結論
リベルタは、足の角質を取る「ベビーフット」や冷感の衣料「FREEZE TECH」を企画し、工場を持たずに作って量販店やドラッグストアに卸す会社だ。筆者の結論は、今の値段は割高だということだ。売上は100億円を超えたが、利益はほとんど残らず、借金が自己資本の数倍に膨らんでいる。
2026年12月期は大きな赤字になる。冷夏で冷感の衣料が売れず、ダニ取りの新商品も店に並ばなかった。買った会社ののれんも減損した。純損失は6.7億円で、自己資本の4割が消える計算だ。
稼ぎの源は、当たる商品を見つけて広げる力にある。ベビーフットは海外でも売れる息の長い商品だ。だが、ほかの多くは季節と流行に左右され、当たり外れが大きい。会社は買収で品ぞろえを広げてきたが、その分だけ借金が増えた。
筆者は、10年後の中立でも営業利益率は2%台と見る。資本コストを下回る稼ぎで、借入の利払いも重い。中期経営計画の売上300億円は、過去の未達の記録から見て信じにくい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、持ち続けたい会社ではない。オーナーとして見ると、株主に残る利益がほとんど無い。売上は増えても、その多くは借入で買った会社の売上で、利払いとのれんの減損が利益を食っている。
ヒット商品の会社は、予測がむずかしい。次の当たりが出るかどうかは、誰にもわからない。わからない事業には、確信を持てない。ベビーフットは良い商品だが、会社全体の利益を支えるほど大きくはない。
安全域は無い。自己資本は9億円ほどに減り、借入はその4倍を超える。今の時価総額は自己資本の6倍で、将来のヒットと買収の成功を前もって払う値段だ。
資本の使い方も、バリュー投資家の好みとは逆だ。利益が出ないうちに借入で会社を買い、計画を毎年下げている。筆者は、借入が減り、利益率が過去の最良の水準に戻るまでは、この会社の本質価値を高く見積もれない。
何で稼ぐ会社か
リベルタは、自社で工場を持たないファブレスのメーカーだ。商品を企画し、国内外の工場に作らせて、量販店・ドラッグストア・バラエティショップに卸す。自社のネット通販も持つが、売上の中心は店への卸である。
商品は5つのジャンルに分かれる。コスメが42億円で最大だ。ベビーフットのような角質ケアや、2026年4月に買ったクレアのスキンケアが入る。トイレタリーが26億円で、カビ取りやダニ取りなど家の中の困りごとを解く雑貨だ。機能衣料が10億円で、FREEZE TECHが柱になる。残りが浄水器・医療機器と、生活雑貨・家電である。
稼ぎ方は、ヒット商品の型にある。テレビやSNSで話題を作り、店の棚を一気に取る。当たれば利益率は高いが、外れれば在庫と広告費が残る。冷感の衣料は夏の気温しだいで、売れ行きが大きく変わる。
会社は買収で品ぞろえを広げてきた。2022年にファミリー・サービス・エイコー、2023年にフジアンドチェリー、2026年にクレアを買った。どれも小さなファブレスの会社で、買う資金は借入でまかなった。フジアンドチェリーののれんは、買って3年で減損になった。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、ベビーフットの一本だけと筆者は見る。足の角質ケアの分野で名前が通り、海外でも売れている。だが、それ以外の多くの商品は、似たものをすぐにまねされる雑貨だ。
値段を決める力は弱い。売り先は量販店とドラッグストアで、棚の取り合いでは小売の側が強い。季節の商品は、売れ残れば値引きで処分するしかない。
資本効率は低く、財務は危うい。自己資本利益率は2025年12月期で3%にすぎない。2026年の赤字で自己資本は9億円ほどに減り、純有利子負債は40億円を超える。借入が自己資本の4倍を超える形で、金利の上昇と赤字が重なれば、資金繰りに余裕はない。
経営の資本の使い方にも疑問が残る。中期経営計画は毎年のように下方修正され、2025年12月期は経常利益12億円の計画が0.5億円で終わった。借入で買った会社ののれんを早々に減損した。買収で売上は増えても、株主の取り分は増えていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の日用品と美容の市場は、量では伸びない。人口が減り、1人あたりの消費も大きくは増えない。伸びるのは、機能やプレミアムで値段を上げられる品目だ。花王・ライオン・小林製薬のような大手は、ブランドと研究で指名買いを作り、値上げを通している。
リベルタのような中小のファブレスは、すき間を狙う。大手が手を出さない小さな困りごとに、すばやく商品を出す。小林製薬が「あったらいいな」で育ったのと似た型だが、規模と研究の厚みは比べものにならない。
売り場の力関係は小売の側にある。ドラッグストアと量販店は再編で大きくなり、棚の入れ替えは早い。新商品は数か月で結果を出さなければ棚を失う。テレビやSNSの広告で話題を作る費用は、売れても売れなくてもかかる。
冷感の衣料は、夏の暑さに賭ける商品だ。猛暑の年は売れ、冷夏の年は在庫が残る。ワークマンなど作業服の大手や、ユニクロの機能衣料とも競う。熱中症対策の需要は長く続くが、参入も多い。
海外では、ベビーフットのような尖った商品が売れる余地がある。ただ、海外の販路を広げるにも資金と人が要る。10年先の分かれ目は、ベビーフットに続く息の長い商品を作れるかだ。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だが、2026年12月期は無配に落ちる。会社は安定配当を掲げ、2025年12月期は配当性向38%を払った。利益が戻るまで、配当は細るだろう。
