結論
ショーエイコーポレーションは、大阪に本社を置く販促の黒子だ。化粧品や食品のメーカーが配る試供品やノベルティを包み、ダイレクトメールに封入して発送し、倉庫から全国へ届ける。もう 1 つの柱は、百円ショップやドラッグストアの棚に並ぶ日用品と雑貨の企画と調達である。どちらも表には名前が出ない、裏方の仕事だ。
筆者の結論は、ほぼ適正な値段である。2026 年 3 月期の営業利益率は 7.0% と、この 20 年で最も高かった。だが過去を振り返ると、利益率は 0〜4% の年がほとんどで、2023 年 3 月期には大きな最終赤字も出した。客は大手の消費財メーカーと百円ショップで、値段を決める力はいつも客の側にある。
10 年後の営業利益は 15 億円ほどと見る。紙の DM は細り続けるが、包装と発送の受託の広がりがそれを補い、仕事の量はほぼ横ばいにとどまる。雑貨は大手の百円ショップが自前の調達を強め、量がやや減る。今の値段は、直近の利益率がほどほどに保たれる姿を、おおむね織り込んでいる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、この会社は「手堅い現場を持つが、値段を決められない会社」だ。販促の包装と発送は手間のかかる仕事で、客には便利な存在である。だが、客は大手のメーカーと百円ショップで、取り分はいつも客が決める。値決めの力の弱さは、長い目で見た利益率の低さにそのまま表れている。
直近の利益は 20 年で最も高い。今の時価総額は、その利益の 7 年分ほどだ。一見安いが、利益率が過去の平均に戻れば、利益は半分になる。稼ぎの山の年に安く見えるのは、こうした会社によくある姿である。
資本の使い方は素直だ。借入を返し、配当を 3 割出し、優待も続ける。それでも、安全域、つまり払う値段と価値の差は、利益率 7% が続く証拠が積み上がってから考えたい。優待と配当で株主に報いる姿勢は、オーナーとして安心できる点だ。
何で稼ぐ会社か
事業は 2 つに分かれる。売上の 53% を占める営業促進支援は、販促の企画から包装、封入、発送、保管までをまとめて請け負う。化粧品や食品のメーカーが配る試供品のパウチ、店頭のディスプレイ、懸賞の景品の発送、通販の荷物に入れる同梱物などだ。大阪と神奈川、千葉に作業と物流の拠点を持ち、子会社では化粧品の受託製造と充填も手がける。
残る 47% が商品販売である。百円ショップとドラッグストア向けに日用品や雑貨を企画し、中国やタイの工場で作らせて納める。キャンドゥ、セリア、大創産業の 3 社で、全社の売上の 4 割近くを占める。客の株も少し持ち、取引の結びつきは深い。
創業はフィルムの袋のメーカーで、包装の技術が両方の事業の根にある。2026 年 3 月期のセグメント利益率は、営業促進支援が 8.6%、商品販売が 5.0% だった。営業促進支援の利益は前の期の 2.5 倍に増えた。客の販促の予算が戻り、手間のかかる仕事を選んで受けた成果だと会社は説明する。従業員は 570 人で、ほかに臨時の働き手が 250 人ほどいる。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、販促の細かな手作業をまとめて引き受ける現場の力だ。試供品を袋に詰め、DM に封入し、期日どおりに全国へ届ける仕事は、地味だが手間がかかる。メーカーにとっては、企画から充填、発送まで 1 社に任せられることに価値がある。化粧品の受託製造まで持つ会社は多くない。
ただし、これは堀と呼ぶには浅い。同じ仕事をする印刷会社や物流会社、封入の専門業者は多く、客は案件ごとに見積もりを取る。百円ショップ向けの雑貨では、値段を決めるのは売る側で、原料と為替の上がった分を転嫁しきれない年が続いた。過去 12 年の営業利益率の多くが 0〜4% にとどまるのが、その証拠だ。
直近の 7% は、客の選別と値上げが効いた成果で、評価してよい。それでも、この水準が 10 年続くかは、あと数年の実績を見ないと分からない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
販促の市場は、紙から画面への移り変わりの中にある。郵送の DM は企業の広告費の中で細り続け、試供品やノベルティの配り方も変わってきた。一方で、通販の荷物に同梱するチラシや、店頭で手に取ってもらう試供品は根強い。包装と封入、発送を外に任せたい企業は、人手不足でむしろ増えている。手作業の現場を持つ会社には、仕事を選べる余地が生まれた。
百円ショップの市場は、国内では店の数が飽和に近づいた。大手は円安と原料高を受けて、百円にこだわらない価格帯の商品を増やしている。仕入れ先には品質と値段の両方が求められ、大手が中国や東南アジアの工場と直接取引する動きも広がる。間に立つ企画会社の取り分は、じわじわと細る。
