結論
ASURはメキシコのカンクンを中心に、米州の空港を運営する企業である。筆者の結論はやや割安だが、空港という優良な事業と、株主にとって優良な買収とは分けて評価すべきだというものだ。空港は地域ごとに参入障壁が高い。しかし、運営権には期限があり、旅客が増えるほど設備投資の義務も増える。
2025年の売上は19.4億ドル、営業利益は8.9億ドル、純利益は5.5億ドルだった。2026年9月にはブラジルなど20空港の運営会社CPCの取得を完了し、従来の16空港から36空港へ事業を広げた。前年の売上だけを見ると現在の稼ぐ力を過小評価する一方、取得した空港の利益を借入負担なしで足せば過大評価する。2026年9月末の純負債は約27.6億ドルに増え、純負債倍率はEBITDAの2.6倍になった。
さらに、見逃せないのがコロンビアのAirplanである。既存の規制料金を受け取る権利は2027年に上限へ達する見通しで、残る商業収入の権益にも2032年の期限がある。中立では2035年までの更新を当然視せず、この事業の収益を外した。新たに取得したキュラソーの権益も2033年で切れるため、空港数の増加がそのまま恒久的な収益増加を意味しない。
メキシコでの値上げには規制があるが、商業施設の収入は旅客の増加と購買額の上昇を取り込める。カンクンの設備拡張、ブラジルの国内航空市場、プエルトリコの基幹空港は10年後にも必要とされるだろう。他方、2026年第3四半期にはメキシコの旅客が4.6%減り、買収で売上が伸びても利益率は低下した。規模を広げるだけでなく、投じた資本に見合う利益を出せるかを問いたい。
5つの筋書きの確率を加重し、資本コスト8.5%で現在価値に戻すと、株主価値は約86.6億ドルとなる。台帳の時価総額74.5億ドルとの差は約16%で、判定はやや割安だ。ただし安全域は厚くない。ブラジルの買収利益、メキシコの料金規制、コロンビアの権益更新を見誤れば、この差は容易に消える。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、空港ほど分かりやすい需要のある資産は少ない。観光客や航空会社が数十年後も空港を必要とすることは、かなり高い確度で見通せる。カンクンが観光地であり続け、メキシコの空港運営権が維持されれば、旅客に伴う航空料金と商業収入は着実に生じる。代替施設を容易に造れないという意味で、事業の堀は強い。
だが、永遠に必要な空港と、永遠に利益を受け取れる株主は違う。政府が所有するインフラの運営権には期限と投資義務がある。コロンビアの収益権が期限を迎える問題は、その違いを端的に示している。利益が多く出る年に高いROEを示しても、期限が近づく権利を維持するために巨額の追加投資が必要なら、株主のものになる利益は小さくなる。
もう一つは買収の価格だ。CPCの空港は地理的には魅力的だが、取得価格、引き継いだ負債、将来の義務を合算して初めて投資利回りが分かる。取得前のCPCは、2025年の営業利益が約1.7億ドル相当だった。買収対象全体の企業価値は約25億ドルを超える規模であり、単純な税後営業利益利回りは資本コスト8.5%に届きにくい。空港が立派でも、高く買えば株主の利益を減らす。
筆者が評価するのは、資本効率が悪化した場合にも事業を売り買いして規模を追わず、借入を抑え、投資を終えた後の現金を株主に返す経営である。中立では10年間の純利益累計75億ドルのうち49億ドルを還元し、残りを事業に残す。今の時価総額にはある程度の安全域があるものの、負債と運営権の期限を考えれば、確信を持って大きな安全域と呼べるほどではない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は滑走路そのものではなく、空港を長く運営する権利である。航空会社と乗客から施設使用料、着陸料、保安関連料金を受け取る。その一方で、免税店、飲食店、駐車場、レンタカー、広告、ホテルなどから賃料や販売収入を得る。飛行機を保有する航空会社と異なり、運賃や燃料費を直接負担しない。ただし設備の拡張と保守には多額の資金が必要だ。
2025年のメキシコ9空港の旅客は約4060万人だった。うちカンクンが約2935万人と7割強を占める。メキシコの航空関連収入は約7.44億ドル、非航空関連収入は約3.72億ドルであり、残る約3.42億ドルは主として空港建設に伴う会計上の売上だ。建設収入は対応する費用がほぼ同額生じるため、売上の増加を利益の成長と取り違えてはいけない。
プエルトリコでは、子会社アエロスターがサンフアンのルイス・ムニョス・マリン国際空港を運営する。2025年の旅客は約1364万人で、ASURの持ち分は60%だ。コロンビアのAirplanはメデジン周辺など6空港を運営し、同年の旅客は約1732万人だった。連結売上には子会社の全額が入るが、株主に帰属する利益からは少数株主の取り分を差し引く必要がある。
2026年に取得したCPCは、ブラジル17空港とエクアドル、コスタリカ、キュラソーの3空港を束ねる。2025年の独立した実績では約4800万人を扱い、売上は約5.0億ドル、営業利益は約1.7億ドル相当だった。ベロオリゾンテ、クリチバ、キト、サンホセなど、各地域の主要な玄関口を押さえる。ASURはCPCの株式を取得したが、傘下の個別空港には外部の共同出資者が残るため、連結利益のすべてがASUR株主のものになるわけではない。
2025年12月には米国の空港商業事業も取得した。ニューヨークのJFK、ロサンゼルスのLAX、シカゴのオヘアで商業施設を運営するが、空港全体の運営権を取得したわけではない。2026年第3四半期の商業事業収入を年換算すると約1.0億ドルになる。航空料金を取る既存空港とは利益率も契約リスクも異なるため、独立して評価する。
優良さと弱いところ
最も強い堀、つまり競争相手が容易に越えられない壁は、地域ごとに与えられた空港運営権だ。同じ都市に同規模の滑走路とターミナルを新設するには、土地、許認可、巨額の資金が要る。旅客は航空会社の路線に従って空港を使い、航空会社も旅客需要と接続便が集まる空港から簡単には離れられない。カンクンやサンフアンでは、この集積が商業施設の収益も支えている。
ただし独占と自由な値上げは同じではない。メキシコの航空料金には認可された上限があり、2023年には料金規制の仕組みが政府主導で変更された。2026年から2028年のカンクンの規制料金上限も、同一の物価基準では年々下がる設定だ。物価上昇に追随しやすいのは商業施設の賃料や旅客1人当たりの購買収入であり、滑走路の使用料は規制当局との関係に左右される。
資本効率は高い。2025年のROEは24.9%、過去10年の中央値も19.6%ある。しかし、この数字をそのまま再投資利回りと呼ぶことはできない。既存の空港権益から生じる利益率と、新しい空港を買い、滑走路を増やすために追加投入する資本の利回りは別物だからだ。CPCの取得価格に引き継いだ負債を含めた企業価値は大きく、取得前の営業利益だけを使うと増分の税後利回りは資本コストを下回るおそれがある。
2026年第3四半期のEBITDAは前年同期比1.7%増にとどまり、建設収入を除く調整後EBITDA利益率は66.7%から60.3%へ低下した。米国の商業施設の賃借負担、買収関連費用、既存メキシコ空港の旅客減が重なる。規模の拡大が堀を地理的には広げた一方、資本効率まで改善した証拠はまだ弱い。
空港運営は物理的な設備と規制上の権利が中心だ。人月で売るコンサルティング、席課金ソフト、画面操作の代行とは異なり、指定されたAIエージェント代替の対象事業ではない。AIによる運営効率化は可能だが、航空機が離着陸する場所の価値を直接置き換えるものではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
