結論
CSX は米東部 23 州に約 2 万マイルの線路を持つ米国第 3 位の貨物鉄道で、2025 年は営業収益 141 億ドル、営業利益 45 億ドル(営業利益率 32%。のれん減損 1.6 億ドルを除くと 33%)、純利益 29 億ドルだった。2024 年のハリケーン被害からのブルーリッジ線の復旧とボルチモアのトンネル工事で費用が膨らみ、営業利益率は 2021 年の 41% から 8 ポイント下がっていた。2025 年秋に就任したスティーブ・エンジェル最高経営責任者の下で費用の締め直しが進み、2026 年 4〜6 月期は営業収益 +10%、営業利益率 38.3%、純利益 10 億ドル(+21%)と急回復した。
論点は 3 つある。第 1 に、利益率が 40% 前後の本来の水準へ戻るか。第 2 に、ハワード・ストリート・トンネルの開通と BNSF・CPKC との提携で、インターモーダルを伸ばせるか。第 3 に、ユニオン・パシフィック(UNP)とノーフォーク・サザン(NSC)の合併で東部に大陸横断の競合が生まれた時の立ち位置である(CSX は未成立の合併の当事者ではなく、再編の話は数字に入れていない)。
バリュー投資の観点では、事業は線路という参入できない堀を持つ優良な寡占だが、今の時価総額 912 億ドルは 2025 年の純利益の 32 倍、2026 年の見込み利益(約 37 億ドル)の 25 倍にあたる。資本コスト 7.5% の利益ベースの式で、10 年後の倍率を上限 22.4 倍(moat 強・g 4%・RONIC 約 19%)の 8.7 割の 19.5 倍とし、2026 年の水準から利益が年 4〜5% で増える中立の筋書きでも、10 年後の時価総額は今の約 1.2 倍にとどまり、割り引いた価値は今の時価総額の 7 割台半ばになる。回復はすでに値段に入っており、安全域は無い。総合はやや割高(式の価値は今の時価総額を 2 割ほど下回る)である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、CSX は「10 年後も存在し、今より強いか」と聞かれれば、存在し、利益率の回復の分だけ今よりやや強い事業である。東部の線路という代替のない資産、物価並みに上げられる料金、2021 年に 41% を付けた営業利益率は、小売やテクノロジーでは得にくい堀である。ただし東部は貨物の密度が高い反面、橋やトンネル、災害、旅客鉄道との共用で運行が乱れやすく、西部の UNP ほどの利益率を安定して出せていない。
問題は値段である。2026 年の見込み利益(約 37 億ドル)の 25 倍は、回復が完全に実現した後の姿(営業利益率 39〜41%、成熟後の利益ベースの倍率 19.5 倍前後)を先に払っている。10 年後に利益が 2026 年の約 1.5 倍になっても、割り引いた価値は今の値段に届かない。資本効率も、UNP より低い(投下資本利益率 10% 台前半)ことを考えれば、同じ倍率を払うべきでない。
オーナー利益(再投資を引いた後の利益)は、設備投資が年 24 億ドルまで下がる 2026 年は純利益の 8 割あるが、線路の保守に毎年 20 億ドル台が要るので、長期では純利益の 7〜8 割である。事業の確信度は高いが、資本コスト 7.5% の式では今の値段の期待の年率が届かず、安全域が無い。2026 年の見込み利益の 19 倍前後(時価総額 690 億ドル前後)まで下がれば、優良な寡占を妥当な値段で持てる。
何で稼ぐ会社か
売上は貨物の種類で 4 つに分かれる。一般貨物(2025 年 約 88 億ドル、260 万車、売上の 62%)は、化学品・自動車・農産物と肥料・金属・林産物・鉱物・建材などを運ぶ。東部の工場・港・製鉄所と専用線で結ばれた荷主が多く、価格の交渉力は強い。インターモーダル(コンテナ輸送、約 21 億ドル、300 万 unit)は、港と内陸の都市をつなぎ、トラックと争う。石炭(約 19 億ドル、72 万車)は、国内の電力向けと、ボルチモアなどの港からの輸出が半々ほどで、長期では減る。トラック輸送(子会社クオリティ・キャリアーズの化学品タンク輸送、約 8 億ドル)とその他(短距離鉄道・保管料など 約 5 億ドル)は、利益率が低い(セグメント別の営業利益は開示から按分した推定)。
収益の構造は、線路・駅・機関車という固定の資産を持ち、運賃を毎年物価並みに上げながら、運行の効率(営業比率)を改善して利益を出す形である。2022 年に営業比率が 58% まで下がった後、2023〜2025 年に 63% から 68% へ悪化した。原因は、2024 年のハリケーンによるブルーリッジ線の被害(迂回の費用)、ボルチモアのトンネル工事、労務費、運行計画の乱れである。
産業開発(新しい工場・物流拠点を線路でつなぐ営業)は CSX の独自の強みで、約 600 件の案件があり、2026 年に約 100 件が稼働して、満稼働で年に 3 万車台の積み増しになる。課題は、住宅向けの林産物が弱いこと、自動車の生産が 2026 年に約 2% 減る見通しであること、石炭の長期の減少、そして収益が燃料サーチャージで振れる点である。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 に線路そのもので、東部の人口密集地で新たに長距離の線路を引くことは用地・環境・費用で不可能であり、東部の競合は NSC の 1 社しかいない。第 2 に料金で、荷主が鉄道に頼る度合いの高い一般貨物では、規制の上限(STB)の範囲で物価並みの値上げが続いてきた。第 3 に港・工場・専用線とつながるネットワークの密度で、一度つながった荷主は切り替えにくい。
