結論
ハーバー研究所は、無添加の化粧品ブランド「HABA」を、主に通信販売で売る会社だ。サメの肝油から生まれた美容オイルのスクワランで知られる。売上は121億円で、営業利益率は6%に戻ってきた。
筆者の結論は、今の値段はおおむね妥当というものだ。帳簿の上では安い。時価総額63億円に対し、純現金が45億円ある。だが、その現金が株主に戻る見込みは弱い。筆頭株主は創業者が設けた財団で、35%を持つ。配当性向は2割ほどにとどまる。
本業は立て直しの途中だ。2019年3月期に16%あった営業利益率は、訪日客の消失と通販の客離れで赤字に落ちた。店を閉じ、広告を絞り、品数を整理して、利益は戻った。ただ、売上は横ばいで、通販の新しい客は減っている。
筆者は、10年後の営業利益率を8%弱とみる。過去の山の半分ほどだ。海外の卸と新しいブランドが伸びる一方、通販の客の高齢化が重しになる。稼ぐ力から測った値段に、戻り方を割り引いた現金を足すと、今の時価総額とほぼ並ぶ。
安全域は、純現金が下値を支える点にある。ただし、現金の使い道を決めるのは財団と経営陣で、少数株主ではない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ハーバー研究所は「現金は厚いが、それを株主が使えない会社」だ。
10年後も存在するか。無添加の化粧品を選ぶ客は残り、HABAの名前も残る。答えはおそらく「はい」だ。堀は広がるか。無添加はもう珍しくなく、ネットの新しいブランドと広告で競う。広がるとは言いにくい。
オーナー利益、つまり設備の更新を引いて自由に使える利益は、年に7億円前後だ。立て直しが続けば10億円近くに届く。自己資本95億円に対しては、まだ薄い。
経営の資本の使い方には、注文を付けたい。純現金45億円は、売上121億円の通販の会社には多すぎる。自社株買いに回せば、ROE(自己資本に対する純利益の割合)は大きく上がる。だが、財団が筆頭株主である限り、その圧力はかかりにくい。
安全域はどうか。純現金が時価総額の7割を占め、下値は帳簿の上では堅い。ただ、現金は株主の手に戻らない限り、半分ほどの値打ちしか持たない。筆者は、事業の稼ぎと現金を合わせた値段は、今の時価総額とほぼ同じだとみる。現金が戻る道筋が見えた時に、初めて割安と言える。
何で稼ぐ会社か
ハーバー研究所は1983年、創業者の小柳昌之氏が始めた。防腐剤や鉱物油を使わない「無添加主義」を掲げ、肌に負担をかけない化粧品を売る。看板の商品は、サメの肝油から精製したスクワランのオイルだ。今は植物由来の原料も使う。美容液の「薬用ホワイトレディ」、化粧水の「Gローション」も主力である。
売り方の中心は通信販売だ。カタログとネットで客に直接届け、売上の57%を占める。客は長く使い続ける中高年の女性が多い。直営の店は4%に縮んだ。
残りの4割は卸だ。百貨店の売場向けが16%、ドラッグストアや海外の代理店などその他の卸が24%を占める。海外は中国の代理店を集約し、出荷が増えた。
健康食品も手がける。北海道のチシマザサを使ったエキスなど、化粧品の客に合わせて売る。
稼ぎ方は、通販の定期の客を長くつなぎとめる商売だ。新しい客を獲るには広告の費用がかかり、1人を獲る費用が上がると利益が削られる。会社はこの数年、広告を絞って利益を優先した。2027年3月期には、ドラッグストアなどの一般の店で売る新しいブランドを立ち上げる。連結の従業員は523人だ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、無添加という考え方への長年の信頼と、通販の固い客の層だ。スクワランのオイルを40年近く売り続け、敏感な肌の客に選ばれてきた。こうした客は、合う化粧品を簡単には変えない。
ただ、その堀は浅くなっている。無添加をうたう化粧品は今やどこにでもあり、ファンケルなど大手も同じ客を狙う。ネットでは新しいブランドが次々に生まれ、広告で客を奪い合う。通販の新しい客が減り、客の平均の年齢は上がっていく。
数字がそれを映す。営業利益率は2019年3月期の16%から、2023年3月期には赤字の5%まで落ちた。2024年3月期は大きな最終赤字を出した。売上は10年で年2%ずつ縮んだ。
