結論
タカギセイコーは、バイクや自動車の燃料タンクと外装、複写機の筐体などをつくる樹脂成形の会社だ。利益の7割近くをインドネシアとタイの子会社が稼ぐ。筆者の結論は、今の値段は10年の価値に対してやや安い、というものだ。
一番の理由は、稼ぐ力と値段の開きだ。過去10年の営業利益は、落ち込んだ2期を除けば20億円台前半で安定しているのに、時価総額は自己資本の4割にすぎない。借入が重く、足元の利益が減る予想で、市場が警戒していると筆者は見る。ただ、会社の資産と稼ぎの水準に、そこまでの警戒は要らない。
心配は三つある。電動二輪が広がれば燃料タンクが要らなくなること、複写機が縮むこと、本田技研が最大の顧客で値段を握ることだ。10年の中立では、これらを数量の減少と単価の伸びの鈍さに入れた。
見どころは、東南アジアの利益が本当に続くか、そして会社が目標に掲げる2032年の営業利益40億円に届くかだ。届かなくても、足元の水準が保てれば、今の値段を上回る。もう一点、利益の約半分が現地の少数株主に流れる構造も押さえておきたい。連結の利益がそのまま親会社の取り分にはならない。筆者はこの分を、純利益を営業利益の4割台半ばに置くことで織り込んだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社の問いは「過去10年変わらなかった稼ぎが、あと10年続くか」だ。
数字は魅力的に見える。営業利益は、落ち込んだ2期を除く8年が20億円台前半で、時価総額は自己資本の4割。稼ぐ力と値段の開きは大きい。
一方、稼ぎの構造は盤石ではない。7割近くを東南アジアの二輪が稼ぎ、その大部分は現地の少数株主のものになる。二輪の燃料タンクは電動化で要らなくなる。複写機は縮む。顧客のホンダが値段を握る。
評価できる点は、二輪の現地供給網という堀と、保守的な配当方針の下でためた現金だ。気になる点は、短期借入の多さと、資本の戻し方が薄いことだ。
筆者は、10年の稼ぎを足元よりやや高く置いた。名目の物価と東南アジアの成長を取り込めるからだ。それでも結果は、今の値段を上回る水準になる。安全域は、電動化の不確かさを引いてもなお残ると見る。もうひとつ付け加えると、会社の最大のリスクは、資本の使い方が見えないことだ。余った現金が株主に戻らなければ、安さは解消しない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、金型を作り、樹脂を流し込んで部品にする射出成形だ。富山県高岡市が本拠で、2026年3月期の売上は415億円。日本が56%、東南アジアが30%、中国が14%を占める。
製品は大きく二つに分かれる。車両分野は、四輪のスポイラーとバンパー、バッテリー関連部品、二輪の外装と燃料タンク、トラックの空力部品、建設機械の燃料タンクと尿素水タンクだ。OA分野は、複写機・プリンターの外装と機構部品、無人搬送ロボットのバッテリーケース、炭素繊維を使ったパソコン筐体部品がある。設計から金型、成形、塗装、組み立てまで自社でこなす。
最大の顧客は本田技研工業で、売上の18.7%を占める。川崎重工、クボタ、スズキも主要顧客だ。
稼ぎの中心は東南アジアで、営業利益は日本の倍近い。インドネシアとタイの子会社は、持分が5割未満だが実質的に支配して連結している。このため利益の約半分は、現地の少数株主のものになる。
中国は赤字が続いたため、2025年に汽車部件の2社を譲渡して縮小した。従業員は連結で約1,850人、海外の比率は生産で37%にのぼる。創業は1932年で、1957年に自動車用のコラムブッシュやオートバイのクラッチ部品を樹脂にかえたのが出発点だ。金属を樹脂に置き換える提案力は、今も同社の売りになっている。前期の設備投資は17億円で、今期は高岡工場の自動搬送装置や浜松工場の射出成形機を入れる計画だ。
優良さと弱いところ
優良さは「二輪の現地供給に強みを持つ、薄利の部品会社」と見る。
強みは、ホンダ系の二輪の現地供給網に入っていることだ。インドネシアとタイで、燃料タンクや外装を現地で成形して納める体制は、新規の参入者がすぐには作れない。東南アジアの営業利益率は12%と、日本の3倍あり、これが全社の稼ぎを支えている。
弱みは三つある。一つ目は、値決めだ。完成車メーカーは調達先に毎年の原価低減を求め、会社も原価低減活動を利益の源に挙げる。二つ目は、日本の利益率の低さだ。日本の営業利益率は3%台で、前々期は営業利益が半分の4億円だった。三つ目は、顧客の偏りだ。ホンダ向けが2割弱を占め、四輪も二輪もその車種の入れ替えに左右される。