資本効率は、営業利益率 2014 年 28.5% から 2021 年 41.2% まで切り上がったが、2025 年は 33% に戻った。ROE は 22%(自己資本 132 億ドル)、設備投資後の投下資本に対する利益率は 10% 台前半で、西部の UNP(40% 台の営業利益率)より低く、これが CSX の格を決めている。UNP が 40% 前後を保つ一方、CSX は 2023〜2025 年に 4 ポイント以上悪化した。東部は貨物の密度が高い反面、橋・トンネルの高さの制約(今回のトンネル工事で解消)、ブルーリッジ線のような山岳の自然災害、複数の旅客鉄道との線路の共用で、運行が乱れやすい。
弱い所は、数量が伸びないことである(売上は 2014 年 127 億ドルから 2025 年 141 億ドルと、11 年で 1 割増えただけ。成長は値上げが担ってきた)。経営の質は、前任のジョー・ヒンリクスの下で営業比率が悪化し、アクティビスト投資家のアンコラが批判した。エンジェルは費用の見直しで立て直しを進めているが、まだ 1 年足らずの実績である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の貨物鉄道は大手 7 社の寡占で、東部は CSX と NSC、西部は UNP と BNSF(バークシャー・ハサウェイ傘下)、カナダのカナディアン・ナショナル(CN)とカナディアン・パシフィック・カンザスシティ(CPKC)が南北をつなぐ。料金は規制の上限と、競合するトラックの間で決まり、数量は経済全体の貨物量にほぼ連動して年 +1% 前後と低いが、価格は物価並み以上に上がる。
景気の位置は回復の途中である。2023〜2025 年の貨物のリセッション(Cass の支出指数が連続でマイナス)の後、2026 年はトラック運賃が戻りつつあり、燃料の高騰でトラックの採算が悪化して、鉄道へ荷物が移りやすい。CSX の 2026 年 4〜6 月期の数量は +6%(インターモーダル +9%)。一方、住宅は弱く、林産物は -9%、自動車の生産は約 2% 減、石炭の電力向けは 2026 年に 2 つの発電所が閉鎖予定で、長期の下りが続く。
構造の変化は 3 つ。第 1 に合併で、UNP と NSC が合併すると、東西をつなぐ一貫輸送で長距離のトラック貨物を取りにいける(成立は 2027 年半ばの見込み)。BNSF は過去に CSX との合併に関心がないと述べており、CSX は BNSF・CPKC・CN との提携で対抗する道を取っている。第 2 に 2026 年 5 月に開通したハワード・ストリート・トンネルで、二段積みのコンテナが東海岸の北部を通れるようになり、東西の容量が 2 倍、輸送時間が約 1 日短くなる。第 3 に自動運転トラックで、2030 年代に長距離の運賃を下げる可能性がある。
今後 10 年の中立は、業界全体で数量 年 +1%・価格 年 +3.5%(営業比率が 60% 前後へ改善)で、CSX は一般貨物の市場が年 +0.6%、石炭が年 -3%、インターモーダルが年 +2% の置き方にした。
資本政策と M&A
還元は大きい。2023 年は自社株買い 35 億ドル、2024 年 22 億ドル、2025 年 14 億ドルと縮み、配当は 2025 年に約 10 億ドルである。2018〜2025 年に毎年 2〜7% 株数を減らしてきたが、純負債が 187 億ドル(時価総額の 21%)あり、2025 年は設備投資がかさんでフリーキャッシュフローが 17 億ドルと配当と自社株買いの合計を下回った。2026 年は設備投資が 24 億ドル未満(2025 年は約 29 億ドル)に下がり、フリーキャッシュフローは 2025 年の 1.8 倍超になる見通しで、2026 年 5 月に 50 億ドルの新しい自社株買いの枠が報じられた(確認中)。
M&A は、エンジェルの経歴(リンデの会長)と、アンコラが「合併の相手を探すこと」を求めていることから、再編の観測が絶えない。エンジェル自身は「基本の事業を固めて強い立場で再編に入る」「大陸横断の合併は約 3 年かかる」と述べた。CSX の買い手(BNSF の親会社・CPKC・CN)が具体的に動いた事実はなく、買収の上乗せ(プレミアム)は数字に入れていない。借金は借り換えで約 6% になり、利払いは 10 年で約 3 億ドル増える。株式報酬による株の増加は小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2026 年 4〜6 月期の営業利益率 38.3% は、燃料サーチャージが収益の分母を膨らませた状態でも 2024 年の 36.9% を上回っており、2021 年の 41.2% は一度達成した水準である。ブルーリッジ線の復旧とトンネル工事という 2 つの大きな費用要因が終わり、2026 年だけで迂回費用が約 1 億ドル減る。設備投資は 29 億ドルから 24 億ドル未満へ下がり、フリーキャッシュフローは 2025 年の 1.8 倍に増える。エンジェルは、人員を 5% 減らし、機関車の整備と運行計画を見直して営業比率を毎四半期改善している。