立て直しの手は打たれた。不採算の店を閉じ、広告費を絞り、品数を減らして、営業利益率は6%に戻った。ただ、広告を絞れば新しい客はさらに減る。利益の回復と売上の伸びを両立できるかは、まだ見えない。
財務は非常に堅い。自己資本比率は76%、純現金は45億円ある。だが、それは稼ぐ力の強さというより、使わずにためてきた結果だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の化粧品の市場は、数量で見ればほぼ横ばいだ。人口が減る一方、男性や高齢の層の利用は増える。値段は、高い機能をうたう品で上がる。業界全体では、物価並みかそれを少し下回る値上げが続く。
通販の化粧品は、競争の形が大きく変わった。かつてはカタログとテレビで客を集めた。今はネット広告と交流サイトで、新しいブランドが少ない元手で参入する。客を1人獲る費用は上がり続け、ファンケル、DHC、再春館製薬所など古くからの通販の会社は、どこも新しい客の獲得に苦しむ。
訪日客の消費は戻ってきた。ただ、ハーバー研究所はコロナの前に空港や都心の店で訪日客に売っていたが、その店の多くを閉じた。訪日客の需要は、卸を通して取る形に変わった。
中国は、現地のブランドが育ち、日本の化粧品の勢いは落ちた。それでも、無添加や敏感な肌向けの日本製は、一定の客をつかむ。会社は代理店を集約して出荷を増やした。
10年で見ると、通販の固い客は年をとり、少しずつ減る。その減りを、海外の卸とドラッグストア向けの新しいブランドで埋められるかが勝負になる。筆者は、通販の客の数は1割減り、卸の数量は2割強増えるとみる。
資本政策と M&A
資本政策は、現金をためる方向に傾いている。純現金は45億円で、時価総額の7割に当たる。配当の総額は年1.5億円で、配当性向は2割ほどだ。自社株買いの大きな実績は見当たらない。
株主の構成が、この姿勢を説明する。筆頭株主は公益財団法人小柳財団で、35%を持つ。創業者の小柳昌之氏が2015年に株を移した。財団は配当を活動の資金にするので、安定した配当を望むが、自社株買いで現金を戻すことには積極的でない。買収の提案が来ても、財団の賛否が決め手になる。
株主優待は手厚い。100株以上の株主に、自社製品の割引券を年に額面2万円分贈る。会社の原価で見ると年0.3億円ほどと推定し、10年の還元に足した。
中期経営計画は、2028年3月期に売上160億円を掲げる。既存の事業を伸ばし、新しい事業を利益につなげる計画だ。ただ、2027年3月期の第1四半期は減収で営業赤字だった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は、帳簿の上では明らかに安い。時価総額63億円のうち、45億円が純現金だ。事業そのものには、20億円ほどの値段しか付いていない。その事業は、年7億円の営業利益を出している。
立て直しは数字に表れた。不採算の店を閉じ、広告を絞り、品数を整理して、営業利益は2期続けて増えた。2023年3月期の赤字から、営業利益率6%まで戻った。広告の効率を上げれば、利益率はさらに上がる。2019年3月期には16%あった。
伸びる芽もある。中国の代理店を集約して、海外の出荷が増えた。訪日客は過去最高の水準に戻り、日本製の無添加の化粧品を買う。2027年3月期には、ドラッグストア向けの新しいブランドを立ち上げる。通販だけに頼らない形に変わりつつある。
スクワランのオイルは40年近く売れ続けた定番だ。一度ついた客は、合う化粧品を簡単には変えない。この固い客の層が、利益の土台になる。
現金の使い道も、いずれ動く。資本効率を求める声は強まり、財団も配当の安定には関心がある。自社株買いや増配に動けば、現金の値打ちはそのまま株主に戻る。
慎重な見方
現金が厚いことと、株主のものになることは別だ。筆頭株主の財団は35%を持ち、配当の安定を望むが、自社株買いには積極的でない。配当性向は2割ほどで、純現金は積み上がる一方だ。少数株主には、その使い道を決められない。
本業の回復も、中身を見る必要がある。営業利益が増えたのは、広告を絞り、店を閉じたからだ。売上はほとんど増えていない。通販の新しい客は減り、会社自身もそれを認めている。広告を絞れば、数年後に客の数が細る。
