結論
UBEは、祖業の石炭・セメントから化学へ、さらにスペシャリティ(用途の決まった高付加価値品)化学へと姿を変えている会社だ。いま売上の半分は汎用に近い樹脂・化成品で、利益は薄い。筆者の結論は、10 年の見通しでは今の時価総額はやや高いというものだ。最大の理由は借金で、純有利子負債が時価総額とほぼ同じ大きさにある。
ディスプレイ用ポリイミドで世界首位級、バイオメタン用の分離膜、軸受用のセラミックスなど、稼ぎの芯は機能品にある。会社は 2030 年度に営業利益 600 億円を目指す。今期は 189 億円だから、3 倍の計画だ。
足を引っ張るのはナイロン、カプロラクタム、アンモニアである。中国の過剰供給で稼げなくなり、日本とタイで撤退・縮小に入った。解体の費用は約 300 億円で、数年にわたって利益を削る。
機械事業とセメント関連事業は、上場を目指す。セメントは 50% 持分の合弁で、持分法の利益として純利益を支えている。上場や売却でお金が入れば財務は軽くなる。
機能品の伸びで営業利益は 10 年で 3 倍近くに増え、中立の ROE は 7%台にとどまる。資本コストの 9% には届かない。借金の利息が 3.5% で回り直す分も重い。会社の計画が通る強気の筋書きでは安い。だが慎重な筋書きの重さが、全体を割高側に引く。
バリュー投資の観点から
この会社を、バリュー投資の目で見るとどうか。筆者はオーナーとして、機能品の部分だけなら持ちたい。ポリイミドと分離膜は、堀があり、投資に対する稼ぎが厚い。だが会社全体では、薄い稼ぎの汎用事業、重い借金、組み替えの途中という三つの条件がそろい、安心して持てる形ではない。
株主のものになる利益を考えると、大きな設備投資が続く間は、利益の多くが工場に消える。2025 年度からの 6 年で設備投資は約 2,750 億円。営業の稼ぎ 4,300 億円のうち、研究開発と設備で大半を使い、残りで借金の返済と配当を賄う計算だ。
経営は誠実に見える。止めるべき事業を止め、解体費も先に損失で処理した。ただ、買収したばかりの事業と、まだ立ち上がっていない米国工場に、成果の大半がかかっている。
安全域は薄い。借金が時価総額と同じ大きさだと、事業が少し外れただけで株主の取り分が大きく減る。10 年の見通しでは、慎重な筋書きの重さがそのまま値段に出る。反対に、計画どおり進んだ時の上振れは大きい。確実性を取るなら、いまの値段は物足りない。
何で稼ぐ会社か
売上の半分は樹脂・化成品だ。カプロラクタム、ナイロンポリマー、硫安、工業薬品、エラストマーなどを作る。景気と市況で利益が大きく振れる。日本では 2027 年 3 月にカプロラクタムとナイロンポリマーを止め、2028 年 3 月にアンモニアも止める。タイは 2026 年 3 月にカプロラクタムを止めた。
一方で、米国ルイジアナ州に電池電解液の溶剤(DMC・EMC)の工場を建てている。2027 年度に動き出す予定で、米国で唯一の供給元になる。天然ガスが安い土地で、輸入に頼る米国の電解液メーカーに売る狙いだ。
機能品は売上の 15% ほどだが、利益は一番大きい。ポリイミドはディスプレイ用で世界首位級だ。分離膜はバイオガスからバイオメタンを取り出すのに使われ、世界で 200 を超えるプラントに採用された。セラミックスは電動車の軸受と基板に使われる。
高機能ウレタンは 2025 年 4 月に独ランクセスから買った事業だ。素材とサービスをセットで売り、鉱山機械や海底油田設備に入る。医薬は受託製造(CDMO)と創薬で、まだ利益が出ていない。
機械(UBE マシナリー)は、ダイカストマシンや射出成形機を作る。ギガキャスト用の超大型機が新しい需要になる。セメントは 2022 年に三菱マテリアルと合弁にして連結から外し、いまは持分法の関連会社だ。
優良さと弱いところ
堀は事業によって大きく違う。ポリイミドは、自社で原料から作る強みと、ディスプレイ各社に認められてきた実績が堀になる。分離膜はバイオメタン向けで実績が多く、新規の参入は難しい。ここは筆者が持ち続けたいと思う種類の事業だ。
反対に、ナイロンとカプロラクタムには堀がない。中国が同じ品を安く作るので、値段は市場が決める。会社が止める判断をしたのは正しいが、解体費約 300 億円と稼ぎの穴は残る。
資本効率は低い。ROE は過去 10 年の中央値が 6.8% で、2023 年と 2025 年の 3 月期は赤字だった。売上は 10 年で縮み、営業利益率は 4% 前後が続いた。事業の稼ぐ力の割に、資産が重かった。
財務はいちばんの弱点だ。純有利子負債は 3,004 億円で、営業利益の 15 倍を超える。自己資本比率は 46% あるが、成長投資と買収で借金が増えた。金利が上がって借り換えが進めば、利払いは年 75 億円ほど増える見込みだ。
経営の資本配分は、方向は正しい。汎用から撤退し、成長品に投資し、機械とセメントを自立させる。ただし実行の最中で、結果はまだ見えていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
樹脂・化成品の業界は、中国の増設で供給過剰が続く。ナイロン原料のカプロラクタムは、中国が自給を進めた結果、日本勢が輸出で稼げなくなった。国内のエチレン設備の統合も進み、汎用化学には 10 年を通して追い風がない。2026 年は中東情勢でナフサ価格が跳ね、一時的に市況が上がった。だが需要が強いのではなく、供給が詰まっただけだ。