成長の手段は買収だ。中期経営計画は、ペット用品・鞄・サプリメント・アウトドアなどのファブレスの会社を買って品ぞろえを広げる方針を掲げる。2026年4月には、スキンケアのクレアを8.4億円で買った。買う資金は借入で、純有利子負債は40億円を超えた。
筆者がいちばん気にしているのは、借入で買って減損する流れだ。フジアンドチェリーは2023年に買い、3年でのれんを減損した。同じ型が続けば、自己資本はさらに細る。資金が足りなくなれば、株を新しく出して既存の株主の取り分が薄まる道もある。
株主優待は、一定の株数以上の株主に、自社の通販で使えるポイントを贈る。費用の開示は無く、年0.2億円ほどと推定する。中立は年額の10年分2億円を還元に足した。会社自身が、業績しだいで見直すと明記している。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2026年の赤字は天候と一過性ののれん減損が重なっただけだ。FREEZE TECHの取扱店と1店あたりの販売数は前年を上回っており、猛暑の年が来れば一気に売れる。熱中症の対策は企業の義務になりつつあり、冷感の作業着の需要は10年続く。
ベビーフットは世界で売れる。海外の販路を広げれば、コスメは2倍になりうる。クレアのスキンケアも加わり、美容のジャンルは厚くなった。
買収の型は、うまく回れば強い。小さなファブレスの会社を安く買い、リベルタの販路に乗せて売上を伸ばす。中期経営計画の売上300億円は遠いが、半分でも届けば利益は今の数倍だ。株価は大きく下がり、悪い材料は出尽くした。会社は時計の企画品の発売を延ばしただけで、商品の種はまだ手元にある。
ファブレスの型は、資本が軽い。工場を持たないので、売れる商品に資金を寄せ、売れない商品からはすぐ手を引ける。ヒットが1つ出れば、利益率は2018年の7%台に戻る。
慎重な見方
赤字は一過性ではない。中期経営計画は毎年下方修正され、計画どおりに利益が出た年はほとんどない。2025年12月期は経常利益12億円の計画が0.5億円、2026年は黒字の予想が6.7億円の純損失だ。外れる理由は毎年違うが、外れること自体が続いている。
借入は自己資本の4倍を超えた。金利が上がれば利払いは年1億円近く増え、薄い利益を食う。次に赤字が出れば、借入の条件や増資が現実の話になる。
商品の多くは、すぐにまねされる雑貨だ。棚を取るための広告費は毎年かかり、売れ残れば在庫が積み上がる。買った会社ののれんを3年で減損した事実は、買収の値付けが甘いことを示している。同じ型で次の会社を買えば、傷はさらに深くなる。
ファブレスの軽さは、裏を返せば堀の無さだ。工場も特許も持たない会社の強みは、企画と販路の人の力だけで、それは買収で増えた会社の数だけ薄まる。今の時価総額は自己資本の数倍で、その差を埋める根拠は見当たらない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方の方がはるかに強い。計画の未達が毎年続き、借入が自己資本の4倍を超えたことは、数字ではっきりしている。強気の見方で確かなのは、ベビーフットの強さと冷感の衣料の需要だけだ。だが、それで会社全体の利益と借金を支えるには足りない。中立は営業利益率2%台の小さな黒字に置き、確率は悲観の側に厚く寄せた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 40 円12 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 11 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 21 円7 億円、今との差 −87.8%、 期待の年率 −11.6%(資本コスト 10.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 224 円70 億円 | 31 円10 億円 | +47.2% | +3.9% | 13 円4 億円 |
| やや楽観 | 13% | 91 円28 億円 | 19 円6 億円 | −36.4% | −4.4% | 14 円4 億円 |
| 中立 | 32% | 43 円13 億円 | 14 円4 億円 | −67.1% | −10.5% | 18 円6 億円 |
| やや悲観 | 28% | 10 円3 億円 | 5 円2 億円 | −91.6% | −22.0% | 4 円1 億円 |
| 悲観 | 22% | 3 円1 億円 | 3 円1 億円 | −96.7% | −28.8% | 1 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 40 円12 億円 | 11 円3 億円 | −70.8% | −11.6% | 51 円16 億円 |
今の株価時価総額 173 円54 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.5% を下回るほど割高。
楽観 5% ベビーフットが世界で育ち、買収が実を結ぶ 利益 6 億円 · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 224 円70 億円
10年後、リベルタは美容の会社として形を変えている。ベビーフットは海外の販路を広げ、クレアのスキンケアとともにコスメの数量は1.6倍になる。冷感の衣料は猛暑の年が続き、作業着の定番になる。
