結論
エマソン・エレクトリック(Emerson Electric)は、石油・ガス・化学・電力・半導体などの工場の「制御と計測」を担うオートメーション専業で、2025 年 9 月期は売上 180 億ドル、調整後のセグメント EBITA 率 27.6%、GAAP 純利益 23 億ドル、フリーキャッシュフロー 32 億ドル。弁・流量計・分析計などの現場機器(Intelligent Devices)と、制御システム DeltaV・Ovation・アスペンテック(AspenTech)の産業ソフト、ナショナルインスツルメンツ(NI)由来の試験・計測を持ち、売上の約 65% は保守・消耗・更新(MRO)で景気に強い。
2026 年 9 月期は基礎売上 +3.5%、セグメント EBITA 率 約 28%、2026 年 4〜6 月期の受注残は 82 億ドル(+7%)と地味に堅調で、半導体と電力が成長を引き、中東の紛争と中国・欧州の弱さが重しになっている。2023〜2025 年にアスペンテックの残り 43% の取得(72 億ドル)と NI(82 億ドル)で純負債が約 120 億ドルになり、のれんは 182 億ドルに膨らんだ。
バリュー投資の観点では、事業の質は電気設備の同業より安定している(MRO・ソフトの契約・寡占)。数量 × 価格で 2035 年の純利益を 60 億ドル前後と積み、資本コスト 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)で割り引き確率で加重すると、10 年後の本質価値は 644 億ドルで、今の時価総額 915 億ドルを約 30% 下回る。
倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)(k 8.25%・g 4.0%・事業の ROE 28%・moat=普通)の上限 18.3 倍の 8 割(14.6 倍)に置いた(プロセス産業の制御・計測は切り替えが難しく質は高いが、事業の入れ替え途中で自動化は景気の山と谷が大きく、利益の質は ROK・HON と同格。上限の 8 割にとどめた)。総合は今の時価総額に対し -30% で「やや割高」。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。化学・製油・LNG・発電・水・半導体の工場は 10 年後も動いており、その運転を握る制御システムと現場機器は交換・更新・保守の需要が続く。事業が存在することは確実で、DCS の乗り換えの費用、安全が絡む機器の実績、保守の収益という堀は 10 年で少なくとも保たれる。ソフトの AI 化は、アスペンテックの最適化が顧客の運転の改善に直結するなら堀を広げるが、制御のオープン化が進めば狭める。ここは見通しにくい点で、確信度を少し下げる。
次に、株主のものになる利益(オーナー利益)。2025 年のフリーキャッシュフロー 32 億ドルに対し GAAP 純利益は 23 億ドルで、差は買収の無形資産の償却(約 10 億ドル/年・現金を伴わない)が中心である。増産に要る投資は軽く、成長に要る資本は少ない。この質の良さは同業の電気設備メーカーより高い。ただし GAAP 純利益に対する PER は 33〜40 倍、調整後(償却を戻した)1 株利益に対しても 24 倍強で、式どおりの成熟後(PER 約 18 倍、成長 4%・資本コスト 8.25%)を 2 倍前後上回る。
経営は資本配分で、Copeland・NI・アスペンテックと大きく動いて「売る・買う」を繰り返してきた。事業の集中は評価できるが、高い倍率の買収(NI は売上の約 5 倍)を重ねてのれんが膨らんだ。楽観の筋書きが実現して初めて今の水準を上回り、中立では届かない。よい会社だが、今の値段では安全域がなく、やや割高という結論である。
何で稼ぐ会社か
売上は 2025 年 9 月期で 4 つの塊に分けて見るとわかりやすい。
【プロセス機器】Final Control(調節弁・アクチュエーター・レギュレーター、売上 約 44 億ドル、利益率 26.9%)と Measurement & Analytical(流量計・圧力・温度・分析計、約 41 億ドル、28.5%)。製油所・化学・LNG・発電・水・医薬の現場に付く機器で、納入後の交換・校正・保守が長く続く。売上の約 65% が MRO で、設備の稼働が続く限り需要がある。
【ディスクリートと安全】Discrete Automation(空気圧機器のアスコ(ASCO)・AVENTICS 等、約 25 億ドル、21.0%)と Safety & Productivity(電動工具のリジッド(Ridgid)・グリーンリー(Greenlee)等、約 14 億ドル、23.8%)。組立・包装・建設・自動車の景気に近く、プロセス機器より利益率が低い。
【制御システムとソフト】Control Systems & Software(約 42 億ドル、33.0%)は分散制御システム(DCS)の DeltaV(化学・製油)、Ovation(発電・水)、2025 年 3 月に 72 億ドルで残りの持分を買って完全子会社にしたアスペンテック(プロセス設計・最適化・保守のソフト)、遠隔監視のソフトを含む。年間契約額(ACV)は 16.8 億ドル(+9%)。
【試験と計測】Test & Measurement(約 15 億ドル、25.3%)は 2023 年 10 月に 82 億ドルで買った NI で、半導体・航空宇宙・自動車の検証装置とソフト。収益の構造は、機器と制御システムの新設案件(受注から 1〜2 年で納入)に、MRO・保守契約・ソフトの更新料が乗る形で、後者が利益の土台になる。
優良さと弱いところ