航空旅客の長期需要は所得、観光、人口、航空会社の供給能力で決まる。2025年のメキシコの航空旅客市場は、航空会社の搭乗者統計で約1億2270万人だった。一方、空港運営会社のシェアは各空港の発着旅客を基準に計算するため、両者の分母は一致しない。空港側の比較では、ASURのメキシコでのシェアは2023年の約23.9%から2025年には約22.2%へ低下した。太平洋側のGAPは約31.4%、中北部のOMAは約15.7%を占める。
ただし、GAPやOMAは通常、カンクンの滑走路を直接奪いに来る競争相手ではない。旅行者がメキシコのどの都市へ向かうかという観光需要の競争である。より直接的な脅威は、カンクン近郊に開港した政府運営のトゥルム空港、カリブ海の他の観光地、そして航空会社による便数の振り替えだ。2025年のカンクンの旅客は前年比3.5%減った。2026年第3四半期にはメキシコ全体の国際旅客が11.8%減り、米国の航空会社の供給制約が利益の回復を遅らせている。
ブラジルの航空旅客は2025年に約1億2960万人と過去最高となった。CPCの20空港合計約4800万人から、キトの約530万人、サンホセの約640万人、キュラソーの約240万人を除くと、ブラジル17空港は約3400万人となる。統計の口径差を伴う概算だが、ブラジル市場の4分の1程度に相当する。主要な競争相手にはアエナ、ヴィンシ・エアポーツ、コーポラシオン・アメリカ・エアポーツなどがいる。これらも個々の空港では運営権を持つため、競争は新たな入札と航空路線の誘致を通じて起きる。
ブラジル事業の問題は市場が伸びるかだけではない。取得した運営権には2033年のキュラソー、2036年のコスタリカという期限がある。ブラジルの主要な権益は2044年から2052年まで残るが、設備投資の約束も大きい。第6次と第7次のブラジル空港入札に由来する投資約束は、契約期間全体で合計約231億レアルに達する。これは将来の残額だけを示した数字ではないが、買収価格とは別に資金を要することを表す。
コロンビアでは、2025年の全国旅客約5750万人に対し、Airplanの6空港は約1732万人を扱った。ただしボゴタのエルドラド空港などとの競争以上に、規制料金を受け取れる期限が迫っている。規制収入の上限到達が2027年に見込まれ、商業収入の残る権利も2032年を一つの終点とする。延長には追加工事と当局の合意が必要だ。10年後の市場全体が成長しても、同じ会社がその収益を受け取れるとは限らない。
資本政策と M&A
資本配分には二つの顔がある。長年、ASURは利益を配当で返しながらカンクンを育ててきた。2022年から2024年の高い利益率と自由現金収支は、その成果を示す。しかし2025年には配当が12.5億ドルに達し、同年の純利益5.5億ドル、自由現金収支2.4億ドルを大きく上回った。平常時の配当政策を示す水準ではなく、特別還元と借入・現金の変化を切り分ける必要がある。自社株買いによる株数減少は下調べでは確認できない。
2025年12月の米国空港商業事業の取得価格は調整後約3.08億ドル。続く2026年9月のCPC取得価格は約9.92億ドルで、既存の傘下企業の負債も連結された。2026年9月末の純負債は約27.6億ドルで、前年同期から急増した。10月8日にはカンクン空港子会社が合計18億ドルの社債を発行した。9億ドルは2031年満期で金利6.711%、残り9億ドルは2036年満期で7.491%だ。これは主として買収つなぎ融資の借り換えであり、既存の純負債に18億ドルを再び足してはいけない。
会社は2027年の設備投資を約110億ペソと説明した。メキシコのターミナル拡張だけでなく、ブラジルの滑走路、コスタリカのターミナル、プエルトリコにも資金を振り向ける。各地域の営業現金で大部分を賄う方針だが、長期の売上・利益成長率や総還元率について固定的な数字の約束はない。2026年11月と12月には普通株当たり各10ペソの特別配当が承認されている。
2026年8月には、関連当事者であるITAの技術支援事業を取り込む合併案も株主承認を得た。2025年の外部委託料は約4.01億ペソで、内製化すればその一部を節約できる。ただし純増で約725万普通株、発行済み株数の約2.4%に相当する新株が予定され、少数株主には希薄化が生じる。2026年10月の決算説明時点では税務当局などの手続きが残っているため、成立済みのCPC買収と区別し、未完了のITA合併相手の利益や新株を現在の基準には加えていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
空港の価値は、旅客が増えるたびに一から顧客を獲得し直す必要がないことにある。航空会社はカンクン、サンフアン、キト、ベロオリゾンテといった都市への路線を継続して設定する。旅客が増えれば、同じターミナルで航空料金だけでなく駐車場、飲食、広告、免税店の売上も増える。固定費を吸収した後の増分利益率は高い。空港の許認可は長く、同じ都市での代替空港建設には大きな制約がある。
メキシコでは2026年の旅客減少は航空会社の便数不足と観光需要の一時的な偏りにすぎない。カンクンのターミナル1再整備とターミナル4拡張によって混雑が改善すれば、乗り継ぎと新路線を呼び戻せる。メキシコ国内の旅客市場でASURのシェアは2025年に22.2%だったが、観光地としての魅力が回復すれば再び高まる。商業施設では客単価も物価を上回って伸びる。
2026年に取得したCPCは、ブラジルの主要空港と周辺国の玄関口を一度に手に入れた買収だ。ブラジルでは2025年の航空旅客が約9%増えた。クリチバの第2滑走路やベロオリゾンテの設備改善が進めば、新規路線と旅客処理能力の増加が同時に起きる。施設の運営改善を同じ企業集団で進めることで、買収時には低かった利益率を引き上げられる。
コロンビアの権益も2032年にすべて失われるとは限らない。追加工事に応じた契約延長の制度があり、当局と合理的な条件で合意できれば、主要空港で再び料金収入を得る余地がある。ITAの技術支援を内製化すれば毎年の委託料も減る。これらがそろえば、株主帰属利益は2035年に16億ドルへ伸び、還元を続けながら地域独占の利益を享受できる。既存の空港網の堀は、規模を広げることでむしろ厚くなる。
慎重な見方
空港という言葉に安心してはいけない。政府が持つインフラの運営権は、独占であると同時に規制対象である。メキシコ政府は2023年、空港料金の規制条件を一方的に変更した。航空料金の上限は必ずしも物価上昇と同じ速度で増えない。旅客数が伸び悩むと、ターミナル拡張のために投じた資金だけが先に残る。
カンクンではすでに旅客が減っている。政府が整備したトゥルム空港が同じ観光地域の需要を取り込み、航空会社は燃料高や機材不足を理由に収益性の高い路線へ機材を振り向ける。2026年第3四半期にメキシコの国際旅客が約12%減った事実を、単なる景気循環と片付けるべきではない。空港の地域独占は、地域間の観光需要の競争までは防がない。
経営の資本配分にも疑問がある。CPCは約9.92億ドルの買収代金だけでなく、既存の空港運営会社の借入と設備投資義務を伴った。2026年9月末の純負債は約27.6億ドルで、調整後の利益率も前年を下回る。10月に発行した社債の金利は約7%に達し、低金利で借りていたころより株主に残る現金が少なくなる。米国の空港商業事業には賃借料と新規店舗開発の費用があり、空港の使用料事業と同じ利益率にはならない。