機能品の業界は様子が違う。ディスプレイ用ポリイミドは、液晶と有機 EL の面積が緩やかに増える範囲で伸びる。バイオメタンは欧州と北米の政策に支えられ、分離膜の需要が伸びる。ただし政策が止まれば需要も止まる。電池セパレータは上海エナジー系など中国勢との価格競争が厳しく、国内の旭化成も同じ苦戦を抱える。
電解液溶剤の DMC・EMC は、世界で作るのは UBE と中国勢だけだ。米国向けでは、関税や調達先の分散が追い風になる。ただ電池の需要が電動車の鈍化で揺れており、米国工場の稼働が上がるかは読めない。
機械は、自動車の電動化と車体の一体成形(ギガキャスト)が需要を作る。日本の自動車メーカーの計画は数十台規模で、市場は小さい。セメントは国内が縮み、米国と骨材で稼ぐ構図になる。
資本政策と M&A
還元の方針は、株主資本配当率(DOE)2.5% 以上、3 年平均の総還元性向 30% 以上だ。累進配当を目指し、後半 3 年で引き上げも検討する。中計の 6 年で還元は 700 億円、投資は設備 2,750 億円と M&A 等 1,850 億円で、還元より投資が大きい。
財務は投資で重くなる。会社の計画でも、有利子負債は 2027 年度に 4,200 億円まで増え、2030 年度に 3,000 億円へ戻す。戻す原資は、営業の稼ぎに加えて、資産売却 1,450 億円だ。ここには機械とセメントの上場による現金が含まれるとみられる。
買収では、2025 年 4 月にランクセスのウレタンシステムズを約 460 百万ユーロで買った。年の売上は 265 百万ユーロ前後だった。買った直後で、利益はまだ薄い。統合が計画どおり進むかが、資本配分の当たり外れを決める。
機械とセメントの上場は、会社が自分で掲げた約束だ。セメントは 50% 持分なので、上場の形や時期は三菱マテリアルとの調整になる。株主還元が厚くなるかは、ここで入る現金の使い道で決まる。
点検済み:中立の営業利益率が会社予想(27・28年3月期4.7〜4.8%)と過去最高(7.2%)を超え、ウレタン(今1.7%)やファインケミカル(今-2%)を一気に黒字へ戻す前提だったため、全事業を引き下げた(全社6.5%)。同じ文章のウレタン「6%どまり」の記述に合わせた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
機能品は、ポリイミドで世界首位級、分離膜で 200 プラントの実績、セラミックスで電動車の需要という、三つの成長が重なる。会社の計画では、この部分の営業利益が 2030 年度に 300 億円まで伸びる。今期の 120 億円の 2.5 倍だ。増設は原料で 60%、分離膜で 80%、セラミックスで 50% と大きく、設備が動けば数量は自然に増える。
構造改革の効果も大きい。ナイロン・カプロラクタム・アンモニアは、市況で利益が大きく振れる事業だった。これを止めれば、利益の振れ幅が減り、損失の元が消える。解体費約 300 億円はすでに大半を損失計上した。
米国の DMC・EMC 工場は、米国で唯一の供給元になる。ウレタンシステムズも年 5% 程度の成長が見込めると会社は言う。機械とセメントを上場させて現金が入れば、借金は一気に軽くなり、利息の負担も減る。
2030 年度の営業利益 600 億円が実現すれば、ROE は 9%、純利益は 450 億円になる。そうなれば、純利益は今のほぼ 2 倍になる。株価はまだ、この組み替えを織り込んでいない。
慎重な見方
計画の数字は、これまで何度も届かなかった。2025 年度の計画は営業利益 250 億円だったが、実績は 189 億円にとどまった。6 年の計画は、最後の 2 年で利益が 2 倍になる形で、前半の遅れを取り戻せるという前提に寄りかかっている。
借金が重い。純有利子負債は 3,004 億円で、営業利益の 15 倍だ。金利が 3.5% に戻れば、利払いは年 75 億円増える。会社の 2025 年度の営業利益 250 億円の 3 割にあたる。成長投資で借金はさらに 4,200 億円まで増える予定だ。
機能品の増設は、顧客が確実に買ってくれる保証がない。ディスプレイ用ポリイミドは中国の追い上げを受ける。電池セパレータは、すでに価格競争で苦しい。米国の DMC・EMC 工場は、電動車の鈍化で稼働が上がらないおそれがある。
ウレタンシステムズは買ったばかりで、統合費用がかさむ。医薬は黒字化のめどが立たない。機械とセメントの上場は、環境が悪ければ延びる。そのとき現金は入らず、借金だけが残る。汎用事業の撤退費用 300 億円も、これから数年かけて利益を削る。
どちらに重みを置いたか
機能品の質と、構造改革の方向には強気の見方に分がある。だが借金が時価総額と同じ大きさで、計画の実現が後ろに寄っていることから、慎重な見方の指摘のほうが重い。中立の筋書きは、会社の 2030 年度の計画より 2 割ほど低い利益に置いた。確率は、やや悲観と悲観を合わせて 38% と厚くし、計画が通る楽観は 8% にとどめた。結果は、10 年の価値が今の時価総額を下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 4,949 円4,809 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,397 円1,357 億円)。 今の値に割り戻すと 3,243 円3,151 億円、今との差 +0.5%、 期待の年率 +7.0%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 11,632 円1.13 兆円 | 2,264 円2,200 億円 | +330.6% | +15.7% | 1,112 円1,080 億円 |
