結論
レックは、百円ショップ向けを中心に家庭用の雑貨や掃除用品をつくる日用品メーカーだ。「激落ちくん」のほか、殺虫剤の「バルサン」、ドリンク剤、キャラクター関連商品を持つ。売上は 683 億円で、営業利益は 41 億円。
筆者の結論は、足元の業績は良いが、稼ぐ力に比べて今の値段は高く、割高に近い、というものだ。10 年後の中立の時価総額は今を下回り、確率で重みを付けた価値は今を 4 割ほど下回る。
利益は 2026 年 3 月期に 5 割近く増えた。キャラクター関連の新製品が当たり、コスト削減も進んだからだ。ただ 2023 年 3 月期には、原材料高と円安で営業利益率が 1.6% まで落ちた。利益率の振れが大きい会社である。
構造上の弱点は二つある。一つは顧客の偏りで、ダイソーとセリアの 2 社で売上の 46% を占める。二つ目は借金で、純有利子負債は 207 億円と時価総額の 3 分の 2 に当たる。
利益は物価並みに伸びるが、売値を上げにくいぶん、10 年の中立の営業利益率は 6% 台前半にとどまる。利益の 7 割を内部にためても、ためた資金の稼ぎは資本コストに届かない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「質は並み、値段は高め」に映る。事業そのものは堅実だが、オーナーとして長く持ちたい会社の条件を満たしていない。
理由は堀の浅さだ。百円ショップ向けの作りは他社も真似できる。顧客の 2 社が取引条件を決め、メーカー側が価格を決められない。「激落ちくん」だけが消費者の記憶に残るブランドだ。
資本の使い方も気になる。利益の 7 割を内部にためるが、ためた資金の稼ぎが資本コストに届かない。借金を返す使い道は堅実だが、稼ぐ力は上がらない。事業の ROE が 8% 弱で、資本コストの 8.25% 並みなら、ためた利益は額面を下回る価値になる。
安全域も薄い。純有利子負債が時価総額の 3 分の 2 あり、利益が落ちる局面では財務が痛む。2023 年 3 月期の営業利益率 1.6% を、筆者は「偶然の不運」とは見ない。この事業の本来の幅の下限と受け取る。
筆者は、足元の増益に安心せず、10 年のうちに一度は利益が落ちる局面があると考える。その局面を前提に値段を見るべきだ。
何で稼ぐ会社か
レックは、日用品の企画・製造・販売を行う会社だ。開示上は単一の事業で、製品は三つに分かれる。家庭用日用雑貨品が売上の約 41%、掃除・衛生用の消耗品が約 39%、その他が約 20% である。
主力ブランドは掃除用品の「激落ちくん」だ。浴室・台所・トイレ用品などを展開する。「その他」にはキャラクター関連商品、殺虫剤「バルサン」、ドリンク剤が入る。バルサンは 2018 年にライオンから事業を譲り受けた。ドリンク剤の「グロンサン」「グロモント」は 2024 年に事業譲受で加わった。
販売先は百円ショップが柱で、ダイソーが売上の約 33%、セリアが約 13% を占める。企画は自社、生産は国内の静岡と香川の工場、上海とタイの子会社、中国の協力工場で分担する。輸入は主にドル建てだ。
従業員は連結で約 960 人。設備投資は年 20 億円ほどで、金型と機械装置が中心である。新製品の金型代が毎年かかるのが特徴で、企画の当たり外れが利益にそのまま響く。
2026 年 3 月期は、キャラクター関連の大幅な伸びが増益の原動力になった。一方、ドリンク剤は価格改定の影響でマイナスだった。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、百円ショップの棚に合う商品を企画して作り込む力と、国内外の生産拠点の組み合わせにある。大手顧客の求める価格帯に合わせて、安く作る仕組みを長年かけて作ってきた。
弱みも同じ場所にある。顧客が偏り、ダイソーとセリアで売上の約 46% を占める。値上げの交渉力は相手のほうが強い。ブランドも「激落ちくん」に限られ、ほかの製品は消費者が名前で選ぶわけではない。
利益率は不安定だ。営業利益率は 2017〜2021 年の 10% 前後から、2023 年 3 月期に 1.6% まで落ちた。原材料高、円安、物流費の上昇が重なったためだ。足元は 6.1% まで戻ったが、10 年の中央値は 8.1% の ROE を支えた山の水準にはまだ遠い。
財務は強くない。自己資本比率は 40% で、純有利子負債は 207 億円と時価総額の 3 分の 2 に当たる。営業利益で支払利息を約 13 倍まかなえるので、破綻の心配はないが、金利の上昇は利益を削る。
ガバナンスでは、サンリオ・中西製作所・福山通運などの上場株を政策保有株として持つ点が目につく。株主への還元は、連結配当性向 30% を目安にしている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の家庭用品の市場は、人口が減るので数量は伸びない。筆者は実質で 10 年に 3〜4% ほど縮むと見る。掃除用品は花王、ライオン、ユニ・チャーム、小林製薬などの大手が強く、百円ショップ向けの低価格帯には専門のメーカーが多い。殺虫剤はアース製薬、大日本除虫菊、フマキラーが先行している。
業種のノートの前提とは違う点を確認しておきたい。化学の「日用品・パーソナルケア・化粧品・香料」の節は、美容市場の高付加価値化、訪日客の消費、中国市場が主役だ。当社は百円ショップ向けの家庭雑貨で、美容も輸出もほとんど関係がない。ここで使えるのは「国内は量が伸びない、成長は単価の上昇頼み」という部分だけだ。