包装の素材では、プラスチックを減らす規制が強まる。紙や再生材への切り替えは手間とコストを生むが、提案できる会社には仕事が増える面もある。筆者は 10 年で、販促の仕事の量はほぼ横ばい、雑貨の量はやや減ると見る。値段は物価並みに上がる。
人手の不足は、この業界の形も変える。封入や包装の作業の担い手は集めにくくなり、機械化と拠点の集約を進められる会社だけが残る。
資本政策と M&A
配当は年 1 回で、2026 年 3 月期の総額は 2.7 億円、配当性向は 3 割ほどだ。会社は安定的で継続的な配当を方針に掲げる。自社株買いはしていない。株主優待として、500 株以上の株主にポイントを贈り、グルメや家電と交換できる。費用の開示は無いが、年 0.2 億円前後とみて、10 年の還元に 2 億円ほど足した。
借入は約 30 億円、現金は 11 億円で、純負債は 20 億円ほどある。2022 年 3 月期には借入が 50 億円近くまで膨らみ、そこから返してきた。固定金利の借入が 9 割を占め、金利の上昇は時間をかけて効く。倉庫の一部は借りており、家賃は景気が悪くても減らない固定費だ。筆頭株主は個人で、2 割強を持つとされる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
利益率の改善は本物だ。営業促進支援のセグメント利益は 1 年で 2.5 倍になり、利益率は 8.6% に届いた。手間のかかる仕事を選び、値上げを通した結果で、一時の追い風ではない。商品販売も売上が減る中で利益を増やした。会社は今期も増収増益を見込み、営業利益 14 億円を予想する。
人手不足は追い風になる。メーカーや通販の会社は、包装や封入、発送の手作業を自前で抱えられなくなっている。全国に作業の拠点を持ち、化粧品の充填までできる会社は少ない。百円ショップ向けでも、長年の取引で品質と納期の信頼を得ている。
財務も強くなった。借入は 4 年で 20 億円近く減り、自己資本は 2 倍近くに戻った。今の時価総額は利益の 7 年分ほどで、利益率が 6% を保つだけで安い。
客の集中も、裏を返せば大手との長い付き合いの証しだ。百円ショップの大手 3 社と何十年も取引を続け、政策保有の株も持ち合う。新しい仕入れ先がすぐに取って代われる関係ではない。包装の素材を紙や再生材に替える提案でも、フィルムの袋から始まった技術の蓄積が生きる。
慎重な見方
7% の利益率は、この会社の 20 年で 1 度きりの数字だ。過去 12 年のほとんどの年は 0〜4% で、2023 年 3 月期には大きな最終赤字を出し、自己資本は 4 割減った。値段を決めるのは客で、原料高や円安の年には利益が吹き飛ぶ。1 年の改善で、その体質が変わったとは言えない。
客の集中も重い。百円ショップの大手 3 社で売上の 4 割近くを占め、大手は海外の工場と直接取引する力をつけている。紙の DM は細り続け、販促の予算は画面の広告に移る。封入と発送は大手の物流会社も手がけ、値段の勝負になりやすい。
借入は 30 億円あり、借り換えのたびに利払いが増える。倉庫の家賃も固定費として残る。利益が平均に戻れば、今の値段は安くない。
人手不足も、追い風とは限らない。封入や包装の作業の担い手を集める費用は上がり、その分を客に転嫁できなければ利益は削られる。臨時の働き手に頼る現場は、最低賃金の引き上げの影響を真っ先に受ける。数字の改善の裏で、費用の圧力は確実に強まっている。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がやや勝つ。直近の改善には選別受注と値上げという中身があるが、1 年の数字だけで 20 年の歴史を書き換えるのは早い。客の集中と値決めの弱さは変わっていない。中立の利益率は 6% ほどに置き、直近の山より低く、過去の平均より高くした。改善が続く筋書きにも 3 割の確率を残した。雑貨の客の集中と紙の DM の細りは、悲観の側に 3 割強の確率を置く理由になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,520 円117 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 354 円27 億円)。 今の値に割り戻すと 908 円70 億円、今との差 +27.5%、 期待の年率 +10.2%(資本コスト 8.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,595 円201 億円 | 507 円39 億円 | +335.7% | +15.9% | 310 円24 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,098 円162 億円 | 419 円32 億円 | +253.6% | +13.5% | 504 円39 億円 |