決定的なのは契約期限だ。コロンビアの規制収入は2027年に上限に達する見通しで、残る商業収入の権益も2032年に期限を迎える。キュラソーは2033年、コスタリカは2036年だ。将来の更新を確約された売上として積み上げれば、利益を過大評価する。ブラジルでも地理的な独占を保ちながら、設備投資義務と資金調達費用のために株主利益が増えない可能性がある。強い事業でも高い価格で買えば、株主が受け取る利益は貧しくなる。
どちらに重みを置いたか
空港が10年後も必要とされる確度は高く、メキシコとブラジルの主要な運営権が残る点では強い見方に分がある。しかし、コロンビアの2027年と2032年の権益上の節目は実際の開示で確認できる。買収後の借入もすでに発生している。したがってコロンビアの延長を中立には含めず、楽観側32%、中立36%、悲観側32%とした。悲観側を航空会社ほど極端には厚くしないのは、滑走路の地域独占と長期運営権が残るためだ。逆に、優良な空港なら何でも高く評価してよいとは考えない。この違いから、現在価値は時価総額を約16%上回るものの、結論はやや割安にとどまる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 462.16 ドル139 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 149.27 ドル45 億ドル)。 今の値に割り戻すと 303.67 ドル91 億ドル、今との差 +21.1%、 期待の年率 +11.0%(資本コスト 8.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 942.09 ドル283 億ドル | 226.67 ドル68 億ドル | +365.9% | +19.5% | 116.88 ドル35 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 698.54 ドル210 億ドル | 183.33 ドル55 億ドル | +251.5% | +15.7% | 194.01 ドル58 億ドル |
| 中立 | 36% | 475.72 ドル143 億ドル | 163.33 ドル49 億ドル | +154.7% | +11.7% | 230.06 ドル69 億ドル |
| やや悲観 | 21% | 185.52 ドル56 億ドル | 113.33 ドル34 億ドル | +19.1% | +2.2% | 62.76 ドル19 億ドル |
| 悲観 | 11% | 36.83 ドル11 億ドル | 33.33 ドル10 億ドル | −72.0% | −14.6% | 7.72 ドル2 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 462.16 ドル139 億ドル | 149.27 ドル45 億ドル | +143.7% | +11.0% | 611.42 ドル183 億ドル |
今の株価時価総額 250.86 ドル75 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 楽観:カンクンが回復し、ブラジル買収とコロンビアの契約更新が成功 利益 16 億ドル · PER 17.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 942.09 ドル283 億ドル
カンクンのターミナル1と4の拡張が順調に進み、航空会社の便数が回復する。メキシコの空港旅客市場が10年間に実質約1.35倍へ成長する中、ASURは観光地での路線誘致でシェアを約22%から24%台へ伸ばす。メキシコ9空港の旅客は6000万人となり、商業施設の客単価は物価以上に伸びる。GAPの太平洋側空港との観光競争にも十分対抗できる。
CPCではブラジルの滑走路拡張、キトの国際線、コスタリカのターミナル改善が実を結ぶ。キュラソーや将来満了する契約は有利な条件で更新され、20空港の旅客は8000万人に増える。ブラジル事業の営業利益率は38%へ改善する。米国商業事業も新しい拠点を獲得し、店舗運営の効率を上げる。
コロンビアでは追加投資と当局の合意によって2032年以降も主要空港を運営でき、規制収入を含む事業が残る。取得した会社の少数株主持分と約7%の借入金利を差し引いた後も、親会社帰属純利益は16億ドルとなる。10年間の純利益累計を110億ドル、正味の還元を68億ドルとし、自己資本は64億ドルに増える。増分投資の利益率が資本コストを十分に上回り、空港の地域独占が利益の成長に結びつく筋書きだ。
- メキシコ9空港・航空料金:数量 60.0(メキシコ9空港の年間旅客数、百万人。市場全体の旅客数とASURの空港シェアで決まる)× 価格 0.29(旅客100万人当たりの航空関連収入、億ドル。着陸料なども旅客当たりに換算)→ 売上 17 億ドル・営業利益 12 億ドル。メキシコ市場の実質成長約35%、空港シェア24%台へ拡大。料金単価は規制改定と施設投資で約1.58倍。
- メキシコ9空港・商業施設:数量 60.0(メキシコ9空港の年間旅客数、百万人。航空料金と共通の旅客基盤)× 価格 0.15(旅客100万人当たりの非航空関連収入、億ドル)→ 売上 9 億ドル・営業利益 6 億ドル。同じ旅客数に、店舗構成改善と高単価商品の増加で旅客当たり売上約1.68倍。
- メキシコ・建設会計上の収入:数量 1.2(各年度の建設工事量指数。2025年の工事量を1.0とする)× 価格 4.75(2025年の工事量指数1当たりの建設収入、億ドル)→ 売上 6 億ドル・営業利益 0 億ドル。ターミナル拡張工事が続くが、IFRIC12の収入と費用は同額で利益は生まない。
- プエルトリコ・サンフアン空港:数量 19.0(サンフアン空港の年間旅客数、百万人)× 価格 0.32(旅客100万人当たりの航空・商業・建設収入の合計、億ドル)→ 売上 6 億ドル・営業利益 3 億ドル。観光と米本土路線が回復し、サンフアンの主要玄関口としての地位を維持。少数株主持分は純利益で控除。
- コロンビア・Airplan6空港:数量 26.0(Airplan6空港の年間旅客数、百万人。2032年以降は契約更新の有無も数量に含める)× 価格 0.19(旅客100万人当たりの収入、億ドル。権益が消滅した場合の価格は参考値であり、売上はゼロ)→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。2032年以降の運営権を更新し、規制収入を含む事業を継続できた場合に限る。追加工事も必要。
- ブラジルなど20空港・CPC:数量 80.0(取得した20空港の年間旅客数、百万人。期限切れの運営権に係る旅客は除く)× 価格 0.17(旅客100万人当たりの連結収入、億ドル。建設会計上の収入を含むため利益率を別に管理)→ 売上 14 億ドル・営業利益 5 億ドル。ブラジル17空港の路線拡大、商業収益改善、キュラソーなどの権益更新が成功。
- 米国3空港の商業施設:数量 6.0(収入を生む主要空港拠点数。現在はJFK、LAX、オヘアの3拠点)× 価格 0.50(主要拠点1カ所当たりの年間商業事業収入、億ドル)→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。既存の3空港に加えて主要拠点を3つ取得し、店舗開発が利益を生む。新規取得には相応の投資を要する。
