結論
デルタ航空は、アトランタ・デトロイト・ニューヨーク・ソルトレークシティなどのハブから国内と国際を結ぶ、米国で最も利益率の高い大手航空会社である。2025 年の調整後売上は 583 億ドル、営業利益は 58 億ドル、GAAP の純利益は 50 億ドルだが、純利益には出資先(エールフランス KLM など)の評価益が入っており、実力は調整後の 1 株利益から逆算して約 38 億ドルとみる。2026 年はイラン情勢でジェット燃料が 1 ガロン 3.6〜4.3 ドルへ急騰し(2025 年は約 2.4 ドル)、通期の燃料費は 60 億ドル増えて税引き前利益が約 45 億ドル、純利益は 30 億ドル前後に落ちる。
航空は景気・燃料・労務費で利益が大きく振れる。山の年の利益に倍率を掛けず、景気の山と谷を平均した「ならした利益」と、悲観の確率とひどさで価値を表した。伸びは座席マイル(市場の座席供給 × シェア)× 1 マイルあたり収入で組み、メイン席・プレミアム席・アメックス提携収入に分けた。10 年後のならした営業利益率は 9.5%(山の年 12% 台、不況や燃料高の年は赤字を含めて平均)、純利益は 70 億ドル、中立の時価総額は約 760 億ドル(純利益 70 億ドル × PER 10.8 倍)。
バリュー投資の観点では、プレミアムと提携カードという堀は本物だが、航空は資本の重い商売で、燃料と景気に利益を握られる。悲観を 12〜13%、やや悲観を 2 割置くと、期待値は今の時価総額(493 億ドル)を 1 割弱下回り、適正に出る。確信度は中程度。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、航空は「10 年後にも存在し、今より強いか」と「株主に残る利益はいくらか」の 2 点で厳しく見る。デルタは 10 年後にも存在し、プレミアムと提携カードの堀は今より広がる公算が高い。ただし航空は、機材・燃料・人件費の 3 つの費用が利益を決め、いずれも自社で価格を決められない。堀があっても、利益の大半は設備投資と賃金に消える。そこでオーナー利益は、ならした純利益 38〜40 億ドルから、機体の更新に要る設備投資のうち維持分(減価償却を超える分を除く)を差し引いて見る。2025 年の FCF は 46 億ドルで、純利益より多いが、2026 年は燃料高と設備投資で 25 億ドルに落ちる。
資本配分は借金の返済を優先しており、買収で価値を壊す危険は低い。自社株買いは割高なときに買わず、止めたのは評価できる。年金が黒字なのも健全。一方、リース債務を含めた純負債は時価総額の 3 割を超え、不況の年は利益が消えて負債が重くなる。航空は景気・燃料・事故・感染症という外から来る衝撃に弱く、わからない部分が大きい。
安全域は、悲観(リーマン級で 7 割下落)まで見込んで確率で厚く置いた。山の年の利益に倍率を掛ければ割安に見えるが、それは罠である。ならした利益に利益ベースの倍率を掛け、さらに悲観の確率を 25% 置いても今の値段を上回る場合に限り、割安と見る。今回はその条件を満たさず、適正と見る。
何で稼ぐ会社か
売上は 4 つの塊に分けて見る。第一はメイン席(エコノミー)の運賃で調整後売上の約 4 割(約 233 億ドル、推定)。第二はファースト・デルタコンフォート+・プレミアムセレクトなどのプレミアム席で約 38%(約 220 億ドル、推定)。座席の約 25% で売上の約 4 割弱を稼ぎ、2027 年にメイン席を超えると会社は言っている。第三はアメリカン・エキスプレス(アメックス)の提携カード収入(2025 年 82 億ドル、前年比 +11%、数年で 100 億ドルが目標)。デルタがマイルをアメックスに売る形で、航空運賃と違って景気や燃料の影響を受けにくく、ほぼ全額が利益になる。第四は貨物・整備(MRO)・旅行商品などの多角化収入(約 48 億ドル)。会社は、プレミアム・提携収入・貨物・整備・旅行商品を合わせた「多角化収入」が売上の 60%(2026 年 7〜9 月期は 61%)になったと説明している。
このほか、2012 年に買ったペンシルベニア州のモンロー製油所(日量約 20 万バレル)が燃料の一部を自給し、余った製品を第三者に売る。GAAP の売上 634 億ドルにはこの販売 約 51 億ドルが入るが、利益はほぼ 0 である。費用の構成は燃料が約 3 割(2025 年)、人件費が約 3 割強。人件費は 2023 年のパイロット契約で上がり、2026 年末にまた改定を迎える。
数量は座席マイル(ASM)で、2025 年は約 2,960 億。米国の航空会社の座席マイル約 1 兆 4,600 億のうち約 20%(推定)。国内の座席シェアはデルタ 17.8%・アメリカン 17.4%・サウスウエスト 17.0%・ユナイテッド 16.7%(2025 年 2 月〜2026 年 1 月、BTS)と拮抗しており、デルタの優位はシェアでなく 1 席あたりの収入と利益率にある。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第一はハブ空港の発着枠・ゲートの確保(アトランタ・ニューヨークのジョン・F・ケネディ・ラガーディア・ロサンゼルス・ボストンなど)。新規が入れず、混雑空港で上位の地位が続く。第二はプレミアム席の需要とブランド。高所得層と企業の出張はデルタに集まり、定時運航と客室の質でユナイテッドと並ぶ上位 2 社を成す。第三はスカイマイルとアメックス提携カードで、会員が囲い込まれ、提携収入は景気に強い。モンロー製油所は燃料高の緩衝になるが、利幅が縮めば赤字にもなる。