通販の化粧品は、競争の形が変わった。ネットの新しいブランドが、少ない元手で客を奪う。客を1人獲る費用は上がり続け、ファンケルなど古い通販の会社はどこも苦しむ。HABAの客は中高年が中心で、年をとるにつれて減っていく。
2027年3月期の第1四半期は、売上が4%減り、営業赤字だった。2019年3月期の16%は、訪日客が空港や都心の店で買った時代の数字で、その店はもう閉じた。過去の山を回復の目安にするのは危うい。
新しいブランドも、ドラッグストアの棚は大手の陣地だ。新しい客の獲得に費用がかかり、また利益を削るかもしれない。
どちらに重みを置いたか
帳簿の安さは本物だが、現金が戻りにくいことを重く見る。財団が筆頭株主で配当性向が2割という事実が、現金の値打ちを半分に割り引く理由になった。本業では、広告を絞って出した利益が売上の伸びを伴わない点で、慎重な見方にやや分がある。
確率は、中立の38%を中心に、通販の客の減りを踏まえ、やや悲観をやや楽観より少し厚くした。純現金が下値を支えるので、悲観は12%にとどめた。資本政策が変われば、楽観の側を厚くする。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,689 円139 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 599 円23 億円)。 今の値に割り戻すと 2,073 円78 億円、今との差 +23.9%、 期待の年率 +9.9%(資本コスト 8.3%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 7,495 円283 億円 | 978 円37 億円 | +406.5% | +17.6% | 593 円22 億円 |
| やや楽観 | 20% | 5,483 円207 億円 | 740 円28 億円 | +272.0% | +14.0% | 1,245 円47 億円 |
| 中立 | 38% | 4,088 円155 億円 | 635 円24 億円 | +182.3% | +10.9% | 1,795 円68 億円 |
| やや悲観 | 23% | 1,926 円73 億円 | 450 円17 億円 | +42.0% | +3.6% | 546 円21 億円 |
| 悲観 | 12% | 595 円23 億円 | 317 円12 億円 | −45.5% | −5.9% | 109 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,689 円139 億円 | 599 円23 億円 | +156.3% | +9.9% | 4,288 円162 億円 |
今の株価時価総額 1,673 円63 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 海外と新ブランドが伸び、現金も戻る 利益 17 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 7,495 円283 億円
ドラッグストア向けの新しいブランドが定着し、海外の卸も中国と東南アジアで伸びる。卸の出荷個数は1.6倍、単価は1.35倍になる。通販は広告の効率が上がり、客の数は1割増える。1人あたりの購入額は物価をやや上回る1.38倍だ。
営業利益率は通販で10%、卸で12%、全社で11%台に戻る。2019年3月期の16%には届かないが、過去の平均を上回る。純利益は17億円近くになる。
資本政策も変わる。資本効率を求める声に応え、配当性向は3割近くに上がる。10年で優待を含め37億円ほどを配る。
HABAの名前は、無添加の定番として国内と海外で残る。財団が筆頭株主であることは変わらないが、現金を寝かせない経営に変わる。
- 通信販売・直営店:数量 66.0(年間の購入客数(万人))× 価格 16,840(1人あたりの年間購入額(円))→ 売上 111 億円・営業利益 11 億円。客数1.1倍・購入額1.38倍・利益率10%
- 卸(百貨店・その他・海外):数量 520(出荷個数(万個))× 価格 2,030(1個あたりの卸の平均価格(円))→ 売上 106 億円・営業利益 13 億円。個数1.6倍・単価1.35倍・利益率12%