| やや楽観 | 20% | 8,762 円8,514 億円 | 1,955 円1,900 億円 | +232.1% | +12.8% | 2,143 円2,083 億円 |
| 中立 | 34% | 4,863 円4,725 億円 | 1,341 円1,304 億円 | +92.3% | +6.8% | 2,109 円2,050 億円 |
| やや悲観 | 24% | 1,767 円1,717 億円 | 1,235 円1,200 億円 | −7.0% | −0.7% | 720 円700 億円 |
| 悲観 | 14% | 1,350 円1,312 億円 | 515 円500 億円 | −42.2% | −5.3% | 261 円254 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,949 円4,809 億円 | 1,397 円1,357 億円 | +96.6% | +7.0% | 6,346 円6,167 億円 |
今の株価時価総額 3,227 円3,136 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 計画どおり機能品が伸び、機械・セメントの上場で借金も軽くなる 利益 767 億円 · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 11,632 円1.13 兆円
機能品はポリイミドの原料増設とフィルム増設が当たり、分離膜はバイオメタンの政策に乗って伸びる。セラミックスも電動車向けに伸び、機能品の営業利益は 400 億円近くになる。高機能ウレタンは北米の先端産業向けで売上が 2 倍近くまで増え、利益率も 1 割を超える。
汎用は日本とタイで撤退が終わり、残るのは米国の DMC・EMC とエラストマーなど。営業利益率は 8% 台に回復する。米国工場は満稼働に近い。
UBE マシナリーとセメントの上場で数百億円の現金が入り、借金は 2,000 億円を割る。株主還元も厚くなり、10 年間の累計は約 2,200 億円に達する。会社の計画を、時間をかけて超える形になる。
- 機能品(ポリイミド・分離膜・セラミックス・フェノール樹脂・セパレータ・半導体ガスなど):数量 15,500(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。上記製品群の合計の推定))× 価格 10.1%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 1,569 億円・営業利益 392 億円。益率 25%、計画を超える
- 高機能ウレタン(ウレタンシステムズ・高機能コーティング):数量 17,500(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。注型ウレタン・水系コーティング材の合計の推定))× 価格 5.5%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 966 億円・営業利益 116 億円。益率 12%、北米で成長
- 医薬(創薬研究・CDMO):数量 6,000(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。国内外の原薬・中間体の受託と創薬支援の推定))× 価格 6.7%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 402 億円・営業利益 52 億円。益率 13%
- 樹脂・化成品(ナイロン・カプロラクタム・アンモニア・C1 ケミカル・エラストマー・工業薬品):数量 155(販売量(万トン。カプロラクタム、ナイロンポリマー、硫安、工業薬品、DMC・EMC、エラストマーなどの推定合計。実質の数量))× 価格 19(1 トンあたりの平均単価(万円、名目))→ 売上 3,001 億円・営業利益 255 億円。益率 8.5%、米国 DMC・EMC が満稼働
- 機械(UBE マシナリー:成形機・産業機械):数量 36,000(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。ダイカスト・射出成形機・産業機械の推定))× 価格 3.3%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 1,192 億円・営業利益 119 億円。益率 10%
- その他(自家発電・販売子会社など):数量 17,000(対象の取扱規模(億円、今の値段のまま。推定))× 価格 2.8%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 469 億円・営業利益 23 億円。益率 5%