倍率:2035年のROEは16.0÷64.0=25.0%。空港の地域独占を強い堀とし、残る割合2/3を採用するため、RONIC=8.5%+2/3×(25.0%−8.5%)=19.5%。長期gは4.0%で、旅客市場の実質成長約1.0~1.5%、シェア・商業客単価の実質改善と名目料金上昇を合わせ、長期上限の4%に抑える。翌年利益に対する正当化PER=(1−4.0%÷19.5%)÷(8.5%−4.0%)=17.66倍。2035年利益への倍率は1.04を掛けて18.37倍。この上限の約94%に当たる17.2倍を採用する。好条件でも規制変更と契約期限が残るため満額にはしない。GAAP相当の純利益16.0億ドルに対する価値は275.2億ドルで、純現金の別建て加算はない。
確率:メキシコの市場シェア拡大、商業施設の実質客単価上昇、ブラジルの高い投資採算、コロンビアの規制収入を含む契約延長という複数の条件が必要。成功すれば強いが、確度は1割とした。
やや楽観 22% やや楽観:ブラジルが成長し、コロンビアの契約も条件付きで延長 利益 12 億ドル · PER 16.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 698.54 ドル210 億ドル
カンクンは航空会社の便数不足から徐々に回復し、メキシコ9空港の旅客は5500万人となる。メキシコの空港市場全体が約28%伸びるのに対し、ASURのシェアは23%台半ばへやや上昇する。航空料金は規制によって物価上昇を全額は転嫁できないが、商業施設の店舗拡張と駐車場の利用増が収入を補う。GAPの観光地域との競争は続くが、カンクンの国際線網は維持される。
CPCの旅客は7000万人へ増える。ブラジルで滑走路とターミナルの整備が進み、買収時より営業利益率が改善する。ただし全空港で思いどおりに単価が上がるわけではない。米国の商業事業は既存3空港から一部の追加拠点へ広がるが、賃借費用を引いた利益率は15%にとどまる。
コロンビアでは、追加工事の対価として主要運営権が2032年以降も更新される。規制料金の条件は以前より厳しく、利益率は楽観ほど高くない。親会社帰属純利益は12.4億ドル、10年間の累計は90億ドルとなる。設備投資と借入返済を優先しながら55億ドルを正味還元し、自己資本を57億ドルまで積み上げる。独占の強みは残るが、新しい投資が生む超過利益は次第に薄れる。
- メキシコ9空港・航空料金:数量 55.0(メキシコ9空港の年間旅客数、百万人。市場全体の旅客数とASURの空港シェアで決まる)× 価格 0.26(旅客100万人当たりの航空関連収入、億ドル。着陸料なども旅客当たりに換算)→ 売上 14 億ドル・営業利益 9 億ドル。旅客市場の実質成長約28%、シェア23%台半ば。料金は物価より緩やかな伸び。
- メキシコ9空港・商業施設:数量 55.0(メキシコ9空港の年間旅客数、百万人。航空料金と共通の旅客基盤)× 価格 0.14(旅客100万人当たりの非航空関連収入、億ドル)→ 売上 8 億ドル・営業利益 5 億ドル。旅客当たり商業収入約1.5倍。店舗構成の改善が進む。
- メキシコ・建設会計上の収入:数量 1.1(各年度の建設工事量指数。2025年の工事量を1.0とする)× 価格 4.60(2025年の工事量指数1当たりの建設収入、億ドル)→ 売上 5 億ドル・営業利益 0 億ドル。予定された維持・拡張工事を実施し、建設会計上の売上は利益に寄与しない。
- プエルトリコ・サンフアン空港:数量 17.3(サンフアン空港の年間旅客数、百万人)× 価格 0.30(旅客100万人当たりの航空・商業・建設収入の合計、億ドル)→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。米本土便が回復し、物価並みの単価上昇を概ね確保。
- コロンビア・Airplan6空港:数量 23.0(Airplan6空港の年間旅客数、百万人。2032年以降は契約更新の有無も数量に含める)× 価格 0.17(旅客100万人当たりの収入、億ドル。権益が消滅した場合の価格は参考値であり、売上はゼロ)→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。契約延長が成立するが、追加工事と料金条件の見直しで楽観より低い収益性。
- ブラジルなど20空港・CPC:数量 70.0(取得した20空港の年間旅客数、百万人。期限切れの運営権に係る旅客は除く)× 価格 0.16(旅客100万人当たりの連結収入、億ドル。建設会計上の収入を含むため利益率を別に管理)→ 売上 11 億ドル・営業利益 4 億ドル。ブラジル国内線の成長と商業事業改善が進み、短期に満了する海外権益も更新される。
- 米国3空港の商業施設:数量 5.0(収入を生む主要空港拠点数。現在はJFK、LAX、オヘアの3拠点)× 価格 0.45(主要拠点1カ所当たりの年間商業事業収入、億ドル)→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。米国で追加の2拠点を獲得する。新店舗開業で賃借負担を吸収。
倍率:ROE=12.4÷57.0=21.75%、強い堀の残存率2/3からRONIC=17.33%。長期gは3.8%。旅客市場の実質伸び約1%、物価約3.5%、料金上限による実質単価低下と商業収益の改善を合算した。正当化PER=(1−3.8%÷17.33%)÷(8.5%−3.8%)×1.038=約17.24倍。上限の約93%に相当する16.0倍を採用する。GAAP相当の純利益12.4億ドルに掛けると時価総額は198.4億ドル。純現金の別建て加算なし。
確率:カンクンとブラジルの投資が実を結ぶ可能性は十分あるが、Airplanの更新条件と投資利回りには不確実性が残る。全条件がそろう楽観より高い22%とした。
中立 36% 中立:主要空港は成長するが、Airplanは満了し買収利益は緩やか 利益 9 億ドル · PER 14.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 475.72 ドル143 億ドル
メキシコの航空旅客市場は10年間に実質約22%伸びる。ASURのシェアは2025年の約22.2%から21%台半ばへやや下がるが、カンクンとメリダなどの設備拡張で旅客は4800万人になる。航空料金は政府の上限により物価上昇を十分には転嫁できない。商業収入は客単価と旅客増で伸び、メキシコの利益率は高い水準を保つ。GAPの他地域の空港に観光需要を奪われる分も見込む。
ブラジルなどの取得済み20空港では、ブラジルの航空需要の実質成長を取り込み、2035年の対象旅客数は6100万人となる。キュラソーの2033年満了を織り込み、コスタリカは2035年末まで運営する。利益率は30%と、買収前の2025年の水準をやや下回る。拡張工事による建設会計の売上は増えるが、対応費用を差し引くため利益の柱にはならない。
コロンビアは契約延長が未確定のままなら2035年にはAirplanの航空料金も商業収入も受け取れない。したがって、同事業の売上と営業利益をゼロにする。プエルトリコは路線需要の成長が緩やかに続き、米国の商業施設では新規出店による利益率の改善が限定的に進む。親会社帰属純利益は9.3億ドルとなる。
10年間の純利益累計は75億ドル、正味還元は49億ドルとする。利益の道筋は2026年の買収直後に伸びた後、2027年のコロンビア料金権利終了で伸びが鈍り、2032年の権益満了を経て2035年の9.3億ドルに至る。残った26億ドルを事業と負債削減に用い、自己資本は48億ドルとなる。新たな資本の利回りは資本コストをわずかに上回る程度で、成長の価値を過大には認めない。