その単価も、百円ショップは価格帯が決まっているため、物価の上昇を売値に乗せにくい。量目を減らすか、価格帯を一段上げる形で転嫁する。この動きは進んでいるが、物価の 3% を毎年そのまま乗せるのは難しい。
原材料は樹脂や紙などで、ナフサ価格と円安に左右される。生産の多くが中国にあるため、人件費の上昇と現地の政治リスクも見ておく。
百円ショップの店舗数が増え続ける間は、取引量も保たれる。逆に出店が止まれば、成長の源が細る。
資本政策と M&A
株主還元は連結配当性向 30% が目安で、年 2 回支払う。直近は配当総額 9 億円ほど。自社株買いの方針は開示されていない。内部にためる割合が 7 割あるので、借金の返済に回す形になる。
M&A は小さい。2018 年にバルサン事業を 14 億円でライオンから譲り受け、2020 年に中国の子会社を譲渡、2024 年にドリンク剤を譲り受けた。買収で規模を伸ばしてきたが、金額は大きくない。
設備投資は 2026 年 3 月期に 21 億円で、金型と機械装置が中心。次期以降に重要な新設計画はない。
中期経営計画は、確認できる開示がなかった。会社の来期予想は、経常利益 42 億円と小幅な減益だ。第 1 四半期は経常利益が 3 割近く減った。
10 年以内の TOB の確率は、統計的な目安で 3 割近い。ただ、純有利子負債が重く、買い手に割安と映るかは別の話だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
家庭用品は景気に左右されにくい必需品だ。当社は百円ショップという成長チャネルに深く入り込み、企画から生産、物流まで自前で組み上げている。この仕組みはすぐには真似できない。2026 年 3 月期の営業利益は 5 割近く増え、キャラクター関連が育っている。ドリンク剤や殺虫剤のブランド買収は、売上の幅を広げた。
ダイソーとセリアは出店を続けており、当社の取引量は店舗数とともに伸びる。顧客が偏っていても、棚に並び続ける実績が信頼になる。コスト削減も進み、営業利益率は 2023 年 3 月期の 1.6% から 6.1% まで戻った。10% 前後の山に近づく余地はある。
借金は営業利益で 13 倍の利息をまかなえる水準で、返済は着実に進む。利益の 3 割を配当し、残りで借金を返せば、10 年後には財務が見違える。今の値段は借金が重い分だけ割り引かれており、返済が進めば株主の取り分が増える。キャラクター関連のような新しい稼ぎ口は、百円ショップの棚の入れ替えが速いほど次の企画に生かされ、企画力の差が積み重なって堀に育つ可能性もある。
慎重な見方
利益率の振れが大きい会社に、高い値段を払うべきではない。2023 年 3 月期に営業利益率が 1.6% まで落ちた事実は重い。原材料と円安の波を売値に乗せられなかった証拠だ。顧客が 2 社で売上の 46% を占めるので、値上げの交渉力は相手が握る。
足元の増益はキャラクター関連という新製品に頼る面があり、来期の会社予想は減益、第 1 四半期は経常利益が 3 割近く減っている。百円ショップが自社企画品を増やせば、当社の取引は大きく減りかねない。
財務も強くない。純有利子負債は時価総額の 3 分の 2 に当たり、金利が上がれば利益を削る。借金を返しても、ためた資金の稼ぎは資本コストに届かない。堀の浅い会社が内部にためるほど、価値は増えにくい。
人口が減る国内の家庭用品は、量が伸びない。成長を単価の上昇に頼るしかないが、百円ショップは価格帯が決まっていて、物価の上昇を売値に乗せにくい。これらを合わせると、利益が増えても資本の稼ぎは資本コストに届かず、時間がたつほど割り引かれる。
どちらに重みを置いたか
筆者は、慎重な見方のほうが強いと判断した。足元の回復は事実だが、利益率の振れと顧客の偏りは構造の問題だ。10 年の中立の営業利益率は 6% 台前半と、足元並みにとどめた。確率は中立に最も重みを置き、やや悲観を楽観よりわずかに厚くした。借金は返せるので悲観は 1 割にとどめるが、ROE が資本コストに届かないため、中立でも今の時価総額を下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,225 円397 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 286 円93 億円)。 今の値に割り戻すと 747 円242 億円、今との差 −21.4%、 期待の年率 +4.7%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,150 円697 億円 | 379 円123 億円 | +166.2% | +10.3% | 177 円57 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,824 円591 億円 | 342 円111 億円 | +128.0% | +8.6% | 412 円133 億円 |
| 中立 | 38% | 1,557 円505 億円 | 308 円100 億円 | +96.4% | +7.0% | 709 円230 億円 |
| やや悲観 | 26% | 484 円157 億円 | 238 円77 億円 | −24.1% | −2.7% | 188 円61 億円 |
