結論
アイビー化粧品は、全国の販売会社を通じて美容液や基礎化粧品を売る訪問販売の会社だ。筆者の結論は、今の値段は割高だというものだ。黒字には戻ったが、売上は10年で年6%強ずつ縮み、稼ぐ人の網が細っている。
普通株主の取り分は見た目より細い。創業家の会社が持つ社債型の優先株10億円が、毎年0.3億円の配当を先に受け取る。純資産26億円のうち、普通株主の分は16億円ほどしかない。
直近2期の営業利益率は7〜14%に戻った。在庫を絞り、借入を返し、8期ぶりに復配もした。立て直しの手応えは本物だ。
それでも10年先を見ると、販売員の高齢化が愛用者の数を削り続ける。筆者は中立で、普通株主の自己資本利益率が資本コストにわずかに届かないと見る。その会社に、今の値段は高い。
手元に現金は10億円あるが、その大半は優先株の払い戻しに当たる。株価が安く見えるのは、純資産に優先株が混ざっているからでもある。普通株主の目で測り直すと、割安の材料は見当たらない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「わかりやすいが、10年後に今より強いとは言いにくい」事業だ。美容部員と固定客の関係は確かに堀だが、人が引退すれば消える堀でもある。
経営は立て直しを進め、借入を返し、在庫を絞り、復配まで漕ぎつけた。そこは評価したい。ただ、立て直しの資金を創業家の優先株に頼った形は残る。普通株主は、利益の一部を毎年その配当に先に譲る立場だ。
筆者がいちばん気にしているのは、売上の天井を販売員の数が決めることだ。値上げで単価は守れても、客の数は年々減っていく。その中で普通株主の利益が資本コストを超えて伸びる道は細い。
払う値段に安全域があるかで言えば、答えは否だ。黒字への復帰はすでに値段に入り、販売網の縮みという長い向かい風に対する余裕が見えない。オーナーとして長く持ちたい事業かと問われれば、筆者は首をかしげる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は単純だ。アイビー化粧品は化粧品を作り、全国238社の販売会社に卸す。販売会社の営業所に属する美容部員が、知り合いの家を回って愛用者に売る。開示上のセグメントは訪問販売の1つだけだ。
主力はスキンケアで、高価格の美容液が看板になっている。メークアップやヘアケア、美容補助食品も扱う。愛用者の約86%が女性で、長く使い続ける固定客が売上の土台だ。
会社の売上は、販売会社への卸値で立つ。だから販売会社が在庫を抱えると、会社の売上は先に膨らみ、あとで落ちる。2017年に67億円あった売上が、2年後に33億円まで落ちたのはこの形だった。
今の売上は26億円で、営業利益は2億円ほどだ。会社は「10万人の愛用者づくり」を掲げ、売上高経常利益率15%を目標にする。実績は7%台で、まだ半分にも届かない。
費用の形は軽い。工場は自社で持つが、販売員の報酬は販売会社が払う。売上が減っても会社の人件費は大きく膨らまない。その代わり、売上の多くを販売会社の手数料に回す前提の卸値で、会社が自分で客を増やす手段は少ない。客の数は販売会社の頑張りに任せる形だ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、固定客との長い付き合いだけだと筆者は見る。美容部員が顔を合わせて売る形は、一度つかんだ客を離しにくい。値引き競争にも巻き込まれにくい。
ただし、その強みは人に宿る。販売員が引退すれば、客も一緒に去る。若い世代はネットや店頭で化粧品を買い、訪問販売の網に新しく入ってくる人は少ない。
資本の構造にも弱さがある。2018年の赤字のさなかに、創業家の会社へ社債型の優先株10億円を出して資金をつないだ。その配当は累積型で、2025年に7期分の1.88億円をまとめて払った。普通株主は、この優先株の後ろに立つ。
良い点は財務の軽さだ。借入はほぼ返し、自己資本比率は72%ある。在庫も回転期間8.5か月まで絞り込んできた。ただ、会社の目標の6か月にはまだ遠い。経営陣が数字の目標を掲げ、毎年の達成度を有報で示している点は、小さな会社としては誠実だと筆者は見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
化粧品の市場全体は、国内で量が増えず、値上げと高付加価値で売上を保つ形だ。その中で訪問販売は、長く縮んでいる売り方である。ポーラやノエビアのような大手も、販売員の高齢化に悩み、通販や店舗に軸足を移してきた。
