結論
フジプレアムは、液晶ディスプレーやタッチパネルの部材を、ガラスや光学フィルムを買って貼り合わせて作る会社だ。もう一つの柱は太陽電池モジュールと窓用フィルムで、機械装置も手がける。2026年3月期は売上が81億円(前期比24%減)、営業損失が0.8億円、減損20億円を計上して純損失は23億円だった。会社は2027年3月期に売上138億円、営業利益約4.5億円と、売上で7割増の予想を出している。理由は、ディスプレーの量産案件について年間の供給数量と条件を顧客と合意し、順次出荷を始めたことにある。4〜6月期は売上36億円、営業利益0.4億円と立ち上がりは予想どおりだが、通期の経常利益に対する進捗は9%にとどまる。非上場の親会社が議決権の4割強を持つ。評価は、利益の水準よりも量産の寿命と顧客の偏り(上位2社で売上の33%)に左右される。10年の見立ては現在の時価総額の3割台にとどまり、割高と判断する。
バリュー投資の観点から
価値投資の観点で見ると、事業の質は平凡で、時価総額は事業の稼ぎに比べて高い。営業利益率が低く、過去10年のROEの中央値が3%に届かない会社を、予想の純利益の30倍超で買うことになる。量産案件は事実であり、4〜6月期の営業黒字化もその兆しではあるが、売上の大半を素材が占める事業では、営業利益がもう一段上がらなければ株主の取り分は増えない。簿価に対する倍率は1.2倍で、ROEが資本コストを下回る会社には高い。上位2社への依存、親会社の4割強の保有、4億円台の営業利益という小ささも、安全域を削る。10年で現金と配当が積み上がっても、現在の価格を正当化するには、営業利益率が過去の最良に近づく必要がある。親会社の保有比率が高く、市場で流通する株式が少ない点も、価格が実態より高く保たれる一因になりうる。
何で稼ぐ会社か
事業は二つの部門に分かれる。精密貼合及び高機能複合材部門は、パネルメーカーに納めるディスプレー用部材とタッチパネルのセンサー基板、自動車部品を作る。素材メーカーからガラスや光学機能性フィルムを仕入れ、切断して、クリーンルームでミクロ単位の精度で貼り合わせ、官能検査で欠点を選別してから納める。売上の多くを仕入れた素材が占めるため、売上が増えても営業利益は薄く、2026年3月期は売上50.8億円に対し営業損失は1.5億円だった。環境住空間及びエンジニアリング部門は、太陽電池モジュールの製造・販売、住宅やビルの窓に貼る断熱・飛散防止フィルムの施工、工場の自動化装置や半導体・液晶向け装置の製造を行う。売上は30.3億円、営業利益は0.7億円だった。従業員は217人の小規模な会社で、非上場の親会社が議決権の42%を持つ。主要な取引先はAGC(売上の22%)と美浜(12%)で、取引の偏りが大きい。直近の売上は前年から大きく減っており、顧客の構成も入れ替わっている。売上の大半を占める素材は、顧客との契約や市況に応じて変動し、売上と利益は同じ方向に動かない。
優良さと弱いところ
堀は、貼合の精度と検査の技術にある。品種ごとに異なる欠点の見え方を人の目で判断する官能検査は、顧客ごとの品質基準に合わせて磨かれたもので、新規の競合が一朝一夕に模倣しにくい。ただし、仕入れた素材を加工して渡す事業であり、加工賃の部分が小さいため、顧客が内製や他社へ切り替えれば数量がすぐ変わる。上位2社で売上の33%を占める偏りも、値決めの力を弱める。過去10年の営業利益率は2.1〜7.8%で、直近は赤字の期もある。ROEの中央値は2.7%で、資本コストを下回る年が大半だった。自己資本は77億円と厚く、自己資本比率は52%だが、これは過去の利益の蓄積と現金による。技術の幅を広げるためペロブスカイト太陽電池の封止技術の試作に取り組むが、収益への寄与はまだ見えない。経営陣は創業家の流れをくむ親会社の影響下にあり、長期の資本配分の規律も外から見えにくい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ディスプレー部材の需要は、タブレット、パソコン、車載ディスプレーなどの最終製品の出荷で決まる。2026年3月期は最終需要の回復が鈍く、顧客の発注は年間を通じて慎重だった。この中で、海外メーカーとの競争と車載用途での採用の遅れが重なり、精密貼合部門は売上が3割減った。部材のメーカーは、パネルメーカーの機種の切り替えのたびに仕様が変わるため、一つの機種の寿命が短く、新しい案件を取り続けなければ売上が落ちる。太陽電池は国内で従来型パネルの価格が海外メーカーとの競争で下がり、同社は建材一体型の生産体制に重心を移している。ペロブスカイトは国の後押しがある成長分野だが、量産の時期は確定していない。窓フィルムと自動化装置は景気に連動する小さな事業だ。電気自動車やタブレットの出荷が伸びれば需要は増えるが、パネルメーカーは中国・台湾・韓国の部材メーカーも使い分けており、価格が下がりやすい。10年の見方は、数量はディスプレー向けの量産で一時的に増え、その後は電子部品の通例で価格が物価ほど上がらない前提とした。
