質値上げ(会社の方針「インフレを相殺し、その上にわずかな実質値上げ」)で、10 年 1.48 倍。競合:ヒーコなどの PMA、OEM 自身の補修部品。
防衛(新品・補修・非航空)
防衛機器メーカーへの新品供給、米国と友好国政府向けの補修部品、非航空(約 1.6 億ドル)。
| 数量防衛向けの独自設計部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格トランスダイムのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 700 | 4.5% | 32 | 15 |
| 10 年後 中立 | 877 | 6.8% | 59 | 28 |
取り方:2025 年の防衛の売上を、通常の構成(35〜40%)と、前年比 約 +13% から約 31.8 億ドル(非航空 1.6 億ドルを含む)と推定。市場は、国防総省の調達・補修費のうち独自設計部品が占める部分を約 700 億ドルと推定し、シェア 4.5%。営業利益率 47%(新品の供給は競争入札で、補修ほど高くない)。価格は物価並み(国防総省の価格監視で実質の上積みは置かない)。競合:コリンズ(RTX)、ハネウェル、L3ハリスなど。
リスクと懸念
純負債が EBITDA の約 5.8 倍
純負債 273 億ドル(2026 年 6 月期の総債務は約 337 億ドル)。利払いは売上の 17.8%(2025 年 15.7 億ドル)で、借り換えの金利は 5.75% 前後。景気後退で EBITDA が 2 割落てば 7 倍の上限に近づき、自社株買いと特別配当は止まる。自己資本はマイナス。
修理する権利・PMA による独占の開放
防衛の「修理する権利」法案は部品の製造承認を広げ、独占部品の値付けを削りうる。国防総省の監察官室は超過利益を認定し、独占供給の割合が 70% を超えることを指摘した。商用でも PMA(ヒーコなど)が拡大している。2026 年の国防権限法の最終版から外れたとの報道があるが、流動的。
買収の複利が鈍る
同社の伸びの大きな部分は買収。2026 年に米司法省がスタラント(9.6 億ドル)に異議を示して撤回した。独占に近い部品を持つ会社を買える機会は細っている。余力は 100 億ドル超あるが、使い道が狭まれば、現金は自社株買いに回り、伸びが落ちる。
航空機の増産が遅れる(OEM の落ち込み)
ボーイングの 737 の増産やエアバスの供給網の制約で納入が予定を下回る。2025 年は OEM が −1%(ボーイングのストライキなど)。OEM は売上の約 3 割で、遅れは補修の種の減少として 10 年後に効く。
景気後退と飛行時間の減少
リーマン級の景気後退では、納入が 25% 減、飛行時間が 12% 減、補修が 15% 減を置いた。過去は売上が数%しか落ちなかったが、借金は当時よりはるかに大きい。中東の紛争によるジェット燃料高も航空会社の損益を圧迫している。
顧客と政治の反発(値上げの限界)
独占の値付けは、航空会社・国防総省・議会の批判の対象。実質の値上げが年 0.5% を超えて続けば、反発(調達規則の厳格化・価格の開示要求)が強まる。値付けの力が半分に落ちると、営業利益率は 5 ポイントほど下がる。
今後の分かれ目
- 防衛の「修理する権利」法案が成立する
- 防衛の補修(売上の約 2 割)の値付けが開放され、実質の値上げが止まる。防衛の利益率が 3〜5 ポイント下がり、倍率も縮む。やや悲観〜悲観の筋書きへ寄る。
- 特別配当や大型の自社株買いが続く
- 純負債が EBITDA の 6〜6.5 倍へ上がり、株主への還元は増えるが、金利が上がる局面では純利益が伸びにくい。景気後退に弱くなる。
- P&I など買収が成立し、司法省が許す
- 買収の複利が保たれ、売上と利益の伸びが市場の伸びを上回る。筋書きは楽観側(シェア +0.5 ポイント)へ。
- ボーイングが 737 を月 52 機以上で安定させる
- OEM の売上が年 10% 台で伸び、10 年後の補修収入の種が増える。OEM の市場の伸びが上振れ。
- リーマン級の景気後退が来る
- 納入と飛行時間が落ち、純利益は谷で 16 億ドル前後。自社株買いは止まり、純利益は谷で 16 億ドル前後まで落ちて、10 年の悲観に近づく。
- PMA(ヒーコなど)が独占部品の置き換えを進める
- 商用アフターのシェアが 9% 台から 8% 台へ下がり、価格の上積みが止まる。10 年の悲観寄り。
見ておくもの
- 2026 年 9 月期の通期決算(2026 年 11 月)と 2027 年の見通し:売上・EBITDA 率・FCF と、特別配当の有無
- 商用アフターの伸び(輸送機の飛行時間・貨物)と OEM の伸び(ボーイング 737・エアバス A320 の月産)
- 米司法省と買収(P&I の成立・次の案件)、修理する権利の国防権限法での扱い
- 純負債 ÷ EBITDA(5.8 倍からの動き)と借り換えの金利、利払いカバー
- 国防総省の監察官室・議会の価格調査、PMA(ヒーコなど)の承認の動き
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額(約 660 億ドル)や今の約 32 倍の倍率を見る前に、商用 OEM・商用アフター・防衛の市場(実質)× シェア × 価格指数で売上を積み、営業利益率と純負債(EBITDA の約 5.8 倍を保つ)から 2035 年の純利益を出した。倍率は利益ベースの正当化 PER((1−g÷RONIC)÷(k−g)、k 8.75%=基本 8.0% + quality 0.75%、g 4%、RONIC=k+1/2×(事業の ROE−k)、moat 普通)の 7.8〜9.7 割(10 年の中立は上限 17.0 倍の 9 割で 15.3 倍)に置いた。帳簿の自己資本はマイナスなので ROE は ROIC 式の 33% で置いた。今の倍率に寄せず、割り引きもしていない。結果がやや割高なのは、成長の質が高くても借金の分の k と今の高い倍率が打ち消すため。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 5% + β 1.08 × 5%。k=基本 8.0% + quality 0.75% = 8.75%。部品の独占に近い値決めは −0.25% しか認めず(政治と PMA の圧力があるため)、純負債が EBITDA の 5.8 倍という借金の重さを +1.0% で k に入れた。修理する権利の法制化・買収の鈍化は k に足さず、筋書きと確率(やや悲観・悲観 36%)で表した。