訪問販売の強みは、対面の相談と固定客の厚さにある。50代より上の女性には今も支持がある。一方で、若い世代を新しく取り込む力は弱い。ネット通販やドラッグストアの高機能品が、同じ価格帯の客を奪っている。
原料と容器の値上がりも続く。2026年は中東情勢でナフサや樹脂の値段が跳ね、会社も調達に影響が出たと開示した。ただ、高価格の美容液は値上げが通りやすく、利益率への打撃は限られる。
10年の業界の見通しは、化粧品全体では横ばいから微増、訪問販売の量は年数%ずつ細る形だ。販売員の数が、この会社の売上の天井を決める。
競争の相手は、同じ訪問販売のポーラやノエビア、メナードだけではない。ドラッグストアの高機能の美容液や、ネットで直接売る新しいブランドも、同じ年代の客を狙う。大手は通販や店舗で若い客を取り込めるが、この会社には別の売り方がほとんどない。売り方の縮みが、そのまま会社の縮みになる。
資本政策と M&A
還元の方針は配当性向100%以内で、2026/03期に8期ぶりの復配として普通株の配当を再開した。配当の総額は0.95億円で、普通株主の利益の7割に当たる。自社株買いはしていない。
資本の形で気になるのは、創業家の白銀社が持つ社債型のA種優先株だ。払込額10億円で、配当は年0.3億円、未払いは累積する。普通株主の利益は、この配当を引いた残りになる。払い戻しの条件や時期は、会社の開示からは確かめられなかった。
新株予約権の行使も続いている。行使の値段は今の株価に近く、普通株主の価値を大きく薄めはしない。創業家の支配が強く、買収や再編の話が外から来る形は考えにくい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
立て直しは本物だ。2年続けて営業黒字を出し、営業利益率は一時14%まで戻った。借入をほぼ返し、在庫も絞った。8期ぶりの復配は、経営が利益の持続に自信を持った印である。
高価格の美容液を、顔なじみの美容部員が売る形は値引きに強い。原料が値上がりしても、固定客は値上げを受け入れる。物価が年3%上がる世界では、この値決めの力が効いてくる。
会社は10万人の愛用者づくりを掲げる。販売会社の数は238社と多く、地方の固定客の網は簡単には崩れない。利益率が10%台を保てば、普通株主の利益は今の倍近くになる。
優先株の配当も年0.3億円にすぎない。利益が戻れば、払い戻して普通株主の取り分を増やす道もある。そうなれば、利益と現金の両方が普通株主の側に戻ってくる。
借入がほぼ無いことも強みだ。金利が上がっても利払いに苦しむことはなく、手元の現金は2%で回る。財務の心配をせずに、販売網の立て直しに集中できる。
慎重な見方
売上は10年で年6%強ずつ縮み、今は2017年の4割しかない。黒字に戻ったのは、売上が増えたからではなく、費用を削ったからだ。削る余地には限りがある。
訪問販売の網は人に宿る。美容部員の高齢化は止められず、若い世代はネットと店頭で化粧品を買う。愛用者の数が減れば、どれだけ値上げしても売上は細る。
2019年の崩れも忘れてはいけない。販売会社に積んだ在庫が売れ残り、売上は半分に落ちた。卸値で売上が立つ形は、同じ失敗を繰り返しうる。
普通株主の取り分も見た目より薄い。創業家の会社が持つ優先株10億円が、配当でも払い戻しでも先に立つ。純資産26億円のうち普通株主の分は16億円にすぎず、手元の現金はほぼ優先株の分に当たる。
利益率の目標も、記録の裏づけが弱い。売上高経常利益率15%を掲げるが、届いたのは売上が膨らんだ2017年の前後だけで、その後に崩れた。目標は記録の裏づけのない数字であり、中立の見通しの根拠にはならない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方の方が強い。立て直しの成果は認めるが、売上の縮みという長い流れは変わっていない。黒字の回復は費用の削減によるもので、客の数を増やした証拠はまだない。優先株が先に取る資本の形も、普通株主の取り分を細くする。確率は中立を中心に、悲観の側を厚めに置いた。強気の見方で確かなのは借入の少なさと値決めの力で、これは中立の黒字に織り込んである。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 318 円20 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 130 円8 億円)。 今の値に割り戻すと 228 円14 億円、今との差 −25.9%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 839 円53 億円 | 271 円17 億円 | +261.5% | +13.7% | 89 円6 億円 |