財務は借入が重い。有利子負債は約69億円で、現預金は約39億円。営業利益は支払利息の18倍あり、危ないとまでは言えないが、短期借入が多い。
経営は2032年の創業100周年に営業利益40億円を掲げる。意欲的だが、過去最高の利益は約26億円で、実績との距離が大きい。経営の姿勢は、PBRが0.4倍にとどまる原因を自社で分析し、成長期待の不足と財務基盤への懸念と整理した点で誠実だ。ただ、示された打ち手は、まだ数字で検証できる段階にない。資本の使い方としては、配当性向が1割弱と低く、余った現金をどう戻すかの方針が見えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
自動車部品の樹脂成形は、完成車メーカーの生産台数と原価低減の要請で動く。世界の新車販売は約1億台で緩やかに伸びるが、日本国内は人口減で縮み、生産の重心は海外に移っている。
電動化は部品の中身を入れ替える。四輪の外装は電気自動車でも要り、バッテリー関連の樹脂部品は増える。一方、二輪の燃料タンクは、電動二輪になれば要らない。建設機械の燃料タンクや尿素水タンクも、ディーゼルの電動化で細る。東南アジアの二輪は、まだエンジン車が主流だが、インドネシアは電動二輪の購入に補助を出してきており、10年のうちに変化が始まる可能性がある。
OA分野は縮む。複写機・プリンターは事務の電子化で台数が減り、外装部品も減る。会社は無人搬送機や炭素繊維など新しい用途で穴を埋めようとしている。
競合は、各地の樹脂成形メーカーだ。日本ではトヨタ系やホンダ系の内外装メーカー、東南アジアでは現地系と日系が競う。同業の再編はあるが、この会社に近い規模の合併の話は聞こえてこない。
原材料の樹脂は、石油の価格で動く。値上がりの転嫁は遅れ、利益を一時的に削ることがある。為替は円安が追い風になるが、本分析は150円固定で見ている。
東南アジアの二輪市場は、インドネシアが世界有数の規模で、ホンダが圧倒的な首位に立つ。ホンダの現地生産が続く限り、現地で成形して納める部品会社の仕事も続く。電動化は、国の補助と充電網の整備が進むほど速まる。10年の中立では、電動二輪の比率は1〜2割にとどまると見て、数量を1割増にとどめた。
資本政策と M&A
資本政策は、累進配当を掲げるが、配当性向は1割弱と低い。自社株買いも優待もない。2025年11月に「資本コストや株価を意識した経営」の資料を出し、PBRが0.4倍にとどまる原因を成長期待の不足と財務への懸念と分析した。
2032年3月期に売上500億円・営業利益40億円・ROE12%を掲げるが、足元の2027年3月期の会社予想は営業利益16億円と、前期から3割以上減る。
政策保有株式は上場13銘柄で約17.5億円。川崎重工、クボタ、スズキなど顧客の株を持つ。売るなら税引き後で約12億円の価値だが、配当は利益に入っているので、価値として二重には数えていない。
親会社は開示にない。大株主も確認できなかったため、余った現金の戻り方は0.75で見る。
中国の汽車部件2社は2025年5月に譲渡した。事業の整理が済んだことで、利益の質は改善している。短期借入が多く、借り換えのたびに金利が上がる。ここまで3%台の借入で回ってきた金利が、国債3%の世界では上がるので、利払いはゆるやかに増える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
稼ぎの水準と値段の開きが大きい。過去10年の営業利益は、落ち込んだ2期を除けば20億円台前半で、前期は21億円。時価総額は自己資本の4割で、10年かけて足元の稼ぎが続くだけで、値段は大きく上がる。
東南アジアの二輪は、ホンダの現地生産の中で動く。燃料タンクと外装を現地で成形して納める体制は、すぐにまねできない。インドネシアとタイの人口は増え、二輪と四輪の需要は10年先も伸びる。電動二輪が主流になるのは10年より先だ。
電動化は部品の入れ替えであり、減る一方ではない。四輪のバッテリー関連、トラックの空力部品、無人搬送機のバッテリーケースなど、会社はすでに新しい用途に入っている。
2025年に中国の汽車部件2社を譲渡し、赤字の源を整理した。2032年3月期に営業利益40億円を目指すとしており、届かなくても、足元の水準が続けば十分だ。配当は累進の方針で、増配が続く見込みだ。配当性向が1割弱と低いので、増配の余力は大きい。PBRが0.4倍という現状を、経営自身が問題と認めており、改善の意思はある。