数量にも追い風がある。ハワード・ストリート・トンネルで東海岸の北部まで二段積みが通り、BNSF とのインターモーダルの提携、CPKC との SMX で、2026 年の数量は +6%、インターモーダルは +9% と伸びている。産業開発の案件は 2026 年に約 100 件が稼働し、満稼働で年に 3 万車台の積み増しになる。UNP と NSC の合併が成立しても、CSX は BNSF・CN・CPKC との連携で東西の一貫輸送を作り、さらに再編の当事者になれば買収の上乗せも期待できる。10 年で価格要因が 1.41 倍、数量が年 +1.2% 程度、営業利益率が 43〜45% まで改善する楽観の筋書きは、2 つの工事が終わった今、無理のない延長線である。
慎重な見方
2026 年の利益率の回復は、燃料サーチャージで収益が膨らんだ面と、2025 年の費用要因が消えた面の合計であり、これ以上の伸びは別の努力が要る。営業比率は 2022 年の 58% から 2025 年の 68% まで 10 ポイント悪化した実績があり、一度悪化した運行の乱れは、人員を 5% 減らした後の再発で元に戻りやすい。東部の線路は人口密集で、旅客列車(アムトラック・通勤鉄道)と共用し、橋とトンネルが古く、2024 年のハリケーンのような災害の復旧費用も毎年のように発生する。
数量も弱い。2014〜2025 年の売上は 127 億ドルから 141 億ドルと 1 割増えただけで、一般貨物の数量は 2026 年第 1 四半期に横ばい、林産物は -9%、石炭は長期の減少である。住宅は金利 5% で回復せず、自動車は 2026 年に約 2% 減る。UNP と NSC の合併が成立すれば、大陸横断の一貫輸送で西部のコンテナがシカゴを素通りして東海岸まで届き、CSX のインターモーダルと一般貨物のシカゴ接続の価値が下がる。CSX は BNSF に断られた過去があり、再編で買われる期待は確度が低い。
値段も重い。時価総額は 2025 年の純利益の 32 倍、2026 年の見込み利益の 25 倍で、成熟後の利益ベースの 16.8 倍前後と比べて 5 割ほど高い。利益率が 40% に戻っても、倍率が下がるだけで今の値段を割る。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は、費用の山を越えたことと数量の追い風で説得力があるが、その結果として 2026〜2028 年の純利益が 37 億ドルから 40 億ドル台前半へ伸びる中立の筋書きでも、利益ベースの倍率 19.5 倍前後では今の値段に届かない。慎重な見方は、倍率の高さと運行の乱れやすさで強い。確率は、回復が続く筋書き(楽観・やや楽観・中立)に 57%、回復が止まる・東部で押される筋書き(やや悲観)に 26%、構造的な負けの悲観に 17% を置いた。再編の上乗せは数字に入れていない。結論はやや割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 50.97 ドル955 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 17.37 ドル325 億ドル)。 今の値に割り戻すと 36.83 ドル690 億ドル、今との差 −28.7%、 期待の年率 +2.8%(資本コスト 7.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 97.47 ドル1,826 億ドル | 23.81 ドル446 億ドル | +134.7% | +8.9% | 8.49 ドル159 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 75.44 ドル1,413 億ドル | 21.25 ドル398 億ドル | +87.1% | +6.5% | 19.34 ドル362 億ドル |
| 中立 | 30% | 58.70 ドル1,100 億ドル | 19.17 ドル359 億ドル | +50.7% | +4.2% | 23.36 ドル438 億ドル |
| やや悲観 | 26% | 36.14 ドル677 億ドル | 15.64 ドル293 億ドル | +0.2% | +0.0% | 13.46 ドル252 億ドル |
| 悲観 | 17% | 12.05 ドル226 億ドル | 9.61 ドル180 億ドル | −58.1% | −8.3% | 3.68 ドル69 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 50.97 ドル955 億ドル | 17.37 ドル325 億ドル | +32.2% | +2.8% | 68.33 ドル1,280 億ドル |
今の株価時価総額 51.67 ドル968 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:UNP 並みの 45% の利益率と、東海岸のコンテナの取り込み 利益 79 億ドル · PER 23.1 倍 · 株価時価総額 97.47 ドル1,826 億ドル
2035 年、CSX は運行の安定で営業比率 55% 台(営業利益率 45%)を実現し、UNP の 40% 台と並ぶ。一般貨物の市場は年 +1.4%(産業開発と製造業の国内回帰)で、シェアは 16.6% から 17.8% へ上がり、価格は 1.46 倍。インターモーダルは市場が年 +3.3%、シェアは 9.2%(東海岸の北部と南東部の一貫輸送をトンネルと BNSF 提携で取る)。石炭は市場が 15% 縮む。営業利益は 115 億ドル、純利益は 79.1 億ドルと 2025 年の 2.7 倍。UNP と NSC の合併の影響は、CSX が BNSF・CPKC・CN と組んで同じ規模の連合を作ることで抑える。再編の上乗せは入れない。倍率は利益ベースの正当化 PER(上限 23.8 倍)の 9.7 割で 23.1 倍に置いた(時価総額 1,826 億ドル。根拠は multiple.why)。配当と自社株買いは 10 年で約 446 億ドル。