| 悲観 | 10% | 105 円34 億円 | 151 円49 億円 | −73.0% | −12.3% | 26 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,225 円397 億円 | 286 円93 億円 | +59.0% | +4.7% | 1,511 円490 億円 |
今の株価時価総額 950 円308 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% キャラクター雑貨と自社ブランドが伸び、価格改定も通る 利益 52 億円 · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 2,150 円697 億円
キャラクター関連の企画品が定番化し、家庭用日用雑貨の市場の中でシェアを 1 割ほど上積みする。清掃用品でも「激落ちくん」の新製品が棚を取り、ドリンク剤や殺虫剤も取り込んだブランドが育つ。百円ショップ大手への値上げ要請も通り、価格は物価並みに上がる。営業利益率は 8% 近くまで上がり、借金は 5 年ほどで返し切る。返済後は余ったお金で配当性向を引き上げる余地が出る。ただし、利益率が好況期の山である 10% には届かない。顧客が 2 社に偏る構造は変わらない。株主への還元の面でも、借金が減るにつれて配当や自社株買いに回せる額が増える。堀は浅いまま、企画力と取引の長さで稼ぎが厚くなる姿だ。価格を上げ続けられる会社に変わるかどうかが、この筋書きの分かれ目になる。
- 家庭用日用雑貨品:数量 6,000(国内の家庭用日用雑貨の市場(億円、今の値段で測った実質))× 価格 6.9%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 価格の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 414 億円・営業利益 35 億円。市場(実質)× シェア。百円ショップ向けの家庭雑貨が中心
- 清掃・衛生用消耗品:数量 5,390(国内の掃除・衛生用消耗品の市場(億円、今の値段で測った実質))× 価格 6.6%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 価格の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 353 億円・営業利益 25 億円。市場(実質)× シェア。掃除・衛生用品
- その他(殺虫剤・ドリンク剤ほか):数量 3,150(関連する国内市場(殺虫剤・ドリンク剤ほか、億円、今の値段で測った実質))× 価格 6.6%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 物価の倍率。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 209 億円・営業利益 17 億円。殺虫剤・ドリンク剤・キャラクター関連など
倍率:事業の純利益 52 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.9% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.4 倍。全体の PER 12.41 倍、時価総額 643 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026 年 3 月期の増益はキャラクター関連の新製品に支えられたが、当たりの持続は読めない。利益率が 8% 近くまで上がるのは、過去 10 年でも 2017〜2021 年の好況期だけなので、1 割を切る確率にした。
やや楽観 19% 新製品の当たりが続き、利益率が 7% 台に定着する 利益 44 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,824 円591 億円
新製品の当たりが続き、家庭用日用雑貨でシェアを 5% ほど増やす。清掃用品は市場が縮むものの、価格改定が通って利益は守られる。原価高は売値に乗せられ、営業利益率は 7% 前後で安定する。借金は 7 年ほどで返し、金利の上昇で利益が削られる心配は薄れる。ただし、顧客の集中と新製品への依存は残るので、ここまでにとどまる。百円ショップ各社の出店が続き、取引量も保たれる。景気の悪い年は節約志向でむしろ売れ行きが増すこともある。株主への配当は性向 3 割の方針どおりで、積み上がる自己資本が ROE を押し下げる点は変わらない。
- 家庭用日用雑貨品:数量 5,940(国内の家庭用日用雑貨の市場(億円、今の値段で測った実質))× 価格 6.5%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 価格の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 385 億円・営業利益 29 億円。市場(実質)× シェア。百円ショップ向けの家庭雑貨が中心
- 清掃・衛生用消耗品:数量 5,335(国内の掃除・衛生用消耗品の市場(億円、今の値段で測った実質))× 価格 6.4%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 価格の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 341 億円・営業利益 22 億円。市場(実質)× シェア。掃除・衛生用品
