結論
竹本容器は、化粧水や乳液のボトル、チューブ、キャップを作る専業メーカーである。売上は145億円、6割が化粧・美容向け。自己資本比率は71%、純現金が26億円ある。
筆者の結論は、財務は堅いが、稼ぐ力は並みで、値段はやや高い、というものだ。営業利益は10億円、ROEは6.4%で資本コストにやや届かない。足元の営業利益率は6.8%と、過去12年の中央値(約10%)の下にある。
強みは、自社で持つ4,258型の金型を使った標準ボトルを、短納期・小ロットで出せることだ。弱みは、売上の8割が国内で、原料のナフサ由来の樹脂が上がると利益が薄れる点である。
10年後の中立は、営業利益15億円、純利益11億円ほど。数量は横ばいで、物価の分だけ売上が増える。ROEは7%前後で、倍率は式の上限の8割に置いた。
見るべきは、資源循環型の容器の伸び、インドの成長、設備投資の回収だ。足元の増益が続くかも確かめたい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、竹本容器は、堅実で安全だが、割安とは言えない会社だ。
事業は単純で、容器を作って売る。金型を自社で持ち、小ロットを早く出す。この仕組みは理解しやすく、10年後も存在する。
財務は堅い。純現金26億円があり、借金に頼らない。配当は自己資本の4%を目安に払い、株主への還元も一定の水準を保つ。
ただし、稼ぎは並みだ。ROEは6〜7%で資本コストにやや届かず、営業利益率も低い。ためた利益は、額面を下回る価値しか持たない。設備投資が増える今は、回収の確かさが見えにくい。
オーナーが持ち続けたい会社かと問われれば、利益率が改善する具体策を見たい、が筆者の答えだ。値段は、事業の稼ぎ力にほぼ見合っており、大きな安全域はない。資産の割には稼げないが、倒れにくい会社として、中立からやや高めと見る。
何で稼ぐ会社か
竹本容器は、化粧品、食品、日用品向けのプラスチック容器を作る専業メーカーである。経営理念は「世界の器文化に貢献する」。
主力は「スタンダードボトル」で、自社で持つ金型(2025年12月末で4,258型)で作ったボトルや押し出しチューブと、キャップやポンプなどの付属品の総称だ。化粧品メーカーなどが、既製の容器を小ロットで早く手に入れられる。販売先は4,313社に及ぶ。
2025年12月期の売上145億円は、化粧・美容が86億円、食品・健康食品が14億円、日用・雑貨が10億円、化学・医薬が9億円、卸・その他が26億円。地域別では、日本が110億円(前期比12%減)、中国が25億円、インドが9億円(同56%増)。
生産は、国内に6工場、中国の上海と昆山、インドのサナンドに置く。販売は米国、タイ、オランダにも拠点がある。従業員は連結767人。
資源循環型パッケージング(リサイクルしやすい素材の容器と、付け替え・詰め替えの容器)が成長分野で、売上は13.9億円(9.3%)。会社は2028年に61億円、売上の3割超にする計画だ。
優良さと弱いところ
優良さは、財務の堅さと、小ロットで早く出せるという独自の売り方にある。ただし、利益率は低く、価格を自分で決める力は弱い。
強みは三つある。第一に、自己資本比率71%で純現金が26億円ある。第二に、4,258型の金型を自社で持ち、顧客は金型の費用なしで容器を使える。第三に、4,313社に売る顧客の分散で、特定の顧客への依存が小さい。
弱みも三つある。第一に、国内が売上の8割を占め、人口の減少で細る。第二に、原料のナフサ由来の樹脂が上がると、値上げの転嫁が遅れて利益が削られる。第三に、中国・インドで現地の容器メーカーと競う。
資本効率は並み以下。過去10年のROEの中央値は8.7%だが、直近は3〜6%。2025年12月期は6.4%にとどまる。会社は資本コストを意識した経営の更新で、収益性の改善を続けると述べている。
筆者は、事業の仕組みは堅実だが、堀は広くないと見る。強い堀と呼べるのは短納期の仕組みだけで、他社がまねできないほどではない。堀は普通と置いた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
業界は、化粧品、食品、日用品のメーカーが、容器を外部から買う市場である。需要は、化粧品の出荷数量と、メーカーの新商品の数に連動する。
国内の化粧品市場は、人口の減少で数量が横ばいから微減。訪日客の消費が下支えするが、数量では限定的だ。海外では、インドのネット販売が伸び、中国は回復の途上にある。会社もインドの売上が前期比56%増と、成長を見込む。
構造の変化は、プラスチックの規制と環境対応である。容器包装リサイクル法などが強化され、リサイクルしやすい素材や、詰め替え・付け替えの容器が求められる。会社はここを成長の柱に置くが、金型や再生樹脂の調達に投資が要る。
競合は、同じ容器の専業メーカー、大手包装会社、海外勢である。標準ボトルの短納期は差別化になるが、化粧品メーカーは複数社から調達でき、価格の交渉力は顧客の側が強い。