- メキシコ9空港・航空料金:数量 48.0(メキシコ9空港の年間旅客数、百万人。市場全体の旅客数とASURの空港シェアで決まる)× 価格 0.23(旅客100万人当たりの航空関連収入、億ドル。着陸料なども旅客当たりに換算)→ 売上 11 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場実質約1.22倍、ASURシェア約21.5%。規制料金は10年で約1.26倍と物価上昇率を下回る。
- メキシコ9空港・商業施設:数量 48.0(メキシコ9空港の年間旅客数、百万人。航空料金と共通の旅客基盤)× 価格 0.12(旅客100万人当たりの非航空関連収入、億ドル)→ 売上 6 億ドル・営業利益 3 億ドル。旅客1人当たり収入は約1.35倍。店舗の競争と旅客構成を考慮して物価並みより少し低い。
- メキシコ・建設会計上の収入:数量 0.9(各年度の建設工事量指数。2025年の工事量を1.0とする)× 価格 4.80(2025年の工事量指数1当たりの建設収入、億ドル)→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。建設投資が一定の水準で続く。売上と原価が対応し営業利益への寄与はない。
- プエルトリコ・サンフアン空港:数量 15.5(サンフアン空港の年間旅客数、百万人)× 価格 0.28(旅客100万人当たりの航空・商業・建設収入の合計、億ドル)→ 売上 4 億ドル・営業利益 2 億ドル。米本土・カリブ海路線が緩やかに増える。価格はほぼ物価に沿う。
- コロンビア・Airplan6空港:数量 0.0(Airplan6空港の年間旅客数、百万人。2032年以降は契約更新の有無も数量に含める)× 価格 0.15(旅客100万人当たりの収入、億ドル。権益が消滅した場合の価格は参考値であり、売上はゼロ)→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。2027年の規制収入上限到達と2032年の残余権益満了を採用。価格は契約が残ればという参考指数で、数量がゼロのため売上もゼロ。
- ブラジルなど20空港・CPC:数量 61.0(取得した20空港の年間旅客数、百万人。期限切れの運営権に係る旅客は除く)× 価格 0.14(旅客100万人当たりの連結収入、億ドル。建設会計上の収入を含むため利益率を別に管理)→ 売上 9 億ドル・営業利益 3 億ドル。ブラジル市場の実質成長に沿う。キュラソーの権益満了を控除し、コスタリカの2036年期限を長期成長率に反映。
- 米国3空港の商業施設:数量 3.0(収入を生む主要空港拠点数。現在はJFK、LAX、オヘアの3拠点)× 価格 0.47(主要拠点1カ所当たりの年間商業事業収入、億ドル)→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。同じ3空港を維持し、1拠点当たり売上は物価並み約1.41倍。店舗開発費・賃料の負担が残る。
倍率:ROE=9.3÷48.0=19.38%。これは2025年の24.9%や過去10年の中央値19.6%から、買収後に蓄積する自己資本と投資の採算を考慮して自然に得られる値。強い堀の残存率2/3からRONIC=8.5%+2/3×(19.38%−8.5%)=15.75%。長期gは3.2%。航空旅客の実質成長約1%、商業客単価の実質改善、名目物価3.5%に対し、規制料金の効率化係数と2036年に期限を迎えるコスタリカ権益を差し引く。正当化PER=(1−3.2%÷15.75%)÷(8.5%−3.2%)×1.032=15.52倍。上限の約90%に当たる13.96倍を採用し、権益更新が不確実な成長には満額を払わない。2035年の時価総額=9.3×13.96=129.828億ドル。純現金の別建て加算なし。
確率:メキシコとブラジルの主要空港の旅客が実質で緩やかに増える一方、コロンビアとキュラソーの権益満了をそのまま反映する。最も少ない条件で成立する筋書きとして36%を配分した。
やや悲観 21% やや悲観:カンクンのシェア低下とブラジルの低収益が長引く 利益 5 億ドル · PER 9.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 185.52 ドル56 億ドル
カンクンではトゥルム空港と他のカリブ海の観光地への路線分散が進み、米国の航空会社が機材を収益性の高い市場へ振り向ける。メキシコの空港旅客市場自体は実質で約10%増えるが、ASURのシェアは18%前後へ低下する。メキシコ9空港の旅客は3600万人に減り、規制料金の値上げも物価に追いつかない。固定的な保安費用やターミナル運営費が残り、航空・商業の両事業で営業利益率が低下する。
ブラジルのCPCは重要な路線を持つが、政府に約束した設備投資と運営費が先に増える。ブラジルの旅客市場の伸びが鈍り、他社が運営するサンパウロなどのハブへ接続便が集まる。CPCの旅客は取得前と同じ4800万人程度にとどまり、営業利益率は20%に落ちる。米国の空港商業事業でも賃料と人件費が重く、利益率は6%に縮む。
コロンビアでは2027年に航空料金権利が尽き、2032年の契約更新も得られない。プエルトリコは利用者が減るが空港そのものは存続する。全社の営業利益は7.85億ドル、親会社帰属純利益は4.7億ドルに落ちる。10年間の純利益累計は53億ドルとする。利益は2026年以降数年間高止まりしてから空港利用の減少と契約満了に伴い低下し、2035年の水準に至る。正味還元34億ドル、自己資本41億ドルで、増分投資が株主の利益を増やせない会社になる。
- メキシコ9空港・航空料金:数量 36.0(メキシコ9空港の年間旅客数、百万人。市場全体の旅客数とASURの空港シェアで決まる)× 価格 0.21(旅客100万人当たりの航空関連収入、億ドル。着陸料なども旅客当たりに換算)→ 売上 8 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場実質約1.1倍でもシェア約18%に低下。料金上限と航空会社の交渉力で価格上昇は約1.16倍。
- メキシコ9空港・商業施設:数量 36.0(メキシコ9空港の年間旅客数、百万人。航空料金と共通の旅客基盤)× 価格 0.12(旅客100万人当たりの非航空関連収入、億ドル)→ 売上 4 億ドル・営業利益 2 億ドル。旅客減と物価以下の客単価上昇に対し、空港商業施設の固定費が残る。
- メキシコ・建設会計上の収入:数量 0.7(各年度の建設工事量指数。2025年の工事量を1.0とする)× 価格 4.50(2025年の工事量指数1当たりの建設収入、億ドル)→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。新規拡張が鈍るが規制上の維持工事は残る。建設会計売上に利益はない。
- プエルトリコ・サンフアン空港:数量 12.8(サンフアン空港の年間旅客数、百万人)× 価格 0.26(旅客100万人当たりの航空・商業・建設収入の合計、億ドル)→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。航空会社の便数縮小が長引き、賃金と保守費用の負担が残る。
- コロンビア・Airplan6空港:数量 0.0(Airplan6空港の年間旅客数、百万人。2032年以降は契約更新の有無も数量に含める)× 価格 0.15(旅客100万人当たりの収入、億ドル。権益が消滅した場合の価格は参考値であり、売上はゼロ)→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。規制収入は2027年、残余権益は2032年に終了。更新なし。