堀は 4 つある。第 1 に、制御システムの乗り換えの費用の高さ。DCS は工場の運転そのものを握り、一度入ると 20〜30 年使われ、新しい世代への更新(マイグレーション)も同じ会社に出やすい。第 2 に、設置済み機器の保守・部品・校正が売上の約 65% を占め、設備の稼働に連動して繰り返し出る。第 3 に、危険な環境(防爆・安全計装・高温高圧)で使う弁と計測器は、故障の費用が購入の費用より大きいので、顧客は価格より実績で選ぶ。第 4 に、DCS・機器・アスペンテックのソフトを一つの情報の流れでつなぎ、競合が一社で出せない範囲を持つ。
資本効率は高い。調整後のセグメント EBITA 率は 2025 年 27.6%、2026 年は約 28%(2026 年 4〜6 月期 28.5%)と上がり、増分利益率 40% を掲げ、FCF は売上の 18〜20%。ただし GAAP の営業利益率は償却のため 2015 年から 20% 前後で横ばいで、GAAP の ROE は 11% 台にとどまる。NI とアスペンテックの買収でのれん 182 億ドル・無形資産 95 億ドルが載り、償却が年 約 10 億ドルあるためで、事業そのものの稼ぐ力と帳簿の ROE は別物と見る必要がある。
弱い所は 3 つ。第 1 に、買収の統合が続き、アスペンテックの契約更新の時期のずれで 2026 年は制御・ソフトの伸びが 3.5% に鈍った。第 2 に、ディスクリートと安全が欧州と自動車で弱く、利益率が 21〜24% と全体を薄める。第 3 に、中国で国産の DCS(スーコン(Supcon)など)が伸び、売上が 3% 減(2026 年 4〜6 月期)。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
世界の産業オートメーションは約 2,500 億ドル(推定。調査会社により 2,000〜3,000 億ドル)。業界ノートの置き方では、中立で数量 年 +2.5〜3%、価格 年 +3〜3.5%、ソフトの比率が上がるほど利益率が上がる。景気循環のどこにいるかは、ISM 製造業指数が 54.5(2026 年 9 月)と強いが、価格指数も急騰しており、山に近づいている。
競合は、シーメンス(世界の産業・プロセス自動化で約 13〜15% と推定)、ハネウェル(Experion。2026 年にエアロスペースを分離し、ビルと産業オートメーション専業になった)、ABB、シュナイダーエレクトリック(AVEVA。2026 年 6 月にコグナイト(Cognite)を 31 億ドルで買収合意)、ロックウェル・オートメーション、横河電機。ソフトではシーメンス・シュナイダー・ハネウェルが AI とデータの買収で競う。プロセス機器では、バルブのフローサーブ(Flowserve)・メッソ(Metso)・ネレス(Neles)、計測のエンドレスハウザー(Endress+Hauser)・ABB・横河電機が競う。
追い風は、半導体の設備投資(T&M の半導体受注 2026 年 4〜6 月期 +70%)、電力(Ovation の受注 +31%、データセンター近接の自前発電・原子力・送配電の管理ソフト)、LNG(案件候補 22 億ドル)、サイバーセキュリティの更新需要。逆風は、中東の紛争(2026 年は売上 約 1 億ドルの減)、中国の国産化、欧州の化学の縮小。構造の論点は、AI による制御の自律化がソフトの価値を押し上げるか、むしろ専用ソフトの囲い込みを弱めるか(OPAF など制御のオープン化)、で、どちらに転ぶかは 10 年で最も大きい不確実性である。
資本政策と M&A
還元は配当が年 12 億ドル前後(年 4〜5% ずつ増配)、自社株買いが 2025 年 9 月期 12 億ドル、2026 年 9 月期は 約 10 億ドルの計画(9 か月で 9 億ドル)。2025 年の Investor Conference では 2028 年に売上 210 億ドル・セグメント EBITA 率 30%・FCF 率 20%・累計還元 100 億ドルが掲げられたと報じられているが、2026 年 9 月期の還元は 22 億ドルにとどまり、借金返済との配分は買収の余地次第である。
資本配分の歴史は大胆である。2023 年に Copeland の過半を売り(税引き前 97 億ドル)、NI を 82 億ドルで買い、2024 年 8 月に Copeland の残り 40% を 35 億ドルで売り、2025 年 3 月にアスペンテックの残り 43% を 72 億ドルで取得した。結果として事業が「プロセス・ソフト・試験」に絞られたが、純負債は 2025 年 9 月末で約 120 億ドル(時価総額の 13%)、自己資本の約 6 割に上がり、借り換えは約 5.75% で、純利息は 2026 年 9 か月で 2.6 億ドル(前年 1.5 億ドル)に増えた。2026 年 11 月の Investor Day で、新しい長期目標と M&A・還元の方針が示される予定である。株式報酬による株の増加は年 0.5% 前後で、正味の還元はこの分だけ小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2026 年 4〜6 月期の受注は基礎で +7%、受注残は 82 億ドル(+7%)、案件候補は 124 億ドルへ増え、電力が 30 億ドル(+4.5 億)、LNG が 22 億ドル(+3.5 億)に積み上がった。T&M は半導体の設備投資で受注が +19%(半導体 +70%)、2026 年の売上は +14% の見通し。Ovation の受注は +31% で、納期は 2027 年末〜2028 年まで埋まり、北米のガス火力・データセンター近接の自前発電・原子力が 2026 年末から 2027 年にかけて動き出す。サイバーセキュリティの更新は電力・水の制御の乗り換えを後押しする。
