結論
ヤマト モビリティ & Mfg. は、事務機の樹脂部品の成形と、物流のかご台車を作る小さな会社だ。中国の子会社を手放し、中古トラックを電気で走るように作り替える EV の事業に賭けている。筆者の結論は割高である。本業の稼ぎは細く、EV は赤字の段階で、純資産は 5 億円ほどしか残っていない。
樹脂の成形はリコー系の顧客に頼り、事務機の市場とともに細る。かご台車は物流の人手不足で需要が底堅いが、規模は 20 億円ほどだ。EV は大手の顧客をつかんだと会社は言うが、2026 年 3 月期の売上は 0.3 億円で、損は 4 億円を超えた。
何より重いのは、銀行との約束だ。純資産を前期末の 75% 以上に保ち、経常の赤字を 2 期続けないことが、借入の条件になっている。今期も赤字なら、借金を一度に返せと言われかねない。EV が当たれば大きいが、その前に資本が尽きる道も広い。筆者は、かご台車という堅い事業を持ちながら、賭けの重さに資本が釣り合っていないと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ヤマト モビリティ & Mfg. は「よく分からない賭けを、薄い資本で張る会社」だ。オーナーとして見ると、10 年後にこの事業が今より強いかを自信を持って言えない。それだけで、持ちたい会社の条件から外れる。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える現金は、この 10 年ほとんど生まれていない。樹脂の成形は顧客に値段を決められ、設備の更新に現金が出ていく。かご台車の黒字は小さく、EV の赤字を埋めきれない。
資本の配分にも疑問が残る。中国の子会社は損を出して手放し、純資産は 1 年で半分以下になった。その穴を株の発行で埋めれば、今の株主の取り分が減る。EV が成功すれば大きな値打ちが生まれるが、その値打ちは新しく株を受け取る人と分け合うことになる。
安全域、つまり払う値段と本質価値の差は無い。今の時価総額は純資産の 1.6 倍で、資本の薄さを考えれば、事業の価値に借金の約束という重しが乗っている。
何で稼ぐ会社か
事業は三つある。いちばん大きいのは合成樹脂の成形だ。埼玉の川越・岡部・三芳の工場で、事務機やプリンターの外装や部品を射出成形で作る。売上の 4 分の 1 近くがリコー系の顧客向けである。2025 年 8 月に中国の子会社 3 社の持分を手放し、残る国内の事業は年 50 億円ほどの規模になった。
二つ目は物流機器で、スーパーや宅配の倉庫で荷物を運ぶかご台車やパレットを作る。売上は約 20 億円で、樹脂の部品より利益率が高い。運転手や倉庫の人手が足りないほど、荷物をまとめて運ぶ道具の需要は増える。
三つ目が新しい EV の事業だ。耐久性のある国産の中古トラックの車体に、安くて性能のよい EV の部品を組み合わせ、電気で走るトラックに作り替える。リチウム電池のモジュールも売る。大手の顧客から受注をつかみ、試乗会も開いたが、売上はまだ小さく、損が大きい。
筆頭の株主は 27% を持つ IAT で、資本と業務で提携している。社名を 2024 年に今の名に変え、樹脂の会社から乗り物の会社へ変わろうとしている。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは見当たらない。樹脂の成形は、型と成形機があればどこでもできる仕事で、顧客が値段を決める。事務機は紙を使わない流れで市場が細り、部品の注文も減っていく。
かご台車には小さな強みがある。物流の現場で長く使われ、壊れにくさと補修の対応で顧客をつかんでいる。ただ、競合も多く、鉄や樹脂の値上がりを値段に写すのは簡単ではない。
資本効率は悪い。過去 10 年の ROE の中央値はマイナス 13% で、赤字の年が 6 回ある。2026 年 3 月期は中国の子会社の処理で 8 億円の純損失を出し、純資産は 14 億円から 6 億円に減った。新株予約権の行使で株を出し、資本を補っている。
経営は大きく舵を切っている。中国から手を引き、EV に資源を寄せる判断は筋が通る面もある。しかし、薄い資本で新しい事業を育てるには時間が足りない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
事務機の市場は長く縮む。オフィスで紙を使う量が減り、複合機の台数も減っている。部品を作る会社は、顧客の生産の海外移転と台数の減少の両方に押される。この会社が中国の子会社を手放したのも、その流れの中にある。
物流機器は逆に追い風を受ける。2024 年から運転手の残業に上限ができ、荷物を手で積み下ろす手間を減らす道具の需要が増えた。かご台車は宅配やスーパーの物流に欠かせず、量は人手不足とともに底堅い。値段は鉄や樹脂の値上がりを追って上がる。