| 中立 | 37% | 1,766 円136 億円 | 370 円29 億円 | +200.1% | +11.6% | 791 円61 億円 |
| やや悲観 | 20% | 809 円63 億円 | 298 円23 億円 | +55.5% | +4.5% | 221 円17 億円 |
| 悲観 | 13% | 198 円15 億円 | 177 円14 億円 | −47.3% | −6.2% | 49 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,520 円117 億円 | 354 円27 億円 | +163.3% | +10.2% | 1,874 円145 億円 |
今の株価時価総額 712 円55 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 受託が広がり、利益率 9% を保つ 利益 15 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 2,595 円201 億円
利益率の改善が続き、包装と発送の受託が広がる筋書きだ。人手不足で、メーカーや通販の会社が手作業を外に出す流れが加速する。ショーエイは企画から充填、封入、配送までを 1 社で請け負い、紙の包装への切り替えの提案でも仕事を増やす。化粧品の受託製造も、小さなブランドの増加に乗って伸びる。
販促物の個数は 2 割、雑貨の個数も 1 割増える。営業促進支援の利益率は 9% を保ち、雑貨も 6% に上がる。営業利益は 23 億円ほどになり、ROE は 11% を超える。配当も利益とともに増え、優待も続く。借入は早めに返し終え、純現金の会社に変わる。
- 営業促進支援:数量 480(取り扱う販促物の個数(百万個、推定))× 価格 3.50(1,000 個あたりの売上(万円))→ 売上 168 億円・営業利益 15 億円。4.8 億個(1.20 倍)× 単価 1.38 倍、営業利益率 9%
- 商品販売:数量 190(納める商品の個数(百万個、推定))× 価格 6.90(1,000 個あたりの納入価格(万円))→ 売上 131 億円・営業利益 8 億円。1.9 億個(1.06 倍)× 単価 1.39 倍、営業利益率 6%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.2% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍。全体の PER 13.1 倍、時価総額 194 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利益率 9% はこの会社に前例がない。直近の改善の勢いを考えて 1 割とした。
やや楽観 20% 直近の改善が定着する 利益 12 億円 · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 2,098 円162 億円
直近の改善がおおむね定着する筋書きだ。手間のかかる仕事を選ぶ姿勢が続き、営業促進支援の利益率は 8% 台を保つ。DM の細りは、通販の同梱物と試供品の包装の受託で埋まり、個数は 1 割増える。
百円ショップ向けの雑貨は、価格帯の広がりに乗って個数の横ばいを保つ。営業利益は 19 億円ほどになる。借入はさらに減り、ROE は資本コスト並みの 10% ほどだ。配当は 3 割の配当性向で増え、株主優待も続く。株主にとっては、地味だが安定した稼ぎの姿である。人手不足の中で作業の拠点を集約し、機械化で利益率を守る。百円ショップの大手との取引も、品質と納期の信頼で続く。
- 営業促進支援:数量 440(取り扱う販促物の個数(百万個、推定))× 価格 3.45(1,000 個あたりの売上(万円))→ 売上 152 億円・営業利益 12 億円。4.4 億個(1.10 倍)× 単価 1.36 倍、営業利益率 8.2%
- 商品販売:数量 180(納める商品の個数(百万個、推定))× 価格 6.80(1,000 個あたりの納入価格(万円))→ 売上 122 億円・営業利益 6 億円。1.8 億個(横ばい)× 単価 1.37 倍、営業利益率 5%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.1% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.7 倍。全体の PER 12.72 倍、時価総額 149 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:選別受注と値上げの成果が残る筋書き。1 年の実績しかないので 2 割にとどめた。