- 一般貨物:数量 610(米国の大手鉄道の一般貨物の収入のプール(億ドル、2025 年価格))× 価格 26.0%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 159 億ドル・営業利益 82 億ドル。市場 610 億ドル × シェア 17.8% × 価格 1.46 倍
- 石炭:数量 94.0(米国の鉄道の石炭収入のプール(億ドル、2025 年価格))× 価格 23.8%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 22 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 94 億ドル × シェア 17.27% × 価格 1.38 倍
- インターモーダル:数量 414(米国の鉄道がトラックと争うコンテナ・トレーラー貨物の対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 12.9%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 53 億ドル・営業利益 19 億ドル。市場 414 億ドル × シェア 9.2% × 価格 1.40 倍
- トラック輸送・その他:数量 230(米国の化学品タンク輸送等と付帯サービスの対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 9.4%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 22 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 230 億ドル × シェア 6.5% × 価格 1.45 倍
倍率:正当化 PER 23.8 倍(g 4.0%・RONIC 24.2%=k 7.50%+残る割合×(事業の ROE 32.6%−k)・moat=strong)に対して 23.1 倍(上限の 9.7 割)に置いた。費用の山を越え東海岸のインターモーダルが伸びて営業比率が 57% 台へ改善する筋書き。g の内訳=鉄道貨物の数量(実質年 1〜1.5%)と運賃の物価(3.5%)並みの上げ。
確率:運行の安定が 10 年続き、トンネル・提携でインターモーダルのシェアが 7.0% から 9.2% へ上がり、一般貨物も産業開発で伸びる必要がある。上位の展開として 7%。
やや楽観 20% やや楽観:営業利益率 43%、東部のシェアを保ち利益は年 5% 台 利益 66 億ドル · PER 21.3 倍 · 株価時価総額 75.44 ドル1,413 億ドル
2035 年、営業利益率は 43%(営業比率 57%)で、2021 年のピーク 41.2% を超える。一般貨物の市場は年 +1.0%、シェアは 17.2%、価格は 1.43 倍。インターモーダルはシェアが 8.3% に上がり、石炭は市場が 20% 縮む。営業利益は 98 億ドル、純利益は 66.3 億ドルと 2025 年の 2.3 倍。UNP と NSC の合併後の連合が強いが、東部の線路の密度で CSX は一般貨物の 8 割を守る。倍率は利益ベースの正当化 PER(上限 23.1 倍)の 9.2 割で 21.3 倍に置いた(時価総額 1,413 億ドル。根拠は multiple.why)。10 年の還元は約 398 億ドル。
- 一般貨物:数量 583(米国の大手鉄道の一般貨物の収入のプール(億ドル、2025 年価格))× 価格 24.6%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 143 億ドル・営業利益 72 億ドル。市場 583 億ドル × シェア 17.2% × 価格 1.43 倍
- 石炭:数量 88.0(米国の鉄道の石炭収入のプール(億ドル、2025 年価格))× 価格 23.5%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 21 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 88 億ドル × シェア 17.27% × 価格 1.36 倍
- インターモーダル:数量 390(米国の鉄道がトラックと争うコンテナ・トレーラー貨物の対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 11.5%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 45 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場 390 億ドル × シェア 8.3% × 価格 1.38 倍
- トラック輸送・その他:数量 220(米国の化学品タンク輸送等と付帯サービスの対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 9.2%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 20 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 220 億ドル × シェア 6.5% × 価格 1.42 倍