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.3% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)22 億円。全体の PER 14.81 倍、時価総額 265 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:通販の客の減りを止め、海外の卸と新ブランドが同時に育つ必要がある。営業利益率10%台は2019年3月期の山の手前で、訪日客の店を閉じた今の形では届きにくい。
やや楽観 20% 立て直しが続き、利益率は9%台 利益 12 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 5,483 円207 億円
通販の客は1割ほど減るが、定期の客の購入額が物価並みに上がる。海外の卸と新しいブランドで、卸の出荷個数は4割強増える。単価は1.33倍だ。
営業利益率は通販で8%、卸で10.5%、全社で9%台になる。広告を戻しても、品数の整理で効率は保てる。純利益は12億円を超える。
配当性向は2割台にとどまり、10年で優待を含め30億円ほどを配る。純現金はさらに積み上がる。
ROEは7%台で、資本コストにわずかに届かない。事業は立ち直るが、厚すぎる現金が資本の効率を押し下げたままになる。
無添加の定番という看板は保たれ、訪日客も卸を通してHABAを買う。財団は安定した配当を受け取り、経営に大きな変化は求めない。
- 通信販売・直営店:数量 57.0(年間の購入客数(万人))× 価格 16,400(1人あたりの年間購入額(円))→ 売上 93 億円・営業利益 7 億円。客数0.95倍・購入額1.34倍・利益率8%
- 卸(百貨店・その他・海外):数量 460(出荷個数(万個))× 価格 2,000(1個あたりの卸の平均価格(円))→ 売上 92 億円・営業利益 10 億円。個数1.43倍・単価1.33倍・利益率10.5%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.1% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)22 億円。全体の PER 13.82 倍、時価総額 187 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店の整理と広告の効率化は実行済みで、2期続けて増益。海外の卸は代理店の集約で増えている。過去の平均の利益率に戻る姿は届く範囲。
中立 38% 通販は細り、卸が埋める 利益 9 億円 · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 4,088 円155 億円
通販の客は高齢化で1割減る。1人あたりの購入額は値上げで1.32倍になるが、物価には少し届かない。海外の卸と新しいブランドで、卸の出荷個数は1.24倍、単価は1.30倍になる。
営業利益率は通販で6.5%、卸で9%、全社で7.7%だ。過去の山の半分にとどまる。広告を戻す年と絞る年を繰り返し、客の数の減りを緩やかにする。
純利益は9億円強。配当性向は2割台で、10年で優待を含め24億円ほどを配る。株主優待は年0.3億円ほどの原価で続く。
ROEは6%前後で、資本コストを下回る。純現金は積み上がり、財団が筆頭株主のまま、使い道は決まらない。事業は安定するが、株主の値打ちは現金の扱いに左右される。
- 通信販売・直営店:数量 54.0(年間の購入客数(万人))× 価格 16,100(1人あたりの年間購入額(円))→ 売上 87 億円・営業利益 6 億円。客数0.9倍・購入額1.32倍・利益率6.5%
