結論
シーボンは、全国の直営サロンで肌の手入れを施しながら、自社の化粧品を売る会社だ。客の中心は 40〜60 代の女性で、会員は約 8 万人いる。売上は約 93 億円である。
筆者の結論は、今の値段は割高だ、というものだ。手元に現金 30 億円を持ち、時価総額の 6 割に当たる。だが本業の稼ぎは細く、過去 10 年の ROE の中央値は 1% 台にとどまる。
回復は始まっている。2026 年 3 月期は 2 期続けて増収増益で、営業利益は 2.5 億円まで戻った。中期経営計画は 2029 年 3 月期に営業利益 6.5 億円を掲げる。
ただ、サロンの家賃と美容部員の人件費は、売上が落ちても減らない固定費だ。10 年先の中立でも営業利益は 5 億円前後とみる。現金の厚さは、この固定費の約束の裏返しでもある。
筆者がいちばん気にしているのは、会員の数だ。中期経営計画は 9 万人を掲げるが、10 年の流れは逆を向いてきた。数が増え始めた証拠が出るまでは、計画の利益を値段の前提にはできない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「現金は厚いが、事業の稼ぐ力が細い」部類に入る。
事業の形は悪くない。会員制のサロンは客との関係が濃く、値引きをせずに売れる。粗利益率は高く、うまく回れば利益は残る。
問題は、その形を支える固定費だ。サロンの家賃と美容部員の人件費は、会員が減っても落ちない。2020〜2024 年には売上が縮み、赤字が続いた。過去 10 年、資本コストを上回る ROE を出した年は無い。
現金 30 億円は安心材料に見えるが、サロンの家賃の約束と閉店の費用を考えれば、すべてが余った資金ではない。使い道は少数株主には決められない。
安全域、つまり値段と価値の間のゆとりは乏しい。今の値段は、中期経営計画の達成を前提にした水準に見える。筆者は、会員の数が増え始めた証拠を見てから考えたい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、会員制の直営サロンだ。客は無料や低い料金で肌の手入れを受け、自分に合う化粧品をサロンで買う。売上のほとんどは化粧品の販売で、サロンの施術はそのための接点になる。
商品は基礎化粧品が中心で、自社で企画し、外部の工場に作らせる。百貨店や量販店にはほとんど置かず、サロンと通信販売で売る。値引きをしないので、粗利益率は高い。
客の中心は 40〜60 代の女性だ。会員は 2026 年 3 月期で約 8 万人、そのうち購入額の多いロイヤルの会員が約 1 万 2 千人いる。美容部員は約 570 人で、1 人で 140 人ほどの会員を受け持つ。
費用の大きな部分は、サロンの家賃と美容部員の人件費、それに広告だ。サロンは駅前のビルなどを借りて営む。2020〜2024 年には不採算のサロンを閉じ、売上は 2015 年の 139 億円から 85 億円まで縮んだ。
2026 年 3 月期は売上 92.7 億円、営業利益 2.5 億円だった。
会員の数と、1 人あたりの購入額。この二つの掛け算が売上を決める、分かりやすい事業だ。
優良さと弱いところ
同社の強みは、会員との長い付き合いだ。美容部員が肌の状態を見て商品を勧めるので、客は他の店に移りにくい。ロイヤルの会員は年に何度もサロンに通い、購入額も大きい。
ただ、堀、つまり他社がまねできない強みは薄くなっている。ポーラやノエビアも対面の販売で同じ客層を取り合う。ネットの化粧品や、エステと美容医療の店も広がった。会員の数は 10 年で大きく減った。
資本の効率は低い。2020〜2024 年に赤字が 4 期あり、過去 10 年の ROE の中央値は 1% 台だ。自己資本の半分近くが現金で、本業の稼ぎがそれに見合わない。
経営は立て直しの途中だ。サロンの統廃合と接客の効率化で、利益は戻り始めた。筆者は、会員の数を増やせるかどうかが、この会社の評価を決めると見る。
立て直しが一巡した後に、再び会員を増やす力があるかは、まだ証明されていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
化粧品の国内の市場は、数ではほぼ横ばいで、単価の上げで名目の伸びを保つ形だ。業種のノートでは、日本企業の化粧品は名目で年 3〜5% の伸びを取り込む程度とみる。人口の減少で、数の伸びは乏しい。