EV のトラックは、国が脱炭素で後押しする分野だ。ただ、新車の EV トラックは三菱ふそうやいすゞ、トヨタ系の日野も出しており、海外では中国の BYD が安い車で攻めてくる。中古のトラックを作り替える事業は、新車より安いことが売りだが、量を作れるかと電池の値段の下落が勝負を決める。
10 年の中立では、樹脂の量は 1 割ほど減り、かご台車は少し増え、EV は小さな事業として残ると見る。樹脂の原料のナフサは中東の情勢で値上がりしており、値段への転嫁の遅れも本業の利益を削る。
資本政策と M&A
還元は無い。普通株の配当は 2026 年 3 月期も無配で、今期も未定だ。純資産が 5 億円ほどまで減った今、配当より資本の立て直しが先になる。株主優待も無い。
資本は株を出して補っている。2026 年 3 月期に発行済の株は 2 割増え、2026 年 4〜6 月にも新株予約権の行使で 4 万株近くが増えた。IAT は 27% を持つ筆頭の株主で、保有を 33% まで高められる約束を結んでいる。今後も増資で株が増えれば、今の株主の取り分は薄まる。
借入には厳しい条件が付く。22.7 億円の協調融資は工場の土地と建物が担保で、純資産を前期末の 75% 以上に保つことと、経常の赤字を 2 期続けないことが求められる。上場の基準も、流通株の時価総額が足りず、2027 年 3 月までに満たす必要がある。
IAT による買い増しや、EV の提携先による買収の可能性はある。筆者はこの上振れを筋書きに入れていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
痛みを伴う整理は終わった。中国の子会社を手放したことで売上は減ったが、赤字の源も消えた。2026 年 4〜6 月は樹脂も物流機器も黒字で、営業の赤字は EV の分だけになった。会社は今期に営業黒字への復帰を見込む。
かご台車は時代の追い風を受ける。物流の 2024 年問題で運転手と倉庫の人手が足りず、荷物をまとめて運ぶ道具の需要は伸びる。4〜6 月も大口の受注で売上と利益が増えた。この事業だけでも、会社の土台を支える力がある。
EV のトラックは大きな市場だ。新車の EV トラックは高く、中古の車体を作り替える方法は運送会社にとって安い選択肢になる。大手の顧客の受注をつかみ、リース会社とも組む。年に数百台の作り替えに乗れば、売上は今の会社の規模に並ぶ。IAT という資本の後ろ盾もあり、必要なら資金を出してもらえる。今の時価総額 9 億円は、その可能性に比べて小さい。上場の基準を満たすための株主の数の拡大も、会社が自ら手を打っている。
慎重な見方
資本が先に尽きる。純資産は 5 億円ほどで、2026 年 3 月期だけで 8 億円減った。銀行との約束は、純資産を前期末の 75% 以上に保ち、経常の赤字を 2 期続けないことだ。今期の会社の見込みでも経常の黒字は 0.4 億円にすぎず、少し下振れすれば約束を破る。そうなれば銀行は返済を求めうる。
EV は甘くない。三菱ふそうやいすゞ、日野が新車の EV トラックを出し、中国の BYD は安い車で日本に入ってくる。電池の値段が下がるほど、中古の作り替えの安さという売りは薄れる。2026 年 3 月期の EV の売上は 0.3 億円で、損は 4 億円を超えた。量産の前に資金が続くかが問題だ。
本業も細る。事務機の部品は紙を使わない流れで減り、顧客が値段を決める。かご台車の黒字は年 0.5 億円ほどで、EV の赤字の 1 割にしかならない。資本の穴は株の発行で埋めるしかなく、今の株主の取り分は薄まり続ける。上場の基準も満たしておらず、2027 年 3 月までに直せなければ上場が危うくなる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。整理の後の本業が黒字に戻ったのは事実だが、規模は小さく、EV の赤字と利息を支えるには足りない。銀行との約束と上場の基準という二つの期限が近く、EV が花開く前に資本が尽きる道は広い。確率は中立とやや悲観を厚くし、悲観にも 2 割近くを置いた。楽観は EV が大きく育つ狭い道として小さく残した。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 852 円14 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 33 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 320 円5 億円、今との差 −41.0%、 期待の年率 +5.0%(資本コスト 11.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 4,536 円75 億円 | 218 円4 億円 | +777.2% | +24.3% | 333 円5 億円 |