10年では、国内の数量は縮み、海外が補い、全体の数量は実質で横ばい、と筆者は置く。原料と人件費の上昇は物価並みに転嫁できる範囲に収まる、と見る。化粧品の新商品の数は景気で動くが、容器の需要は化粧品の販売本数に連動するので、波は小さい。
資本政策と M&A
資本の使い方は、堅実で、投資を優先する。配当は、2025〜2027年の中計期間に、株主資本配当率(DOE)4.0%を目途とする方針に変えた。2025年12月期は年2回の配当で、総額は4.3億円(DOE4.3%)。自社株買いはしていない。
2026年12月期の設備投資は約17.5億円で、本社、結城、岡山、昆山、インドのサナンドに向ける。2025年12月期の11.9億円から増える。純現金26億円は、この投資と運転資金に使われる。
政策保有株式は小さく、上場株は2億円。取引関係の維持が目的で、取締役会が検証する。
2025年11月に、一般社団法人の笑友会が創業家から株式を取得し、34.79%の筆頭株主になった。長期に持つ安定株主とされ、買収や完全子会社化を示す開示ではない。10年以内の買収の確率は2割強という統計もあるが、筋書きには入れていない。
筆者は、設備投資の回収が資本効率の鍵と見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
標準ボトルの仕組みは、他社がすぐにまねできない。4,258型の金型を自社で持ち、短納期・小ロットで出せるため、新興ブランドや中小の化粧品メーカーに選ばれ続ける。販売先は4,313社に分散し、特定の顧客に左右されない。
資源循環型の容器は、環境規制に合わせて需要が膨らむ。会社は2028年に61億円、売上の3割超の計画を掲げ、再生素材に先に対応した会社として値上げもしやすくなる。
インドは前期比56%増と急成長し、サナンドの工場の拡張が続く。中国も昆山の設備投資で回復の兆しがある。
利益率は底を打った。営業利益は2024年12月期の9億円から10億円に増え、2027年12月期の予想は13億円。自己資本比率71%、純現金26億円の財務は、設備投資の失敗にも耐える。DOE4%の配当方針で、還元も安定している。
化粧品の容器は、中身の高級感を決める部品でもある。別注品を一緒に作る関係が深まれば、単価も上がる。
慎重な見方
売上の8割は国内で、国内の化粧品市場は人口の減少で細る。2025年12月期の日本の売上は前期比12%減った。インドの伸びも、売上9億円と小さく、全体を支えるにはまだ足りない。
原料のナフサ由来の樹脂は価格が動き、転嫁が遅れる。2022〜24年12月期の営業利益率は3.6〜6.0%まで落ち、利益は半分以下になった。
標準ボトルの短納期は、他の容器メーカーも追随できる。化粧品メーカーは複数社から調達でき、値下げの交渉力は顧客が持つ。
会社の計画は、売上を2028年に184億円とする。これは2025年12月期の1.3倍で、過去10年の成長ペースを大きく上回る。設備投資が17.5億円に膨らむ中で、回収の根拠は示されていない。国内は6工場を持ち、固定費が重い。数量が減れば、利益率は急速に悪化する。資本効率が上がらなければ、投資は株主の価値を減らす。
大株主の笑友会が長期保有を表明していることは、経営の安定には役立つが、資本効率を高める圧力は生みにくい。
どちらに重みを置いたか
財務の堅さと短納期の仕組みは強気の言い分が強い。ただし、利益率の低さと国内の縮小、原料の転嫁の遅れは、弱気の言い分が重い。確率は、中立を4割弱に置き、やや悲観を3割近くに寄せた。悲観は、プラスチック規制で需要が縮む構造的な負けを1割にとどめた。純現金と金型が下を支える。最後は、数量が横ばいで利益率が直近より少し上に落ち着く姿を、いちばん確からしいと見た。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,133 円137 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 447 円54 億円)。 今の値に割り戻すと 878 円106 億円、今との差 −0.3%、 期待の年率 +6.0%(資本コスト 7.2%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,801 円338 億円 | 746 円90 億円 | +302.6% | +14.9% | 248 円30 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,734 円209 億円 | 622 円75 億円 | +167.4% | +10.3% | 401 円48 億円 |
| 中立 | 38% | 1,223 円148 億円 | 497 円60 億円 | +95.3% | +6.9% | 654 円79 億円 |
| やや悲観 | 28% | 481 円58 億円 | 315 円38 億円 | −9.7% | −1.0% | 223 円27 億円 |