弱いところもはっきりしている。航空は資本が重く、1 機の価格が 1 億ドル前後で、設備投資は 2025 年 43 億ドル、2026 年は 55 億ドル。ROIC は会社の数字で 11% 前後と、資本コストをやや上回る程度。過去 20 年に、破産申請(2005 年)、営業利益率がほぼ 0 の年(2008 年)、営業赤字の年(2020〜21 年)がある。人件費は組合の力が強く、2026 年末に改定できるパイロット契約と、乗務員の組合化の動きが費用の上振れ要因。運賃は競合との比較で決まり、1 社だけ価格を決める力があるわけではない。
経営は借金の返済を最優先にして純負債を 2021 年のピーク 232 億ドルから 158 億ドルまで絞り、投資適格を回復した(フィッチは BBB)。総レバレッジは 2.2 倍で、長期目標は 1.0 倍。資本効率の良さは、優良な航空会社の中でのものであり、鉄道やソフトウェアのような優良さとは別の水準だと見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の航空は、国内の座席の約 8 割(推定)をデルタ・ユナイテッド・アメリカン・サウスウエストの 4 社が握る。2026 年は、イラン情勢で原油(ブレント 110 ドル前後)とジェット燃料(1 バレル 150〜180 ドル)が急騰し、世界の航空会社の純利益見通しは 410 億ドルから 230 億ドルに下方修正された(IATA、純利益率 2.0%)。ユナイテッドも燃料高の 8〜10 割を運賃へ転嫁する構えで、各社が同じ向きに動く。デルタの 7〜9 月期は座席が横ばいのまま単位収入が +15% 伸び、営業利益率は 9.4%(前年 11.1%)に下がった。
供給は絞られている。機材の受注残は世界で約 1 万 8 千機、整備士・乗務員も不足し、座席の供給が伸びにくい。そのため運賃は支えられ、中立の置き方は座席の供給が実質で年 +1.5%、運賃は物価並みから実質の低下を引いた分とした。構造の変化はプレミアム化(座席の一部を高単価席へ置き換え)と提携カードで、デルタ・ユナイテッドが先行し、アメリカンが追う。サウスウエストは全席自由から指定席・有料手荷物へ転換中で、国内の低運賃の競争を変える。
循環の位置は、運賃が燃料高を回収する途中。デルタの 10〜12 月期見通し(売上 +20%、営業利益率 7〜9%、燃料 1 ガロン約 4.25 ドル)は、回収の遅れで利益が山より低い。ウルトラ LCC(スピリットなど)の淘汰が進めば、国内の運賃競争は和らぐ。ビジネス需要の恒久的な減少、燃料の再高騰、不況の 3 つが構造的な下振れ要因。パイロット契約(2026 年末に改定可能)と乗務員の組合化は、2027〜29 年の費用を決める。
資本政策と M&A
資本配分の第一は借金の返済。2025 年に 26 億ドル、2026 年は 20 億ドル超を返し、調整後純負債は 134 億ドル(2025 年末より 9.5 億ドル減)、総レバレッジは 2.2 倍から長期目標の 1.0 倍へ。brief.py の純有利子負債 158 億ドルはリース債務を含む広い定義で、本書はこちらで見る。3 年累計の FCF は 100 億ドル超の見込みで、設備投資が 2026 年に 55 億ドル(機材 約 50 機)と大きい。
株主還元は小さく、配当は年 4 億ドル程度、自社株買いは 2022 年以降ほぼ止まり、株数は株式報酬でやや増えている(2025 年は +1.1%)。会社は「レバレッジが下がるほど還元を増やす」と言うが、燃料高で FCF が 25 億ドル(当初の 30〜40 億ドルから減)に落ちたため、再開は 2027 年以降になる。筋書きの還元(payout)は配当と自社株買いから株式報酬で増えた株の分を引いた正味で置いた。
M&A は小さな出資(エールフランス KLM・LATAM・大韓航空・ヴァージン アトランティックなど)が中心で、買収で価値を壊す危険は低い。出資先の評価益が GAAP の純利益を大きく動かす(2025 年の GAAP 純利益 50 億ドルと調整後の差 約 12 億ドルは主に評価益など)ので、実力の純利益は 38 億ドルと見た。年金は 30 億ドルの黒字で、積立不足の計画は 0.6 億ドル規模にとどまる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
デルタの価値は、運賃が燃料高に追いつく速さと、プレミアム化の恒久性で決まる。2026 年 7〜9 月期は、座席が横ばいのまま単位収入が +15.4% 伸び、プレミアム席が +18%、提携収入が +15%、貨物・整備が +約 30% と、収入の質が変わったことを数字で示した。燃料が 60% 上がっても税引き前利益はほぼ横ばい(15 億ドル)で、運賃への転嫁が機能している。モンロー製油所は 2026 年に 7 億ドル超の利益を足す。機材の受注残が約 1 万 8 千機、整備士・乗務員の不足で座席の供給が絞られるので、燃料が下がっても運賃は戻らない。
アメックス提携は 2025 年 82 億ドルから 2026 年 90 億ドル超、数年で 100 億ドルへ。ほぼ全額が利益で、景気にも燃料にも強い。2027〜29 年に営業利益率 10 台半ばという会社の目標が実現すれば、中立の 9.5% は保守的で、ROE は 20% に届く。純負債の返済が進み(総レバレッジ 2.2 倍から 1.0 倍へ)、返済が終われば還元を増やせる。航空の中でデルタは、アメリカンやサウスウエストより明確に一段上で、ユナイテッドと並ぶ上位 2 社が利益を取る構造は続く。
慎重な見方
航空は景気・燃料・労務の 3 つで利益が簡単に消える商売で、2026 年がその実例である。燃料が 60 億ドル増えただけで、通期の調整後 1 株利益の見通しは 2 割以上切り下がり、税引き前利益は約 45 億ドルになった。営業利益率 10 台半ばの目標を過去 5 年に 1 度も達成していないのに(2015 年の 20% は燃料が安かった年)、ならした値として置くのは楽観にすぎる。k 9% の式を使っても、ならした利益に 10 倍台の PER を掛けるのは、航空の利益の振れを考えると甘い。