資本政策と M&A
資本の使い方は無難だが、効率は低い。現金及び預金は2026年3月期末で48億円あり、借入金は38億円で、純現金はおよそ5億円と時価総額の5%にとどまる。2026年3月期の営業キャッシュフローは14.5億円と大きいが、仕入債務が17億円増えたことが主因で、一時的な積み上がりである。配当は年1.7億円の総額を赤字の期にも続けており、方針は安定配当だ。自己株式の取得は積極的ではない。減損で自己資本が減り、ROEが一時マイナスになった。余った資金は設備投資と研究開発に回す方針で、量産案件への設備投資が次の収益につながるかが論点になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
量産案件は、年間の供給数量と条件を顧客と合意した事実のある実需であり、売上が7割増える予想は具体的だ。4〜6月期は売上が前年同期の1.8倍の36億円となり、営業利益も黒字に転じた。精密貼合部門は2026年3月期に赤字だったが、固定費を負担する工場が稼働すれば利益率は一気に改善する余地がある。自己資本比率は52%、純現金もあり、減損は済んでいるため、以後の償却負担は軽い。環境住空間では建材一体型の太陽電池とペロブスカイトの封止技術が次の柱になりうる。過去にも2022年3月期に売上192億円、営業利益7億円を出した実績がある。量産が複数案件に広がれば、売上は2倍、利益は数倍になる。株価が下がっても、簿価の下支えがある。親会社が安定株主として控えていることも、短期の売り圧力を和らげる。配当も年1.7億円の総額を赤字の期にも続けており、株主還元の姿勢は一定している。会社が出した売上138億円の予想が示すとおり、足元の受注は力強い。
慎重な見方
売上が7割増える予想の中身は、ガラスやフィルムなど仕入れた素材の売上であり、営業利益の予想は4.5億円と売上の3%台にとどまる。4〜6月期の営業利益は0.4億円で、通期予想の経常利益に対する進捗は9%にとどまり、後半の急な立ち上がりに頼る形だ。過去10年のROEの中央値は2.7%で、資本コストを大きく下回り続けてきた。上位2社で売上の33%を占め、美浜への売上は今期から現れた新規の取引で、継続性が見えない。2026年3月期に20億円の減損を出した会社が、次の10年も同じ設備で稼げるという保証はない。時価総額93億円は、予想の純利益の30倍超であり、簿価の1.2倍にもなっている。量産が一つの案件で終われば、売上は再び落ちる。さらに、親会社が議決権の4割強を保ち、少数株主が経営に影響を与えにくい。親会社の意向で配当や投資の方針が変わる余地も残る。営業利益の予想4.5億円は、売上の3%台と低く、素材価格の上昇が少し出るだけで消える。
どちらに重みを置いたか
勝つのは慎重な見方だ。量産案件は事実だが、仕入れ素材中心の事業は利益が薄く、営業利益が4億円台では時価総額93億円を支えない。利益率が過去の最良に近づく筋は一部あるが、それでも10年後の価値は現在の価格に届かない。量産が続いて営業利益が10億円に乗る筋でも、価値は現在の時価総額に近づく程度である。量産案件の寿命、取引先の偏り、減損の再発という三つの不確実性が、期待収益を押し下げる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 203 円58 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 56 円16 億円)。 今の値に割り戻すと 132 円38 億円、今との差 −58.8%、 期待の年率 −2.1%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 555 円159 億円 | 105 円30 億円 | +106.4% | +7.5% | 53 円15 億円 |
| やや楽観 | 22% | 311 円89 億円 | 77 円22 億円 | +21.2% | +1.9% | 85 円24 億円 |
| 中立 | 40% | 173 円49 億円 | 59 円17 億円 | −27.4% | −3.1% | 93 円27 億円 |
| やや悲観 | 20% | 76 円22 億円 | 28 円8 億円 | −67.5% | −10.6% | 21 円6 億円 |
| 悲観 | 10% | 55 円16 億円 | 10 円3 億円 | −79.5% | −14.7% | 7 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 203 円58 億円 | 56 円16 億円 | −19.2% | −2.1% | 258 円74 億円 |