対面で売る化粧品の市場は、長く縮んできた。訪問販売の大手も販売員の高齢化と減少に苦しむ。ポーラは販売員が 3 年で 4 割減り、ノエビアも対面の市場の縮小を認める。
代わりに伸びたのは、ネットの直販と、ドラッグストアの高価格帯の品だ。若い世代は SNS で情報を集め、ネットで買う。エステや美容医療の安価な店も、肌の手入れの需要を取っていく。
同社の客層の 40〜60 代は、人口の厚い世代だ。年を重ねるほど肌の手入れへの関心は高まる。この世代を長くつなぎ止められれば、数は急には減らない。
10 年の中立では、同社の会員は横ばい、1 人あたりの購入額は物価にやや届かない形で上がるとみる。
一方で、物価と賃金の上昇は直営の形に重い。家賃と人件費が上がる分を値上げで取り戻せるかどうかが、利益率を決める。対面の販売で同じ客層を争うポーラやノエビアも、値上げと販売員の確保に苦しんでいる。業界全体で対面の形を縮める流れは、10 年続くとみる。
資本政策と M&A
同社の還元は、配当性向 4 割と、純資産に対する配当の割合 1.5% が目安だ。配当の総額は年 0.8 億円ほどだ。2025 年度に自社株を買い、株数は 3% 近く減った。この分は今の株数に入っている。
株主優待は自社の化粧品で、1 年以上の株主に 8 千円相当、3 年以上で 1 万円相当を贈る。会社の負担は原価で年 0.25 億円ほどと推定し、10 年の還元に足した。
帳簿には現預金 30 億円と投資有価証券 約 3 億円があり、借金は無い。ただ、サロンの家賃は毎年払う固定の約束だ。
買収で規模を取る会社ではない。時価総額は 51 億円と小さく、現金が厚いので、同業や投資ファンドの目が向く可能性はある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は、底を打った回復の入り口にいる。2026 年 3 月期は 2 期続けて増収増益で、営業利益は 5 割近く増えた。会社の計画を上回る着地だった。
中期経営計画は 2029 年 3 月期に営業利益 6.5 億円、ROE 7.3% を掲げる。会員を 9 万人に、ロイヤルの会員を 1 万 4 千人に増やす道筋も示した。接客の効率を上げれば、美容部員を大きく増やさずに会員を増やせる。
客層の 40〜60 代は人口の厚い世代で、肌の手入れへの出費を惜しまない。対面の安心感は、ネットでは代わりにくい。
現金 30 億円と無借金の財務は、時価総額の 6 割に当たる。計画どおりに利益が戻れば、今の値段は安い。還元を厚くするだけでも、評価は変わる。
ロイヤルの会員が増えていることは、客が離れていない証拠だ。値引きをしない売り方は、物価の上がる世界で強みになる。美容部員 1 人あたりの会員を増やせば、固定費の重さは逆に利益を押し上げる力に変わる、という主張だ。
慎重な見方
回復は始まったが、過去 10 年の傷は深い。売上は 139 億円から 85 億円まで縮み、赤字が 4 期あった。過去 10 年の ROE の中央値は 1% 台で、資本コストを上回った年は無い。
会員の高齢化は確実に進む。若い世代はネットで化粧品を買い、エステや美容医療の店に流れる。直営サロンの形は人手と家賃がかかり、規模を縮めるほど効率は落ちる。
家賃と人件費は固定費だ。物価と賃金が上がる世界では、値上げを通せなければ利益はすぐに削られる。2027 年 3 月期の第 1 四半期は、すでに営業赤字だった。
中期経営計画の営業利益 6.5 億円は、過去 12 年で一度も届いたことのない水準だ。それを前提に値段を考えるのは楽観に過ぎる。
筆者の目から見ても、現金 30 億円をそのまま余った資金とは数えられない。家賃の約束と閉店の費用を差し引けば、実際の余りはその半分以下だ。計画どおりに進まなければ、その現金も固定費の穴埋めに消えていく、という主張だ。
どちらに重みを置いたか
足元の回復と計画の道筋は本物で、強気の見方にも理がある。ただ、10 年の縮小と固定費の重さ、届いたことのない計画の水準は、慎重な見方の方が証拠が厚い。確率は中立を中心に、悲観側を他の化粧品会社より厚くした。会員の数が 2 期続けて増えれば、見方を改める。