- その他(殺虫剤・ドリンク剤ほか):数量 3,060(関連する国内市場(殺虫剤・ドリンク剤ほか、億円、今の値段で測った実質))× 価格 6.4%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 物価の倍率。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 195 億円・営業利益 15 億円。殺虫剤・ドリンク剤・キャラクター関連など
倍率:事業の純利益 44 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.0% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 532 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新製品の効果とコスト削減が続けば、利益率は過去の山の手前まで上がる。会社の来期予想は小幅な減益なので、この筋書きは強気寄りだが、中立の半分ほどの確率を置く。
中立 38% 利益率は 6% 台で横ばい、借金を返しながら静かに積み上がる 利益 36 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,557 円505 億円
家庭用日用雑貨も清掃用品も、市場は人口減で実質 3〜4% ほど縮む。シェアは今のまま守り、価格は物価の 3% ではなく 2.7% 程度の上昇にとどまる。百円ショップの価格帯が上げにくいためだ。営業利益率は 6% 台前半と、足元とほぼ変わらない。利益の約 3 割を配当に回し、残りで借金を返す。10 年で借金はほぼ消えるが、自己資本が増えるぶん ROE は 6% 前後に下がる。特別な事件は起きない。国内の人口減による量の縮小と、物価に届かない値上げ、それでも保たれる利益率が重なる。大口の取引先との関係は安定し、新製品で稼ぎ口を入れ替えながら、売上は物価に近い率で緩やかに伸びる。売上は伸びても利益の厚みは増えず、「安定しているが稼ぐ力は伸びない会社」として10年が過ぎる。
- 家庭用日用雑貨品:数量 5,820(国内の家庭用日用雑貨の市場(億円、今の値段で測った実質))× 価格 6.1%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 価格の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 354 億円・営業利益 23 億円。市場(実質)× シェア。百円ショップ向けの家庭雑貨が中心
- 清掃・衛生用消耗品:数量 5,280(国内の掃除・衛生用消耗品の市場(億円、今の値段で測った実質))× 価格 6.2%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 価格の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 329 億円・営業利益 19 億円。市場(実質)× シェア。掃除・衛生用品
- その他(殺虫剤・ドリンク剤ほか):数量 3,000(関連する国内市場(殺虫剤・ドリンク剤ほか、億円、今の値段で測った実質))× 価格 6.2%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 物価の倍率。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 186 億円・営業利益 13 億円。殺虫剤・ドリンク剤・キャラクター関連など
倍率:事業の純利益 36 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.0% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 441 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の利益率 6% 台が続き、借金を返しながら利益が物価並みに伸びる形を最も起こりやすいとした。2023 年 3 月期に 1.6% まで落ちた記憶があるため、確率は 4 割を切る。
やや悲観 26% 百円ショップ大手との取引条件が厳しくなり、利益率が 4% 台に戻る 利益 21 億円 · PER 4.8 倍 · 株価時価総額 484 円157 億円
百円ショップ大手が自社企画品を増やし、当社への発注条件が厳しくなる。市場の縮小とシェアの低下が重なり、売上は物価ほど伸びない。原材料高を売値に乗せ切れない期が続き、営業利益率は 4% 台に落ちる。キャラクター関連の新製品も当たり外れが大きく、安定した稼ぎにならない。借金の返済は遅れ、金利の上昇が利益を削る。配当は性向 3 割を守るが、積み上げは小さい。新製品の投入は続くが、金型や広告の先行費用が利益を圧迫する。顧客の大手に対する交渉力は弱いままで、値上げは通りにくい。従業員の削減や工場の統合といったコスト削減で下支えするが、構造の弱さまでは解消できない。