今の株価時価総額 320 円91 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 量産が次の案件を呼び、売上が2倍を超える 利益 12 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 555 円159 億円
ディスプレーの量産案件が順調に立ち上がり、顧客が車載とタブレット向けの別機種も同じラインに載せる。精密貼合の数量は10年で2.4倍になり、価格は物価に沿って1.34倍まで上がる。
加工の習熟で利益率は8%に乗る。過去の最良である9%台には届かないが、同じ設備で稼働が上がる分だけ固定費の負担が薄まる。
環境住空間は建材一体型の太陽電池と、ペロブスカイトの封止の試作が収益になり、数量は1.4倍、利益率は6%となる。
配当は業績に応じて増やし、10年で約30億円を払う。
売上は220億円、営業利益は約16億円と、過去の最高の期を上回る。ただし、量産が複数の機種に広がり、顧客が追加の発注を続けることが前提で、実現する確率は低い。
- 精密貼合及び高機能複合材部門:数量 240(出荷数量の指数(2026年3月期=100))× 価格 0.68(数量指数1あたりの売上(億円)。0.508は2026年3月期の売上50.8億円を100で割った値)→ 売上 163 億円・営業利益 13 億円。数量2.40倍・価格は前提の倍率
- 環境住空間及びエンジニアリング部門:数量 140(出荷数量の指数(2026年3月期=100))× 価格 0.41(数量指数1あたりの売上(億円)。0.303は売上30.33億円を100で割った値)→ 売上 57 億円・営業利益 3 億円。数量1.40倍・価格は前提の倍率
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.6% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍。全体の PER 13.62 倍、時価総額 159 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027年3月期の予想は売上138億円。量産が一つの案件に終わらず、複数の機種へ広がる筋は5〜10%と置いた。
やや楽観 22% 量産が根づき、利益が過去の高い時期へ戻る 利益 7 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 311 円89 億円
量産案件は予定どおり立ち上がり、数量は10年で1.9倍。価格は電子部品の値下げ圧力で物価の上がり幅の6割ほどしか通らず、1.2倍で置く。
精密貼合の利益率は6%に戻る。2023年3月期に5%台だった水準を、量産の稼働でやや上回る形だ。
環境住空間は数量1.2倍、利益率4.5%。
配当は年1.7億円を維持し、利益の増加後に少し上げる。
営業利益は約10億円、売上は178億円となり、売上は2022年3月期の192億円に近づくが、利益率はそれより高く出る。素材の仕入れ価格の上昇は価格へ通せる範囲に収まる前提である。
- 精密貼合及び高機能複合材部門:数量 190(出荷数量の指数(2026年3月期=100))× 価格 0.61(数量指数1あたりの売上(億円)。0.508は2026年3月期の売上50.8億円を100で割った値)→ 売上 116 億円・営業利益 7 億円。数量1.90倍・価格は前提の倍率
- 環境住空間及びエンジニアリング部門:数量 120(出荷数量の指数(2026年3月期=100))× 価格 0.41(数量指数1あたりの売上(億円)。0.303は売上30.33億円を100で割った値)→ 売上 49 億円・営業利益 2 億円。数量1.20倍・価格は前提の倍率
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 89 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年4〜6月期は営業黒字に転じ、通期予想の営業利益4.5億円も範囲に入る。この水準が10年保たれるのは中程度の見込み。
中立 40% 量産は一時の柱にとどまり、利益は昔の水準に戻る 利益 4 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 173 円49 億円
量産案件で数量は10年で1.5倍となる。顧客のパネルメーカーは調達先を絞らず、価格は値下げ圧力のもと物価の上がり幅の6割ほどしか通らない。1.2倍とした。
精密貼合の利益率は4.5%。素材を買って加工する事業のため、売上は大きく見えても付加価値は薄い。
環境住空間は数量が横ばいで、価格は物価に沿って上がる。海外メーカーとの競争で利益率は3.5%にとどまる。
営業利益は約5.5億円で、会社の2027年3月期の予想4.5億円より1億円ほど上だ。配当は年1.7億円を続ける。