倍率:事業の純利益 767 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.2% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.6 倍。全体の PER 14.57 倍、時価総額 11,175 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の計画の水準(2030 年度の営業利益 600 億円)を、6 年先の時点でも上回って伸ばす筋書き。計画の達成自体が過去に何度も遅れたため、確率は低く置いた。
やや楽観 20% 機能品は伸びるが、計画より遅れて着地 利益 612 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 8,762 円8,514 億円
機能品は会社の計画に沿って伸びるが、着地は計画の 2030 年度より遅い。ポリイミドは液晶と有機 EL の面積の伸びを取り込み、分離膜も欧州の需要で伸びる。セパレータは中国勢との価格競争で、利益が出ない状態が続く。
高機能ウレタンはランクセスから買った事業の統合が進み、営業利益率は 1 割ほどになる。医薬も黒字に乗る。
汎用事業は撤退が計画どおり終わる。ただし米国の DMC・EMC は稼働率が 8 割にとどまり、利益率は 7% ほどだ。機械とセメントの上場は実現するが、入る現金は想定の半分ほどにとどまる。借金は 2,200 億円まで下がる。10 年の終点では、純利益は今の 2.5 倍前後だ。
- 機能品(ポリイミド・分離膜・セラミックス・フェノール樹脂・セパレータ・半導体ガスなど):数量 14,300(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。上記製品群の合計の推定))× 価格 10.0%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 1,426 億円・営業利益 321 億円。益率 22.5%
- 高機能ウレタン(ウレタンシステムズ・高機能コーティング):数量 16,500(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。注型ウレタン・水系コーティング材の合計の推定))× 価格 5.4%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 898 億円・営業利益 94 億円。益率 10.5%
- 医薬(創薬研究・CDMO):数量 5,750(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。国内外の原薬・中間体の受託と創薬支援の推定))× 価格 6.6%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 380 億円・営業利益 40 億円。益率 10.5%
- 樹脂・化成品(ナイロン・カプロラクタム・アンモニア・C1 ケミカル・エラストマー・工業薬品):数量 148(販売量(万トン。カプロラクタム、ナイロンポリマー、硫安、工業薬品、DMC・EMC、エラストマーなどの推定合計。実質の数量))× 価格 19(1 トンあたりの平均単価(万円、名目))→ 売上 2,802 億円・営業利益 196 億円。益率 7%
- 機械(UBE マシナリー:成形機・産業機械):数量 34,000(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。ダイカスト・射出成形機・産業機械の推定))× 価格 3.3%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 1,110 億円・営業利益 100 億円。益率 9%
- その他(自家発電・販売子会社など):数量 16,800(対象の取扱規模(億円、今の値段のまま。推定))× 価格 2.7%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 457 億円・営業利益 21 億円。益率 4.5%
倍率:事業の純利益 612 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.6% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍。全体の PER 13.61 倍、時価総額 8,329 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:機能品が計画に近い水準で伸びるが、立ち上がりの遅れで 10 年の終点がやや低い筋書き。ポリイミドと分離膜の実績を評価して、この位置にやや厚めに置いた。
中立 34% 中立:機能品が稼ぎの柱になるが、汎用と借金が重しとして残る 利益 375 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 4,863 円4,725 億円
機能品は増設の効果が出て、営業利益は 240 億円前後まで増える。ただし会社の計画より増える速度は遅い。顧客の認証に時間がかかり、競合の追い上げで価格が物価ほど上がらない。高機能ウレタンも統合が進み、利益率は 6% にとどまる。
汎用は日本の撤退を終えるが、米国 DMC・EMC の稼働は 6〜7 割。営業利益率は 4% 台だ。解体費の約 300 億円は、数年かけて利益を削る。
機械は 7% の利益率、セメントは持分法の利益として年 180 億円ほどを寄与する。機械とセメントの上場は実現するが、UBE は大半の持分を持ち続ける。借金は 2,600 億円ほどまで減る。純利益は 10 年で今の 1.6 倍になる。