買った会社をリベルタの販路に乗せる型が回り、売上は190億円を超える。営業利益率は5%に上がり、2018年の水準に近づく。借入は利益で返していき、利払いの重さも和らぐ。自己資本利益率は資本コストを上回る。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年0.2億円×10年×1.0)も足した。優待の費用は利益から引き済みだ。
- コスメ(美容):数量 452(推定販売個数(万個))× 価格 2,070(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 94 億円・営業利益 7 億円。海外とクレアで1.6倍
- トイレタリー・機能衣料:数量 424(推定販売個数(万個))× 価格 1,656(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 70 億円・営業利益 3 億円。冷感衣料が定番に
- 浄水器・医療機器・生活雑貨・家電:数量 72.0(推定販売個数(万個))× 価格 4,140(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 30 億円・営業利益 1 億円。横ばい
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 22.4% が k 10.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 16.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.6 倍。全体の PER 11.64 倍、時価総額 65 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:計画の未達が続く会社で、海外と買収の両方が当たる必要があり、確率は小さい。
やや楽観 13% 赤字から立ち直り、利益率3%台に戻る 利益 3 億円 · PER 10.2 倍 · 株価時価総額 91 円28 億円
10年後、2026年の赤字は一時のつまずきだったことになる。ベビーフットとクレアのスキンケアでコスメの数量は1.35倍になる。冷感の衣料は猛暑と冷夏の年を繰り返しながらも、取扱店を広げて売上を伸ばす。
営業利益率は3.5%で、ここ数年の水準を上回る。借入は大きくは減らないが、利益で利払いを賄える。配当は利益の4分の1ほどに戻る。買収は控え、借入を少しずつ返す方針に切り替える。自己資本利益率は資本コストをわずかに上回る。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年0.2億円×10年×1.0)も足した。優待の費用は利益から引き済みだ。
- コスメ(美容):数量 381(推定販売個数(万個))× 価格 2,040(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 78 億円・営業利益 4 億円。コスメが1.35倍
- トイレタリー・機能衣料:数量 348(推定販売個数(万個))× 価格 1,632(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 57 億円・営業利益 1 億円。取扱店が広がる
- 浄水器・医療機器・生活雑貨・家電:数量 68.4(推定販売個数(万個))× 価格 4,080(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 28 億円・営業利益 0 億円。ほぼ横ばい
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.4% が k 10.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 10.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.2 倍。全体の PER 10.23 倍、時価総額 28 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年の赤字が天候と一過性の減損で説明できる分だけ、回復の道に1割強を置いた。
中立 32% 小さな黒字で、借金を抱えたまま続く 利益 1 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 43 円13 億円
10年後、リベルタは小さな黒字を出しながら、借金を抱えたまま続いている。コスメはクレアの取り込みで数量が1.15倍になる。トイレタリーと冷感の衣料は、当たり年と外れ年を繰り返し、量は横ばいだ。
売上は140億円ほどになるが、営業利益率は2%台にとどまる。広告費と在庫の処分が、ヒットの利益を食い続ける。借入の金利が上がり、利払いは年1億円ほど増える。純利益は1億円台で、配当はその4分の1ほどだ。自己資本利益率は資本コストを下回り、ためた利益の値打ちは帳簿に届かない。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年0.2億円×10年×1.0)も足した。優待の費用は利益から引き済みだ。
- コスメ(美容):数量 325(推定販売個数(万個))× 価格 2,010(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 65 億円・営業利益 3 億円。クレアで1.15倍
- トイレタリー・機能衣料:数量 303(推定販売個数(万個))× 価格 1,608(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 49 億円・営業利益 1 億円。当たり外れで横ばい