- ブラジルなど20空港・CPC:数量 48.0(取得した20空港の年間旅客数、百万人。期限切れの運営権に係る旅客は除く)× 価格 0.13(旅客100万人当たりの連結収入、億ドル。建設会計上の収入を含むため利益率を別に管理)→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。航空旅客は実質横ばい。既存の建設義務、金利、低採算拠点が利益率を下げる。
- 米国3空港の商業施設:数量 3.0(収入を生む主要空港拠点数。現在はJFK、LAX、オヘアの3拠点)× 価格 0.36(主要拠点1カ所当たりの年間商業事業収入、億ドル)→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。3空港の商業契約は残るが、店舗売上が伸びず賃借料と開業費用を吸収しきれない。
倍率:ROE=4.7÷41.0=11.46%、k=8.5%、強い堀の残存率2/3からRONIC=10.47%。市場の実質数量の伸びが弱く、単価は規制と競争で抑えられるため、長期gは1.5%。正当化PERの参考上限は(1−1.5%÷10.47%)÷(8.5%−1.5%)×1.015=約12.42倍だが、更新権益を失い設備投資の利回りが落ちるため9.5倍とする。時価総額は4.7×9.5=44.65億ドルで、床の処分可能資産19億ドルと、稼ぐ力4.7÷8.5%=55.3億ドルの双方の上限を超えない。中立の倍率より低い。
確率:メキシコで観光客の目的地が分散し、買収空港の設備投資と金利が利益を圧迫する筋書き。権益満了は中立でも織り込んだため、同じ理由では二重に大きく減らさず21%。
悲観 11% 悲観:観光路線の構造的な減少と買収の失敗で利益が細る 利益 1 億ドル · PER 8.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 36.83 ドル11 億ドル
カンクンでは米国を中心とする観光路線の減少とトゥルムへの旅客流出が構造化する。メキシコの市場全体も実質で小幅に縮み、ASURのシェアは17%前後まで下がる。メキシコ9空港の旅客は2900万人となり、航空料金も商業施設の客単価も名目でほぼ伸びない。政府は料金を厳しく抑え、会社は必要な設備投資を続けなければならない。空港は残るが、優良だった利益構造は失われる。
ブラジルのCPCは買収後の滑走路整備と施設更新に資金を使う一方、旅客の増加が止まる。キュラソーの契約は2033年に満了し、収益性の低い拠点では損失が続く。ブラジルなどの対象旅客は3700万人まで減り、CPC全体の営業利益率は12%に低下する。追加買収による拡大は止まり、米国の商業施設にも新規契約を獲得できない。サンフアンでは航空会社の供給削減で利用者が減る。
コロンビアのAirplanは契約を更新できず、2032年に収益が消える。利益の下落は2030年前後から強まり、保有権益の減損と一時的な費用増を伴う。2035年の営業利益は3.43億ドル、親会社帰属純利益は1.3億ドルとなる。10年間の純利益累計は減損を含む27億ドル、正味還元は10億ドルとする。2026年に予定された特別配当を含め、その後の分配は大幅に縮小する。自己資本は39億ドル残るが、大部分は売却自由な現金ではなく期限付きの運営権だ。会社は存続しても、再投資利回りが資本コストを下回る。
- メキシコ9空港・航空料金:数量 29.0(メキシコ9空港の年間旅客数、百万人。市場全体の旅客数とASURの空港シェアで決まる)× 価格 0.18(旅客100万人当たりの航空関連収入、億ドル。着陸料なども旅客当たりに換算)→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。メキシコ市場は実質微減、ASURシェア約17%。料金規制により単価は名目でほぼ据え置き。
- メキシコ9空港・商業施設:数量 29.0(メキシコ9空港の年間旅客数、百万人。航空料金と共通の旅客基盤)× 価格 0.09(旅客100万人当たりの非航空関連収入、億ドル)→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。旅客減と売店売上の低下で実質客単価が大きく減る。賃借・人件費は残る。
- メキシコ・建設会計上の収入:数量 0.4(各年度の建設工事量指数。2025年の工事量を1.0とする)× 価格 4.40(2025年の工事量指数1当たりの建設収入、億ドル)→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。新規拡張は削減するが法定の維持工事は続き、建設会計収入に利益はない。
- プエルトリコ・サンフアン空港:数量 10.5(サンフアン空港の年間旅客数、百万人)× 価格 0.23(旅客100万人当たりの航空・商業・建設収入の合計、億ドル)→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。米本土との便数が減り、規制と航空会社の交渉で実質単価が低下する。
- コロンビア・Airplan6空港:数量 0.0(Airplan6空港の年間旅客数、百万人。2032年以降は契約更新の有無も数量に含める)× 価格 0.14(旅客100万人当たりの収入、億ドル。権益が消滅した場合の価格は参考値であり、売上はゼロ)→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。2027年に航空料金の権利が尽き、2032年に残余権益が満了。更新なし。
- ブラジルなど20空港・CPC:数量 37.0(取得した20空港の年間旅客数、百万人。期限切れの運営権に係る旅客は除く)× 価格 0.11(旅客100万人当たりの連結収入、億ドル。建設会計上の収入を含むため利益率を別に管理)→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。設備投資の回収に失敗し、ブラジルの競合空港に乗り継ぎ需要を奪われる。期限切れの海外権益は更新しない。
- 米国3空港の商業施設:数量 2.0(収入を生む主要空港拠点数。現在はJFK、LAX、オヘアの3拠点)× 価格 0.27(主要拠点1カ所当たりの年間商業事業収入、億ドル)→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。米国3空港のうち一部契約を失い、残る商業施設も賃料負担で利益が出ない。
倍率:ROE=1.3÷39.0=3.33%で、資本コスト8.5%を大きく下回る。したがって利益を内部留保しても額面どおりの価値を作れず、PERの上限は1÷8.5%=11.76倍。権益の満了、価格規制、重い保守負担のため長期gは0%。利益の質が低いことから上限を下回る8.5倍を採用する。2035年の時価総額は1.3×8.5=11.05億ドル。売却可能な資産の税後床10.0億ドルを上回り、利益から見た上限15.3億ドルも超えない。会社は存続するため時価総額をゼロにはしない。過去の谷のPBRからは導いていない。
確率:地域独占の空港権益が複数残るため完全な事業消滅は想定しない。一方、長期間にわたる観光路線の減少、政府の料金抑制、CPCの低採算化が同時に生じる確率を11%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
メキシコ9空港・航空料金
カンクンを中心とする9空港で、旅客施設使用料、着陸料、駐機料、保安関連料金を受け取る。料金には政府の認可上限がある。