経営は景気一巡で基礎売上 4〜7%、増分利益率 40%、2028 年にセグメント EBITA 率 30% を掲げ、2026 年 9 月期のセグメント EBITA 率はすでに 28% に届いている。アスペンテックの ACV は +9%(2026 年末に +10% 超へ)、デジタル送配電の管理は +28%。AI で運転の最適化が進めば、ソフトの単価と利用が増える。売上の約 65% が MRO で、不況でも崩れにくい。債務は FCF(年 36 億ドル前後)で 3 年のうちに 80 億ドル台まで減り、自社株買いが戻る。これが強気の見方で、楽観の筋書きの下敷きである。
慎重な見方
GAAP 純利益に対する PER は 33〜40 倍で、成熟した優良産業財の 18〜20 倍に戻るだけで半分近くに下がる。2026 年 9 月期の基礎売上は +3.5% と鈍く、Intelligent Devices は +2%、制御・ソフトは更新の時期のずれで +3.5%。ISM が 54.5 と山に近い局面で、受注の山のあとは MRO の先送り(稼働率が高いと保守を止められないが、不況では先送りされる)が出る。
純負債は約 110〜120 億ドルで、借り換えは約 5.75%、純利息は 9 か月で +78% 増えた。のれん 182 億ドルは、アスペンテックと NI を高い倍率で買った結果で、期待どおりの伸びが出なければ減損と ROE の低下が起きる。シーメンス・ハネウェル・ABB・シュナイダーが同じ領域で買収と AI を競い、中国では国産の DCS が伸び、制御のオープン化(OPAF)が進めば、DCS の乗り換えの費用という堀が低くなる。AI が制御を自律化すれば専用ソフトの価値が下がる可能性もある。
中東の紛争はホルムズ海峡が事実上閉じて 2026 年は 1 億ドルの減収、中国は国産化で戻りにくい、欧州の化学は縮小が続く。ディスクリートと安全は利益率 21〜24% と低く、成長も鈍い。これが慎重な見方である。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は受注残・案件候補の確かさと MRO の安定で説得力がある。ただし競合の AI・制御のオープン化・中国の国産化が効く 10 年は、悲観側を少し厚くした。確率は 楽観 8%・やや楽観 22%・中立 36%・やや悲観 22%・悲観 12%。倍率は利益ベースの正当化 PER の内側(中立は上限の 8 割)に置き、総合は今の時価総額に対し -30% で「やや割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 147.86 ドル838 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 69.54 ドル394 億ドル)。 今の値に割り戻すと 113.70 ドル644 億ドル、今との差 −29.1%、 期待の年率 +3.1%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 279.71 ドル1,585 億ドル | 94.05 ドル533 億ドル | +133.2% | +8.8% | 29.90 ドル169 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 211.06 ドル1,196 億ドル | 82.41 ドル467 億ドル | +83.1% | +6.2% | 64.56 ドル366 億ドル |
| 中立 | 36% | 156.08 ドル885 億ドル | 74.11 ドル420 億ドル | +43.6% | +3.7% | 82.87 ドル470 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 86.50 ドル490 億ドル | 58.94 ドル334 億ドル | −9.3% | −1.0% | 32.00 ドル181 億ドル |
| 悲観 | 12% | 31.89 ドル181 億ドル | 35.29 ドル200 億ドル | −58.1% | −8.3% | 8.06 ドル46 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 147.86 ドル838 億ドル | 69.54 ドル394 億ドル | +35.6% | +3.1% | 217.39 ドル1,232 億ドル |
今の株価時価総額 160.29 ドル908 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:電力・半導体・LNG が 10 年続き、ソフトが AI で堀を広げて売上が 2 倍超になる 利益 87 億ドル · PER 18.2 倍 · 株価時価総額 279.71 ドル1,585 億ドル
2035 年 9 月期、半導体・電力・LNG・データセンター近接の自前発電・原子力・水・医薬が 10 年続けて伸び、プロセス機器は市場が年 +2.6%(2025 年価格)でシェア 13.4%、価格は物価並みの 1.44 倍で売上 162 億ドル、利益率 30.5%。制御・ソフトは AI による運転の最適化が追加の課金につながり、ACV が年 +10% 近く伸びてシェアは 10.8%、価格は 1.52 倍(ソフトの値上げ)、売上 119 億ドル、利益率 38%。T&M は半導体と防衛で 45 億ドル、30%。ディスクリートと安全は 69 億ドル、25%。売上は 395 億ドル(2025 年の約 2.2 倍)、セグメント EBITA 125 億ドル(31.7%)、営業利益 115 億ドル、純利益 87 億ドル。還元は 10 年累計で約 530 億ドルに上る。