2026 年末にパイロット契約が改定でき、乗務員の組合化の動きもあり、非燃料の単位費用は 7〜9 月期に +7.3% 上がった。設備投資は 55 億ドルと大きく、FCF は 25 億ドルまで落ちる。アメリカンとサウスウエストが値引きで座席を埋めれば、メイン席の運賃は実質で下がり続ける。リース債務を含む純負債 158 億ドルは時価総額の 3 割を超え、次の不況で簡単に重くなる。株価はリーマンで 76%、コロナで 57% 下がった。
どちらに重みを置いたか
プレミアム席と提携収入で収入の質が変わったという強気の見方の根拠は数字で確かめられる。一方、航空が資本コストをはるかに上回る利益を 10 年続けた例はほとんどなく、慎重な見方の指摘(燃料・賃金・景気)は構造的である。そこでならした営業利益率は会社の目標より低い 9.5% に置き、確率は中立 36%、上の 2 筋書きで 30%、下の 2 筋書きで 34%(うち悲観 13%)と、悲観側をやや厚くした。倍率を利益ベースの上限の内側に置くと、期待値は今の値段を 1 割弱下回り、結論は適正。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 113.46 ドル742 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 30.99 ドル203 億ドル)。 今の値に割り戻すと 68.07 ドル445 億ドル、今との差 −14.1%、 期待の年率 +6.2%(資本コスト 9.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 249.80 ドル1,634 億ドル | 55.05 ドル360 億ドル | +284.6% | +14.4% | 24.39 ドル159 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 174.11 ドル1,139 億ドル | 42.81 ドル280 億ドル | +173.7% | +10.6% | 47.72 ドル312 億ドル |
| 中立 | 36% | 115.98 ドル759 億ドル | 30.58 ドル200 億ドル | +84.9% | +6.3% | 52.76 ドル345 億ドル |
| やや悲観 | 21% | 56.51 ドル370 億ドル | 19.88 ドル130 億ドル | −3.6% | −0.4% | 16.04 ドル105 億ドル |
| 悲観 | 13% | 11.93 ドル78 億ドル | 15.29 ドル100 億ドル | −65.7% | −10.1% | 3.54 ドル23 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 113.46 ドル742 億ドル | 30.99 ドル203 億ドル | +82.3% | +6.2% | 144.45 ドル945 億ドル |
今の株価時価総額 79.26 ドル518 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:プレミアム席が座席の 3 分の 1 になり、利益率 13% 台が定着 利益 120 億ドル · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 249.80 ドル1,634 億ドル
プレミアム席(ファースト・コンフォート+・プレミアムセレクト)が座席の 33% に増え、売上の 4 割を超える。会員制の仕組みとアメックスの提携カードがさらに太り、提携収入は 190 億ドル(取扱高が実質で 65% 増え、還元率 5% を保つ)。座席マイルは 3,760 億で、市場の座席供給(年 +1.7%)を上回りシェアが 20.3% から 21.8% に上がる。ウルトラ LCC が消え、国内の弱い会社の撤退でデルタとユナイテッドの 2 社が利益の大半を取る。調整後売上 1,180.0 億ドル、営業利益 159.0 億ドル(13.5%)、純利益 120.0 億ドル。会社が掲げる 2027〜29 年の営業利益率 10 台半ばが、10 年にわたり定着する姿。
- メイン席(エコノミー)旅客:数量 2,519(座席マイル(億 ASM)= 市場の座席供給 × デルタのシェア × メイン席の割合)× 価格 0.15(1 マイルあたり収入(億ドル/億 ASM)。物価指数 × 実質の運賃変化)→ 売上 373 億ドル・営業利益 −3 億ドル。市場 17,281.0 億ASM(年 +1.7%)×デルタのシェア 21.8% ×メイン席の割合 67%・物価指数 1.41・実質の運賃変化 1.00
- プレミアム席旅客:数量 1,241(座席マイル(億 ASM)= 市場の座席供給 × シェア × プレミアム席の割合)× 価格 0.42(1 マイルあたり収入。物価指数 × 実質の運賃変化(座席が増える分の希薄化を含む))→ 売上 520 億ドル・営業利益 69 億ドル。市場 17,281.0 億ASM(年 +1.7%)×デルタのシェア 21.8% ×プレミアム席の割合 33%・物価指数 1.41・実質の運賃変化 1.00
- アメックス提携・ロイヤルティ:数量 2,700(提携カードの取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 0.07(還元率(取扱高に対する提携収入の割合)× 物価指数)→ 売上 190 億ドル・営業利益 99 億ドル。カード取扱高(実質)2,700 億ドル×還元率 5%×物価指数 1.41