売上は132億円と、会社の2027年3月期の予想138億円を下回る。量産の売上は一巡し、その後は新規の案件獲得に依存する。取引先の偏りは続き、価格交渉の力は限られる。
- 精密貼合及び高機能複合材部門:数量 150(出荷数量の指数(2026年3月期=100))× 価格 0.61(数量指数1あたりの売上(億円)。0.508は2026年3月期の売上50.8億円を100で割った値)→ 売上 92 億円・営業利益 4 億円。数量1.50倍・価格は前提の倍率
- 環境住空間及びエンジニアリング部門:数量 100(出荷数量の指数(2026年3月期=100))× 価格 0.41(数量指数1あたりの売上(億円)。0.303は売上30.33億円を100で割った値)→ 売上 41 億円・営業利益 1 億円。数量1.00倍・価格は前提の倍率
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.2% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 49 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去10年の営業利益率の中央値は約4%で、予想の3.3%もこの帯の中。量産案件が当面の売上を支え、その後は競争で薄まる見立て。
やや悲観 20% 量産が細り、利益は薄い黒字にとどまる 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 76 円22 億円
量産案件の出荷が計画を下回り、数量は10年で等倍。価格は競争で1.1倍にとどまり、利益率は1%まで下がる。
環境住空間は数量0.85倍。太陽電池で海外製品との値差が広がり、価格は1.22倍、利益率は2%となる。
営業利益は約1.2億円で、2025年3月期の2億円を下回る。配当は年0.8億円へ減らす。
自己資本の利益率が1%台のため、市場は簿価の3割弱でしか評価しない。
売上は87億円と2026年3月期をわずかに上回る程度で、量産案件は一巡して後が続かない。営業利益率は過去の最低である2%台を下回り、減損の再発も十分ありうる。
- 精密貼合及び高機能複合材部門:数量 100(出荷数量の指数(2026年3月期=100))× 価格 0.56(数量指数1あたりの売上(億円)。0.508は2026年3月期の売上50.8億円を100で割った値)→ 売上 56 億円・営業利益 1 億円。数量1.00倍・価格は前提の倍率
- 環境住空間及びエンジニアリング部門:数量 85.0(出荷数量の指数(2026年3月期=100))× 価格 0.37(数量指数1あたりの売上(億円)。0.303は売上30.33億円を100で割った値)→ 売上 31 億円・営業利益 1 億円。数量0.85倍・価格は前提の倍率
倍率:ROEが1%台で資本コストを大きく下回る。稼ぐ力の価値は10億円ほどで、床の資産22億円(純現金と土地・建物)に近い簿価の約3割とし、base筋の約0.43倍より低く置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.29 倍・時価総額 22 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:直近の営業損失、売上の大幅な減少、取引先2社で売上の33%という偏りを見ると、量産が短命に終わる筋は2割程度ある。
悲観 10% 量産が止まり、赤字が数年続く 利益 −2 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 55 円16 億円
ディスプレーの需要は戻らず、量産案件も数量・条件の見直しで縮む。数量は0.6倍に落ち、価格も上がらず、営業損失が数年続く。
環境住空間も数量0.6倍で、太陽電池の値下がりを受けて損失となる。
10年のうち営業損失が約2億円の年もあるが、人員と設備を絞って損失を止める。配当は年0.3億円まで減らす。
自己資本は取り崩され約60億円となり、簿価の4分の1で評価される。
売上は2026年3月期よりさらに縮み、AGCなど大口の発注が途切れる。2026年3月期の水準を下回る売上のまま固定費が重く残り、整理や減損が次々と出る。
- 精密貼合及び高機能複合材部門:数量 60.0(出荷数量の指数(2026年3月期=100))× 価格 0.51(数量指数1あたりの売上(億円)。0.508は2026年3月期の売上50.8億円を100で割った値)→ 売上 30 億円・営業利益 −2 億円。数量0.60倍・価格は前提の倍率
- 環境住空間及びエンジニアリング部門:数量 60.0(出荷数量の指数(2026年3月期=100))× 価格 0.30(数量指数1あたりの売上(億円)。0.303は売上30.33億円を100で割った値)→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。数量0.60倍・価格は前提の倍率