- 卸(百貨店・その他・海外):数量 400(出荷個数(万個))× 価格 1,950(1個あたりの卸の平均価格(円))→ 売上 78 億円・営業利益 7 億円。個数1.24倍・単価1.30倍・利益率9%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.0% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)22 億円。全体の PER 12.65 倍、時価総額 134 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:通販の新しい客の減りは会社も認める事実で、卸と海外の伸びがそれを埋める形が最も自然。利益率は広告を絞った今の6%から少し上がる程度。
やや悲観 23% 広告を戻しても客が減り、利益率は3%台 利益 5 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 1,926 円73 億円
通販の新しい客が獲れず、客の数は2割強減る。広告を戻しても、獲る費用が高く利益にならない。購入額は1.25倍にとどまる。
新しいブランドはドラッグストアの棚で大手に押され、卸の出荷個数はほぼ横ばいだ。単価は1.20倍になる。
営業利益率は通販で3%、卸で6%、全社で4%台に下がる。純利益は5億円弱で、現金の利息が下支えする。
配当は保ち、10年で優待を含め17億円ほどを配る。純現金の一部は、立て直しの広告と新ブランドの在庫に使われる。株主に戻る現金はさらに細る。
HABAの名前は残るが、通販の看板は色あせる。ネットの新しいブランドが若い客を取り、HABAの客は年をとっていく。会社は小さく安定した通販の会社として続くが、成長の物語は消える。
- 通信販売・直営店:数量 46.0(年間の購入客数(万人))× 価格 15,250(1人あたりの年間購入額(円))→ 売上 70 億円・営業利益 2 億円。客数0.77倍・購入額1.25倍・利益率3%
- 卸(百貨店・その他・海外):数量 330(出荷個数(万個))× 価格 1,800(1個あたりの卸の平均価格(円))→ 売上 59 億円・営業利益 4 億円。個数1.02倍・単価1.20倍・利益率6%
倍率:ROEは約3.5%でkを大きく下回る。通販の客を失っていく構造的に弱い姿として1÷kの約75%の9.0倍。余った現金は0.75倍の額で足した。
確率:ネットの新ブランドとの競争で客を獲る費用は上がり続け、2021〜2024年3月期は利益率が0%前後だった。広告を絞った利益が続かない姿は起きやすい。
悲観 12% 通販の客が離れ、赤字に戻る 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 595 円23 億円
通販の客は4割減り、残る客も購入を絞る。購入額は1.15倍しか上がらない。新しいブランドは失敗し、在庫と広告の費用が残る。卸も中国の現地ブランドに押され、出荷個数は2割減る。
通販は赤字に落ち、全社でも営業赤字になる。現金の利息を足しても、純利益は赤字だ。
配当は減らし、優待も縮める。10年で優待を含め12億円ほどを配る。
値段の床は純現金になる。ただし、財団が筆頭株主で、現金の使い方は少数株主には決められない。現金は赤字の穴埋めと立て直しの費用に少しずつ消えていく。
2022〜2024年3月期の赤字が、一度きりでなかったことになる。無添加の化粧品はどこでも買える品になり、HABAを選ぶ理由が薄れる。
- 通信販売・直営店:数量 36.0(年間の購入客数(万人))× 価格 14,000(1人あたりの年間購入額(円))→ 売上 50 億円・営業利益 −2 億円。客数0.6倍・購入額1.15倍・赤字
- 卸(百貨店・その他・海外):数量 250(出荷個数(万個))× 価格 1,600(1個あたりの卸の平均価格(円))→ 売上 40 億円・営業利益 1 億円。個数0.78倍・単価1.07倍・利益率2%
倍率:赤字の筋書きで稼ぐ力では値が付かない。純現金45億円に戻り方0.5を掛けた床(約22.5億円)を、今の自己資本95億円に対する0.237倍で書いた。
確率:通販の客の高齢化・獲る費用の上昇・新ブランドの失敗が重なる構造的な負け。2022〜2024年3月期に赤字が続いた実績がある。純現金の下支えで12%にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
通信販売・直営店
カタログとネットで客に直接売る通販と、直営の店。スクワランのオイル、薬用ホワイトレディ、健康食品。