中立 37% 利益率は 6% 前後に落ち着く 利益 9 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,766 円136 億円
改善は一部残るが、利益率は山から下がる筋書きだ。販促の仕事の量は、紙の DM の細りと受託の広がりで差し引き横ばいになる。客の値下げの圧力で、営業促進支援の利益率は 7.5% に戻る。
雑貨は大手百円ショップの直接の調達が増え、個数は 5% 減る。値段は物価並みに上がる。営業利益は 15 億円ほどで、全社の利益率は 6% ほどだ。借り換えで利払いは年 1 億円近くに増える。配当は配当性向 3 割で続き、自己資本は 110 億円ほどに積み上がる。ROE は 8% 台に下がり、資本コストを少し下回る。株主優待は続くが、利益の伸びは物価に届かない。
- 営業促進支援:数量 400(取り扱う販促物の個数(百万個、推定))× 価格 3.35(1,000 個あたりの売上(万円))→ 売上 134 億円・営業利益 10 億円。4.0 億個(横ばい)× 単価 1.32 倍(物価並み)、営業利益率 7.5%
- 商品販売:数量 171(納める商品の個数(百万個、推定))× 価格 6.70(1,000 個あたりの納入価格(万円))→ 売上 115 億円・営業利益 5 億円。1.71 億個(0.95 倍)× 単価 1.35 倍、営業利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.3% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.4 倍。全体の PER 12.45 倍、時価総額 117 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近の山(7.0%)より低く、過去の平均(3〜4%)より高い落としどころ。最も起こりやすい。
やや悲観 20% 利益率が過去の平均に戻る 利益 5 億円 · PER 7.4 倍 · 株価時価総額 809 円63 億円
利益率が過去の平均に戻る筋書きだ。販促の予算は画面の広告に移り、紙の DM と試供品の発送が細る。販促物の個数は 15% 減り、値上げも物価に届かない。営業促進支援の利益率は 5% 台に戻る。
雑貨では、大手百円ショップが海外の工場との直接取引を増やし、個数は 2 割近く減る。原料と為替の上昇を転嫁しきれず、利益率は 3% に下がる。営業利益は 9 億円ほどで、倉庫の家賃と利払いが重くのしかかる。ROE は 5% ほどだ。配当は利益とともに減り、優待は縮められる。人件費の上昇も重く、封入の作業の利益は細る。
- 営業促進支援:数量 340(取り扱う販促物の個数(百万個、推定))× 価格 3.20(1,000 個あたりの売上(万円))→ 売上 109 億円・営業利益 6 億円。3.4 億個(0.85 倍)× 単価 1.26 倍(物価に届かない)、営業利益率 5.5%
- 商品販売:数量 150(納める商品の個数(百万個、推定))× 価格 6.00(1,000 個あたりの納入価格(万円))→ 売上 90 億円・営業利益 3 億円。1.5 億個(0.83 倍)× 単価 1.21 倍、営業利益率 3%
倍率:ROE 5.2% は k を下回る。稼ぐ力(純利益÷k で約 52 億円)で見て、1÷k の 10.5 倍の 7 割の 7.4 倍。
確率:過去 12 年の多くの年の姿に戻る筋書きで、十分ありうるので 2 割とした。
悲観 13% 受託と雑貨の両方で居場所を失う 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 198 円15 億円
販促の受託と雑貨の両方で居場所を失う筋書きだ。紙の DM と店頭の販促が大きく縮み、販促物の個数は 3 分の 2 に減る。大手の物流会社が封入と発送をまとめて請け負い、値段で負ける。
百円ショップの大手は調達を自前に切り替え、雑貨の個数は 4 割減って赤字になる。借りた倉庫の家賃は固定費として残り、利払いも増える。営業利益はほぼゼロで、最終損益は赤字に沈む。株主優待は縮められ、配当も細る。2023 年 3 月期のような大きな損失が再び出る姿だ。借入の返済を優先し、手元の資金は細る。株主に残るのは、持っている倉庫と土地、細った現場の稼ぎだけになる。
- 営業促進支援:数量 260(取り扱う販促物の個数(百万個、推定))× 価格 3.00(1,000 個あたりの売上(万円))→ 売上 78 億円・営業利益 2 億円。2.6 億個(0.65 倍)× 単価 1.19 倍、営業利益率 2%