現金の使い方に変化が出るかも、あわせて見ておく。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 930 円39 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 287 円12 億円)。 今の値に割り戻すと 614 円26 億円、今との差 −50.9%、 期待の年率 −0.3%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,769 円74 億円 | 473 円20 億円 | +79.4% | +6.0% | 157 円7 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,433 円60 億円 | 387 円16 億円 | +45.6% | +3.8% | 328 円14 億円 |
| 中立 | 34% | 1,135 円47 億円 | 322 円13 億円 | +16.6% | +1.5% | 495 円21 億円 |
| やや悲観 | 27% | 440 円18 億円 | 221 円9 億円 | −47.1% | −6.2% | 179 円7 億円 |
| 悲観 | 14% | 312 円13 億円 | 108 円5 億円 | −66.4% | −10.3% | 59 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 930 円39 億円 | 287 円12 億円 | −2.6% | −0.3% | 1,217 円51 億円 |
今の株価時価総額 1,250 円52 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 会員が増え、中期経営計画を超えて利益率が 6% に乗る 利益 6 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,769 円74 億円
肌の手入れをサロンで受けながら化粧品を買う、という同社の形が、40〜60 代の女性に改めて選ばれる筋書きだ。会員は 10 年で 1 割強増え、1 人あたりの年間の購入額も物価より速く上がる。
美容部員の接客の効率が上がり、同じ人数でより多くの会員を受け持てる。中期経営計画の営業利益 6.5 億円を 2029 年 3 月期に達成し、その先も利益率 6% を保つ。
配当は利益の 4 割台に上がり、株主優待も続く。それでも売上は 2015 年の水準を少し超える程度で、大きな会社にはならない。
10 年後の純利益は今の 2.6 倍になる。
- 化粧品の販売(直営サロン):数量 89,219(会員数(人))× 価格 16(1 人あたりの年間の購入額(万円))→ 売上 141 億円・営業利益 8 億円。会員数(人)× 1 人あたりの年間の購入額(万円)
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.1% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)9 億円。全体の PER 12.12 倍、時価総額 74 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期経営計画の目標どおりに進む筋書きだが、過去 12 年の営業利益率の山は 4.5% で、6% は届いたことのない水準だ。1 割に届かない 7% にとどめた。
やや楽観 18% 計画に近い形で会員と単価が戻り、利益率は 5% 前後 利益 4 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,433 円60 億円
会員の数がゆっくり増え、1 人あたりの購入額は物価並みに上がる筋書きだ。中期経営計画の会員 9 万人には届かないが、10 年で 6% ほど増える。
2026 年 3 月期は売上が 5% 近く増え、営業利益は 5 割近く増えた。ロイヤルと呼ぶ購入額の多い会員の数も伸びている。この流れが続き、営業利益率は 5% まで上がる。
家賃と人件費は物価とともに上がるが、サロンの稼働が上がって吸収する。配当は利益の 4 割で、優待も続く。
10 年後の純利益は今の 2 倍ほどになり、ROE は 6% 前後まで上がる。
- 化粧品の販売(直営サロン):数量 84,440(会員数(人))× 価格 15(1 人あたりの年間の購入額(万円))→ 売上 131 億円・営業利益 7 億円。会員数(人)× 1 人あたりの年間の購入額(万円)