| 悲観 | 10% | 431 円52 億円 | 124 円15 億円 | −37.0% | −4.5% | 56 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,133 円137 億円 | 447 円54 億円 | +79.4% | +6.0% | 1,581 円191 億円 |
今の株価時価総額 881 円106 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 7% 資源循環型の容器が育ち、インドと中国が伸びて利益率が上がる 利益 20 億円 · PER 16.9 倍 · 株価時価総額 2,801 円338 億円
リサイクルに適した素材の容器や、付け替え・詰め替えの容器が、化粧品メーカーの標準になる。容器を作る側に再生樹脂の調達力と金型の資産があることが、強みとして効き始める。
インドの工場が拡張を終え、中国の昆山工場も稼働を上げる。国内の別注品と標準ボトルで培った小ロットの納期が、新興ブランドの取り込みにつながる。
売上は275億円、営業利益は28億円ほど。自己資本は180億円まで積み上がり、ROEは11%に達する。配当は自己資本の4%を超えて増える。
この筋書きでは、化粧品メーカーとの取引が長く続き、単価の引き上げも通る。海外の拡大が利益に結びつく10年である。
- 化粧・美容向け容器:数量 323(出荷本数(百万本、推定))× 価格 54(1本あたりの売上(円、名目))→ 売上 173 億円・営業利益 19 億円。資源循環型の容器と海外が伸びる
- 食品・日用・化学医薬・卸向け容器:数量 169(出荷本数(百万本、推定))× 価格 61(1本あたりの売上(円、名目))→ 売上 103 億円・営業利益 9 億円。食品・日用にも広がる
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.1% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.9 倍。全体の PER 16.9 倍、時価総額 338 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の計画は2028年に売上184億円・資源循環型の容器61億円。計画どおり進み、その先も年6%の名目成長が10年続く筋書き。過去12年の最高の利益率は12.0%で、そこに近づくには値上げの定着が要るため、1割を切る確率にした。
やや楽観 17% 海外が伸び、再生素材の容器が利益率を支える 利益 14 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 1,734 円209 億円
インドが国内のネット販売の拡大に乗って伸び続け、中国も化粧品の回復で持ち直す。国内は人口が減るが、標準ボトルの短納期・小ロットが中小ブランドに支持される。
再生素材を使った容器が売上の2割を超え、環境規制に先に対応した会社として値上げもしやすくなる。数量は実質で2割増え、営業利益率は9%台に戻る。
営業利益は19億円、純利益は14億円。DOE4%の方針で還元は10年で75億円。
資源循環型の容器の投資は回収に入り、設備の稼働が上がる。ただし、会社の計画ほどの速さではなく、売上の3割には届かない。
- 化粧・美容向け容器:数量 258(出荷本数(百万本、推定))× 価格 54(1本あたりの売上(円、名目))→ 売上 138 億円・営業利益 13 億円。海外の数量増と値上げの浸透
- 食品・日用・化学医薬・卸向け容器:数量 143(出荷本数(百万本、推定))× 価格 61(1本あたりの売上(円、名目))→ 売上 87 億円・営業利益 6 億円。食品・日用が小幅に増える
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.5% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.9%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍。全体の PER 14.95 倍、時価総額 209 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の営業利益率は6.8%で、過去12年の中央値(約10%)に届いていない。2027年12月期の会社予想は7.6%。値上げの浸透と海外の稼働で、中央値の手前まで戻る筋書きを2割弱に置いた。
中立 38% 数量は横ばい、物価分だけ売上が増える。利益率は直近より少し上 利益 11 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,223 円148 億円