- 浄水器・医療機器・生活雑貨・家電:数量 64.8(推定販売個数(万個))× 価格 4,020(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。1割減る
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 10.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 9.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 9.5 倍。全体の PER 9.52 倍、時価総額 13 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去8年の利益率(1〜7%)の下の方と、毎年の計画未達の記録を合わせた中心の見通し。
やや悲観 28% ヒットが続かず、赤字すれすれが続く 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 10 円3 億円
10年後、リベルタは赤字すれすれの会社になっている。ベビーフットは売れ続けるが、ほかのヒットは続かない。トイレタリーと冷感の衣料は棚を失い、数量は2割減る。
営業利益は1億円に届かず、利払いを引くと純利益は赤字だ。配当は止まり、優待も縮む。借入は返せず、借り換えのたびに金利が上がる。買収で広げた品ぞろえを整理し、利益の出ない商品から手を引く。自己資本は10億円前後で動かず、稼ぐ力は資本コストに遠く届かない。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年0.2億円×10年×0.75)も足した。優待の費用は利益から引き済みだ。
- コスメ(美容):数量 283(推定販売個数(万個))× 価格 1,950(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 55 億円・営業利益 1 億円。ベビーフットが支え
- トイレタリー・機能衣料:数量 242(推定販売個数(万個))× 価格 1,560(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 38 億円・営業利益 0 億円。棚を失う
- 浄水器・医療機器・生活雑貨・家電:数量 54.0(推定販売個数(万個))× 価格 3,900(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。整理する
倍率:赤字でPERでは測れない。稼ぐ力はほぼゼロで、床はベビーフットのブランドと在庫・売掛金の回収で借入を返した残り(約4億円)に戻り方0.75を掛けた約3億円。PBRはその筋書きの自己資本に対して0.28倍。EVでも見た:純有利子負債を足すと営業利益の40倍を超え、利益では価値が立たない。
確率:計画の未達が毎年続く記録と、借入の重さから可能性は高い。
悲観 22% 赤字が続き、増資か事業の売却に追い込まれる 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 3 円1 億円
10年後、リベルタは構造的に負けている。ヒット商品が出ず、トイレタリーと冷感の衣料は棚を失う。買った会社ののれんはすべて減損になる。
赤字が続き、利払いが重くのしかかる。債務超過を避けるため、ベビーフットのブランドや子会社を売り、借入を返す。それでも足りず、株を新しく出して資金を集め、既存の株主の取り分は薄まる。配当は出ず、株主優待もやめる。少数の株主には、事業の売却の値段を決める力が無い。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年0.2億円×10年×0.5)を足した。優待の費用は利益から引き済みだ。
- コスメ(美容):数量 240(推定販売個数(万個))× 価格 1,890(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 45 億円・営業利益 0 億円。ブランドを売る
- トイレタリー・機能衣料:数量 182(推定販売個数(万個))× 価格 1,512(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 27 億円・営業利益 −1 億円。棚を失う
- 浄水器・医療機器・生活雑貨・家電:数量 39.6(推定販売個数(万個))× 価格 3,780(1個あたり平均卸値(円))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。縮む
倍率:赤字で稼ぐ力は無く、自己資本はほぼ消える。資産の売却で借入を返した残りのわずかな価値として、2025年12月期末の自己資本15.9億円に0.05倍。
確率:赤字・無配・借入が自己資本の4倍超・毎年の計画未達が重なり、構造的に負ける道を厚く置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
コスメ(美容)
ベビーフットなどの角質ケアと、2026年に買ったクレアのスキンケア。海外でも売れるベビーフットが柱。
| 数量推定販売個数(万個) | 価格1個あたり平均卸値(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 283 | 1,500 | 42 | 3 |