- プロセス機器(Final Control・Measurement & Analytical):数量 839(プロセス産業向け弁・計測・分析機器の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 19.3%(シェア × 物価指数)→ 売上 162 億ドル・営業利益 49 億ドル。市場・シェア・価格
- ディスクリートと安全(Discrete Automation・Safety & Productivity):数量 1,098(空気圧・流体制御機器と配管・電動工具の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 6.3%(シェア × 物価指数)→ 売上 69 億ドル・営業利益 17 億ドル。市場・シェア・価格
- 制御システムとソフト(Control Systems & Software):数量 722(プロセス産業の制御システム(DCS)と産業ソフトの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 16.4%(シェア × 物価指数)→ 売上 119 億ドル・営業利益 45 億ドル。市場・シェア・価格
- 試験と計測(Test & Measurement):数量 540(電子の試験・計測・検証装置とソフトの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 8.4%(シェア × 物価指数)→ 売上 45 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)・g 4.0%(上限の内側。市場の実質 2〜3% + 価格は物価並みの 3.5% で、4% を超えない)・事業の ROE 39%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 87.0 ÷ 自己資本 223.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 23.6%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 19.5 倍(上限 = 純利益 87.0 億ドル × これ = 1701 億ドル)。これの 0.9 割(18.2 倍)に置いた。楽観:利益の質が最も良く出る筋書きなので上限に最も近く置いた。
確率:半導体・電力・LNG の投資が 10 年続き、AI がソフトの堀を広げ、価格も保たれる必要がある。構造変化が全部味方する筋書きで 1 割弱とした。
やや楽観 22% やや楽観:高成長は 2030 年代前半に一巡するが、更新とサイバーセキュリティの需要が残る 利益 73 億ドル · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 211.06 ドル1,196 億ドル
2035 年 9 月期、半導体・電力の高成長は 2030 年前後にひと区切りしても、更新・サイバーセキュリティ・電化が残る。プロセス機器は市場が年 +2.0%、シェア 13.2%、価格 1.42 倍で売上 149 億ドル、利益率 29.8%。制御・ソフトは年 +4.4% の市場でシェア 10.4%、価格 1.47 倍、売上 99 億ドル、利益率 36.5%。T&M は 37 億ドル、29%。ディスクリートと安全は 64 億ドル、24.3%。売上は 348 億ドル、セグメント EBITA 107 億ドル(30.6%)、営業利益 96 億ドル、純利益 73 億ドル。ただしシーメンス・シュナイダーの AI 投資で価格が少し弱く、会社の目標(30% 超)に届く程度にとどまる。
- プロセス機器(Final Control・Measurement & Analytical):数量 793(プロセス産業向け弁・計測・分析機器の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 18.7%(シェア × 物価指数)→ 売上 149 億ドル・営業利益 44 億ドル。市場・シェア・価格
- ディスクリートと安全(Discrete Automation・Safety & Productivity):数量 1,044(空気圧・流体制御機器と配管・電動工具の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 6.1%(シェア × 物価指数)→ 売上 64 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場・シェア・価格
- 制御システムとソフト(Control Systems & Software):数量 647(プロセス産業の制御システム(DCS)と産業ソフトの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 15.3%(シェア × 物価指数)→ 売上 99 億ドル・営業利益 36 億ドル。市場・シェア・価格
- 試験と計測(Test & Measurement):数量 489(電子の試験・計測・検証装置とソフトの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 7.5%(シェア × 物価指数)→ 売上 37 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)・g 4.0%(上限の内側。市場の実質 2〜3% + 価格は物価並みの 3.5% で、4% を超えない)・事業の ROE 32%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 72.8 ÷ 自己資本 226.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 20.2%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 18.9 倍(上限 = 純利益 72.8 億ドル × これ = 1374 億ドル)。これの 0.9 割(16.4 倍)に置いた。やや楽観:楽観より伸びと利益率が控えめなので一段下。