倍率:正当化 PER 23.1 倍(g 4.0%・RONIC 21.1%=k 7.50%+残る割合×(事業の ROE 27.9%−k)・moat=strong)に対して 21.3 倍(上限の 9.2 割)に置いた。2026 年の回復が定着し営業利益率が 40% 台に乗る筋書き。g の内訳=鉄道貨物の数量(実質年 1〜1.5%)と運賃の物価(3.5%)並みの上げ。
確率:数量が年 +1.0% で伸び、価格は物価並み、運行の安定で営業利益率が 2021 年のピークを超える筋書き。20%。
中立 30% 中立:名目の成長、営業利益率 41%、倍率は成熟した優良株 利益 56 億ドル · PER 19.5 倍 · 株価時価総額 58.70 ドル1,100 億ドル
2035 年、一般貨物の市場は年 +0.6%、シェアは 16.6% を保ち、価格は 1.41 倍。インターモーダルは市場が年 +2%、シェアは 7.5%、価格は 1.35 倍(トラックとの競争で物価を下回る)。石炭は市場が 25% 縮み、価格は 1.33 倍。営業比率は 59% 前後(営業利益率 41%)で、営業利益は 84 億ドル、純利益は 56.3 億ドル(2026 年の水準から年 4.8%)。UNP と NSC の合併で大陸横断の連合ができても、CSX は BNSF・CPKC との提携でシカゴの接続を保つと見る。倍率は利益ベースの正当化 PER(上限 22.4 倍)の 8.7 割で 19.5 倍に置いた(時価総額 1,100 億ドル。根拠は multiple.why)。配当と自社株買いは 10 年で約 359 億ドル(株式報酬の分を差し引いた正味)。
- 一般貨物:数量 562(米国の大手鉄道の一般貨物の収入のプール(億ドル、2025 年価格))× 価格 23.4%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 132 億ドル・営業利益 63 億ドル。市場 562 億ドル × シェア 16.6% × 価格 1.41 倍
- 石炭:数量 82.0(米国の鉄道の石炭収入のプール(億ドル、2025 年価格))× 価格 23.0%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 19 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 82 億ドル × シェア 17.27% × 価格 1.33 倍
- インターモーダル:数量 366(米国の鉄道がトラックと争うコンテナ・トレーラー貨物の対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 10.1%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 37 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 366 億ドル × シェア 7.5% × 価格 1.35 倍
- トラック輸送・その他:数量 210(米国の化学品タンク輸送等と付帯サービスの対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 9.0%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 19 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 210 億ドル × シェア 6.5% × 価格 1.39 倍
倍率:正当化 PER 22.4 倍(g 4.0%・RONIC 18.6%=k 7.50%+残る割合×(事業の ROE 24.2%−k)・moat=strong)に対して 19.5 倍(上限の 8.7 割)に置いた。線路の堀は本物で営業利益率は 39〜41% まで戻るが、東部の運行の乱れと再編があり上限そのものは置かない(strong の分、上限は高い)。g の内訳=鉄道貨物の数量(実質年 1〜1.5%)と運賃の物価(3.5%)並みの上げ。
確率:議論の落としどころ。数量は一般貨物が年 +0.6%、インターモーダルが年 +2%、石炭は縮む。営業利益率は 41% 前後。30%。
やや悲観 26% やや悲観:東部で押され、営業利益率は 37% 止まり 利益 42 億ドル · PER 16.0 倍 · 株価時価総額 36.14 ドル677 億ドル
2035 年、UNP と NSC の合併は成立し、東西の一貫輸送で長距離のコンテナがシカゴを素通りし、CSX の一般貨物のシェアは 15.7%、インターモーダルは 6.3% に縮む。BNSF が東部の提携を強めて荷主が分散する。価格は物価を下回る 1.37 倍(インターモーダルは 1.30 倍)。運行の乱れで営業利益率は 37% 止まり。営業利益 66 億ドル、純利益 42.2 億ドルと 2025 年の 1.5 倍にとどまる。倍率は利益ベースの正当化 PER(上限 20.7 倍)の 7.8 割で 16.0 倍に置いた(時価総額 677 億ドル。根拠は multiple.why)。10 年の還元は 293 億ドル。