慎重な見方
稼ぎは構造的に弱い。日本の営業利益率は3%台で、前々期は連結で純損失22億円を出した。過去12年の営業利益率は最高でも5.7%、過去20年では純損失になった年が5期もある。
東南アジアの二輪が稼ぎの中心だが、利益の半分は現地の少数株主のものだ。燃料タンクは、電動二輪になれば要らなくなる。インドネシアは電動化に補助を出しており、変化は想定より早く来るかもしれない。
複写機・プリンターは事務の電子化で縮み続け、代わる用途も小さい。顧客のホンダは売上の2割弱を占め、値下げの要請は毎年続く。
借入が重く、短期借入が多い。営業利益は2027年3月期に3割以上減る予想で、会社自身が先行きを警戒している。資本の戻し方は配当性向が1割弱と薄く、ためた利益が少数株主に回る保証はない。2032年の目標も、過去の最高益から5割以上上積みする水準で、実現の道筋は示されていない。会社は同じ時期に、中国の事業の整理に追われ、本業への集中が遅れた。
どちらに重みを置いたか
足元の稼ぎは本物で、値段との開きは大きい。慎重な見方の指摘する電動化と値下げは、数量の減少と単価の鈍さとして中立に入れた。そのうえで確率は、慎重側に4割置いた。結果は、強気の見方が全面的に当たらなくても、今の値段を上回る。安全域は、電動化の不確かさを引いても残ると判断した。会社の指摘する弱みのうち、少数株主の取り分と借入の重さは純利益と床に反映した。残るのは、資本の戻し方の弱さだけで、これは余った現金の戻り方0.75で引いている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 4,494 円126 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 663 円19 億円)。 今の値に割り戻すと 2,329 円65 億円、今との差 +38.1%、 期待の年率 +11.8%(資本コスト 9.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 9,278 円260 億円 | 1,429 円40 億円 | +534.7% | +20.3% | 642 円18 億円 |
| やや楽観 | 18% | 6,868 円192 億円 | 1,000 円28 億円 | +366.4% | +16.6% | 1,416 円40 億円 |
| 中立 | 36% | 5,722 円160 億円 | 679 円19 億円 | +279.4% | +14.3% | 2,304 円65 億円 |
| やや悲観 | 28% | 1,953 円55 億円 | 500 円14 億円 | +45.4% | +3.8% | 687 円19 億円 |
| 悲観 | 12% | 790 円22 億円 | 107 円3 億円 | −46.8% | −6.1% | 108 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,494 円126 億円 | 663 円19 億円 | +205.7% | +11.8% | 5,158 円144 億円 |
今の株価時価総額 1,687 円47 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 中計の目標に近づき、電動化の部品も取り込む 利益 20 億円 · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 9,278 円260 億円
日本は四輪のバッテリー関連・空力部品が伸び、金型の外販も増える。ハイブリッドと電気自動車の両方で部品が増える形で、数量は今を保ち、単価は物価に近い速さで上がる。利益率は5%に乗る。
東南アジアは、本田技研の現地生産の増加と、四輪の受注拡大で数量が3割増える。燃料タンクが要らない電動二輪は、10年のうちは主流にならない。利益率は11%台を保つ。
中国は赤字を脱し、金型の外販と日系向けの成形で小さな黒字になる。
会社は2032年3月期に営業利益40億円を掲げる。これに近い40億円規模へ届く。累進配当の中で配当性向を引き上げ、ためた現金が株主に戻り始める。
- 日本(四輪・二輪・トラック・OA機器の樹脂成形と金型):数量 25.6(成形品の出荷量(千トン、推定))× 価格 12(1千トンあたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 305 億円・営業利益 15 億円。日本 営業利益率5.0%