確率:新設の高成長が一巡しても、DCS の更新・サイバーセキュリティ・電化が残る展開。強気の見方に近いが、シーメンス・シュナイダーの AI 投資で価格が少し弱い。
中立 36% 中立:高成長は 2030 年前後に終わり、成熟した優良なオートメーション会社になる 利益 61 億ドル · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 156.08 ドル885 億ドル
2035 年 9 月期、高成長は終わり、成熟した優良なオートメーション会社になる。プロセス機器は市場が年 +1.4%(2025 年価格)、シェア 13.1% で一定、価格は物価並みの 1.41 倍で売上 138 億ドル、利益率 29.0%。制御・ソフトは年 +3.2% の市場で価格 1.41 倍、売上 81 億ドル、35.0%(AI とソフトの比率の上昇が利益率を支える)。T&M は 30 億ドル、27.5%。ディスクリートと安全は 60 億ドル、23.5%。売上は 310 億ドル(2025 年の約 1.7 倍、年 +5.6%。会社の景気一巡の枠 4〜7% の内)、セグメント EBITA 91 億ドル(29.3%)、営業利益 81 億ドル、純利益 60 億ドル。償却は 2035 年に 6 億ドルまで減り、GAAP 純利益が伸びやすい。
- プロセス機器(Final Control・Measurement & Analytical):数量 748(プロセス産業向け弁・計測・分析機器の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 18.5%(シェア × 物価指数)→ 売上 138 億ドル・営業利益 40 億ドル。市場・シェア・価格
- ディスクリートと安全(Discrete Automation・Safety & Productivity):数量 990(空気圧・流体制御機器と配管・電動工具の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 6.1%(シェア × 物価指数)→ 売上 60 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場・シェア・価格
- 制御システムとソフト(Control Systems & Software):数量 575(プロセス産業の制御システム(DCS)と産業ソフトの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 14.1%(シェア × 物価指数)→ 売上 81 億ドル・営業利益 28 億ドル。市場・シェア・価格
- 試験と計測(Test & Measurement):数量 435(電子の試験・計測・検証装置とソフトの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 7.0%(シェア × 物価指数)→ 売上 30 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)・g 4.0%(上限の内側。市場の実質 2〜3% + 価格は物価並みの 3.5% で、4% を超えない)・事業の ROE 28%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 60.5 ÷ 自己資本 217.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 18.1%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 18.3 倍(上限 = 純利益 60.5 億ドル × これ = 1108 億ドル)。これの 0.8 割(14.6 倍)に置いた。中立:プロセス産業の制御・計測は切り替えが難しく質は高いが、事業の入れ替え途中で自動化は景気の山と谷が大きく、利益の質は ROK・HON と同格。上限の 8 割にとどめた
確率:業界ノートの中立(数量 年 +2.5%・価格は物価並み、ソフトの比率が上がる)と会社の景気一巡の枠(基礎 4〜7%・増分利益率 40%)の中間を落としどころにした。
やや悲観 22% やや悲観:制御のオープン化と競合の値引きで、プロセス機器・ソフトの利益率が下がる 利益 44 億ドル · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 86.50 ドル490 億ドル
2035 年 9 月期、制御のオープン化と AI による自動化で DCS の囲い込みが弱まり、中国・韓国・日本の競合と値引き競争が起きる。プロセス機器は市場が年 +0.4%、シェア 12.6%、価格は物価を下回る 1.38 倍で売上 118 億ドル、利益率 27.0%。制御・ソフトはシェア 9.4%、価格 1.39 倍、売上 67 億ドル、利益率 32%。T&M は半導体の山谷で 25 億ドル、24.5%。ディスクリートと安全は横ばいで 51 億ドル、21%。売上は 260 億ドル、セグメント EBITA 70 億ドル(26.9%)、営業利益 60 億ドル、純利益 44 億ドル。高い倍率で買ったのれんの一部が減損され、自己資本の伸びが鈍る(今回の純利益には減損を入れていない)。