| 数量メキシコ9空港の年間旅客数、百万人。市場全体の旅客数とASURの空港シェアで決まる | 価格旅客100万人当たりの航空関連収入、億ドル。着陸料なども旅客当たりに換算 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.6 | 0.18 | 7 | 5 |
| 10 年後 中立 | 48.0 | 0.23 | 11 | 7 |
取り方:2025年20-Fのメキシコ航空関連収入142億7325万ペソを、同年の売上から逆算した概算換算率約19.2ペソ/ドルで7.44億ドルとする。年間旅客4059.6万人で割った単位収入が0.18325億ドル/百万人。メキシコ空港旅客の運営会社別シェアはASUR約22.2%、GAP約31.4%、OMA約15.7%。営業利益5.1億ドルはメキシコ事業の営業利益を料金・商業収入に配賦した分析上の推定で、会社の独立開示額ではない。
メキシコ9空港・商業施設
免税店、飲食、レンタカー、広告、駐車場、ホテル、店舗直営などの収入。滑走路の規制料金とは異なり、店舗構成と客単価改善が効く。
| 数量メキシコ9空港の年間旅客数、百万人。航空料金と共通の旅客基盤 | 価格旅客100万人当たりの非航空関連収入、億ドル | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.6 | 0.09 | 4 | 2 |
| 10 年後 中立 | 48.0 | 0.12 | 6 | 3 |
取り方:2025年20-Fのメキシコ非航空関連収入71億5383万ペソをドル換算して3.72億ドル。旅客4059.6万人で割り、旅客1人当たり約9.16ドルに相当する。内訳には駐車場や直接販売も含まれる。営業利益2.15億ドルは会社の費用科目と商業施設の性質から配賦した推定で、航空料金5.1億ドルとの合計をメキシコの実績営業利益に合わせている。
メキシコ・建設会計上の収入
空港運営権に伴う建設・拡張工事をIFRIC12により収益と費用の両方に計上する。原則として営業利益を生まない通過勘定として扱う。
| 数量各年度の建設工事量指数。2025年の工事量を1.0とする | 価格2025年の工事量指数1当たりの建設収入、億ドル | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.0 | 3.42 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.9 | 4.80 | 4 | 0 |
取り方:2025年20-Fのメキシコ建設収入65億6113万ペソから3.42億ドルに換算。工事ごとの物理的数量は連続して公表されないため、2025年の実施工事を指数1.0とし、将来はマスターデベロップメント計画の工事量と物価指数で推定する。IFRIC12の対応費用を同額計上し、利益率はゼロ。収益性の高い通常事業に混ぜない。
プエルトリコ・サンフアン空港
ルイス・ムニョス・マリン国際空港の運営会社アエロスターを連結する。ASUR持ち分は60%で、残りの株主の利益を純利益から差し引く。
| 数量サンフアン空港の年間旅客数、百万人 | 価格旅客100万人当たりの航空・商業・建設収入の合計、億ドル | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 13.6 | 0.21 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 15.5 | 0.28 | 4 | 2 |
取り方:2025年の旅客1364.4万人とプエルトリコ売上約54億ペソから、売上を2.83億ドルとした。空港は地域の主要な玄関口で、他の大規模空港との直接競争より、航空会社の運航能力が数量を決める。営業利益は2025年の地域別収支をもとにした概算。60%持ち分は連結売上・営業利益には掛けず、親会社帰属純利益の算定で反映する。
コロンビア・Airplan6空港
メデジン周辺など6空港の航空料金と商業施設収入。規制収入の権利は2027年に上限に達する見込みで、残る商業収入の権益にも2032年の期限がある。
| 数量Airplan6空港の年間旅客数、百万人。2032年以降は契約更新の有無も数量に含める | 価格旅客100万人当たりの収入、億ドル。権益が消滅した場合の価格は参考値であり、売上はゼロ | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 17.3 | 0.12 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 0.15 | 0 | 0 |
取り方:2025年旅客1732.0万人、コロンビア売上約38億ペソから2.0億ドルに換算。コロンビア全体の航空旅客約5752万人に対して取扱旅客が約30%に当たるが、発着旅客と航空会社の搭乗者数の口径差には注意が必要。2025年20-Fには規制収入の予定額が2027年に尽きる見込みと、非規制収入の権益が2032年までという説明がある。営業利益0.6億ドルは連結地域の費用と償却を勘案した分析上の概算。
ブラジルなど20空港・CPC
2026年9月に買収を完了したCPCの20空港。ブラジル17空港に加え、キト、コスタリカのサンホセ、キュラソーを含む。航空料金と商業収入のほかIFRIC12の建設売上も含める。
| 数量取得した20空港の年間旅客数、百万人。期限切れの運営権に係る旅客は除く | 価格旅客100万人当たりの連結収入、億ドル。建設会計上の収入を含むため利益率を別に管理 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 48.0 | 0.10 | 5 | 2 |
| 10 年後 中立 | 61.0 | 0.14 | 9 | 3 |
取り方:2026年9月に提出されたCPC取得後のプロフォーマ資料から、CPC単体の2025年売上96億3799万ペソ、営業費用控除後の営業利益約31億8940万ペソを採用。概算ドル換算で売上5.0億ドル、営業利益1.66億ドル。2025年の20空港の旅客は約4800万人。うちブラジル17空港は、キト約530万人、サンホセ約640万人、キュラソー約240万人を除いて約3400万人と推定する。ブラジル航空市場約1億2960万人との比較では4分の1程度。CPCの2025年実績はASURの2025年連結決算にはまだ含まれないため、取得済み事業の参考基準として別表示する。CPCの建設収入約0.8億ドル相当には対応する費用があり、利益率を押し下げる。
米国3空港の商業施設
JFK、LAX、オヘアの一部ターミナルで店舗や飲食施設などを運営する。空港全体の運営権ではなく、施設の賃料と出店投資を伴う契約事業。
| 数量収入を生む主要空港拠点数。現在はJFK、LAX、オヘアの3拠点 | 価格主要拠点1カ所当たりの年間商業事業収入、億ドル | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 3.0 | 0.33 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3.0 | 0.47 | 1 | 0 |
取り方:2025年12月11日取得のため、FY2025の実績は約20日間しかない。2026年第3四半期の商業事業売上4億5640万ペソを、同四半期のドル換算基準で年換算して約1.0億ドルとした。各ターミナルを利用する旅客数や店舗別客単価は一律に開示されないため、実際に契約を持つ3空港を数量とし、1拠点当たり売上に分解した。営業利益0.05億ドルは、第3四半期EBITDA約4900万ペソと賃借・償却負担から慎重に推定したもので、実績の営業利益とは区別する。