- 一般貨物:数量 546(米国の大手鉄道の一般貨物の収入のプール(億ドル、2025 年価格))× 価格 21.5%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 117 億ドル・営業利益 51 億ドル。市場 546 億ドル × シェア 15.7% × 価格 1.37 倍
- 石炭:数量 77.0(米国の鉄道の石炭収入のプール(億ドル、2025 年価格))× 価格 21.1%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 16 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 77 億ドル × シェア 16.5% × 価格 1.28 倍
- インターモーダル:数量 345(米国の鉄道がトラックと争うコンテナ・トレーラー貨物の対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 8.2%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 28 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 345 億ドル × シェア 6.3% × 価格 1.30 倍
- トラック輸送・その他:数量 204(米国の化学品タンク輸送等と付帯サービスの対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 8.4%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 17 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 204 億ドル × シェア 6.2% × 価格 1.35 倍
倍率:正当化 PER 20.7 倍(g 4.0%・RONIC 14.5%=k 7.50%+残る割合×(事業の ROE 18.0%−k)・moat=strong)に対して 16.0 倍(上限の 7.8 割)に置いた。回復が 2027 年で止まり東部の運行の乱れと再編の費用が出る筋書き。g の内訳=鉄道貨物の数量(実質年 1〜1.5%)と運賃の物価(3.5%)並みの上げ。
確率:UNP と NSC の合併後の連合・BNSF の東部への進出で押され、運行の乱れも繰り返す展開。25 年の費用の悪化の実績を踏まえて 26%。
悲観 17% 悲観:自動運転トラックと連合の圧力で構造的に負ける 利益 22 億ドル · PER 10.1 倍 · 株価時価総額 12.05 ドル226 億ドル
2035 年、構造的に負けている。自動運転トラックが長距離のインターモーダル運賃を下げ、石炭は市場が 45% 縮み、東西の大連合が一般貨物でも東部の荷主を取る。数量は一般貨物の市場が 5% 減り、シェアは 14.0% へ、インターモーダルは 5.0% へ。価格は物価を下回る 1.28 倍(インターモーダルは 1.18 倍)。営業利益率は 30% まで下がる。営業利益 40 億ドル、純利益 22.3 億ドルと 2026 年より大きく減る。倍率は利益ベースの正当化 PER(上限 15.3 倍)の 6.6 割で 10.1 倍に置いた(時価総額 226 億ドル。根拠は multiple.why)。時価総額は自己資本の 0.9 倍にあたる。合併や再編の上乗せは無い。
- 一般貨物:数量 504(米国の大手鉄道の一般貨物の収入のプール(億ドル、2025 年価格))× 価格 17.9%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 90 億ドル・営業利益 33 億ドル。市場 504 億ドル × シェア 14.0% × 価格 1.28 倍
- 石炭:数量 61.0(米国の鉄道の石炭収入のプール(億ドル、2025 年価格))× 価格 17.3%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 11 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 61 億ドル × シェア 15.0% × 価格 1.15 倍
- インターモーダル:数量 300(米国の鉄道がトラックと争うコンテナ・トレーラー貨物の対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 5.9%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 18 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 300 億ドル × シェア 5.0% × 価格 1.18 倍
- トラック輸送・その他:数量 180(米国の化学品タンク輸送等と付帯サービスの対象市場(億ドル、2025 年価格))× 価格 7.0%(CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 13 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 180 億ドル × シェア 5.8% × 価格 1.20 倍
倍率:正当化 PER 15.3 倍(g 4.0%・RONIC 8.6%=k 7.50%+残る割合×(事業の ROE 9.2%−k)・moat=strong)に対して 10.1 倍(上限の 6.6 割)に置いた。自動運転トラックと連合の圧力で構造的に負ける筋書き。g の内訳=鉄道貨物の数量(実質年 1〜1.5%)と運賃の物価(3.5%)並みの上げ。