- プロセス機器(Final Control・Measurement & Analytical):数量 676(プロセス産業向け弁・計測・分析機器の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 17.4%(シェア × 物価指数)→ 売上 118 億ドル・営業利益 32 億ドル。市場・シェア・価格
- ディスクリートと安全(Discrete Automation・Safety & Productivity):数量 900(空気圧・流体制御機器と配管・電動工具の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.6%(シェア × 物価指数)→ 売上 51 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場・シェア・価格
- 制御システムとソフト(Control Systems & Software):数量 512(プロセス産業の制御システム(DCS)と産業ソフトの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 13.1%(シェア × 物価指数)→ 売上 67 億ドル・営業利益 21 億ドル。市場・シェア・価格
- 試験と計測(Test & Measurement):数量 384(電子の試験・計測・検証装置とソフトの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 6.4%(シェア × 物価指数)→ 売上 25 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)・g 4.0%(上限の内側。市場の実質 2〜3% + 価格は物価並みの 3.5% で、4% を超えない)・事業の ROE 21%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 44.0 ÷ 自己資本 214.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 14.4%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 17.0 倍(上限 = 純利益 44.0 億ドル × これ = 748 億ドル)。これの 0.7 割(11.1 倍)に置いた。やや悲観:伸びが落ち堀が削れた会社として中立より下。
確率:OPAF などのオープン化と AI による自動化で DCS の囲い込みが弱まり、シーメンス・ABB・中国勢と値引き競争になる展開。産業オートメーションは歴史的に価格競争が繰り返されてきた産業で、起きても不思議でない。
悲観 12% 悲観:AI とオープン化で DCS の堀が崩れ、中国・競合に負けて優良企業ではなくなる 利益 23 億ドル · PER 7.8 倍 · 株価時価総額 31.89 ドル181 億ドル
2035 年 9 月期、AI が制御を自律化して専用ソフトの価値が下がり、OPAF 準拠のオープンな DCS が主流になり、中国の国産 DCS が輸出に出る。DCS の乗り換えの費用という堀が崩れ、シェアはプロセス機器 11.5%、制御・ソフト 8.2%、T&M 4.0%、ディスクリート 3.6% に落ち、価格は物価に追いつかない(1.28〜1.30 倍)。化学・製油の国内の縮小も重なる。売上は 190 億ドル(名目でも 2025 年の約 1.06 倍)、セグメント EBITA 43 億ドル(22.4%)、営業利益 32 億ドル、純利益 23 億ドル(2025 年の約 1.0 倍)。のれんと無形資産の大きな減損が出るが GAAP 純利益には入れていない。バリュー投資家の目で見れば、ここは優良企業としての評価をもう受けられない姿である。
- プロセス機器(Final Control・Measurement & Analytical):数量 618(プロセス産業向け弁・計測・分析機器の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 15.0%(シェア × 物価指数)→ 売上 92 億ドル・営業利益 21 億ドル。市場・シェア・価格
- ディスクリートと安全(Discrete Automation・Safety & Productivity):数量 810(空気圧・流体制御機器と配管・電動工具の世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 4.6%(シェア × 物価指数)→ 売上 37 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場・シェア・価格
- 制御システムとソフト(Control Systems & Software):数量 420(プロセス産業の制御システム(DCS)と産業ソフトの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 10.7%(シェア × 物価指数)→ 売上 45 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場・シェア・価格
- 試験と計測(Test & Measurement):数量 315(電子の試験・計測・検証装置とソフトの世界市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.1%(シェア × 物価指数)→ 売上 16 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場・シェア・価格