- 機能品(ポリイミド・分離膜・セラミックス・フェノール樹脂・セパレータ・半導体ガスなど):数量 13,000(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。上記製品群の合計の推定))× 価格 9.8%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 1,277 億円・営業利益 236 億円。益率 18.5%、増設が稼働
- 高機能ウレタン(ウレタンシステムズ・高機能コーティング):数量 15,600(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。注型ウレタン・水系コーティング材の合計の推定))× 価格 5.4%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 836 億円・営業利益 50 億円。益率 6%
- 医薬(創薬研究・CDMO):数量 5,500(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。国内外の原薬・中間体の受託と創薬支援の推定))× 価格 6.5%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 358 億円・営業利益 18 億円。益率 5%
- 樹脂・化成品(ナイロン・カプロラクタム・アンモニア・C1 ケミカル・エラストマー・工業薬品):数量 143(販売量(万トン。カプロラクタム、ナイロンポリマー、硫安、工業薬品、DMC・EMC、エラストマーなどの推定合計。実質の数量))× 価格 19(1 トンあたりの平均単価(万円、名目))→ 売上 2,646 億円・営業利益 106 億円。益率 4%、撤退完了
- 機械(UBE マシナリー:成形機・産業機械):数量 32,000(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。ダイカスト・射出成形機・産業機械の推定))× 価格 3.2%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 1,029 億円・営業利益 72 億円。益率 7%
- その他(自家発電・販売子会社など):数量 16,500(対象の取扱規模(億円、今の値段のまま。推定))× 価格 2.7%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 442 億円・営業利益 18 億円。益率 4%
倍率:事業の純利益 375 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.4% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 4,692 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:機能品の成長は、増設を前提に年 4% 弱の数量増。汎用の撤退は進むが、新しい赤字の芽が出る。会社の計画より 2 割ほど低い利益に置いた中心の筋書き。
やや悲観 24% 増設の効果が出ず、汎用の損失が続く 利益 222 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 1,767 円1,717 億円
機能品の増設が先走り、需要が追いつかない。ポリイミドは中国勢が追い上げ、値段が物価ほど上がらなくなる。セパレータは中国の増設で赤字に近い状態が続く。分離膜はバイオメタンの政策が弱まり、伸びが止まる。
汎用の撤退は終わるが、米国の DMC・EMC は稼働が 5 割にとどまり、利益率は 3% になる。ウレタンシステムズは統合に手間取り、利益率は 6% どまりだ。
機械は自動車の電動化が遅れて数量が増えず、セメントは国内の縮小で持分法の利益が減る。借金は 3,000 億円前後から減らない。利息が 3.5% で回り直す分が、純利益を直接削る。配当は DOE 2.5% の水準を守るのが精一杯になる。
- 機能品(ポリイミド・分離膜・セラミックス・フェノール樹脂・セパレータ・半導体ガスなど):数量 11,500(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。上記製品群の合計の推定))× 価格 9.5%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 1,095 億円・営業利益 164 億円。益率 15%、価格競争で低下
- 高機能ウレタン(ウレタンシステムズ・高機能コーティング):数量 14,000(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。注型ウレタン・水系コーティング材の合計の推定))× 価格 5.1%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 717 億円・営業利益 43 億円。益率 6%