リスクと懸念
コロンビアの2027年・2032年の収益権の終了
Airplanの規制料金に関する期待収入は2027年に上限へ達すると会社が見込んでいる。残る非規制商業収入も2032年までを現在の収益権の期間としている。追加工事と規制当局の承認による延長は可能性であって既得権ではない。中立と悲観側では2035年の収益をゼロとし、楽観側にのみ更新成功を含めた。今後の契約条件の変更は企業価値を大きく動かす。
メキシコ政府による航空料金規制
メキシコ政府は2023年に空港の規制料金の計算条件を変更した。カンクンの上限料金も2026~2028年には同一物価基準で少しずつ低下する。利用者が増えても物価分の値上げを必ず転嫁できるわけではない。2029年以降のマスターデベロップメント計画と料金上限の再設定で、空港の超過利益が政府や旅客へ移るおそれがある。
カンクンの旅客集中とトゥルムとの競争
2025年のメキシコ事業ではカンクンが旅客の約72%を占める。政府運営のトゥルム空港との需要の分散、航空会社の機材不足、観光地の選好の変化は、カンクンの便数に直接響く。2026年第3四半期のメキシコの国際旅客は前年同期比11.8%減った。地域内では独占的であっても、旅行先の地域間競争まで防げるわけではない。
CPC買収後の資本効率と負債
CPCの取得価格は約9.92億ドルで、傘下企業の借入と多額の設備投資義務も付いてきた。2026年9月末の純負債は約27.6億ドル、純負債倍率は2.6倍となり、10月には6.711%と7.491%の長期社債を発行した。買収先の営業利益が伸びなければ、高い利払いと償却が株主帰属利益を削る。買収した空港の数より、税引き後の投下資本利益率が8.5%を超えるかを重視する。
運営権期限と巨額の建設投資
取得した空港にはキュラソーの2033年、コスタリカの2036年という期限がある。ブラジルの主要な空港権益は2044年以降まで続くが、契約期間を通じた多額の設備投資義務がある。建設に伴う会計上の売上は原価と対応して利益を生まない。更新のための追加工事を要求された場合、運営を続けられても株主への分配が少なくなることがある。
少数株主持分・ITA合併と資本配分
プエルトリコやCPC傘下の一部空港には外部の共同出資者がいる。連結営業利益の増加をそのままASURの株主利益とはみなせない。またITAの技術支援事業の内製化では、約2.4%の新株増加が予定される。委託料削減の便益と希薄化の価値を比べる必要がある。支配株主や経営陣が事業規模の拡大を優先し、投資利回りを損ねるリスクも残る。
航空会社の経営悪化と外部ショック
ASURは航空機の燃料を直接買わないが、燃料高や機材不足が航空会社の減便につながれば旅客が減る。2026年は米国航空会社の供給制約がカンクンとサンフアンを圧迫した。感染症、ハリケーン、米国の景気後退、観光地の治安悪化などが重なると、保安、清掃、施設維持、賃料などの固定費を十分に削れない。2020年には営業利益率が約25%まで低下している。
今後の分かれ目
- カンクンを含むメキシコ9空港の国際旅客が2年連続で減り、全国空港旅客シェアが20%を割ったら
- 単なる短期の航空会社の供給制約ではなく、観光地域の構造的な競争力低下を疑う。メキシコの数量をやや悲観側へ下げ、商業収益の固定費負担も増やして評価する。
- Airplanについて2032年以降の収益権延長が当局と正式に成立し、2027年以降の航空料金の条件も開示されたら
- 中立でゼロとしている2035年のコロンビア売上を見直す。更新の対価となる追加工事と料金上限を調べ、増分の税後利益が資本コストを上回る部分だけ価値に加える。
- CPCの建設収入を除いた営業利益率が35%を超え、純負債倍率も2倍を下回ったら
- ブラジルの統合が利益を生み、借入負担も軽くなった証拠とする。やや楽観・楽観の確率を上げ、再投資の質を評価する。
- CPCの建設収入を除いた利益率が低下し、追加投資後も純負債倍率が3倍を超えたら
- 投資義務の回収が遅れていると判断する。将来の配当を減らし、やや悲観・悲観の確率を厚くする。資本コストだけを機械的に上げることはしない。
- メキシコの2029年以降の料金上限が物価に概ね連動し、カンクンの拡張後も旅客当たり商業収入が増えたら
- 長期の値付け力と増分投資の採算が確認される。メキシコの価格と営業利益率を楽観寄りへ修正する。
- ITAの内製化が完了し、純増約725万普通株の条件と年間の費用削減額が確定したら
- 実際の持ち分希薄化を既存株主の価値に反映する。技術支援費用の削減後の利益と新株発行の対価を両建てで確認し、便益を二重計上しない。
- 2027~2028年の設備投資の山を越えた後、自由現金収支が純利益に近づき、負債を減らしながら通常配当を維持できたら
- 買収で増えた利益が実際に株主へ戻る証拠となる。長期の正味還元を上方修正するが、一時的な特別配当を毎年続く還元とはみなさない。
見ておくもの
- カンクンの年間旅客数、国際線の便数、トゥルム空港への需要分散、メキシコ9空港の全国市場シェア
- メキシコの規制料金上限と2029年以降のマスターデベロップメント計画
- 旅客1人当たりの商業収入、商業施設の直営比率、航空収入と非航空収入の成長率
- コロンビアAirplanの2027年以降の規制収入と2032年以降の契約更新に関する正式な開示
- CPC20空港の旅客数、建設会計を除いた利益率、少数株主持分、残存する設備投資義務
- 2026年に拡大した純負債の減少速度、純負債倍率、2031年・2036年満期の社債利息
- 2027年の約110億ペソの設備投資計画に対する実績と、設備投資後の自由現金収支
- ITA合併の完了時期、最終新株発行数、技術支援費用の削減実績、特別配当後の通常還元方針
倍率と資本コストの決め方
価値の算定では現在の市場PERや過去の安値PBRを使っていない。まず2025年のメキシコ航空料金、商業施設、建設会計、サンフアン、コロンビアを分けた。続いて2026年9月に取得済みのCPCを2025年の独立実績から加え、米国商業施設は2026年第3四半期の年換算を用いた。2025年の実績と取得済み事業の参考数値は計上期間が異なるため、無理に同じ連結売上へ合わせていない。中立ではコロンビア権益の更新を織り込まない。倍率は資本コスト8.5%、長期g3.2%、事業ROE19.38%、強い堀の残存率2/3から導いた正当化PER上限15.52倍の約90%とした。悲観の床も期限付き権益の税後処分価値であり、帳簿や過去の市場倍率ではない。2026年の買収負債と社債借り換えを二重に計上せず、未完了のITA合併は成立済み買収として扱わない。結果として本質価値が現在の時価総額を上回ったが、差を目標にして数量や利益率を調整していない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%に事業の質による0.5%を加え、資本コストを8.5%とする。比較対象のデルタ航空は9.0%、ユナイテッド航空とサウスウエスト航空は9.5%、ウーバーは8.5%だが、ASURは輸送機材や運転手の競争を負う会社ではない。地域独占は航空会社より強い一方、規制料金と設備投資、買収負債は重いため、8.5%を採用した。2026年に発行したドル建て社債の金利6.711~7.491%も考慮している。個別の権益更新と買収失敗を重ねてkに足さず、数量、利益率、確率で表す。βは使用しない。