| やや楽観 | 15% | 1,501 円25 億円 | 55 円1 億円 | +187.1% | +11.1% | 233 円4 億円 |
| 中立 | 35% | 764 円13 億円 | 27 円0 億円 | +46.1% | +3.9% | 277 円5 億円 |
| やや悲観 | 25% | 156 円3 億円 | 0 円0 億円 | −71.3% | −11.7% | 39 円1 億円 |
| 悲観 | 18% | 16 円0 億円 | 0 円0 億円 | −97.1% | −29.8% | 3 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 852 円14 億円 | 33 円1 億円 | +63.3% | +5.0% | 885 円15 億円 |
今の株価時価総額 542 円9 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 11.0% を下回るほど割高。
楽観 7% EV トラックが大きな事業に育つ 利益 6 億円 · PER 12.0 倍 · 株価時価総額 4,536 円75 億円
大手の運送会社とリース会社が、中古トラックの EV 化を安い脱炭素の手段として選ぶ。作り替えは年 1,500 台に増え、電池のモジュールの販売も伸びる。EV の事業は売上 100 億円近くに育ち、利益率は 6% に乗る。
かご台車は物流の人手不足で台数を伸ばし、樹脂の成形も新しい顧客を得て量を少し増やす。会社の営業利益は 10 億円近くになり、借金も返していく。
ただし、ここまでの道のりで株を何度か出し、今の株主の取り分は 1 割ほど薄まる。配当は 10 年目にようやく戻る。IAT は保有を 3 分の 1 まで高め、経営への影響を強める。
- 合成樹脂成形(事務機の部品など):数量 2,600(成形品の出荷量(トン、推定))× 価格 0.03(1 トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 70 億円・営業利益 2 億円。2,600 トン × 1 トン 268 万円、利益率 3.5%
- 物流機器(かご台車・パレットなど):数量 85,000(かご台車などの出荷台数(台、推定))× 価格 0.00(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 34 億円・営業利益 2 億円。8.5 万台 × 1 台 4.0 万円、利益率 5%
- EV(中古トラックの EV 化・電池モジュール):数量 1,500(EV に作り替えたトラックの台数(台、推定))× 価格 0.06(1 台あたりの売上(億円・名目、電池の販売を含む))→ 売上 97 億円・営業利益 6 億円。1,500 台 × 1 台 648 万円、利益率 6%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 39.7% が k 11.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 25.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.0 倍。全体の PER 12.03 倍、時価総額 77 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:EV の作り替えが年 1,500 台規模に育ち、本業も伸びる筋書き。今の EV の売上は 0.3 億円で、量産と資金の両方を越える必要があり、低く置いた。
やや楽観 15% EV が小さく黒字化し、本業が支える 利益 2 億円 · PER 11.2 倍 · 株価時価総額 1,501 円25 億円
EV の作り替えは年 500 台ほどに育ち、小さな黒字になる。大手の顧客の受注が続き、リース会社と組んだ販売も軌道に乗る。
かご台車は物流の人手不足で台数を 2 割近く伸ばし、値上げも通る。樹脂の成形は事務機の縮小に押されるが、新しい顧客で量をほぼ保つ。会社の営業利益は 4 億円を超え、利息を払っても黒字が続く。
銀行との約束は守られ、上場の基準も満たす。ただし、その途中で株を出して資本を補い、今の株主の取り分は少し薄まる。配当は小さく戻る。かご台車と EV という二つの柱で、樹脂の縮小を補える会社に変わる。