- 東南アジア(インドネシア・タイ、主に二輪・四輪):数量 23.4(成形品の出荷量(千トン、推定))× 価格 8.96(1千トンあたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 210 億円・営業利益 24 億円。東南アジア 営業利益率11.5%
- 中国(金型の製造・販売と成形):数量 8.3(成形品・金型の出荷量(千トン相当、推定))× 価格 10(1千トン相当あたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 86 億円・営業利益 3 億円。中国 営業利益率3.0%
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.3% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.7 倍。全体の PER 11.72 倍、時価総額 230 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:東南アジアの二輪が堅調なまま、日本の四輪でバッテリー関連の部品が柱になり、中国の赤字も止まる条件が重なる必要がある。会社の目標は意欲的だが実績は遠く、6%に置いた。
やや楽観 18% 東南アジアが伸び、日本は堅調に推移 利益 15 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 6,868 円192 億円
東南アジアの数量が2割増える。インドネシアとタイの二輪・四輪の需要が穏やかに伸び、現地で燃料タンクと外装を供給できる強みが効く。単価は現地の物価の上昇で伸び、利益率は10%台半ばを保つ。
日本は四輪の電動化部品とトラックの空力部品で堅調に推移する。複写機・プリンターは縮むが、無人搬送機用のバッテリーケースなど新しい用途で穴を埋める。
中国は金型を軸に小さな黒字を保つ。全体の営業利益率は6%に届く。
配当は累進を守り、性向を2割台まで引き上げる。日本では、複写機の縮小をバッテリーケースなどが埋め、中国は金型の外販で小さな黒字を保つ。借入は返済が進み、短期借入への依存が下がる。
- 日本(四輪・二輪・トラック・OA機器の樹脂成形と金型):数量 24.6(成形品の出荷量(千トン、推定))× 価格 12(1千トンあたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 288 億円・営業利益 12 億円。日本 営業利益率4.2%
- 東南アジア(インドネシア・タイ、主に二輪・四輪):数量 21.6(成形品の出荷量(千トン、推定))× 価格 8.82(1千トンあたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 191 億円・営業利益 20 億円。東南アジア 営業利益率10.5%
- 中国(金型の製造・販売と成形):数量 7.9(成形品・金型の出荷量(千トン相当、推定))× 価格 10(1千トン相当あたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 81 億円・営業利益 1 億円。中国 営業利益率1.5%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.1% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 162 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:本田技研の二輪が東南アジアで堅く、日本の四輪も保つ姿。中国の赤字は小さく残る。足元の利益水準が10年続くという意味で、18%に置いた。
中立 36% 日本は微減、東南アジアが支える 利益 11 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 5,722 円160 億円
日本は電動化と少子化の中で数量が8%減る。四輪の内外装は電気自動車でも要るが、複写機・プリンターの外装は事務の電子化で縮む。単価は毎年の原価低減の要請を受け、物価の7割ほどの速さで上がる。利益率は3%台前半にとどまる。
東南アジアは二輪と四輪の数量が1割増え、全社の利益の中心であり続ける。利益率は10%近くに落ち着き、現地の少数株主に利益の半分が流れる構造は変わらない。