- 貨物・整備・その他:数量 3,760(座席マイル(億 ASM))× 価格 0.03(1 マイルあたりのその他収入。物価指数 × 実質の伸び)→ 売上 96 億ドル・営業利益 10 億ドル。座席マイル 3,760 億 ×1 マイルあたり収入(物価指数 1.41・実質 1.12)
- 製油所(第三者向け販売):数量 19.0(第三者向け販売量(億ガロン))× 価格 3.78(1 ガロンあたり販売単価(ドル)。物価指数 × 燃料の実質)→ 売上 72 億ドル・営業利益 0 億ドル。第三者向け販売 19 億ガロン×単価(物価指数 1.41・燃料の実質 1.00)。利益ほぼ 0
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 23.6%(この筋書きの純利益 120.3 ÷ 自己資本 510 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 9.0%(基本 8.0% + quality +1.0%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 16.3%(堀は普通:ハブ空港の発着枠とプレミアム・提携カードは強いが、運賃は競争で決まり機材・燃料・賃金で利益が削られる)。g は 4.0%(座席マイルの需要(市場)の実質 年 +1.5% 前後 × シェア微増 × 1 マイル収入(物価 3.5% に対し運賃は実質で伸びが鈍い)。上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=15.1 倍に対し、90% の 13.6 倍に置いた(プレミアム化が定着する筋書きなので上限の近くに置く)。時価総額=純利益 120.3 億ドル × 13.6 倍=1634 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:プレミアム化が全社の利益率を恒久的に押し上げる場合。条件が多いので 8%。
やや楽観 22% やや楽観:プレミアムと提携収入で営業利益率 11% 台 利益 94 億ドル · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 174.11 ドル1,139 億ドル
プレミアム席が座席の 31.5%、売上の 4 割強になり、提携収入が 176 億ドルに伸びる。座席マイルは 3,650 億(シェア 21.3%)。燃料は物価並みに上がるが転嫁でき、非燃料の費用はほぼ物価並み。ユナイテッドとの 2 社で国内の高単価の需要を押さえ、サウスウエストの指定席化は下位の市場にとどまる。調整後売上 1,102.0 億ドル、営業利益 127.0 億ドル(11.5%)、純利益 94.0 億ドル。10 年目の純利益の伸びは年 +4% 台で、g の 4.0% は市場の座席供給 +1.6% とシェアの微増、運賃の物価並みから実質 -1% を引いた分の合計。メイン席の運賃は実質で 3% 下がるが、プレミアム席の運賃はほぼ保たれる。デルタ・ユナイテッドの 2 社が高単価の需要を取り、アメリカンはその下に回る。
- メイン席(エコノミー)旅客:数量 2,500(座席マイル(億 ASM)= 市場の座席供給 × デルタのシェア × メイン席の割合)× 価格 0.14(1 マイルあたり収入(億ドル/億 ASM)。物価指数 × 実質の運賃変化)→ 売上 359 億ドル・営業利益 −10 億ドル。市場 17,112.0 億ASM(年 +1.6%)×デルタのシェア 21.3% ×メイン席の割合 68%・物価指数 1.41・実質の運賃変化 0.97
- プレミアム席旅客:数量 1,150(座席マイル(億 ASM)= 市場の座席供給 × シェア × プレミアム席の割合)× 価格 0.42(1 マイルあたり収入。物価指数 × 実質の運賃変化(座席が増える分の希薄化を含む))→ 売上 477 億ドル・営業利益 54 億ドル。市場 17,112.0 億ASM(年 +1.6%)×デルタのシェア 21.3% ×プレミアム席の割合 32%・物価指数 1.41・実質の運賃変化 0.99
- アメックス提携・ロイヤルティ:数量 2,500(提携カードの取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 0.07(還元率(取扱高に対する提携収入の割合)× 物価指数)→ 売上 176 億ドル・営業利益 88 億ドル。カード取扱高(実質)2,500 億ドル×還元率 5%×物価指数 1.41
- 貨物・整備・その他:数量 3,650(座席マイル(億 ASM))× 価格 0.02(1 マイルあたりのその他収入。物価指数 × 実質の伸び)→ 売上 90 億ドル・営業利益 9 億ドル。座席マイル 3,650 億 ×1 マイルあたり収入(物価指数 1.41・実質 1.08)
- 製油所(第三者向け販売):数量 19.0(第三者向け販売量(億ガロン))× 価格 3.86(1 ガロンあたり販売単価(ドル)。物価指数 × 燃料の実質)→ 売上 73 億ドル・営業利益 0 億ドル。第三者向け販売 19 億ガロン×単価(物価指数 1.41・燃料の実質 1.02)。利益ほぼ 0