- 医薬(創薬研究・CDMO):数量 5,000(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。国内外の原薬・中間体の受託と創薬支援の推定))× 価格 6.3%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 312 億円・営業利益 12 億円。益率 4%
- 樹脂・化成品(ナイロン・カプロラクタム・アンモニア・C1 ケミカル・エラストマー・工業薬品):数量 135(販売量(万トン。カプロラクタム、ナイロンポリマー、硫安、工業薬品、DMC・EMC、エラストマーなどの推定合計。実質の数量))× 価格 18(1 トンあたりの平均単価(万円、名目))→ 売上 2,402 億円・営業利益 72 億円。益率 3%、米国工場の稼働 5 割
- 機械(UBE マシナリー:成形機・産業機械):数量 29,000(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。ダイカスト・射出成形機・産業機械の推定))× 価格 3.1%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 891 億円・営業利益 45 億円。益率 5%
- その他(自家発電・販売子会社など):数量 15,500(対象の取扱規模(億円、今の値段のまま。推定))× 価格 2.6%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 397 億円・営業利益 12 億円。益率 3%
倍率:事業の ROE は 4.3% で k の 9.0% より低く、PER の上限は 1÷k = 11.1 倍。伸びても価値は増えず、利益の質も低いので、上限の 7 割に届かない 7.5 倍に置いた。
確率:増設しても顧客の需要が追いつかず、ポリイミドとセパレータが中国勢との価格競争に巻き込まれる筋書き。2025 年度の計画未達の実績と借金の重さから、厚めに置いた。
悲観 14% 借金の重みで組み替えが止まり、構造的に負ける 利益 −150 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,350 円1,312 億円
中国の追い上げで、ポリイミドとセパレータが値崩れする。米国の DMC・EMC 工場は需要が乏しく、償却だけが重い。医薬とウレタンシステムズは赤字から抜けられず、のれんの減損が出る。汎用の撤退費用も重なり、赤字の年が続く。
借金の返済に追われ、機械とセメントの上場は市況が悪く延期になる。会社は設備投資を絞り、成長品の増設も止める。株主還元は最低限に落とす。
優良なスペシャリティ化学企業になるという目標は崩れ、複数の事業を持つ重い会社として、資産を切り売りしながら延命する形になる。機能品の一部は売却される。
- 機能品(ポリイミド・分離膜・セラミックス・フェノール樹脂・セパレータ・半導体ガスなど):数量 9,500(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。上記製品群の合計の推定))× 価格 8.7%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 825 億円・営業利益 66 億円。益率 8%、値崩れ
- 高機能ウレタン(ウレタンシステムズ・高機能コーティング):数量 12,000(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。注型ウレタン・水系コーティング材の合計の推定))× 価格 4.8%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 576 億円・営業利益 12 億円。益率 2%
- 医薬(創薬研究・CDMO):数量 4,200(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。国内外の原薬・中間体の受託と創薬支援の推定))× 価格 5.8%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 242 億円・営業利益 −7 億円。営業損失
- 樹脂・化成品(ナイロン・カプロラクタム・アンモニア・C1 ケミカル・エラストマー・工業薬品):数量 115(販売量(万トン。カプロラクタム、ナイロンポリマー、硫安、工業薬品、DMC・EMC、エラストマーなどの推定合計。実質の数量))× 価格 16(1 トンあたりの平均単価(万円、名目))→ 売上 1,883 億円・営業利益 −38 億円。営業損失
- 機械(UBE マシナリー:成形機・産業機械):数量 25,000(対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。ダイカスト・射出成形機・産業機械の推定))× 価格 2.9%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 720 億円・営業利益 7 億円。益率 1%
- その他(自家発電・販売子会社など):数量 14,000(対象の取扱規模(億円、今の値段のまま。推定))× 価格 2.4%(UBE の取り分(シェア × 物価の指数))→ 売上 336 億円・営業利益 3 億円。益率 1%
倍率:赤字で、稼ぐ力では値が付かない。売れる資産の税後から借金を引いた分(1,400 億円)の範囲に収まるよう、今の自己資本 4,372 億円に 0.30 倍を掛けて置いた。