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.6% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)9 億円。全体の PER 12.12 倍、時価総額 60 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元は 2 期続けて増収増益で、計画に沿った回復が続けば届く。過去の山を少し超えるので、中立の次に重い 18% にとどめた。
中立 34% 会員は横ばい、単価は物価にやや届かず、利益率は 4% 前後 利益 3 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,135 円47 億円
会員の数は 8 万人前後で横ばい、1 人あたりの購入額は物価にやや届かない形で上がる筋書きだ。売上は名目で 120 億円台に乗る。
営業利益率は 4% と、過去 12 年の山(4.5%)の手前にとどまる。サロンの家賃と美容部員の人件費は物価並みに上がり、値上げで追いつくのがやっとだ。
配当は利益の 4 割で、残りは会社にたまる。手元の現金は 30 億円前後を保つが、サロンの家賃という固定の約束が裏にある。ROE は 4〜5% にとどまる。
10 年後の純利益は 3.3 億円ほどで、今の 1.5 倍にとどまる。
- 化粧品の販売(直営サロン):数量 79,660(会員数(人))× 価格 15(1 人あたりの年間の購入額(万円))→ 売上 121 億円・営業利益 5 億円。会員数(人)× 1 人あたりの年間の購入額(万円)
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.1% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)9 億円。全体の PER 12.12 倍、時価総額 47 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026 年 3 月期の営業利益率は 2.7% で、会社の予想は 3% 台だ。過去の山の手前まで戻る形を、いちばん起こりやすいとみて最大の 34% を置いた。
やや悲観 27% 会員が細り、家賃と人件費が重くのしかかる 利益 2 億円 · PER 6.5 倍 · 株価時価総額 440 円18 億円
同社の会員の中心である 50〜60 代の女性が年を重ね、新しい会員の獲得が追いつかない筋書きだ。会員は 10 年で 1 割強減り、値上げも物価に届かない。
ネットで買える化粧品や、エステと美容医療の安価な店が、若い世代を取っていく。直営サロンの形は人手がかかり、美容部員の採用も難しくなる。
売上が伸びなくても、サロンの家賃は固定で落ちない。営業利益率は 2% に沈み、2025 年 3 月期の水準に戻る。配当は細り、優待も縮む。
10 年後の純利益は 1.5 億円ほどに細り、現金だけがたまる形になる。
- 化粧品の販売(直営サロン):数量 70,101(会員数(人))× 価格 14(1 人あたりの年間の購入額(万円))→ 売上 101 億円・営業利益 2 億円。会員数(人)× 1 人あたりの年間の購入額(万円)
倍率:事業の ROE は 2.4% で k の 3 分の 1 にも届かない。構造的に負ける筋書きなので、上限 12.1 倍の 54% の 6.5 倍に置いた(中立より低い)。
確率:売上は 10 年で年率 3% ずつ縮み、赤字の期が 4 回あった。会員の高齢化は確実に進むので、中立に近い 27% を置いた。
悲観 14% 会員の減少が止まらず、サロンの固定費で赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 312 円13 億円
会員が 10 年で 3 割近く減り、サロンの統廃合が後手に回る筋書きだ。1 人あたりの購入額も物価に届かず、売上は名目でも今を少し下回る。
家賃と美容部員の人件費は固定費として残り、営業赤字が続く。2021 年 3 月期には営業利益率がマイナス 10% まで落ちた実績がある。
価値を支えるのは手元の現金だけになる。ただ、サロンの家賃の約束と閉店の費用が現金を削り、会社が清算されない限り、その使い道は少数株主には決められない。
閉店の費用もかさみ、手元の現金は 10 年で目に見えて減る。配当は下限の目安に沿って細々と続くが、優待は縮む。