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 19.0%(この筋書きの純利益 93.8 ÷ 自己資本 494 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 9.0%(基本 8.0% + quality +1.0%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 14.0%(堀は普通:ハブ空港の発着枠とプレミアム・提携カードは強いが、運賃は競争で決まり機材・燃料・賃金で利益が削られる)。g は 4.0%(座席マイルの需要(市場)の実質 年 +1.5% 前後 × シェア微増 × 1 マイル収入(物価 3.5% に対し運賃は実質で伸びが鈍い)。上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=14.3 倍に対し、85% の 12.1 倍に置いた(プレミアムと提携収入が費用高を上回る筋書き)。時価総額=純利益 93.8 億ドル × 12.1 倍=1139 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:プレミアム・提携収入の伸びが費用高を上回る展開。2 割強。
中立 36% 中立:ならした営業利益率 9.5%、プレミアムが主役になる普通の優良航空会社 利益 70 億ドル · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 115.98 ドル759 億ドル
市場の座席供給は実質で年 +1.5%(米国は成熟、機材・管制・乗務員で制約)、デルタのシェアは 20.3% から 21.0% へ。座席マイルは 3,557 億。プレミアム席は座席の 30%・売上の約 42%(434 億ドル)で、メイン席(350 億ドル)を上回る(会社は 2027 年にプレミアムがメイン席を超えると言っている)。メイン席は運賃が実質で 5% 下がる(低運賃の競争は続く)。提携収入は取扱高が実質で年 +3.4% 伸び 162 億ドル。調整後売上 1,031.0 億ドル、営業利益 98.0 億ドル。ならした営業利益率は 9.5%(山の年 12% 台、燃料高や不況の年は 3〜5% 台を平均した値)で、会社の 10 台半ばより低い。純利益 70.0 億ドルは、2025 年の実力(約 38 億ドル)の 1.8 倍(年 +6.3%)。
- メイン席(エコノミー)旅客:数量 2,490(座席マイル(億 ASM)= 市場の座席供給 × デルタのシェア × メイン席の割合)× 価格 0.14(1 マイルあたり収入(億ドル/億 ASM)。物価指数 × 実質の運賃変化)→ 売上 350 億ドル・営業利益 −16 億ドル。市場 16,944.0 億ASM(年 +1.5%)×デルタのシェア 21.0% ×メイン席の割合 70%・物価指数 1.41・実質の運賃変化 0.95
- プレミアム席旅客:数量 1,067(座席マイル(億 ASM)= 市場の座席供給 × シェア × プレミアム席の割合)× 価格 0.41(1 マイルあたり収入。物価指数 × 実質の運賃変化(座席が増える分の希薄化を含む))→ 売上 434 億ドル・営業利益 41 億ドル。市場 16,944.0 億ASM(年 +1.5%)×デルタのシェア 21.0% ×プレミアム席の割合 30%・物価指数 1.41・実質の運賃変化 0.97
- アメックス提携・ロイヤルティ:数量 2,300(提携カードの取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 0.07(還元率(取扱高に対する提携収入の割合)× 物価指数)→ 売上 162 億ドル・営業利益 78 億ドル。カード取扱高(実質)2,300 億ドル×還元率 5%×物価指数 1.41
- 貨物・整備・その他:数量 3,557(座席マイル(億 ASM))× 価格 0.02(1 マイルあたりのその他収入。物価指数 × 実質の伸び)→ 売上 85 億ドル・営業利益 9 億ドル。座席マイル 3,557 億 ×1 マイルあたり収入(物価指数 1.41・実質 1.05)
- 製油所(第三者向け販売):数量 19.0(第三者向け販売量(億ガロン))× 価格 3.97(1 ガロンあたり販売単価(ドル)。物価指数 × 燃料の実質)→ 売上 76 億ドル・営業利益 0 億ドル。第三者向け販売 19 億ガロン×単価(物価指数 1.41・燃料の実質 1.05)。利益ほぼ 0
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 14.5%(この筋書きの純利益 70.1 ÷ 自己資本 483 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 9.0%(基本 8.0% + quality +1.0%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 11.8%(堀は普通:ハブ空港の発着枠とプレミアム・提携カードは強いが、運賃は競争で決まり機材・燃料・賃金で利益が削られる)。g は 4.0%(座席マイルの需要(市場)の実質 年 +1.5% 前後 × シェア微増 × 1 マイル収入(物価 3.5% に対し運賃は実質で伸びが鈍い)。上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=13.2 倍に対し、82% の 10.8 倍に置いた(中立は上限の 8 割台。航空は資本が重く、新しい資本の稼ぎは先で薄れる)。時価総額=純利益 70.1 億ドル × 10.8 倍=758 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:ならした利益率 9.5%(山の年 12%、谷の年は赤字を平均した値)で、中立。最も確率が高い。
やや悲観 21% やや悲観:運賃競争と人件費で利益率 6%、堀が狭まる 利益 35 億ドル · PER 10.6 倍 · 株価時価総額 56.51 ドル370 億ドル