| やや楽観 | 17% | 565 円35 億円 | 207 円13 億円 | +151.3% | +9.7% | 131 円8 億円 |
| 中立 | 35% | 342 円21 億円 | 151 円10 億円 | +60.6% | +4.9% | 173 円11 億円 |
| やや悲観 | 25% | 114 円7 億円 | 64 円4 億円 | −42.0% | −5.3% | 45 円3 億円 |
| 悲観 | 15% | 47 円3 億円 | 32 円2 億円 | −74.3% | −12.7% | 12 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 318 円20 億円 | 130 円8 億円 | +46.2% | +3.9% | 449 円28 億円 |
今の株価時価総額 307 円19 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 愛用者が戻り、利益率が過去の山に近づく 利益 4 億円 · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 839 円53 億円
10年後、アイビー化粧品は販売会社の網を立て直している。若い販売員が増え、愛用者は今より5%ほど多い。主力の美容液に新しい定番が加わり、単価は物価より少し強く上がる。
営業利益率は14%で、2017年の山に近い。工場と本社の固定費はほとんど増えず、売上の伸びがそのまま利益に乗る。配当は利益の7割を払い、優先株の配当も滞りなく払う。
それでも、自己資本利益率は資本コストを少し上回る程度にとどまる。訪問販売という売り方が、10年先に大きく広がる絵は描きにくいからだ。新しい客の多くは、今の愛用者の紹介から来る。紹介の輪が回り続ける限り、会社は小さくても高い利益率を保てる。
- 訪問販売の化粧品:数量 73,500(推定の愛用者数(人))× 価格 5.28(愛用者1人あたりの年間の卸売上(万円))→ 売上 39 億円・営業利益 5 億円。愛用者が少し増え、単価も物価より強い
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.9% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.6 倍。全体の PER 14.63 倍、時価総額 53 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:売上が10年で年6%強縮んできた会社で、愛用者が増える筋書きは小さい。直近の利益率の回復と10万人の目標だけが根拠。
やや楽観 17% 販売網の縮みが止まり、利益率10%台を保つ 利益 3 億円 · PER 13.5 倍 · 株価時価総額 565 円35 億円
10年後、愛用者の減りは緩やかになり、今より5%少ない水準で落ち着く。販売会社の数は減るが、残った販売員が固定客を深く抱える。値上げは物価並みに通る。
営業利益率は11%台で、直近2期の水準を保つ。在庫を絞る取り組みが実り、売れ残りの評価損が減る。配当は利益の7割弱を払い続ける。
自己資本利益率は資本コストを少し上回る。ただ、創業家の会社が持つ優先株が先に配当を受ける形は変わらず、普通株主の取り分は利益より一段細い。手元の現金は少しずつ増えるが、使い道は創業家の判断に委ねられる。株主に厚く戻すか、優先株の払い戻しに充てるかで、普通株主の手取りは大きく変わる。
- 訪問販売の化粧品:数量 66,500(推定の愛用者数(人))× 価格 5.13(愛用者1人あたりの年間の卸売上(万円))→ 売上 34 億円・営業利益 4 億円。愛用者の減りが緩む