確率:中国の追い上げ、米国工場の稼働の遅れ、上場の延期が重なり、借金が自由度を奪う筋書き。2023 年と 2025 年の 3 月期に赤字を出した実績があり、5% 未満には置けない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
機能品(ポリイミド・分離膜・セラミックス・フェノール樹脂・セパレータ・半導体ガスなど)
ディスプレイ向けポリイミド、バイオメタン精製の分離膜、軸受・基板向けセラミックス、半導体封止材のフェノール樹脂、電池用セパレータなど、会社が成長の柱に据える高付加価値品の集まり。
| 数量対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。上記製品群の合計の推定) | 価格UBE の取り分(シェア × 物価の指数) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 9,000 | 7.6% | 680 | 120 |
| 10 年後 中立 | 13,000 | 9.8% | 1,277 | 236 |
取り方:2025 年度計画の機能品 690 億円を、2026 年 3 月期の全社売上 4,623 億円に合わせて 680 億円に直した推定。ポリイミド(ディスプレイ用で世界首位級)、分離膜、セラミックス、フェノール樹脂、セパレータの対象市場を合計約 9,000 億円(実質)と置き、UBE の取り分を約 7.6% とした。開示のセグメント実績は未確認で、数字は推定。
高機能ウレタン(ウレタンシステムズ・高機能コーティング)
2025 年 4 月に独 LANXESS から買った注型ウレタン(素材とサービスのセット)と、水系塗料・人工皮革向けのコーティング材。
| 数量対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。注型ウレタン・水系コーティング材の合計の推定) | 価格UBE の取り分(シェア × 物価の指数) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 12,000 | 4.0% | 480 | 8 |
| 10 年後 中立 | 15,600 | 5.4% | 836 | 50 |
取り方:2025 年度計画 505 億円を実績ベースに直して 480 億円と置いた推定。買収した事業の売上は年 265 百万ユーロ前後(150 円で約 400 億円)、これに高機能コーティングが乗る。対象市場約 12,000 億円(実質)に対し取り分約 4%。買収後の統合費用で営業利益はまだ薄い。
医薬(創薬研究・CDMO)
医薬品の原薬・中間体の受託製造(CDMO)と創薬研究。新しい第六医薬品工場で受託を伸ばす。
| 数量対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。国内外の原薬・中間体の受託と創薬支援の推定) | 価格UBE の取り分(シェア × 物価の指数) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,500 | 5.0% | 225 | −5 |
| 10 年後 中立 | 5,500 | 6.5% | 358 | 18 |
取り方:2025 年度計画 230 億円・営業利益ゼロを実績ベースに直した推定。受託市場を約 4,500 億円(実質)と置き、取り分を約 5%。薬の開発が当たらないと工場の稼働が上がらず、利益は出にくい。
樹脂・化成品(ナイロン・カプロラクタム・アンモニア・C1 ケミカル・エラストマー・工業薬品)
売上の半分を占める汎用寄りの事業。日本とタイでカプロラクタム・ナイロンポリマー・アンモニアから撤退・縮小の最中で、米国でリチウムイオン電池の電解液溶剤(DMC・EMC)の新工場を建てている。
| 数量販売量(万トン。カプロラクタム、ナイロンポリマー、硫安、工業薬品、DMC・EMC、エラストマーなどの推定合計。実質の数量) | 価格1 トンあたりの平均単価(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 170 | 14 | 2,420 | 55 |
| 10 年後 中立 | 143 | 19 | 2,646 | 106 |
取り方:2025 年度計画 2,570 億円を実績ベースに直して 2,420 億円とし、販売量を約 170 万トンと推定して平均単価を出した。今後は日本・タイの撤退で量が減り、米国の DMC・EMC(年 10 万トン規模)が 2027 年度から上乗せされる。
機械(UBE マシナリー:成形機・産業機械)
自動車部品を作るダイカストマシン(ギガキャスト向けの超大型機を含む)・射出成形機と、発電所などの産業機械。販売後の保守で安定して稼ぐ。
| 数量対象市場の実質規模(億円、今の値段のまま。ダイカスト・射出成形機・産業機械の推定) | 価格UBE の取り分(シェア × 物価の指数) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 30,000 | 2.4% | 720 | 45 |
| 10 年後 中立 | 32,000 | 3.2% | 1,029 | 72 |