ウルトラ LCC の復活、アメリカンとサウスウエストの値引き、パイロットと乗務員の賃金(組合化の動き)が重なり、ならした営業利益率が 6% に落ちる。座席マイルは 3,420 億(シェア 20.8%)、プレミアム席は 28%。メイン席の運賃は実質で 1 割下がり、プレミアム席も 7% 下がる。提携収入は 145 億ドルで利益を支えるが、全体は薄い。調整後売上 924.0 億ドル、営業利益 55.0 億ドル、純利益 35.0 億ドル。機材の更新(年 55 億ドルの設備投資)が利益を食い、ROE は 9% 前後。
- メイン席(エコノミー)旅客:数量 2,462(座席マイル(億 ASM)= 市場の座席供給 × デルタのシェア × メイン席の割合)× 価格 0.13(1 マイルあたり収入(億ドル/億 ASM)。物価指数 × 実質の運賃変化)→ 売上 328 億ドル・営業利益 −27 億ドル。市場 16,450.0 億ASM(年 +1.2%)×デルタのシェア 20.8% ×メイン席の割合 72%・物価指数 1.41・実質の運賃変化 0.90
- プレミアム席旅客:数量 958(座席マイル(億 ASM)= 市場の座席供給 × シェア × プレミアム席の割合)× 価格 0.39(1 マイルあたり収入。物価指数 × 実質の運賃変化(座席が増える分の希薄化を含む))→ 売上 373 億ドル・営業利益 22 億ドル。市場 16,450.0 億ASM(年 +1.2%)×デルタのシェア 20.8% ×プレミアム席の割合 28%・物価指数 1.41・実質の運賃変化 0.93
- アメックス提携・ロイヤルティ:数量 2,050(提携カードの取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 0.07(還元率(取扱高に対する提携収入の割合)× 物価指数)→ 売上 145 億ドル・営業利益 65 億ドル。カード取扱高(実質)2,050 億ドル×還元率 5%×物価指数 1.41
- 貨物・整備・その他:数量 3,420(座席マイル(億 ASM))× 価格 0.02(1 マイルあたりのその他収入。物価指数 × 実質の伸び)→ 売上 78 億ドル・営業利益 8 億ドル。座席マイル 3,420 億 ×1 マイルあたり収入(物価指数 1.41・実質 1.00)
- 製油所(第三者向け販売):数量 19.0(第三者向け販売量(億ガロン))× 価格 4.24(1 ガロンあたり販売単価(ドル)。物価指数 × 燃料の実質)→ 売上 81 億ドル・営業利益 0 億ドル。第三者向け販売 19 億ガロン×単価(物価指数 1.41・燃料の実質 1.12)。利益ほぼ 0
倍率:事業の ROE 8.7% は k 9.0%(基本 8.0% + quality +1.0%)以下なので、ためた利益は額面を割る価値で、正当化 PER は 1÷k=11.1 倍まで。95% の 10.6 倍に置いた(運賃競争と人件費で利益率が 6% に落ちる姿。ROE が k に届かないので 1÷k の近くまで)。時価総額=純利益 35.0 億ドル × 10.6 倍=370 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:運賃競争(ウルトラ LCC の復活・アメリカンの巻き返し)と人件費の上昇で利益率が 6% に落ちる。2 割。
悲観 13% 悲観:構造的に負ける(運賃競争・費用高・需要減)で優良でなくなる 利益 8 億ドル · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 11.93 ドル78 億ドル
燃料高が運賃に転嫁できない年が続き(ホルムズ海峡のような供給不安は 10 年のどこかで再発する)、ビジネス需要がオンライン会議で恒久的に減り、ウルトラ LCC が運賃を押し下げ、組合の賃金が上がる。デルタはプレミアム・ロイヤルティの堀を保てず、座席マイルは 3,150 億(シェア 19.9%)、メイン席の運賃は実質 18% 減、プレミアム席も 15% 減。調整後売上 770.0 億ドル、営業利益 23.0 億ドル(3%)、純利益 8.0 億ドルで、ならしても資本コストを下回る。リーマン時に配当込みの株価が 76% 下がった例(2007〜09 年)のとおり、航空は簿価を大きく割って売られる。価値はならした純利益 8 億ドルを資本コストで割った約 80 億ドルまで落ちる。 10 年(2026〜2035 年)の純利益の累計は約 153 億ドル。2026 年の 45 億ドルから年々下がり、燃料高が再発する 2030 年は約 2 億ドルまで落ち、2035 年は 7.8 億ドル前後で収まる。
- メイン席(エコノミー)旅客:数量 2,300(座席マイル(億 ASM)= 市場の座席供給 × デルタのシェア × メイン席の割合)× 価格 0.12(1 マイルあたり収入(億ドル/億 ASM)。物価指数 × 実質の運賃変化)→ 売上 279 億ドル・営業利益 −31 億ドル。市場 15,811.0 億ASM(年 +0.8%)×デルタのシェア 19.9% ×メイン席の割合 73%・物価指数 1.41・実質の運賃変化 0.82
- プレミアム席旅客:数量 851(座席マイル(億 ASM)= 市場の座席供給 × シェア × プレミアム席の割合)× 価格 0.36(1 マイルあたり収入。物価指数 × 実質の運賃変化(座席が増える分の希薄化を含む))→ 売上 303 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 15,811.0 億ASM(年 +0.8%)×デルタのシェア 19.9% ×プレミアム席の割合 27%・物価指数 1.41・実質の運賃変化 0.85
- アメックス提携・ロイヤルティ:数量 1,700(提携カードの取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質))× 価格 0.07(還元率(取扱高に対する提携収入の割合)× 物価指数)→ 売上 120 億ドル・営業利益 48 億ドル。カード取扱高(実質)1,700 億ドル×還元率 5%×物価指数 1.41