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.9% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.5 倍。全体の PER 13.52 倍、時価総額 34 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近2期の利益率7〜14%と、会社予想の2027/03期の11.8%が続く道。過去の崩れを考えると確率は2割弱。
中立 35% 細る販売網のなかで、小さな黒字を続ける 利益 2 億円 · PER 11.9 倍 · 株価時価総額 342 円21 億円
10年後、アイビー化粧品は小さいながら黒字の会社だ。販売員の高齢化で愛用者は2割減る。値段は物価並みに上がり、売上は28億円ほどで今と大きく変わらない。
営業利益率は9%で、過去12年の山の半分強にとどまる。新しい客を連れてくる力は弱く、固定客の買い替えで食べていく形だ。配当は普通株の利益の6割前後を払う。
優先株の配当は毎年先に出ていく。普通株主の自己資本利益率は7%台で、資本コストにわずかに届かない。会社は小さく安定するが、ためた利益が普通株主の価値として育つ力は弱い。手元の現金は優先株の払い戻しに備えて置かれたままになる。
- 訪問販売の化粧品:数量 56,000(推定の愛用者数(人))× 価格 5.05(愛用者1人あたりの年間の卸売上(万円))→ 売上 28 億円・営業利益 3 億円。愛用者が2割減り、単価は物価並み
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.9 倍。全体の PER 11.92 倍、時価総額 19 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:売上の長い縮みと、直近の利益率の回復の中ほど。愛用者は2割減るが、値上げと固定費の軽さで黒字は保つ。
やや悲観 25% 販売網が細り、利益がほぼ消える 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 114 円7 億円
10年後、販売員の引退が続き、愛用者は4割減る。売上は20億円を切り、在庫を動かすための値引きも増える。値上げは物価に届かない。
営業利益率は4%に落ちる。工場と本社の固定費が重くなり、普通株主の利益は優先配当を払うとほとんど残らない。配当は数年で細り、また無配に近づく。
手元の現金は優先株の払い戻しと運転資金で消える。少数の株主に残る価値は、売れる資産のごく一部だけだ。創業家の判断で事業が続く限り、資産を現金に換えて配る道もない。優先株の累積配当が積み上がれば、普通株主の前に立つ請求はさらに重くなる。
- 訪問販売の化粧品:数量 42,000(推定の愛用者数(人))× 価格 4.71(愛用者1人あたりの年間の卸売上(万円))→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。販売員が減り、値引きも増える
倍率:普通株の利益がほぼ無く、稼ぐ力(0.32億÷k)は約4億円。床の資産5.7億円まで(floor_assets)。PBR表記は普通株の自己資本20.8億円に対する倍率で、今の普通株の自己資本16.4億円の0.34倍に当たる。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.27 倍・時価総額 6 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:売上が10年で年6%強縮んだ記録の延長。販売員の高齢化は止めにくく、確率は厚め。
悲観 15% 販売網が崩れ、赤字と在庫の損に戻る 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 47 円3 億円
10年後、訪問販売の網は崩れている。販売会社が他社に移り、愛用者は今の4割に減る。売上は13億円を切り、赤字が続く。
2019年のように、販売会社に積んだ在庫が売れ残り、評価損で自己資本が削られる。優先株の配当は止まり、累積していく。普通株主は、その累積分と払い戻しの10億円の後ろに並ぶ。
会社は本社工場の売却や身売りで生き残りを図るが、少数株主に回るのは売れる資産のわずかな残りだけだ。自己資本の帳簿は、もはや床にならない。売上の崩れは、販売員と客の信頼が一緒に失われた時にだけ起きる。前回は、それが2年で起きた。