- 合成樹脂成形(事務機の部品など):数量 2,500(成形品の出荷量(トン、推定))× 価格 0.03(1 トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 67 億円・営業利益 2 億円。2,500 トン × 1 トン 268 万円、利益率 3%
- 物流機器(かご台車・パレットなど):数量 80,000(かご台車などの出荷台数(台、推定))× 価格 0.00(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。8 万台 × 1 台 4.0 万円、利益率 4.5%
- EV(中古トラックの EV 化・電池モジュール):数量 500(EV に作り替えたトラックの台数(台、推定))× 価格 0.06(1 台あたりの売上(億円・名目、電池の販売を含む))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。500 台 × 1 台 648 万円、利益率 3%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 25.9% が k 11.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 18.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.2 倍。全体の PER 11.19 倍、時価総額 28 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:EV が年数百台の規模で黒字になり、かご台車と樹脂の黒字が続く筋書き。整理の後の本業の黒字は確かで、相応の確率を置いた。
中立 35% 本業で細く黒字、EV は小さく残る 利益 1 億円 · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 764 円13 億円
事務機の縮小で樹脂の量は 1 割ほど減るが、値段は物価並みに上がり、小さな黒字を保つ。かご台車は物流の人手不足を追い風に台数を少し伸ばす。
EV は年 150 台ほどの作り替えにとどまり、損益はとんとんになる。新車の EV トラックと中国の安い車に押され、大きな事業にはならない。会社の営業利益は 3 億円ほどで、利息を払った後の純利益は 1 億円強だ。
前半の赤字で純資産は一度細るが、銀行との約束はぎりぎり守られる。株の発行で資本を補い、今の株主の取り分は 1 割ほど薄まる。配当はわずかにとどまる。
- 合成樹脂成形(事務機の部品など):数量 2,300(成形品の出荷量(トン、推定))× 価格 0.03(1 トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 62 億円・営業利益 2 億円。2,300 トン × 1 トン 268 万円、利益率 2.5%
- 物流機器(かご台車・パレットなど):数量 75,000(かご台車などの出荷台数(台、推定))× 価格 0.00(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 30 億円・営業利益 1 億円。7.5 万台 × 1 台 4.0 万円、利益率 4%
- EV(中古トラックの EV 化・電池モジュール):数量 150(EV に作り替えたトラックの台数(台、推定))× 価格 0.06(1 台あたりの売上(億円・名目、電池の販売を含む))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。150 台 × 1 台 648 万円、利益率 0%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 32.4% が k 11.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 21.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.7 倍。全体の PER 11.65 倍、時価総額 14 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:樹脂とかご台車の黒字が続き、EV は小さな事業にとどまる筋書き。整理の後の 2026 年 4〜6 月の姿に近く、いちばん起こりやすいと見た。
やや悲観 25% EV から手を引き、本業だけが残る 利益 0 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 156 円3 億円
EV の受注は広がらず、赤字が 2〜3 年続いた後に事業を畳む。撤退の損で純資産はほぼ底をつき、銀行との約束を守れなくなる。銀行と条件を話し直し、IAT など大株主の出資で資本を補うが、株は大きく増える。