- 貨物・整備・その他:数量 3,150(座席マイル(億 ASM))× 価格 0.02(1 マイルあたりのその他収入。物価指数 × 実質の伸び)→ 売上 68 億ドル・営業利益 7 億ドル。座席マイル 3,150 億 ×1 マイルあたり収入(物価指数 1.41・実質 0.95)
- 製油所(第三者向け販売):数量 19.0(第三者向け販売量(億ガロン))× 価格 4.54(1 ガロンあたり販売単価(ドル)。物価指数 × 燃料の実質)→ 売上 86 億ドル・営業利益 0 億ドル。第三者向け販売 19 億ガロン×単価(物価指数 1.41・燃料の実質 1.20)。利益ほぼ 0
倍率:事業の ROE 2.8% は k 9.0%(基本 8.0% + quality +1.0%)以下なので、ためた利益は額面を割る価値で、正当化 PER は 1÷k=11.1 倍まで。90% の 10.0 倍に置いた(構造的に負けた姿。稼ぐ力(ならした純利益 ÷ k)の 9 割まで。市場の倍率や自己資本の簿価には寄せない)。時価総額=純利益 7.8 億ドル × 10.0 倍=78 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:構造的な負け(燃料高が運賃に転嫁できない・ビジネス需要の恒久的な減少・組合の賃金上昇)。業界ノートの悲観の深さ(収入 -15%・利益率 -8pt)。航空は歴史的に倒産・再建が多いので 13% と厚くした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
メイン席(エコノミー)旅客
エコノミー・ベーシックなどの運賃収入。低運賃の競争が続く塊。
| 数量座席マイル(億 ASM)= 市場の座席供給 × デルタのシェア × メイン席の割合 | 価格1 マイルあたり収入(億ドル/億 ASM)。物価指数 × 実質の運賃変化 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,220 | 0.10 | 233 | −6 |
| 10 年後 中立 | 2,490 | 0.14 | 350 | −16 |
取り方:調整後売上 583 億ドルの約 4 割(開示は多角化 60% 分のみのため推定)。座席マイルは調整後売上 ÷ 単位収入 19.7 セント ≒ 2,960 億のうち 75%。市場は米国の航空会社の座席マイル約 14,600 億 × シェア 約 20.3%。費用配分は推定で、営業利益はメイン席が小さな赤字、プレミアム席が稼ぐ形に置いた(共通費は調整に -7.6)。競合:サウスウエスト・アメリカン・ユナイテッド・ウルトラ LCC。
プレミアム席旅客
ファースト・デルタコンフォート+・プレミアムセレクト・デルタワンの運賃収入。
| 数量座席マイル(億 ASM)= 市場の座席供給 × シェア × プレミアム席の割合 | 価格1 マイルあたり収入。物価指数 × 実質の運賃変化(座席が増える分の希薄化を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 740 | 0.30 | 220 | 26 |
| 10 年後 中立 | 1,067 | 0.41 | 434 | 41 |
取り方:売上の約 38%(推定)。座席の 25% で単位収入はメイン席の約 2.8 倍。2025 年は +7%、2026 年 7〜9 月期は +18%(中身は運賃の上昇と座席の増加)。会社は 2027 年にメイン席を超えると言う。競合:ユナイテッド(ポラリス・プレミアムプラス)、アメリカン。
アメックス提携・ロイヤルティ
アメリカン・エキスプレス提携カードにスカイマイルを売る収入。景気と燃料の影響を受けにくく、利益率が高い。
| 数量提携カードの取扱高(億ドル、2025 年の値段に直した実質) | 価格還元率(取扱高に対する提携収入の割合)× 物価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,640 | 0.05 | 82 | 41 |
| 10 年後 中立 | 2,300 | 0.07 | 162 | 78 |
取り方:2025 年のアメックス提携収入 82 億ドル(+11%、年 100 万枚超の新規カード)。取扱高は還元率 5% として逆算した推定(開示なし)。2026 年は 90 億ドル超(+15%)、数年で 100 億ドルが目標。営業利益はマイルの償還費用を差し引いた後で約 50% と置いた。競合:ユナイテッド(チェース)・アメリカン(シティ)の提携カード。
貨物・整備・その他
貨物、他社向け整備(MRO)、旅行商品、パークなどの収入。
| 数量座席マイル(億 ASM) | 価格1 マイルあたりのその他収入。物価指数 × 実質の伸び | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,960 | 0.02 | 48 | 5 |
| 10 年後 中立 | 3,557 | 0.02 | 85 | 9 |
取り方:調整後売上のうち上の 3 つ以外の約 48 億ドル(推定)。2026 年 7〜9 月期は貨物・整備が各 +約 30%。営業利益率 10% と置いた(推定)。
製油所(第三者向け販売)
モンロー製油所が航空部門以外へ売る石油製品。GAAP の売上に入るが利益はほぼ 0。
| 数量第三者向け販売量(億ガロン) | 価格1 ガロンあたり販売単価(ドル)。物価指数 × 燃料の実質 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 19.0 | 2.68 | 51 | 0 |