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)・g 4.0%(上限の内側。市場の実質 2〜3% + 価格は物価並みの 3.5% で、4% を超えない)・事業の ROE 11%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 23.2 ÷ 自己資本 212.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 9.6%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 13.7 倍(上限 = 純利益 23.2 億ドル × これ = 318 億ドル)。これの 0.6 割(7.8 倍)に置いた。悲観:構造的に負けて優良でなくなった会社として最も下。
確率:AI による制御の自律化と専用ソフトの価値の低下、OPAF 準拠のオープンな DCS の普及、中国国産 DCS の輸出が重なり、DCS の乗り換えの費用という堀が崩れる。さらに不況が重なる。高い倍率で買ったのれんと、技術の転換点にいる産業のため 1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
プロセス機器(Final Control・Measurement & Analytical)
調節弁・アクチュエーター・流量計・圧力・温度・分析計と、その校正・保守・部品(MRO)。製油・化学・LNG・発電・水の現場機器。
| 数量プロセス産業向け弁・計測・分析機器の世界市場(億ドル、2025 年価格) | 価格シェア × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 650 | 13.1% | 85 | 24 |
| 10 年後 中立 | 748 | 18.5% | 138 | 40 |
取り方:弁・流量計・圧力温度計・分析計・アクチュエーターの世界市場を約 650 億ドル(推定)、シェア約 13.1% と置いた。2025 年 9 月期の売上は Final Control 43.8 億ドル(利益率 26.9%)+ Measurement & Analytical 41.4 億ドル(28.5%)で 85.2 億ドル、セグメント EBITA 23.6 億ドル(27.7%)。MRO が約 65%。
ディスクリートと安全(Discrete Automation・Safety & Productivity)
空気圧機器(アスコ・AVENTICS)・電動工具・配管工具(リジッド・グリーンリー)。組立・包装・建設・自動車の景気に近い。
| 数量空気圧・流体制御機器と配管・電動工具の世界市場(億ドル、2025 年価格) | 価格シェア × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 900 | 4.3% | 39 | 9 |
| 10 年後 中立 | 990 | 6.1% | 60 | 14 |
取り方:空気圧・流体制御機器と配管・電動工具の対象市場を約 900 億ドル(推定)、シェア約 4.3% と置いた。2025 年 9 月期の売上は Discrete Automation 25.2 億ドル(21.0%)+ Safety & Productivity 13.6 億ドル(23.8%)で 38.8 億ドル、セグメント EBITA 8.5 億ドル(22.0%)。
制御システムとソフト(Control Systems & Software)
分散制御システム DeltaV・Ovation、アスペンテック(プロセスの設計・最適化・保守のソフト)、遠隔監視・サイバーセキュリティ。年間契約(ACV)型の収益。
| 数量プロセス産業の制御システム(DCS)と産業ソフトの世界市場(億ドル、2025 年価格) | 価格シェア × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 420 | 10.0% | 42 | 14 |
| 10 年後 中立 | 575 | 14.1% | 81 | 28 |
取り方:プロセス産業の DCS・制御ソフト・プロセス最適化ソフトの対象市場を約 420 億ドル(推定)、シェア約 10.0% と置いた。2025 年 9 月期の売上は 42.1 億ドル(消去 0.75 億ドルは全体の調整に含め、ここでは丸めた)、セグメント EBITA 13.9 億ドル(33.0%)。ACV は 16.8 億ドル(+9%)。
試験と計測(Test & Measurement)
NI 由来の半導体・航空宇宙・自動車の試験・検証装置とソフト。半導体の設備投資で伸びが大きい。
| 数量電子の試験・計測・検証装置とソフトの世界市場(億ドル、2025 年価格) | 価格シェア × 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 300 | 5.0% | 15 | 4 |
| 10 年後 中立 | 435 | 7.0% | 30 | 8 |
取り方:半導体・航空宇宙・自動車向けの試験・計測装置とソフトの対象市場を約 300 億ドル(推定)、シェア約 5.0% と置いた。2025 年 9 月期の売上は 14.9 億ドル、セグメント EBITA 3.8 億ドル(25.3%)。2026 年 4〜6 月期の利益率は 29.6%、売上は +23%。
リスクと懸念
景気の山と受注の反落