| 数量年間の購入客数(万人) | 価格1人あたりの年間購入額(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 60.0 | 12,200 | 73 | 3 |
| 10 年後 中立 | 54.0 | 16,100 | 87 | 6 |
取り方:有報の販売ルート別売上の通信販売68.7億円と直営店4.5億円の合計73.2億円を、1人あたり年1万2千円台の購入として客数に直した推定(約60万人)。営業利益は広告費の重さから利益率4.5%と置いた推定の配分。
卸(百貨店・その他・海外)
百貨店の売場向けと、ドラッグストア・海外の代理店などへの卸。
| 数量出荷個数(万個) | 価格1個あたりの卸の平均価格(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 322 | 1,500 | 48 | 4 |
| 10 年後 中立 | 400 | 1,950 | 78 | 7 |
取り方:百貨店向卸19.3億円とその他卸29.0億円の合計48.3億円(有報)を、卸の平均単価を千円台半ばとして個数に直した推定(約322万個)。営業利益は全社7.27億円から通販の推定を引いた残り。
リスクと懸念
通販の客の減りと高齢化
通販の新しい客は減っており、会社もそれを認める。HABAの客は中高年が中心で、年をとるにつれて減る。広告を絞って出した利益は、数年後の客の数の細りとなって返ってくる。
客を獲る費用の上昇
ネット広告で客を1人獲る費用は上がり続ける。新しいブランドの立ち上げや客の獲得に広告を戻せば、営業利益率は再び3%台に下がりうる。
現金が株主に戻らない
純現金45億円は時価総額の7割に当たるが、筆頭株主の財団の下で配当性向は2割にとどまる。現金が使われずにたまるか、低い稼ぎの事業に使われれば、少数株主の値打ちは帳簿を大きく下回る。
原料の供給
スクワランやチシマザサなど、特定の天然の原料に頼る。供給が細るか値段が上がれば、看板の商品の原価と品質に響く。
中国と訪日客の波
海外の卸と訪日客の需要は、中国の景気と日中の関係に左右される。コロナの時のように一気に消えると、卸の売上と利益が大きく落ちる。
新しいブランドの失敗
2027年3月期に立ち上げるドラッグストア向けの新ブランドは、大手の棚と競う。売れなければ、広告と在庫の費用だけが残る。
今後の分かれ目
- 自社株買いや配当性向の引き上げが数字で示されたら
- 余った現金の戻り方を0.75〜1.0に上げ、楽観側を厚くする。
- 通販の新しい客の数が2期続けて増えたら
- 客の減りが止まったとみて、悲観の確率を下げる。
- 海外の卸が売上の2割を超えて伸び続けたら
- 卸の数量の伸びを上げ、やや楽観を厚くする。
- 広告を戻して営業利益率が3%台に落ちたら
- やや悲観の確率を厚くする。
- 財団の持株の売却や、買収の提案が出たら
- 現金と事業の値段が株主に届く道とみて、楽観の確率を上げる。
見ておくもの
- 通販の新しい客の数と定期の客の数
- 営業利益率と広告費の比率
- 海外の卸の売上
- 新しいブランドの立ち上がり
- 自社株買い・配当性向の方針
倍率と資本コストの決め方
今の株価は見ずに、通販の購入客数×1人あたり購入額と、卸の出荷個数×単価で10年後の利益を積んだ。通販の客は高齢化で0.9倍、購入額は物価の1.34倍をやや下回る1.32倍。卸は海外と新ブランドで1.24倍、単価1.30倍。中立の営業利益率7.7%は過去12年の山16%の半分。ROEが資本コストに届かないので、PERは1÷k(約12.1倍)を上限に約85%。純現金のうち30億円を余った現金とし、財団支配で戻り方0.5を掛けた。優待は原価で年0.3億円を還元に足した(推定)。今の時価総額と比べたのは最後。直営店は小さくリース基準の影響は軽い。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→14.81 倍・やや楽観 PER 11→13.82 倍・中立 PER 10.3→12.65 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。