倍率:赤字が続き、減損済みでも換金できない設備が残るため簿価の4分の1に置く。mild_bearの0.35倍より低い。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.25 倍・時価総額 16 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:2026年3月期は営業損失と20億円の減損。量産が止まり、取引先が離れて赤字が続く最悪の筋は1割とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
精密貼合及び高機能複合材部門
ディスプレー用部材・タッチパネルのセンサー基板・自動車部品を、素材を貼り合わせて作る。
| 数量出荷数量の指数(2026年3月期=100) | 価格数量指数1あたりの売上(億円)。0.508は2026年3月期の売上50.8億円を100で割った値 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.51 | 51 | −1 |
| 10 年後 中立 | 150 | 0.61 | 92 | 4 |
取り方:売上50.81億円・営業損失1.49億円。個数の開示はなく、売上を100とした指数で表した。
環境住空間及びエンジニアリング部門
太陽電池モジュール・窓用フィルム・自動化装置を作り、施工・販売する。
| 数量出荷数量の指数(2026年3月期=100) | 価格数量指数1あたりの売上(億円)。0.303は売上30.33億円を100で割った値 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.30 | 30 | 1 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.41 | 41 | 1 |
取り方:売上30.33億円・営業利益0.71億円。受注残は8.4億円。
リスクと懸念
取引先の偏りと量産の寿命
上位2社で売上の33%を占める。量産案件は一つの顧客・機種の合意に基づくため、顧客の機種切り替えや調達方針の変更で数量が大きく変わる。
部材の価格と仕入れ
売上の多くが仕入れた素材のため、原材料の高騰を価格へ転嫁できなければ利益が圧迫される。クロスボーダーの調達が増え、為替と物流の影響も受ける。
追加の減損
2026年3月期に20億円の減損を計上した。量産が計画を下回れば、残る設備に追加の減損が出る可能性がある。
太陽電池の競争
国内の従来型パネルで海外メーカーとの価格競争が続く。建材一体型とペロブスカイトへの転換が収益になるまで時間がかかる。
親会社の保有
非上場の親会社が議決権の42%を持つ。少数株主の意見が通りにくく、将来の組織再編や完全子会社化の可能性もあるが、現時点で開示はない。
運転資本の反転
2026年3月期の仕入債務の増加で一時的に増えた現金は、支払いで減る。見かけの純現金より実質は小さい。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の営業利益が会社予想4.5億円を超える
- 量産の収益性が予想より高いことになり、mild_bullへの確率が上がる。
- 上位2社への売上の偏りが40%を超える
- 量産が一社に依存する形が強まり、bear寄りに見る。
- 精密貼合部門の営業利益率が2期連続で5%を超える
- 加工賃で稼ぐ体質に変わったことになり、baseの利益率4.5%を上げる材料になる。
- 追加の減損や配当の減額が出る
- 量産が計画を下回った兆しであり、mild_bearへ寄せる。
- 親会社が株式の買い増しや公開買付けを発表する
- 買付価格が基準になるが、少数株主に有利とは限らず、価格の妥当性を別に見る。
見ておくもの
- 精密貼合部門の営業損益
- 四半期ごとの通期予想の進捗
- 上位取引先の売上比率
- 仕入債務と現金の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は、各筋書きのROEと資本コストから導いた。現在の株価や、同業の倍率は使っていない。予想の純利益2.9億円も出発点にはしたが、10年の水準は別に積み上げた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→13.62 倍・やや楽観 PER 10.5→12.5 倍・中立 PER 10.5→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityの+1.5%を足して9.0%。自己資本比率52%で純現金もあり、財務の上乗せはしない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.00%。