樹脂の成形は事務機の縮小で量が 2 割減る。かご台車は黒字を保つが、規模は小さい。会社の営業利益は 1 億円台で、利息を払うとほとんど残らない。
事業は続くが、今の株主の取り分は増資で大きく薄まり、配当も戻らない。かご台車の黒字だけでは、細った樹脂と借金の利息を支えきれない。上場の基準を満たせるかも危うくなる。
- 合成樹脂成形(事務機の部品など):数量 2,000(成形品の出荷量(トン、推定))× 価格 0.03(1 トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 54 億円・営業利益 1 億円。2,000 トン × 1 トン 268 万円、利益率 1.5%
- 物流機器(かご台車・パレットなど):数量 70,000(かご台車などの出荷台数(台、推定))× 価格 0.00(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 28 億円・営業利益 1 億円。7 万台 × 1 台 4.0 万円、利益率 3%
- EV(中古トラックの EV 化・電池モジュール):数量 0.0(EV に作り替えたトラックの台数(台、推定))× 価格 0.05(1 台あたりの売上(億円・名目、電池の販売を含む))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。EV から撤退
倍率:EV÷営業利益は 20 倍台で、利息を払うと利益がほとんど残らない。純資産が撤退の損でほぼ消えるので PBR で、今の自己資本 5.7 億円に掛けた。稼ぐ力(純利益 0.4 億円÷k)は約 3.6 億円だが、増資で今の株主の取り分が薄まるので、その手前の 0.5 倍に置いた。
確率:EV の赤字が続いて撤退し、細った本業だけが残る筋書き。今の EV の赤字の大きさと銀行との約束の近さから、楽観側より厚く置いた。
悲観 18% 借入の約束を破り、事業を切り売りする 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 16 円0 億円
2027 年 3 月期も経常の赤字に終わり、銀行との約束を破る。銀行は返済を求め、会社は工場の土地や物流機器の事業を売って借金を返す。上場の基準も満たせず、上場の維持が危うくなる。
EV は資金が続かずに止まり、樹脂の成形も顧客の離反で細る。純資産は消え、救済の出資で株は何倍にも増える。
今の株主に残るのは、借金を返した後のわずかな値打ちを、新しい株主と分け合った残りだけだ。かご台車という良い事業を持ちながら、薄い資本で大きな賭けを張った結果の負け方である。中国から手を引いた判断そのものは正しくても、残った資本が薄すぎた。
- 合成樹脂成形(事務機の部品など):数量 1,500(成形品の出荷量(トン、推定))× 価格 0.03(1 トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 39 億円・営業利益 −1 億円。1,500 トン × 1 トン 260 万円、利益率 −2%
- 物流機器(かご台車・パレットなど):数量 60,000(かご台車などの出荷台数(台、推定))× 価格 0.00(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円。6 万台 × 1 台 3.9 万円、利益率 2%
- EV(中古トラックの EV 化・電池モジュール):数量 0.0(EV に作り替えたトラックの台数(台、推定))× 価格 0.05(1 台あたりの売上(億円・名目、電池の販売を含む))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。EV は停止
倍率:赤字なので PBR で、今の自己資本 5.7 億円に掛けた。借入の約束を破って資産を売り、救済の増資で株が大きく増えるので、今の株主に残るのはわずかと見て 0.05 倍に置いた。
確率:経常の赤字が 2 期続いて借入の約束を破り、工場や事業を売る筋書き。今期の見込みの経常黒字が 0.4 億円と薄く、無視できない確率を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
合成樹脂成形(事務機の部品など)
埼玉の工場で事務機やプリンターの外装・部品を射出成形する。中国の子会社は 2025 年に手放した。
| 数量成形品の出荷量(トン、推定) | 価格1 トンあたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,600 | 0.02 | 52 | 1 |