- 商品販売:数量 110(納める商品の個数(百万個、推定))× 価格 5.50(1,000 個あたりの納入価格(万円))→ 売上 61 億円・営業利益 −1 億円。1.1 億個(0.61 倍)× 単価 1.11 倍、営業利益率 −1%
倍率:稼ぐ力はほぼゼロなので、売れる資産の床(約 15 億円)で置く。今の自己資本 51 億円の 0.3 倍の約 15 億円。純負債 22 億円を足した EV でも営業利益の 38 倍になるが、営業利益がほぼゼロの筋書きなので EV の倍率では測らず、資産の床で見た。
確率:2015 年度と 2023 年度に赤字を出した会社で、客の集中も重い。過去の記録を踏まえて 13% とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
営業促進支援
販促品・試供品の企画と包装、DM の封入・発送、通販の同梱物、保管・配送、化粧品の受託製造・充填。
| 数量取り扱う販促物の個数(百万個、推定) | 価格1,000 個あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 400 | 2.53 | 101 | 9 |
| 10 年後 中立 | 400 | 3.35 | 134 | 10 |
取り方:個数の開示がないため推定。セグメント売上 101.1 億円を、試供品の包装・DM の封入・発送をならした 1,000 個あたり約 2.5 万円で割った約 4 億個。利益はセグメント利益 8.74 億円(開示)。
商品販売
百円ショップ・ドラッグストア向けの日用品・雑貨の企画と調達(中国・タイで生産)。
| 数量納める商品の個数(百万個、推定) | 価格1,000 個あたりの納入価格(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 180 | 4.97 | 89 | 5 |
| 10 年後 中立 | 171 | 6.70 | 115 | 5 |
取り方:個数の開示がないため推定。外部への売上 89.4 億円を、百円ショップの仕入れ値に近い 1,000 個あたり約 5 万円で割った約 1.8 億個。利益はセグメント利益 4.56 億円(開示)。
リスクと懸念
利益率の山の終わり
営業利益率 7.0% は、この 20 年で最も高い。過去 12 年の多くの年は 0〜4% だった。客の値下げの要求や原料高が重なれば、利益は簡単に半分になる。
百円ショップへの集中
キャンドゥ、セリア、大創産業の 3 社で売上の 4 割近くを占める。大手が海外の工場と直接取引を広げれば、仕入れ先としての役割は細る。
紙の販促の細り
郵送の DM と紙の販促物は、企業の広告費の中で細り続けている。包装と発送の受託で埋めきれなければ、仕事の量は減る。
原料と為替
雑貨は中国とタイで作り、円で売る。円安と樹脂の原料高は、転嫁が遅れる間の利益を削る。
借入と倉庫の家賃
借入は約 30 億円で、金利の上昇は借り換えのたびに効く。倉庫の一部は借りており、家賃は売上が減っても残る固定費だ。2028 年 3 月期からの新しいリースの会計では、帳簿の負債も増える。
今後の分かれ目
- 2027 年 3 月期も営業利益率が 7% 前後を保ったら
- 改善の定着の証拠として、やや楽観の筋書きの確率を上げる。
- 営業利益率が 2 期続けて 4% を下回ったら
- 過去の平均に戻ったとみて、やや悲観に重みを移す。
- 百円ショップ大手との取引が大きく減ったら
- 雑貨の個数の見通しを下に直す。
- 通販や化粧品の大口の受託が続いたら
- 販促物の個数の見通しを上に直す。
見ておくもの
- セグメント別の利益率(営業促進支援・商品販売)
- 主要 3 社への売上の比率
- 借入の残高と金利
- 樹脂の原料価格と円相場
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や PER を見ずに、ROE と k 8.5% から決めた。中立の ROE は 8.5% で k を下回るので、PER の上限は 1÷k の 10.5 倍。中立の営業利益率は過去 12 年の山(7.0%)より下の 6.1% に置いた。今の PER 6 倍台は直近の山の利益に対する値で、寄せていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.9→13.1 倍・やや楽観 PER 9→12.72 倍・中立 PER 8.4→12.45 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。