- 化粧品の販売(直営サロン):数量 57,355(会員数(人))× 価格 14(1 人あたりの年間の購入額(万円))→ 売上 79 億円・営業利益 −1 億円。会員数(人)× 1 人あたりの年間の購入額(万円)
倍率:本業は赤字で、PER は当てられない。床は現預金 30 億円と投資有価証券の税後から、サロンの家賃と閉店の費用、運転資金に要る約 15 億円を引き、戻り方を掛けた約 13 億円とし、今の自己資本 57 億円に対して 0.229 倍にした(中立の PBR より低い)。
確率:2020〜2024 年に赤字が 4 期あり、構造的に負ける形は現実味がある。無借金で会社が傾く形ではないが、他の化粧品会社より重い 14% にした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
化粧品の販売(直営サロン)
会員制の直営サロンで肌の手入れを施し、自社の基礎化粧品を売る。通信販売も含む。
| 数量会員数(人) | 価格1 人あたりの年間の購入額(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 79,660 | 12 | 93 | 3 |
| 10 年後 中立 | 79,660 | 15 | 121 | 5 |
取り方:会員数 79,660 人は会社の中期経営計画の資料の開示。売上 92.67 億円を会員数で割り、1 人あたりの年間の購入額を約 11.6 万円とした。単一セグメント。
リスクと懸念
会員の高齢化と減少
客の中心は 40〜60 代の女性で、会員は年を重ねる。若い世代はネットやドラッグストアで化粧品を買い、サロンに通う習慣が薄い。新しい会員を取れなければ、会員の数はじわじわ減る。
サロンの家賃と人件費の固定費
サロンは借りた店舗で、家賃は売上が落ちても減らない固定の約束だ。美容部員の賃金も物価とともに上がる。売上が少し落ちるだけで、利益は大きく削られる。
中期経営計画の未達
2029 年 3 月期の営業利益 6.5 億円は、過去 12 年で届いたことのない水準だ。2027 年 3 月期の第 1 四半期は営業赤字で、道筋は平らではない。
美容部員の採用
直営サロンの形は、美容部員の数が売上の上限を決める。人手不足で採用が難しくなれば、会員を増やす計画が進まない。
新リース会計基準での見え方の変化
2028 年 3 月期から、サロンの賃借が借金に似た形で帳簿に載る。純現金や自己資本比率は今ほど強く見えなくなる。価値は変わらないが、財務の厚さを見かけほど頼れない。
今後の分かれ目
- 会員の数が 2 期続けて増えたら
- 数の前提を上げ、やや楽観の確率を上げる。
- 営業利益率が 4.5% を超え、過去の山を更新したら
- 計画の達成に近づいたとみて、楽観側の確率を上げる。
- 営業赤字の期が再び出たら
- 固定費の重さが表に出たとみて、悲観側の確率を上げる。
- 自社株買いや配当の大幅な引き上げが示されたら
- 余った現金の戻り方を 1.0 に上げる。
- 同業や投資ファンドから買収の提案が出たら
- 現金と会員の基盤が評価される形で、楽観の確率を上げる。
見ておくもの
- 会員数とロイヤルの会員数
- 営業利益率(四半期)
- 美容部員の数と接客の効率
- サロンの出店と閉店
- 配当と自社株買い
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業の ROE(余った現金 12 億円とその利息を除いて 5% 前後)が k 8.25% を下回るので、上限 1÷k の 12.1 倍から利益の質で 8〜9 割を置いた。今の PER や同業の値付けは見ていない。現金 30 億円のうち、サロンの家賃の約束と運転資金を除いた 12 億円だけを余った資金とした。新リース会計基準(2028 年 3 月期から)で帳簿の形は変わるが、10 年後の数字は家賃を費用に入れた今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→12.12 倍・やや楽観 PER 10.9→12.12 倍・中立 PER 9.7→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.75% = 8.25%。サロンの家賃の固定費は k に足さず、悲観の利益率と床で表した。