ISM 製造業指数は 54.5(2026 年 9 月)と強く、半導体・電力・LNG の案件が山に近い所で積み上がっている。不況では新規の設備案件が止まり、MRO の先送りも出る。2009 年は売上が 16%(基礎で 13%)減り、2015〜2016 年は原油安で設備投資が冷えた前例がある。
のれんの減損と買収の統合
NI(82 億ドル)とアスペンテック(72 億ドル)でのれんは 182 億ドル、無形資産は 95 億ドル。想定の成長・シナジーが出ない場合は減損と ROE の低下が起きる。2026 年はアスペンテックの更新の時期のずれで制御・ソフトの伸びが 3.5% に鈍った。
AI とオープン化によるソフトの置き換え
AI が制御と最適化を自律化すれば、専用ソフトの価値が下がる可能性がある。制御のオープン化(OPAF など)が進めば、DCS の乗り換えの費用という堀が低くなる。シーメンス・シュナイダー・ハネウェルが AI とデータの買収で競う。
中国の国産化と中東の紛争
中国の売上は 2026 年 4〜6 月期に 3% 減で、スーコンなど国産の DCS が伸びる。中東は紛争でホルムズ海峡が事実上閉じ、2026 年の売上を約 1 億ドル押し下げた。LNG・石化の大型案件の時期は和平次第である。
高い倍率と負債
GAAP の PER は 33〜40 倍で、成熟後の 20 倍前後に戻れば利益が計画どおり伸びても株価は横ばいか下がる。純負債は約 110 億ドルで借り換えは約 5.75%、利払いは 9 か月で前年より 7 割増えた。高い株価での自社株買いは残る株主の価値を薄める。
関税と費用の上昇
鉄鋼・アルミ関税は残り、IEEPA 関税は還付が始まった(0.82 億ドルを受け取り、調整後から除外)。値上げ(年 2.5〜3%)が費用の上昇に追いつかない場合、利益率の拡大が止まる。価格と費用のバランスは 2026 年は「良好」とされる。
今後の分かれ目
- 2026 年 11 月の Investor Day で、2030 年の成長・利益率の目標が基礎売上 7% 超・セグメント EBITA 率 32% 超に引き上げられる
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。ただし倍率の上限(k 8.25%・g 4% の式)は変わらない。
- 受注の基礎の伸びが 2027 年に前年を下回り、受注残の伸びが止まる
- 景気の山が近いという信号で、10 年のやや悲観・悲観の確率を上げる。倍率は PER 15〜17 倍へ寄る。
- T&M の半導体受注が 2027 年に前年割れし、設備投資の山が過ぎる
- T&M の売上の伸びが 14% から一桁に落ち、Software & Systems の利益率が下がる。やや悲観の確率を上げる。
- アスペンテックの ACV の伸びが 10% 超を保ち、AI の機能が追加の課金につながる
- ソフトの堀が AI で広がる証拠で、制御・ソフトの利益率 35% 超の筋書きの確率を上げる。
- 制御のオープン化(OPAF)の規格に基づく競合の DCS が大手化学で採用される
- DCS の乗り換えの費用という堀が低くなる合図。10 年の悲観・やや悲観の確率を上げる。
- 中東の和平が成立し、LNG・石化の大型案件の発注が一斉に動く
- 案件候補 124 億ドルの積み上がりが売上に変わる。Intelligent Devices の伸びが 2027〜2028 年に 5% 超へ上がる。
見ておくもの
- 基礎の受注・受注残(直近 +7%・82 億ドル)と案件候補(124 億ドル、うち電力 30 億ドル・LNG 22 億ドル)
- セグメント EBITA 率(Intelligent Devices 27.9%・Software & Systems 31.8%)と増分利益率
- アスペンテックの ACV(16.8 億ドル・+9%)の伸びと更新時期のずれの解消
- T&M の半導体受注(+70%)と半導体の設備投資
- 中国・欧州・中東の売上(−3%・−1%・+11%)と大型案件の発注の時期
- 2026 年 11 月の Investor Day の新しい長期目標・資本配分
- 純負債(約 110 億ドル)の返済の進みと自社株買いの再開
- 競合(シーメンス・ハネウェル・ABB・シュナイダー)の AI・制御のオープン化の動きと中国の国産 DCS
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見る前に、数量 × 価格で積んだ利益から利益ベースの正当化 PER((1−g/RONIC)/(k−g)、RONIC=k+残る割合×(事業の ROE−k))で出した。10 年の中立は正当化 PER 18.3 倍(k 8.25%・g 4.0%・ROE 28%・moat=普通)の 8 割 = 14.6 倍。プロセス産業の制御・計測は切り替えが難しく質は高いが、事業の入れ替え途中で自動化は景気の山と谷が大きく、利益の質は ROK・HON と同格。上限の 8 割にとどめた。今の株価や過去の倍率に寄せて選んだ値ではなく、全筋書きが検査の上限(正当化 PER × 事業の純利益の 1.1 倍)の内側に収まっている。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.25% = 8.25%(β は使わない。決まり v2。内訳は quality_parts と quality_why)。プロセス産業の保守・契約ソフトが厚く景気に強いが、半導体・ディスクリートは循環が大きいので quality を少し足した。個別のリスク(買収の統合・のれん・中東・AI による置き換え)は k に足さず、筋書きと確率で表した。長期の g は 4.0% まで、k − g ≥ 3.5% を守る。