中国は規模を絞った体制で、ほぼ収支が合う。
償却費は今の約16億円から、新しい設備と金型の分だけ膨らんで20億円ほどになる。更新投資は物価で膨らむので、償却を上回る現金が出ていく。配当は累進の方針で、緩やかに増える。
- 日本(四輪・二輪・トラック・OA機器の樹脂成形と金型):数量 23.6(成形品の出荷量(千トン、推定))× 価格 12(1千トンあたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 272 億円・営業利益 9 億円。日本 営業利益率3.3%
- 東南アジア(インドネシア・タイ、主に二輪・四輪):数量 19.8(成形品の出荷量(千トン、推定))× 価格 8.62(1千トンあたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 171 億円・営業利益 16 億円。東南アジア 営業利益率9.5%
- 中国(金型の製造・販売と成形):数量 7.5(成形品・金型の出荷量(千トン相当、推定))× 価格 10(1千トン相当あたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 75 億円・営業利益 0 億円。中国 営業利益率0.5%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 127 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去12年の営業利益は、落ち込んだ年を除いて20億円台前半で安定し、最高でも5.7%の利益率。足元の水準が名目で伸びる姿を中立に置いた。慎重な見方もやや強いが、足元の稼ぎは本物なので、慎重側へ大きくは寄せなかった。
やや悲観 28% 電動化と値下げで日本の利益が削られる 利益 4 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 1,953 円55 億円
日本は、複写機・プリンターの縮小と四輪の国内生産の減少で数量が2割減る。完成車メーカーの原価低減の要請が続き、単価は物価の半分ほどしか上がらない。固定費の重い工場の稼働が落ち、営業利益率は1%台になる。
東南アジアは、電動二輪の普及と現地メーカーの台頭で数量が横ばいに落ちる。単価も上がらず、利益率は7%に下がる。
中国は小さな赤字が続く。全社の営業利益率は3%を割る。
配当は累進を保つのが精一杯で、余った現金は積み上がるが、少数株主に戻る額は小さい。更新投資を絞るので、設備が古くなる。日本の工場は稼働が落ちて固定費が重くなり、本田技研以外の取引先を増やす余力も乏しい。経営は中計の目標を下げ、守りの姿勢を強める。
- 日本(四輪・二輪・トラック・OA機器の樹脂成形と金型):数量 20.5(成形品の出荷量(千トン、推定))× 価格 11(1千トンあたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 222 億円・営業利益 3 億円。日本 営業利益率1.5%
- 東南アジア(インドネシア・タイ、主に二輪・四輪):数量 17.1(成形品の出荷量(千トン、推定))× 価格 7.92(1千トンあたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 135 億円・営業利益 10 億円。東南アジア 営業利益率7%
- 中国(金型の製造・販売と成形):数量 6.8(成形品・金型の出荷量(千トン相当、推定))× 価格 9.20(1千トン相当あたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 62 億円・営業利益 −1 億円。中国 営業利益率-1%
倍率:事業のROEは2.2%でkに届かず、上限は1÷k=10.8倍。利益が薄くなる筋書きだが、東南アジアの稼ぎは残るので、上限の約8割の8.5倍に置いた。
確率:複写機・プリンターが急速に縮み、本田技研の値下げ要請も強まる姿。過去12年で営業利益率が3%を割った年が複数あり、顧客への依存の高さを踏まえて悲観側全体を4割とした。
悲観 12% 二輪の電動化とOAの縮小が重なり、構造的に縮む 利益 −7 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 790 円22 億円