| 10 年後 中立 | 19.0 | 3.97 | 76 | 0 |
取り方:GAAP の売上 634 億ドルと調整後の差 約 51 億ドル(推定)。日量 約 20 万バレルのうち航空部門に回る分を除いた余りで、約 19 億ガロンと置いた。製油所の利益は燃料費の側に出るため、ここでは営業利益 0 とした。
リスクと懸念
燃料の再高騰と運賃への転嫁の遅れ
2026 年はジェット燃料が 1 ガロン 3.6〜4.3 ドルへ上がり、通期の燃料費は 60 億ドル増えた。運賃は追いつくが、7〜9 月期の燃料費は計画を 5 億ドル超上回った。イラン情勢(ホルムズ海峡)が再燃すれば、同じことが繰り返される。製油所は緩衝だが、利幅が縮めば赤字にもなる。
景気後退とビジネス出張の減少
航空は景気に最も敏感な事業の 1 つ。リーマンでは配当込みの株価が山から谷で 76%、コロナで 57% 下がった。プレミアム席と企業の出張は不況で先に切られる。提携カードは取扱高が 1 割減っても利益を残すが、全体の赤字は避けられない。10 年の悲観は、この谷が構造的に重なる姿を測っている。
人件費(パイロット契約・乗務員の組合化)
パイロット契約は 2026 年 12 月 31 日に改定可能になり、7 月には空港で抗議行動があった。非燃料の単位費用は 7〜9 月期に +7.3%(運航の乱れ分を含む)。契約が 2 桁の賃上げで決着すれば、年 5〜10 億ドルの利益が消える。乗務員の組合化は費用を長く押し上げる。
機材の納入遅れと設備投資の負担
2026 年の設備投資は 55 億ドル(機材 約 50 機)。ボーイングとエアバスの納入遅れは座席の供給を絞って運賃を支える一方、旧い機材の整備費と燃費の悪さが費用になる。広胴機(A350・787)の遅れは国際線の拡大を遅らせる。
低運賃の競争の再燃
サウスウエストは全席自由から指定席・有料手荷物へ転換中で、国内の運賃を攻める。アメリカンも値引きで座席を埋める。ウルトラ LCC の淘汰が止まれば、メイン席の運賃が実質で下がり、プレミアム化の利益が相殺される。
事故・感染症・システム障害
航空は事故・運航停止・感染症・IT 障害の影響が大きい。2024 年のクラウドストライク障害ではデルタが数億ドルの損失を出した。2020 年は営業利益率が -48%。これらは確率が低いが損失が大きく、悲観の筋書きに入れた。
今後の分かれ目
- パイロットの新契約が 2 桁の賃上げで決着し、乗務員の組合化も進んだら
- 非燃料の単位費用が年 +5% 超で続き、ならした営業利益率は 9.5% から 7% 台へ。やや悲観の確率を上げる。
- ジェット燃料が 1 ガロン 3 ドル以下に戻り、運賃は 2026 年の水準を保ったら
- 営業利益率は 2027〜28 年に 12% 台へ。楽観・やや楽観の確率を上げ、会社の 10 台半ばの目標が現実味を持つ。
- プレミアム席の収入の伸びが 2 年連続で 10% を下回ったら
- プレミアム化が頭打ちで、利益率の押し上げがない。中立のプレミアム比率 30% を 27% に下げ、営業利益率を 8% 台へ。
- アメックス提携収入が 100 億ドルに届かず 2 年続けて伸びが 7% を下回ったら
- 利益の最も安定した部分が弱まる。提携収入の取扱高の伸びを実質 3.4% から 2% へ下げて見直す。
- 失業率が上がり、企業の出張予算が削られ始めたら
- 悲観の確率を 13% から 20% に上げる。プレミアム席は先に落ちる。
- 総レバレッジが 1.5 倍を切り、自社株買いが再開されたら
- 還元が payout を上回る。正味の還元を 1.5 倍に引き上げて見直す(倍率は ROE と g と堀で決まるので変わらない)。
見ておくもの
- 非燃料の単位費用(CASM-ex)の伸びと、パイロット契約の合意内容
- プレミアム席・提携収入の伸び率と、プレミアム席が売上に占める割合
- ジェット燃料の価格と運賃への転嫁率(デルタとユナイテッドの単位収入の差)
- 総レバレッジ(2.2 倍→1.0 倍)、調整後の純負債、自社株買いの再開
- サウスウエストの指定席化後の国内運賃、ウルトラ LCC の座席供給
倍率と資本コストの決め方
今の PER 9.9 倍(GAAP の実績)にも、実力の純利益から見た 12 倍強にも寄せていない。先に座席マイル(市場の座席供給 × シェア)× 1 マイルあたり収入を 5 つの塊(メイン席・プレミアム席・提携カード・その他・製油所)で積み、営業利益率からならした純利益を出した。2025 年の実力の純利益は、GAAP 50 億ドルから評価益を除いた約 38 億ドルとし、山の年の利益に倍率を掛けていない。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限の内側:10 年後の中立は上限 13.2 倍(ROE 14.5%・g 4%・k 9%・moat 普通)の 8 割強の 10.8 倍。ROE が k を下回るやや悲観は上限を 1÷k とし、その 0.95 倍の 10.6 倍。悲観は稼ぐ力(ならした純利益 ÷ k)の 9 割とし、市場の倍率や自己資本の簿価からは置いていない。悲観を 13%・やや悲観を 21% 置いた。結果は期待値が今の時価総額を 1 割弱下回る適正で、割安とも割高とも強くは言えない。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β 1.31 × 5%。k=基本 8.0% + quality +1.0% = 9.0%。航空は景気と燃料で利益が大きく振れるので循環の分だけ上げた。個別のリスク(燃料の再高騰・賃金・組合化)は k に足さず、確率(悲観 13%・やや悲観 21%)と悲観の深さで表した。事業は傾いておらず(投資適格・営業黒字)、上乗せは置かない。