確率:自動運転トラック・石炭の急減・東西の大連合で、東部の優位が崩れる筋書き。10 年で優良さが崩れる確率として 17%(悲観が 5% 未満ではない)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
一般貨物
化学品・自動車・農産物と肥料・金属・林産物・鉱物・建材などの貨車貨物。専用線で工場・港と結ばれる。
| 数量米国の大手鉄道の一般貨物の収入のプール(億ドル、2025 年価格) | 価格CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 530 | 16.6% | 88 | 33 |
| 10 年後 中立 | 562 | 23.4% | 132 | 63 |
取り方:米国の大手鉄道(7 社)の一般貨物(石炭・コンテナを除く)の収入のプールを約 530 億ドル、CSX のシェアを約 16.6% と置いた(推定)。売上 88 億ドルは 2025 年の一般貨物収入(260 万車、売上の 62%)、営業利益率は約 37%(開示から按分した推定)。売上 = 市場 × シェア × 価格(価格指数は 2025 年 = 1、中立で 10 年 1.41 倍)。競合と照らすと、東部は NSC(同規模の線路網)と争い、西部は UNP・BNSF、南北はカナダの 2 社が握る。CSX は化学・自動車・ガルフ湾から東海岸の工場の荷物に強く、産業開発の積み増しでシェアを守る。
石炭
国内の電力向けと、ボルチモア・ニューポートニューズなどの港からの輸出の石炭。
| 数量米国の鉄道の石炭収入のプール(億ドル、2025 年価格) | 価格CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 110 | 17.3% | 19 | 8 |
| 10 年後 中立 | 82.0 | 23.0% | 19 | 9 |
取り方:米国の鉄道の石炭収入のプールを約 110 億ドル(UNP・BNSF・NSC・CSX・カナダの 2 社の合計の推定)、CSX のシェアを約 17.3% と置いた(推定)。売上 19 億ドル(72 万車)は 2025 年の石炭収入、営業利益率は約 40%(長期契約と、高い単価で利益率が高い。開示から按分した推定)。売上 = 市場 × シェア × 価格。国内の電力向けは発電所の閉鎖で減り(2026 年は 2 か所が閉鎖予定)、輸出は鉄鋼用の石炭と市況に左右される。価格は輸出の市況が不安定で物価に届かないと置いた。競合は NSC(東部)、UNP・BNSF(西部の石炭)。
インターモーダル
港と内陸都市をつなぐコンテナ・トレーラーの輸送。トラックと争う。
| 数量米国の鉄道がトラックと争うコンテナ・トレーラー貨物の対象市場(億ドル、2025 年価格) | 価格CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 300 | 7.0% | 21 | 4 |
| 10 年後 中立 | 366 | 10.1% | 37 | 11 |
取り方:米国の鉄道とトラックが争うインターモーダルの対象市場を約 300 億ドル、CSX のシェアを約 7.0% と置いた(推定)。売上 21 億ドル(300 万 unit)は 2025 年のインターモーダル収入、営業利益率は約 20%(他の事業より低い。開示から按分した推定)。売上 = 市場 × シェア × 価格。競合は BNSF(インターモーダルで最大)、UNP、NSC、そしてトラックで、CSX は 2026 年にハワード・ストリート・トンネルが開通し、BNSF との提携・CPKC との SMX で東海岸の北部と南東部の一貫輸送を広げる。価格はトラック運賃との競争のため物価よりやや低めに置く。
トラック輸送・その他
子会社クオリティ・キャリアーズの化学品タンク輸送、短距離鉄道、保管料・貨車使用料など。
| 数量米国の化学品タンク輸送等と付帯サービスの対象市場(億ドル、2025 年価格) | 価格CSX のシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 200 | 6.5% | 13 | 1 |
| 10 年後 中立 | 210 | 9.0% | 19 | 2 |
取り方:米国の化学品タンク輸送などの対象市場を約 200 億ドル、CSX のシェアを約 6.5% と置いた(推定)。売上 13 億ドルは 2025 年のトラック輸送 約 8 億ドルとその他 約 5 億ドルの合計で、営業利益はほぼ 0(2025 年はのれん減損 1.6 億ドルを含み、これを除くと約 2.3 億ドル)。売上 = 市場 × シェア × 価格。競合は分散していて、化学品タンク輸送では大手トラック会社が争う。利益率は低く、全社の利益の主役ではない。
リスクと懸念
東部の運行の乱れが戻る
営業比率は 2022 年の 58% から 2025 年の 68% まで 10 ポイント悪化した。2026 年は人員を 5% 減らして改善したが、橋・トンネル・旅客列車との共用・山岳の線路が多い東部では、運行の乱れが戻ると費用が増え、荷主もトラックへ逃げる。
災害・設備の復旧費用
2024 年のハリケーンはブルーリッジ線を長期間止め、迂回の費用が膨らんだ。2026 年はこれが約 1 億ドル減るが、東部の山岳・河川沿いの線路は同じ災害が再び起きうる。トンネルなど大型の工事も 2025 年の設備投資を約 29 億ドルに押し上げた。