東南アジアで電動二輪が早く普及し、燃料タンクが要らなくなる。本田技研の現地生産の見直しで数量が2割減り、単価も叩かれて、現地の利益は3分の1に落ちる。
日本は複写機・プリンターが半減し、四輪は主力顧客が部品を内製化して数量が3分の1減る。工場の統合で減損と再編費用がかさみ、営業赤字になる。
中国は赤字が続き、撤退に動く。全社で赤字が数年続き、配当は大きく削る。
価値の拠りどころは、売れる資産だ。保有する上場株式、土地、設備などだが、利益の半分近くが現地の少数株主の取り分で、親会社の取り分はその分小さい。借入も重く、床は今の自己資本の3割に届かない。二輪の燃料タンクと複写機の外装という二本柱を同時に失うので、他の用途で穴を埋める力が足りない。
- 日本(四輪・二輪・トラック・OA機器の樹脂成形と金型):数量 16.6(成形品の出荷量(千トン、推定))× 価格 10(1千トンあたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 168 億円・営業利益 −3 億円。日本 営業利益率-2%
- 東南アジア(インドネシア・タイ、主に二輪・四輪):数量 14.4(成形品の出荷量(千トン、推定))× 価格 7.23(1千トンあたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 104 億円・営業利益 3 億円。東南アジア 営業利益率3%
- 中国(金型の製造・販売と成形):数量 4.5(成形品・金型の出荷量(千トン相当、推定))× 価格 8.40(1千トン相当あたり売上(億円/千トン、名目))→ 売上 38 億円・営業利益 −2 億円。中国 営業利益率-5%
倍率:赤字で稼ぐ力はない。床は売れる資産の税後を、少数株主の取り分と借入を引いた形で見て、今の自己資本126億円に0.175倍を置いた。
確率:東南アジアの二輪が電動化へ早く動き、燃料タンクの需要が細り、日本ではOAの縮小と主力顧客の内製化が重なる姿。過去20年で赤字は5期あり、前々期の純損失は22億円だった。12%に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
日本(四輪・二輪・トラック・OA機器の樹脂成形と金型)
本田技研工業を最大の顧客に、四輪の外装・バッテリー関連、二輪の外装と燃料タンク、複写機・プリンターの外装、金型までを一貫して請け負う。
| 数量成形品の出荷量(千トン、推定) | 価格1千トンあたり売上(億円/千トン、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 25.6 | 9.02 | 231 | 8 |
| 10 年後 中立 | 23.6 | 12 | 272 | 9 |
取り方:日本セグメントの売上230.8億円(有報、前期比+2.5%)、営業利益8.3億円(利益率3.6%)。出荷量は、金型や塗装の付加価値を含めて1トンあたり約90万円と置いた推定で、開示ではない。分野別の売上は非開示で、車両分野が7割、OA分野が3割前後と推定した。
東南アジア(インドネシア・タイ、主に二輪・四輪)
インドネシアとタイの子会社が、現地の二輪・四輪メーカー(本田技研の現地法人が中心)に、燃料タンクや外装を納める。
| 数量成形品の出荷量(千トン、推定) | 価格1千トンあたり売上(億円/千トン、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 18.0 | 6.89 | 124 | 15 |
| 10 年後 中立 | 19.8 | 8.62 | 171 | 16 |
取り方:東南アジアの売上124.0億円(有報、前期比-3.6%)、営業利益14.7億円(利益率11.9%)。全社の営業利益の7割近くを稼ぐ。出荷量は1トンあたり約69万円と置いた推定。両国の子会社は持分が5割未満だが実質支配で連結しており、利益の約半分は現地の少数株主に帰属する。
中国(金型の製造・販売と成形)
香港・上海の拠点と、持分51%の佛山の金型会社など。2025年に汽車部件の2社を譲渡して縮小した。
| 数量成形品・金型の出荷量(千トン相当、推定) | 価格1千トン相当あたり売上(億円/千トン、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 7.5 | 8.00 | 60 | −2 |