国内の化粧品向けは、人口の減少と訪日客の増減で横ばいから微減。インドと中国の増加が補い、全体の数量は実質でほぼ横ばいになる。資源循環型の容器は伸びるが、会社の計画ほどの速さではなく、売上の2割に届くかどうかだ。
価格は物価並みに上がり、売上は194億円と今の1.3倍。ナフサ由来の原料や人件費も同じ速さで上がり、利益率は物価で勝手に下がらない。営業利益率は7〜8%、営業利益は15億円。
純利益は11億円。DOE4%の方針で、還元は10年で60億円。ROEは7%前後で、資本コストにほぼ並ぶ。
この筋書きは、10年の間に大きな事件を想定しない。景気の谷や原料の高騰は途中にあるが、平均すれば利益率は直近より少し上に落ち着く。
- 化粧・美容向け容器:数量 215(出荷本数(百万本、推定))× 価格 54(1本あたりの売上(円、名目))→ 売上 115 億円・営業利益 10 億円。国内は縮み、海外が補う
- 食品・日用・化学医薬・卸向け容器:数量 130(出荷本数(百万本、推定))× 価格 61(1本あたりの売上(円、名目))→ 売上 79 億円・営業利益 5 億円。汎用品で利益率は低め
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 148 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去12年の営業利益率は3.6〜12.0%、中央値は約10%。直近は6〜7%と低い。10年後の中立は8%弱と、中央値と直近の間に置いた。原料のナフサと人件費の上昇を転嫁し切れない年が続く。
やや悲観 28% 原料高と値下げ圧力で利益率が低いまま、海外も伸びない 利益 6 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 481 円58 億円
国内の化粧品メーカーの数量が減り、容器の値下げ要求も強まる。インドは伸びるが、中国は現地の容器メーカーとの価格競争で苦しむ。数量は実質で15%減る。
原料のナフサ由来の樹脂が上がっても、顧客への転嫁は遅れる。営業利益率は5%台まで落ち、営業利益は8億円。
配当は自己資本の4%を守ろうとするが、利益が細り、還元は10年で38億円。設備投資は削れず、現金は少しずつ減る。
海外の拡大は、現地の競争と為替で利益に結びつきにくく、国内の工場は稼働が落ちる。資源循環型の容器も、投資の割に売上が伸びない。顧客の値下げ要求に応じるうち、標準ボトルの短納期という強みも薄れていく。
- 化粧・美容向け容器:数量 183(出荷本数(百万本、推定))× 価格 54(1本あたりの売上(円、名目))→ 売上 98 億円・営業利益 5 億円。値下げ圧力と数量減
- 食品・日用・化学医薬・卸向け容器:数量 111(出荷本数(百万本、推定))× 価格 61(1本あたりの売上(円、名目))→ 売上 67 億円・営業利益 3 億円。汎用品の競争で低採算
倍率:事業の稼ぎ率は資本コスト7.25%を大きく下回り、PERの上限は1÷k=12.9倍。その約78%(10.0倍)に置いた。
確率:2022〜24年12月期に営業利益率が3.6〜6.0%まで落ちた実績が近い。ナフサ高と顧客の値下げ要求が重なる局面は、10年のうちにまた来る。この筋書きを3割弱に置いた。
悲観 10% プラスチック規制と海外勢で需要が縮み、赤字に近い水準が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 431 円52 億円
化粧品メーカーが紙や金属、詰め替えの仕組みへ切り替え、プラスチック容器の数量が3割以上減る。中国・インドの現地勢が低価格で入り、標準ボトルの値段も崩れる。
営業利益はほぼゼロから赤字になる。人員と拠点を整理するが、国内の6工場の固定費が重い。
稼ぐ力が消えるので、価値は純現金と売れる資産の税後で測る。少数株主は現金の使い方を決められず、戻り方は5割とみる。
工場の閉鎖や売却は数年かかり、金型の価値も下がる。会社が倒れるまでには至らないが、少数株主にとっては厳しい10年になる。インドの工場だけは残り、連結の黒字を細く支える。
- 化粧・美容向け容器:数量 140(出荷本数(百万本、推定))× 価格 48(1本あたりの売上(円、名目))→ 売上 67 億円・営業利益 1 億円。代替素材と価格崩れ
- 食品・日用・化学医薬・卸向け容器:数量 91.0(出荷本数(百万本、推定))× 価格 54(1本あたりの売上(円、名目))→ 売上 50 億円・営業利益 0 億円。採算割れ
倍率:稼ぐ力は消え、純現金と売れる資産の税後が床になる。今の自己資本120億円に0.43倍を掛けた約52億円。内訳は床の資産の欄に書いた。
確率:プラスチック容器そのものへの規制強化と、代替素材への切り替えが重なる構造的な負けの筋書き。会社は財務が堅く金型の資産もあるので、倒れにくいとみて、1割にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