| 10 年後 中立 | 2,300 | 0.03 | 62 | 2 |
取り方:中国の子会社を除いた年率で置いた(2026 年 4〜6 月の売上 12.87 億円・利益 0.25 億円の 4 倍)。出荷量は開示されていないので、成形品の平均を 1 トン 200 万円前後と見て約 2,600 トンと推定した。物価は 1 トンあたりの売上に入れる。
物流機器(かご台車・パレットなど)
物流の現場で荷物を運ぶかご台車やパレットを作る。
| 数量かご台車などの出荷台数(台、推定) | 価格1 台あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 68,000 | 0.00 | 21 | 0 |
| 10 年後 中立 | 75,000 | 0.00 | 30 | 1 |
取り方:台数は開示されていない。かご台車の平均を 1 台 3 万円前後と見て、売上 20.5 億円から約 6.8 万台と推定した。物価は 1 台あたりの売上に入れる。
EV(中古トラックの EV 化・電池モジュール)
国産の中古トラックを EV に作り替える受託と、リチウム電池モジュールの販売。
| 数量EV に作り替えたトラックの台数(台、推定) | 価格1 台あたりの売上(億円・名目、電池の販売を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5.0 | 0.05 | 0 | −4 |
| 10 年後 中立 | 150 | 0.06 | 10 | 0 |
取り方:台数は開示されていない。小型トラックの作り替えを 1 台 540 万円前後と見て、売上 0.27 億円から約 5 台と推定した。電池が安くなる分、1 台の値段は物価ほどには上がらないと見る。
リスクと懸念
借入の約束(財務制限条項)
22.7 億円の協調融資には、純資産を前期末の 75% 以上に保つことと、経常の赤字を 2 期続けないことが条件として付く。今期の見込みの経常黒字は 0.4 億円と薄く、下振れすれば銀行が返済を求めうる。
EV の事業の不確かさ
中古トラックの EV 化は、新車の EV トラック(三菱ふそう・いすゞ・日野)や中国の安い車と競う。電池が安くなるほど作り替えの安さは薄れる。2026/03 期の EV の損は 4 億円を超えた。
増資による希薄化
純資産が薄く、資本は株の発行で補うしかない。2026/03 期に株は 2 割増え、新株予約権の行使も続く。悪い筋書きほど、安い値段で大きく株が増える。
上場維持基準
2026 年 3 月末で流通株式の時価総額がスタンダードの基準に足りず、2027 年 3 月までに満たす必要がある。満たせなければ上場廃止の道に入る。
事務機の市場と顧客の集中
樹脂の成形は事務機の部品が中心で、売上の 4 分の 1 近くがリコー系の顧客向けだ。紙を使わない流れで市場は細り、顧客が値段を決める。
今後の分かれ目
- 2027 年 3 月期に経常の黒字を確保したら
- 借入の約束の危険が遠のくので、悲観の確率を下げる。
- 経常の赤字が 2 期続いたら
- 借入の約束を破るので、悲観に重みを大きく移す。銀行との話し合いと増資の条件を見る。
- EV の作り替えの受注が年 100 台を超えたら
- EV が事業として立ち上がったと見て、やや楽観の確率を上げる。
- IAT が保有を 3 分の 1 まで高め、資金を出したら
- 資本の危機は和らぐが、希薄化の程度を見て取り分(holder_share)を直す。
- 2027 年 3 月までに上場維持基準を満たせなかったら
- 上場廃止の手続きに入るので、分析の前提を見直す。
見ておくもの
- 経常損益と純資産(借入の約束の 75% の線)
- EV の受注台数と損益
- 新株予約権の行使と発行済の株数
- かご台車の受注と利益率
- 上場維持基準の適合状況
倍率と資本コストの決め方
k は 11%(基本 7.5%+quality 2.5%+distress 1%)。中立・楽観は ROE が k を超えるので正当化 PER の式で出したが、その ROE は純資産の薄さで高く出ているので、中立は上限の 7.5 割に置いた。やや悲観・悲観は今の自己資本に PBR を掛け、増資と借入の約束の破れを入れた。今の PBR 1.6 倍・赤字の値付けには寄せていない。株の希薄化は holder_share 0.9 で表した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 8.85→12.03 倍・やや楽観 PER 8.95→11.19 倍・中立 PER 8.74→11.65 倍)。
資本コスト 11.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。