取り方:2025 年度計画 740 億円を実績ベースに直して 720 億円と置いた推定。会社は中計の期間中に UBE マシナリーの株式上場を目指す。ここでは上場後も多くを持ち続けて連結に残る形で置く。
その他(自家発電・販売子会社など)
自家発電と余った電力の売電、販売子会社、物流など。
| 数量対象の取扱規模(億円、今の値段のまま。推定) | 価格UBE の取り分(シェア × 物価の指数) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 16,500 | 2.0% | 330 | 12 |
| 10 年後 中立 | 16,500 | 2.7% | 442 | 18 |
取り方:2025 年度計画 355 億円を実績ベースに直した推定。取扱規模は物価並みに増えるものとして置いた。
リスクと懸念
借金が重く、金利の上昇に弱い
純有利子負債は 3,004 億円で、時価総額と同じ大きさがある。借り換えで金利が 3.5% に上がると、利払いが年 75 億円ほど増える。中計の投資で借金はさらに増える計画で、利益が計画より遅れると、返済の余裕が一気に薄くなる。
計画の実現が後ろに寄っている
2030 年度に営業利益 600 億円、ROE 9% という目標は、今期の 3 倍超だ。2025 年度の営業利益は計画の 250 億円に対し 189 億円で、すでに届いていない。成長の主役である増設の効果が出る時期が遅れれば、数字は後ろに延びる。
中国の増設が機能品にも及ぶ
汎用では中国の過剰供給で撤退を決めた。同じことがポリイミドやセパレータ、DMC・EMC に起きるおそれがある。電池セパレータは、すでに中国勢との価格競争で苦しい。差別化が崩れると、成長の柱が値崩れの事業に変わる。
米国 DMC・EMC 工場の稼働
米国唯一の供給元になる狙いで、2027 年度に動かす予定だ。電動車の鈍化で電池向けの需要が弱まれば、稼働率が上がらず、償却と借入金の利息だけが残る。米国の関税や政策の変更にも左右される。
買収したばかりの事業の統合
ウレタンシステムズは 2025 年 4 月に約 460 百万ユーロで買った。利益はまだ薄く、統合費用もかかる。ここが計画どおり伸びなければ、のれんの減損につながる。医薬も黒字化のめどがまだ立っていない。
機械とセメントの上場が遅れる
借金を減らす計画は、機械とセメントの上場による現金に頼っている。セメントは 50% 持分の合弁で、三菱マテリアルとの調整が要る。市況が悪化して上場が延びれば、現金は入らず、借金だけが残る。
今後の分かれ目
- ポリイミドの原料・フィルムの新設備が、認証を取って計画どおり動いたら
- 機能品の伸びが確かになる。やや楽観・楽観の確率を上げる材料になる。
- 米国の DMC・EMC 工場が、2027 年度の稼働後に 7 割以上の稼働率に乗ったら
- 汎用の利益率の見通しを上げる。逆に稼働が 5 割にとどまれば、やや悲観側に重みを移す。
- 機械かセメントの上場が決まり、まとまった現金が入ったら
- 借金が減り、利息の負担と財務のリスクが下がる。中立の純利益と倍率を上方に見直す材料になる。
- 2027 年度の営業利益 400 億円という中計の目標が、下方修正されたら
- 計画の遅れが構造的だと見て、中立の前提を下げ、やや悲観側の確率を上げる。
- ウレタンシステムズの営業利益率が 2 年以内に 8% を超えたら
- 買収が成功の方向にある。高機能ウレタンの中立の利益率を上げてよい。
- 中国メーカーがポリイミド・セパレータで増設・値下げを始めたら
- 機能品の堀が崩れる兆しとみて、やや悲観・悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 機能品(ポリイミド・分離膜・セラミックス)の四半期の営業利益と、新設備の稼働・認証
- 米国 DMC・EMC 工場の稼働の開始時期と稼働率
- 純有利子負債と、金利の借り換え後の利払い
- UBE マシナリー・UBE 三菱セメントの上場の時期と、入る現金の額
- ウレタンシステムズと医薬の営業利益率
- 中期経営計画の営業利益目標(2027 年度 400 億円、2030 年度 600 億円)の進捗
倍率と資本コストの決め方
セグメントは機能品・高機能ウレタン・医薬・樹脂・化成品・機械・その他の 6 つで、対象市場の実質規模 × UBE の取り分(シェア × 物価の指数)で積み、汎用は販売トン数 × 単価で積んだ。セグメントの今の値は、2025 年度計画を 2026 年 3 月期の実績(売上 4,623 億円・営業利益 189 億円)に合わせて按分した推定で、開示の実績は未確認。資本コストは基本 7.5% に quality +1.5%(循環 +0.5、値決め 0、借金 +1.0、寿命 0)を足した 9.0%。倍率は式から、中立は ROE が k を下回るので 1÷k を上限に約 8 割。今の株価・今の PER・過去の PBR は参照していない。悲観は赤字なので、売れる資産の税後から借金を引いた額の範囲に置いた。リースの会計は営業費用に家賃を入れた今の形のままで置いた。最後に今の時価総額と比べた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→14.57 倍・やや楽観 PER 10.1→13.61 倍・中立 PER 8.8→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。