化粧・美容向け容器
化粧水、乳液、美容液、ヘアケアなどのボトル、チューブ、キャップ、ポンプ。標準ボトルと、化粧品メーカー別の別注品。
| 数量出荷本数(百万本、推定) | 価格1本あたりの売上(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 215 | 40 | 86 | 6 |
| 10 年後 中立 | 215 | 54 | 115 | 10 |
取り方:開示は化粧・美容向けの売上85.9億円(全体の59%)。本数は開示がなく、1本約40(価格欄の単位)・年2.15億本と推定した。営業利益は単一セグメントで開示がなく、全社9.9億円を製品の性格から配分した推定(利益率7.5%)。価格は物価並みに上がる。
食品・日用・化学医薬・卸向け容器
食品、健康食品、日用品、化学・医薬の容器と、代理店(卸)経由の販売。汎用のスタンダードボトルが中心。
| 数量出荷本数(百万本、推定) | 価格1本あたりの売上(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 130 | 45 | 59 | 4 |
| 10 年後 中立 | 130 | 61 | 79 | 5 |
取り方:開示は食品・健康食品14.0億円、日用・雑貨10.0億円、化学・医薬9.4億円、卸・その他25.6億円の合計59.0億円。本数は開示がなく、1本約45(価格欄の単位)・年1.3億本と推定。営業利益は推定配分(利益率5.9%)。
リスクと懸念
国内市場の縮小
売上の8割が国内で、2025年12月期の日本の売上は前期比12%減った。人口の減少で、化粧品の数量は長期に細る。
原料の価格と転嫁
ナフサ由来の樹脂が主な原料で、価格が上がると転嫁が遅れる。2022〜24年12月期の営業利益率は3.6〜6.0%まで落ちた。
プラスチックの規制
容器包装リサイクル法などの規制が強まり、紙や金属への切り替えが進めば、プラスチック容器の数量が減る。会社は再生素材の容器で対応するが、投資が要る。
設備投資の回収
2026年12月期の設備投資は約17.5億円で、前期の11.9億円から増える。回収できなければ、減価償却が利益を圧迫し、ROEが下がる。
海外のカントリーリスク
中国、インド、米国、オランダ、タイに拠点を持つ。中国は現地の容器メーカーとの価格競争、インドは伸びが鈍る可能性がある。
大株主の動き
笑友会が34.79%を持つ筆頭株主で、長期保有を表明している。株主構成が変わると、経営方針に影響する可能性がある。
今後の分かれ目
- 資源循環型パッケージングの売上が30億円を超えたら
- 会社の計画に近づくため、やや楽観の確率を厚くする。
- 営業利益率が2期続けて9%を超えたら
- 値上げの浸透と海外の稼働が定着したとして、楽観側の確率を厚くする。
- ナフサ価格が急騰し、2期続けて営業利益率が5%を下回ったら
- 転嫁の遅れが構造的として、やや悲観の確率を上げる。
- 笑友会が持株を売却し、公開買付けが出たら
- 買収価格に収れんするため、筋書きを置き直す。
- 設備投資が年20億円を超え、純現金が10億円を割ったら
- 財務の余裕が減るため、やや悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 地域別(日本・中国・インド)の売上と利益
- 資源循環型パッケージングの売上
- 営業利益率と原料(ナフサ)の価格
- 設備投資の額と純現金
- DOE4%の方針の維持
- 笑友会の持株比率
倍率と資本コストの決め方
倍率は、10年後のROEと資本コスト7.25%から、利益ベースで置いた。事業のROEは中立で7%と資本コストをやや下回るため、PERの上限は1÷k=12.9倍で、その約8割(10.3倍)にした。今の株価や自己資本に対する倍率には寄せていない。営業利益率は過去12年の中央値(約10%)と直近(6〜7%)の間の約8%。本社費・人件費・原料は物価で増やす。減価償却は今の設備の取得原価のままで、更新の投資は建築費・機械の値上がりで膨らむので、会計の利益ほど現金は残らない。純現金26億円は運転資金と設備投資で使うとみて、余った現金は立てない。国内の工場・事務所の賃借は小さく、新リース会計基準の影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.8→16.9 倍・やや楽観 PER 11.5→14.95 倍・中立 PER 10.3→13.79 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityを足して決めた。事業が傾いているわけではないので上乗せ(extra)は置かない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.75% → 7.25%。