UNP と NSC の合併で東部に連合が生まれる
成立すれば 4.3 万マイル超の大陸横断の一貫輸送ができ、西部のコンテナがシカゴを素通りして東海岸まで届く。CSX は BNSF・CPKC・CN との提携で対抗するが、一貫輸送の品質と料金で負ければ、インターモーダルと一般貨物の双方のシェアが下がる。
数量が伸びない・住宅と自動車の弱さ
売上は 2014〜2025 年に 127 億ドルから 141 億ドルと 1 割増えただけで、成長は値上げが担ってきた。林産物は 2026 年第 1 四半期に -9%、自動車の生産は 2026 年に約 2% 減る。石炭は発電所の閉鎖で長期に減る。
燃料サーチャージで収益と利益率が振れる
2026 年の営業収益 +10% の大部分は燃料サーチャージで、利益率の分母を膨らませる一方、燃料の費用は営業比率を約 1.6 ポイント押し下げる(会社の説明)。原油が下がると収益が減り、利益率の見かけは上がるが、利益の絶対額は読みにくい。
料金の規制と荷主の反発
STB は料金の上限と競争の確保の権限を持つ。荷主団体は 2025〜2026 年の合併審理で、料金の上限や強制開放を求めている。物価並みの値上げの力(価格 1.41 倍)が削られると、営業利益率の回復が止まる。
今の倍率と回復の織り込み
PER 32 倍(2025 年の利益)・25 倍(2026 年の見込み)は、成熟後の 19.5 倍前後(利益ベースの上限の 8.7 割)を 3〜6 割上回る。利益率が 40% に戻っても倍率が下がるだけで今の値段を割るので、回復が遅れると下げが大きい。
今後の分かれ目
- 営業比率が 2027 年も毎四半期 60% 台前半を保つ
- 営業利益率 40% 前後の筋書き(やや楽観・中立)の確率を上げる。2026 年の改善が一時の要因でなかったと確認できる。
- 営業比率が 63% を超えて悪化に戻る
- やや悲観に近づく。運行の乱れや災害の復旧費用が再発したことを意味し、10 年の営業利益率 37% の筋書きの確率を上げる。
- UNP と NSC の合併が 2027 年に STB に条件付きで承認される
- 東部に連合が生まれ、CSX の一般貨物・インターモーダルのシェアが下がるリスクが高まる。同時に CSX が再編の当事者になる可能性も出るが、買収の上乗せは数字に入れていない。
- STB が UNP と NSC の合併を却下する
- 東部の競争は今のまま。CSX の悲観の確率(連合に押される筋書き)を下げ、中立の確率を上げる。
- CSX が BNSF・CN・CPKC のいずれかと合併・提携を発表する
- 数字は単独で書いているので変わらない。成立後は相手の利益・新株を足して書き直す。買収の上乗せがある場合は筋書きを分けて確率を置く。
- インターモーダルの数量がトンネル開通後(2026 年 5 月以降)に年 +8% 以上で続く
- インターモーダルのシェア 7.5〜9% の筋書きの確率を上げ、楽観・やや楽観を厚くする。
- 自動運転トラックが 2030 年前に長距離の運賃を下げ始める
- 10 年の悲観(構造的な負け)の確率を上げ、インターモーダルの価格・シェアを下げる。
見ておくもの
- 営業比率(四半期ごと。2026 年 4〜6 月期 61.7%)と燃料サーチャージを除く収入の伸び
- インターモーダルの数量とトンネル・BNSF・CPKC 提携の新サービスの立ち上がり
- 2026-10-21 の第 3 四半期決算と 2026 年通期の見通し(売上の伸び・営業利益率の改善幅・フリーキャッシュフロー)
- UNP と NSC の合併の STB 審理の日程と条件、CSX の対応(提携・再編)
- 純負債・格付けと自社株買いの再開(50 億ドルの枠)
- 産業開発の稼働件数(2026 年に約 100 件)と一般貨物の数量(林産物・自動車・化学)
倍率と資本コストの決め方
今の PER 32 倍(2025 年)・25 倍(2026 年の見込み)を見る前に、4 つのセグメントで市場 × シェア × 価格を積み、先に営業利益と純利益を出した。倍率は利益ベースの正当化 PER((1−g÷RONIC)÷(k−g)、k 7.5%、g は上限の 4%、RONIC=k+2/3×(事業の ROE−k)、moat=strong)の内側に、上限の 7〜10 割(10 年の中立は上限 22.4 倍の 8.7 割で 19.5 倍)で置いた。線路網は新設できず規制下の寡占なので強い堀(残る割合 2/3)としたが、東部の運行の乱れと再編があり、上限すれすれにはしていない。k は景気の振れ(cycle +0.25%)、値上げの強さ(pricing −0.5%)、借金(debt +0.25%)、寿命(life −0.5%)で quality を −0.5% とした(強い堀の下げの上限)。市場の伸びは数量(実質年 1〜1.5%)と価格 年 +3.5% で、g の内訳に書いた。回復で利益率が 40% 前後に戻る筋書きにも 57% の確率を置き、悲観に寄せていない。再編の上乗せ(BNSF・CPKC・CN による買収)は、確かな動きがないため数字に入れていない。確率は業界の見方から決め、帳尻合わせはしていない。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality −0.5%(強い堀の下げの上限)。借金の重さは quality の debt で見た。個別のリスク(合併の再編・労使・規制)は k に足さず、筋書きと確率で表す。