| 10 年後 中立 | 325 | 2,010 | 65 | 3 |
取り方:2025年12月期のコスメの売上42.37億円(中計資料)。個数は開示が無く、平均の卸値を1個あたり約1.5千円と置いて約280万個と推定。利益はジャンル別の開示が無く、全社の営業利益1.3億円をベビーフットの強さを見てコスメに厚く割り振った推定(本社費・広告費も配って含める)。中立の数量はクレアの取り込みと海外で10年1.15倍、価格は物価並み1.34倍。
トイレタリー・機能衣料
カビ取り・ダニ取りなどの家の雑貨と、冷感衣料FREEZE TECH。季節と天候で大きく振れる。
| 数量推定販売個数(万個) | 価格1個あたり平均卸値(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 303 | 1,200 | 36 | −1 |
| 10 年後 中立 | 303 | 1,608 | 49 | 1 |
取り方:トイレタリー26.37億円と機能衣料9.90億円(中計資料)の合計。平均の卸値を1個あたり約1.2千円と置いて約300万個と推定。利益は推定の割り振りで、広告費と在庫の処分で赤字気味と置いた。中立の数量は10年1.00倍(熱中症対策の需要と国内の量の縮みが相殺)、価格は物価並み。
浄水器・医療機器・生活雑貨・家電
浄水器・家庭用医療機器、時計・家電などの生活雑貨。
| 数量推定販売個数(万個) | 価格1個あたり平均卸値(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 72.0 | 3,000 | 22 | −1 |
| 10 年後 中立 | 64.8 | 4,020 | 26 | 0 |
取り方:全社の売上100.3億円からコスメ・トイレタリー・機能衣料を引いた残り約21.6億円。平均の卸値を1個あたり約3千円と置いて約72万個と推定。利益は推定の割り振り。中立の数量は10年0.90倍、価格は物価並み。
リスクと懸念
計画の未達が続く
中期経営計画は毎年のように下方修正されてきた。2025年12月期は経常利益12億円の計画が0.5億円、2026年は黒字の予想が6.7億円の純損失になった。外れる理由は毎年違うが、計画の作り方そのものに甘さがある。
借入と金利の上昇
2026年の赤字とクレアの買収で、純有利子負債は40億円を超え、自己資本の4倍に達する。借り換えのたびに金利が上がれば、利払いは年1億円近く増える。次の赤字で、借入の条件の見直しや増資が現実になりうる。
天候と季節に左右される
冷感の衣料は夏の暑さしだいで売れ行きが変わる。2026年は猛暑日が少なく、計画を大きく下回った。季節の商品は売れ残れば値引きで処分するしかなく、在庫と広告費が利益を食う。
買収ののれんの減損
会社は借入でファブレスの会社を買い、品ぞろえを広げてきた。フジアンドチェリーののれんは買って3年で減損した。クレアも含め、買った会社が計画どおりに稼がなければ、同じ減損が繰り返される。
ヒット商品をまねされる
雑貨やトイレタリーは、売れればすぐに似た商品が出る。棚を取るための広告費は毎年かかる。ベビーフットのように息の長い商品を次々に出せなければ、売上を保つための費用が膨らみ続ける。
株の希薄化
資金が足りなくなれば、株を新しく出して資金を集める道がある。その時は既存の株主の取り分が薄まる。今の時価総額は自己資本の数倍で、増資の値段しだいで株主の損得が大きく変わる。
今後の分かれ目
- 2027年12月期に営業黒字に戻り、配当を再開したら
- 2026年の赤字が一過性だったと見て、中立の出発点を確かめる。利益率が3%を超えるまでは、価値の見方は大きく変えない。
- 借入を自己資本の2倍以下に減らしたら
- 財務の危うさが薄れたと見て、上乗せと借金の分の資本コストを下げる。
- ベビーフットの海外売上が大きく伸びたら
- コスメの数量を上振れさせ、やや楽観の側へ確率を移す。
- 増資や新株予約権の発行を決めたら
- 既存株主の取り分の係数を立て、悲観の側の確率を厚くする。
- 新たな買収を借入で行ったら
- のれんと借入の積み増しを見て、悲観の確率を厚くする。買う値段と相手の利益を確かめる。
見ておくもの
- 営業利益の黒字回復と配当の再開
- 純有利子負債と自己資本の比
- ベビーフットの海外売上
- FREEZE TECHの夏の売上と在庫
- クレアの利益と、のれんの減損の有無
- 中期経営計画の修正の有無
倍率と資本コストの決め方
3つのジャンルに分け、数量は推定(コスメはクレアと海外で1.15倍、トイレタリー・衣料は横ばい、雑貨は0.9倍)、価格は物価並み1.34倍。中立の利益率2.6%は過去8年の最良7.5%以下で、中計の売上300億円・経常20億円は使っていない。償却は軽く(ファブレス)、物価で増やしていない。倍率はROEがk10.5%以下で上限1÷kの約8割。悲観側は赤字で稼ぐ力が無いので、借入を返した残りの資産に戻り方を掛けた床以下。今のPBR6倍前後・時価総額から逆算していない。起点の自己資本は2026年の純損失を引いた9.2億円。リースは小さく、新リース基準で形はほぼ変わらない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→11.64 倍・やや楽観 PER 8.5→10.23 倍・中立 PER 7.5→9.52 倍)。
資本コスト 10.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 0.5%。基本7.5%にquality+2.5%、上乗せ0.5%。