- 訪問販売の化粧品:数量 28,000(推定の愛用者数(人))× 価格 4.52(愛用者1人あたりの年間の卸売上(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 −1 億円。販売会社が離れ赤字
倍率:赤字でPERは使えない。在庫の評価損で普通株の自己資本は13.4億円に減り、その0.22倍。床の資産3.0億円(floor_assets)に合わせた。
確率:2019年に売上が4割落ち赤字が続いた前例がある。同じ崩れが起きうるので1割台半ば。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
訪問販売の化粧品
スキンケアを中心に化粧品を作り、全国238社の販売会社に卸す。美容部員が愛用者に対面で売る。
| 数量推定の愛用者数(人) | 価格愛用者1人あたりの年間の卸売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 70,000 | 3.77 | 26 | 2 |
| 10 年後 中立 | 56,000 | 5.05 | 28 | 3 |
取り方:愛用者の数は開示が無い。会社の目標『10万人の愛用者づくり』が今より上の水準だと読み、今は約7万人と推定した。売上26.42億円(有報)を割ると1人あたり年3.8万円の卸売上。中立の数量は販売員の高齢化と過去の売上の縮み(10年で年6%強)から10年0.8倍、価格は物価並み1.34倍。
リスクと懸念
販売員の高齢化で愛用者が減る
売上は美容部員の数で決まる。引退が続けば固定客も一緒に去り、値上げでは埋められない。若い世代の販売員を増やせなければ、売上の縮みは10年続く。
販売会社への在庫の積み上がり
会社の売上は販売会社への卸値で立つ。2017年から2019年にかけて、積み上げた在庫が売れ残り、売上が半分に落ちて赤字が続いた。同じ形が起きれば、自己資本が評価損で削られる。
優先株が先に取る
創業家の白銀社が持つ社債型の優先株10億円は、配当でも払い戻しでも普通株主より先に立つ。累積型なので、利益が出ない年の未払い分も後から払う。普通株主の利益と現金は、その分だけ細い。
原料と容器の値上がり
2026年は中東情勢でナフサや樹脂の値段が上がり、会社も調達への影響を開示した。値上げが遅れれば、薄い利益が削られる。
創業家の支配と少数株主
創業家が優先株と普通株の両方で強い影響力を持つ。資本の使い方や優先株の扱いは、少数株主の意向と関係なく決まりうる。
今後の分かれ目
- 愛用者数や販売員数を開示し、増え始めたら
- 売上の縮みが止まったと見て、やや楽観の側へ確率を移す。
- 営業利益率が3年続けて10%を超えたら
- 費用の削減が定着したと見て、中立の利益率を引き上げる。
- 優先株を払い戻したら
- 普通株主の利益から優先配当が消える一方、手元の現金も減る。払い戻しの値段と資金の出どころを見て判断する。
- 在庫の回転期間が再び延び始めたら
- 販売会社への押し込みの兆しと見て、やや悲観・悲観の確率を厚くする。
- 売上が20億円を割ったら
- 固定費が重くなり利益が消える筋書きに近づいたと見て、中立の見方を下げる。
見ておくもの
- 売上と販売会社の数の増減
- 営業利益率と在庫の回転期間
- 優先株の払い戻しの有無と条件
- 配当の継続
- 新株予約権の行使と普通株の数
倍率と資本コストの決め方
愛用者数×1人あたりの卸売上で積み、数量は販売網の縮みから10年0.8倍、価格は物価並み。普通株の価値を測るため、純利益は優先配当0.3億円を引き、自己資本も優先株10億円を除いた16.4億円から流した(brief のROE6.2%は優先株込み)。倍率はROEがkに届かないので1÷kの約8割で、今のPER・PBRから逆算していない。悲観側は売れる資産の床で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→14.63 倍・やや楽観 PER 10→13.52 倍・中立 PER 9.2→11.92 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality+1.0%。黒字で財務の存続に疑いは無いので上乗せは置かない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 9.00%。