| 10 年後 中立 | 7.5 | 10 | 75 | 0 |
取り方:中国の売上60.0億円(有報、前期比-32.6%)、営業損失1.5億円(前期は損失6.9億円)。譲渡した2社の売上は一部の期間だけ入っている。出荷量は金型を含む1トン相当あたり約80万円と置いた推定。
リスクと懸念
二輪の電動化と燃料タンク
東南アジアの二輪向けの燃料タンクと外装が、稼ぎの中心を占める。電動二輪が広がれば、燃料タンクは要らなくなる。インドネシアは電動二輪の購入に補助を出してきており、10年のうちに変化が始まる可能性がある。利益の約半分が現地の少数株主のものになる構造もある。ホンダの現地生産計画が変われば、数量は一気に動く。
複写機・プリンターの縮小
OA分野の外装と機構部品は、事務の電子化で台数が減り続ける。売上の3割前後を占めるとみられ、代わる用途の無人搬送機のバッテリーケースや炭素繊維の筐体は、まだ規模が小さい。縮小の速さが日本の利益率を決める。設備が余れば、固定費の負担が他の用途の利益も削る。
本田技研への依存と値下げ要請
本田技研は売上の18.7%を占める最大の顧客で、値段を握る。原価低減は毎年続き、樹脂の値上がりの転嫁は遅れる。四輪も二輪も、車種の入れ替えや調達先の見直しで数量が大きく動く。本田技研が内製や別の調達先を増やせば、売上の2割弱が揺らぐ。
日本の利益率の薄さと借入
日本の営業利益率は3%台で、前々期は営業利益が半分の4億円だった。有利子負債は約69億円と現預金の1.7倍あり、短期借入が多い。借り換えの金利が上がれば、利益が削られる。営業利益は支払利息の18倍あるので、直ちに危うくはない。ただ、借入の多くは短期で、金融環境の変化に弱い。
海外子会社の統治と少数株主
インドネシアとタイの子会社は、持分が5割未満で実質的に支配している。現地の少数株主に利益の約半分が帰属し、配当や資金の移動にも制約がある。為替の変動は10年で150円固定としたが、現実には利益を大きく動かす。インドネシアのルピアやタイのバーツが円に対して下がれば、円換算の利益は目減りする。
中国事業の整理の途中
汽車部件の2社を譲渡して縮小したが、金型の拠点には赤字が残る。整理益や譲渡の損益が一過性の利益を作り、純利益の読み方を難しくする。撤退の追加費用や在庫の損失が出る可能性がある。残った佛山の金型会社は持分51%で、少数株主との調整も要る。
今後の分かれ目
- 電動二輪が東南アジアの新車の2割を超えたら
- 燃料タンクの数量を引き下げ、悲観側へ確率を寄せる。
- 日本セグメントの営業利益率が3年続けて5%を超えたら
- 日本の利益率を引き上げ、楽観側へ確率を移す。
- 本田技研が部品の調達方針を変え、取引が減ると開示されたら
- 最大顧客への依存が崩れるとみて、数量と確率を下げる。
- 配当性向を3割に引き上げる、または自社株買いを始めたら
- 余った現金の戻り方を1.0へ引き上げ、価値を見直す。
- 短期借入が増え、営業利益が支払利息の10倍を切ったら
- 借金のリスクを見直し、k と悲観の確率を引き上げる。
見ておくもの
- 東南アジアの営業利益と少数株主の取り分
- 電動二輪の普及率(インドネシア・タイ)
- OA分野の売上と新しい用途の立ち上がり
- 本田技研向けの売上比率
- 日本セグメントの営業利益率
- 有利子負債と短期借入の推移
倍率と資本コストの決め方
倍率は式の上限(ROE が k 以下の筋書きは 1÷k=10.8 倍)の7〜9割に置いた。今の株価や同業の PER・PBR は使っていない。悲観側は売れる資産の税後から少数株主の取り分と借入を引き、今の自己資本に掛けた。純利益は、営業利益の4割台半ば(過去の中央値)まで少数株主の取り分と税で引いた。償却費は約16億円から約20億円へ増え、更新投資が償却を上回る分は現金が出ていくと見た。新リース会計基準でBSの形が変わるが、数字は今と同じ形でそろえた。結果は今の値段を上回ったが、計算を株価に寄せる調整はしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.7→11.72 倍・やや楽観 PER 9.2→11.11 倍・中立 PER 8.6→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に quality +1.75% を足した9.25%。顧客集中や新興国の事業リスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 9.00%。