- 家庭用日用雑貨品:数量 5,700(国内の家庭用日用雑貨の市場(億円、今の値段で測った実質))× 価格 5.7%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 価格の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 323 億円・営業利益 15 億円。市場(実質)× シェア。百円ショップ向けの家庭雑貨が中心
- 清掃・衛生用消耗品:数量 5,170(国内の掃除・衛生用消耗品の市場(億円、今の値段で測った実質))× 価格 5.8%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 価格の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 298 億円・営業利益 12 億円。市場(実質)× シェア。掃除・衛生用品
- その他(殺虫剤・ドリンク剤ほか):数量 2,910(関連する国内市場(殺虫剤・ドリンク剤ほか、億円、今の値段で測った実質))× 価格 5.8%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 物価の倍率。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 169 億円・営業利益 8 億円。殺虫剤・ドリンク剤・キャラクター関連など
倍率:ROE 3.8% が k 8.25% 以下で、ためた利益は額面を下回る価値。PER は 1÷k = 12.1 倍が上限で、目減りは ROE÷k = 0.46 に比例する。純有利子負債が重く、売れる資産から借金を引いた床は薄いので、稼ぐ力から置いた。 利益の質(大口 2 社への集中、原材料高の転嫁の遅れ)を見て、上限の 85% の 4.8 倍に置いた。
確率:2023 年 3 月期に原材料高と円安で利益率が 1.6% まで落ちた実績がある。大口 2 社が売上の 46% を占め、値上げの交渉力が弱いことから、強気の筋書きよりやや厚く置いた。
悲観 10% 大口顧客の内製化と原価高で、再び赤字すれすれの会社に戻る 利益 3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 105 円34 億円
大手顧客が当社の主力製品を自社で企画・調達する形に切り替え、取引量が大きく減る。国内の工場は稼働が落ち、固定費が重くなる。原材料と為替の悪化を売値に転嫁できず、営業利益率は 2023 年 3 月期のような 1% 台に戻る。借金が重く残り、金利の上昇が利益を食う。経営の再建のために事業を売却し、規模は縮む。減損も出て、会社の価値は主に残った資産で測られる。従業員と拠点の整理が進み、規模は今より縮む。借金の返済を優先して配当は性向の下限を守れず、株主還元は細る。2023 年 3 月期の苦しさの再来で、財務が最大の論点になる筋書きだ。
- 家庭用日用雑貨品:数量 5,520(国内の家庭用日用雑貨の市場(億円、今の値段で測った実質))× 価格 5.2%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 価格の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 285 億円・営業利益 4 億円。市場(実質)× シェア。百円ショップ向けの家庭雑貨が中心
- 清掃・衛生用消耗品:数量 4,950(国内の掃除・衛生用消耗品の市場(億円、今の値段で測った実質))× 価格 5.1%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 価格の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 254 億円・営業利益 3 億円。市場(実質)× シェア。掃除・衛生用品
- その他(殺虫剤・ドリンク剤ほか):数量 2,820(関連する国内市場(殺虫剤・ドリンク剤ほか、億円、今の値段で測った実質))× 価格 5.1%(実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 物価の倍率。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 143 億円・営業利益 4 億円。殺虫剤・ドリンク剤・キャラクター関連など
倍率:悲観は事業の純利益が 3 億円に満たず、PER で置くと価値がほぼゼロになる。値は稼ぐ力(純利益 ÷ k で 34 億円)までとし、減損後の自己資本 380 億円に掛けた PBR 0.09 倍で置いた(やや悲観の PBR より低い)。純有利子負債が重く、売れる資産から借金を引いた床は薄いので、床を別に足していない。借金を含む EV を営業利益で割ると高く出るが、悲観は営業利益が小さい前提なので、倍率で割安・割高を言わない。
確率:大口顧客が自社企画品を増やし、取引条件が悪化する筋書き。借金が重い会社でこれが起きれば財務が痛むため無視できないが、顧客の取引は長く続いてきたので 1 割にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
家庭用日用雑貨品
百円ショップ向けを中心とする家庭の雑貨、キャラクター関連商品。
| 数量国内の家庭用日用雑貨の市場(億円、今の値段で測った実質) | 価格実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 価格の指数。10 年の中立は 1.30 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6,000 | 4.7% | 281 | 17 |
| 10 年後 中立 | 5,820 | 6.1% | 354 | 23 |
取り方:製品区分は開示、利益は区分別に非開示のため、全社の営業利益 41.4 億円を売上に近い比で配分した推定。市場規模は百円ショップとホームセンター向けの家庭雑貨を約 6,000 億円と推定し、シェアは約 4.7%。数量は実質、価格は物価の指数。
清掃・衛生用消耗品
「激落ちくん」を中心とした掃除用品、衛生用消耗品。
| 数量国内の掃除・衛生用消耗品の市場(億円、今の値段で測った実質) | 価格実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 価格の指数。10 年の中立は 1.30 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5,500 | 4.8% | 264 | 15 |
| 10 年後 中立 | 5,280 | 6.2% | 329 | 19 |
取り方:掃除・衛生用消耗品の国内市場を約 5,500 億円と推定し、当社売上からシェアは約 4.8%。利益は配分した推定。
その他(殺虫剤・ドリンク剤ほか)
バルサンなどの殺虫剤、ドリンク剤、キャラクター関連のその他商品。
| 数量関連する国内市場(殺虫剤・ドリンク剤ほか、億円、今の値段で測った実質) | 価格実質の市場に対する当社売上の比率(シェア × 物価の倍率。10 年の中立は 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,000 | 4.6% | 139 | 9 |
| 10 年後 中立 | 3,000 | 6.2% | 186 | 13 |
取り方:殺虫剤・ドリンク剤などの国内市場を約 3,000 億円と推定し、当社売上からシェアは約 4.6%。推定値で、競合はアース製薬・大日本除虫菊・フマキラーなど。
リスクと懸念
大口顧客への依存
ダイソーとセリアの 2 社で売上の約 46% を占める。取引条件の変更や自社企画品の拡大が起きれば、売上と利益が一度に減る。値上げの交渉力は相手が握っている。
原材料・為替・物流費
樹脂や紙などの原材料は円安とナフサ価格に左右される。2023 年 3 月期は営業利益率が 1.6% まで落ちた。転嫁が遅れる期は再び起こりうる。
新製品の当たり外れ
足元の増益はキャラクター関連の新製品に支えられている。流行が去れば、金型代などの先行費用が残り、利益が落ちる。
借金と金利
純有利子負債は 207 億円と時価総額の 3 分の 2。金利が上がれば支払利息が増え、利益を削る。返済の速さが、財務の余裕を決める。
中国の生産体制
生産の多くを中国の協力工場と上海の子会社が担う。政治や規制の変化、人件費の上昇は、原価を直撃する。
国内市場の縮小
人口減少で家庭用品の数量は伸びない。百円ショップの出店が止まれば、当社の取引量も頭打ちになる。
今後の分かれ目
- キャラクター関連の新製品が定番化し、営業利益率が 8% に近づいたら
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。ただし顧客集中は変わらないため、堀の評価は据え置く。
- 百円ショップ大手が自社企画品を増やし、当社への発注が減り始めたら
- やや悲観・悲観の確率を上げる。取引の減少は売上比 46% の相手から起きる。
- 原材料高や円安で営業利益率が再び 3% を割ったら
- 利益の質への疑いが強まり、悲観側の確率を上げる。
- 借金の返済が計画より早く進み、純有利子負債が半分になったら
- 金利の影響が薄れ、中立の純利益を押し上げる。
- 配当性向の引き上げや自社株買いが発表されたら
- ためた利益の稼ぎが資本コストに届かないため、還元の増加は価値を増やす方向に働く。
- 第三者による買収提案が出たら
- 借金が重く資産が薄いため、買い手の条件次第。TOB の確率は別に評価し直す。
見ておくもの
- ダイソー・セリア向けの売上と取引条件
- 営業利益率(四半期)
- キャラクター関連の売上の推移
- 純有利子負債と支払利息
- 中国・タイ工場の原価と為替
倍率と資本コストの決め方
セグメント別の利益は開示されないため、製品区分に配分した推定を使った。市場規模とシェアも推定で、実質の数量と物価並みの価格に分けた。価格は百円ショップの価格帯の制約から、中立では物価の 3% より低い 2.7% 程度の上昇とした。倍率は ROE が k を下回るので 1÷k に ROE÷k を掛けて目減りさせた。今の株価や過去の倍率には寄せていない。新リース会計基準の影響は、物流拠点の賃借が増える分だけ数字の形が変わる点に注意するが、10 年後の数字は今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.59→12.41 倍・やや楽観 PER 9.16→12.12 倍・中立 PER 7.93→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.75% = 8.25%。利益率の振れや顧客の偏りは筋書きと確率で表し、k には重ねない。